隊長「勇者を護送…?」(21)

昔、昔、人間と魔王は戦争をしていました

大地は流れた血で赤く染まり、空は死にゆる者達の断末魔で埋め尽くされました。

それは終わりの見えない悲しい戦いでした。

そんな中、一人の優しい若者、「勇者」が立ち上がりました。

勇者はただ憎しみに身を任せて戦うことはせず、魔との共存の道を探り始めました。

最初は皆、彼の理想を鼻で笑い取り合おうとはしませんでした。

しかし、彼の地道な努力は少しずつ皆に平和の尊さを思い出させ、人の、さらには魔の心をも動かして行きました。

そして遂に戦争は終わり、人と魔は互いに手を取り合い共存の道を歩み始めました。

誰もがこう思いました「ああ、もう戦わなくて済む」と。

しかし、この平和は勇者の死と共に崩れ去りました。

人の中には勇者の理想を否定し、魔を恨み、殲滅を強く願うものが大勢いました。

主に親兄弟が魔に殺された者達です。

勇者は彼らを必死に諭し、抑えてきました。

しかし勇者という抑えを失った今、彼らの感情は暴走し、魔を虐殺し始めました。

魔はこの行為に対して速やかに報復を開始。

結果として再び終わりのない戦争が始まってしまいました。

勇者が築いた幻想の平和が残したモノは2つだけ
人と魔の間に走った決して塞がる事のない深い亀裂と

人と魔の間に生まれた、人でも魔でもない。

可哀想な「亜人」達だけでした。

亜人部隊隊長(以下隊長)「それで…勇者の護衛と言うのは?」

国王「聞いての通りじゃ。憎き魔王を始末するため勇者を魔王城まで護送して貰いたい。」

国王「魔王を倒す事が出来るのは聖剣を装備した勇者のみ。」

国王「その頼みの綱の勇者が旅先で死なれては元も子もない。」

国王「そこでお主らに護送を頼もうと言う事になった訳じゃ」

隊長「はあ…なるほど…」

大臣「当然お前達亜人兵に拒否権はない。亜人兵の命令違反は死罪に値する。」

国王「まあそう言うでない大臣。どれ、お主が魔王を倒した暁にはお主の願いをなんでも叶えてやろう」

隊長「本当ですか!?」

国王「ああ当然じゃ。何でも言うてみい。」

隊長「私が望むものは…」
…………………………………………………………
大臣「よろしかったのですか?あのような約束をされて。」

国王「なに。どうせ亜人如きに魔王は倒せん。せいぜい勇者の囮じゃろうて。」

大臣「ですが万が一と言う事が御座います。あんな願い、我らにどうこう出来るものとは思えません。」

国王「うーむ。そこが問題じゃな。よもや隊長があのような願いを口にするなどとは…」

…………………………………………………………

隊長「というわけだ。俺たちの部隊は勇者様と合流し護送を開始する。」
亜人衛生兵(以下衛生兵)「なんというか…また急な話だね。」

亜人狙撃兵(以下狙撃兵)「何だって俺たちにそんな命令が…」

亜人重装兵(以下重装兵)「ガハハ!王直々の指令じゃろう?ほれシャキッとせんかい!」

狙撃兵「一個小隊だけで魔王領に入るなんて自殺行為さ。気張れってほうが無理だよ。」

衛生兵「断れないの?」
隊長「亜人兵の命令違反は死罪だ。断れるはずもない。」

衛生兵「そっか…そうだったね。」

隊長「それに、だ。魔王を倒せばどんな願いでも叶えて貰えるそうだ。」
重装兵「なんでも?それは豪勢じゃのう。」

衛生兵「ねぇ、何をお願いしたの?」

隊長「それはな…」

………………回想入りまーす………………………
隊長「それでは私達が魔王を倒した暁には、国王陛下には、ピーー[自主規制]ーーをして頂きます。」

国王「なんと!ピーー[自主規制]ーーじゃと!?」

国王「ふ、ふふ…なるほど。確かに亜人らしい考えじゃ。」

国王「よかろう!お主が魔王を倒せばピーー[自主規制]ーーを約束しよう!」

国王「そのかわり死んでも魔王を倒すのじゃ!」
隊長「ハッ!」

…………………………………………………………

隊長「いや…今はまだ言えないな。」

狙撃兵「なんだよ。水臭いじゃないか。教えてくれたっていいだろうに。」

隊長「大丈夫だ。きっとみんなも喜ぶお願いをしてきたよ。」

衛生兵「そっか。楽しみにしてるね♪」

疲れたので今日はここまでにします。

ケータイから打っているので読みにくくですいません。

見てる人いるんだろうか?

まあヌルヌル続けて行きます

隊長「ここが待ち合わせ場所のはずなんだが…」

衛生兵「勇者さんはいないみたいだね。沢山兵隊はいるんだけど…」

隊長「しょうがない。彼らに聞いてみよう。」

隊長「失礼します」

正規軍隊長「ん?どうした?」

隊長「国王陛下より勇者様の護衛の任を命じられた部隊です。」

正規軍隊長「なんだと。一体どういう事だ!」

隊長「?話はそちらにも届いているはずですが…」

正規軍隊長「勇者様専属の護衛がいる事は聞いていた。」

正規軍隊長「だがお前らみたいな亜人が来るとは一言も聞いてないぞ。」
正規軍隊長「全く陛下は何を考えているのか。こんな敵か味方かも分からん連中に護衛を任せるなど…」

隊長「…」

隊長(はぁ…またこの扱いか。)

狙撃兵(仕方ないぜ。隊長さん。)ヒソヒソ

狙撃兵(俺たち亜人は半分人で半分が魔族。)

狙撃兵(言っちまえば半分敵みたいなもんだからなぁ。)

隊長(だな、この扱いにもいい加減慣れてきた)

正規軍隊長「ふん。まあいいだろう。陛下の決定には逆らえん。」

正規軍隊長「おい、お前たち。護送の前に勇者殿に挨拶をしてこい。くれぐれも失礼のないようにな。」

隊長「了解しました。」

正規軍隊長「勇者殿はあの馬車の中だ。早く行け。」

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