矢澤にこ「にっこにっこにー」 (73)
にこ「みんなー今日もありがとうー。にこはみんなが来てくれて嬉しいにこ」
まき「にこちゃん、本当にアイドルやってるのね」
横浜のとある会場でにこちゃんは大きなライブを成功させた。
それに比べてわたしはなにをやってるんだろう。
大学をサボり、ママやパパに迷惑をかけて馬鹿みたいに惰眠を貪るだけ。
なにがきっかけ思いだせない。
わたしは一体いつから、
>>2「まきちゃん?」
初めてですが、頑張ります
矢澤さんは22歳
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穂乃果
「まきちゃん?」
わたしは聞き覚えのある声が聞こえた方を向いた。
そこにいたのは、太陽みたいにキラキラした笑顔でわたしを見ているほのかがいた。
懐かしい。
「久しぶりね、ほのか」
ほのか「ほんっとに久しぶりだよ‼︎ まきちゃん、最近電話してもでてくれないし」
「忙しいのよ。わたしは医者になるんだから」
わたしは嘘をついた。
ほのか「やっぱりお医者さんになるんだね。かっこいい‼︎ 病気になったら見てね」
「病気にならないようにしなさいよ
」
ほのか「ならないとまきちゃんに会えないでしょ?」
「普通に会いに来たらいいじゃない。会う為に病気なんて馬鹿みたい」
「なら、明日出かけようよ。>>6ちゃんと遊びに行くから」
>>7 行く? 行かない?
絵里
行く
ほのか「なら、明日出かけようよ。えりちゃんと遊びに行くから」
「いや、明日はちょっと」
ほのか「やっぱり病気にならないと駄目かな?」
ほのかは泣き真似をしながら、私をチラチラと確認する。
「行くわよ、行けばいいんでしょ」
「やった。まきちゃんと出かけるの久しぶりだよ」
「そうね。で、明日はどこに行くの?」
ほのか「>>10だよ。久しぶりにね」
真姫ちゃんの一人称をわたし→私に変更します。
秋葉原
ほのか「秋葉原だよ。久しぶりにね」
「わかったわ。なら、また明日ね」
ほのか「ちゃんと来てね」
ほのかは少し心配そうに私を見た。
「ちゃんと行くわよ。安心しなさい」
ほのか「うん‼︎ 明日ねー」
@
本当に久しぶり。
私が高校生の頃は、スクールアイドルだった頃はよく皆で遊んだ。
でも、私達が高校を卒業してから皆と遊ぶ時間が減っていった。
友達が居なくなる、そんな風に感じていた。でも、私は自分から誘えない。恥ずかしいから。
そして、私は勉強に追われるようになり電話に出れなくなった。
今は勉強に追われてないけど、電話に出れない。
このまま一人だと思った。
ほのかが遊びに行こうと言ってくれた時、嬉しかった。
すぐに行くわって言いたかった。でも、恥ずかしいから否定した。
今日は久しぶりに眠れない。
明日が楽しみだから。
えり「まき久しぶりね。ちょっとふっくらした?」
久しぶりに見たえりは綺麗になっていた。
昔から綺麗だったけど、今は本当に女優みたい。
「してないとは言えないわ。ただ、久しぶりに会ったのに第一声がそれってどうなの?」
えり「ふふっ。ごめんなさい」
ほのか「二の腕がプニプニ」
ほのかが私の二の腕を突ついてくる。
「やめなさいよ。それに二の腕ならほのか方が」
ほのか「嫌ぁー‼︎ 言わないで」
えり「確かにプニプニね」
ほのか「二人とも酷いよー」
ただの会話。それなのに
「あはは」
笑ってしまう。
@
ほのか「さぁ、>>13に行くよ」
1.スクールアイドルショップ
2.ミナリンスキー
3.UTX
2
ほのか「さぁ、ことりちゃんにご奉仕してもらいに行くよ」
「どういうこと?」
えり「聞いてないの? 今日はことりが働いてるお店でライブがあってそれを見に行くのよ」
「別にいいけど。ことりはまた、メイド喫茶なの?」
ほのか「うん。昔働いてたお店だよ。ほのか達も一日だけ働いたお店」
「ああ、あそこね。ことりが私とにこちゃんに恋人専用のやつを出した」
ほのか「そうそう。あの時のまきちゃんは凄い勢いでつき返してたね」
「誰だってああするわよ」
