勇者「旅の仲間は女騎士、女退魔師、女教師か。……女教師?」(22)

勇者「仲間にしちゃってから言うのもアレだけど、なんでこの3人を推薦されたんだろう」

女騎士「どうした、勇者殿。わたしたちに何か問題が?」

勇者「ああいや、君はいいわ。騎士なら剣の腕もそれなりだろうし、頼りになりそうだ」

女騎士「ふむ、そうか。この日のために鍛えてきた剣技、必ずや勇者殿の役に立ててみせよう」

勇者「ああ、よろしく頼む。で、他のメンバーだけど……」

女退魔師「何? わたしに何か不満でも?」

勇者「いや、不満っつーか……退魔師って、何?」

女退魔師「読んで字の如く、魔物を退治する専門家よ」

勇者「具体的には、どうやって?」

女退魔師「魔法で」

勇者「ああ、魔法使いね。それならわかる。うん、この人も頼りになりそうだ」

女退魔師「ええ、任せて頂戴」

勇者「さて」

女教師「?」

勇者「教師って、何?」

女教師「あ、はい。学校で生徒に勉強を教える、教職員です」

勇者「学校の先生ってことだよな」

女教師「そうとも言いますね」

勇者「あ、あれか? 剣術学校とか、魔法学校とか?」

女教師「いえ、普通の学校ですけど」

勇者「何を教えてんの?」

女教師「ひと通り全部できますけど、体育は少し苦手です。得意科目は外国語です」

勇者「あ、そう……」

女教師「勇者様のお役に立てるように頑張ります!」

勇者「ああ、うん。頑張ってくださいね」

勇者「さて、改めて……出発前に、気合を入れとくか。……女騎士! その剣の腕、頼りにしてるぞ!」

女騎士「無論だ。大船に乗ったつもりで安心していてくれ」

勇者「女退魔師! 魔物退治の専門家としての技術、存分に揮ってくれ!」

女退魔師「ふっ、魔物ごとき、指一本触れさせずに倒してみせるわ」

勇者「そして女教師!」

女教師「はいっ」

勇者「えーと……」ジー

女教師「?」

勇者「えーと……おっぱいでかいっすね。ちょっと触ってみていい?」

女教師「いや、なんでですか。嫌ですよ」

勇者「ですよね。えっと……まあいいや。では出発!」スタスタ

勇者「まあ何でもいいや。さあ、こっからはちょっと巻きでいくぞ」スタスタ

女騎士「急ぐのか?」

勇者「こんな出オチみたいな面子で長々と続けてもgdgdになって飽きるだろ」

女騎士「ふむ、よくわからないがそういうものなのか」

勇者「っと、さっそく敵が出たぞ」

女騎士「むっ、戦闘か」

女退魔師「あれは、オークだわ。わたしの魔法で……」

女騎士「わたしに任せろ!」ダダッ

勇者「あ、おい……」


女騎士「うわ何をするやめろっ」

オーク「グヘヘヘつかまえたー」

女騎士「くっ殺せっ」

オーク「グヘヘヘ」パコパコ

女騎士「ううっ……騎士ともあろうものが、魔物ごときにあんな辱めを……」トボトボ

勇者「まあ現れたのがオークという時点でそうなる気はしてた」

女教師「あっ、また魔物が! なんか気持ち悪い触手がウネウネと蠢いてますっ!」

女退魔師「今度はわたしに任せて!」ダダッ

勇者「あ、ちょっと待……行っちゃった」


女退魔師「きゃあああっ! だめっ、そんなの入らないっ」

触手「ウネウネ」グチュグチュ

女退魔師「いやああああ」


勇者「ああ……まあ、こうなるよな……」

勇者「あ、また何か現れた」

女教師「あれは……男子生徒ですねっ。今度はわたしが行きます!」タタッ

勇者「いや、えっと……うん、もういいや、行ってきて」


女教師「わ、わたしをどうするつもり!? こんな、体育倉庫なんかに連れ込んでっ!」

男子生徒「へっへっへっ。騒いでも誰も来ないぜ」

体育教師「おいっ、そこで何をしてる!」

女教師「あっ、先生、助けてくださいっ」

体育教師「なんてな。よしお前、足押さえてろ」カチャカチャ

女教師「いやあああっ」

女騎士「はぁ……」トボトボ

女退魔師「……」トボトボ

女教師「ううっ……」シクシク

勇者「まあ、なんつーか、相手が悪かったな。しょうがないよ」

勇者「あ、そうだ。そうそう、相手が悪いんだよ。あいつらって君らの天敵みたいなもんだし」

勇者「次は担当を替えてみたらどうだ?」

女騎士「担当を……?」

