鷺沢文香「書物をめくる冒険」 (180)
はじめに
アイドルマスターシンデレラガールズ、鷺沢文香メインのSSです。
展開や結末は、安価やコンマや作者の独断で変わっていきます。
鷺沢文香 http://imgur.com/BBPxcqu.jpg
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1407111645
某プロダクション、女子寮の一室――
文香「はあ……先日も皆さんに、ご迷惑をおかけしてしまいました。
ビーチボールを投げられたら、取れないどころか、自分が海に流されるなんて……」
文香「本を読むだけで、運動神経が良くなればいいのに……
冒険小説の、主人公のように……」
文香「そうですよね、思いをはせることだけは自由……」
某古書店街――
文香「故郷とは比べ物にならないくらい、たくさんの本と出会える……
上京してきて良かったことのひとつ、ですね……」
文香「国立国会図書館や、この古書店街。一日過ごしても、飽きません……
あれ?」
ペラ
文香「この本……題名も、本文もないです……」
パラパラ
文香「世の中には『自分で書き込む本』というのもありますが……
奥付くらいはあるはず……」
パラパラパラ
文香「誰かがイタズラで、白紙のノートを?
それにしては、装丁が立派すぎます……」
パラパラパラパラ……
『お前は、どんな物語を望む?』
文香「こ、これは!? 白紙のページに、文字が浮かんでくる……」
『書物を愛し、書物から愛される娘よ。どんな物語を望む?』
文香「そんなこと急に言われても……思いつかない……」
『ならば選択肢をやろう。選ぶがいい
1.中世ヨーロッパ風の世界、剣と魔法が盛りだくさん
2.古代中国風の世界、剣と魔法もあるアルよ
3.過去の日本、刀と術もあるでござる
4.現在のまま。現実は非情である
5.その他自由意見(ミックスとか)
』
>>5からしばらく、ご意見募集
5,サイバーパンクな世界
文香「……決めました。
もしも願いが叶うなら、まだ知らない世界を……
でも、きっと暑さが見せた幻ですよね……」
『よかろう。
世界中の本たちよ、我らが言霊の力によりて、新しき世界を!』
パアアア
文香「えっ、えっ!?
これは……古本が一斉に、光を放ってる……
て、店員さん、きゃあああ――!」
ペラ
『書物をめくる冒険』
文香「やっと光が収まった……ここは、さっきと同じ、古本屋さん……?
でも気のせいか、内装が古めかしくなっているような……
それに、店員も客も、いない……」
『
登場人物
鷺沢文香
』
文香「あ、白紙のページに私の名前が……」
『
鷺沢文香
世界中の本の力で、新しい世界を作り出した少女。
その直後、モンスターに襲撃され、あっけなく命を落とす。
完
』
文香「嘘……この結末は未来、それとも夢……?」ガクガク
グオオオオ!!
文香「何か店内に入ってきた……
立って歩いてるけど、明らかに人間じゃない……モンスター!?」
『文香はゴブリンに襲われ、あっけなく命を落とす』
文香「あの醜い小鬼が、ゴブリンなんですね……じゃなくて!
ページを破れば、きっと元の世界に……」
ベリッ!
『※ページを破ることで、結末を変えることはできない。
文香はゴブリンに襲われ、辱めを受け、あっけなく命を落とす』
文香「ひいいいっ……! は、辱めって、何……」ブルブル
文香「
生き残らないと……
ここで命を落としたら、本当に、元の世界に戻れない気がする……
どうしよう……?
1.文香には突然、反撃するための力が与えられる。
2.暴力反対。ゴブリンでも話せば分かる。
3.助からない。夢の世界も非情である。
」
>>25
2
文香「私がマルを付けたいのは1だけど……
そんなに都合よくはいかないと思う……
ここは私の、言霊の力を信じるしかない……つまり、2……」
グルルル
文香「あっあの!
私、決してあなた達に危害を加えようとか……そういうつもりは……」
グル?
文香「だから、ここから出て行って……ください……」オドオド
ペラ
『ゴブリン達の目には、怯える文香が実に美味しそうに映った。
答え 3』
文香「いやあああ――っ!」
グオオオオ――ッ!!
ピカ――ッ
文香「嫌……わ、私の服が、光の粒になって消えていく……
下着も何も……糸くず一本残さず……
やっぱり私、ここで恥ずかしい最期を……」グスッ
パラパラパラ、パラパラパラ!!
文香「な、何……
周囲の古本から、文字が無数に飛び出して、私の身体をくまなく包んでいく……」
シュオオオ、カキーンカキーン
文香「……服に、鎧に、剣に変わっていく!?
これが、本当の言霊の力……!」
グギ!?
『鷺沢文香
世界中の本の力で、新しい世界を作り出した少女。
その直後、ゴブリンに襲撃されたことで、生き抜くための剣と鎧を手に入れた』
文香「強く願えば……未来を変えるチャンスが来る。
同じです……アイドルになった、元の世界と……」
チャキ
文香「そして……強く願えば、運動音痴だって治せる……!」
ズバアアッ
文香「今度生まれてくる時は……人の話を聞きなさい……!」
ギエエエーッ
『見事、文香はゴブリンどもを薙ぎ払った』
文香「ふう……助かった。
このスマートな長剣……今まで、剣道もしたことないのに、
なぜか使いこなせてしまいました……」
キョロキョロ
文香「騎士のような……純白の鎧ですね。
肩、二の腕、脇、太腿が露出してますが、防御は大丈夫でしょうか……」
『※店から外に出ないと、話が進まない』
文香「この本、不安なことばかり次々に書かれて……置いていこうかしら」
『※それを捨てるなんてとんでもない!』
文香「ふふ、冗談……ですよ。さあ、扉を開けましょう……」
ギイイイ
文香「あっその前に……もう少し、立ち読みを……」ワクワク
『※店から外に出ないと、話が進まないつってんだろー!』
――ページをめくると、いつもそこに君がいた――
さて皆さん。
こうして文学少女、鷺沢文香は剣を取り、未知の世界の扉を開けたのです。
これから先、彼女をどんな世界が、そして、どんな人々が待っているのでしょうか。
もしかして、皆さんご存知のアイドルたちも、同じ世界に来ているかもしれませんよ?
