海未「星の降る夜」 (63)

人間、上手く行かない時はとことん上手く行かないと聞きます。

何かに失敗して気持ちが落ち込んで

その落ち込んだ気持ちが更に、次の結果に悪い影響を与える…

私もちょうど、その負のスパイラルに参入した所でした

朝のお稽古で母に不出来を指摘され

父からは「たるんでいる」とお叱りを受け

学校でも、弓では的を外し、ダンスではリズムを外し…

堪らなくなった私は…病気を装い自宅へ逃げ帰って来ました

仲間に弱みを見せたくなかったのです。

私も子供っぽい所があるでしょう?

いや、別に私が大人っぽいと自負してるわけではなくて…

幼なじみの子供っぽい穂乃果と一緒にいると、大人っぽいと言われる事も多くて


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大人っぽいと言われるのは少し恥ずかしいというか…まぁ、それは置いておいて

私は不安定でぐちゃぐちゃでオーバーヒートしそうな頭を冷やすためにシャワーを浴びています




シャァァァァァ


海未「はぁっ…」


冷たい。気持ちいい。

ずっとこうしてたい。

ずっとこのままいたら、きっと風邪をひいてしまうでしょうね

まあ、それもいいかもしれません

この気持ちに一区切り打てるなら

でもやっぱり風邪をひくのはやめておきましょう

この間、風邪をひいた穂乃果に

「風邪をひくなんてたるんでいる証拠です!」

…なんて偉そうに言い放ったばかりでした


キュッキュッキュッ

海未「ふぅ…」



胸のつっかえがまだとれません

やっぱりシャワーを浴びたくらいでは人間の心って簡単には切り替わらないものですね

こういう時ってどうすればいいのでしょう…


体を拭いて、服を着て、それから

携帯の着信に気づきました

メールです。二通

一通目は絵里。二通目はことり。

どちらも私の不調を気遣うメール

やはりバレてましたか

さすが鋭い


『人間誰にだって、上手くいかない事ってあるのよ。だからそんなに深刻に考え込まないで、何か息抜きになるような事をしてみたらどう?』

『海未ちゃん…元気出して!海未ちゃんはきっと疲れてるんだよ!そういう時はゆっくりお風呂に入ったり、気分転換するといいよ!』

息抜き

気分転換

そうは言われても、何をしたらいいのか…

私にも何か趣味があればよかったのですが

趣味と聞いて何故か花陽のお米好きが思い浮かびました

花陽ならこんな時、お米を食べて気分転換するのでしょうか

それなら私はほむまんを食べないといけませんね

・・・・太るので止めておきましょう


そんな事を考えている時


海未母「海未さん」


母…我が師が話かけてきました


海未「は、はい!お母様!」

海未「お稽古ですね!い、いますぐ準備を!」

海未母「その必要はありません」

海未母「今日の稽古はお休みします」

海未「えっ…なぜですか?」

海未母「少し急用ができまして…」

海未「そうですか…」

海未母「夜も帰ってきませんので」

海未「は、はい…」

海未母「それでは」



早足で去る母の背中をただぼんやり眺めます

考えたら泣いてしまいそうでしたから

こんな時、思考というものは悪い方向へと向きがちで

こう思ってしまうのです

きっと母は失望したのだと

不甲斐ない私に

もうどうしていいのかわかりません


そんな時




『三大流星群の一つペルセウス座流星群が今夜、観測ピークです!』

『今夜、空を見上げてみてはいかがですか?』



海未「流星群ですか」

流星群の極大日のニュース

それは私の興味をひくには充分に意味のあるニュースでした

なぜなら

流星群には思い出があるからです

とても大切な思い出が

それは私の大切な幼なじみ…高坂穂乃果がくれた思い出でした

十年程前ですかね

それは私がまだ小さく、よく高坂家に預けられることが多かった時のこと



うみ「ほのか、流れ星って見たことありますか?」

ほのか「流れ星?」

ほのか「お願いが叶うやつだよね!」

ほのか「ほのかは見たこと無いよ?」

うみ「そうですか…私も無いんです」

ほのか「へぇ…」

うみ「一度でいいから、見てみたいです」

ほのか「そうなんだ…」

うみ「お願いしたい事があるんです」

ほのか「お願い?一体なあに?」

うみ「それは…」

うみ「ナイショ…です」

ほのか「えー?」

ほのか「ナイショかぁ…なら仕方ないかな?」

うみ「ごめんなさい」

ほのか「いいよ」

ほのか「ナイショじゃなくなったら教えてね?」

うみ「…はい」


この時、私がお願いしようとした事は

穂乃果の家の子になりたい…とか

確かそんな感じでした

今思えば、幼稚でどうしようもない願いだと思います

親友の穂乃果にすら言うことをはばかれるほど

でも当時の私からすると、とても切実な願いだったと思います

それは私の家庭環境を思えば、そんな願いをもつ事も仕方ないですよね…と

私の両親は小さい頃、私を放置しがちでした

仕方のない事です

母は日舞の家元

父は武道家

それはもう、二人共忙しくて

私が本格的に日舞や武道に打ち込むまではよく穂乃果の家に預けられました

母と穂乃果の母は幼なじみでしたから

だから穂乃果と私もずっと一緒で…

私の初めてはほとんど穂乃果と一緒でした

初めての銭湯も

初めての映画も

初めての遊園地も穂乃果と一緒

両親とではなく


それなら穂乃果の家の子になりたい

と、私は幼心に思っていたのです


言っておきますけど、今は違いますよ?

