アリ「え?」
キリギリス「だから俺たちキリギリスは越冬せずに死ぬんだってば」
アリ「あっ……そうだったんですか…」
キリギリス「家族の為に遺産残す必要もねーし、そもそも家族いねーからこうやって求愛してんだけどな(笑)」
アリ「なんかすみません…事情も知らず怠け者だなんて言って……」
キリギリス「いいっていいって、アリから見たらそう思うのは当然だから」
数日後
キリギリス「妻が欲しい」
アリ「あ、諦めなければなんとかなりますよ!」
キリギリス「一日15時間も鳴いてるのに誰も近寄って来ないんだぜ?」
アリ「運がわるいだけですよ」
キリギリス「ここら一帯にキリギリスの雌がいるのかが怪しくなってきた」
アリ「が、がんばってください!応援しますよ!」
更に数日後
アリ「あ、キリギリスさん」
キリギリス「よう!」
アリ「奥さん見つかりました?」
キリギリス「おう!俺の魅力を分かる奴がいてホッとしたぜ」
アリ「よかったですね、今後はどうするんですか?」
キリギリス「適当に余生を楽しむよ、まあたいして時間残されてないけど」
アリ「ああ、葉が落ち始めてきましたからね」
キリギリス「じゃあ達者でな、働き者さん」
アリ「よい余生を!」
葉が落ちきった頃
アリ「うあああぁぁ!」
子供「へへっ!砂でもくらえアリンコめ!」ザッザッ
アリ「うっ…ぁ…」
アリ(このまま虫けらみたいに殺されるのかな……あっ、僕虫けらか…、家族の為に一生懸命働いたのにこんな理不尽に殺されるなんて…)
キリギリス「おい!クソガキが!俺の友達に何してんだ!」ぴょん
アリ「キ、キリギリスさん!?」
子供「何だ?バッタか?」
キリギリス「残念ながら俺は肉食系だぜ!」ガブッ
子供「いってぇぇ!!いてぇよぉ!」バシッ
キリギリス「カハッ!!?」ぼとっ
アリ「キリギリスさああぁぁぁん!!!」タタッ
キリギリス「よ、よぉ…久しぶりだな……へへっ、あのガキは追い払えたか…」
アリ「どうして……」
キリギリス「俺ぁ…モてない喪男だからよぉ……孤独死するくらいなら友情の為にカッコつけて死にたかったんだよ……」
アリ「喪男って、奥さんがいるじゃないですか…」
キリギリス「今だから言えるがアレはお前を安心させるための嘘だよ……結局俺は死ぬまで天涯孤独だったな…」
アリ「そんな……!」
キリギリス「おっと…同情はしないでくれよ……俺は今、最高に幸せで青春してるんだからよぉ…」
アリ「……」ポタッ ポタッ
キリギリス「泣くなよ…共鳴、いやもらい泣きしちまうじゃないかよ…」グスッ
キリギリス「へへ……今までないてきた中で一番晴れ晴れとした気分だぜ」
アリ「……」ポタッ ポタッ
キリギリス「…俺の死体はお前が食ってくれないか?……友人の血肉になれるのなら悪くねぇ…」
アリ「…」コクリッ
キリギリス「……」
アリ「……」
キリギリス「…アバヨ、働き者!」
完
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