本当は凄く食べたかったわ。
でも、あそこでは無理だった。素直になれなかったから。
えり「確かにあれはね」
ほのか「えぇー⁈ 楽しくてかわいいよ。二人とも変だよ」
「ほのかが変なのよ」
@
ことり「おかえりなさいませ、お嬢様方」
ほのか「おかえりなさいました」
「なにいってるのよ」
ほのか「反射的にね」
ことり「まきちゃん、本当に来てくれたんだ。楽しんでいってねっ」
「ここに来るっていうのはさっきしったんだけどね」
ことりの優しい口調、笑顔。あの頃から何も変わってない。
えり「ことり、アイドルみたいね」
ステージでお客さん達の声援に答えることりはまさしくアイドルだった。
ほのか「私達も数年前はアイドルだったね」
えり「未だに夢みたいよ。あのトップアイドルのアライズと競っていたなんて」
「ほんと、懐かしいわね。あの頃に」
戻りたい、けれどこの言葉は言えない。
えり「・・・」
ほのか「ことりちゃーん‼︎ 宇宙一かわいいよ」
ことり「ほのかちゃんもかわいいよ。次の曲いくよぉ」
えり「まき・・・」
「なに?」
えり「いいえ、なんでもないわ。さぁ、ことりに声援を送りましょ」
ほのか「今日は楽しかったー」
えり「ええ、楽しい時間は早く過ぎるわね」
「いい息抜きになったわ。誘ってくれてありがとう」
ほのか「⁈ まきちゃんが素直になってる。 もしかして、風邪?」
「違うわよ。馬鹿じゃないの」
ほのか「冗談だよ、冗談。そんなに睨まないでよー」
ほのか「また、誘うよ。いいよね?」
「病気になられるよりまっしだからいいわよ」
ほのか「素直じゃないんだからー」
「うるさいわね」
ほのか「照れてるの?」
えり「ほのか、からかうのは終わりよ。そろそろ帰りましょうか」
ほのか「そうだねー」
@
ほのか「ほのかこっちだから、またねー」
えり「また、連絡して」
「またね」
ほのか「バイバーイ」
えり「まき、大学どう? 大変?」
「別に普通よ。それに私は期待されてるから大変なんて言ってられないわ」
半年以上登校してないし、ママとパパはきっと私には期待してない。
えり「そう、頑張ってるのね。ただ、もっと皆と連絡を取りなさい」
「どうして?」
えり「一人だとどこかで折れてしまうわよ。逃げ道を作ることは大切よ」
「考えとくわ」
えり「私にもいつでも連絡して大丈夫よ。待ってるから。それじゃあ、またね」
「ええ、また」
えりを見送り、私も帰路についた。
にこちゃん?
どうして?
今まで、かけてきた事なんてなかったのに。
【連絡を取りなさい】か。
「・・・もしもし」
にこ「久しぶりね。誰だかわかる?」
「わかるわよ。番号も変わってないのに。何のよう?」
にこ「特に用はないけど、この前のライブは来てくれてありがとう。元気は貰えたにこ?」
にこちゃんは笑いながら聞いてくる。
元気は出た。でも、私の惨めさも痛感したわ。
「まぁまぁね」
にこちゃんに素直に言うのはいつまでたっても恥ずかしい。
にこ「まぁまぁねー。なら、来週UTX学園に来なさい。絶対よ」
「急に言われても無理よ。忙しいの」
にこ「駄目よ。来週の土曜日に来なさい。迎えは出すから、昼の2時に秋葉原のボークス前に居なさい。じゃあね」
「待ちな、切れた」
何なの一体、本当にいつも勝手なんだから。
行きたくはないのよ。ただ、えりが逃げ道を作るのも大切といったから。
だから、見に行くだけよ。
私が行きたい訳じゃない。
はなよ「久しぶりだね。まきちゃん」
「どうしてはなよなの?」
はなよは何だか大人っぽくなっていた。
高校の頃とは別人みたいね。
はなよ「理由はあとで話すね。にこちゃんが待ってるから、行こう」
「まぁいいわ」
はなよ「まきちゃんは最近は勉強ばっかり?」
「そうね。少し勉強に追われてる感じかしら。はなよは?」
はなよ「私は夢を叶える為に努力してるよ。まきちゃんと一緒だね」
「夢ってアイドルになること?」
はなよ「うん。その為に色々してるよ」
はなよは誇らしげに笑う。
私は夢の為に努力なんてしてない。
そもそも、私の夢はなに?