>>32以降しばらく、誰が来るかご意見募集中
楓さん
変身後の鷺沢さんのイメージ
http://imgur.com/yG2y9D9.jpg
ギイイイ
文香「これが、この世界の街……絵に描いたような、中世ヨーロッパ風ファンタジーの街並みですね。
住人は……?」
ウワ――ッ!!
文香「私と同じように、住人がモンスターに襲われている……!?」ダッ
『ゴブリンの徒党があらわれた!』
文香「……見れば、分かります。住人は、いかにもな格好ですね……」
チャキ
文香「残念ですが……ゴブリンに話は通じない……斬ります!」
ズシャズシャズシャ
ギャアアア
文香「大丈夫ですか……? た、旅の騎士です、故郷に帰る途中の……では失礼」クルリ
文香(聞いたこともない言葉なのに……完全に理解できる……夢の世界だから?)
初めての街を散策中――
文香「どうやら……街の警備兵も出動して、魔物の襲撃はやんだみたいですね」ホッ
文香「それにしても、この街は本屋が多いです……不思議……!?」
パラパラパラ
文香「やっぱり……知らない言葉で書かれた本が、スラスラと読める……楽しいかも」
『鷺沢文香 どんな世界に行っても、本好きは健在のようだ』
文香「少しずつですが、この世界のことがわかってきました……
聞いたこともない、いくつもの国があって、交流したり、戦争したりしている……
それ以上に、魔王と魔物たちが、人間たちには脅威ということ……
電気製品のたぐいは一切ないけど、高度に発達した魔法が、それを補って余りある……」
グーキュルルル
『鷺沢文香 空腹のあまり餓死 完』
文香「もう、バカにして……! 食事くらいします……
あっ」ポンポン
文香「一度生まれたままの姿になった、あのとき……
お財布も巻き添えで……消えた!? どうしよう……」
『鷺沢文香 空腹のあまり餓死 完』
文香「そうだ……この本には、変えられる近い未来と、確定した過去が書いてある……」
パラパラパラ
『ゴブリンの徒党をやっつけた! ゴールドを手に入れた!』
文香「この『ゴールド』が、この世界の通貨だとすれば……急いで戻れば……!」
酒場――
文香「……いただきます」モグモグ
『鷺沢文香 落ちていたゴールドを必死にかき集め、餓死は免れた』
文香「大げさです……」
???「あら、可愛い女騎士さんがいると思ったら。文香じゃない」グビッ
香「……志乃さん、ですよね!?」
『柊志乃 所属事務所の大先輩(31)。
血の代わりにアルコールが流れていると噂される酒豪。
背中がとてもセクシー』
http://imgur.com/WvNeifP.jpg
文香「でも、そっくりさんかも……あの、この世界にはいつから……」
志乃「ついさっきよ。本屋でワインのうんちく本を読んでたら、
こう、周囲がパーッと光って。で、気がついたらこの酒場にいたの」グビッ
文香「やっぱり……同じ現象が……」
志乃「まあ、この世界のお酒も美味しいし。
しばらくは、この酒場の女主人をやってるわ。
あなたは?」グビッ
文香「元の世界に戻る方法を、探します。一刻も早く……」
志乃「……文香、それは一人じゃ無理っぽいわ。だから、仲間を見つけなさい」
文香「仲間……ですか」
志乃「この酒場にも、いろんな人が来るの。
古本屋でいい本を探すように、いい仲間になりそうな人を探すのよ」
文香「あの……私から声を……?」
志乃「苦手だとは思うけどね。本気なら、やらなきゃ」
文香「……わかりました、探してみます。
志乃さんも、飲みすぎには気をつけて……」
志乃「はいはい。あなたはそもそも飲んじゃダメよ」グビッ
文香「この本には、仲間のヒントとか出るのかしら……」
ペラ
『引っ込み思案を克服できず、一人で冒険をするはめに』
文香「……意地悪」ボソッ
さて皆さん。
志乃のアドバイスを受けて、文香は仲間を探し始めます。
誰が、どんな職業で仲間入りするのか? それは、次回からのお楽しみ。
本日はここまで。ありがとうございました。
鷺沢文香(17)
http://imgur.com/BBPxcqu.jpg
物静かで運動音痴な文学少女。
古本屋で手にした本に導かれ、新しい世界を作り出してしまった。
元の世界に戻る方法を探しているが、この世界を深く知りたいという気持ちも育ちつつある。
文香の持つ本『ページをめくる冒険』には、彼女の近い未来が書き込まれる。
その多くがネガティブな表現(死・陵辱など)なので、文香は嫌がっている。
ただし、未来は自分の行動で書き換えられる。
また、確定した過去は後から読み返せる。
無数の『文字』が集まって作られた、ロングソードと純白の鎧(露出度高め)を装備。
コンプレックスの裏返しか、運動能力がやたらと上昇している。
今のところ、魔法は使えないようだ。
訂正。本の名前は『書物をめくる冒険』でした。
『再開』
文香「仲間を探す……
でも、やみくもに頭数だけ増やしてもダメだと思います……」
ワイワイガヤガヤ
文香「まず一人、どんな人を探そうかしら……
1.腕っ節と体力に自信のある人(戦士など)
2.魔物との戦闘で負った傷を治せる人(僧侶など)
3.剣が通用しない敵を特殊な力で倒せる人(魔道士など)
4.その他
」
>>51、理由もお願いします
3
ファンタジーの世界じゃ物理が効かない敵がいるのは当たり前だし
1対多の戦闘もなきゃーねー(屁理屈
訂正。文香は19歳です。なぜ間違えた……
文香「この先、剣が通用する魔物ばかりとは限らない……
それに……魔法が存在するのなら、見てみたい……」
ガシャン、パリ――ン!!
文香「ああ……料理が遅いからって、
酔っぱらいの大男が暴れています……」
???「フッ、酒は厄介だね。
オトナをたちまち悪魔に変えてしまう。
もしくは、救いようのない愚か者に」
文香「あんな少女が、立ち向かうつもり……!?
危ない、殴られるっ」ダッ
???「見せてあげるよ、ボクが手に入れた能力(ちから)を」
文香「エクステが真っ赤に輝きだした……まさか……」
???「焼き尽くせ」
ボワッ
文香「……鼻先が……焦げる程度の炎……?」
???「このエクステは魔翌力ブースターさ。
次は灰になっても知らないよ」チッチッチ
×魔翌翌翌力ブースター
○魔翌力ブースター
何だこのバグ!?
