にこ「私は淫らな百合の姫よ」 (397)

ラブライブSS

ドロドロ

エロ、胸糞注意

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408210974

部室

にこ「…」

希「…にこっち?」

にこ「…なに?」

希「そんなに見られると恥ずかしいんやけど」

にこ「見てないわよ」

希「…めっちゃ見てるやん」

にこ「見てないってば」

絵里「見てるわね」

希「あー、さてはにこっち、うちの胸が羨ましいんやなぁ?」

こ、こいつ…。言わせておけば…!!

にこ「別に!!邪魔そうだなぁって思っただけよ!」

絵里「…確かに運動するときは邪魔かも」

希「こうも暑いと蒸れるしなぁ」

にこ「ぐぬぬぬぬ…!!」

絵里「衣装によっては結構揺れるから…、ってにこ?」

希「やっぱり羨ましいんやぁ?」ニヤニヤ

にこ「だっ、だからそんなんじゃないっつーの!!」

希「心配せんでもにこっちもそのうち大きくなるよ」

希「そんなわけでわしわしやー!」

にこ「やめなさいよぉ!!」

絵里「そうよ、希。とりあえず服着なさい」

絵里「暑いからっていつまでも下着姿でいると風邪引くわよ?」

希「はーい」

はー…、なんとか助かったわ。

暴れたってどうせ勝てないのに抵抗しないと誤解を生みそうだし…。

でも暑いのに体力使いたくないし…。

にこ「ありがと、絵里…」

絵里「別にいいわよ。にこもあんまりつんけんしちゃだめよ?」

にこ「いや、あんたのせいでもあるんだけど」

絵里「あら、そんなこと言っていいのかしら?」

にこ「悪かったわよ…」

本当に良い性格してるわね、こいつ…。

にこの家 浴室

はぁ、ちび達の面倒を見ながらアイ活ってのも中々楽じゃないわね…。

まぁ好きで始めたことだし、絶対に妥協なんかしないけどね!

にしても今日の練習も疲れたわ…。

毎日頑張ってるはずなのに中々体力がついてる気がしないのよねぇ。

やっぱり身体が小さいのが原因なのかしら?

私ももう少しだけ大きければ…。

いやいや、でも私はアイドルなんだもの!

大きい胸なんて不要!!

不要なんだけど、羨ましいっていうか…。

揉まれても全然大きくなんないし。

ていうかことある毎に胸を揉まれる身にもなってみなさいっての…。

私は確かに小さいし揉む胸もないからね、痛いのよ。

なんかつねられてる感じっていうのかしら。

大きい人は本当に羨ましいわね!

…なーんか自分で言ってて虚しくなってきたわ。

明日も練習あるんだし、さっさとお風呂上がっちゃいましょう…。

「どうしたら大きくなるのかしら…」

自分の胸を見るたび、なんかがっかりするわ…。

胸を大きくするつぼとかあるのかしら?

毎日揉んでみるとか?

それともここを刺激してみるとか…。

クニッ

「んっ…」

気持ち、良い…。

直に触ると、やっぱりなんか違うの、ね…。

あと一回だけ、一回だけ…。

『にこにー、おやすみー!』

ってダメダメダメ、なにしてんのよ私は…。

あの子達もいるのに。

お姉ちゃんなんだからこんなことしちゃだめよ…!!




…大きかったら、もっと気持ち良かったりするのかな。

翌日

部室

にこ「…」ジー

相変わらずでかいわね…。

やっぱり食べてるものに秘密があるのかしら。

けど私の家は貧乏だからそんなに高いものなんて食べられないわよ。

絵里「もうにこったら。また希のほう見てる」

にこ「見てない」

絵里「はぁ…。またなのね」

希「そういえば昨日もうちが下着姿の時にジーッと見てたよなぁ?」

にこ「えっ、そうだっけ」

希「ほら、やっぱり見てたやん?」

絵里「にこったら案外むっつりさんなのね?」

こいつら、言わせておけば…!

希「そんなにうちの胸が気になるん?」

にこ「…別に」

希「そんなに気になるなら見せたげよっか?」

!?

何言ってんのよこいつは!?

別に私はそんなに興味あるわけないん-

希「ほーれっ」チラッ

-見えた。

希の、綺麗な色をした、乳首。

大きいだけじゃなくて、形も整ってて。


絵里「ちょっ、希!?」

希「いやー、女の子同士やしいいかなって思って」

絵里「もう、何やってるのよ…」

絵里「って、にこー?」

自分の身体が熱くなるのがわかる。

なんだろう、これ。

なんで私こんなに興奮してるんだろう。

希「にこっちー?」ムギュッ

今度は背中に柔らかい感触。

すっごく心地良い。

なんだか、すっごいエッチな気分に

希「にこっちってば!!」

にこ「えっ!?あっ、はい!!」

希「もー、ボーっとしてどうしたん?」

希「それに顔も真っ赤」

絵里「大丈夫?熱でもあるの?」

にこ「ない。平気…」

希「あー、もしかして興奮しちゃったぁ?」

にこ「…」

そうなのかも。

希「なーんて冗談や。やから怒らんで?な?」

私は希のおっぱいを見て、興奮したのかもしれない。

絵里「って本当にどうしたの?にこー?」

にこ「ん…、ああ、なんでもない」

にこ「それより希、離して?」

希「あっ、ごめん…」

にこ「別に怒ってないわよ」

にこ「それより早いところ着替えて帰るわよ」

なんでだろう。

ムラムラしてたまらない。

にこの家 浴室

なんでだろ、希のおっぱいが頭から離れなくて。

…、きっと羨ましいだけよね。

胸が大きいのが羨ましいからバストの数値をさばよんで。

胸が大きいのが羨ましいから希の下着姿を凝視して。

胸が大きいのが羨ましいから希の乳首で興奮して。

…あれ、何で興奮したのかな。

まぁいっか。

今日も一回、一回だけ。

一回だけ触って終わりにしよう。

フニッ

「んんっ…」

にこの口から出たのは甘い声。

一度だけで終わりにしよう。

そう心に決めていたはずなのに。

つんと立った乳首に二度目の刺激を与える。

キュッ

「…っ、あっあぁ…」

刺激を与えては甘美に満ちた声を上げる。

にこは恍惚とした表情を浮かべ、だらしなく口をあけては息を荒げる。

昨晩はこころやここあの存在を思い出し、踏みとどまったはずの自慰行為。

しかし今のにこにはこころやここあの存在はなく。

ただただ快楽を求めるだけの獣と化していた。

幾度となく乳首に刺激を与え続け、にこは憔悴していた。

そしてとどまることなく与えられた刺激によって、彼女の膣は程よく湿っている。

今まで指が触れたことのない場所へと指を運び、大陰唇へ指をあてがう。

ヌチャッ

いやらしい音が浴槽へと響く。

そしてそれにこだまするかのように

「んっ…、ふぁっ…」

にこも声を上げる。

眠っている双子の存在などお構いなしに、指を休めることなく動かす。

ヌチャッ…、ズチュッ・・・、クチャア・・・

湿り気を帯びた音は次第に大きくなり、それに比例するようにあえぎ声も大きくなっていった。

今まで一度も性欲を発散させたことのない彼女にとってはそれだけでも大きな刺激となり、多くの快感をもたらした。

そして膣へ指を進入させようと試みた時、景色が暗転した。

本日も再開していきます。

お察しの通りスレタイは輝夜からいただきました。

翌日

にこの家 浴室

「んぅっ…」

よく寝たぁ…。

って寒っ!!

ここ…、お風呂場?

なんでこんなところで寝てんのかしら…?

「へっくしっ!!」

あー、やっぱり夏場とはいえ流石に裸は寒いわ…。

風邪引かないうちにさっさと出ないと。

っと、まずは身体拭かなきゃ。

ヌルッ

ふぇっ?

なにこれ…、なんかぬるぬるしてる…。

それになんか…変なにおい…するし。

けど嫌な気分じゃない…かな。





っとと、こんなことしてる場合じゃなかった!!

もう空も明るいし…。

あーん、朝から最悪ぅ!!

にこの家 居間

…よし、準備完了。

こころとここあは…、うん、よく寝てる。

こころ「にこにー…」

ここあ「すきぃー…」

ふふっ、どんな夢見てるのかしら。

ってダメじゃない、布団蹴飛ばしちゃあ。

しっかり布団掛けて寝ないと風邪引くわよ?

服だってこんなにはだけて…。

はだけた服の隙間から見えるのは、未発達の肢体。

触ればぷにぷにと、弾力のある白い肌。

トクン…トクン…

その瞬間、不意に鼓動が早くなる。

私ね、気になることがあるの。

この子達をグチャグチャにしたら、どんな声で泣いてくれるのかな。

優しい優しい姉に犯されて、この子達はどんな顔をするのかな。

こんなに小さくても女の子なんだもん。

きっと色っぽい声で泣いてくれるわよ。

にこにー、にこにーって、私の名前を呼んで。

一生人を信じられなくなっちゃうのかな?

どんな顔をして私のことを見つめてくれるのかな?

それを知りたい。

この子達の唇に触れたら、どんな感触がするのかな。

この子達の未発達の胸に触れたら、どんな表情を見せてくれるのかな。

この子達の小さなおまんこに触れたら、どんな顔で善がってくれるのかな。

それを感じたい。

心配しないで。

ちゃんとお姉ちゃんが気持ち良くしてあげるから。

きっとすぐに快感に変わっちゃうんだから。

にこは目を据わらせ、妹たちの身体に手をかけ-

ピンポーン

…。

チャイム?

誰だろう。

こんな時間に私の家に来る物好きな人なんて心当たりがないんだけど…。




にこ「はーい」

希「にこっち、おはよっ」ニコッ

にこ「って、やっぱりあんたよね…」

ああ、そういえばいたわね。

物好きなやつが…。

希「迎えに来たよ♪」

にこ「いや、見ればわかるけど…」

にこ「それとこの時間は妹たち寝てるからチャイムは鳴らさないで」

希「あっ、ごめんな…」シュン

もう、なんでそんなに落ち込むのよ。

私が悪者みたいじゃない。

にこ「次からはケータイのほうに連絡ちょうだい」

希「…」

にこ「なによ?」

そんなハトが豆鉄砲食らったような顔して。

ていうか希、そんな顔もするのね。

希「なんだか、やけに素直やなぁって思って…」

…やっぱり一緒に行くのやめようかしら。

にこ「戸締りは…、OKね。んじゃ行きましょう」

あれ、何か忘れてるような…。

ま、いっか。

希「ところでにこっち」

にこ「んー?なに?」

希「かばんは?」

にこ「…あ」

そういうのは早く言いなさいよね!!!

もうドアの鍵閉めちゃったじゃない…。

にこ「ちょっと待ってて」

希「うん」




起こさないように、そーっとそーっと。

こころ「…」

ここあ「…」

まったく、平和そうな顔しちゃって。

こんな格好で寝てたら風邪引くわよ。

にこ「いってきます」ボソッ

通学路

あー、なんだか身体中が痛いわ…。

それになんだかだるいし。

…熱でもあるのかしら。

ってまぁあんなところで寝てたら当然よね。

希「なぁ、にこっち」

にこ「なに?」

希「筋肉痛か何か?」

にこ「いや、違うけど…。どうかしたの?」

希「なんか歩き方おかしくない?」

なんでこいつはこういうことはやけに鋭いのかしら。

ていうかあんまり言いたくないんだけど…。

にこ「ああ、今朝気づいたら浴室でね…。身体中が痛くて痛くて」

にこ「さっきもこころとここあが寝てるのを見た瞬間ボーっとしちゃうし…」

希「えっ?大丈夫なん?今日は休んだほうが…」

にこ「大丈夫よ。倒れたわけじゃないから」

にこ「ただ寝てただけ」

希「でも…」

にこ「心配性ね…。あんたは私の保護者か何かなの?」

希「…そうやと思ってたけど」

にこ「いや、なんでよ」

希「突っ込める元気があるなら大丈夫やね」

あんたがそうさせてんでしょうが。

でもこれも、希なりの心配…、よね?

希「そういえばにこっち」

にこ「あ?なに?」

希「なんか歩き方がひょこひょこしててトイレ我慢してるみたいよ」

にこ「ああ、そう…」

何言ってんのよこいつ…。

でもなんだか今朝から妙に股の辺りがムズムズするのよねぇ。

流石に恥ずかしいし、言えないけど。

放課後

生徒会室

希「ごめんな、にこっち。手伝ってもらっちゃって」

にこ「別にいいわよ。ていうかあんた達はいつもこんなことしてたのねぇ…」

希「あはは、今日は特別よ」

にこ「なんで絵里が来れない日に限ってこんなに仕事が多いのかしら…」

にこ「あ、希。そこのマジック取って」

希「まぁまぁ、絵里ちにも悪気があるわけやないし。はい」

にこ「ありがと」

いや、悪気があったら張ったおすわよ。

流石にこんなの部外者に任せて良い仕事の量じゃないわ…。

悪気がなくたって張ったおしたいもの。

希「ってにこっち、ポスター書くのうまいなぁ」

にこ「絵里が書いたら質素でつまんなくなりそうだしね。たまにはこんな遊び心も必要でしょ」

希「あはは、にこっちも言うなぁ」

にこ「そういえば希」

希「んー、どうしたん?」

にこ「私、絵里が休む理由知らないんだけど」

希「あれ、にこっち聞いてなかったん?」

にこ「ってことは希は聞いてんのね」

本当に張ったおしてやろうかしら。

希「絵里ちのお祖母ちゃんが日本に来るんやってさ」

にこ「ロシアに住んでるんだっけ」

希「そ。そんでな、今日の夜しか一緒にいられないからって」

にこ「なるほど、だからそそくさと帰ったのね」

家族のため、か…。

にこ「なら仕方ないわね」

希「にこっち、怒らんの?」

にこ「私はそんなに心の狭い人間じゃないわよ…」

にこ「地理は得意じゃないけど、ロシアって凄く遠いんでしょ?」

にこ「たまにしか会えないなら、そっちを優先するべきだと思うわ」

にこ「会えなくなって後悔する前に…」

希「にこっち…」

にこ「なーんて、私らしくなかったわね!」

希「にこっち、良い子やね…」ナデナデ

にこ「ちょっと!!子ども扱いしないでよ!!」

希「それとな、にこっち…」

にこ「…なに?」

希「場所にも寄るけど、ロシアと日本はそんなに遠くないよ…」

にこ「でも、広いし…」

希「そうやね…」

そんな目で見ないでよ…。

もっと勉強しておけばよかったわ。

なんだか情けない…。

希「けど」ムギュッ

希「にこっちの優しいところ…、うちは好き」

にこ「や、やめなさいよぉ!!」

そんなに胸を押し付けて、私へのあてつけかなんかなの!?

