やよい「うっうー! ケイドロしましょー!」 (101)

伊織「へっ?」


やよい「ケーイドーロ やっるひーと こーのゆーび とーまれっ♪」

伊織「………………」


やよい「うぅぅ……伊織ちゃん、とまってくださいー!」

伊織「是非も無し」ガシィッ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1407754155

※ケイドロ(ドロケイ)は、地方によってルールが少しずつ異なるようです。
 知っているルールと違っていたらすみません。

~公園~

千早「それで、ケイドロって何かしら」

伊織「あら、知らないでここに来たの?」

真「ボクの小学校では、ドロケイって呼んでたよ」

亜美「あっ、亜美達のとこでもドロケイだった!」

真美「千早お姉ちゃんとお姫ちんはルール知らないっぽいよ? やよいっち」



やよい「ケイドロっていうのは、警察と泥棒に分かれてやる、チーム戦の鬼ごっこです!」

やよい「警察の人は、泥棒の人を追っかけてー……」タタタ…


やよい「えいっ!」ガシッ!

千早「!?」

やよい「捕まえます!」

千早「は、はぁ……」

やよい「それで、捕まえたら、10数えて……」

やよい「10数えた後に『鍵閉めた!』って言うんです」

千早「その間、ずっと捕まえたままってことかしら?」

やよい「はいっ! 捕まえて10数えて鍵を閉めたら、警察は泥棒を逮捕できるんです!」

やよい「あ、泥棒さんは、その間に振りほどいて逃げるのもオッケーですよ?」

貴音「ふむ」


やよい「逮捕されたら、泥棒は牢屋に入らなければならないんです」

やよい「牢屋は、そこの砂場にしましょう!」

やよい「それで、逮捕された泥棒は牢屋から出ちゃいけないんですけど……」

千早「ですけど?」


やよい「泥棒の仲間がタッチすれば、脱獄させて助けることができるんですー!」

貴音「なんと!」

やよい「警察はいっぱい捕まえて、泥棒は逃げたり捕まった仲間を助けたりして……」

やよい「全員逮捕できたら警察の勝ちで、逃げ切ったら泥棒の勝ちです!」


千早「なるほど、良く分かったわ」

伊織(まさか鬼ごっこだったなんて……思ったより体力使いそうね)

響「小学校の昼休みに、男子と良くやったさー」

春香「懐かしいねー」

雪歩「うぅ……私、かけっこ苦手だから、あまり役に立たないかも……」


美希「何でこの遊びをしようって思ったの?」

やよい「高槻家で、小学校の遊びが大流行りなんですー!」


やよい「それじゃあ、グーとパーで分かれましょー!」



グットッパ! ……グットッパ!  ……ッパ! ……

~結果~

 警察 : 春香、千早、雪歩、亜美、響

 泥棒 : 伊織、やよい、真、真美、美希、貴音


春香「真に、美希……やよいも運動神経良いし、こりゃ大変だなぁ」

響「自分がいるから、なんくるないさー!」


貴音「ところで、私達は一体何を盗んでしまったのでしょう」

伊織「ただの遊びに意味なんて求めなくていいわよ」

美希「アハッ、泥棒猫なの♪」

やよい「うっうー! すっごいメラメラ―ってしてきたかも―っ!」ワクワク



千早「………………」

千早「皆、高槻さんは私が捕まえるわ。手出しは無用よ」

亜美「へっ?」

雪歩「は、はぁ……」

真「制限時間は、あの時計で15時になるまでで良いかな。20分くらい」

春香「うん、そうだね!」



やよい「それじゃあ、警察さん達が10秒数えたら、開始ですー!」ダッ!

真美「わーい、逃げろ→!」ドタドタ…

タタタ…



春香「……なーなー、はーちー、きゅーうー、じゅうっ!」

響「よぉーし、悪いヤツらめ、皆まとめてとっちめちゃうぞー!」ダッ!

亜美「うおぉう、さすがひびきん巡査部長! やる気が違いますな→!」タタタ…

雪歩「ま、待ってぇー!」タタタ…


千早「………………」ザッ…

伊織「警察が動き出したわよ! 皆、散らばって!」

美希「何ともワクワクしてきたの!」

貴音「むっ……亜美が来ましたね」


亜美「お姫ちーん! 珍妙にお縄につけーい!」タタタ…

貴音「亜美、それを言うなら“神妙に”では?」ダッ!

亜美「そうともゆう! ……むむっ、意外と素早いねお姫ちん!」クルッ!

貴音「私、負けず嫌いなのです!」タタタ…

亜美「こなくそー!」タタタ…



美希「よっと。雪歩、そんなんじゃミキ、捕まんないよ?」サッ

雪歩「ひぃーん! 美希ちゃん速すぎるよぉっ!」タタタ…



ダダダダ…!

真美「げぇっ、ひびきん!」

響「先手必勝さー!」ガシィッ!

真美「あーれー!!」ジタバタ!

響「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10!」

響「鍵閉めたっ!!」

真美「うあうあー! 捕まっちったー!!」



伊織「真美が捕まったですって!?」

やよい「た、助けに行かないとっ!」ダッ!


春香「おぉっと! それは春香さんが許しませんよ!」ササッ!

やよい「うわぁっ!?」キキィッ

春香「お命ちょうだーい!」バッ!


千早「やぁ!」ガシィッ!

春香「うおぅっ!?」グラッ

千早「高槻さんを捕まえるのはこの私よ、春香」ギリギリ

春香「そ、そんなこと言ってる場合じゃないでしょうに!」


伊織「何だか良く分からないけど、今のうちに逃げるわよ、やよい!」ダッ!

やよい「う、うんっ!」タタタ…

春香「もー! 何で邪魔したの、千早ちゃん!」プンスカ!

千早「邪魔?」

千早「邪魔と言うなら、むしろあなたの方ではないかしら、春香」

千早「高槻さんは私が捕まえる、手出しは無用と……そう言ったはずよね?」

春香「あっはい」



響「ふっふーん、牢屋に入っとれーい!」

真美「わーん、ちきしょー!」

響「さーて、次はー……」キョロキョロ…

響「おっ、決めた! やよいにするぞー!」ダッ!



亜美「ミキミキー、待て待てー!」ドタドタ…

美希「やだよー♪」ササーッ



貴音「ふふっ、こちらですよ、萩原雪歩」タタタ…

雪歩「えへへ、四条さん待ってぇー!」タタタ…

真美「ちぇー、牢屋にいてもつまんないよー」

真美「あ、あーいおりん! そっちに逃げたら危ないって!」

真美「うわっ! お、おー逃げたか……あー、またはるるんがはるかさんを…!」


パシッ!

真美「へっ?」


真「タッチしたよ。ほら、さっさと逃げよう!」ダッ!

真美「さ、さすがまこちん! 王子っ! イケメン!!」

真「イケメンって言うな!!」プンスカ!



亜美「あっ! 真美が復活しちゃった!」

春香「ちょっと目を離した隙に……むむぅ、真めーっ!」

雪歩「真ちゃんの運動神経に対抗できるのは……」チラッ



響「わはははーっ! やよい、待ぁてぇー!」ダダーッ!

