シリアス・欝方面
絵里と亜里沙
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「ん……」
軽く欠伸をしながら目を開けると
見覚えのない天井が目に映る
それに加えて
右手も、左手も、右足も、左足も
どこを動かしてもジャラッと金属音が響く
これでは自分では何もできない
食事も、お風呂も……当然、お手洗いにだっていけない
「夢ね」
もう一度目を瞑ってみたけれど
両手足から伝わってくる鉄の冷たさと重さがもう一度開かせる
「……嘘」
昨日までの何の変哲もない日常から
私は突如として――切り離されてしまった
こんなありえない状況が現実だと
寝ぼけた頭が理解するまでそうは時間かからなかった
「っ!」
右手を強く引き上げると
頭に届くか届かないかくらいのところでガシャンッと鎖の限界に到達する
左手も同じ位置までしか動かせず
両足なんかは膝を曲げることすらままならない
不安にかられながら
首だけを動かして辺りを見渡す
私が拘束されているベッド以外には何もない
「一体なんなの……?」
冷や汗が額を伝って流れ落ちていく
ドアはあっても窓はなく、体が動かせないからその先に行くこともできない
焦っていく思考
それを収めるためにふっと息を吐く
解るのは私が監禁されているということ
少なくとも自分が知らないどこかで有ると言う事
焦るだけ……無駄だということ
監禁しているんだから観察くらいしてるだろう。と
何度か呼んでみたものの反応はない
「……どうしたいのよ」
このまま餓死させるつもり?
そんな酷い殺され方するような恨みは買ってないはずなんだけど
「何が目的?」
答えは返ってこない
明かりは天井の古臭い蛍光灯の光だけ
時間の流れを全く知覚させないのがまた精神を削っていく
「怖い……」
電気まで消されるのではと
心が不安と恐怖に煽られ、目元へと水分が奪われていくのを感じて目を瞑る
「ここで弱いところを見せたらつけ込まれるわ……頑張らないと」
表面上ではそう強がれても
心の中はもう、不安で一杯だった
起きてからどれくらいの時間が経っただろうか
少なくとも1時間は経ってる……はず
「悪戯なら今ならまだ許してあげる……だから……っ」
下腹部の内側
言辛い場所で小さな湖がまた水位を上げたのを感じて全身に力を込める
横になっているのが唯一の救い
立たされてたらもうダメだったかもしれないわね
「ねぇ……もう止めましょう?」
答えはない
「いるんでしょう?」
答えはない
「お願――ぁっ」
体の奥底から
ピチョンッと聞こえるはずもない音が響き
強く唇と瞳を噛み締めて
両足を捕らえる鎖を限界まで引き伸ばしながら身悶える
高校三年にもなってお漏らしなんて屈辱なんていうレベルではなく
その焦りが理性を押し退け口を開く
「もう私の負けでいいから! 何かしたなら謝るから、だからっ、だからお手洗い行かせて!」
羞恥心でさえも払い除けて
口にするのさえ躊躇うような事を叫ぶ
だけど答えはなく
溜まりに溜まった湖は川となり干からびて
別の場所へと大きな染みを作り上げた
生温かい感覚が下着と密着する臀部を這いずり
嘲笑うようなアンモニア臭が鼻をつく
「なによ……なんなのよ……」
もう限界
もう嫌
なによ……なんなのよ
「なんでこんなことするのよ!」
その叫びにも沈黙を保つ犯人に苛立ちを覚え
両手を縛る鎖に悲鳴を上げさせる
「私がなにかしたなら直接言いなさい! こんなことしないで……こんなことっ」
自分がさせられたことが
その感覚が感触が心も体も蝕んでいき
弱い部分を見せてはダメだと思っていたのに……
涙を堪えることができなかった
中断
スマホだからID変わると思うので識別酉
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