○魔翌力のブースター
魔力ブースター
NGワードなんですかね……
文香「酔っぱらいが逃げた……よかった……」ホッ
???「おや。キミのその姿、選ばれし者といった雰囲気だね。
興味深い」
文香「私は鷺沢文香……あなたは?」
二宮飛鳥「ボクはアスカ。二宮飛鳥。
アイドルという新しい世界に踏み込んだと思ったら、また別の世界に来てしまったよ」
文香「……どうやってこの世界に?」
飛鳥「本を読んでいたのさ。
自分が織りなす、創造物のクオリティを高めるためにね」
文香「やはり、本を読んでいたの……」
飛鳥「そうしたら、突然本が光ってね。変革はいつも突然だ」
文香「その原因……私なんです……私が、新しい世界を願ったから……」
飛鳥「何だって?」
文香「この世界を、もっと深く知りたい……でも、元の世界にも帰りたい……」
飛鳥「ボクはこのままでもいいよ。
剣と魔法と非日常。ご機嫌な舞台装置がここにはある。
ミッドナイトレディオショーが聴けないのは残念だけど」
文香「あなたは……私の作った世界に、抵抗しないのですか……」
飛鳥「世界への、抵抗?」ピクッ
文香「今のあなたは……他人の作った物語の、登場人物にすぎないのに……」
飛鳥「フッ。そう言われると、抵抗したくもなるね。14歳、そういう年頃さ」
文香「私と一緒に……この本に書かれる未来を、変えましょう……」
飛鳥「ああ。ボクの能力(ちから)、世界への抵抗に捧げよう」
『こうして文学少女と中二病患者は、固い握手を交わした。
二宮飛鳥(14)
中二病まっただ中のアイドルで、文香とは別の事務所に所属。
<漫画の描き方のテクニック本>を読んでいるときに、異世界に召喚された。
この世界と自分の能力を気に入っているが、文香に丸め込まれて仲間入り。
黒魔道士の能力を手に入れている。
エクステを魔力ブースターにし、強力な(?)火炎系攻撃魔法を使える』
飛鳥「ところで文香。
元の世界に帰るというが、あてはあるのかい?」←5歳年下
文香「この世界には、魔物を束ねる魔王がいます……
それを討つことで、物語が終わり……元の世界に……」
飛鳥「そこまで単純な筋書きなら、ボクも嬉しいけどね。
それに、二人で戦ってすぐに勝てる相手とは思えない」
文香「そういう設定……でしょうね。だから、ここでもっと仲間を集めないと……」
パラ
『これ以上、この街にとどまっていても、仲間は増えなかった!』
文香「……冒険してもいい頃、と……」
二宮飛鳥 http://imgur.com/7sp9oNY.jpg
さて皆さん。
次回、文香と飛鳥は初めて街の外に出ます。
しかし、回復役がいない二人はダメージが蓄積。
目的地に着く前に、力尽きそうになります。
そこで。
二人を救うことになる、回復役は誰なのでしょうか?
>>66以降しばらくご意見募集中
オクスリしきにゃん
プリースト(神官)ならクラリス
ヒーラー(薬草師)なら志希
ウィッチドクター(祈祷師)なら芳乃
ナース(看護師)なら清良
そして
ドクター(医師)双海父
……多いな
サージョンがいれば文句無しだな
芳乃が良いなぁ
宿屋――
飛鳥「文香、いつまで朝の光に抵抗しているんだい?」コンコン
ガチャ
文香「……すみません……朝に弱くて……」
プルルン♪
飛鳥「」
文香「……どうしました? 唖然としてますが……」
タユンタユン♪
飛鳥「キミがそんな、大胆な格好で寝ているなんて。
驚きの連続だよ」ジーッ
文香(生まれたままの姿)「……え?」
キャ――――ッ
変身中、しばらくお待ちください
文香「……先ほどは……大変失礼しました///」
飛鳥「装備一式……ご丁寧に下着まで『言葉の力』で作っているとはね。
それにひきかえ、ボクの『言葉の力』は」
ボワッ
飛鳥「炎を操ることにしか、使えない。キミとボク、何が違うんだろうか」
文香「ごめんなさい……私にもわかりません……」
飛鳥「フッ、責めてるわけじゃない。でも、謎はいつか解き明かすよ」
文香「ところで……今日の目的地は……?」
飛鳥「この街を出て東に進むと、南北に川が流れ、橋がかかっている。
その橋を渡った先に、ここよりはるかに大きな商業都市がある」
文香「街が大きければ……」
飛鳥「出会う人も多いということさ。さあ、出発の号令を」
文香「道中無事なら……いいのですが……」
飛鳥「まあ、そんなぬるいシナリオでもないはず……ほら魔物だ!」
『スライムがあらわれた!』
ウジュルウジュル
文香「ぜ……全然可愛くない……」
飛鳥「こいつを、あんなに可愛い生き物にしたT山A先生は偉大だね」
文香「……斬ります」ダッ
ザシュ
文香「斬撃が……効いてない……!?」
飛鳥「動揺しない。ボクの炎の出番ということさ。
エクステで魔力をブースト……燃え尽きろ!」
ゴ――ッ
ジュウウ
文香「凄い……消滅……」
飛鳥「フフ。
言葉の力の差が、戦力の決定的な差ではないようだね」チッチッチ
文香「……どこかで聞いたような……」
『またスライムがあらわれた!』
飛鳥「個性がなければ、弱点も同じさ」ゴ――ッ
『またまたスライムがあらわれた!』
飛鳥「ルーチンワークはオトナの領分だろう?」ゴ――ッ
『またまたまた……』
飛鳥「フッ……偏っていることは、悪いことじゃないけど」ゼエゼエ
文香「飛鳥さんが、炎を出せないくらい、消耗している……!」
『ゴブリンの徒党があらわれた!』
文香「私の後ろで……休んでて……問答無用で斬ります」チャキ
ズバズバズバ
飛鳥「キミはゴブリンに恨みでもあるのかい?」
文香「最初に怖い目に……これから無用な戦闘は……逃げましょう……」
橋――
文香「向こう側に、街が見えてきました……! あと少し……」タッタッタッ
『大怪鳥が2羽あらわれた!』
クケ――ッ!!