それになんか、変な気分に…!!

希「あはは、ごめんごめん」

にこ「ったく、私だから良いけど。あんまり他の人にそういうことするんじゃないわよ」

希「んー?嫉妬してくれてるん?」

にこ「違うわよ!!仮にもアイドルが胸を押し付けるんじゃないの!!」

希「うちのこと、意識してくれてるん?」

にこ「…」

希「ごめんごめん。心配してくれて嬉しいよ」

にこ「わかりゃいいのよ」

あんたは私の大切な友達なんだもの。

自分の身体を安売りするようなことしてほしくないだけ。

ってなんかこの言い方怪しいわね。

にこ「って希、顔真っ赤よ?大丈夫?」

希「…にこっちのせいなんやからね」

にこ「はぁ?なによそれ。意味わかんない」

希「なにそれ、真姫ちゃんの真似?」クスッ

希「にこっち、真姫ちゃんと仲良いもんなぁ」

にこ「…別に友達に順位をつけてるつもりはないわよ」

希「ふふっ、にこっちはそんなことせんよね」

希「あーあ、それにしても本当に暑いなぁ」

やっぱり私のせいじゃなかったじゃないの。

にこ「まぁ夏だしね」

にこ「って何脱いでんのよ希ぃ!!」

希「ちょっとボタン外しただけやん。それにどうせ二人しかおらんし」

希「それともぉ」

希「やっぱりうちのおっぱい気になる?」ムギュッ

ああ、何、この感覚。

その瞬間、私の意識は途絶えた。

「にこっち?にこっちー?」

希は少しだけ露になったふくよかな胸をにこの腕に押し付けていた。

にこの反応がないことを知りながらも、決してそれをやめようとはせず。

「もー、何か言ってよぉ」

するとにこは返事をする代わりに、希を引き剥がし希の胸を乱暴に掴む。

「いっ…!!」

乱暴に胸をつかまれ、驚嘆の声を上げた。

そしてにこの様子がいつもと違うことに気づく。

「ごめん、にこっち。うちがわるか」

希の胸を掴んだ手に力を込める。

痛みを堪え、涙交じりの声で必死に謝罪をする希。

「ご、ごめんなさい、にこっちぃ…」

しかしにこからの返事はなく。

先ほどまで作業をしていた机へと希を押し倒す。

にこの瞳孔は開ききり、決して希の顔を見てはいない。

視線の先にあるのは

「んぅう…」

希のたわわに実った立派な二つの果実だった。

何度も何度も力を込め、希のそれを揉みしだく。

それに応えるかのように希は艶のある声を上げる。

にこは激しく肩を震わせ、まるで何かに憑かれたかのように一心不乱に希の胸を求めていた。

「にこっちがこんなに求めてくれるなんて、嬉しいな」

にこの様子がおかしいことには気づいていたが、希はそれを拒むことはしなかった。

親友であり、愛すべきにこが自らの身体を求めている。

例え正気でなかったとしても、受け入れる以外の理由はなかった。

とろんとした表情をした希は、胸に夢中になっているにこへと顔を近づける。

そして

チュッ

唇と唇が触れ合う。

「んっ…、ちゅっ…」

ぴちゃぴちゃと音を立てながら、何度も何度も唇を重ね合わせた。

にこは胸を弄る手の動きを休めることなく、それに応じる。

「んむ…、ちゅぱっ…」

次第に口付けを交わすペースはゆっくりとなり、それと引き換えに1回の口付けに多くの時間を費やすようになった。

希の頬は紅潮しているが、にこにはそんな様子など微塵もない。

息は荒れているが羞恥を感じてはいない。

ただ動物としての本能のままに身体を求めている。

そんな様に見えた。

希にとってそれは屈辱でしかない。

そしてそれが彼女の心に火をつけた。

「んむぅ…」

もう何度目になるかわからないキスの途中、呼吸をするために離れてゆくにこの唇。

その唇を唇でこじ開け、一方的に舌を絡める。

ぴちゃっ…、ちゅぱぁ…

生徒会室には二人によって奏でられた淫らな音が響く。

気づけばにこは希の胸を触ることをやめていた。

希はその隙を見逃さず唇を重ね合わせながらも、器用に片手で下着のホックを外す。

そして下着を浮かせ、にこの手を掴み直に胸を触らせる。

「んっ…」

先ほどより強い刺激に身悶えする希。

だがそれが心地良い。

直に胸に触れられることにより、更なる快楽が希を襲い、思わずきゅっと目を閉じる。

「に、にこっちぃ…、う、ち…、このままじゃおかしく、なり…、そぅ…」

消え入りそうな声でにこにそう告げる。

しかし相変わらず彼女は希の声に耳を傾ける様子などない。

乱暴に扱われることは望んだ覚えはないが、今ではそれが希の快楽を増長させていた。

快楽へと身を委ねている最中、胸を弄るにこの手が止まる。

にこの体温を感じなくなったことの原因を探ろうと、きゅっと瞑った目を開けると。

彼女は舌を出し、希の胸の突起へと顔を近づけていた。

「ひゃあっ」

手とは違う、湿り気を帯びた温かいものが希の乳首を濡らす。

にこは小動物が水を飲むようにちろちろと舌を動かし、乳房についた桃色の突起を幾度となく撫でた。

「んっ、ふぅっ…、あっ…」

希は小刻みに身体を揺らす。

自分でする快感とは違う、他人から与えられる快感。

指よりも柔らかく温かいものが優しく、それでいてねっとりと刺激を与えてくる。

快感に身を悶えさせていた彼女の膣はひどく湿っていた。

希自身もそれには気づいていた。

しかし乳首へと与えられている快感を手放すのは惜しい。

ならば-

「んっ…」

くちゅっ

下着の中に手を滑り込ませ、己が性器に触れる。

彼女が選択したのは、自らの手で膣を刺激することだった。

にこの舌により不定期に与えられる刺激、そして自らの手によって与えられる定期的な刺激。

それが希に冷静な判断を失わせていた。

彼女は息を荒げ、ただただ快楽を欲す。

もはやにこのことなどどうでも良く、快感を求めて自らを慰める。

その姿は実に滑稽であった。

しかしそんなことなどどうでも良く。

誰が見ていようとも関係ないと言った様子で、陰唇をなぞる指は激しさを増していった。

「ね、にこっちぃ…。うち、んっ…、にこっちの…、せいでぇ…、凄い、エッチな子にぃ、なったみた、い…」

たどたどしくそう告げると下着の中から手を抜き、にこの顔を両の手で挟んだ。

そして最初と同じように激しく唇を重ねる。

「んっ…、ちゅむっ…、ちゅぱっ…」

口角からだらだらと液体が漏れる。

だがそんなことなどお構いなしに音を立てては舌を絡ませ続けた。

二人は時間など気にせず、唇を重ね続ける。

初めて唇を重ねてから一体どれくらいの時間が経ったのだろうか。

しかし希にとって今重要なのは、いかに自分が気持ち良くなるか。

ただそれだけだった。

にこに快楽を与えるつもりはなく、ただただ与えられるのを待っていた。

そして希は告げる。

「にこっち…。うちのおまんこ触って…?」

にこが返事をしないことなど百も承知である。

希が唇を離すと、もう一度にこは希の胸へと手を伸ばした。

にこが希の胸を弄っている最中に、自らの下着をするすると下ろした。

そして、胸を掴んでいるにこの手を下半身へと誘導させた。

にこは息を荒げたまま希の顔を眺め、濡れた膣の中へと指をもぐりこませた。

「あっ、あぁ…」

指を挿れるのは初めての経験。

正確には挿れる、のではなく挿れられたのではあるが。

今まで自らの指を挿れることを躊躇っていたのが馬鹿らしくなるくらいに激しい快感が希を襲う。

「きもひいいおぉ…、にこっひぃ…」

呂律の回らない口を必死に動かすが、それはにこに届いているのかいないのか。

表情を変えることすらしない。

実のところ希の膣は希の指一本を受け入れるくらいの容量しかないのだが。

にこの指は希よりも細く、にこの人差し指ならば軽々と飲み込んだ。

が、二本目ともなるとそうはいかなかった。

にこはそれを悟ったのか、きょろきょろと辺りを見回す。

そして先ほど希から受け取ったマジックに目を留めた。

それを手に取り、希の膣から指を抜く。

「にこっち、それ…!!」

指の代わりとでも言わんばかりに、マジックを膣へとあてがう。

それを拒むように、希は力を込めて脚を閉じるのだが。

にこの細腕からは想像できない強い力でそれをこじ開ける。

「や、やめっ…!!」

マジックの先端は希の指よりも細い。

だが奥へいけばいくほど、それは太くなっていく。

それこそ希の指など比ではないくらいに。

にこは希の膣へとマジックを近づけ、ゆっくりと挿入していく。

「にこっちぃ、やめ…」

涙声になりながら懇願するも、その声はにこの耳に届くはずもなく。

それを吐き出そうとしている希の膣に無理やりねじ込んだ。

そして

「い゛ぃっ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

希の叫び声がこだまする。

その声は生徒会室にとどまらず、廊下へと響き渡った。

しかし下校時刻ギリギリを迎えた校内には人などおらず。

それはただ希の悲痛を訴えるだけの音でしかなかった。

希の膣の入り口を覆う膜は破られ、赤いインクのような液体がドロリドロリとあふれ出していた。

泣き叫ぶ希を嘲笑の眼差しで見つめ、希の膣に突き刺さっているそれをさらに奥深くまで咥えさせる。

「あ゛き゛っ…、く゛っ…、あ゛あ゛っ…」

声にならない悲鳴を上げ、痛みから解放されることを望んでいるかのように身体を反らせる。

それにより膣は締め付けられ、異物を体外へ排出しようとするのだが。

にこがそれを許すはずもなく。

無理やり身体を押さえつけ、捻りを加えてもう一度ナカへと押し込んだ。

度重なる激痛を与えられ、もはや何も感じなくなっていた。

抵抗することさえせず。

目は見開かれたまま涙を流し、口はだらしなくあけられ涎をたらし。

希の膣から生えたモノからは鉄分とアンモニアの混じった液体が滴り落ちていた。

薄れゆく意識の中、希が最後に感じたのはにこの唇の感触だった。

そして思うことは-

んぅ…。

ふわぁ…、私また寝て…って

にこ「くっさ!!」

何この臭い!?

なんか嗅いだことがあるようなないような…。

…とりあえず窓開けないと…、って夜!?

私、どんだけ寝てたのよ…。

希のやつ、起こしてくれたって良かったじゃない…。

つーかなんで床で寝てたのかしら。

私の寝相が悪すぎた、とか…?

いやいや、スーパーアイドルにこちゃんに限ってそんなこと…、あるのよねぇ、これが。

ガラッ

-誰!?

希「にこっち…、起きたんやね…」

にこ「ああ、希…」

希「さっきは…、その…」

にこ「さっき?」

さっきってーっと…、私は寝てた…わよね?

もしかしてこの変なにおいって希の仕業なのかしら?

希「ううん、なんでもない…」

なによ、妙に歯切れ悪いわね。

にこ「これって希がこぼしたの?すごい色してるけど…」

そう言ってにこが液体を指差すと

希「あああ、うんうんうん、そうなんよ、困ったなぁ、あははぁ…」

…やっぱり。

にこ「何の臭いか知らないけどちゃんと掃除しなさいよね…。臭いったらないわよ」

希「…ごめん」

えっ、ちょっと、何で泣くの!?

もしかしてそんなに責任感じてた?

にこ「…ごめん、きつく言い過ぎたわ…」

希「ううん…、いいよ…。くさい、よね…これ」

にこ「…あんたは座ってて。にこが片付けるから」

希「いいよ、汚いから」

にこ「いいから!!待ってて!!」

ガラッ

どうしたのかしら、希。

妙にしおらしいって言うかなんていうか…。

ま、考えても分かるわけないか。

とりあえず雑巾とバケツ…。

だけでいっか。

生徒会室汚したなんて絵里に知られたら叱られるわよね、確実に。

はぁ…、憂鬱だわ。

ガラッ

希「ひっく…、えぐっ…」

にこ「…希?」

希「…あ、おかえ、り…」

にこ「なんかあんた変よ…?」

希「そう、かな…」

にこ「いつものあんたじゃないみたい」

希「いつもって何なん…?」

にこ「え?」

何言って…。

希「にこっちの言ういつものうちって何なん…?」

にこ「それは…その…」

失言、だったかしら…。

にこ「なんだかわかんないけど…、ごめん…」

希「…こっちこそごめん」

…空気が重いわ。

って思ってもどうにもならないわよね。

にこ「さて、とりあえずこれ片付けないとね…。待ってなさいよ」

希「ねぇ、にこっち…」

にこ「ん?なに?」

希「ギュッてして…」

にこ「はぁ?いきなり何を」

希「…」

なんで黙んのよ…。

なんで悲しそうな目で私を見んのよ…。

なんでそんな世界の終わりみたいな顔すんのよ…。

そんな顔されたら断れないじゃないの、ったく。

ギュッ

にこ「…これでいいの?」

希「…うん」

今日の希はイマイチ何考えてるかわかんないわ。

普段からよくわかんないけど。

今の希は一段とわかんない。

希「にこっち、うち…」

にこ「ん?なに?」

希「にこっちで、良かった…」

にこ「はぁ?なにが?」

希「ううん、なんでも…」ギュッ

…なんで震えてんのかは聞かないでおいてあげるわ。

にこ「ところで希、さっきどこ行ってたの?」

希「ん、保健室…」

にこ「…どこか悪いの?」

希「制服、汚しちゃって…」

ああ、ブラウスがやけに白いと思ったらそういうこと…。

にこ「…そう」

希「うん…」

にこ「そろそろ離してくれる?」

希「いや…」ギュッ

はぁ、参ったわ…。

こいつがこんなに甘えてくるなんて滅多にないことだし、たまには許してやるか。

本日の更新はお終いです。

エロ描写楽しいれす(^q^)