やよい「キャーッ!」タタタ…

千早「水瀬さん、そこをどきなさい」

伊織「やよいの所に行きたいのなら、この私を出し抜いてからにするのね」

千早「こしゃくな!」ダッ!

伊織「ふんっ……!」バォッ!



春香「あっちはあっちで変なことやってるし……」

亜美「何でいおりんが千早お姉ちゃんを追っかけてんだろ」

雪歩「と、とにかく……ひ、響ちゃーん! あのぉー!」フリフリ…



美希「あれ? 響ー、雪歩が呼んでるよ?」

響「それどころじゃないさー! 自分はやよいを捕まえるんだ!」ダダッ!

やよい「響さん、すっごく……す、素早いですー!!」ダッ!

響「こっちの台詞さー! やよい、なかなかしぶといなっ!」ダダダッ…!



貴音「……誰もこちらに来ませんね」

真「ヒマだね」

亜美「聞いちゃいないね」

雪歩「私、声小っちゃいから……」

春香「いや、関係無いよ。よぉーし、こうなったら……!」タタタ…



美希「たかねぇー」テクテク…

貴音「おや。美希、貴女もご無事で」

美希「ううん、ご無事も何も、誰もミキのこと捕まえに来ないんだもん」

美希「ミキ、疲れたからちょっとこの木陰で一休みするの。おやすみ」ゴロン

貴音「ふふっ、貴女は真、まいぺぇすな人ですね」ニコニコ



千早「くっ……水瀬さん、あなたもしつこいわね」ダダダ…!

伊織「あんたなんかに、やよいをやらせはしないわよっ!」ササッ!

千早「諦めの悪い……っ!!」ダッ!



響「うおーっ! やよいは自分のものだぁー!!」ダダダ…!

やよい「はわっ!? 響さん、何だか目が怖いですー!!」ダダダ…!

亜美「あっ、真美だーっ!」

真美「げっ、亜美だーっ!」

亜美「お互い、シチューを決する時が来たようだねぃ、真美!」

真美「んっふっふー、今の真美には超スーパーバリヤーがあるから無敵だよん♪」サッ!

亜美「あ、あぁーっ!? 何でそんな汚いビニール袋を、いつの間に!?」

真美「これを持ってる人は捕まえちゃいけませんのだ」 ←今考えた

亜美「うあうあーっ!! 亜美も何か武器を探さなくちゃっ!」ワタワタ!



雪歩「あっ、四条さん! ……と、美希ちゃん!?」タタタ…

貴音「御機嫌よう、萩原雪歩」

美希「ムニャムニャ……あふぅ」Zzzz…

雪歩「ね、寝てる……」

雪歩「つ、捕まえても、良いんですか?」

貴音「おそらくは、ね」ニコッ

雪歩「よ、よぉし……バレないように……」ソォーッ…

キュッ

美希「うーん……おにぎりがいっぱいなの……」Zzzz…

雪歩(服の端っこを掴んでも、気づいてない……)

雪歩「い……1、2、3、4、5、6、7、8、9……10!」

雪歩「か、鍵閉めたっ! やったぁ!」


美希「ムニャムニャ……」Zzzz…

雪歩「あ、あのぅ、美希ちゃん……逮捕、したんだけど……」

美希「うぅん、もっと食べるの……ムニャムニャ……」Zzzz…

雪歩「お、起きて。美希ちゃん、起きてよぅ!」ユサユサ

貴音「ふふっ」ニコニコ



やよい「は、はわっ!?」キキィッ!


響「ふふーん、追い詰めたぞ、やよい!」ザッ

やよい「あ、あわわわわ……どうしよう!」

響「もらったぁー!!」ガバッ!

やよい「わあぁぁぁぁぁぁっ!!」



春香「えいっ!」ガシッ!

やよい・響「!?」

春香「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10! 鍵閉めたっ!」


春香「はいっ! というわけで、やよいは春香さんが逮捕しちゃいましたー!」

やよい「あっ、し、しまったー!」


春香「だから、やよいのことはもういいから、響ちゃんは真をお願いねっ?」ニコッ



響「…………春香」

春香「ん、何?」


ザッ…

千早「…………春香」

春香「あ、千早ちゃん! 伊織は捕まえられた?」

千早「よくもやってくれたわね……」

響「自分がやよいを捕まえたかったのにぃっ!」

春香「? えっ、あ、え、ちょっと……?」


千早「春香。あなたを公務執行妨害で逮捕するわ」

春香「えぇっ!?」

響「やよい独占禁止法違反で逮捕だぞっ!!」

春香「はぁっ!?」


ギュッ!

千早「いぃ~~~~~ちぃ~~~~~~……」ギュゥーッ!

春香「い、いたたたたたたっ! 千早ちゃん、腕痛い、力強いっ!!」

ギュッ!

響「にぃ~~~~~~いぃ~~~~~……」ギュゥーッ!

春香「いだだっ!! 響ちゃん、手の甲は地味に痛いっ! ていうか数えるの遅いっ!!」

千早・響「さぁ~~~~~~~~~んぅ~~~~~~~~……!」ギュゥーッ!

春香「いぃだだだだだっ!!」ジタバタ!

千早・響「きゅ~~~~~~~うぅ~~~~~~~~……!」ギュゥーッ!

千早・響「じゅ~~~~~~~~~うぅ~~~~~~~~~~っ!!」ギュゥーッ!


春香「ぶ、ぶはっ!! はぁ、はぁ……うぅ、二人ともひどいなぁもう!」

春香「何で私が逮捕されなきゃいけ…」

パシッ!

春香「へっ?」


伊織「ほら、タッチしてあげたわ」

春香「い、伊織……えっ?」

伊織「脱獄できて良かったわね、にひひっ♪」


千早「そう……なら、もう一度捕まえなくてはね」コキコキ…

響「ふふん」ニヤァ…

春香「は、えっ……ちょっ……」


ギュゥッ!

千早・響「いぃ~~~~~~ちぃ~~~~~~~~……!」ギュゥーッ!

春香「ほ、ほああぁぁぁぁぁぁっ!!!」

亜美「くらえ、超超ウルトラスーパー最強ソードッ!!」

真美「残念、真美のは全部の攻撃反射バリヤーだよん♪」

亜美「なら亜美はバリヤー貫通で亜美以外全員倒すビームだーっ!!!」



美希「えへへへー……」Zzzz…

雪歩「ひぃーん、美希ちゃんってばぁ!」ユサユサ

貴音「ふふふ」ニコニコ



伊織「はい、タッチ。もう一度最初から」パシッ!

千早・響「いぃ~~~~~~ちぃ~~~~~~~~……!」ギュゥーッ!

