【新世紀】時そば【エヴァ落語】(40)
もーしもーねがいーひーとーつだけー
かなーうぬあーらーあー
やーやー諸君、どうもどうも、婆無空変亭マリちゃんでございまーす
時は金なりって言葉を知っているかにゃ?
時間はお金と同じくらいの価値があるから時間を大切にしなさいって
いう昔の人のありがたーい言葉なんだよ
今の世の中は一日が二十四時間って事になってるけど
昔はにゃんと十二時(じゅうにとき)って言って時間の単位が半分しかなかったんだよ
青葉爺さん「婆さん今何時(なんどき)だい?」
日向婆さん「丁度8つ時ですよ」
青葉「そうか、孫たちにおやつをあげておくれ」
なんて事からおやつって言葉だけがのこっちゃってるんだよねえ
それでこの時代の江戸っ子君たちはお蕎麦が大好きだったんだよ
夕方から夜に変わる黄昏時って奴になるとお蕎麦屋さんが江戸の町を
流して売ってたんだけど
このお蕎麦の事を二八蕎麦って呼んでたんだよ
なんで二八蕎麦って呼ぶかっていうとね
麺の割合が蕎麦粉は8分でうどん粉が2分だからとか
値段が16文と決まってたから2×8で16だから二八蕎麦だとか言われてるんだよねえ
まあどっちが本当かは分んないしどうでもいいんだけど
あんまりおいしくなかったんだって
でも冬の寒い時にお腹が空いていたら温かいものってもう存在自体がありがたいんだよね
ゲンドウ「…………」
アスカ「あ、蕎麦屋さん蕎麦屋さん、こっちよー」
ゲンドウ「毎度」
アスカ「蕎麦屋さん、何ができるの?」
ゲンドウ「すまない、メニューは蕎麦だけだ」
アスカ「あら、こだわってていいじゃない!それにしても寒いわね」
ゲンドウ「ああ」
アスカ「どう?商売の方は?」
ゲンドウ「ああ、芳しくない…問題だ…」
アスカ「そう、それはよかったわね」
ゲンドウ「…私は芳しくないと言ったのだが」
アスカ「だから良いのよ!昔から日本では言うでしょ?」
アスカ「人間万事塞翁が馬って、良いあとは悪い!悪いあとは良いって決まってんだからすぐ良くなるわよ」
アスカ「飽きずにやらなきゃだめよ!商いって言うぐらいなんだから」
ゲンドウ「うまい事をいうな」ニヤ
アスカ「あらここの看板なんて読むの?的に矢が当たってるわね」
ゲンドウ「当たり屋だ、贔屓に頼む」
アスカ「あらあ!丁度いいわね、アタシこれからちょっと賭場にいくのよ!」
アスカ「これから一勝負って前に当たり屋に会えるなんて今日はついてそうね!」
アスカ「これからアンタんとこの看板見たらちょくちょく寄らせてもらうわよ」
ゲンドウ「ああ、問題ない…待たせたな」
アスカ「あら?もうできたの?早いわねえ」
アスカ「こうでなくっちゃね!アタシ独逸っ子だから短期なのよ、まあ物によっては待たせないといけない物もあるけど蕎麦は早くないとね」
アスカ「どうかするとすっごく遅い蕎麦屋があるものよね」
アスカ「催促して、まだできない、また催促をする、まだできないなんて」
アスカ「食べたいものも食べたくなくなっちゃうのわよ」
アスカ「あら…関心ね!割り箸を使ってるなんて、商売上手ねえ」
アスカ「この辺蕎麦屋は多いけどみんな割った箸を出してくるのよ」
アスカ「誰が食べたか分らない箸でこのアタシに食べろってのよ!信じられる?」
アスカ「それに丼まで綺麗なのねえ!物は器で食わせるっていうものねえ」
アスカ「中身は多少悪くても器が良けりゃおいしく感じるのよー」
アスカ「いっただっきまーす」
アスカ「いい匂いねえ、かつお節奮発してるわね」
ゲンドウ「わかるか?」
アスカ「わかるわよ!何杯の蕎麦を食べてきたと思ってるの匂いだけでも中身の良しあしくらいわかるわよ」フーフーズルズルっ
アスカ「ん~おいしい!いいつゆ加減ね!本当いい出汁を使ってるわね、蕎麦も細いし」
ゲンドウ「ああ」
アスカ「蕎麦は細くないとね、この前こんなに太い蕎麦食わされたのよ!うどんかっての」ズルズルー
アスカ「うーんコシもあってポキポキねー」
アスカ「ん~おいしいわね、アンタの前だけど流しの蕎麦ってまずいのよねえ」
アスカ「あっ、アンタんとこは別、もう本当に常連になるからね」
ゲンドウ「ああ、問題ない」
アスカ「ちくわもこんなに厚く切って採算とれんの?余所じゃちくわ麩使ってる奴もいるのよ」ズルズルーゴクゴクゴク
アスカ「ふーもう一杯って言いたい所だけど余所でまずい蕎麦食わされたのよねー」
アスカ「口直しだったから悪いけど一杯で勘弁して」