1日間が空きましたが再開します。

翌日

放課後 屋上

海未「今日は希もいないですし、ここまでにしておきましょう」

『はーい』



はぁ、助かったぁ…。

毎日毎日ハードすぎんのよ…。

こんなやっぱりくそ暑い中屋上で練習するのはやっぱり間違ってると思うわ…。

海未「にこ、少しいいですか」

にこ「あ?なに?」

私はこんなところとっととおさらばして部室で涼みたいんだけど。

海未「いえ、希のことで少し話を聞きたいと思って」

にこ「希のことなら絵里のほうが知ってるんじゃないの?」

海未「はい。そう思って絵里に聞いたのですが、連絡が取れないそうで…」

海未「昨日は生徒会室で一緒に作業をしていたそうですし、何か知っていればと思いまして」

にこ「そうねぇ…」

って言っても別に休む理由なんか心当たりがないわね。

しいて言えば様子がおかしかったけど…それを言うのも悪いし。

…あ、そうだ。

にこ「昨日の帰りに歩き方がおかしかった、とか?」

海未「歩き方、ですか…」

にこ「ってあんまり参考にならないわよね」

海未「生徒会室での様子はどうでした?」

にこ「いや、正直あんまり覚えてないのよね」

海未「覚えてない…?」

にこ「気付いたら寝てる、って言うの?最近そういうことが多くてねぇ」

にこ「だからあんまり覚えて…って海未?」

海未「暑いからってたるみすぎです!!」

にこ「はぁ!?別にたるんでなんかないわよ!!」

海未「たるんでます!今日だって一番早くバテてたじゃないですか!!」

にこ「なっ!!暑いんだもん!!仕方ないじゃないの!!」

海未「ほう…、暑いから練習で手を抜くのは仕方ない、と言いたいんですね?」

え、いや、その…。

にこ「きょ、今日はあれよ。ほら、希のこと考えて」

海未「…」

にこ「たけど、確かに最近たるんでる気がするわね、うん」

その笑顔が怖いわ。

海未「それでは、次の休日に私の家に来ていただけますか?」

にこ「はぁ?なんで」

海未「にこ?」

にこ「…はい」

休日

海未の家


海未「さて、それではたるみきったにこにはこれから座禅を組んでもらいます」

いや、意味わかんないわ。

大体それなら穂乃果や凛だってたるんでると思うんだけど。

海未「何か言いたげですね?発言を許可します」

いつからここは議会になったのよ…。

にこ「あの、にこ以外にもたるんでる人がいると思うんですが…」

海未「ご心配なく。穂乃果や凛には昨日来ていただきましたから」

にこ「で、でも妹たちが」

海未「日曜日はお母様も家にいらっしゃるのですよね?」

ああ、わざわざ日曜日なのはそういうこと…。

…もう黙って従うしかなさそうね、これ。

海未「私も付き合いますから」

それが一番心配なんだけど。

海未「なにか?」

にこ「さ、始めましょうか!!」

海未「やる気になってくれたのですね。嬉しいです」

海未「さて、それではまずはこの座禅着に着替えていただきましょう!!」

…また変なスイッチ入ってるし。

にこ「あんたって本当に形から入るタイプよね…」

海未「何事も形から入ることは大事だと思いますが?」

にこ「いや、そうなんだけど…」

海未「さて、それでは着替えましょうか」

あ、あんたも脱ぐんだ…。

海未の…、下着姿…。

無駄なお肉が付いてなくて、すらっとしてて…。

なんだか、凄くエッチな気分になって。

またこの感覚。

海未はにこに背を向け、服を脱ぎ始めた。

海未らしいといえば海未らしい、飾り気のない私服。

普段ならば恥ずかしがって人前では着替えない彼女だが、脳内のスイッチがONに切り替わったために躊躇いなくその場に服を脱ぎ捨てる。

そして座禅着に手をかけ-

「ひぁっ!?」

唐突に後ろから胸を掴まれる。

その力は希のワシワシの比ではなく、まるで握るような力の強さを感じた。

「に、にこぉ!!」

声を張り上げてにこの行動を制そうとするも、当のにこは聞く耳など持たず海未の胸を弄り続ける。

「いい加減に、しないとっ、怒りますよっ…!!」

胸を触られている快楽からなのか、それとも掴まれている痛みからなのか、次第に声から迫力が失われていく。

海未はこのままではまずいと思ったのか、にこの腕を掴み引き剥がそうとするも。

その結果むなしく。

普段から鍛えているとは言えど、脳内のリミッターの外れたにこに太刀打ちできる力など持ち合わせてはいなかった。

そしてその手は下着の中へと入り込み。

「んっ…、ひぅう…」

乳首へと刺激を始めた。

海未にとって自慰行為は恥ずべき行為であり、一度たりとて行ったことはなかった。

しかし欲求不満というわけではなく、彼女は弓道や日舞の稽古によってそれをうまく昇華していたのだ。

それゆえに感じる刺激はとても大きく。

脚に力を込めようにもそれも叶わず、その場にへなへなと座り込んでしまう。

そしてにこもそれにつられてそのまま倒れこむ。

その隙を海未は見逃さなかった。

にこのほうへと向き直り、おもむろに首に手をかける。

「ごめんなさい、にこ…!!」

体制を立て直そうとしているにこの首を掴み、馬乗りになる。

そして出来る限りの力を込め、頚動脈を締め付けた。

にこも抵抗を見せるが、元々の体格の差も手伝って海未を突き飛ばすことは出来なかった。

首に掛けられた手を掴み必死にもがくも、その力は次第に弱くなってゆく。

やがて-

「…はぁ」

海未は深いため息をつき、にこの首から手を離す。

そしてにこが呼吸をしていることを確認し、安堵すると一人思考を巡らせるのであった。

後に下着姿のまま胸を露にしていることに気がつき、恥ずかしさのあまり思考を停止させるのではあるが。

翌日

放課後 音楽室

「で、話ってなによ」

ピアノの前に置かれた椅子に腰掛け、真姫は気だるそうに海未に尋ねる。

「すみません。もう少し待っていただけますか」

海未は真剣な面持ちを崩さず、真姫の問いに応じる。

毎日目にしているはずの海未の表情がいつもとは違って見え、真姫はそれ以上追及することはしなかった。

「はぁ…」

真姫は深くため息をつくと閉じられた鍵盤板へと肘を下ろし頬杖を付く。

海未はそれに一瞥をくれると、普段と変わらぬ凛とした声で淡々と述べた。

「ピアニストがそんなことしていいんですか?」

一見注意とも取れる発言ではあったが、真姫は別段気に留めることもしなかった。

そして返事に変わり、質問を投げかける。

「誰を待ってるの?」

「絵里と希を」

「ふぅん…」

納得の意を表し、それ以降言葉は発することはなかった。

必要以上の会話を交わさず、時だけが過ぎていく。

どちらから話しかけることもしないが、別段仲が悪いわけではない。

仲が良いか悪いかで言えば、二人は気は合うし作詞作曲の工程で同じ時間を同じ場所で過ごすことも多い。

だからこそ真姫は海未の纏う雰囲気がいつもと違うことを悟っていた。

それを紛らわすための術も、叩く軽口も持ち合わせていないので口を噤むことを選択したまでである。

真姫は普段からそういう仕事は穂乃果や凛の役目だと割り切っていた。

もっとも彼女達はそれを気にして発言しているわけではないことなど目に見えているだが。

二人はただただ沈黙を打ち破る人物が現れるのを待った。

そして時が過ぎ-

音楽室の戸が開け放たれる。

「ごめんなさい。待たせたわね」

「絵里と希、ね…」

真姫は何かを悟ったように目を細めた。

「ん?うちらがどうかしたん?」

「別に。少なくとも簡単な話じゃないわねってだけよ」

真姫は小言のように呟くと脚を組み、座っている椅子へと手を置き身体を支える。

「…希、失礼します」

希のほうへ向かって歩き出し、彼女の前で足を止め姿勢を屈める。

そして

ぴとっ

ぴとっ

「ひゃっ」

海未の細く硬い指が希の脚に幾度となく触れる。

「…海未?なにしてるの?」

絵里は怪訝な表情で海未のほうへ目をやる。

すると海未は涼しい顔をして

「いえ、希の歩き方がおかしいと聞いていたものですから」

「しかし脚に異常はなさそうですし、杞憂ですかね」

と呟いて立ち上がる。

絵里はなにがなんだか分からないと言った顔をしたまま固まっている。

そしてそのまま言葉を紡ぎ続ける。

「ところで身体のほうは大丈夫ですか?」

海未の行動に呆気に取られた希は至ってシンプルな答えを返す。

「ああ、うん、大丈夫…」

散々待たされた挙句、海未はいつまで経っても何も話そうとしないため痺れを切らした真姫。

怒っているわけではないのだが、若干語気が強くなってしまった、気がした。

「それで、話って?」

真姫の言葉に海未は言葉を返さなかった。

その代わり、幾度となく深呼吸を繰り返し、意を決した表情をする。

「大変言いづらいことなのですが」

「にこに襲われました」

『え?』

なにを言っているか分からないと言った表情のまま固まる真姫と絵里。

しかし希だけは表情を変えず、言葉も発さず、ただただ海未の紡ぐ言葉を待った。

「にわかには信じられない話かも知れませんが、昨日にこに襲われました」

「希のために説明しておきます」

「にこが最近気付いたら眠っていると言ったんです」

「私はそれを気の緩みから来るものだと思い、家で座禅を組んで精神を鍛えることにしました」

「座禅着に着替えたのですが、そこで…」

「襲われた、と…」

海未の言葉を待たずして、絵里が口を挟んだ。

「ええ、そうです」

「襲われたっていうのは、その…」

「執拗に胸を触ってきましたから、その…、性的な意味があるのでしょう」

あくまでも冷静にいるつもりだったが、希に対する回答に少し顔を赤らめる海未。

そしてそんなことなどお構いなしにさらに真姫から質問をぶつけられる。

「にこちゃんの力で海未に勝てるとは思えないけど」

同じ疑問を抱いていたのか、絵里も頷いて真姫の質問に賛同する。

「…あの時のにこはひどく興奮しているようでした」

「息を荒げ、まるで動物かなにかのようで…」

「普段のにこの何倍もの力を持っていました」

「もちろん言葉で制することも出来ませんでした」

「にことの体格差がなければ恐らく私は…」

…。

音楽室には時間を紡ぐ針の音だけが響く。

しばらくの静寂の後、絵里が疑問を口にする。

「その…、襲われたあとどうしたの?もしかして…」

「まさか。頚動脈を絞めて気絶させました」

「ハラショー…。さすが海未ね…」

「今回ばかりは海未の武闘派が役に立ったわね」

真姫に武闘派と言われたことが癇に障ったのか、海未は悪魔のような微笑みを見せる。

「真姫?武闘派ってどういうことでしょうか…?」

「ごめんなさい…」

絵里と希の目には、海未よりも大きいはずの真姫が心なしか小さく映った。

「それで、海未」

ニコニコと不気味な笑みを浮かべる海未に睨まれ、怯えている真姫へと助け舟を出す絵里。

「私たちはどうしたらいいのかしら」

絵里が抱いた疑問は最もなものである。

もう一度同じことがあるかも知れない、などと断定できるだけの情報はない。

そしてそれはいたずらににこを傷つけるだけである。

もちろん海未とて何も考えていないわけではない。

「ほんの些細なことでもいいんです」

「最近のにこの様子について感じたことを聞かせてほしいです」

海未の一声をきっかけに皆がアイコンタクトを取ると、まずは希が口を開いた。

「…うちは別に何も」

にこの手によって処女を奪われた希ではあるが、決してそのことは口外しなかった。

皆も同じ目にあってしまえば良いなどという考えを持っているわけでは決してなく。

希の献身的な性格と、胸に抱いているにこへの想いが手伝い、それを口にすることを憚らせた。

「…」

絵里は希の様子に少しの違和感を覚える。

いつも飄々としており掴みどころのないように見えるが、今の希は完全に心を閉ざしているような。

知られたくない秘密を抱えているような。

ここでそれを指摘しても互いに良い気分にはならないだろうと考え、口を噤んだ。

「真姫はどうです?」

「私も知らないわ」

「そう、ですか…」

「最近は9人で練習することも少ないし、にこちゃんと話す機会があまりないのよね…」

「海未もそうでしょ?」

そういって海未に同意を求める。

「そうですが、一緒に練習をしている希も知らないとなると…」

海未は歯切れ悪く、言葉を濁す。

希が知らないとなると恐らく絵里も心当たりがないだろう。

そう思って海未は押し黙る。

そして諦めかけたとき。

「…そうだ」

絵里が呟く。

「何か心当たりがあるんですか?」

これ以上の進展は何もないと思っていた故に、過敏に絵里の言葉に反応してしまう海未。

絵里の肩を掴み、必死で問い質す。

「…痛いわ」

「ごめんなさい…」

謝罪をして肩から手を離すと、次の絵里の言葉を待つ。

「にこ、着替えのときに希の下着姿をじっと見てた」

『下着姿をじっと見てた』

自身の昨日の体験を思い出し、絵里の言葉と照らし合わせる。

『下着姿』

その言葉をヒントに、頭の中でパズルを組み立てていく。

「海未?どうしたの?」

急に押し黙る海未を見て、真姫が声をかける。

だがその声は虚しくも海未の耳へは届かず地へと落ちる。

そして-

「なんとなく、見えてきました」

海未が静かに口を開く。

海未ちゃんがなんとなく見えたところで今回の更新はここまで。

ちなみにエロがメインではないです。

少し早いですが再開します。

海未「希は下着姿をにこに凝視されたんですよね」

希「うん、そうやったね…」

海未「その時、にこに声をかけましたか?」

絵里「私が話しかけたわ。ボーっとしてたみたいですぐには返事してくれなかったけど」

ふむ、やはりそうですか…

海未「私が襲われたとき、私は衣服を身にまとっていませんでした」

真姫「え?なんで?」

真姫は何故顔を赤くしているのでしょう?

着替えるのならば衣服を脱ぐことは当たり前だと思うのですが…

海未「座禅着に着替えるためですよ」

真姫「びっくりしたわ。下着もつけてないのかと…」

!?

