親方「さよう、今日君に来てもらったのは他でもない。君に頼みたいことがあるのだ」
メイ「…光栄です。何なりとお申し付け下さい」
親方「…君とはもう十年来の付き合いになるか…」
メイ「…このメイド、あの日、親方様と奥様に拾われていなければ、シチリアの路地裏で息絶えておりました。忘れようはずもありません」
親方「…そうか、もうそんなに時が過ぎたか」
メイ「して、私のような若輩者をメイド養成学校から呼び戻したのは、一体どのような御用件でしょう?」
親方「君は私の息子を知っておるか?」
メイ「はい、確か日本で学生をしておられるとか…」
親方「…そう、今年で二十歳になる。私の自慢の息子だ」
メイ「? そのご子息が如何されましたか?」
メイ「」
親方「…恥ずかしい話だが、息子は、私達夫婦が六十になって出来た初めての子でな。目に入れても痛くない」
メイ「…………」
親方「…だが、今年で私達は八十を迎え、いつあの世からお迎えが来ても不思議ではなくなった…」
メイ「…………」
親方「だが、私達には願って止まぬ望みがある」
メイ「……親方様の望み?」
親方「孫だ。初孫とやらをこの手で抱いてから死にたい」
メイ「…………」
親方「今回、君には直接日本に行って貰い、息子の男女関連の調査をお願いしたい」
メイ「…そして、あわよくば子作りに励んで頂く、と…」
親方「……然り。我が野望の成就、君の双肩にお願いしたいのだが」
メイ「了解しました。…このメイド、全力でご子息のご子息を管理させて頂きます」
親方「…ああ、任せたよ」
メイ「……では向かわん!いざ、少子化進む日出る国へ!」
………………
………
(新宿 地下街)
ワイワイガヤガヤ……
メイ(…と、意気揚々日本に来たのはいいが、早速道に迷ってしまったな…)
メイ(…ふむ、どうしたものか?)
メイ(む、あそこにいるのはヤポネーゼ・オマワリサン)
メイド「あ、アノー、スミマセン」
警官「! …え?なに、外人さん!?」
メイド「チョト、michi、オキキ、シタイ」
警官「えあわわ、…お、おうけぇ。michi、ききたい、おうけぇ…」
メイド(? 何故この警官までカタコトなのだ?)
警官「そぅりー、おジョさん。michi、何処?」
メイド(…しかも何故謝るのだ?)
メイド「チョト、michi、オキキ、シタイ」
警官「えあわわ、…お、おうけぇ。michi、ききたい、おうけぇ…」
メイド(? 何故この警官までカタコトなのだ?)
警官「そぅりー、おジョさん。michi、何処?」
メイド(…しかも何故謝るのだ?)
…連投ソーリー
メイド「…ニシオギクバ」
警官「ニシオギクバ?…ええと、西荻窪?」
メイド「……」コクリ
警官「ち、ちゅーおぅらいなー、い、一番乗りば。…jr列車いず、オレンジカラー!いっつ!オレンジカラー!
メイド(ふむ、…よく分からないが、橙色の電車に乗れば良いらしいな…)
メイド「アリガトー、オマワリサン」
警官「は、はっば!ないす、ほりでぃ…!」
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