ゲンドウ「ああ、その為の当たり屋だ」
アスカ「ふーん、いくらなの?」
ゲンドウ「16文だ」
アスカ「16文ねお金が細かいから間違えないように数えるから手をだしなさい」
ゲンドウ「ああ」スッ
アスカ「16文だったわね,1つ2つ3つ4つ5つ6つ7つ8つ…蕎麦屋さん今何時?」
ゲンドウ「9つだ」
アスカ「10、11、12、13、14、15、16じゃあね」ピュー
これを蕎麦で…じゃないやそばで見ていたのがちょっと捻くれてるけど
なんとなく守ってあげたくなるような可愛さをいかんなく発揮する少年だったのにゃ
シンジ「それにしてもアスカ、よくしゃべったなあ」
シンジ「最初から最後までペラペラペラペラよく初対面の人とあんなにしゃべれるなあ」
シンジ「いつもはそんなにおしゃべりじゃないのに」
シンジ「お世辞が過ぎるからもしかしたら食い逃げでもするのかと思ったけどそんなことも無いし」
シンジ「お客さんならお客さんらしくお世辞なんか言わずに黙っててもいいのに」
シンジ「寒いなんて分りきってるし蕎麦屋さんが寒くしたわけじゃないのに…」
シンジ「冬はさむいって決まってるよ」
シンジ「的に矢が当たってて当たり屋…コレから博打…未成年なのにいいのかな?」
シンジ「それに行きに当たり屋にあったからって賭けに勝ちやすくなるわけないよ」
シンジ「割り箸が割ってなくて丼がきれいでおつゆがおいしくてお蕎麦が細いなんて当たり前の事ばっかりだよ」
シンジ「ちくわが本物でもう一杯食べたいけど他でまずい蕎麦を食べたから一杯でかんべんしてなんて」
シンジ「なんで謝る必要があるんだよ…なんだかおかしいな今日のアスカ」
シンジ「それで値段を聞くなんて…この辺の蕎麦屋さんは皆16文って知ってるだろうし」
シンジ「無駄な手間を嫌うアスカがわざわざ数えるなんて、熱でもあるのかな?」
シンジ「あのグラサンもグラサンだよっ!大の大人が子供みたいに手を出して待っちゃって、気持ちが悪い!!」
シンジ「1つ2つ3つ4つ5つ6つ7つ8つ…蕎麦屋さん今何時?」
シンジ「10、11、12、13、14、15、16って数えたと思ったらすぐに帰っちゃうし」
シンジ「あれ?アスカ変なタイミングで時間を聞いたんだな」
シンジ「1つ2つ3つ4つ5つ6つ7つ8つ今何時…9つ時」
シンジ「ははっアスカの奴あんなに間違わないように数えてたのに間違えてる、ソーセージばっかり食べるからこうなるんだ」
シンジ「9が抜けるなんてまぬけだなあ…あれ?1文足りないなあ」
シンジ「1つ…2つ…3つ…4つ…5つ…6つ、あっそうか!まぬけなのは蕎麦屋さんの方だよ」
シンジ「1文誤魔化したんだ!そうかだからあんなに褒めてたんだ、蕎麦屋さん一生気づかないよ…」
シンジ「話しの持っていき方がうまいもん、7つ、8つ、今何時?9つ…でもこれなら僕にもできそうだな」
シンジ「よし明日やってみるぞ」
そして次の日少年は15文を握りしめて寒空の下蕎麦屋さんが来るのを待ったのでした
加持「そば~あったかい蕎麦だよ~」
シンジ「待ってましたー!蕎麦屋さんこっちです!」
加持「毎度どうも」
シンジ「何ができるんですか?何々蕎麦にカレー蕎麦、タンタン蕎麦、ペペロンソーバ…」
シンジ「えっと、こだわり無い…じゃなくていっぱいできるんですね、普通の蕎麦でお願いします」
シンジ「それにしても寒いですね」
加持「いいや、今夜はあったかいよ」
シンジ「そ、そうですね…昨日は寒かったですね」
加持「ああ、震えるほど寒かったね」
シンジ「どうですか?御商売の方は?」
加持「ん?俺はお得意さんがいるから順調だよ」
シンジ「…なんかうまくかみ合いませんね」
加持「へ?」
シンジ「でもですね、景気がいいからって言って安心しちゃだめですよ!」
加持「人間万事塞翁が馬っていうからねえ」
シンジ「うっ、そうですね、良いあとは悪い、悪いあとは良いんですから、悪くても頑張らないと駄目ですよ、飽きずにやらなくちゃ」
加持「そうだな、商いっていうくらいだからね」
シンジ「あ…そうですね…」
シンジ「(知ってたのか…)」
シンジ「次は看板の方に行きますよ、えーっとこの女の人が寝そべってますけどなんて読むんですか?」
加持「ああ、うちは寝る婦屋ってんだ」
シンジ「いい名前ですね、ねるふ…ねるふ…あのえっと特に無いですけどいい名前だと思います…」
加持「ああ、ありがとよ」
シンジ「看板なんてどうでもいいですよね、蕎麦はまだですか」