海未「私はそんなに破廉恥な人間ではありません!!」

真姫「はいはい、ごめんなさい…」

適当にあしらわれた気もしますが、まぁ良いでしょう…

海未「こほん…。にこは希や私の下着姿を見て、恐らく興奮したのでしょう」

海未「それも、脳内のリミッターが外れるくらいに」

絵里「脳内のリミッター?」

真姫「…なるほど」

これに関しては真姫のほうが詳しいでしょう。

海未「真姫、説明お願いできますか」

真姫「はいはい」

真姫「人間は普段、力をセーブしろって指令を脳が出してるの」

真姫「まぁ諸説は色々あるけど大体20%ってとこらしいわ」

真姫「火事場の馬鹿力って言葉、知ってるわよね」

絵里「え、ええ…。それくらいは」

真姫「あれは脳内のリミッターが外れたことによって出る力なのよ」

真姫「危機的状況に陥ることによって、脳内のリミッターが外れてる状態ね」

真姫「テスト前日の一夜漬けで記憶力が格段に上がるのもそうらしいわ」

真姫「私はやったことないからわからないけど」

絵里「それで、それと今回のことと何の関係があるの?」

真姫「危機的状況に陥ると、人間は焦るでしょう?」

真姫「あれは言い方の問題で、結局は興奮してるってことなのよ」

絵里「興奮…、まさか」

真姫「そ。にこちゃんは海未の下着姿で興奮して、脳内のリミッターを外したのよ」

真姫「にこちゃんが海未に勝つくらいだから…、多分普段の二倍以上は力を出してるはず」

真姫「まぁ無自覚のリミッター解除だから…、恐らくほぼ100%でしょうね」

絵里「…」

海未「真姫、ありがとうございました」

さすがは脳外科医志望ですね。

海未「それで、真姫…」

真姫「わかってるわよ。病気かも知れないから調べてほしいって言うんでしょ?」

海未「ええ、話が早くて助かります」

真姫「私の家の専門は脳外科なんだけど…」

絵里「脳の病気でしょう、多分…」

確証は持てないですが、身体の病気ではなさそうですしね。

だとしたら精神か頭ですし…。

希「待ってよ…」

希「にこっちは病気なん…?」

海未「一概にそうとはいえませんが…」

我を忘れて、脳内のリミッターが外れるほど興奮をしてしまう。

恐らくこれは…。

海未「病気、だと思います…」

希「そっか…」

希…。

無理もない、ですよね。

私だってショックです。

でもきっとにことの付き合いの長い希のほうが…。

いえ、今はそれよりも。

海未「絵里、希。にこのクラスの時間割について聞いておきたいのですが」

絵里「時間割?そんなものなにに使うの?」

海未「体育の授業です」

真姫「…着替えの最中に下着姿を見てしまうかもしれないってことよね」

海未「…ええ」

そうなってしまえば、にこの居場所はもう…。

希「確か今日、にこっちのクラスでは体育があったはずやけど…」

海未「ほ、本当ですか!?」

もしかしたら、もう手遅れ…なはずはないですよね。

そうだと言うのならば既に学校中に広まっているし、にこも練習には参加していないはず。

希「でもにこっち、着替えをクラスの人には見られたくないからわざわざ部室まで行ってるらしいよ?」

海未「何故わざわざそんな…」

絵里「体系がコンプレックスとか…」

ああ、なるほど…。

なんだか妙に納得してしまいました。ごめんなさい、にこ。

にこがあまり起伏のない体系で助かりました。

真姫「でも練習のときはどうするの?」

希「それならうちがにこっちを引き付けるよ」

海未「しかし、それでは希が!!」

希「うちに任せて?うまくやるよ。それにどうせ誰かがやらなくちゃいけないんやから」

希「それに一緒に練習してるんやし不自然やないやん?」

…希。

海未「…希、お願いしてもいいですか?」

希「うん、いいよ」

希「それに今日の着替えのときに暴走せんかったってことは、少なくとも一日は理性を保てる余裕があるってことやろ?」

希「…それまでに色々考えよ?」

…そう、ですよね。

なってしまったものは仕方ないんです。

大切なのは、これからどうするか。

海未「…とりあえず練習へ向かいましょうか」

屋上

大見得を切ったものの、あのにこっちをうちがどうこう出来る自信はないなぁ…。

けどにこっちの病気が治ったとき、にこっちの居場所が残ってるようにうちがちゃんと頑張らんと。

本当はうちのものになってくれるのが一番いいんやけど、きっとそれはにこっちの幸せじゃないもんね。

にこ「希ー?なにボーっとしてんのよ」

希「え?ああ、ごめんな」

んー、考えれば考えるほどわからんくなってしまう。

一体うちはどうしたらいいんやろ。

にこ「いや、別にいいけどさ…。あんた、病み上がりなんでしょ?」

ああ、そういえばそういうことになってるんやっけ。

にこっちに犯されたショックで…、なーんてね。

うちもあんだけにこっちのこと求めてたんやもん。

痛かったし怖かったけど。

嬉しかったから。

にこ「その…、あんまり無理すんじゃないわよ」

希「心配、してくれてるの?」

にこ「なによ…、悪い?」

希「ううん、嬉しい」

うちはにこっちのそういうところが好き。

なんだかんだ言って、すっごく優しいんよね。

にこ「…みんな行っちゃったわよ?私達も行きましょ?」

希「え?えっと、その…」

にこ「なによ?なんかあった?」

ダメ、もうちょっと時間を稼がなきゃ…。

希「…ちょっと待って」

にこ「もー、さっきからなんなのよ?」

とは言ったものの話題なんて…。

それにきっとこのまま帰してしまえば、双子ちゃんが危ない…。

希「そういえばにこっちって昨日海未ちゃんの家行ったんよね?」

にこ「なんで知ってるのよ」

希「あはは、海未ちゃんから聞いたんよ。最近たるんでるから監視してほしいって頼まれちゃって」

にこ「た、たるんでなんかないわよ!!」

希「座禅組んだらしいけど、途中で寝ちゃったんやろ?」

にこ「別に寝たわけじゃないわよ!意識が飛んだの!」

希「ふふっ、ものは言い様やね。結局いつまで寝てたん?」

にこ「確か目が覚めたのは…、18時くらいかしら」

希「およ?昨日は練習早く終わったん?」

にこ「あんたがいなかったからね。絵里がいなかったときも同じ時間に終わったらしいけど」

希「そっか…」

18時ってことは、理性がトンだのが大体17時…。

うん、いけそうや。

ちょっと怖いけど、にこっちの居場所はうちが守ってみせる。

居場所がないなんて、悲しいもんね。

希「手、出して?」

にこ「?」サッ

希「…」ムギュッ

にこっち、うちの胸柔らかいかな?

にこっちを守るためなら-

うちは喜んでにこっちの道具になるよ。

そんなわけで短いですが今日はここまで。

つんファイクラブも終わったので本日も再開しますー。

数日後

音楽室

『突発性発情症候群?』

そう言ってみんなが素っ頓狂な声を上げる。

ま、無理もないわよね。

私だってこんな病気があるなんて信じられないんだし…。

真姫「そう。症状は…、読んで字のごとくってやつね」

海未「突然、その、性的興奮を覚えてしまう病気、ということでしょうか?」

真姫「そんなところかしら。突然、っていうのは語弊があるけど」

絵里「理由があるの?」

…昨日その話はしたはずよ。

真姫「わかってるんでしょ?」

『…』

真姫「刺激を与えれば、興奮をする。至って普通のことね」

真姫「海未だって、絵里だって希だって、もちろん私だってそう」

海未「えっと…、その…」

そういって海未は顔を真っ赤にする。

海未らしいわね。

真姫「別に恥ずかしがることないわ。当たり前のことなんだもの」

真姫「口に出さないだけで、きっとみんな同じよ」

希「…だったら何も問題ないはずやん」

普通ならそうなんだけどね。

真姫「私たち人間には理性が存在する」

真姫「それが働いて興奮を抑えこんでるの」

真姫「けど今のにこちゃんには」

真姫「それが存在しない」

認めたくないけど。

真姫「にこちゃんは海未の下着姿を見て興奮した」

真姫「それもただの興奮じゃない」

絵里「そうよね。発情っていうくらいだから…」

真姫「性的興奮ね」

私はさらりと事実を述べてみせる。

口を噤んだところで結果は代わりはしないのだから。

海未「ですが…、日常生活では性的興奮など普通は」

希「それはどうやろか」

海未「え?」

希「自覚がないだけで、きっと海未ちゃんもそうだと思うよ?」

絵里「…希の言うとおりね。恥ずかしいと思うことだってある種の興奮だわ」

真姫「特に海未はそういったことには免疫なさそうだしね」

海未「う…。今は私のことはいいでしょう」

…それもそうね。

真姫「要点をまとめるわね」

真姫「といってもこの前の予測どおりだったからほとんどが補足みたいなものなんだけど」

真姫「まずさっき言ったとおりにこちゃんには性的興奮を抑えることが出来ない病気なのよ」

真姫「性的に興奮をしてしまったら理性を失う。性欲を発散させようとするの」

真姫「それが海未が襲われた原因ね」

海未「けど、私とにこは同性ですよ?」

真姫「…そうなのよね」

真姫「理性を失ったら手当たり次第に異性を襲う、って書いてあったんだけど」

真姫「私たちは同性だもの」

真姫「なんでにこちゃんの性の対象になっているのか…」

希「…それはまたあとでいいんやないかな?」

真姫「そうね…」

絵里「それじゃあ、続きをお願いしていいかしら?」

言われなくてもそのつもりよ。せっかちなんだから…。

真姫「大体理性を失っている時間は一時間くらいね」

絵里「自分の持ってる力の全てを出し切ってるようなものだから体力が持たない、ってことなのかしら?」

真姫「まぁ、一応そういうことね」

真姫「だから脳が危険信号を出して、無理やり身体を眠らせているのよ」

真姫「唐突に眠ることになるから気絶に近い状態ってことね」

希「そっか…、だから…」

海未「希?どうかしましたか?」

希「あ、ううん。なんでもないんよ?」

絵里「…」

真姫「それと、もちろん興奮しているときの記憶はないわ」

真姫「まぁ当たり前よね。我を失うくらい興奮しているんだから」

海未「あの時前後の記憶も錯乱しているようでしたが?」

真姫「恐らくいきなり意識を失ってしまったから、記憶がちぐはぐなのね」

希「頭の中で繋がらないから自然と記憶を破棄してるってことやね?」

真姫「まぁそういうことになるわね」

真姫「ちなみに、一回興奮すれば数日間は視覚だけで興奮することはない、らしいわ」

希「そうなん…?」

希が呟くように言う。

真姫「ん?どうしたの?」

希「え、ああ、いや…。ひょっとしたら何かがきっかけでまた発情してしまうんやないかなって思って…」

確か肉体的に性的な刺激を与えれば強制的に理性を飛ばせる方法があるんだったわね。

だけど毎日脳のリミッターを外し続けていれば身体はボロボロになって、運が悪ければ完全に筋力を失う、って本には書いてあったかしら。

ま、そんなことする物好きいないと思うし言わなくて良いか…。

真姫「まぁ、そうね…。あくまでも本に書いてあった程度だから発情しないっていう確証は持てないわ」

真姫「もしかしたら人間と動物では違うかもしれないし」

絵里「動物?どういうこと?」

真姫「この病気…」

真姫「人間は極めて発症する確立が低いらしいの」

絵里「そ、そうなの…?」

海未「つまりにこが発症したのは…」

運が悪かった、としか言えないわね…。

希「そんな、なんでにこっちなん…?あの子、ずっと頑張ってて」

絵里「こんな病気、誰がかかったって問題よ。もしもにこの代わりに自分が、なんて言ったら」

絵里「怒るわよ」

希「…ごめんなさい」

真姫「一応私なりに考えてみたんだけど」

真姫「海未は性欲をどうやって発散させてるの?」

絵里「な…、え?ええっ!?」

海未「は、は、は、破廉恥ですよっ!!」

私だって聞きたくて聞いてるわけじゃないわよ…。

他人の性欲解消方法なんか興味ないし。

希「それってこの話と関係あることなん?」

真姫「ええ、出来れば聞かせてくれると確証が持てるわ」

海未「えっと…、その…」

海未「私は、その…、日舞や弓道、ダンスレッスンに打ち込んでいるので…」

真姫「つまり昇華してるってことかしら?」

海未「と、言いますか…。そういうことに精一杯ですし、そういったことをしようと思ったことは一度も…」

…海未らしいというかなんというか。

絵里「ならなんで恥ずかしがってたの?」

海未「だって、恥ずかしいじゃないですか…。高校生にもなって、その…、したことがないなんて…」

希「まぁまぁ、そういう人もいるよ。それにこんなこと、普段は話さないし」

海未「そ、そういう希はどうなんですか!!」

真姫「そうね、聞かせてくれる?」

希「うち?うちは一人暮らしやし、そういうことは気兼ねなくしてるかな?」

希「声とか音とか、気にしなくていいしね」

…希って案外溜まってるのかしら。

あのスタイルの良さの秘密はまさかここに隠されて…、て今はそんなことどうでも良くて!

絵里「…うぅ」

真姫「絵里?」

絵里「…」

真姫「顔、真っ赤だけど」

絵里「えっ!?そんなこと、ないわよ?」

希「あー、もしかしてうちが一人でするところ想像してたん?」

絵里「え、いや、そうじゃなくて、その…」

希「絵里ちったらエッチなんだー?」

絵里「もー、希ぃ!!」

はぁ、また夫婦漫才を見なくちゃいけないのかしら。

海未、出来れば止めてほし…

海未「あ、うぅ…」

ダメね、使い物にならないわ。

真姫「こほん。…いいかしら、絵里」

絵里「え、えぇ…」

真姫「絵里もしてるのよね?」

絵里「な、なんで決め付けるの!?」

真姫「正直に答えて」

絵里「…し、してるけど!!」

真姫「そう。ここからは私の想像なんだけど」

真姫「人間は発症する確立が低いといわれているのは、恐らく自分で性欲を解消する術を持っているからね」

真姫「まぁ海未みたいに発散する必要のない子もいるけど…」

真姫「この病気、発症するのはペットとして飼われている動物が多いらしいの」

真姫「例えばだけど、犬からしてみれば一日中鎖に繋がれてたり、室内で家族に常に囲まれてたり」

真姫「中々性欲を解消できないでしょうね」

真姫「現にペットの中でも犬が一番の発症率らしいし」

真姫「まぁ絵里や希は自分でしてるみたいだし、恐らくかかる心配はないわね」

真姫「海未もまぁ、今のところは大丈夫でしょう」

海未「ですが、にこがそういった行為を知らないとは考えにくいのですが…」

絵里「まぁ、高校生なら知識くらいはあるわよね…」

希「…あ。もしかしたら」

ん?希?