文香「橋の真ん中で挟み撃ち……逃げ場が……!」
飛鳥「あと一発くらいは余力があるのさ」
ゴ――ッ
スカッ
文香「あ」
飛鳥「人生、上手くいかないもんだね」ガクリ
文香「飛鳥さん、飛鳥さん……私一人で、どうにかしないと……」
ザシュ
クエ―
文香「あと一羽……上空を旋回中……急降下……
てやあああ――っ」
ズバアアッ
クエ―
文香「どうにか……斬りましたが……相手の爪も鋭かった……」ヨロッ
???「…………」
誰でしょう? >>84のコンマ以下が
01~49 クラリス
50~98 一ノ瀬志希
00、99 自由選択
あ
一ノ瀬志希「興味深い実験材料、ふたりも発見♪ にゃは♪」
文香「う……う~ん……くうっ……」
飛鳥「ここは、どこ……痛っ!!」
志希「おや、目が覚めた?」
文香「確か、橋を渡りきる前に、気を失って……ハッ!」キョロキョロ
飛鳥「服は、消えてないみたいだね。短時間、気を失うだけなら、セーフってことか」
志希「大変だったんだよー? 私ひとりで、ふたりを運ぶのは。
薬が切れたら筋肉痛かなー」
文香「命の恩人ですね……ありがとう……」ペコリ
志希「いやいや、傷の手当てはこれからだから。
ほら、これ塗ってみて♪」
文香「では……お言葉に甘えて……」
飛鳥「ちょっと待った。どうも怪しいな」
志希「な、何のことかにゃ」
飛鳥「そもそも、キミは誰なんだ?
ボクらのことも知らないだろうに、話がうますぎる」
文香「飛鳥さん! 彼女に失礼です!」
飛鳥「善意の仮面の裏を暴きたい。そういう年頃なのさ、ボクは」
志希「じゃあ、これなら信じてくれるかな……っ!」ザク
飛鳥「ナイフで自分の指先を!?」
志希「そしてこの薬をちょちょいと」ヌリヌリ
文香「傷が……たちまちふさがっていく……」
志希「信じてくれたら、さあ塗った塗った。
それだけ大ケガだと、全快まで時間かかると思うけど」
飛鳥「ええと、疑って悪かったよ」ヌリヌリ
志希「にしても凄いよね、こんな薬が作れる世界って!
科学の法則が全然通じないの! アイドルやめちゃおっかな、どうしよう~」
文香「やはりアイドル……わ、私達も、そうなんです……」
志希「もしかして、あの鷺沢文香さん?
ハスハス、やっぱいい匂い! えーとキミも?」
飛鳥「二宮飛鳥。
知られていない、ということに価値があるのかもしれないね」
志希「にゃははゴメンゴメン。
私は一ノ瀬志希、半年前からアイドル始めたフツーのJK♪」
飛鳥「人体実験するフツーのJK……」
志希「ちょっとした趣味だよー。
科学雑誌を読んでたら、本が光って、この世界に……みんな同じかにゃ?」
文香「そうです……そして、この世界を知りたいという思いと、
元の世界に戻りたいという思いの狭間に悩むのも……」
志希「それで、旅を始めたってわけね。うん、事情はよーく分かった。
けど、薬作ってるだけじゃ戦力にならないでしょ」
文香「そうでしょうか……あなたにはまだ、秘められた力があるような……」
志希「まあまあ、せっかく橋を渡ってきたんだし。
ゆっくり街を見てきたら? この研究所、宿屋代わりにしていいからさ♪」
『一ノ瀬志希(18)
化学に人並み外れた才能を持ち、海外で飛び級までしながら、
気まぐれで帰国し、偶然アイドルになった少女。
科学雑誌を読んでいるときに、異世界に召喚された。
薬師(くすりし)の能力を持ち、ファンタジー世界ならではの薬を作り出せる。
ただし、元の世界の科学知識は通用しない。
自分の能力が戦闘向きでないと思っているが……
彼女が傍観者でいることは許されない』
http://imgur.com/LXrHNl6.jpg
さて皆さん。
文香と飛鳥の危機を救った、一ノ瀬志希。
待望の回復役になるかと思いきや、断ってしまいました。
彼女は自分の能力が、戦闘向きでないと思っています。
しかし次回、志希は魔物に苦戦するふたりのため『言葉の力』で薬を作り出すのです。
そこで。
彼女はどんな薬を作るべきでしょうか? その具体的な効果は?
1.より実戦的な回復系(全体回復など)
2.味方のステータスを上げる補助系(攻撃力アップなど)
3.敵を妨害する補助系(命中率低下、睡眠など)
4.その他
>>91以降しばらくご意見募集中
1か3かな
HP回復だけじゃなくMP回復用の薬もあるとありがたそう
東の大商業都市
文香「なんだか……変わった街ですね……」キョロキョロ
飛鳥「壁面に、絵の描かれている建物が多い。
どれも、少女がニッコリ笑っているものばかりだ」
文香「書店も多いのですが……ページ数が凄く少なかったり、
字が大きかったり……内容も、私には……」
飛鳥「お気に召さないようだね。
ボクは、こういう前衛的な街も悪くないと思うけど」
文香「そう、ですか……」
飛鳥「ボクは魔法を強化できるアイテムを探すよ。
ところ狭しと並んでいて、使えるものを探すだけでもひと苦労だ」
文香「……楽しそう……」
飛鳥「魔法の属性を変えられるアイテムがあったよ。
これで、的確に魔物の弱点を突ける」ドヤア
文香「魔法を使いすぎると、また消耗するのでは……?」
飛鳥「回復薬が意外と高いんだ。消耗を抑えられるアイテムはもっと高い」
文香「この世界でも……結局お金ですか……」
飛鳥「ボクは悪魔の発明だと思うよ、金ってやつは。
人の心を簡単に縛れる」
ウワ――ッ
飛鳥「この悲鳴、魔物の襲撃か」
文香「こんな大きな街でも……飛鳥さん、傷は?」
飛鳥「8割がた治った。さあ、非日常を楽しもうか」
『オークAがあらわれた! オークBがあらわれた! オークCがあらわれた!』
ブホ――
飛鳥「ふう。彼らはもう少し、痩せるべきだね。大きなお世話かな」
文香(やだ……私達を見る目が血走ってる……
官能小説みたいに、官能小説みたいに……)ゴクリ
飛鳥「彼らを説得できると思う?」
文香「……彼らの目は、邪悪な欲望に染まっています……
無理でしょう……」チャキ
飛鳥「じゃあ、決まりだね。エクステで魔力をブースト、属性は……雷でチン、だ」
ピシャ――ン
ブホ!?