春香「ほ、ほああぁぁぁぁぁぁっ!!!」



やよい「………………」

真「おい、ケイドロしろよ」

~あくる日~

やよい「うっうー! ろくむししましょー!」

響「おっ?」


やよい「ろっくむーし やっるひーと こーのゆーび とーまれっ♪」

響「………………」


やよい「うぅぅ……響さん、とまってくださいー!」

響「是非も無し」ガシィッ

※ろくむしも、地方によってルールが少しずつ異なるようです。
 本SSでは、下記のサイトにて紹介されているルールをベースに話を進めます。

 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f6074/p17117.html

~公園~

千早「それで、ろくむしって何かしら」

伊織「あら、知らないでここに来たの?」

真「また懐かしい遊びを持ち出してきたなぁ」

雪歩「ま、真ちゃん。私、ちょっと分からないかも……」

貴音「やよい。るぅるの説明をしていただけると助かるのですが」



やよい「ろくむしっていうのは、野球みたいに、攻撃と守備に分かれてやるゲームです!」

やよい「まず、丸を二つ、15mくらい離して地面に描きます」ガリガリ…

やよい「これが、塁ですっ!」

千早「塁……野球の、あの塁のこと?」

やよい「はいっ!」


やよい「守備の人達は、二つの塁の間で、このゴムボールでキャッチボールをします」

やよい「その間、攻撃側の人達は、二つの塁を走って往復するんですー!」タタタ…

貴音「ほう」

伊織(また走る系の遊びなのね)

やよい「攻撃チームは、誰か一人でも6回往復したら勝ちなんですけど……」

やよい「守備は、攻撃の人にボールを当てたり、ボールでタッチしてアウトにできます!」

雪歩「えぇっ! ひ、人にボール投げて当てちゃうの!?」

美希「ゴムボールだから、痛くないよ?」

やよい「そうですよー、全然怖くないです!」


やよい「塁にいる間はセーフなんですけど……」

やよい「攻撃の人は、どうにかして守備の人のボールをかいくぐって6回往復すること」

やよい「反対に守備の人は、6回往復されないうちに攻撃の人を皆アウトにすること」

やよい「がっ! 目標になるんですよー!」


真美「あっ、それとさやよいっち。これ、ローカルルールなのかなぁ」ハイッ

真美「攻撃の人は、ボールを守備の人から投げられた時、キャッチしたらセーフになる?」

やよい「あっ、そうでした! 攻撃の人は、ボールをキャッチしてもオッケーです!」


真「ボールをキャッチして遠くへ投げちゃえば、その分攻撃側の時間稼ぎができるんだ」

亜美「いわゆる一つの必殺技だねっ!」

雪歩「す、すごいですぅ」

春香「あ、そうだ、はいっ!」ビシッ

やよい「はい、春香さん!」

春香「攻撃チームの人は、5回往復したら、「5むし!」って言わなきゃいけないんだよね?」

やよい「あぁーっ、そうでしたー! 守備の人に聞こえるように言ってくださいね!」


貴音「もしや、6回往復して“6むし”だから、“ろくむし”という名前なのですか?」

やよい「たぶんそうかなーって」

響「何で“むし”って言うかは、良く分からないんさー」

貴音「ふむ、面妖な遊びですね」

貴音「しかし、なかなか趣のある遊びでもあるようです」ニコッ


やよい「大体のルールは分かりましたかぁー!?」

\ハーイ!!/ \カワイイ!/


やよい「それじゃあ、グッパーして分かれましょー! 攻撃多めで!」



グッパージャス! ……グッパージャス!  ……ジャス! ……

~結果~

 攻撃 : 千早、やよい、真、雪歩、真美、貴音

 守備 : 春香、伊織、亜美、響、美希


真美「ちょっち守備多くない?」

伊織「えっ、そう?」

春香「うーん、確かに同じくらいの人数同士だと、攻撃は厳しいよね」


美希「じゃあミキ、真クンと一緒のチームになるのー♪」ルンルン

伊織「あっ、ちょ、待ちなさい美希! あんたが行ったら……」



 攻撃 : 千早、やよい、真、雪歩、真美、貴音、美希 <ナノッ!

 守備 : 春香、伊織、亜美、響


亜美「うあうあー! やよいっちもまこちんもミキミキもいるって強すぎっしょー!」

響「心配いらないぞ、亜美! 自分が皆アウトにしてやるさー!」

春香「こういう時は頼もしいんだよなぁ、響ちゃん」

真「ゲーム開始は、守備の誰かがピッチャーで、攻撃がバッターやるんだっけ?」

やよい「あっ、そうですね! 攻撃チームの人は、片方の塁に集まってくださーい!」


響「自分がボールを投げるぞ!」

やよい「えーと……じゃあ、私がバッターやりますね」

やよい「私が、響さんが投げたボールを手で打ち返したら、ゲームスタートです!」

やよい「なるべく遠くに打ち返すので、皆さん一生懸命走ってくださいねー!」

\ハーイ!!/ \カワイイ!/


響「みんなー、準備はいいかー!?」

春香「まっかせてー!」

伊織「なかなか戦略が要りそうなゲームね」

亜美「投げるフリして、油断して塁から出てきた人をアウトにするって手もあるよん♪」

響「えいっ!」ポイッ!


やよい「やぁっ!」べしっ!

ヒュ-ーン… ゴロゴロゴロ…!


真美「今だ、走れ→っ!!」ダッ!

千早「くっ……!」タタタ…


響「春香、そっちに転がっていったぞ!」



春香「わっと、と……ほっ!」パシッ!

春香「えぇと、まずはどうしたら……」キョロキョロ…


亜美「はるるん、こっちパス!」

春香「えっ? う、うん!」ポ-イッ


亜美「ナイスはるるん!」パシッ

雪歩「わ、わっ……ひぃっ!」タタタ…

亜美「すかさずゆきぴょんにダイレクトアタックだーっ!!」ドヒュッ!

雪歩「きゃああああっ!!」

タタタ…!

真「はぁっ!」パシッ!

亜美「なっ!?」


雪歩「……へ?」

真「雪歩! ボクがキャッチしたから今のうちに走って!」

雪歩「ま、真ちゃん……ありがとう、真ちゃんっ!!」タタタ…


真「せぇの、どりゃあああっ!!」ブォンッ!

ヒュゥーーン…!

亜美「うあうあー、すっごい遠くに投げられちったぁー!!」


響「わーっ! 亜美、何やってるんさーもう!」ダッ!

伊織「私が取りに行くわ! 皆は当てやすい配置について!」タタタ…!


美希「さっすが真クン、カッコイイの! ミキ、そろそろ2むし~♪」タタタ…

やよい「守ってくれる人は、頼りになりますー!」タタタ…


千早(守ってくれる人が……頼りに、なる?)タタタ…

パシッ!

伊織「くぅ……随分と時間かかってしまったわ。皆は!?」クルッ!



響「伊織ー、ヤバイさー! もう皆3むし以上進んでるぞー!」

春香「こっちに投げて―!」


真「皆、今の塁から出ないで! ボールが帰ってくるよ!」ピタッ

真美「ガッテン承知のすけ!」



ヒューン…

亜美「いよっと。さてさて……」パシッ!


亜美「今、1塁にいる人は3むし……2塁にいるのは3むし半進んでるんだよね」


貴音「…………」ジリッ…

やよい「うー…………」

響「ちなみにさー、やってる途中で悪いんだけど……」

響「攻撃チームの人は、ずーっと塁にいる事はできないんじゃなかったっけ?」


雪歩「……えっ!?」

真「まぁ、ずっとこのままだとゲームが進まないからね」

春香「確か、守備チームが6回キャッチボールを成功させる前に、誰も塁を出なかったら、
   全員アウトになるとか」

貴音「なるほど、その点でも“ろく”むしなのですね」


伊織「そういうことなら、さっさとキャッチボールをしましょ」タタタ…

亜美「あっ、いおりんお帰り!」


響「亜美ー、パスパス!」ピョンピョン!