真姫「どうかしたの?」

希「お姉ちゃんのプライド、かもしれんね」

お姉ちゃんのプライド?

なによそれ…。

お姉ちゃんって言うからには妹たちが関係あるのかしら?

希「ほら、にこっちが妹ちゃんたちの世話してるのは知ってるやろ?」

海未「ええ、大変慕われていましたね」

絵里「でも、それとなにが関係があるの?」

希「にこっちは気負いすぎるところがあるからな。もしかしたらお姉ちゃんがこんなことしたらダメって思ってるのかも知れんね」

絵里「…ありえない話じゃないわね」

真姫「そうね、にこちゃんだもんね…」

希「きっと、お姉ちゃんとしてのプライドがにこっちにそれをさせんかったんやないかな」

海未「…けど、こうなってしまった以上は仕方ないです…」

絵里「そうね。原因を探るより解決策を考えましょう」

真姫「それと、対策もね」

希「…対策?」

真姫「ええ、なにが引き金となって暴走するか分からない以上、対策を打っておいたほうがいいと思うわ」

絵里「…」

海未「でしたら着替えを別々に行う、だとか練習中に下着が目に入らないように気をつけたり…」

希「…」

真姫「はぁ…。まぁそうするのは仕方ないわね」

真姫「それにしても…、下着で我を失うほど興奮するなんて、まるで思春期の男子ね…」

希「…なんで?」

え?

希「なんでみんなそんな目でにこっちを見るん?」

絵里「希?どうしたのよ」

希「にこっちは、なりたくてこんな風になったわけやないんよ?」

海未「それは、わかっているつもりです…」

希「じゃあなんでみんな、そんな淡々と話せるん?」

希「本当は自分じゃなくて良かったって思ってるんと違う!?」

は?なにそれ

絵里「希!いい加減に」

希「もっとにこっちのこと考えてあげてよ…。また一人ぼっちになっちゃうよ…。もうあんなにこっち見たくないよ…」

真姫「考えてるからこうしてるんじゃない」

真姫「私たちは今は逃げるしかないのよ」

希「けど、それじゃあ…」

真姫「なに?じゃあどうすればいいの?にこちゃんのために身体をささげろって?冗談じゃないわよ!!!」

海未「真姫、落ち着いて!!」

ふん、私は落ち着いてるわよ。

真姫「言う相手が間違ってるわ。希、少しは冷静になったら?」

真姫「それともなに?希には良い考えでもあるの?」

希「わかんないよ…、そんなの」

真姫「ほら、やっぱりわかんないんじゃない」

希「わかんないけど、にこっちは…、にこっちは悪くない!!!」

そういって希は音楽室から駆け出していった。

絵里「の、のぞみぃ!!」

なによ、熱くなっちゃって。

にこちゃんが悪くないことくらい、私だって分かってるわよ…!!

廊下

「はぁ…はぁ…」

なんでみんなにこっちのこと、あんな風に言うん…?

にこっちだってきっと苦しんでる…。

自分の知らないところで人を傷つけてるかも知れないって、すっごく怖いことなんよ…。

真姫ちゃんだって、わかるやろ?

…そりゃ、にこっちのために身体を捧げろとまでは言わないよ。

言わないけど、あんな言い方ってないよ…。

それともうちがおかしいのかな?

うちがにこっちのこと好きやから、こんな風に思ってしまうだけで。

本当だったら真姫ちゃんと海未ちゃんみたいな反応するのが普通なんやろか。

…普通、か。

普通ってなんなんやろ。

にこっちのことが大好きなうちはおかしいんかな。

にこっちっていう女の子のことが大好きなうちはおかしいんかな。

ははっ、もしもうちがこの病気になってしまったら同性を襲ってしまうんかな?

だって、うちはにこっちのこと意識して…。

『理性を失ったら手当たり次第に異性を襲う、って書いてあったんだけど』

『私たちは同性だもの』

『なんでにこちゃんの性の対象になっているのか…』

…、そっか、そういうことか。

にこっちも、うちと一緒なんや。

にこっちもきっとうちと同じで。

誰かはわかんないけど、女の子のことが大好きで。

その相手がうちだったらいいな。

「でも、こんなこと言ったらにこっちがもっと変な目で見られてしまうね…」

だから、言わない。

守らなきゃ。

私がにこっちを守らなきゃ。

…屋上行こう。

屋上

海未「…それでは、今日はここまで」

『はーい』

にこ「はーぁ…」

あー、だるい…。

やっぱり最近体力がついてるどころか落ちてる気がする…。

真夏のせいだよ1,2,Jump!とか言ってる場合じゃないわ。

暑さのせいとは言え、この疲れは異常よ!!

レッスンだって希となんだから海未のしごきより数倍マシなはず…。

でも希のことだから、もしかしたら身体にくるような練習をさせてるのかもしれないわ。

の割りに希はピンピンしてるし、やっぱり私の体力がないだけかしら。

希「…どしたん?」

にこ「んーん、なんでもないわ」

にこ「…とぉっ」クラッ

足に力が入らない…?

いや、立ち眩みかなんかよね。

希「にこっち、どうしたん!?」

にこ「慌てすぎよ。ただの立ち眩みだから…」

希「…最近暑いもんね」

にこ「そうね…。なんでこんなに暑いのかしら」

希「真夏のせ」

にこ「言わなくていいわ」

にこ「…それより希」

希「んー?」

にこ「にこはもうちょっと休んでから部室に行くわ。あんたは先帰ってていいわよ?」

希「待ってるよ」

にこ「そう…。ありがと」

希「んーん♪」

こいつになら、話してもいいかな…。

にこ「ねぇ、聞いてくれる?」

希「んー?どうしたん?」

にこ「最近ね、悩んでることがあるの」

希「それってμ'sのこと?」

にこ「まぁそういえばそうなんだけど、どっちかって言うと自分のことっていうか…」

希「にこっちのこと?」

にこ「みんな、私に何か隠してない?」

希「…そんなことないと思うよ?」

そりゃそう言うわよね。

私だって答えが返ってくるなんて思ってないもの。

ただ、今だけは吐き出させて。

にこ「なんか、疎外感を感じるの」

希「どうしてそう思うん?」

にこ「今だってそう。前までなら練習が終わってから誰かしら話しかけに来てくれたのに」

にこ「みんなそそくさと帰っちゃって」

希「…考えすぎよ?」

にこ「そう、かしら…」

希「でもほら、最近ことりちゃんも花陽ちゃんとずっと一緒にいるし…」

にこ「そう、よね…。今こうしてにこも希と一緒にいるんだもの」

希「きっと一緒に活動するためにもっと仲良くなろうと、みんな必死なんやと思うよ?」

にこ「そう、よね…。考えすぎよね」

希「にこっちが弱気なんて、らしくないね」

にこ「なんだか、このまま一人ぼっちになっちゃう気がして…、怖いのよ」

にこ「こんなに素敵な仲間にめぐり合えたのに…、もう一人は嫌なの…!!」

希「安心して」ギュムッ

希「誰がなんと言おうと、うちだけはにこっちの味方やから」

>>127 訂正

希「…考えすぎよ?」

にこ「そうかしら…」

希「でもほら、最近ことりちゃんも花陽ちゃんとずっと一緒にいるし…」

にこ「そう、よね…。今こうしてにこも希と一緒にいるんだもの」

希「きっと一緒に活動するためにもっと仲良くなろうと、みんな必死なんやと思うよ?」

にこ「そっか…。考えすぎよね」

希「にこっちが弱気なんて、らしくないね」

にこ「なんだか、このまま一人ぼっちになっちゃう気がして…、怖いのよ」

にこ「こんなに素敵な仲間にめぐり合えたのに…、もう一人は嫌なの…!!」

希「安心して」ギュムッ

希「誰がなんと言おうと、うちだけはにこっちの味方やから」

練習が終わるたびににこっちを引き止めて、無理やり胸を押し付けて何度もエッチをした。

エッチって言っても、にこっちがうちを一方的に求めてくるだけなんやけどね、ははっ…。

そんなにうちの身体魅力的なんかな?なーんて、ちょっぴり恥ずかしいなぁ…。

にこっちったら何度もうちのおっぱい揉んでくるんよ?

こうなる前からずーっとうちのおっぱいのこと見てたけど、やっぱり前から触りたかったんかな?

だって、おっぱいを揉む力、ものすごい強いんやもん。

でもそれはにこっちとエッチなことしてるっていう証なんよね。

それにおっぱい触るだけじゃなくてキスもしてくれるし。

そういえばにこっち、キスも好きよね?

おっぱいを触りながらすっごいキスしてくるし。

にこっちはディープキス派なんやね。

キスしてくれるのは嬉しいんやけど、おっぱい触られても実はあんまり気持ち良くないんよ?

けど、興奮はするというか、なんというか…。

まぁそんな風に必死になってるにこっちも可愛いんやけどね?

昨日なんか鎖骨の辺りをちゅーちゅー吸ってて、なんだか可愛かったなぁ。

けど、あんまり吸われると少しヒリヒリして痛いよ。

あ、でもおっぱい吸ってるにこっちはベビちゃんみたいで可愛いかも♪

…にこっちの居場所は、うちが守ってあげるからね。

だから安心していいんよ。

昨日中に区切りつけるつもりだったけど結果全然区切りつけられなかったね!

今回はここまで!

読んでくださってありがとうございました。

再開いたし、ます!

数日後

絵里の教室

…やっぱり最近の希、少しおかしい気がする。

なんていうか、避けられてるって言うのかしら。

前だったらお昼休みは一緒にお弁当食べてたのに、最近はすぐにいなくなっちゃうし。

毎回毎回ギリギリになって戻ってくるのよねぇ。

一体どこに行ってるのかしら?

…なんだか少し寂しいな。

前まではなんでも私に相談してくれてたのに。

にこのこと心配なのはわかるけど、少しは私にもかまってほしいっていうか…。

って私は誰に言い訳してるのかしら。

次は体育か…。

流石に着替えもあるのにどこかへ行かないわよね?

せっかくのチャンスだし、話しかけなきゃ…!

絵里「ねぇ、希。少しいいかしら?」

希「…なあに?絵里ち」

やっぱり、なんか元気ない?

元気ないというより、疲れてるというか…。

絵里「あ、ううん、最近希と話せてないなって思って…」

希「あー、そうやっけ…。ごめんな、最近ずっとにこっちのところに行ってて」

…わかってた。

けど、友達なんだもん。

そりゃ心配よね。

私だって心配だもの。

絵里「ううん、いいの。希はにこのこと、一番に心配してるもんね」

少し、羨ましいな。

希「あはは、うちはにこっちの一番の友達やから。なーんてな?」

ねぇ、希。それなら希にとって一番の友達は誰なの?私?それとも-

…なんて聞けるわけないわよね。

こんなこと聞いたら希に失礼だし。

-?

絵里「ねぇ、希。首元、なんの跡?」

希「んー?首元?」

絵里「赤い跡がついてるわ」

希「えっ、嘘!?」

…随分な慌てようね。

何か後ろめたいことでもあるのかしら。

希「…きっと虫刺されよ。うち、よく刺される人やから」

嘘。

虫刺されにしては赤すぎる。

それに見たところ腫れてるわけでもないし。

希「それより!」

絵里「わっ、どうしたのよ」

希「早く着替えんと時間なくなってしまうよ?」

絵里「それは希も同じでしょ?」

希「あ、えっと…」

なに?歯切れが悪いわね。

希「うちは、ちょっと、先生に呼び出されてるから…」

絵里「そう?なら一緒に行くわ」

希「いや!悪いから!先行ってて!」

絵里「あ、希!」

やっぱり避けられてる、わよね。

それに、先生に呼び出されたなんて嘘。

呼び出されただけなのに、どうして体操着を持っていく必要があるの?

…ごめんね、希。

あなたに嫌な思いをさせるかも知れないけど…。

生徒会室

希「…はぁ」

ごめんな、絵里ち。

うちがしてること、μ'sのみんなには知られたくないんよ。

もし知られてしまったら、きっとうちの居場所がなくなってしまうから…。

にこっちの居場所を守るためって言ってたのに

いざとなったら自分が可愛くて仕方ないんよ。

うち、ダメな友達や。

って、こんなことしてたら授業遅れてしまうな。

早く着替えて-

ガラッ

絵里「希」

絵、絵里ち…!?

希「ど、どうしたん?」

絵里「どうしたはこっちの台詞よ。あなた、先生に呼び出されたって言ってたわよね」

希「…いやー、話が予定より早く終わってしまってなぁ」

絵里「嘘」

希「嘘やないよ」

絵里「いえ、嘘よ。希は先生に呼び出されてなんかない」

希「うちのこと疑うん?ひどいなぁ…」

絵里「だって、さっき職員室に行って確認したもの」

希「え…?」

絵里「そしたら誰も希を呼び出してなんかないって」

希「う、嘘や…。だって、職員室から生徒会室に来るのにこんな早く来れるはずない!」

絵里「そうなのよね。来れるはずないわよね、希。先生に呼び出されてたなら尚更」

…絵里ち、うちに鎌をかけたんやね。

希「本当に…、絵里ちには敵わんな…」

絵里「褒め言葉として受け取っておくわね」

希「でも、絵里ち。うちに何の用なん?このままだと授業遅れるで?」

絵里「別に構わないわ」

希「生徒会長がそれ言ったらあかんよ?」

絵里「希が早く着替えてくれれば間に合うかも知れないわね」

…絵里ち、気付いてるんかな。

希「あ、あはは…、そんなに見られると恥ずかしいよ…」

絵里「…脱ぎなさい」

…。

希「絵里ち、いきなりどうしたん?変態さんになっちゃった?」

見られる。

絵里ちに、嫌われちゃう。

そんなの、嫌。

絵里「早く脱ぎなさい」

自分でも驚くほど冷たい声が出た。

けどごめんね、希。

これ以上希が傷つくのを見たくないの。

だって希は私の…!!