今ではもう、園田の家に生まれたことに誇りすら持っていますから

この時は確か…

穂乃果と行った遊園地に家族で行きたいとお父様に懇願し、無事却下された時でしたか

悲しみの末に私は、流れ星なんかにすがりたいと思ったのです




ほのか「そういえば、うみちゃん今日お泊まりでしょ?」

うみ「…」

うみ「はい…お父様とお母様が…」

うみ「ほのかの家に行くように言ってました…」

ほのか「そっか!」

ほのか「じゃあいっぱい遊べるね!」

うみ「はい」


その日も、私は穂乃果の家に預けられました

うみ「…」

ほのか「あれ?あんまり嬉しそうじゃない?」

うみ「そ、そんなことないですよ?」

うみ「ほのかと遊べるのはとっても嬉しいです!」

うみ「でも…」

ほのか「でも?」

うみ「はっ…」

うみ「…何でもないです」

ほのか「そっか」


穂乃果の家はとても楽しいです

穂乃果ママは明るくて楽しい人ですし

穂乃果パパは寡黙だけど、とても優しい人ですし

妹の雪穂はとても可愛いですし

でも

だからこそ、自分の家と比べてしまう

そして比べてしまう事で抱く、父母への罪悪感

色んな感情が幼い私の中、渦巻いていました




ほのか「はい、うみちゃん」

ほのか「ほむまんだよ!いくらでもあるからね」

うみ「美味しそうです…」キラキラ

ほのか「たんとおあがり」

ゆきほ「あい、どうぞ!」ヨチヨチ

うみ「ありがとう、ゆきほ」

ほのか「もー、ゆきほはあっち行っててよ!」

ゆきほ「やだ!」

うみ「いいじゃないですか…のけ者は可哀想ですよ、ほのか」

ゆきほ「可哀想ですよ!」

ほのか「むぅ…」



ほのか「あっ、そうだ!」

ほのか「ちょっとお父さんとお話ししてくるから待ってて」

うみ「?」

うみ「わ、わかりました」

ほのか「次、うみちゃんが旦那さんね!」

うみ「…」ウトウト

ほのか「あっ…」

うみ「…なんですか」ウトウト

ほのか「うみちゃん、ほのかのベッドで寝ていいよ」

うみ「ありがとうございますー…」

うみ「…」zzz



時間は8時

幼児が眠たくなるには遅すぎない時間です

私も例外ではなく、穂乃果のベッドでスヤスヤ眠っていました

気がつくと







うみ「んん…」




うみ「…」










うみ「!?」

うみ「ここは…!?」

ほのか「ふにゅっ…」zzz

うみ「ほのか!」



この時、私は正直怖くて仕方ありませんでした

だって、起きたら真っ暗闇の中にいたのですから

そうなったら…冷静な思考なんて出来るはずもなく



うみ「もしかして…」

うみ「私たち、さらわれて…」

うみ「ほのかー!起きて!」

ほのか「うふふ…」ムニャムニャ

うみ「ほのかー!」


ガサッ


うみ「ひいっ!」

うみ「な、なんですか!?」

うみ「誰かいるんですかぁ!?」ガタガタ

うみ「もしかして私をさらった犯人ですか!」


ほのか「う~」ムニャムニャ


うみ「ほのかに手出しはさせませんよ…!」

うみ「私が守ります!」


ガサガサガサッ


うみ「ううっ…」ガタガタ


ガサッ


うみ「うぅぅぅ!」ポロポロ


穂乃果父「…」ナデナデ

うみ「えっ…」

うみ「お、おじさん!」

ほのか「うみちゃーん…」zzz


穂乃果父「…」ポンポン

ほのか「んっ…あえ…」

ほのか「ついたの…?」

穂乃果父「…」コクッ

ほのか「そっかー、ほのか寝ちゃってた!」

うみ「えっ…えっ…」

うみ「どういうことですか…?」

うみ「説明して欲しいです…」

ほのか「うみちゃん!」

うみ「な、なんですか?」

ほのか「見上げてみて?」

うみ「えっ…何で…えっ…」

ほのか「いいから!」

ほのか「あっ!それかここに寝転んで!」

うみ「えっ…」

ほのか「ほーら!はやく!」ゴロン

うみ「うわ!」ドテッ

うみ「ううっ…」

うみ「…!」

うみ「わぁっ…」




その時の光景は一生忘れないでしょう


見渡す先は光の海




しばらく放心した後、やっと私は理解できました

これは星空

満点の星空


東京で見る星空とはまるで別の空

興奮と驚きが心を支配します