加持「ああ、お湯を冷ましたかもう少し待ってくれよ」
シンジ「はあ、ゆっくりやって下さいよ、僕気が長いですから」
~30分後~
シンジ「と言いましたけど長すぎませんか、さすがに…」
加持「ああ、おまちどうさん」
シンジ「待ってました、あなたの前ですが近所の蕎麦屋さん、みんな割り箸が割ってあるんですよ」
シンジ「誰が食べたか分らない箸で食べるなんて嫌ですよね、それに比べて此処のは…割ってありますね…うん」
シンジ「いや、本当はこっちがいいんです、割る必要が無いですもんね…」
シンジ「物は器で食わせるっていいますもんね、味がちょっと悪くても器が良かったらおいしく食べ…うわあ汚い丼だ!」
シンジ「凄い…ヒビだらけだ、徹夜帰りのミサトさんみたいだ…」
シンジ「それに口つけるところが欠けてる、口が切れちゃうよ」
加持「悪いね、丼変えようか?」
シンジ「大丈夫ですよ、こうやって回して欠けてない所で…まんべんなく欠けてますね…なんで粉々にならないんだろう?」
シンジ「ま、まあ中身がおいしければいいんですよね、丼なんてどうでもいいですよね」
シンジ「いいにおい…僕蕎麦っていっぱい食べるんですよ、だから匂いでいいか悪いか大体」ズルーっ
シンジ「うへえっ!お水下さい!お水」ゴクゴク
シンジ「しょっぱい蕎麦なら食べたことありますけど苦いなんてビックリしましたよ、もう」
シンジ「何を出汁に使ったらこうなるんだろう」
シンジ「つゆなんかどうでもいいですよね、蕎麦が大切ですもんね」
シンジ「さっきも言いましたが僕蕎麦はいっぱい食べてますけど細い蕎麦が大好きで…ふ、太い…」
シンジ「うどんじゃないんですよね?太いな~エントリープラグくらいはあるよ…」
シンジ「で、でもこの方が麺もコシがあっておいしいんですよ」ズルズル
シンジ「…………………べとべとだ、なんだよこれ、まずいよ…」グスっ
シンジ「ちくわですよ!ちくわ!余所じゃちくわの代わりに麩なんて使ってるんですよ!鯉かチクショーってね!」
シンジ「それに引き替えココのは…チクショーっ!やっぱり麩かよ!大体予想できてたよ!!」
シンジ「ううっ、グスっちくしょう…もう一杯ってグズっ言おうと…おも…けどまずい蕎麦…から…勘弁して」
加持「なんかすまなかったな、勘定してもらっていいかい?」
シンジ「それですよ!それ!ヨッ待ってました!幾らですか?」
加持「ああ、16文もらえるかい?」
シンジ「よーし、お金が細かいから間違えないように数えますから手を出して下さい」
加持「俺にはここでお代をもらうことしかできない」
シンジ「えーと1つ2つ3つ4つ5つ6つ7つ8つ…蕎麦屋さん今何時ですか?」
加持「あー確か4つ時だったかな」
シンジ「4つ!?5つ6つ7つ8つ…チクショウ…」
おあとがよろしいようで
マリ「やっほーお疲れ―、あたしの話しどうだった?」
アスカ「さあ?いいんじゃないの」
マリ「え~姫なんか冷たいにゃ~」
シンジ「僕はよかったと思うよ」
シンジ「おっ!ありがとよ、わんこ君大好きだぜ~」
アスカ「ふんっ、女なら誰にでも媚びるのね!あんたって」
シンジ「媚びるってなんだよ!僕はいいと思ったから真希波を褒めただけだよ」
アスカ「なによ!アタシの時は文句しか言わなかったくせに!」
シンジ「それはアスカのが個性的だったから…」
ミサト「ハイハイ…夫婦喧嘩は余所でやってね…」
アスカ・シンジ「夫婦げんk…うっ」
アスカ「どうしたのミサト?そんなにやつれて…」
ミサト「ちょっち司令にどやされてね…」
シンジ「何かあったんですか?」
ミサト「今回の公演の実入りが思ったより少ないのよ」
ミサト「それで今後の結果によっては来月の慰安旅行先が変わるかもしれないって…」
シンジ「ああ、あのドイツに旅行するって言ってたやつですか」
ミサト「場合によっては国内…最悪第三新東京の日帰りバスツアーになるかもって…」
アスカ「えー?何よそれ?せっかく新しいゴロゴローってなるの買ったのに」
シンジ「ていうかそこから費用捻出されてるんですね…」
シンジ「次の公演って誰ですか?」
「私が行く」
ミサト「え?」
『最終話 シン・ヱヴァン落語 本日公開』
終了
今日中にあげる予定やったけど予定入ったやから
来週くらいに延期やで
すまんな
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