希「…後悔しない?」

絵里「ええ…」

希のことだもの。

どんなことでも受け入れる覚悟はある。

希「…ははっ、なんか照れくさいなぁ」

絵里「それって…」

首から胸にかけて、希の肌はところどころ真っ赤に染まっていた。

さっき見た首の跡と同じ色の斑点が、いくつもいくつも。

希「絵里ち、ウブそうやもんね。こういうの、知らないかぁ」

絵里「茶化さないで」

希「…」

それに胸の辺りには…、痣?

流石に下着まで外してもらうのは気が引けるけど…、仕方ないわよね。

絵里「希、下着を」

希「うん、わかったよ」

そういって希は反抗する様子もなくスルスルとブラジャーを外す。

私の予想が正しければ…。

絵里「なによ、それ…!!」

予想していたはずなのに、驚嘆の声をあげてしまう。

外れていてほしかった。

当たってほしくなかった。

ブラジャーから開放された希の胸は手形のような痣がついていて。

前に見たピンク色の乳首は黒ずんでいて。

希「あはは、汚いやろ?」

絵里「…」

どんな希だって受け入れてみせるって。

そう思ったのに。

否定できなかった。

声が出なかった。

絵里「…」

たまらなくなった私は、気付けば希を抱きしめていた。

同情や憐れみなんかじゃなくて。

ただ、希を近くに感じたくて。

こんなに近くにいるのに気付けなくて。

私ってなんてダメなんだろう。

親友だと思ってたのに。

希「あはは、痛いよ、絵里ち」

絵里「…」

希「…あのね、こんなうちでもにこっちは必要としてくれるんよ」

希「多分誰でも良くて、身体しか見てくれてないんだろうけど」

絵里「なんで…」

希「んー?」

絵里「なんでにこのために自分を犠牲にするの!?」

絵里「自分をもっと大事にしてよ…!!」

絵里「私は希のこと…!!」

希「じゃあ絵里ちは」

希「にこっちの居場所がなくなってもいいって言うの?」

絵里「…」

希「μ'sに入る前のにこっちのこと、知ってるやろ?」

希「またあの時のにこっちを見たいん?」

希「せっかく仲良くなったのに…」

希「にこっちの居場所をなくすん…?」

絵里「だけど!!」

希「絵里ちがうちのこと心配してくれてるのは良く分かるよ」

希「けど、うちに出来るのはこれくらいだから…」

絵里「…」

希「納得してくれた?」

出来るわけないじゃない。

絵里「なんでにこのために希が犠牲にならなくちゃいけないの?」

絵里「なんで希はにこのためにそこまでするの?」

希「絵里ち…」

絵里「希のためなら私は、誰だって切り捨てるわ」

絵里「例えそれが仲間であっても、友達であっても」

希「そんな…」

絵里「だけど、希はそれが嫌なのよね」

希「…うん」

絵里「ねぇ、希」

絵里「私はそんなに頼りないかしら」

希「そんなことないよ…」

絵里「ならもっと頼ってよ…」

絵里「もっと私のこと信頼してよ…!!」

絵里「一人で抱え込まないで…」

希「だけど、こんな姿みんなには」

絵里「きっとみんな、そんなにひどい子じゃないわ…」

絵里「大丈夫、私を信じて…?」

希「そう、やね…。みんな、うちの大事な仲間、やもんね…」

希「うぅ…、絵里ちぃ…、ありがとう…」

そう言って希は私を抱きしめたまま、涙を流した。

希も色々溜め込んでたのね。

今まで気付いてあげられなくてごめんね。

私がもっと早く気付いていたら、希をこんなに苦しめずにすんだのかな。

こんなこと言うのは不謹慎かも知れないけど、にこが羨ましいわ。

病気とは言え、希のことを独占できて。







私も病気になっちゃおうかしら?

ふふっ、なんてね。

そんなわけで短いですが本日はここまでです。

読んでくださってありがとうございました。

なんかあんまりドロドロしてないですね…。

最近更新できずに申し訳ないです。

短いですが本日更新します。

希の家

ねぇ、絵里ち。

大好きな友達のために身体を張るのってそんなにおかしいことなのかな。

大好きな友達のために自分を犠牲にするのってそんなにおかしいことなのかな。

…ううん、大好きな『友達』なんかじゃない。

にこっちは、うちにとって大好きな『人』なんだもん。

助けてあげたいって思うのは当たり前なんよ。

たとえそれが誰にも理解されなくても。

あんな、生徒会室で襲われたときすっごく嬉かったんよ。

にこっちがうちのことを求めてきてくれてる。

それがすっごく嬉しくて。

そんときにこっちはうちのこと好きでいてくれるんかと思ってたんよ。

だから、あんな形でも嬉しかった。

あんな風にめちゃくちゃにされても、それでも良いって思ってた。

…けど、そんなの間違ってるんよね。

やっぱりおかしいよね、こんなの。

にこっちがつらい思いしてるだけだもん。

本当ににこっちのことが好きなら、こんなことしちゃダメ。

うちはにこっちのこと利用してただけなんよね…。

ごめんね、本当にごめんね、にこっち。

うちは自分のことしか考えてなかった。

にこっちの居場所を守るためって言い訳をして。

それを言い訳にエッチなことして。

…って言っても、うちはされるがままやったんやけどね、あははっ…。

…にこっち、ごめんな。

もしかしたらうちはにこっちを傷つけるかもしれない。

うちがにこっちの居場所を奪うかも知れない。

もしそうなっても、うちだけを恨んでな。

他の子のこと悪く言っちゃダメよ?

だって、みんなにこっちのために頑張ってくれてるんやもん。

うち?うちはいいんよ。

我慢するのは、得意やから。

諦めるのは、慣れてるから。

翌日

音楽室

希「みんな、この前はごめんな…」

海未「私は別に気にしていませんが…」

絵里「もちろん私もよ」

真姫「…」

真姫ちゃん…。

そうやんね。

真姫ちゃんだってにこっちのことを色々考えてくれてたもんね。

そのために必死で病気について調べてくれて。

あんな言い方されたら誰だって嫌な思いして

真姫「こっちこそごめん…」

真姫ちゃん…?

希「えっと…、怒ってないん?」

練習のときもこっち見向きもしてくれなかったのに…。

絵里「真姫、あのあと言い過ぎたってすごく後悔してたのよ?」

真姫「えっ、絵里!!それは言わないでって!」

絵里「もう、別にいいでしょ?」

…もう、真姫ちゃんったら…。

絵里「だから、怒らないであげて?」

本当に良い子なんやからっ…。

真姫「わっ、のぞみぃ!!泣かないでよぉ!」

希「えへへっ、ごめんなぁ…。嬉しくて、嬉しくて、つい…」

…やっぱりこの子達なら大丈夫や。

きっと、受け入れてくれる…!!

海未「これにて一件落着…、といったところでしょうか?」

絵里「…この件については、ね」

海未「そう、ですね…」

うん、わかってる。

にこっちの件、よね…。

真姫「ただ謝るために呼び出したってわけじゃないわよね、希…」

希「うん、皆に言っておかなくちゃいけないことがあるの」

希「これはうちが言っていいことなのかもわからないし、もしかしたらにこっちを傷つけるだけかも知れない」

希「けど、何かつかめればいいなって思って…」

絵里「…」

海未「それで、一体なにを」

希「にこっちはうちと同じなんよ」

真姫「同じ?それってどういう」

希「うちは、にこっちのことが好き」

空気が凍るのが手に取るようにわかる。

…当然やんな。

いきなり『私はレズだ』なんて言って受け入れてくれるはずが

海未「つまり、にこは同性が好きだということですか」

…え?

海未「なるほど…。それなら私が襲われたのも頷けますね」

絵里「女性を性の対象として見ているから、海未の下着姿に興奮したってわけよね」

希「そう、やけど…」

なんや、絵里ちの言うとおりなんやね。

みんなにもっと早く頼れば良かったんや。

うちって本当におバカさんやね…。

海未「ですが、それでは根本的な解決にはなりませんね。…真姫?」

真姫「…え?ああ、どうしたの?」

海未「どうしたの、はこちらの台詞ですよ…」

真姫「ごめん、少しボーっとしてたわ」

絵里「これ、解決に糸口になるかしら?」

真姫「正直言って…、まったくならないわね。残念だけど…」

『…』

沈黙。

そりゃそうよね。

にこっちが女の子を好きなのがわかったところで、解決に繋がるわけ…

…あった。

もうひとつだけ。

みんなに言ってないこと。

うちは軽蔑されてもいい。

にこっちが助かるなら、なんでも。

希「うちね、にこっちとエッチした」

真姫「…は?」

突然なに言い出すのよって顔してる。

そりゃそうやんなぁ。

うちだっていきなりこんなこと言われたら戸惑うもん。

けど、それでも…。

希「エッチって言っても、一方的に攻められるだけなんやけどね、あはは…」

海未「…まさか放課後にいつも残って」

ここで肯定したら海未ちゃんはきっと責任を感じてしまうよな。

海未ちゃん、優しいからなぁ。

希「ううん、違うよ?」

絵里「…」

絵里ちにはばれてるよな。

ごめんな、絵里ち。

嘘ついて。

海未「そう、ですか…」

希「それでな、海未ちゃんとうちとの状況を照らし合わせてみれば、何か解決策が見つかるんやないかなって」

真姫「…そう、かも知れないわね」

絵里「なら、悪いけど聞かせてくれるかしら」

ここでうちから話すと下手なことまで話してしまいそうや…。

希「海未ちゃん、お願いできる?」

海未「…わかりました」

海未「私は下着姿を見られて、それで…」

真姫「それから?」

海未「やっぱり言わなくちゃダメなんですか…?」

絵里「にこを救うためだと思って…、ね?」

海未「う、うぅ…」

ごめんな、海未ちゃん。

海未「にこは、その…、胸を触ってきました」

海未「それだけです…」

絵里「…それだけ?」

海未「ええ、私も必死でしたから…」

真姫「そういえば気絶させたって言ってたわね…」

胸を触る、か…。

うちのときは、胸を触ってきたり、キスをしてきたり、あそこを触ってきたり…。

うちがやらせたことなんやけど、ね…。

正直すっごく気持ち良かったなぁ…。

ってダメダメ。

こんなこと考えてる場合やないね。

海未ちゃんの場合とうちとの場合の共通点…。

胸を触る?

ううん、これじゃあ情報が少なすぎや…。

屋上でのことを思い出せば…。

…そっか、なんとなくわかった気がする。

希「うち、わかったかも…」

絵里「本当!?」

希「あくまで推測なんやけど…」

希「にこっちは触ってくるだけで、自分が気持ち良くなろうとはしてないんやないかな…」

絵里「…どういうことかしら?」

希「うちな、その、色んなところを触られたんよ。詳しくは聞かんでほしいんやけど…」

海未「…聞きませんよ」

希「あはは、海未ちゃんは恥ずかしがり屋やなぁ」

真姫「いいから続けて」

希「あ、ごめんな」

希「にこっちね、触ってくるばっかりで、自分のあそこは触らないんよ」

希「おかしいと思わん?性の対象が目の前にいるのに」

海未「それは、同性だから、その…」

希「セックスが出来ないにしても、オナニーくらいなら出来るんやないかな」

希「あとは、その…舐めさせたりとか…」

真姫「…つまりどういうこと?」

希「真姫ちゃん言ってたやろ?」

『発症するのはペットとして飼われている動物が多いらしい』

『例えばだけど、犬からしてみれば一日中鎖に繋がれてたり、室内で家族に常に囲まれてたり』

『中々性欲を解消できないでしょうね』

希「って」

希「にこっちを気持ち良くさせてあげれば…」

真姫「治るかもしれないってわけね…」

希「どうやろ…?」

海未「確かにそう言われてみると…」

絵里「説得力はあるわね」

真姫「確かに可能性はなくはないわね」

真姫「もう少し詳しく調べてみるわ」

真姫「といっても人間がこうなったケースはほとんどないらしいから参考になるかわかんないけど…」

希「うん、ありがとう…」

真姫「別にお礼なんか良いわよ。私のためでもあるんだから」

希「んー?どういうこと?」

絵里「ふふっ、真姫ったらきっと照れてるのよ」

…。

なに、それ?

どういうこと?

私が海未を襲った?

私が希とエッチした?

どういうことよ…?

そんな記憶なんて…!!








ああそっか

記憶がないんじゃなくて私はただ忘れてただけなんだ

希の胸を見て顔が熱くなったのもお風呂場で寝てたのもこころやここあの前で記憶が少し飛んだのも

希が学校を休んだのも全部私のせいなんだ

ごめんね海未

ごめんね希

ごめんね

みんな

あ、忘れてました。

今日は以上で終わりです。

再開いたします。

よろしくお願いします。

ガラッ

にこ「もー、あんたたち遅いわよぉ!!」

いつもどおり。

私は何も知らないフリをしてればいい。

だって、私はなにも覚えてないんだもん。

なにも知らないんだもん。

海未「にこ…」

だから、そんな目で見ないで。

希「どうしたん?にこっち」

…希の優しそうな目も、今ではなんとなく蔑まれてるように見えちゃうわね。

不思議なものだわ。

ひとつ何かを知るだけで、人の心ってこんなに乾くものなのね。

…なんて、私にこんなこと言う資格なんてない、か。

元はと言えば、私が悪いんだもんね。

にこ「はぁ?時計見てみなさいっての」

理由なんてどうでも良くて。

結果が大事で。

思えば私、いつも結果ばかり追い求めてきたっけ。

真姫「…もう部活も終わりね」

スクールアイドルになったっていう結果。

No.1アイドルになるっていう結果。

過程なんて気にしたことなくて。

にこ「熱心なのはいいけど、時間は気にしなさいよね。怒られるの部長の私なんだから…」

だから、病気になった理由なんてどうでも良くて。

過程なんてどうでも良くて。

希を傷つけたっていう結果が大事で。

海未を傷つけたっていう結果が大事で。

絵里「…帰りましょうか」

病気になった過程なんてどうでも良くて。

海未「そういえば、ことりたちは?」

にこ「先に帰したわ。あとはあんた達だけ」

…これから大変そうね。

本当に今日で良かった。

にこの家

にこ「ただいまー」

こころ「にこにーおかえりー!」

ここあ「おかえりー!」

可愛い可愛い私の妹たち。

多分、もう会うことはないでしょうね。

だから、今だけは抱きしめさせて。

こころ「にこにー、どうしたの?」

ここあ「苦しいよー」

ごめんね、でも、きっと最後だから。

にこ「ごめんにこっ。二人とも可愛くてついねっ」

本当に、私によく似て可愛い。

なーんてね。

にこ「ママは?」

こころ「もう行ったよー」

にこ「そっかぁ」

ママはこれから一ヶ月間出張で帰って来れない。

…どうせだし、最後にママの顔も見ておきたかったな。

私には、そんな資格もないのかな?