もう先ほどまでの恐怖や不安は消え去っていました


ほのか「うわぁ…すごい!」

ほのか「すごい!」


穂乃果もやはり興奮を抑えきれないようでした


あれは天の川って言うのですよ

あっ、あれが夏の大三角ですか


持ってる限りの天文の知識を引っ張り

精一杯、星空を理解しようとする


それでも、この光の海は大きすぎて


ブルブル


時より、この大きさに吸い込まれそうで怖くなる

そんな時は

隣の穂乃果の手を握ります

すぐに穂乃果は手を握り返してきます

すると何故だか、ぎゅっと安心するんです

ふふっ、これって何故なんでしょうね


ほのか「うみちゃん、綺麗だね」

うみ「はい…!」


そこで私は尋ねる


うみ「でも、なんで私をここに連れて来てくれたんですか?」

ほのか「それはね…ほら見て」

うみ「?」


その時

光の海に





うみ「…!」



すーっと何かが泳いでいきました


ほのか「うみちゃん!流れ星だよ!」



穂乃果の言葉を聞いて、ようやく思考機能を取り戻す


あれが…流れ星

私の思いを託そうと、ずっと憧れていた流れ星


お願い事をするのを忘れていました…と気づいたところでまた


すーっと


ほのか「また流れ星だ!うみちゃん!お願い事!お願い事!」

うみ「あっ…!」

すーっと


次々に流れる星


まるで雨のよう


そして肝心のお願い事はというと


ほのか「ケーキが食べたいケーキが食べたいケーキが食べたい!」


素直な欲望をぶつける穂乃果を見ると

お願い事なんて何も思い浮かばなくて


うみ「ふふっ!」


何だか可笑しくなってしまいました


ほのか「何笑ってるのー?」

ほのか「ほら、うみちゃんもお願い事しないと!」

うみ「は、はい」


ほのか「ショートケーキロールケーキチーズケーキ!」

本当に穂乃果は欲張りなんですから


私のお願い事は…


刹那


うみ「ほのかとずっと一緒にいられますように」


なんの躊躇いもなく出てきた言葉

言ったあと体温が急上昇したのを覚えています


ほのか「うみちゃん…」

うみ「ほ、ほのか…」

ほのか「うん!ほのかもうみちゃんとずっと一緒にいたい!」

ほのか「流れ星さぁぁぁぁぁん!」

ほのか「お願い!ほのかもうみちゃんとずっと一緒にいたいでぇぇぇす!」

うみ「ほのか…」


ありがとう穂乃果

ずっと一緒ですよ



また、気づくと車のなかにいました

きっと観測中に寝てしまったのでしょう


ほのか「くー…くー…」zzz


しばらく後で聞いた話なのですが、実は穂乃果は最初、流星群の事なんて全然知らなくて

穂乃果パパに泣きついて、流星群の事を知ったようです

私に流れ星を見せるために


私も当時は流星群なんて知らなくて、穂乃果が魔法を使った!…なんて考えてました


ところでその後もとても良い事があったのです


明け方、穂乃果の家に戻ると

父が迎えに来ていて

私を見た途端、いきなり私を抱きしめて

そして

次の週末に家族で遊園地へ行くことを約束してくれたのです

聞くところによると

父は遊園地へ行きたいという懇願を退けた時の私の顔が忘れられなかったらしく

週末の予定を全て破棄し、私と約束してくれたそうな

私はこれからの人生も、あの星の降る夜の事を忘れることはないでしょう

あの夜は奇跡だったと思うから

だってそうでしょ?

私が穂乃果に流れ星を見たいと言って、穂乃果が穂乃果パパに泣きついて…

その日の夜がちょうど流星群の日だったなんて

しかも、その日の空の状態も良かったらしいです



海未「ふぅ…」


そんなわけで

私の流星群にまつわる、大切な思い出はこんなところです



今日はもう寝ちゃいましょうか

思い出のおかけで、だいぶ精神的にも落ち着きました

ふふっ、これも一つの奇跡ですね

起きると


ググググ


…っ!

身体を何かが締める感触

そんなに強くは無いようですが…

何も見えない

何かで塞がれて…


海未「んん~!」


バタバタ


縛られてる…

まさか、強盗…!?


海未「んん~っ」


お父様やお母様は無事でしょうか…

すぐに助けに行かないと…


この位の縄なら…!