医者になることは夢なの?
わからない。
パパとママに言われた通りに高校も大学も選んだ。
でも、それは私が夢を追う為に努力したことじゃない。
はなよの努力とは違うわ。
それに今の私はその言われたことすら放棄してる。
にこ「久しぶり。まぁ、先週電話はしたわね」
UTX学園のとある部屋に居たのは私が横浜で見た矢澤にこではなく。
高校の頃を思い出させるにこちゃんだった。
変わってない。
「久しぶり。突然呼び出したんだから、理由は聞かせてもらうわよ」
はなよ「まきちゃん、そうしたいのは山々なんだけどにこちゃんはもうステージに行かないと」
にこ「はなよ、後は頼んだわ」
「本当に言いたいことは色々あるけど、今は我慢してあげる」
@
矢澤にこ「にっこにっこにー。皆さん初めまして、にこのこと知ってるにこ?」
生徒「知ってるよー‼︎ にっこにっこにー」
矢澤にこ「ありがとうー。じゃあライブ始めるにこ」
はなよ「すごいよね。にこちゃんは今、本物のアイドル。私はにこちゃんに追いつきたいし、追い越したいの」
「はなよは今、アイドルなの?」
はなよ「うん。駆け出しだけどね」
「それは夢がかなってるんじゃないの?」
はなよ「確かにアイドルはアイドルだけど、私の夢は私が憧れたアイドルになること」
「辛くないの?」
はなよ「辛いよ。それにしんどい。諦めそうになることもある。けど、私はアイドルが大好きだから頑張れる」
「・・・そう」
頑張る。私はそれが今、出来ない。
@
ライブが終わり、にこちゃんの講演が始まった。
矢澤にこ「皆さんはアイドルになりたいですか? その為にこの学園に入りましたか?」
生徒「はい、より良い環境を求めました」
矢澤にこ「素晴らしい選択だと思います。この学園以上に施設が揃っている学校はないでしょう」
矢澤にこ「しかし、それだけではアイドルにはなれません。何故だかわかりますか?」
生徒「コネとかですか?」
矢澤にこ「そういうものも必要かも知れないですが、それではありません」
矢澤にこ「あなたはアイドルが好きですか? それともチヤホヤされたいですか?」
生徒「アイドルが大好きです」
矢澤にこ「なら、きっとアイドルになれます。アイドルにとって一番大切なことはアイドルが好きなことです。私はアイドルが好きだから、今まで頑張れましたしこれからも頑張れます。この学園にはアイドルも目指さないで、他のことを夢に持つ人もいるでしょう。それは一番好きなことですか? 叶えたい夢ですか? それが一番なら、挫けずに努力を続けて下さい。私はあなたを応援します」
矢澤にこ「辛くなったら、仲間に相談することです。きっと力になってくれます。それが仲間です。たとえ、何年経っていようが、助けてくれます」
矢澤にこ「さて、真面目な話は終わりにこ。 何か聞きたい事がある人はいるにこ?」
「はなよ、私帰る」
はなよ「どうしたの?」
「ちょっと体調が」
はなよ「まきちゃん⁈」
私はその場から逃げ出した。
待ちわせの場所はボークス前は間違いです。正しくは、駅前です。すいません
のぞみ。
私たちを巡り合わせた人。
のぞみならなにか、言ってくれそうね。
でも、電話は久しぶりだから、気まずい。
メールで送ろう。
【久しぶり。まきです。
ちょっと話したいことがあるから、時間を取って貰える?
いつでも大丈夫だから、連絡ください。】
【久しぶりやね。ええよー。なら、今週の水曜日は?】
【大丈夫よ。じゃあ○○に1時でいい?】
【ええよ。なら、また水曜日ね】
@
のぞみ「久しぶりやね。元気?」
「元気とは言えないわ」
のぞみ「まきちゃんがうちに連絡するぐらいやし、かなりしんどいん?」
「まぁ・・・ね。とりあえず、そこのお店に入りましょ」
私は目についた喫茶店を指差した。
店に入り、のぞみの話しを聞いていた。神仏系の大学で色々学んでいるらしい。
その事を話すのぞみは楽しそうだった。
のぞみ「で、どないしたん?」
大きな瞳で私を捉えて、離さない。
「・・・私、大学に行ってないの」
「なんだか、しんどいのよ」
「別に勉強が辛いわけじゃない。ただ、何をやってるんだろうって」
「勉強に明け暮れて、皆と会えなくて、何だがわからなくなった」
「そして、私は部屋からほとんど出なくった」
のぞみ「最近も部屋におるん?」
「前ににこちゃんのライブを見に行ったの」
「その時にほのかに会ってからは少し外へ出るようになったわ」
のぞみ「まきちゃん、何で急ににこっちのライブに行ったん? 今までは行かんかったやん」
「それは、」
そういえば、どうして?