…ごめんね、ママ。

こんな娘で。

にこ「さて、行きましょうか」

ここあ「にこにーはこないの?」

にこ「ん、にこにーはね、お留守番」

ずっと、ここで。

すみません。

所用により本日の更新はここまでにします。

短いですがありがとうございました。

長らく投稿出来ずにすみませんでした。

これから始めたいと思います。

翌日

昼休み

音楽室

真姫「にこちゃんが風邪で学校を休んだ?」

絵里「ええ、希のところにさっき連絡があったんだけど」

昨日はあんなに元気そうにしてたのに、なんで急に…。

まぁ、風邪だって言うならそうなんでしょうけど。

真姫「にこちゃんも風邪引くのね」

海未「夏風邪はバカが引くと言いますが…」

ってことはにこちゃんは冬に風邪は引かないのかしら。

ある意味羨まし…くないわね。

絵里「それで、真姫。聞きたいことがあるんだけど」

真姫「聞きたいこと?」

それを聞くためにわざわざここに集まったの?

真姫「昼休みに集めなくたって放課後でいいじゃない」

絵里「まぁ、早急を要することだから…」

なによ、歯切れ悪いわね。

真姫「それで、聞きたいことってなによ」

絵里「…にこの妹たちのことについてよ」

にこちゃんの妹?

海未「にこの妹がどうかしたのですか?」

絵里「その、にこは一日中家にいるわけでしょ?」

真姫「それが?」

絵里「何かがきっかけで妹さんたちを襲っちゃわないかなって思って…」

真姫「はぁ…」

深刻な顔してると思ったらこんな話なのね。

まぁ絵里らしいというかなんというか…。

真姫「人の心配より自分の心配しなさいよね」

真姫「いつ襲われるかわかんないんだから…」

海未「真姫、そんな言い方…」

真姫「別に妹さんたちが襲われてもいいってことじゃないわよ…」

真姫「絵里、あなたは身体が弱ってるときに興奮した覚えはある?」

絵里「最近の真姫はセクハラがひどいわね…」

真姫「あなたの質問に答えようと思ってるんだけど」

絵里「…ないけど」

真姫「それと同じよ」

海未「…えっと…、どういうこと、ですか…?」

真姫「にこちゃんが理性を失うのは興奮するからでしょ」

真姫「身体が弱ってるときに視覚だけじゃそんな余裕ないはずだわ」

それに自分の妹の身体で興奮するなんて…ありえないでしょ。

絵里「そ、そう…。ならいいんだけど…」

真姫「ま、放っておいてもいいんじゃない?」

ガラッ

希「はぁ…、はぁ…」

絵里「希、どうしたの!?」

希「絵里ち、やっと、見つけた…」

真姫「一体今度はなによ、騒々しいわね…」

希「ご、ごめん…」

いや、そんなにかしこまられても困るんだけど…。

真姫「それより絵里に用があるんじゃなかったの?」

希「ああ、うん…。絵里ちっていうか、みんなになんやけど」

海未「それはにこが休んだことと関係があるんですか?」

希「…ってなんや、みんな知ってたんやね」

真姫「さっき絵里から聞いたのよ」

絵里「ええ、みんなに伝えたほうがいいかと思って…」

希「だから最後まで話を聞かずに走ってったんやね…」

海未「それで、希の用件とは?」

希「ああ、うん。妹ちゃんたちのことなんやけど」

『妹たちは大丈夫
おばあちゃんの家に預けてきたから』

…にこちゃんにしては簡素なメールね。

ていうかたかが風邪で大袈裟すぎない?

ま、それだけ妹さんたちのことが大切なんだろうけど。

海未「絵里の杞憂でしたね…」

絵里「あはは…。ごめんなさい…」

…これで、よしと。

うん、外れない。

こころ、ここあ、ダメなお姉ちゃんでごめんね。

パパ、ママ、ダメな娘でごめんなさい。

けどね、ダメはダメなりに考えてみたの。

このままじゃ、みんなを傷つける。

記憶がないっていう記憶はちゃんとあるの。

生徒会室でのこと。

海未の家でのこと。

それから、屋上でのこと。

きっと私がひどいことしたのよね。

…みんなを笑顔にさせたかったのに。

ごめんね。

私、笑えない。

数日後

放課後

音楽室

真姫「今日もにこちゃんは休み、なのよね」

希「うん、そうやけど…」

ならちょうどいいわ。

聞かれる心配なんてないものね。

真姫「…ねぇ、多分今がチャンスだと思うわ」

絵里「チャンス?」

真姫「にこちゃんの病気を治すチャンスよ」

希「本当に!?本当ににこっちを治せるん!?」

真姫「ちょっ、落ち着きなさいよ!!」

希「あ、ごめん…」

海未「それで、真姫。チャンスとは…」

真姫「身体が弱っているうちに治してしまおうってだけよ」

真姫「風邪で弱ってるんなら性欲も減退してるでしょうし」

真姫「抵抗される前に、ね」

希「これ、薬…やんね?」

真姫「ええ。見ての通り薬よ」

絵里「これが、策…?」

海未「これは何の薬なんですか?」

真姫「感覚が鋭くなる薬よ」

海未「と、言いますと?」

希「媚薬ってこと?」

真姫「いや、違うわよ」

絵里「じゃあ気付け薬?」

真姫「それも違うわよ。あなたたち、私をなんだと思ってるの…」

海未「?」

真姫「あー…、えーっと」

真姫「この薬を服用すると触覚が研ぎ澄まされるの」

真姫「痛みも、痒みも、快感も」

絵里「結局興奮させるためのものじゃないの?」

真姫「だから違うわよ!!」

真姫「あくまで治療のためのものよ。触覚が鈍ってしまった人や完全に失ってしまった人に対して服用するのよ」

海未「ではこれをにこに飲ませて」

真姫「この薬には服用者を興奮させる作用はないわ」

真姫「だから、飲ませるだけじゃダメ」

真姫「飲ませた上で、直接手を加えなくちゃ」

けど感覚が鈍ってるっていっても、こんな薬を正常な人間に使ってしまったらきっと…。

…でも、治らないよりはマシよね。

にこちゃんには悪いけど、私だって自分が可愛いだけの人間なのよ。

他人の身を案ずるより、より確実に自分の身を守ることを選ぶわ。

真姫「ってまぁ、そんなこと言われても誰もやりたいなんて思わないわよね」

希「…うち、やる」

絵里「…希」

ま、わかってたけど。

希「だって、もしかしたらって可能性もあるやろ?」

海未「けど、それでは希が!!」

希「…大丈夫、うちはもう汚れてるから」

絵里「だけど、そんなの…」

希「絵里ち、わかって?」

絵里「…」

真姫「…決まりみたいね」

真姫「じゃあ希、これ」

希「…うん」

希「なーんて、受け取ったのはいいけど、こんな危なっかしいもん使えないよね…」

けど、どうしよう。

流石にこんなにいっぱいのお薬を手元に置いておくわけにもいかないし…。

…とりあえず、部室のロッカーでいいかな?








希「…これで良し、と」

にこっちのとこ、急がなきゃ。

ガラッ

…誰?

希「あれ、ことりちゃん」

ことり「こんにちはっ♪」

希「こんにちは、じゃなくて…」

希「練習はどうしたん?」

ことり「もー、それはこっちの台詞だよぉ…」

ことり「希ちゃんのグループも海未ちゃんのグループも最近ずっと練習遅れてくるんだもん…」

希「あはは、ごめんな…。色々立て込んでて…」

ことり「うん、わかってるよ」

ことり「希ちゃんが理由もなくそんなことするはずないもんね」

希「ことりちゃん…」

ことり「これからにこちゃんのところに行くんだよね!頑張ってね!」

希「うん、ありがと」



…あれ、ことりちゃんににこっちが風邪ってこと言ったっけ?

それに頑張ってって…。

いや、きっと海未ちゃんあたりが言ったんかな?

それより早くにこっちの家行かないと!




…あ、そうや。

風邪なんやったらおうどんさんでも作ってあげようかな?

にこっち、喜んでくれるといいなぁ。

本日はここまでです。

最近書き込んでなかった割に短くて申し訳ないです。

それでは、ありがとうございました。

長らくお待たせして申し訳ありませんでした。

本日20時から再開したいと思います。

20時になりました。

それでは再開いたします。

にこの家

玄関前

…ちょっと買いすぎたかな。

でも風邪治すにはしっかり栄養とって、しっかり寝なきゃいけないからね。

にこっちにはこれくらい食べてもらって、早く良くなってもらわんとね!

にしても真っ暗やなぁ。

買い物に時間かけすぎたかな?

…はぁ、やっと到着。

ぴんぽーん

あれ?

ぴんぽーん

…返事がない。

3日間も学校休んでるんやし当たり前かぁ。

それにメールも帰ってこないし…。

よっぽどひどい風邪なんかな。

これはうちの手厚い看病が必要やね。

そしたらにこっち、少しはうちに興味持ってくれるかな?

なーんて、あははっ。

…うちにそんな資格はないんよね。

うちにはにこっちを愛してるだなんて伝える資格は…。

きっとそれは一時の気の迷いで。

あの子がうちのこと頼ってくれるのが嬉しくて。

そう思い込んでただけで。

だから本当は好きじゃなくて。

希「悲しいなぁ…」

…ダメダメ。

今は泣いてる場合じゃない。

せっかくにこっちを治せるチャンスかもしれんのやから。

うちがにこっちのこと、『友達』としてしっかり治してあげないと。

にこっちの1番の『友達』として。

希「開かないよね…」

そう思って玄関に手をかけると。

がちゃっ。

開いた。

…まったく、不用心なんやから。

にこっち、しっかりしてるようで抜けてるところがあるもんなぁ。

やっぱり友達としてうちが側にいてあげないとダメやね。

友達として。

希「お邪魔しまーす」

返事がない。

にこっち寝てるのかな?

部屋も真っ暗やし。

希「電気電気…、いたっ!」

なんか踏んづけたみたい…。

これは掃除も必要かな?

パチッ

スイッチが渇いた音を鳴らす。

なに踏んだんやろ?

これって…鍵?

家の鍵…、とかやなさそうやね。

ってそんなことよりにこっちや。

どこにおるんやろ?

んー、こっち、かな?

…いない。

あははっ、なんかかくれんぼみたいで楽しいかも♪

なんて言ってる場合やなくて!!

にこっちの部屋にも、和室にも、キッチンにもいない…。

でも、靴はあって…。

てことはお手洗いかな?

流石にお手洗いのドアくらい鍵かけるよなぁ…。

ガチャリ

希「はぁ、やっぱり出かけたんかな」

あれ、でも一人やったら鍵かけんのやろか?

まぁ、そうだったら謝ればいっか。

そんなことを思ってもう少しだけドアを引くと。

ー重い。

なんだろう、何かが引っ張っているような。

隙間から中を覗き込めば。

希「なに…、これ…」

個室のドアノブに手を繋がれ、項垂れるにこの姿。

毎日手入れをしているはずの髪の毛はくしゃくしゃに乱れていて。

いつもオシャレに気を使っているはずのにこの服はくしゃくしゃで。

希はその惨状を目の当たりにし、その場に座りこむ。

立たなければ、立ってにこの元へ駆けつけなければ。

だけどどうやって?

ドアノブにはにこの腕とドアノブを結ぶ手錠が。

それでもどうにか扉を開けようと、思い切りドアノブを引っ張る。

それを何度か繰り返しているうちににこの身体は個室の外へと引っ張られ、どうにか希の身体の入る隙間ができる。

「にこっち!!にこっちぃ!!!」

必死ににこの名を叫ぶも返事はない。

このような状況に立たされ、希の頭の中では情報量がオーバーしている。

冷静さなど欠片もなく、誰かに助けを呼ぼうなどという発想もなく。

ただただにこの名前を叫んだ。

にこの顔にかかる髪を指でかき分け、にこの顔を両の手で挟む。

その顔色は、限りなく土の色に近い。

「返事してよぉ!!にこっちぃ!!!」

希は大粒の涙を流しながら親友の名前を叫ぶことしかしなかった。

「…しに…、か…いで…」

不意に聞こえた音。

その音は今にも消え入りそうな小さな音で。

「にこ、っち…?」

にこの口から発せられた音のような気がして。

溢れる涙を流したまま、にこの口元へと耳を近づける。

すると

「わたしに、ちかづかないで」

確かにそう聞こえた。

「なに、言ってるの…?」

希は意味がわからないと言った様子で、その言葉に対して疑問を投げかける。

にこの口からはその質問に対する答えは返ってこなかった。

虚ろな目をし、にこは名前を呟く。

「…き、ちゃ…」

「…」

次第にそれは小さくなっていき、にこの口からはただ吐息が漏れるだけとなった。

「『うちが』助けてあげるから…!!」

希はそう呟いてにこを抱き締める。

二人だけの空間。

にこが自分のことを頼るしかない。

にこには自分しかいない。

彼女はなにもしてあげることなんてできない。

自分だけが、にこを救える。

希はそんな錯覚に陥った。

「にこっちには、うちがいるからね」

希の家

にこ「ん、んん…」

真っ白な天井…。

ここって私の家…、じゃない?

あれ、なんで私ベッドで…。

がちゃっ

扉の開く音がする。

…誰?