飛鳥「やれやれ。魔法防御は低そうだけど……とにかくタフだね」
文香「そいつにたたみかけます……たあああ――っ!」
ブヒ!!
文香「頭上から大斧……でも……怖くはないです……!」
ズシャズシャズシャザクザクザク
グオオオ――
飛鳥「斧が振り下ろされる前に、豚が細切れ。
キミのような文学少女がいるか」フウ
ブヒ! ブヒ!
『オークBは仲間を呼んだ! オークDとEがあらわれた!』
文香「増援……! また数で押される……」
飛鳥「スマートじゃないね、ああいうオトナにはなりたくない」
文香たちからちょっと離れた路地裏――
志希「大通りが騒がしいと思って来てみたら……やってるやってるぅ♪
まあ、そのうち引き上げていくでしょ……んにゃ?」
飛鳥「すまない、またペース配分を考えなかった。退くかい?」ゼエゼエ
文香「……ここで私たちが退けば、街に被害が出る……」ハアハア
グホホホ
志希「逃げればいいのにね。あたしだったらそうするけど」
文香「やっぱり、この街は好きになれない。
でも……私は守りたい……本との出会いと同じ、一期一会……!」
ズバッ
ブッホオオ!!
文香「いけない、踏み込みが浅かった……きゃあああ――っ」ズザ――ッ
飛鳥「文香! こういうときに限って、街の警備兵がなかなか来ない!」
文香「まだまだ……
オークなんかに絶対負けたりしない……!」キッ
志希「……やっぱり、面白いよ。
傍観してる自分が、恥ずかしくなるくらいねっ♪」ダッ
志希「お願い! なんでもいいから、あたしにふたりを救える力を!」
パアアアッ
志希「ウソ、一瞬であたし真っ裸? ちょっと勘弁してよ……」
シュオオオ
志希「おおう! 身体に数式や化学反応式が絡みついて、ちょっとファンタジーっぽい服に!!
おもしろ~い♪」
カキーンカキーンカキーン
志希「これは……薬の入った瓶? これも数式や化学反応式で作られてるみたいだねー」
スタッ
志希「変身完了かな? じゃあ助けに行きますか♪
文香ちゃん、飛鳥ちゃん!」
文香「一ノ瀬さん……!?」
志希「あたしにも、戦う力があるみたいなのよ♪ たとえば……
この香りはどうかにゃ?」ポイ
飛鳥「瓶をオーク達に向かって投げた?」
パリン
ブホ?
ンホオオオ――
志希「志希ちゃんオリジナルの香水! 気持ちよくトリップさせてあげる♪」
文香「オーク達の動きが……止まった……」
志希「でも、物理で叩くと目を覚ましちゃうんだよねー」
飛鳥「だったら、ボクを回復できるかい?」
志希「こんなこともあろうかと!」ポイ
飛鳥「飲み薬?」
志希「薬は注射より飲むに限るぜ、飛鳥ちゃーん♪」
飛鳥「余計なものなど入ってないよね……」パク
志希「残ったオーク全員に、魔法をぶち当てる程度には回復したんじゃない?」
飛鳥「そのようだね!」
ピシャ―ンピシャ―ンピシャ―ン
志希「文香ちゃん、ここは姫騎士っぽく華麗にトドメを♪」
文香「書物の力を……剣に変えて……斬る!」
ズバズバズバズバ
文香「もっと……書に親しむべきでしたね」
ブギャアアア
志希「文香ちゃんもノリノリだねー♪」
志希「というわけで、あたしも同行するよ。
ふたりとも興味は尽きないし、いい匂いがするしねー。
ンッンー、これは青春の汗?」ハスハス
文香「や、やめてください///」
飛鳥「その行為には、全力で抵抗させてもらうよ」
志希「にゃーっはっはっは! たーのしーい♪」
『一ノ瀬志希(18)
文香たちの戦いぶりに感動し、戦闘に飛び入り。
攻撃力は皆無だが、豊富な知識を駆使して、
回復や攻撃補助に役立つ薬を調合できる。
間接的に味方を有利にし敵を不利にする、難しい役割。
実験・観察を得意とする、志希にふさわしいジョブとも言える。
なお、膨大な言葉の力で、文香と同じく装備一式もまかなっている』
ペラ
『今のパーティーには、物理攻撃担当がもう一人足りない!
魔王軍の幹部が一人、動き出した!』
さて皆さん。
次の街でも、新たな出会いが待っています。
一人は頼もしい、物理攻撃担当。
もう一人はやっかいな、魔王軍の幹部の一人。
もちろん、彼女たちもアイドルなのです。
そこで。
物理攻撃担当:
魔王軍の幹部A:
それぞれにふさわしいアイドルは誰だと思いますか?
>>109以降、しばらくご意見募集中
物理は珠ちゃん、押忍にゃんとかかな。パッションがいないから拓海、早苗さんとかでもいいかも
魔王軍幹部は礼さん、岸部さんあたりで
???「はあ? 女三人に、蹴散らされてきました、ですって?」
ドゲシッ
???「ほんっとに役に立たない豚どもね。
たまにはアンタ達に、上質な餌でもくれてやろうと思ったのに」
ブホ――ッ
???「数日前、『古き本の街』に謎の白騎士が出現。
略奪に行ったゴブリンたちが蹴散らされた。
そして『魔法道具と薄い本の街』でオーク部隊が敗退……」
ゲシゲシ
???「連中は、戦いに必要な物資を求めて旅をしているようね。
だとしたら、次に来るのはこの街……」
ピシャッ
???「身の程を知らない連中には、直々にお仕置きが必要ね……ククク!」
文香「志希さん。これから訪れる街は……宝石の街、だそうですね……」
志希「あたしの調合には、触媒が必要なのよ。
薬草とか、聖水とか。宝石も、そのひとつ。だから立ち寄って欲しいんだよねー♪」
飛鳥「オトナみたいなことは言いたくないが……値が張るんじゃないのかい?」
志希「へーきへーき。宝石もピンキリ、今のところは質より量!