亜美「ほいさっ!」ポーイッ

パシッ!

春香「響ちゃーん!」フリフリ

響「とりゃっ」ポーイッ

パシッ!

やよい「ま、マズイですー!」

雪歩「響ちゃん達がキャッチボールを6回する前に、誰かが塁を出ないと……!」ソワソワ…

千早「くっ……!」


美希「じゃあ、ミキが行ってもいい?」

真美「おぉ、ミキミキ行ってくれるの!? 勇気あるねー」

美希「んー、ていうか、たぶん投げられてもミキには当たんないって思うな」

真「よし、じゃあ美希が塁を出たら、隙を見てボク達も走塁してみよう!」

貴音「なかなかに、緊張感がありますね」



ポーイッ

伊織「ん……?」パシッ!


ダッ!

美希「アハッ! デコちゃんこっちだよー♪」タタタ…

伊織「あっ、美希! デコちゃ……このぉ!!」ヒュッ!

春香「あぁー、伊織! そんな焦って投げちゃ……!」


美希「ハズレなの!」スカッ

ポテッ コロコロ…


真「皆、今だっ!!」ダッ!

ダダダダ-ッ!


亜美「うあうあー、しまった!」

伊織「キィーッ!! こしゃくな真似を……!」プンスカ!


響「よっと!」パシッ!

響「せめて誰か一人だけでも……ムムッ!」


やよい「うっうー! タイムセールで鍛えたかけっこー!!」タタタ…


響「やよい……隙だらけさーっ!!」ビシュッ!

ギュイーーンッ!

真美「やよいっち、危ないっ!!」

やよい「えっ……!」


べちっ!


やよい「あっ…………」



千早「ふ、ふっ……怪我はない、高槻さん?」ドクドク…


やよい「千早さん……まさか、私をかばって……!?」

千早「まさか高校生の時分に顔面でボールを受けて鼻血ブーするとは思わなかったわ」ドクドク…

小鳥「大丈夫よ、私も良くやるから」


響「あわわ、大丈夫か千早っ!? ごめんね!?」アタフタ…!

春香「あーいいよそんな心配しなくて。それよりボールを!」

亜美「喜んでーっ!」タタタ…!

千早「こんなボールは……」ヒョイッ

亜美「あっ!」

千早「……ふんっ!」ポイッ!

ヒューン…!


響「あーっ! 千早、アウトになったのに何でそんなことするんさー!」

亜美「そーだそーだ! 守備妨害だYO!」

千早「こっちは血ぃ見てるのよ」


真「一応、アウトになった人は一回だけ守備を邪魔できるってローカルルールはあるけど」

春香「ゾンビルールってヤツでしょ? でも、いきなりそういうの、うーん……」

伊織「四の五の言ってても仕方がないわ! ボール取りに行ってくるから!」タタタ…!



真美「ナイスガッツだYO、千早お姉ちゃん!」タタタ…

貴音「今のうちに、走塁を重ねなくては……」タタタ…

雪歩「うんしょ、うんしょ……!」タタタ…

パシッ!

伊織「くっ、また私がボール拾いだなんて……状況は!?」クルッ!



真「5むし!」

美希「5むしなの!」


亜美「うあうあー、やばいよいおりんー!」

春香「あと1むしする間に、あの二人を同時に抑えるのは厳しいかも……!」

響「かと言って、他の皆に注意を向けないわけにも……ぐぬぬ……!」


やよい「千早さんが体を張ってくれたおかげで、勝利が見えてきたかなーって!」

貴音「まさしく肉壁……」

千早「壁、ですって……?」くわぁっ…!

雪歩「ひっ……!?」ビクッ!

伊織「とにかく、まずはキャッチボールをしなきゃ…」

亜美「おぉっと待ちねぃ、いおりん」

伊織「えっ?」


亜美「この亜美めに、グッドアイヂアがありますぜ、悪代官様」

伊織「誰が悪代官よ」

春香「何、そのグッドアイデアって?」

亜美「ちょっち集まって……」コソコソ…

響「何だ何だ……?」コソコソ…



美希「? ……ひそひそ話を始めたの」

雪歩「今のうちに、走っちゃっても良いのかなぁ」

真「いや……一度走塁を始めたら、元いた塁に戻ることはできないんだ」


貴音「一度出たら、必ず次の塁まで走らなくてはならないのですね」

真美「迂闊に飛び出たところをべちっ! ってやられちゃうかも」

やよい「うぅ……焦っちゃダメですー」

ゴニョゴニョ…

響「なるほどー! それならきっと上手くいくさー!」

春香「で、でも良いのかなぁ、そういうの……」

伊織「元はと言えば、向こうの千早がやってきたんだから、文句言われる筋合い無いわよ」

亜美「いよし! そうと決まれば作戦開始っしょ→!」



亜美「まずはキャッチボールをします」ポイッ

伊織「はいっ」パシッ! ポイッ

春香「よっ」パシッ! ポイッ



美希「ねー、ちょっとちょっとー。そんな近い距離でキャッチボールすんのずるくない?」

真「そうだよ。せめて10mくらい離れないと」

響「やれやれ、言いがかりも甚だしいなー」テクテク…

響「これくらいでいいでしょ?」ポーイッ

パシッ!

亜美「ほーいっとな」ポーイッ


真(ボールが伊織の手に渡った……今だ、美希!)

美希(うん!)ダッ!

タタタ…!


伊織「あっ、また美希!」パシッ!


美希「デコちゃーん! デッコデッコりーん!」キャピキャピ!


伊織「キィーッ!! またしても馬鹿にしてぇ!!」プンスカ!


真(よしっ! 伊織がまた美希の挑発に乗ったぞ!)

雪歩(い、今ですぅ!)ダッ!


伊織「あんたなんかこうして……えっ!?」

美希「?」

伊織「あっ、あ、あ……な、何してんのよあんたっ!!」ワナワナ…!

美希「へっ?」


伊織「あ、あそこ!! プロデューサーが全裸で歩いているわっ!!」ビシィッ!

美希・真「えぇっ!?」クルッ!

伊織「変態っ!! ド変態っ!! 変態大人っ!!!」

美希「う、ウソッ!? どこどこっ!?」キョロキョロ

伊織「ウソよ」


美希「……え?」


伊織「えいっ!」ヒョイッ

べちっ!

美希「ああっ!?」


真「し、しまった! 引っかけだったなんて!!」タタタ…!

貴音「なんとっ!」タタタ…!

響「今だっ! 皆塁を出たぞ!」パシッ!

千早「あ、危ない、皆っ!!」


真美「う、うわわ……!」


響「くらえ、真美!!」ドヒュッ!

真美「きゃ、キャッチを……!」サッ

べちっ!

真美「うあうあー!!」


春香「いよっと!」パシッ!

春香「雪歩っ、ごめんね!!」ヒョイッ!

べちっ!

雪歩「きゃあっ!」


亜美「お次はぁ……!」パシッ!

亜美「お姫ちん、君に決めたぁっ!!」ビシュッ!

べちっ!

