穂乃果「ハッピー・メイカー」 (30)
にこ「うっ、ぐすっ…ひっく…」
にこ「真姫ちゃんのバカぁ…」
コンコン
にこ「…?ぐすっ…」
コンコン コンコンコン
にこ「うるさいわね…何よ、こんなときに…」
にこ「てか先にインターホン鳴らしなさいよ…」
コンコンコンコンコンコンコンコンコン
にこ「うぅー…ああもううるさいわね!」
にこ(アイドルとして、泣き腫らした顔なんて誰にも見せちゃいけないのに…)
にこ「…どちら様?」
穂乃果「私?名乗るほど大した名じゃないよ!」
にこ「その声…穂乃果?」
穂乃果「えっ!?」ギクッ
穂乃果「ち、違う違う!誰それ?知らないなあ!」
にこ「…ああそう、じゃあ誰だっていいけど」
にこ「何しに来たわけ?」
穂乃果「あ、名乗る名前はないけど、みんなにはこう呼ばれてるよ!」
穂乃果「その…ハッピー・メイカーって!」
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にこ「別に聞いてないし…てかそれ、私たちの曲の名前でしょ」
にこ「いないわよ…ハッピーメーカーなんて」
穂乃果「ここにいるよ!」
穂乃果「ていうか…私だけじゃないんだけど…」
にこ「…?」
穂乃果「とにかく!泣いてるにこちゃんなんてらしさゼロでにこちゃんじゃないから笑顔を持ってきたの!」
にこ「にこちゃんじゃないとは何よ、失礼ね!」
穂乃果「ていうか、ここ暑い!ここで騒いでると余計に暑い!中に入れて!」
にこ「知らないわよそんなの!妹たちが帰って来るまでは一人になろうと思って鍵かけて泣いてたのに!」
にこ「ああもう、邪魔しないでよ!あんたなんて呼んだ覚えもないんだから、私に構わず消えてよっ!」
にこ「そこにいられたら泣けないじゃない…」
穂乃果「にこちゃん…」
穂乃果「…わかったよ」
にこ「…ばか」
にこ「…ぐすっ、ひっく…」
コンコンコン
にこ「…何よ」
コンコンコンコンコン
にこ「穂乃果?…あんたまだいたの?」
コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン
にこ「…あーもう、うるさいって言ってるでしょ!開けないからね!」
穂乃果「……」
コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン
にこ「うるさーい!」
にこ「さっき消えろって言ったはずでしょ…なんなのよ、もう!」
穂乃果「…ひどい」
にこ「!?」
穂乃果「一通り泣き終わったかなーって思って…だから、今度こそ開けてくれるかなーって…そう思ってたのに…」
にこ「…な、何よ!」
穂乃果「私、ここまで言われたの生まれて初めてだよ…ぐすっ、悲しいなあ…」
穂乃果「にこちゃん…どうしよう、私泣いちゃいそう…うっ、ひっく、えぐっ…」
にこ「は、はぁ!?意味わかんないわよ、あんたが泣いてちゃしょうがないじゃない!」
にこ「うー…泣きたいのは私のほうよ、あんたなんか呼んだ覚えないってのに…!」
穂乃果「うう、ごめんねごめんね…うっ、ぐすっ…うわああああああああああん!!!!!!」
にこ「…なんなのよほんとにもう…ぐすっ…うわあああああああん!!!!」
―――
穂乃果「ぐすっ…ひっく、ひっく…」
にこ「うぅ…ぐすぐす…」
にこ「…ぐすっ…ねえ、穂乃果…」
穂乃果「ひっく…なに?にこちゃん」
にこ「ハッピーメイカーはどうしたのよ…まあいいわ」
にこ「…穂乃果、あんたまだ私を笑わせるつもりなわけ?」
穂乃果「もちろんだよ…それだけが生きがい、ってほどでもないけど…」
にこ「なんなのよ!」
穂乃果「でも!μ'sのみんなは笑顔じゃないと嫌だもん!」
穂乃果「私、やるったらやる!笑わせないと帰れないっ!」
にこ「…穂乃果…もう、あんたっていっつもそんなんばっかり」
にこ「今なら…開けてもいい、かな」
穂乃果「にこちゃん…!」
ガチャガチャ
にこ「…ん、あれ?」
穂乃果「…にこちゃん?」
にこ「あ、あれ?建て付け悪いわね…ドア壊れちゃったのかしら」
にこ「穂乃果、そっちから押してみてくれない?」
穂乃果「わかった!んー、よいしょっ、よいしょっ」
にこ「…開かないわね」
穂乃果「困ったねー…どうしよう」
穂乃果「…はっ、そうだ!」
にこ「え!?なになに!?どうしたのよ、穂乃果!」
にこ「穂乃果…穂乃果?」
「……」
にこ「ちょっ、返事しなさいよ!穂乃果!?」
にこ「穂乃果ー!穂乃果ってばー!」
にこ「…まさか…」
にこ「……」
「……」
にこ「…ふっ、そうよね…」
にこ「いくらあの子が私を笑顔にしたくても…これじゃしょうがないわよね…」
にこ「こんな面倒なことに…いつまでも付き合ってられないわよね…」
にこ「…本気なんだろうと思って…ちょっとは、期待したのになぁ…」
にこ「……ぐすっ」
ガッシャアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!