のぞみ「まきちゃん、何処かで思ってたんやな」
「・・・何を?」
のぞみ「誰かに会えるかもって」
「・・・」
のぞみ「もっと気楽になったほうがええよ」
「でも、私がこんな事になってるなんて言いたくないの。皆から駄目な人なんて思われたくない」
のぞみ「まきちゃん、うちは、私はそんな事でまきちゃんを駄目な子なんて思わないよ。だって大切な友達。それは皆も同じ。相談してくるのを待ってるよ」
のぞみ「さて、今日はそろそろ行こか。まきちゃん、また皆で遊びに行こな」
「ええ。今日はありがとう」
のぞみ「ええよ。うちに色々話してくれてありがとう」
のぞみは私の頭を優しく撫でた。
「なにするの?」
のぞみ「ふふっ、なんとなくやん。じゃあね」
「ええ、またね」
次に会うメンバー>>34
残りの二人でお願いします。
凛
期待をしてたの?
私は誰かに会う為に。
のぞみはこんな私でも友達といってくれた。
私は何処かで信じ切れていなかったかもしれない。
でも、私だって他の誰がどんな事になっていても友達ね。
少し元気が出た。
りん「まきちゃん?」
「え?」
りん「やっぱりまきちゃんにゃー」
少し髪の伸びたりんが、私に飛びついて来た。
「りん、こんな所でなにを?」
ここは家の近くのはず。
りん「それはこっちのセリフ。ここはりんの家の近くだよ」
私は周りを見渡す。
確かにここは私の家の近くではないわね。ぼーっとし過ぎていたのかしら。
「ちょっと考え事をしてたら、ここにいたわ」
りん「ふふ、りんは知ってるよ。そんな事言いながらりんに会いに来たのを」
りんはうんうんと首をふる。
あながち間違いでもないのかしらね。
のぞみの言うことが正しいのなら。
「かもしれないわね」
りん「やっぱり。じゃあ家においでよ」
「おじゃましようかな。少しだけ」
りん「そうと決まれば、行っくにゃー‼︎」
りん「まきちゃん、今までなにをしてたか洗いざらい話してもらうにゃー」
いつもの語尾、だけどりんの表情は普段とは違い少し怒っているようにも見える。
「別になにも」
私はまた、言えない。
「嘘。だって前までなら、電話には出てたよ。【ちょうど暇だったのよ】なんて言いながら嬉しそうに出てた」
私は学習してない。のぞみが言ってたじゃない相談してくれるのを待ってるよって。
「立ち止まってるのよ」
「目指していたことがどうでもよくなってる」
りん「それは、お医者さんになること?」
「ええ。医者になることはパ・・・両親が望むものだから、頑張れなくなった。前に進まなくちゃいけないのに」
りん「そっかぁ。でも、りんは無理やり前に進む必要なんてないと思う」
「どうして? 惨めよ」
りん「全然だよ。私達はまだ二十歳なんだから、寄り道しようよ」
「でもにこちゃんやはなよ、他の皆も前に進んでるわ」
りん「確かに、かよちんは頑張ってる。でも、どうしてまきちゃんも同じように頑張らなくちゃいけないの?」
「それは、」
恥ずかしいわよ。自分だけが何の目標もないなんて。
りん「自分だけが、頑張らないのは恥ずかしい? もし、そんな事なら頑張らないほうがいいよ。無理やり頑張った結果、道を進めなくなったのはまきちゃんなんでしょ? 」
「・・・」
りん「とりあえず、寄り道しようよ。そこからちょっとずつ進めばいい。他の道が見つかるかもしれないよ」
「そういう考えもあるかもしれないわね」
りん「わかってくれた? なら、まずは二人でラーメンを作りにゃー」
「なんでいきなりそうなるのよ」
りん「それはりんが食べたいからー。さぁ下で作ろう」
「はいはい」
楽しかったわ。
今日は高校生に戻ったみたいだった。
友達と遊んで笑って話して、本当に楽しかった。
♪~♪~♪♪
誰かしら?