貴音「はやーっ!!」

伊織「さ、て、と……」ヒョイッ


伊織「残っているのは、5むしのやよい……それに、5むし半の真ね」


真「ぐっ……卑怯な」

伊織「あら? あんな古典的な手に引っかかる方が間抜けなんじゃないかしら?」

美希「え、えぇっ!?」

亜美「んっふっふー、兄ちゃん変態大作戦がこうも決まるとはね→」

響「形勢逆転だぞ」


伊織「さーて、それじゃあキャッチボールでもしましょうか」

亜美「さんせーい!」

響「あぁ、皆。10mくらい離れなきゃダメだぞ。“誰かさん”がうるさいからなー」

春香「あ、そうだね」テクテク…


真「~~~~~~ッ!!」イライラ-!!

伊織「それっ」ポーイッ

パシッ!

春香「ほーい」ポーイッ

パシッ!

亜美「せいほっほっほーい♪」ポーイッ


やよい(ど、どうしよう……!)

やよい(でもでも、真さんがこっちの塁に来れば勝ちだから……)

やよい(わ、私が身代わりになってでも、真さんを助けなきゃ!)

やよい(そうだ! 私があのボールをキャッチすれば……!)



ダッ!

やよい「……あっ!」


真「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」ダダダダッ!

春香「まさか、正面突破!?」

伊織「真らしい短絡的な手ね!」

亜美「でもメチャ速いよー!!」


響「自分が相手だぞ、真っ!!」ザッ!

真「響……僕にボールを投げても無駄だよ! 大抵は避けるから!!」ダダダ…!

響「それなら、タッチすれば良いだけさー!!」ダッ!

響「えやあっ!!」ガバッ!


真「甘いっ!!」サッ!

響「あっ! し、しまっ……!」


真「もらったぁっ!!」ダッ!

伊織「わぁっ!!!」ガバッ!

真「う、うわっ!?」キキィッ!


伊織「にひひっ♪ ビックリしたでしょ?」

真「伊織っ! 目の前に飛び出すなんて、走塁の邪魔…!!」


べちっ!

真「あっ」


響「やったぁー!! 真をアウトにしたぞー!!」ガッツ!


亜美「良くやった、ひびきん曹長! ひびきんには褒美をつかわそう!」

響「えっ、何、褒美って?」

亜美「この間真美が見つけた超超ウルトラスーパーバリヤー貫通ソード」 つ 木の棒

響「いやいらないよ!」

春香「これで、残るはやよいただ一人……!」



プルプル…!

真「ふ、ふざけないでよ……!!」プルプル…!

亜美「えっ?」


真「美希達がだまし討ちでやられたのは、まだいいよ。そういう戦法もあるし」

真「でも、今の伊織は、完全に走塁妨害だったよ! 反則だっ!!」

伊織「あーら、何を言っているのかしら」

伊織「先に守備妨害をしたのは、そっちの千早でしょう? 一方的に文句言わないでよね!」

千早「……何ですって?」カチン


美希「だまし討ちだって、ミキ的にはすっごくずるいって思うな!」

真美「そーだそーだ! ウソつきは961プロの始まりだー!!」

響「そ、そんなこといちいち言ってたら、ゲームが面白くないでしょ!!」

亜美「ひびきんの言う通りだYO! だまされる方が悪い!!」

黒井「そうだそうだー!!」

美希「何をぉぅなのっ!!」

千早「私の妨害は、ゾンビルールというものだと、皆納得したはずではなかったかしら」

真「そうだ! こっちがやったことは、正式なルールに基づく守備妨害だよっ!!」

伊織「何が正式なルールよ! 後付けでローカルルールを採用したくせにっ!!」

真「何だよっ!!」

伊織「何よっ!!」

雪歩「あ、あのぅ、皆喧嘩は…」オロオロ…

真・伊織「雪歩は黙ってて!!」



やよい「皆さん、もうやめてくださーーいっ!!!」

一同「!?」ビクッ!


やよい「ゲームだから、皆本気になって、熱くなっちゃうのはしょうがないです!」

やよい「でもでも! だからと言って、ルールを破ったらいけないんです!」


伊織「でも先にルール違反したのはあっちが…!」

真「違うって言ってるじゃないか!」

やよい「どっちもダメーッ!! メッ、です!!」

真・伊織「!」

やよい「後出しで、千早さんの妨害をオッケーにするのもメッ!」

やよい「伊織ちゃんが、真さんの走塁を邪魔したのもメッ! です!!」


やよい「だから、ここはお互いに謝って、皆で仲直りしましょー!!」

春香(……!!)ティン!

春香「そ、そうそう! 皆で仲直りですよ、なかなお…」

貴音「そう。遊びは皆で決め事を設け、楽しくやらなくては……そうですね、やよい?」

やよい「はいっ!」



真「………………」

伊織「………………」


真「やよいの言う通りだね。ごめん伊織、ボク、ついカァーッてなって…」ペコリ

伊織「えっ、い、いや……やめなさいよ。私の方こそ、その……ごめんなさい」ペコリ

美希「良く考えたら、全裸でハニーが歩いてるのを信じる方がどうかしてたの。ごめんね?」

響「ううん、こっちこそひどいこと言ってごめん、美希。仲直りするさー」

真美「ひょっとしたら、って思わせるウソを考える辺り、亜美達もなかなかやるね→」

亜美「んっふっふー、そうっしょ? あのネタ、亜美が考えたんだ→」


雪歩「良かった……皆、仲直りしたみたいですぅ」

千早「私の行いが、こうも尾を引くなんて……私こそ、ごめんなさい、高槻さん」ペコリ

やよい「ううん、そんなことないですよ!」

やよい「千早さんが、私のことをかばってくれたの、すっごく嬉しかったですー!」

千早「た、高槻さん……!!」

貴音「ふふっ。皆が仲直りして、これにて一件落着で…」


べちっ!

やよい「へっ?」



春香「いやったぁ! やよいをアウトにしましたよ、アウト!!」ガッツ!

千早「は?」

春香「この勝負は、私達守備チームの勝ちーっ!」ブイッ!

春香「というわけで、チーム変えてもっかいやろ? ね、ねっ?」



伊織「……そうね、もう一度やりましょうか。せっかくだし」

春香「やった! それじゃあチームは……」


響「攻撃と守備を交代して、誰か適当に三人くらい攻撃のままとかで良いんじゃないか?」

真「よし、それじゃあ誰か引き続き攻撃やりたい人ー?」



~結果~

 攻撃 : 春香、伊織、亜美、響、雪歩、真美、美希

 守備 : 千早、やよい、真、貴音

貴音「それでは、私がぴっちゃあを務めましょう」

春香「バッターは私やるっ! 春香さん、頑張っちゃいますよー!」フンス!

やよい「ゲーム開始ですー!」



貴音「ふっ!」ブンッ!


春香「えいっ!」べしっ!

ボテッ…! コロコロコロ…


亜美「よし、それ→っ!!」ダッ!

タタタ…!


春香「あちゃー、あんまり飛ばなかったかな。ちょっと失敗、テヘッ♪」コツン

春香「とこうしちゃいられない! 私も走って…」


ガシッ!

春香「へっ?」

伊織・響「………………」

真「いよっ……と!」パシッ!

真「さーて、どうやらまだあまり進んでいないみたいだね。いよーし…」


千早「真、私にボールを」

真「えっ? うん!」ヒョイッ!