おっ見えてきたきた♪」
宝石の街――
志希「このカゴいっぱいでこの値段! 頑張って詰め込むぞー♪」
ジャラジャラジャラ
文香「もっと、高級店ばかりだと思っていましたが……」
飛鳥「正直これだけ安売りされると、ありがたみがないね。
希少価値は大事だよ、人間もそうさ」
文香「きっと、お宝が眠っているのでしょう……古本市のように……」クスッ
志希「文香ちゃんも飛鳥ちゃんも、しゃべってないで手伝う!」
ジャラジャラジャラ
ブホ――!!
キャ――ッ!!
文香「あの、耳障りな鳴き声は……またオークが悪さを?」
志希「今度は宝石泥棒……うんにゃ、強盗みたいだねぇ。
よりによって、あたし達のいるところで」
飛鳥「宝石漁りは後にして、止めにいかないか」
ガシャ――ンパリ――ン
『オークAがあらわれた! オークBがあらわれた! オークCがあらわれた!』
文香「そこまでです!」チャキ
飛鳥「逃がしはしないよ」
志希「増援呼ばれる前に、必勝パターンはできてるんだよねっ!」ヒョイ
パリン
ラメエ――
『オークABCはヘブン状態になった!』
飛鳥「宝石に被害が出ないように……超低温は静止の世界!」
ピキピキピキ
文香「……言葉の力を刃に変えて……!」
シュバッ
ンホオ――
文香「本でも宝石でも……盗みは立派な犯罪です……」
飛鳥「フッ。オトナが決めたものでも、最低限のルールは守らないとね」
ウワ――
志希「なになに? またオークの強盗ー?」
文香「あそこの、食堂が被害にあっているようです……急いで退治に……!」
???「ボンバ――!!!」
ウホ――!?
飛鳥「食堂からオークがふっ飛んできた!?」
???「食べ物を盗もうとするなんて! 一番許されないことですよ!!」プンプン
ブヒイ――
???「これに懲りてくださいね!」
文香「まさか……あの娘がオークをふっ飛ばしたの……?」
志希「かーわーいーいー! すがすがしい、青春の汗が香ってくるよ♪」ハスハス
???「あれっ! 皆さんもオークを退治してたんですか!!」
飛鳥「ああ。宝石泥棒を3頭、真っ二つにしてきた」
???「お疲れ様です! いやーここはどこなんでしょう!
とりあえず、ここの食堂で働いてますが!!」
文香「あなたには、見覚えが……というより、声に聞き覚えが……」
日野茜「歌、聞いてくれたんですか!日野茜、17歳! アイドルやってます!!
そういうあなたは、最近人気急上昇の!!」
文香「……さ、鷺沢文香です……あの、この世界にはどうやって……」
茜「わかりません! ラグビー雑誌を読んでたら、パーッと光ってこんなところに!!
でも元気があれば、元の世界に戻れます!!!」
文香「二人も自己紹介を……」
飛鳥「ボクはアスカ。二宮飛鳥。
ノイジーな音楽は好きだけど、会話はいかがなものかな」
志希「一ノ瀬志希だよー♪ 元気な娘の匂いをかぐと、アドレナリン分泌しちゃう!
にゃはは」
文香「私たちは旅をしながら、元の世界に戻る方法を探してます……
でも、今みたいな戦闘の連続……無理にとは言いません……」
茜「戦いの連続! 熱いじゃないですか!!」メラメラ
文香「……あ、あの……本当に危険で……」オロオロ
???「あらあら。
たかが豚を調理しただけで、ずいぶんと調子良さそうねぇ」ピシッ
飛鳥「今度は、オークを従えた女王様のお出ましか。世の中は広いね」
文香「あなたが……彼らに強盗をさせていたんですか……」
???「強盗? これは調達よ。私たち魔王軍の、当然の権利」
志希「魔王軍? キミからは香水と、人間の匂いがするけどなー」ハスハス
財前時子「ええそうよ。でも、この財前時子は力を手に入れた。
魔物だろうとひざまずく、力を。本当に面白い世界ね、ここは!」
文香「お願い……あなたもアイドルなら……
無意味にこの世界の人々を、傷つけないでください。私たちが元に戻すまで……」
時子「あーら。どこかで見たと思えば、こないだの総選挙6位の鷺沢文香さんじゃない。
順位をかさにきて、上から目線? 目は隠れてるけど」
飛鳥「キミも『痛い』ね、どうにも。嫌いじゃないけど、ボクは文香に、より強いシンパシーを感じててね」
志希「わからず屋には、実力行使しかないって。あと……嫌いなんだよね、その香水の匂い!」
茜「ごはん泥棒のボスなら、あなたも反省してもらいます!」
時子「いいわ! 4人まとめてひざまづかせて、飼育してあげる!」ピシャーン
日野茜 http://imgur.com/ifkVJwo.jpg
財前時子 http://imgur.com/L4YvCW4.jpg
オーク親衛隊の肉の壁に守られ、自在に動く鞭を手にした財前時子。
その攻撃範囲は、後列から複数を攻撃できるほど。
いっぽう文香たちの能力は
文香 接近戦担当。斬り合いに持ち込めば、敵に後れを取ることは少ない
飛鳥 魔法攻撃担当。遠くからも攻撃できるが、すぐ弾切れする
志希 回復・攻撃補助担当。戦局コントロールの要。攻撃されると\(^o^)/
茜 武器も防具も持っていないように見えるが、オークをふっ飛ばすほどのパワー
誰をどう動かして攻める?
>>128以降しばらくご意見募集中
文香が前衛オークを斬りつけて弱らせた所を
志希に増強された茜が時子様に当てんばかりとぶっ飛ばす
で、追撃として飛鳥の魔法攻撃で鞭を破壊できれば
撤退はさせられるんじゃないかなー?