うみ?
初めてかもしれないわね。携帯の表示欄にうみの名前が映し出されるのは。
「もしもし」
うみ「久しぶりです。うみです。今、電話大丈夫ですか?」
「ええ、問題ないわ。どうしたの?」
「少し相談にのってもらいたいことがあるのですが、3日後に会えますか?」
「別に大丈夫よ」
私に相談?
ほのか達がいるうみが私に?
なにかほのか達には言えないことかしら。
「言っとくけど、恋愛相談なら無理よ」
うみ「な、な、な、何を言っているのです⁉︎ そんか破廉恥な事ではありません‼︎」
「なら大丈夫よ」
うみ「からかうのはやめて下さい。では、○○喫茶に昼の2時に集合でよろしいですか?」
「わかったわ。じゃあまたね」
うみ「はい、また」
うみ「遅れてすいません」
私はうみが指定した喫茶店に一時間前から待っていた。
楽しみもあるが久しぶりに会うことへの緊張感もあった。
だから、私は早めに来て自分を落ち着かせていた。
「まだ、時間より早いわよ。私が早かっただけ」
うみ「ありがとうございます」
「別にいいわよ。それより何か頼みましょ」
うみ「そうですね」
@
たわいのない話をした。
スクールアイドルだったころの思い出話。
皆の話。
ほのかが最近起こした珍行動とかね。
そんな話。
「うみと二人でこんなに話したのは、初めてかもしれないわね」
うみ「ふふ、そうですね。二回目の合宿よりも話しました」
「そうね」
会話が途切れる。
私は、
「それで、相談ていうのは?」
聞いた。
うみ「まきは両親の後を継ぐのですよね? 私も両親の後を継ぎます。ただ、それが重荷に感じるのです」
「しんどいの?」
うみ「いえ、稽古は楽しいです。ただ、それは昔から頑張っていたからであって私のやりたいことではないような気がして」
うみ「まきはこんな考えになったことはありませんか?」
うみも両親の後を継ぐことが決まっている。だから、私と同じように道がわからなくなっている。
「私は」
@
今の私の状況を包み隠さずうみに話した。
うみは何も言わずに聞いてくれた。
うみ「やはりまきも迷っているのですね」
「私は迷ってない、止まってるわ。うみとは少し違う」
うみ「いえ、同じですよ。私もこのまま進んで行けばどこかで止まっていたはずです」
「やりたいことはあるの?」
うみ「・・・ありますね」
「何がしたいの?」
うみ「あの頃の皆でアイドルをしたいのです」
うみは恥ずかしそうに、目線を私から逸らした。
「・・・」
私もそのことは心のどこかにあった。
でも、別々の道を歩んでいる皆を巻き込みたくない。
「私もやりたいわね。きっとどこかで思っていたわ」
【寄り道をしたらいい】
「うみ、私と人生の寄り道をしない?」
うみ「それはアイドルをしようということですか?」
「そうよ。ただ、アイドルになれなくてもいい。ゆっくり道を、夢を決めればいい」
うみ「ふふ、なんだか歌詞みたいですよ。今度の曲はまきが作詞もしますか?」
「なにいってん・・・次ってことはやるの?」
うみ「はい」
「時間を取らせて悪いわね」
ことり「今日は早上がりだから大丈夫」
「ありがと。いきなりなんだけど、衣装を作ってほしいの。もちろん、お金は出す。生地代なんかも全部こっちで持つわ」
ことり「大丈夫だけど、何の衣装?」
「・・・アイドル」
ことり「え? 何かな?」
「アイドルの衣装よ‼︎ 私、うみとアイドルをすることにしたの」
ことりは驚いたりしなかった。むしろ、何かを察しているようね。
ことり「何人分?」
「2人よ」
ことり「何人分?」
「だから、2人よ」
ことり「ほんとにそれでいいの?」
ことりは笑う。
「・・・9人っていったらどうするのよ?」
ことり「喜んで作るよ。みんなの新しい衣装」
「じゃあ、9人分でいいわ。余っても知らないわよ」
ことり「3着分は大丈夫だよ」
「ばっかみたい・・・ありがと」
ことり「まきちゃんも素直になったね」
「うるさいわよ。じゃあまた、連絡するわ」
私は>>46にメールをし、明日会う約束をした。
絵里
えり「相談?」
えりの家のリビングで私とえりは向き合って座っている。
「違う、我儘よ。私の我儘きいてくれる?」
えり「何かしら? なんでも聴いてあげるわよ」
「私、逃げ出したわ。あの時は言えなかったけどね」
えり「・・・」
「でも、今はやりたいことがあるの」
えり「そう。何をしたいの?」
「アイドルよ。皆であの時のメンバーでもう一度、だから」
えり「ふふふ、ありがとう」
えりは笑いながら私の頭を撫でた。
「なにするのよ」
すこし、泣きそうになった。
えり「断ると思うの?」
「だって今更よ」
えり「待ってるって言ったじゃない。もっと甘えてもいいわよ」
「十分よ。ありがと」
のぞみ「うちにも甘えてええよ」
いい香りと共に私の頭は柔らかいものに覆われた。
「居たのね」
のぞみ「今日はここに居るべきってカードが告げたんや」
「今日だけはカードに感謝するわ」
「二人共ほんとにありがと」
その日の夜、>>48から電話がかかってきた。
にこ
「何かよう?」
にこ「元気になったかと思って」
「もともと元気よ」
にこ「あの顔が元気と思うなら病院を進めるわ」
そんなに酷かったの?