千早「…………」パシッ!

千早「………………」ギロッ



春香「えっ、あの、ちょっと……二人とも、何で私を捕まえてるの?」

伊織「それは自分の胸に聞いてみるのね」

響「場の空気を考えないで、やよいにひどいことをした罰だぞ」

春香「えっ、え……ええっ!?」


千早「………………」スタスタ…

春香「わわっ! まずい、千早ちゃんが来たよ! 二人とも、ちょっと!!」ジタバタ…!


千早「心配しないで、春香。ボールでタッチしない限り、アウトにはならないわ」

春香「えっ?」


千早「…………」ギュゥーッ!

春香「い、いだだだだだっ!! 千早ちゃん、あごの下の肉つねるのやめて、痛いっ!!」

千早「そう、ならこっちにするわ」ギュゥーッ!

春香「いだだだだ痛い痛いっ!! 耳たぶ痛いっ! 本当いったいってば!!」

千早「あなたにボールを当てられた高槻さんの心は、もっと痛かった!」ギュゥーッ!

春香「ほ、ほああぁぁぁぁぁぁっ!!!」



テクテク…

あずさ「…………あら~?」


貴音「おや、三浦あずさ。御機嫌よう」

あずさ「こんにちは、貴音ちゃん。皆で遊んでいるの?」

貴音「えぇ。ろくむしなる遊びをしているのです」

あずさ「あ、あら~……随分懐かしい遊びをしているのねぇ」

あずさ「でも、見たところ私の知っているろくむしと、ルールが少し違うみたいだけれど」

貴音「なんと、それは真ですか?」

あずさ「ああして、誰かを二人で羽交い絞めして何かするというのは、しなかったわね~」

貴音「では、三浦あずさの知っているるぅるとは、どのようなものなのでしょうか」

あずさ「確か、そうねぇ……ハンカチを用意して、円になって座って……」


亜美「やーい、ミキミキ達全員丸便所ー♪」キャッキャッ

美希「あーっ! ゲームが進まない間に、塁に変なラクガキされてるのっ!」

雪歩「うぅ、こんな変な塁は……穴掘って便所にしておきますぅ!!」ザック ザック!

真美「あわわ! ゆきぴょんに変なスイッチが入っちゃったYO!」


千早「春香、反省しなさいっ!」ギュゥーッ!

伊織「そうよ、反省しなさーい!」

響「やよいをイジメるヤツはこうだぞっ!」

春香「ほ、ほああぁぁぁぁぁぁっ!!!」



やよい「………………」

真「おい、ろくむししろよ」

~あくる日~

やよい「うっうー! バンバコしましょー!」

千早「えっ?」


やよい「バーンバーコ やっるひーと こーのゆーび とーまれっ♪」

千早「………………」


やよい「うぅぅ……千早さん、とま…!」

千早「是非も無し」ガシィッ

※バンバコは、地方によって名前やルールが少しずつ異なるようです。
 下記のサイトにて紹介されている遊びが、これから始める遊びに似ています。

 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f6074/p17123.html

 なお、ろくむしと同様に、バンバコという名前の由来は不明です。

~公園~

千早「それで、バンバコって何かしら」

伊織「今日は私達4人だけなのね」

響「まぁ、4人でやるゲームだしなー」



やよい「バンバコっていうのは、ボールを使ってやる、テニスみたいな遊びです!」

やよい「ボールは、サッカーボールくらいの、少し大きめのを使いますよー」


やよい「まず、地面に田んぼの『田』の字を、結構大きめに描きます」ガリガリ…

やよい「この4つの四角が、4人の人達の陣地です!」

千早「陣地?」


やよい「それで、『田』の字の真ん中に、丸を描きます」ガリガリ…

やよい「これが、便所です!」

伊織「べ、便所?」

やよい「はいっ!」


やよい「それで、4つの四角に、それぞれ順位を付けます!」

やよい「偉い順に、王様、大臣、兵士、召使い、って名前にしますね」

やよい「えーと……これからは、実際にやりながら説明しますー!」

響「おっ、そうだな。自分もその方が良いと思うぞ」

千早「とりあえず、適当に配置につけば良いのね」

やよい「はいっ! 練習なので、順位は気にしないでください! 私が王様やりますね」


やよい「まず、王様がボールを、誰か他の人の陣地に向かって足で蹴ります」

やよい「あ、バウンドするように、高さをつけて蹴ってくださいね?」

やよい「蹴られた人は、ボールが自分の陣地の中でツーバウンドする前に、
    ボールを手以外で触らなきゃいけません!」

伊織「うっ……む、難しそうね」

やよい「ううん、大丈夫! それじゃあ、伊織ちゃん、いっくよー!」


やよい「えいっ!」ポンッ!

伊織「わわっ! とっ!」トンッ!

やよい「そのまま! そのまま自分の陣地内で、ツーバウンドしないように!」

響「ノーバンでリフティングまではしなくていいぞ! ワンバンで蹴り続けて!」

伊織「よっ……ほっ……こ、こんなんで良いのかしら?」ポンッ ポンッ

やよい「うん、上手上手! それで、誰か違う人にボールをパスするの!」

伊織「な、なるほど……それじゃあ、千早、はいっ!」ポンッ!

千早「えっ? あっ、ちょ!」ボスンッ!


響「あー、陣地の外に出ちゃったかー」

やよい「自分が触れたボールが、陣地の外でバウンドしちゃったら、その人のミスです」

伊織「この場合、私が蹴ったボールが千早の陣地でバウンドして……」

千早「私が慌てて蹴ったボールが、あらぬ方向へ行っちゃったから、私のミスってことね?」

やよい「その通りです! 物分かり良いですねー」

伊織・千早「…………」ニコニコ


やよい「それで、ミスした人は、自分の一つ下の順位の人と入れ替わりになります」

やよい「今回は、千早さんは大臣で、その下の兵士は響さんなので、響さんと交代ですね」

響「やったー、順位が一つ上がったぞー! ってなるのさー、自分はね」

千早「なるほど」

やよい「あと、中央に描いた便所っていう丸なんですけど……」

やよい「そこにボールを入れちゃった人は、無条件でミスになっちゃいます!」

やよい「しかも、ただのミスじゃなくて……順位が一番下まで落ちちゃうんですー!」

伊織・千早「な、なんですってー!?」

やよい「良いリアクション、ありがとうございますー!」

伊織・千早「…………」ニコニコ


響「便所に落とさないよう、なるべく他の人の取りにくい所へ蹴るのがポイントさー」

やよい「そういうわけなんですー。伊織ちゃん、千早さん、分かりましたかー!?」

\ハーイ!!/ \カワイイ!/


やよい「それじゃあ、ジャンケンして順位を決めましょー!」



ジャンケンポン! ……アイコデショ!  ……アイコッショ!  ……ッショ! ……

~結果~

 王様:伊織  大臣:千早  兵士:やよい  召使い:響


伊織「にひひっ♪ やっぱり王様はなるべくしてなる人がなるようね」

響「うがーっ! 一番下からスタートかぁ!」ワシャワシャ!

千早(この順位だと、私は高槻さんからの攻撃に気をつける必要があるということね……)


やよい「それじゃあ、伊織ちゃんが球出しをして、ゲーム開始ですー!」


伊織「うーむ……それじゃあ適当に、やよいっ!」ポンッ!