文香の体力(スタミナ)と飛鳥の集中力(命中精度)にもよるけど
時子様が初っ端から討って出ない事に期待せざるを得ない
ありがとうございます。もう少し聞いてみましょう
時子様のステータスは、
鞭の攻撃力はそこそこ。攻撃範囲はとても広い。
攻撃速度は遠距離ではかなり素早いものの、懐に飛び込まれるともろい。
物理防御は低め。魔法・薬への耐性は高めで、トリップにはまず引っかからない。
こんなイメージです。
時子「ホラホラ、行くわよ!」ビシビシッ
飛鳥「くっ。オーク越しに鞭で攻撃してくるなんて、オトナは汚いね」
文香「みんな……ひとまず、私の後ろに隠れてください……」カキンカキン
飛鳥「オークの攻撃も、文香に集中している。長くはもたない。
だったら直接あの女を、火炎魔法で狙撃!」
ゴ――ッ
時子「フンッ」
飛鳥「鞭でかき消された!?」
志希「うーん……やっぱり、盾役のオークから崩していくしかないかねー」ポイ
モクモクモク
ンホオオオ――
志希「はいトリップ。さ、この隙に削った削った」
時子「なに汚いアヘ顔してるのよ、豚どもが!」ビシビシ
志希「み、味方を攻撃して、無理やり目を覚まさせた!」
飛鳥「これじゃ、前衛同士の消耗戦になる。そうしたら、不利なのは文香だ」
茜「わ、私も前に出ます!」ダッ
飛鳥「あっバカ! キミは丸腰じゃないかっ」
ブホッ!!
茜「元気があれば! これしきのことーっ!!」
志希「こりゃびっくりだ! 茜ちん、素手でオークの斧を受け止めちゃったよ」
時子「アッハッハ! 私の的が増えただけよ!」ビシッ
茜「あうっ……!!」
飛鳥「チッ! 効かなくても、魔法であいつの妨害をしないと」
志希「ちょーっと待った。思いついたの、この局面を動かす方法が」
飛鳥「茜に斬りかかってるオークを、倒れるまで集中攻撃……?
とりあえず雷撃でチンだ」
ピシャーンピシャーンピシャーン
ブヒイッ……
志希「よしよし♪ オークが一匹、力尽きたね。それじゃ!」ポイ
茜「一ノ瀬さん!? 今なんか、私に液体をかけました?」
志希「キミの馬鹿力を、一時的に更に増幅したよ!
そこで倒れてるオークを、思い切り蹴ってみて?」
茜「わ、わかりました……キ――ック!!」ドゴォ
ヒュ――ン
時子「あ、あの小娘、オークを蹴飛ばしたというの!? 危ないじゃないっ」サッ
飛鳥「なるほど。肉の壁を崩して、あいつにぶつけるのか」
志希「これ、魔力回復薬。もう一匹仕留めて」ポイ
飛鳥「了解。薬は注射より飲むに限るね」パク
ピシャーンピシャーンピシャーン
茜「やっつけたオークを、蹴ればいいんですね! もういっちょう!!」ドゴォ
時子「ちょっと待ちなさい、きゃあああっ」ベキッ
志希「にゃっふっふ。道は開けたよ、ふみふみ」
文香「ありがとう……財前さん、覚悟――っ!」ダダダッ
時子「鞭が当たらないっ……本の虫が、こんなに俊敏に戦えるなんてウソよ!」
文香「その本たちが……私に力を貸してくれている……」
スパスパスパッ
茜「やりました! 懐に潜り込んで、相手の鞭を細切れに!!」
時子「くうっ! 忌々しいけど退くわ……楽しみはお預けよ!」
ヒュンッ
飛鳥「転移魔法……逃げ足が速いのも、オトナの特権か。
かわいそうに、残ったオークは散り散りだ」
志希「ふっふー! 何度やっても、同じことだよーん♪
……ふみふみ、浮かない顔だねえ?」
文香「覚悟はしていましたが……LIVEバトルならともかく、
アイドル同士で本当に戦うなんて……」
茜「でも、今みたいに戦意をそげば!
命まで取らずに済むんじゃないでしょうか!?」
文香「……そうですね。魔物はともかく、同じ世界のアイドルは全員、
元の世界に帰したい……」
???「失礼! 『オーク使いの財前』がこの街に出現したと聞いたのですが、
もしや貴公らが撃退したのでありますか!?」
文香「あっ、はい……一応……貴方は、軍人さん、ですか?」
大和亜季「いかにも!
自分はシンデレラ王国の格闘騎士(グラップル・ナイト)大和亜季であります!」ビシッ
文香「わ、私は鷺沢文香……旅の騎士です……」ペコリ
亜季「今、女王陛下は、魔王軍と戦える勇者を募っております。
ぜひ一度、シンデレラ城にお越しいただきたい」
志希「シンデレラ城ってあそこ? 浦安の東京ディズ、モガモガ」
飛鳥「ハハッ! ボクはオトナは怖くないけど、D社を敵に回すのは感心できないな」
文香「……わかりました。可能なら、女王陛下に謁見させてください……」
『日野茜(17)
小柄な身体から常に元気がほとばしる、熱血アイドル。
趣味のラグビー雑誌を呼んでいたところ、異世界に召喚された。
読書量の少なさは明らかで、武器も防具も出現せず、魔法も使えない。
しかし身体能力の強化だけは凄まじく、オークの斧を素手で受け止め、
蹴っ飛ばすほどである。
財前時子(21)
絵に描いたようなドSの女王様アイドル。
敵役で登場した、初めてのアイドルである。
元の世界に戻ろうなどと考えず、異世界でも自分の欲望に忠実にふるまっている。
オーク部隊を従わせ、もともと得意だった鞭を武器に、文香一行を苦しめる。
時子様は意外と読書家であらせられる』
これで、文香のパーティーは4人になりました。
あと一人、戦士・回復役・魔法使いに当てはまらないジョブを入れようと思ってます。
誰に、どんなジョブで加入して欲しいですか?