女教師「わたしは3年B組の担任ですけど」

勇者「話がややこしくなるからあんたは黙っててくれ」

勇者「つまり相性の悪い組み合わせを避けて戦えばいいんだよ」

女騎士「なるほど……では、次からそうしよう」

女教師「あっ、また触手の魔物が出ました!」

女退魔師「魔物!? よし、わたしが……」

勇者「いや、なんで行こうとするんだよ。話聞いてろよ」ガシッ

女退魔師「行っちゃだめなの?」

勇者「だめだよ」

女退魔師「じゃあどうするの?」

勇者「女騎士、行ってこい」

女騎士「わたしか。よし、汚名返上だ。魔物め、覚悟しろ!」ダダッ


女騎士「はぁーっ、とりゃあ!」ズバッ! ザシュッ!

触手「ウネー、ウネー」ボトッ ボトッ

勇者「よし作戦成功、触手を剣で斬り落としまくってる」

女騎士「とどめだ! てやあーっ!」ザンッ!

女騎士「やった! 勝ったぞ!」キャッキャッ

勇者「適材適所ってやつだな。上手くいってよかった」

女退魔師「羨ましいわね……わたしにも名誉挽回のチャンスが欲しいわ」

勇者「まあそのうち機会があるだろ。……ん? 誰かいるな」


男子生徒「先生、鉄棒が上手くできません」

体育教師「そうか、じゃあ先生が練習につきあってやろう。この肉棒でな……」ボロン

男子生徒「先生……///」


女教師「勇者様、敵です! わたしが行ってきます!」

勇者「いやだから、あんたが行ってどうすんだよ。俺の話聞けよ」

女退魔師「今度はわたしの出番ね!」ダダッ


女退魔師「魔物たちよ、暗黒の世界に還れ!」ゴオオオオ

男子生徒・体育教師「「ぎゃあああああ」」


勇者「つーかあれ魔物か?」

女退魔師「勝ったわ!」キャッキャッ

勇者「ああ、うん。よかったね」

女騎士「また魔物だ!」

勇者「またかよ」

女退魔師「オークだわ!」

女騎士「わたしがっ……」ダッ

勇者「だから! 違うだろーがよ!」ガシッ

女教師「わたしですねっ!」タタタッ

勇者「あ、いや……これはどうなんだろうな」


オーク「グヘヘヘヘヘ」ズッポズッポ

女教師「ああっ、いやああああっ」


勇者「まあ、こうなるか……」

女教師「ふえぇ……」グスグス

勇者「まあなんつーか、あれだ、野良犬にでも噛まれたと思って……」

女退魔師「っていうか、わたしたちばかりに戦わせてないで、たまにはあなたも戦いなさいよ」

勇者「いや描写が無かっただけで、あんたらが討ち漏らした敵は俺が倒してたんだよ」

女退魔師「あら、そうだったの。ごめんなさい」

勇者「しかしあれだな、他の2人はともかく女教師はあまり使い物にならんな。やっぱり帰ってもらうか」

女教師「え……わたし、さっきの不祥事のせいで懲戒免職になるんですか……?」

勇者「いや懲戒っつーか、普通に使えないから解雇かな……」

女教師「ちょっと待ってください……わかりました、わたし、本気出します」

勇者「いや、本気出して教育熱心になられてもなあ」

女教師「違います。今まで秘密にしてましたけど、わたし、実は凄い能力を持ってるんです」

勇者「どんなの?」

女教師「世界間移動の超能力です」

勇者「なにそれ」

女教師「ちょっと異世界に行って武器を調達してきますから、待っててください」シュンッ

勇者「うお、消えた。ほんとに凄い能力持ってるっぽいな」

女退魔師「人は見かけによらないわね」

女騎士「よくわからないが、なんだか話が大きくなってきたな」



シュンッ

女教師「お待たせしてすみません。ちょっと調達に手間取っちゃいました」

勇者「あ、戻ってきた。その手に抱えてるのが、調達してくるって言ってた武器?」

女騎士「ふむ、これは何だろう。杖か?」

女教師「これは、散弾銃です」

女退魔師「さんだん……何? よくわからないわね。その杖で敵を殴るの?」

女教師「殴りません。これは飛び道具です」

女騎士「投げるのか」

女教師「投げません。撃ちます」

女騎士「撃つ……? 何だろう、弓のようなものだろうか」

勇者「で、その散弾銃とやらがあれば、他の2人みたいに戦えんの?」

女教師「戦えます」

女騎士「あっ魔物が出たぞ! オークだ!」

女教師「わたしに任せてください!」パァンッ!