やよい「はわっ、とっ、と……」ポンッ ポンッ

やよい「よーし、それじゃあ千早さん、行きますよー!」ポンッ ポンッ

千早(来る……!)


やよい「えいっ!」ポンッ!

千早「くっ!」ポンッ!

響「あっ、うわあっ!?」ボスッ!

伊織「!? 千早の蹴ったボールが、響に当たって……!」

トンッ コロコロコロ…

やよい「今のは、響さんのミスですー!」

響「うがーっ! 千早ー、不意打ちとは卑怯だぞー!」ガナハッ!

千早「ごめんなさい、我那覇さん。決してワザとでは…」

響「あははは。大丈夫、冗談さー。全然気にしてないぞ!」ニコッ

伊織「まぁ、ノーバウンドで蹴るテクニックを千早が持っているとも思えないものね」

千早「んあー……?」カチン


やよい「召使いさんが負けても、順位に変動は無いので……もう一度伊織ちゃんから!」


伊織「よぉし、それじゃあ次行くわよー……それっ!」ポンッ!

響「おっと、自分に来たか!」ポンッ

ポンッ ポンッ ポンッ…

やよい「! す、すごーい! 響さん、すごいですー!!」

千早「地面につけないで、リフティングでボールを操っている……!」

響「ふふーん、これくらいは朝飯前さー!」


響「それじゃあ……やよい、くらえっ!」ポンッ!

やよい「はわっ!?」ビシィッ!

やよい「あぁっ、ボールが外に……や、やられちゃいましたー!」

響「はっはっはっ! やよいは経験者だから、ちょっとだけ本気出しちゃったさー」


千早「…………」ギロッ

伊織「…………」ギロッ

響「ふふん、怖い顔したって無駄だぞ。たとえやよいが相手でも、これは真剣勝負さー」

やよい「ふぇっ?」キョトン



 王様:伊織  大臣:千早  兵士:響  召使い:やよい


伊織「落ちなさいっ、響っ!!」ボンッ!

やよい「な、何で響さん狙い撃ちっ!?」


響「うおっとぉ!」ポンッ!

響「ふっふーん、惜しかったなぁ、伊織」ポンッ ポンッ ポンッ…

伊織「ちぃっ」ギリギリ…

千早「まるでなっちゃいないわ。これだから水瀬さんは……」

伊織「ち、千早!? あんた、どの口がそんな生意気なことを……!」

響「隙ありだぞ、伊織っ!」ボンッ!

伊織「あ、きゃっ!?」ボスッ!

ポンッ ポン コロコロコロ……

千早「あ、今の……」

やよい「便所に落ちちゃいました。伊織ちゃんに当たったボールが」

伊織「な、何ですって!?」


響「えへへ、やったぁー、皆一つずつ順位が上がるぞー! 伊織は召使いね」

伊織「ちょ、ちょっと待ちなさい! 今のは響が蹴ったボールが……!」

響「自分が蹴ったボールが伊織に当たって、それが便所に落ちたんでしょ?」

千早「水瀬さんが便所に落とした、ということになるわね」

伊織「そ、そんな……!」

やよい「響さん、すごいテクニックですー……!」ゴクリ…

 王様:千早  大臣:響  兵士:やよい  召使い:伊織


伊織「私が召使いだなんて……」

千早「なるべくしてなる人がなるようね、水瀬さん」

伊織「ち、千早ぁっ!! あんた、さっきから気に障ることをずけずけと!!」

千早「はいはい、それじゃあ私から始めるわよ。王様の私からね、“召使い”さん?」ニヤニヤ

伊織「キィーーッ!!」


千早(……とりあえず、我那覇さんにボールを回すのは危険ね)

千早「ここは一つ……高槻さん、はいっ!」ポンッ!

やよい「わっ、と……」ポンッ ポンッ


やよい「よぉーし……響さん、さっきの借りを返しちゃいますよー!」ポンッ ポンッ

響「あはは、そう宣言しちゃったら、もう自分には通用しないさー」

やよい「なんの、えいっ!」ボゥッ!

響「はぁっ、いさぃ!!」ボボスッ!

千早「きゃあっ!?」ボスッ!

やよい「!? そ、そんな……!」

伊織「ノーバウンドで、千早の陣地に入れたですって……!?」

響「どうだ千早! 自分も千早から受けた借りを返したさー!」

千早「くっ……!」

千早(あんなことをされたら、とても太刀打ちができないわ……!)


伊織(千早……ここは一つ、協力して響を……!)クイッ

千早(分かっているわ、水瀬さん。ひとまず停戦としましょう)コクン



 王様:響  大臣:千早  兵士:やよい  召使い:伊織


響「わはははー! 一番下から王様に成り上がってやったぞー!!」

やよい「響さん、すごいですー!」

響「ふふーん。平成の豊臣秀吉って呼んでね!」

響「もう王様は誰にも渡さないぞ! 長きにわたる絶対王政を敷いてやるさー!」


伊織「いいからさっさと始めなさいよ」

千早「もう一度、下剋上をしてみせるわ、我那覇さん」

響「おーそうかそうか、ふふふ……」

響「それじゃあ、誰にしよっかなー……」

響「じゃあ、伊織、はいっ!」ポンッ!


伊織「くらえっ!!」ガスッ!

響「う、うわあっ!?」ポンッ!

響「ふぃー……あービックリした」ポンッ ポンッ ポンッ…

千早「いきなりノーバンでヘディングとは、やるわね水瀬さん」

伊織「みくびってもらっては困るわよ」


響「うーん……やよいに渡すと攻撃されちゃうしなぁ……」ポンッ ポンッ ポンッ…

響「じゃあ、消去法で、千早だっ!」ポンッ!


千早「せいやあっ!!」ガンッ!

響「うえぇぇっ!?」ポンッ!

響(な、何だっ!? 何で皆、自分を攻撃してくるんだっ!?)ポンッ ポンッ ポンッ…

千早「惜しいっ……!」ギリギリ…

伊織「キックというか、やたらとえぐい角度で蹴りをいれたわね、千早」

やよい「な、何かすごい気迫……」

響(ど、どうしよう!? 誰に回しても、攻撃されちゃうんなら……!)ポンッ ポンッ…

響(せ、せめて一番常識的な範囲内で攻撃してくれそうな……)ポンッ ポンッ ポンッ…

響「やよいにしようっ!」ポンッ!

やよい「わわっ! ボールが来まし…」


ババッ!

やよい「えっ?」


千早「水瀬さん、タイミングを合わせて!」

伊織「あなたもよ、やよいっ! 三人で蹴るタイミングを!!」

やよい「え、えぇっ!? 陣地を飛び越えて……!!」

響「な、何してんの!?」


千早「スーパーッ!!」

伊織「イナズマッ!!」

やよい「えっ!? あ、えーえと!!」

三人「キィィィィーーーーーーック!!!」ドギャアアッ!!!

響「う、うぎゃあああっ!!」ボスッ!

ヒューー---ン…!


千早「や、やった!?」スタッ!

伊織「ボールが、高々と宙に……!」スタッ!