自分ではわからないものね。
にこ「でも、声を聞いたら安心したわ」
「・・・何も聞かないの?」
にこ「私を誰だと思ってるの? あんたの事なんか聞かなくてもわかるわよ」
「なにそれ。気持ち悪い」
にこ「気持ち悪くないわよ。友達なら当然」
にこ「元気も出てたみたいだし、また今度ね」
「待って」
にこ「なによ?」
「私、アイドルをやってみるわ」
にこ「一人でやるの?」
「うみやえり達とよ」
にこ「ならにこにーも必要にこ。宇宙No.1アイドルのにこにーがいないなんて間違ってるにこ」
「でも、にこちゃんはもうトップアイドルじゃない」
にこ「なにいってんのよ。私はμ'sの矢澤にこ。それはいつまでも変わらない」
にこ「μ'sがあったから今の私がいる。それに、友達が進もうとしてるなら、一緒に行く」
にこ「でも、本当にアイドルでいいの? 医者は?」
「まだ、わからない。でも今はアイドルをやりたいの。にこちゃんから見れば動機は不純ね。それに、すぐに辞めるかもしれないし」
にこ「いいんじゃない? 不安な時は周りに迷惑かけなさい。で、誰かが今のあんたみたいな状態になったら助ければいい」
「にこちゃん、年上みたいよ」
にこ「年上よ‼︎ 」
「そうだったかしら?」
にこ「怒るわよ」
「冗談じゃない」
にこ「冗談に聞こえないわよ」
にこ「そろそろ切るわ。明日も早いから。また、連絡しなさいよ」
「うん、ありがと」
次に会う人>>50
りんぱなコンビかほのか
ほのか
ママ「ほのかちゃんが来てるわよ」
「え?」
家に帰ってきたら、いきなりママがそう言った。
ママ「部屋に案内しといたわ」
「ありがとう」
一体どうしたの?
連絡もなく家に来るなんて。
「ほのか?」
ほのか「まきちゃん‼︎ どうして言ってくれなかったの?」
「何がよ」
ほのか「まきちゃんがアイドルをすることだよ」
「うみに聞いたの?」
ほのか「そうだよ。いきなりすぎだよ。ダイエットしなくちゃいけないじゃん」
「どうしてほのかがダイエットするのよ」
答えはわかってる。ただ、聞いてみただけ。
ほのか「ほのかもやるからだよ」
思っていた答え。
「どうしてやるの?」
ほのか「?? どうしてってやりたいからだよ。皆でまた集まるんでしょ? そんなのズルい。ほのかやりたい」
「まだ、皆が集まるとは決まってないわよ。りんとはなよにはまだ話してないし」
ほのか「断るわけない。だってまた出来るんだから」
「そうかもね」
ほのかの言葉に根拠はない。
ただ、そう思える。
ほのかの言葉はいつもそうだった。
@
りん「りんもやるよ。久しぶりにダンスしたいにゃー」
はなよ「私も」
「ありがと」
「結局、皆が協力してくれた」
りん「当然だよ。だってμ'sは全員がいないと」
はなよ「皆どこかで思ってたと思うよ。あの時の続きがしたいって」
「私は逃げてるだけよ」
りん「前にも言ったけどそれは悪くない。まきちゃんは考えすぎ。もっと力を抜こうよ」
「・・・そうよね。そうするわ」
りん「それでいいんだにゃー」
話すべきよね。
私はアイドルをやる。
いつまで続くかわからない。
「パパ、ママ話があるの」
ママ「どうしたの?」
「私、アイドルをもう一度やりたいの。いえ、やるの」
ママ「私たちはプレッシャーだった?」
ママは少し悲しそうに笑う。
「ううん。ただ、私のやりたい事が医者になることかは分からなかった。だから、今はアイドルを皆と頑張りたいの。アイドルは心からやりたいと思えるから」
ママ「そう。私は反対しないわ。だって今のあなたはすごくたのしそうだもの」
パパ「やりたい事を出来るのは限られた人間だけだ。そんな事もわからないのか?」