希「にこっちぃ…!!」

な、なんで泣いてるのよ…。

…って、原因は私か。

涙で顔をぐちゃぐちゃにしたまま、希は私をぎゅっと抱きしめて。

希「にこっち、にこっちぃ…!!」

ただただ私の名前を呼んで。

にこ「…なんで…」

すっごく嬉しかったけど。

受け入れたくなくて。

受け入れるわけにはいかなくて。

にこ「なんで、助けたの…」

本当は怖かった。

このまま誰にも知られず死ぬんじゃないかって。

だけど、知らないうちにみんなを傷つけてしまう方がよっぽど怖くて。

助けられてしまったなら、今度は嫌われてしまえば良い。

二度と私の顔を見たくなくなるように。

二度とこんな優しさ、私に向けたくなくなるように。

希「…にこっちは、怖かったんよね」

…。

希「自分が知らないうちに人を傷つけることが」

希「自分の大好きな人たちを傷つけてしまうことが」

希「自分の大切なものを壊してしまうことが」

違う。

にこ「そんなんじゃ、ない…」

思ったように声が出ない。

きっとこれは喉が渇いたせい。

希「だから妹ちゃん達をおばあちゃん達の家に預けて」

希「それで、一人で…」

にこ「違う。私は」

なんて言ったけど。

何が違うんだろう。

にこ「…」

言葉が出てこない。

嫌われなきゃ、嫌われなきゃ、嫌われなきゃ。

希「無理せんでいいんよ。にこっちは本当は優しい子やって、うちは知って」

にこ「違う!!私は、一人になるのが嫌だっただけで!!」

声が掠れる。

喉がヒリヒリする。

だけど、伝えなきゃ。

私はわがままで自分勝手な人間なんだって。

一人に戻りたくなかっただけだって。

別に、あなたたちのことなんか全然大切なんかじゃないって。

なのに。

にこ「…っ」

なんで言葉が出てこないの?

希「だったらなんで自分から一人になったん?」

わからない。

希「にこっちは一人になるより、みんなを傷つけることがずっと怖くて…」

違う。

希「だから一人になることを選んだんやろ?」

私はそんな人間じゃ…!!

私を抱きしめた希の腕に力が入る。

希「にこっちは、もうひとりじゃないよ」

目頭が熱い。

希「あの頃とは違う」

瞼から涙が。

希「一人になろうとしなくていいんよ」

止まらない。

希「もうひとりじゃなくていいんよ」

私は両腕に力を込め、希を抱きしめた。

ここにいる「友達」を手放したくないから。

ここにいる「友達」を近くに感じたいから。

今日はおしまいです。

途中で更新が滞ってしまいまして申し訳ありませんでした。

間隔空きまして申し訳ないです。

再開いたします。

うち、にこっちの居場所守ったよ?

大変だったんやからね。

なーんて、少し恩着せがましいかな、あははっ。

うちはにこっちのことが好きやから。

にこっちのことが大好きやから。

ただ側にいたいだけなんよ。

今やったら、許してくれるかな。

希「にこっち…」

にこ「…うん」

希「うち、にこっちのこと…」

にこ「希は私の大切な「友達」よ…」

…わかってた。

にこっちがうちのことを好きじゃないのは。

けど、せめて最後まで言わせてな。

希「大好き」

そう言ってにこっちを抱きしめる腕を強める。

にこ「…」

にこっちが死ぬことを選ぶなら。

うちだって死ぬことを選ぶ。

そのくらい大好きだ。

だから、一人で死なないで。

希「大好き」

希「…なーんて、いきなりごめんな」

にこ「…ごめん」

希「謝んないでよ。余計惨めな気持ちになるから」

そう言っていつものようにおどける。

不思議と涙はでてこなくて。

希「じゃあうちから一生に一度のお願い」

にこ「…希にはきっとたくさんの迷惑かけたもんね。出来る限りのことなら…」

希「キス、しよ?」

にこっちの身体が、一瞬強張った気がした。

希「ああ、大丈夫。寝てる間に治すためのお薬、飲ませといたから」

本当は嘘なんだけどね。

だから、うちとのエッチでにこっちを治してあげる。

これが、最後のエッチかぁ。

めちゃくちゃにされるの、嫌いじゃなかったよ。

ううん、むしろ…。

にこ「…わかった…」

そう言ってにこっちはキュッと目をつむって、唇を尖らせる。

なんか悪いことしてる気分やなぁ。

希「あはは、にこっちからしてくれるんやないんや…」

にこ「…いいから、早く…」

希「…うん」

小さく頷いて、にこっちの唇へとうちの唇を近づける。

そのまま唇を合わせずに、にこっちの耳元へと。

あ、でもー。

私の中の悪魔が囁く。

もっといいこと思いついちゃった。

これから何度もエッチができる。

すごい方法。

これで邪魔者はいなくなって。

にこっちはうちの元へ戻ってきて。

それに反対する天使なんて、私の中にはいなかった。

それくらい、心は渇いていて。

希「じょうだーん♪」

にこ「…はぁ!?」

にこっちの耳元から顔を遠ざけ、くすりと笑う。

希「うちがそんなに卑怯な女やと思ってたん?」

卑怯じゃなくて、計算高いって言うんよ?

にこ「だって、あんたがしたいって!!!」

希「んー?なにをー?」

にこ「それは、その、えっと…」

希「んー?」

にこ「その、キ、ス…」

希「はい、よくできました」

そう言ってうちは得意気な顔のままにこっちの頭を撫でる。

にこ「子供扱い、すんじゃないわよっ!!」

にこっちがパシリとうちの手を払いのける。

ふふっ、いつもの調子に戻ってきたみたいやね。

うちが好きなのは、そんなにこっちよ?

にこ「なにがおかしいのよ…」

希「ううん、それでこそにこっちやねって」

にこ「あっ…」

にこっちはハッとした顔をして、目線を下に落とす。

にこ「…本当にあんたには敵わないわね…」

ふふっ、褒め言葉として受け取っておくな。

希「にこっち」

にこ「…なに?」

希「真姫ちゃんのこと好きなん?」

にこ「…は?」

希「うちを振ったんやもん。それくらい答えてくれても良いやん?」

にこ「…違うわよ」

希「そっかぁ…、残念やなぁ」

にこ「いきなりどうしたのよ?」

希「最近、真姫ちゃんとよく話すんよ」

にこ「…」

希「…にこっちについて」

にこっちの目が少し大きく開いた気がした。

やっぱり、思った通りや。

希「告白する気はないん?」

にこ「…だって私なんか」

希「でも、真姫ちゃんは毎日にこっちの話してくるんよ?」

希「内容までは言えないけど…」

にこ「…でも」

希「うちを振ったくせにー」

にこ「ああああああっ!!!もう、分かったわよ!!!」

ふふっ、それでこそにこっちやね。

そういうのせられやすいところ、大好きよ。

にこ「でも、私告白なんてしたことないし…」

希「そうやなぁ…。いきなりキスとかどう?」

にこ「はぁ!?頭おかしいんじゃないの?」

希「えー、心外やなぁ。真面目に考えたつもりやのに」

にこ「どこがよ!?」

希「だってにこっち、真姫ちゃんにいきなりキスされたらどう思う?」

にこ「…」

希「赤くなっちゃってぇ。にこっちって案外ウブ?」

にこ「う、うるさぁーい!!」

やっぱりにこっちって扱いやすい。

…あ、そういえば聞きたいことがあるんやった。

希「ところでにこっちはなんでトイレなんかにいたん…?」

にこ「えっ!?あ、いや、それは…」

希「それは?」

にこ「発見された時にお漏らしとかしてたら格好悪いでしょ!!」

ふふっ、にこっちらしいなぁ。

あんな、にこっち。

にこっちはどうしても欲しいものがあったらどうする?

もしもそれを他の人が持ってたら?

きっと、にこっちは奪い取るって答えるんやろなぁ。

ちなみにうちは、時間をかけてゆっくりと、かな?

真姫ちゃんのこと、信じてるからね♪

数日後

放課後

音楽室

はぁ…、遅いわね…。

いつまで待たせんのよ。

呼び出しといて待たせるなんて、本当に良い度胸してるわね。

にこちゃんの癖に…。

いや、にこちゃんだからか…。

にこちゃんからは色々話も聞きたいし、こっちとしても好都合だけど。

確か希が話を通しておいてくれたんだっけ。

希もにこちゃんもこういうの、嫌がりそうだけど…意外ね。

ま、良いか。

面倒臭いのは私も好きじゃないし。

ガラッ

はぁ、やっと来たのね。

にこ「真姫ちゃん…」

真姫「調子はどう?」

にこ「うん、まぁまぁ、かな…?」

にこちゃんの顔が赤い…。

まさか、まだ治ってない…なんてことはないわよね。

希があれだけ意気込んでたんだし、放置するのも危険だってわかってるはずだし。

でも、なにをしても気持ち良くないってどんな気分なのかしら。

それに治ってなくてもなにも感じないんじゃきっと性欲もなにもないわよね。

だから顔が赤いのも別に発情してるわけじゃないはず。

…まぁなんでもいいわ。

考えるだけで寒気がする。

にこ「真姫ちゃんのこと、希に聞いたよ」

真姫「…そう。なら話が早いわ」

にこ「まさか、真姫ちゃんがそんな風に思ってくれてたなんて知らなかった」

思って「くれてた?」

なにを言ってるのかしら。

それともにこちゃんは変わった性癖でも持ってるのかしらね。

にこ「えっと…、目をつむって?」

真姫「はぁ?なんでよ?」

にこ「あげたいものがある、から…」

真姫「…早くしなさいよ」

そう言って私は目をつむり手を差し出す。

にこちゃんがくれるもの、ねぇ…。

ロクでもないものじゃないといいんだけど。

顔の前に気配を感じる。

にこちゃんの吐息が近い。

え、なんで?

目を開けると同時に。

唇に柔らかい感触がした。

本日はここまでです。
ありがとうございました。

なかなか更新できずにすみません。

色々と予定が重なっておりまして暇を作ることが出来ませんでした。

本日でラストの更新です。

生徒会室

ふふっ、今頃にこっちと真姫ちゃんはお楽しみかな?

せっかくうちが準備してあげたステージ、存分に楽しんでな♪

真姫ちゃんにはつらいかも知れんけど…、アイドルって言うのは今も昔もそういうもんなんよ。

絵里「希、そっちはどう?」

希「んー、もう終わりそうよ」

こうして真面目に生徒会の仕事をするのも何日ぶりやろ。

別にしたくなかったわけやないけど、色々あったし…。

それに絵里ちだってわかってくれるよね?

だって、うちは身体を張ってにこっちやみんなを守った、ってことになってる「はず」やもんね。

絵里「…ねぇ、希。」

希「んー?どうしたん?」

絵里「身体の方は本当になんともないの?」

希「あはは、大丈夫や。
心配しすぎよ?」

そもそもあの薬だって使ってないんやから。

今頃部室のロッカーに…ってそろそろ回収しなきゃいかんね。

絵里「なんともないならいいんだけど…。」

希「あはは、本当に心配性なんやから」

絵里「そりゃ心配にもなるわよ。
だって希は私の…」

希「んー?なにー?」

絵里「ふふっ、なんでもないわ

希「変な絵里ち」

絵里「希に言われるなんて心外ね」

希「えー、どういう意味なんー?」

絵里「あっ、そうだ、希。」

絵里ちが何かを思いついたようにうちに話しかけてくる。

もしかしてまた仕事なん…?

絵里「お祖母様からロシアの茶葉が送られてきたの。どう?」

あ、違った。

でも…

希「こんな暑い時期にお茶かぁ…」

絵里「でもロシアのお茶ってなんとなくスピリチュアルな感じしない?」

希「あははっ、それは確かになぁ」

絵里「でしょ?だから希に飲んでもらいたくて」

絵里ちってば強引やなぁ。

まぁ、そんなところも好きやけど。

あ、けど勘違いせんといてね?

うちは友達として絵里ちのことを好きなんよ。

…絵里ちはうちのことどう思ってるんやろ。

ま、いっか。

絵里「はい、どうぞ」

希「あ、ありがとう」

…なんか普通の紅茶みたい。

あんまりロシアの要素ないかも…。

絵里「あ、ロシアっぽくないって思ったでしょ?」

希「えっ?あっ、そんなことないよ?」

絵里「ふふっ、隠さなくていいわよ。私だってそう思うし…」

絵里「あ、でも。飲んでみて?」

希「あ、うん…」

絵里「…どう?」

希「なんていうか、変わった味…」

絵里「別に無理して飲まなくてもいいわよ?」

希「ううん、いただくよ。せっかく絵里ちが入れてくれたんやし」

絵里「…希ならそう言ってくれると思ってたわ」

なんか薬みたいな味やなぁ…。

…でも今日は我慢したげる。

だって、やっと欲しいものが手に入るんだし。

希「ふふっ…」

なんて考えてたら少し笑みがこぼれて。

何か少し恥ずかしいなぁ。

絵里「どうしたの?急に笑い出したりして…」

希「あはは、ごめんごめん。何でもないんよ」

絵里「嘘ね。希のことならお見通しよ?」

希「えー、絵里ち、そんなにうちのこと好きなん?」

なんていつものノリでおどけて聞いてみれば。

絵里「ええ、大好きよ」

ーぞくっ。

背筋に悪寒が走る。

神経が研ぎ澄まされたかのように触覚が敏感になって。

パイプ椅子の冷たさ、身につけている衣服の擦れ、床の硬さ。

すべてを敏感に感じる。

絵里「なんで希がそんなに嬉しそうなのか当ててあげるわ」

絵里「そうね。…欲しいものが手に入るから…、なんてどうかしら?」

ーえ?

絵里「ものって言っても『物』じゃなくて『者』よね?」

絵里「今頃にこは真姫とお楽しみかしら?」

どうして、それを。

絵里「なんで知ってるかって?」

絵里「私ね、病気なの」

絵里「希のことならなんでもわかる」

絵里「恋の病」

絵里ちがうちに…恋…?

絵里「でも好きな人とはいえ、私の大切な友達の気持ちを弄んだ罰は受けてもらわないとねぇ?」

絵里「ごめんね、希。私も本当はこんなことしたくないの」

そういって絵里ちはうちに近づいてくる。

身体に力が入らない。

なんで、どうして。

そして唇が重なる瞬間に。

「病気だから仕方ないわよね?」

以上で終わりです。
読んでくださりありがとうございました。
裏でいろいろやっている方々もいらっしゃるので、時間に余裕のあるときに書きたいなと思います。
また、書いている途中に期間が飽き過ぎてしまい申し訳ありませんでした。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年11月12日 (水) 16:31:08   ID: LcU7pZ5r

最高
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