やよい「さすがの響さんでも、あのボールは処理しきれな…」


響「……なぁんくるないさぁーーっ!!!」バオッ!


伊織「なっ、なにぃっ!?」

千早「何という脚力……公園の外灯にも届かんとばかりの高さの跳躍をっ!!」

やよい「そ、そしてあの態勢から繰り出されるのは、まさかっ!!」


グルンッ!


響「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁあああああっ!!!」ドゴォゥッ!!


伊織・千早「出たァーッ!! 我那覇響君のなんくるオーバーヘッドキックだァーッ!!」

ギュオオオ--ッ…!!


やよい「で、でもボールはあらぬ方向へ飛んで行きますー!」

千早「陣地の外……いいえ、それどころか公園の外へ一直線に……!!」

伊織「あ、あそこ! 通りがかりの人がっ!!」

響「えっ?」スタッ!



キイィィィィ-ーンッ…!!


がんっ!

雪歩「へぶっ!」

ドサッ

真「うわぁっ!? ゆ、雪歩っ!!」

響「え、えぇぇっ!? ひょっとして、雪歩に当たっちゃったのか!?」

伊織「ちょっと雪歩、大丈夫!?」タタタ…


やよい「大丈夫ですか、雪歩さん! しっかり!」ガバッ!

雪歩「えへへ、まさか高校生の時分に顔面でボールを受けて鼻血ブーするとは思わなかったよ」ドクドク…

小鳥「大丈夫よ、私も良くや…」

真「しっかりするんだ、雪歩! ねぇっ!」


響「ごめん……うわーん、雪歩ぉ、ごめんよぉ!!」ポロポロ…

雪歩「ううん、いいの。私のことは、気にしなくていいから……」

雪歩「次からは、あまり、危ないことはやめようね……?」ニコッ

千早「えぇ……萩原さんの言う通りね」


真「また、遊びでヒートアップしてたの!?」

やよい「す、すみません。私がついていながら……」シュン…

真「いや、やよいが悪くないっていうのは何となく分かるよ」

真「どうせまたこの三人が、やよいを軸にして変な執着心燃やしてたんでしょ?」

やよい「ふぇっ?」

伊織「……白状するわ」

伊織「私達は、やよいに取り入ろうと考えるあまり、お互いをいがみ合っていた」

真「取り入るとか言っちゃったよ、とうとう!」


千早「でも、そのせいで、我を忘れてしまい……」

千早「結果として、春香然り、萩原さん然り、多くの人に迷惑を掛けてしまったわ」

雪歩「春香ちゃんにやってたのは、何か違うような気がするんだけど……」

春香「なになに、呼んだ?」ヒョコッ


響「やっと自分達、気づいたんだ」

響「何かを得るために争うのって、すごく虚しいことなんだって」

響「だから、そう……ゲームは争うものじゃなくて、競うものなんだぞ!!」

真「響……そうだよ! ルールの中で、自分達の技術を競う場なんだ!」


伊織「だから、皆が競いながら楽しめる、別の遊びをしましょう」

やよい「うっうー! 良く分かんないけど、伊織ちゃんがそう言ってくれて嬉しいですー!」

千早「だるまさんがころんだ、なんてどうかしら。高槻さんが鬼で」

響「それ、大賛成だぞ!」

やよい「うわーっ! すっごく懐かしい! やろうやりましょう!!」バンザーイ!

やよい「それじゃあいきますよー!」


やよい「だーるーまーさーんーがーー……ころんだ!」クルッ!



やよい「だーーるーーまーーさーー……」


伊織「ぐっ、この……!」グイッ…!

千早「正々堂々、ふんぬ……!!」グイィ-ッ…!

響「同じルールの中で、やよいを……ぬぁぁっ……!!」ググッ…!


やよい「んーーーーがころんだっ!」クルッ!



やよい「だーーーるーーーー……」


四人「うおぉぉっ!」「やよいは私がっ!」「いや自分がっ!」「ほ、ほああぁぁぁっ!!」



雪歩「………………」

真「おい、反省しろよ」

~あくる日~

やよい「今日は、事務所でできる遊びを用意してきましたー!」


やよい「うっうー! ジョウセンしましょー!」

P「おっ?」


やよい「ジョーウセーン やっるひーと こーのゆーび とーまれっ♪」

P「是非も無し」ガシィッ

小鳥「是非も無し」ガシィッ

高木「善澤君も誘おう!」ポパピプペ…


律子「おい、仕事しろよ」


~おしまい~

ルールの説明や遊びの描写とか、分かりにくくてすみません。

なお、ジョウセンとは、定規戦争の略です。
これも、地方によってルールが少しずつ異なるかと思います。

ちなみに小鳥さんは昔、ジョジョ(=ジョウセン女王)と呼ばれ、畏れられていたそうな。
ダカラ『ドーダコーダ』言ウワケデハナインデスガネ。
じゃあの。

~おまけ 1×年前、とある小学校~

男子A「おい……ちょっと待て。何かがおかしい、決定的に!」

男子B「動くんじゃあないッ! 気づかないのかッ!?」


男子B「あの女からの『攻撃』を受けている!! スデにッ!!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


小鳥「………………」ペロリ…



小鳥「……『バトルエンピツ』ってよォォォォ~~~……
   あるよな。
   知ってるか。え? ……バトエン」

小鳥「ノー勉のクセして必死こいてる受験生のよーに鉛筆転がして、
   出た目の数字やマークで一喜一憂するアレさ」

男子A・B「…………?」「………………」


小鳥「だがこの音無小鳥は考える……『アレの何がバトルなのか?』と」


小鳥「競うのはバトエンの『性能』と、欲しい出目を引く『運』」

小鳥「『誰が』やろうと同じなのだ……たとえ私を前にして小便チビッてる貴様らだろうと、
   威張るだけで能無しな担任がやろうとな」

小鳥「そんなものはバトルではない……『武器』には常に『持ち主』がいて……
   かつ、使いやすいように『手入れ』がされていなくてはならない」

小鳥「来るべき戦闘に備えて……違うかしら?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!

男子A「アイツ……馬鹿な、そんなッ!!」

男子B「今日は『金曜日』だぞ……週の終わりに!
    あの物ぐさな女のエンピツが、『あんな風になっているはずがないッ』!!」


 男子共は、まさに定規を弾かれようとする瞬間目撃し、理解した。
 音無小鳥のエンピツの秘密を!
 彼女の持っていたエンピツは、ただのバトルエンピツではない!

 削っていた! 鋭く尖っていた!
 シンデレラ城の先端のように鋭利な、しかも表面は粗々しく毛羽立っていたのだ!
 数分前に削ったばかりだと一目で分かるエンピツを見て、
 普段ロクに鉛筆など削らない女がジョウセンにかける執念の強大さを理解したッ!


男子A「ってそれやっぱただのバトエンじゃねーか」

キーンコーンカーンコーン

先生「チャイムなったぞー、席つけー、遊ぶのやめろー」ガララッ

小鳥「オーー! ノォーーッ!!」


~おしまい~

さっき思いついただけです。すみません。
たぶんジョウセンに鉛筆の尖り具合は関係ありません。
それに、バトエンは削るものではないと思います。じゃあの。

>>1「うぅ…乙してくださいよぉ…」

俺「是非も無し」オツッ

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