「わかってる。でも、今アイドルをやらないと私は進めない。アイドルを続けるか、医者になるのかは後で決める」
パパ「お金はどうする? 今までは私が出していた。それは私の後を継ぐ大事な娘だからだ。だがな、アイドルになる娘には何もする気は起きない」
当たり前よね。
パパの言うことは当然。
パパ「一年だ。その間は援助する。だが、勘違いはするな。私は賛成したり応援したりはしない」
ママ「ふふ」
パパ「何がおかしい?」
ママ「なんでありませんよ」
「パパ、ママありがとう。私、頑張る」
一年間、飛ぶ? 飛ばない?
>>56
飛ばない
初日
「皆、ほんとうにありがと」
うみ「ありがとうございます」
ことりが理事長と話してくれたおかげ、私達はあの時と同じ場所で練習を始めることが出来る。
にこ「ほんとに感謝してよ。私はスーパーアイドルを休んでここにいるんだから」
「うん。ありがとう」
にこ「何を感謝してんの⁉︎ いつからそんな素直になったのよ」
ほのか「まきちゃんも反抗期を終えたんだね。お母さんは嬉しいわ。ねぇあなた」
のぞみ「大人になったな。お父さんは感激だ」
えり「はいはい、それまでにしましょ。私達は遊ぶ為にここに集まったわけじゃないでしょ?」
うみ「そうです。アイドルになるんです」
かよちん「あの頃を超えたいね」
ことり「そうだね。でも、皆久しぶりだけど踊れるの?」
「・・・やってみましょ」
りん「いきなりだにゃー。まぁいいや、いくっよー。ミュージックスタート‼︎」
ダンスが踊れたのは>>59
複数人でお願いします
みんな
にこ「全然だめね・・・って言う予定だったんだけど」
にこちゃんは少し面白くなさそうな顔をする。
踊ってみたら、皆が踊れた。
もちろん、あの頃よりは駄目。
それでも、通して踊れた。
にこ「特にえり、あんた私より上手いじゃないの」
えり「そうかしら?」
にこ「なんかやってんの?」
えり「バレエを再開したぐらいかしらね」
にこ「そんか再開ぐらい」
のぞみ「皆踊れたんやし、ええやん」
のぞみがにこちゃんの話を遮るように言った。
りん「かよちんもすごかったにゃー。やっぱりかよちんがナンバーワン」
はなよ「そんなことないよ。りんちゃんもすごかったよ」
にこ「・・・」
「にこちゃんも凄かったわよ。見惚れたわ」
にこ「ふん。当たり前よ」
そんなことを言いつつもにこちゃんは嬉しいそう。
ことり「ほのかちゃん何かしてたの? うみちゃんは弓道や剣道で運動してるからわかるけど」
うみ「確かに不思議です」
ほのか「二人ともひどいよ~。再結成が決まってから日々練習に取り組んだ結果だよ」
思い出す。皆が楽しそうに笑っていたあの頃を。
えり「次は>>61をしましょうか」
後日の予定です。
グループに分かれて発声練習
まきりんぱなグループ
「じゃあやりましょうか」
りん「やるにゃー」
はなよ「なんだか、あの時の中庭を思い出すね」
「あの時ね。でも、今のはなよは私が発声を教えるまでもないでしょ」
あの時は自分がアイドルやるなんて思ってなかったわね。
はなよが私に生徒手帳を届けてくれたから、はなよやりんと話すことが出来た。
りん「どうしたの? いきなり黙って?」
「なんでもないわ。ただちょっと嬉しくて。じゃあ今度こそ始めるわ。あーあーあーあーあ」
にこのぞえりグループ
にこ「あんたも一人で抱えるのはやめなさいよ」
突然にこがそんなことを言う。
「何を?」
にこ「あのねー、趣味程度のバレエをやってるだけであんなに踊れるわけないでしょ」
「さすがに無理かしら?」
にこ「無理よ」
のぞみ「うちも無理やと思う」
さっきは話を無理やり変えたのぞみも私を見つめる。