オーク「ギャアアアア」ドサッ

勇者「なにあれすごい」

女騎士「ほう、見くびってしまっていたが、教師とは凄いものなのだな」

女退魔師「教師と関係あるのかしら、あれ」

勇者「いったいどういう仕組みなんだ? その武器は」

女騎士「魔法の杖なのだろうか」

女退魔師「爆発音がしたから、あの爆発を敵の体に転移させる魔法なのかしらね」

女教師「ふふん。知りたいですか? ではお教えしましょう」

女教師「さっきの退魔師さんの推測は、当たらずとも遠からずという感じでしたね」

女教師「えっと、まず、この中で火薬を燃焼させ、化学エネルギーを生み出します」

女教師「燃焼ガスが膨張すると、圧力によって弾が押し出され、弾は運動エネルギーを持ちます」

女教師「弾の運動エネルギーは射撃対象の物体に衝突することで変形エネルギーとなって伝わり、弾性変形をさせるわけですが」

女教師「その物体の弾性限界を超えた部分については塑性変形となり、物体は破壊されるわけです」

女教師「つまりエネルギーの変換を利用した……聴いてますか?」

勇者「……」ウトウト

女騎士「……」ウツラウツラ

女退魔師「……」zzz

女教師「もうっ、ちゃんと聴いてくださいよぅ」

勇者「うん? ああ聴いてた聴いてた。要するにパーンってなるとドチャってなって、相手が死ぬんだろ」

女教師「それはそうですけど……わたしの授業って、下手なんでしょうか」

女騎士「ともあれ、その武器があれば……あっ、また触手の魔物だ!」

女教師「はいっ、任せてくださいっ」パァン! パァン!

女退魔師「本当に凄いわね。また魔物を倒したわ」

勇者「もう全部あの人だけでいいんじゃないかな……んっ? あれは……」


男子生徒「先生、マット運動がうまくできません」

体育教師「そうかそうか、先生が教えてやろう。大人のマット運動をな……」

男子生徒「先生……///」


女教師「あっ、また男子生徒と体育教師が現れましたっ! あれもわたしが散弾銃で……」ジャキッ

勇者「いやちょっと待て待て待て待て、それはちょっとアレだ、生々しすぎるっ」ガシッ

女教師「はあ、そうですか」

勇者「っていうか倒さなくていいよ男子生徒とか体育教師とか。今更だけど」

勇者「さて、じゃあそろそろ帰るか」

女教師「えっ? このまま魔王を倒しに行くんじゃないんですか?」

女騎士「あ……それなんだが……あなたが武器を調達しに行ってる間に伝令が来てな」

女教師「伝令? お城からですか?」

女退魔師「ええ。馬に乗った騎士がパカッパカッと走ってきてね」

勇者「あの騎士のおっさん、けっこう強そうだったな。あの人が仲間でもよかったのに」

女騎士「半年ほど前から旅に出ていた勇者殿の父上、つまり先代の勇者が、魔王を倒すことに成功したそうだ」

女教師「ええっ!?」

勇者「帰りが遅いから父さんはもう死んだのかと思ってたけど、ちゃんと魔王倒して帰ってきたわ。さすがだな俺の父さん」

女騎士「まったく、勇者の血筋とは凄いものだな。勇者殿の父上は、学校では劣等生だったと聞いていたのだが……」

女退魔師「たったひとりで魔王を倒して生還するなんて、なかなか出来ることじゃないわよ」

女教師「えっ、えっ?」

勇者「まあ、帰り道でも魔物は出るだろうしな。もうしばらくの間、よろしく頼むよ」

女騎士「うむ。任せてもらおう」

女退魔師「ええ、もう二度と魔物なんかに不覚はとらないわ」

勇者「あと、女教師さん」

女教師「あ、はい」

勇者「もしよかったら、町に帰ってから、俺と結婚を前提とした交際をしてもらえないだろうか」

女教師「ええっ!? なんでそうなるんですか!? なんでわたしなんですか!?」

勇者「おっぱいが大きいからです」



こうして勇者は女教師と結婚し、末永く幸せに暮らしました



おわり

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