海未「ぐぅううっ!」


ブチブチブチ


「わわっ!海未ちゃん!?」


少女の声

よく知っている声

その声を聞いて何となく安心してしまう


ガシッ


「海未ちゃん!大人しくしててね!もうちょっとだから!」


その少女…穂乃果が私を押さえつける


海未「ちょっと!穂乃果!」

海未「どういうことですか!?」

海未「離してください!目隠しもとって!」

穂乃果「だめ!」

穂乃果「あともうちょっとだから!」

海未「はぁ!?」

真姫「やっぱり無理矢理すぎるんじゃない…?」

絵里「そ、そうよ…まるで誘拐じゃない…」

穂乃果「大丈夫だよ」

穂乃果「海未ちゃんのママにはちゃんと言ってるし」

海未「その声は真姫に絵里!?」

海未「あなた達もいるんですか!?」

凛「凛もいるにゃー!」

海未「凛まで!?」

ことり「っていうか全員いるよ…?あはは…」

海未「全員?」

海未「ここは何処なんです?教えてください…」

穂乃果「だからもう少しだから!」

穂乃果「お願い!大人しくしてて!」

海未「むぅ…わかりましたよ」



穂乃果「もう、少しだからね」


いったい何なのですか…

私を縛ってまで何を

それにしても揺れますね…

車の中ですか




海未「また、良からぬ事を企んでいるのではないでしょうね?」

穂乃果「よ、良からぬ事だなんて…」



そんな事を言いながらも、実は心の中ではワクワクしています

穂乃果「ついたー!」


ガララッ


海未「着いたんですか?では早くこれをとってください」

穂乃果「まあまあ」ガシッ

海未「ひゃっ!」


突然抱きかかえられる


穂乃果「う、海未ちゃん…意外と重い…」

海未「!?」

海未「失礼な!もう離してください!」バタバタ

穂乃果「うわぁ!暴れないで!」


ドスッ


海未「うっ…いたた…」

穂乃果「あーもー、暴れるから…」

海未「穂乃果が悪いんですよ!重いなんていうから…」


落ちた衝撃で、私の目を覆っていた物が解け落ちる

はらり



海未「わぁ…!」


思わず間抜けな声がでる

でも、これは仕方ない  

だって私の目に不意に写り込んだものは


光の海

いつか見たのと同じ星空

凛「あーあ、あっちに寝転ぶ所準備してあるのに」

花陽「まあ、ここでも結構綺麗に見えるよね」

にこ「でもせっかく準備したんだから、移動しましょうよ」



皆に連れられて、移動する



海未「穂乃果!ここって…」

穂乃果「うん…」

穂乃果「小さいとき、海未ちゃんと流星群を見に来たところだよ」

海未「やっぱり…」

穂乃果「ほら、ついたよ」 

穂乃果「そこに、横になって?」

9人で敷いてあったシートに寝転ぶ


凛「うっわぁー!すっごいにゃー!」

希「星が綺麗に見えるなぁ…」

にこ「本当…こんな星空初めて…」




普段は見ることのない星の輝きに皆感動してるようです

かくいう私も久しぶりの光景に圧倒されてしまい言葉がでません



真姫「あれがベネブ、アルタイル、ベガ」

真姫「夏の大三角形ね」

花陽「へぇー、詳しんだね」

真姫「天体観測は大好きなの!」

絵里「そうなの?それじゃあ他の星座を教えて欲しいわ」

真姫「任せなさい!あれがね…」

しばらくの沈黙のあと

凛がぽつりと一言


凛「流星群…見えないね」



流星群…

そうですか

やっぱり、それが目的でしたか


穂乃果「まだまだ、始めたばっかりだよ!」

穂乃果「きっとたくさん見れるはず…」


すると


にこ「あーっ!」


ニコが突然大声を出す


絵里「な、何なの!?どうしたの?」

にこ「今、流れたよね!?」