「高校を卒業してから、一度ロシアに行ってバレエを見たの。そしたら、やりたくなってしまったのよ」
にこ「プロになりたいってこと?」
えり「そうよ。だから、帰って来てからは本気で取り組んだ。でも、上手くいかなかったわ」
のぞみ「・・・」
「そんな時、ほのかやまきと会ったの。まきには偉そうに色々言ったけど、私も全然駄目だったの」
にこ「それで、今ってわけね」
「そんな所よ」
のぞみ「また挑戦するん?」
「わからないわ。今はこのメンバーで頑張ることが一番だから。さて、こんな話はお終いよ」
にこ「そうね」
のぞみ「そうやね」
「じゃあいくわよ。あーあーあーあーあ。はい」
ほのうみことグループ
ほのか「ふっふっふ。あの恥ずかしがり屋のうみちゃんがまたアイドルをやるなんて、びっくりだよ」
「アイドルは好きですよ。あの時からずっと。でも、今はあの時よりも頑張れる気がするんです」
ことり「何かあったの?」
「いえ、ただあの時はほのかや学校の為にと言うのが一番の理由でしたから。もちろん、存続が決まってから手を抜くなどしませんでしたけどね」
ほのか「なるほど、自分から短いスカートを履きたいってことだね‼︎」
「馬鹿なのですか・・・、ただことりの衣装を早く着て見たいと言う気持ちもあります」
ことり「早く完成させるね」
ほのか「よし、じゃあ練習するよー。あーあーあーあ。ほい」
練習後
ほのか「来週は>>64をしよう‼︎」
どっかに合宿
りん「賛成だにゃー」
のぞみ「ええやん。うちも賛成」
うみ「早い気もしますが、私も賛成です」
「私も賛成だけど、場所はどうするのよ」
ほのか「昔いったまきちゃんの別荘は?」
「それは無理ね」
パパにはすでに応援してもらってるから、これ以上は駄目ね。
にこ「私に任せなさい。はなよ、あそこにしましょ」
はなよ「そうだね。この人数でも大丈夫そう」
えり「あてがあるの?」
にこ「私の事務所の合宿所を使うわ」
ほのか「無料?」
にこ「まぁ、どうにか交渉するわ」
ほのか「やったー。ありがとにこちゃん」
ことり「さすがトップアイドルだね」
りん「ねー」
はなよは心配そうににこちゃんを見ている。
何かあるのかしら。
にこ「あんた達、遊びに行くわけじゃないのよ。まきちゃんの別荘みたいなのを想像しないことね」
ほのか「はーい。よし、じゃあ今日はみんなでご飯を食べて帰ろう」
のぞみ「焼き肉やね。力をつけないと」
こうして初日は終わった。
合宿所はどこにある?
>>66
周りに田んぼの多い片田舎
にこちゃんの事務所の合宿所はほんとうの田舎にあった。
もちろん、私の家の別荘みたいに豪華なわけでもない。
ほのか「にこちゃん‼︎ なにも無いよ」
ほのかが涙目になりながら、にこちゃんを見る
ほのか「温泉は?」
にこ「お風呂はあるわ。五人ぐらいなら一緒に入れるわよ」
ほのか「海は?」
にこ「あるわけないでしょ」
ほのか「川は?」
にこ「二時間ぐらい歩いたところにはあるわよ。ていうか、合宿に来たんだから、練習する所があればいいのよ」
はなよ「そうだよ、ほのかちゃん。にこちゃんも頑張ってだんだよ?」
にこ「それはいいのよ」
ほのか「うーん。それでも、皆と遊びたかったなー」
「ほのか。私たち今は、スクールアイドルじゃないのよ。結果を出さないと。だから、遊ぶのは結果を出した後よ」
そう。絶対に結果を出してみせるわ。
えり「さぁ、みんな部屋に荷物を置いて着替えたら集合よ」
うみ「ほら、行きますよ」
ほのか、うみ引きずられるように部屋へと移動していった。
私は>>73と同じ部屋ね。
えり
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