にこ「!?」
穂乃果「にこちゃんっ!ぐすっ、にこちゃんに笑顔を持ってきたよっ!」
にこ「は、はぁ!?あ、あんたどっから来てんのよ!馬鹿じゃないの!?」
穂乃果「…にこちゃん、正直すっごく怖かった…ベランダまでよじ登って来るの…ぐすぐす…」
にこ「当たり前でしょっ!?自分でやっといて何泣いてるのよもうっ、それにあんただって危ないし――!」
穂乃果「それよりにこちゃん、見て見て、これっ!」
にこ「…はあ、人がせっかく心配してるってのに…何よそれ、鏡?」
穂乃果「そうだよ!これだよ、にこちゃんの笑顔っ!」
にこ「…どういう意味よ」
穂乃果「だってにこちゃんの泣き顔…ぷぷっ、面白いからさあ」
にこ「あ…あんたって子はどこまでも…!」
穂乃果「いいから見てみて、ほらっ!」
にこ「何よ、宇宙ナンバー1アイドルにこにーはいつでもかわいいに決まって…」
にこ「…決まって…」
にこ「…ぷっ、くすくす…何よこれ…私じゃないみたい」
穂乃果「よかった、やっと笑ってくれたね!」
穂乃果「…でもそうだよ、さっきも言ったでしょ?泣き顔のにこちゃんなんて、にこちゃんじゃないの」
穂乃果「だから今のにこちゃんは宇宙ナンバー1アイドルなんかじゃぜーったいないもん!」
にこ「何それひどっ!そこまで言わなくても…!」
穂乃果「…そりゃ、泣いちゃだめとまでは言わないけど…少なくともその間だけは、にこちゃんだってアイドルじゃなくて…一人の女の子だよ」
穂乃果「だってアイドルはステージの上じゃ泣いちゃいけないでしょ?」ニコッ
にこ「…!」
ピンポーン
にこ「…また来客?ごめん穂乃果、ちょっと待ってて」
穂乃果「うんっ!」
ガチャガチャ
にこ「ごめんなさい、今ちょっとうちのドア調子悪くて―――」
真姫「……」
にこ「…って、真姫ちゃんじゃない…どうしてここに…」
真姫「にこちゃん…その、さっきはごめんなさいっ!」
にこ「…真姫ちゃん…」
穂乃果「いやあいいことしたなあ、ケンカの内容までは知らないけど!」
穂乃果「さてと、二人の邪魔しないうちに帰らないと…って思ったけど、よく考えたら…」
穂乃果「…ベランダからじゃ降りられない…あはは…」
―――
海未「…はい、今日の練習はここまで!」
にこ「はー疲れたー…」
真姫「に、にこちゃん、お疲れ様!」スッ
にこ「あら、真姫ちゃん…ありがと」
真姫「べっ、別に…お礼言われるようなことはしてないわよ」プイッ
にこ「…もう、素直じゃないわね」
穂乃果「おっ、二人ともすっかり仲良しだね!」
真姫「な、仲良しって、私たちは別にそんな…っ!」
にこ「はいはい、あんたのおかげでね」
にこ「…ハッピー・メイカーさん?」
穂乃果「あ…にこちゃん、そのことなんだけど」
にこ「?」
穂乃果「それって、私のことじゃないんだー」
にこ「…へ?」
穂乃果「幸せを作る人…それって、私だけで成し遂げるものじゃないと思うの」
穂乃果「いつかにこちゃん言ってたよね?アイドルは笑顔を見せる仕事じゃなくて、笑顔にさせる仕事だ…って」
穂乃果「だから、スクールアイドルみんなが…私たちμ's全員が、ハッピー・メイカーなんだよっ!」
にこ「…何よそれ?うまいこと言ってまとめたつもり?」
にこ「…ま、それを否定する気は別にないけど―――」
穂乃果『でも!μ'sのみんなは笑顔じゃないと嫌だもん!』
穂乃果『私、やるったらやる!笑わせないと帰れないっ!』
にこ「―――…少なくともあのとき私を笑顔にさせたのは…あんたただ一人だったわよ、穂乃果」
真姫「…もう、二人とも何の話してるのよ?…それより穂乃果、貸してたCDそろそろ返して?」
穂乃果「ああこれね!はいどうぞー」
真姫「…穂乃果がこういうの聞くって、なんか意外だわ」
穂乃果「えーそうかな?それより真姫ちゃんがこれ持ってることのほうが意外な気がするけど…」
真姫「い、いいじゃない別に!歌詞が好きなんだから!」
穂乃果「まあねー…いいよねー、『ラフメイカー』!」
にこ「え?…」
にこ(ラフメイカーって、あのラフメイカー…?…)
にこ(……)
にこ(…もしかして昨日のあれって、曲に影響されてやってただけ…!?)
にこ「…ちょっ…」
にこ「ちょっと穂乃果ああ!人を笑わせたいなら影響されたものでじゃなくて、ちゃんと自分のパフォーマンスで勝負しなさ―い!」
穂乃果「わわっ、にこちゃん!?いきなりどうしたの!?」
にこ「うるさい!いいからいくわよ、せーの!」
「にっこにっこにー!」
―おしまい―
タイトルの類似性から思いついた一発ネタ
でもちょっとまんますぎたね ごめんね
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