真姫「えー?見えた?」

花陽「見えなかったよ?」

希「ウチも見えんかったよ」

絵里「見間違いじゃないの?」

にこ「ええっー!?」

にこ「言われて見れば…そうなのかなぁ…?」

にこ「見えたと思ったんだけどなぁ」

ことり「実はことりもそれっぽいのをたくさん見てるんだけど…やっぱり違ったみたい」


ずっと流れ星を探して空を眺めていると

見間違いとかもよくあります

でも 


海未「でも、違うって分かって良かったですね」

海未「もし一人なら不確かなものを本物だと信じてモヤモヤするかもしれません」

そう

一人じゃダメなんです

星を見ることでさえ

一緒じゃなきゃダメなんです




しばらくして


ブルブル


来た…この感じ

星空に吸い込まれそうになる感じ

宙の大きさ

自分の小ささ

それを考えると怖くなって…

何とも言えない感覚

でも私はもう、こんな時どうすればいいのか分かってるんです

簡単な事です


ぎゅーっ


手を握ればいいのです


穂乃果「海未ちゃん」

海未「ごめんなさい、手を握りたくなっちゃって」

穂乃果「ううん、穂乃果も握りたかったから」

穂乃果「皆の手も握ってあげようね」

海未「はい!」


隣にいる真姫の手をぎゅっと握る



真姫「ひゃっ!う、海未ちゃん!」

真姫「どうしたのよ、いきなり手を…」

海未「怖くならないためのおまじないです」

海未「こうしていると何にだって負けない気がするんです」

海未「自分より遥かに大きい宙にだって」

海未「真姫も隣のニコの手を握ってあげてくださいね」

手を繋いで一つになる私達

静かに星が降ってくるのを待ちます



そして

ようやく


しゅんと

控えめに流れる星


私達全員、暗くてよくわからないにも関わらず顔を見合わせる

多分皆、満面の笑みでしょうね

そして

皆、同じ事を願うのでしょう


これからも、ずっと手を繋いでいられますようにって

園田家



海未母「海未さん、稽古を始めましょうか」





人間、上手く行かない時はとことん上手く行かないと聞きます。

何かに失敗して気持ちが落ち込んで

その落ち込んだ気持ちが更に、次の結果に悪い影響を与える…

それってきっと自分の知らない大きな不安に直面して、本当の自分を出せないからだと思うんです

もしそんな時

あの星の降る夜のように

手を握ってくれる人がいたら

絶対に不安なんかに負けないって

本当の自分を出せるんだって

そう思うんです!



きゅっ


よしっ!


海未「はい、お母様!」

海未「よろしくお願いします!」


おわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月27日 (水) 16:08:43   ID: _L5102CO

よかった!

2 :  SS好きの774さん   2014年08月27日 (水) 19:31:07   ID: D7gYr5Nj

よい!

3 :  SS好きの774さん   2014年08月27日 (水) 19:44:40   ID: 6fe4r1FF

ラブライブはレズ無しでもやっていける(確信)

4 :  SS好きの774さん   2014年08月28日 (木) 19:00:38   ID: n9HZ05fP

↑それな!

5 :  SS好きの774さん   2014年08月29日 (金) 07:58:49   ID: izsJ5-9o

久しぶりにまともなSS

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