>>140からしばらくご意見募集
遠距離物理攻撃枠でアーチャーの水野さん
商人で亜子
遊び人で杏とかかな
あとゲーム的な世界観をよく知ってる三好ちゃん、ふみふみほどじゃないにしても読書家で冒険好きなむつみんとか入れても面白そうかも
『宝石の街』の西、シンデレラ城謁見の間――
志希「ここがシンデレラ城? 想像してたのとずいぶん違うね。
お城というより、白亜の神殿?」キョロキョロ
茜「入口にあったライオン像! あれは強そうでした!!」
文香「こんな建物を……元の世界の何かの本で見たような……」
亜季「女王陛下のおなーりー」ザッ
飛鳥「女王ね。また、財前みたいなのが出てくるのかな」
???「ふーん、アンタが私の勇者様? まあ悪くないかな。今日からよろしくね」
「「「「第3代シンデレラガール、渋谷凛!?」」」」
渋谷凛「そういうあなた達は、鷺沢さん、日野さんと……ゴメン」
文香「……光栄です……」
飛鳥「この扱い、ボクが有名になるまで続くのかな……」
凛「そんなにかしこまらないでよ。私も気がついたら、こんな場所でこんな格好してただけ」
文香「一日も早く、元の世界に戻れる方法を、私たちが見つけます……」
凛「ありがと。私もこの世界のこと、ちょっと勉強したんだ。
知ってる? このお城そのものが――」パチン
ギギギギ
志希「にゃっふー! 凛ちゃんの背後の壁が開いていくー!」
文香「本が……天井までぎっしり……!」
凛「国中の本を集めた、巨大な図書館なんだよ。ふふっ」
飛鳥「それで、キミは何を学んだと言うんだい?」
凛「この世界を支配する、魔王の名前」
文香「魔王……まさか、魔王も私たちと同じ、アイドル……」
凛「その名は――
悪 姫 ブ リ ュ ン ヒ ル デ」
「「「「……誰?」」」」
飛鳥「外国人アイドルかな」
志希「自称かもよ。シュガーハー……うっ頭が……」
茜「とにかく強そうですね!!」
凛「そうね。ブリュンヒルデは、多くのアイドルと魔物を従えている、いわばラスボス。
彼女を倒し、この世界を闇から救えば」
文香「物語は完結し、元の世界に戻れる……」
凛「危険な役目を押し付けたくはないけど、お願いできるかな」ペコリ
飛鳥「待った。渋谷さんは、自分で冒険に出ないのかい?
シンデレラガールで女王なんだから、強大な力を持ってるだろ」
志希(さすが14歳。権力者が相手だと、やたらと突っかかるねえ)
凛「自分で戦えたほうが、ずっと気楽だよ。
私に与えられた力は、シンデレラ王国女王という地位と、この衣装だけ。
剣も魔法も使えない」
文香「きっと……女王にしかできないことが、あるはず……
私はそう信じます……」
凛「わかってる。夢のような力がなくても、やらなきゃいけないことはあるから」
亜季「陛下、いえ渋谷殿は、国政の最高責任者であります」
飛鳥「15歳で、か。ゴメン言い過ぎた」
凛「お互い、がんばろう? どんな世界でも、私たちの足あとを残すんだ。
後悔だけはしないように」
文香「……はい!」
悪姫ブリュンヒルデ「魔獣使いの鞭、獲物を捕らえること能わず?
されば、次なる我が剣はいずれぞ……」
???「ブリュンヒルデ様。そのお役目、ぜひとも私に」
ブリュンヒルデ「歩く、い、淫夢か。よかろう、卿の妙技をもって敵を永久の眠りに就かせよ」
???「はいっ。さっそくイキますっ♪」ゾクゾクッ
『渋谷凛(15)
第3代シンデレラガール。
異世界でも、シンデレラ王国女王という至高の地位にある。
しかし、それ以外に何の能力も発揮できず、かといって女王役を降りることもできない。
それでも気丈に、自らの役割を果たそうとしている。
http://imgur.com/puLqV0P.jpg
大和亜季(21)
サバゲーを趣味とする軍曹系アイドル。
シンデレラ王国の格闘騎士(グラップル・ナイト)として、凛に忠誠を誓う。
その能力は未知数。
http://imgur.com/5rkZaCp.jpg
悪姫ブリュンヒルデ(??)
世界を闇から支配している、恐るべき魔王。
当然現実世界に、こんな恥ずかしい名前のアイドルは存在しない。
その正体は、いったい誰なのか?
謎が謎を呼び、謎は深まるばかりである』
1.ついに名前が明かされた、悪姫ブリュンヒルデ。その正体は誰だと思いますか?
2.魔王の次なる刺客は『歩く淫夢』の異名を持つようです。
文香たちを苦しめるであろう、その淫らな特殊能力は具体的にどんなものだと思いますか?
>>156からしばらくご意見募集中
>>158以降ですね、すみません。
相手を発情させる(直球
シンデレラ城 城下町――
飛鳥「今日も文香は、図書館に入り浸りかい?」
志希「そうだよー♪ 凛ちゃん女王陛下の好意で、自由に使えるようになったからね」
飛鳥「本……か。
このネット全盛の21世紀に、目次が頼りの紙媒体は、もう時代遅れなんじゃないか?」
茜「私も、あまり文字が多い本は苦手です!」
志希「ふたりの言うこともわかるけど……
この世界、読書の量と質がモノを言うみたいなんだよ。
かくいうアタシも、実験のために嫌でも論文を読んでるしー」フンス
茜「なるほど! だから鷺沢さんは、あんなに素早いし、装備も充実しているんですね!」
飛鳥「それが、文香の望んだ世界のルールか。漫画だけじゃダメなのかな」
シンデレラ城 王立図書館――
文香「こんなにたくさんの本に埋もれて、しかも一人で過ごせるなんて……夢みたいです。
内装も木の温もりにあふれていて……一日いても飽きません……」
トコトコ
文香「渋谷さんの話だと……この図書館には、国中のあらゆる本が保管されている……
ということは……」
パラパラパラ
文香「……や、やっぱり……
この世界の小説にも、ぬ、濡れ場はあるんですね……」
パラパラパラ
文香(みんな私を、色恋沙汰には知識も興味もない娘だと思っている。
もちろん、人前では恥ずかしくて口に出せない。
でもたくさんの本を読んでいれば、そういう知識も入ってくるし、好奇心だって……
ただ、経験がないだけ……)
モジモジ
文香「んっ……はあっ……」
(ただいま、文香はセルフプレジャー中です。しばらくお待ちください)
文香「よりによって、王立図書館の、立派な机の角で……またやってしまいました///」
シンデレラ城 謁見の間――
凛「みんな、この地図を見て」
茜「ずいぶん大雑把ですね!」
凛「この世界、ゼン○ンとかないからね。
さて、ここがシンデレラ王国。
西側にある大勢力が『悪姫ブリュンヒルデの王国』だよ」
飛鳥「南側は?」
凛「よくわからない。海の向こうだけど、誰もそれを越えてきたことはないから。
こっちから船で渡ろうという人もいないみたい」
志希「みんな保守的だねー。行ってみれば、案外楽しいかもしれないのに!」
文香「それだけ、人々に余裕がないということなのでは……」
凛「そうだよ。みんな魔物の脅威から、身を守るだけで精一杯。
まずそれを、どうにかしないと。しかも、魔物たちを指揮しているのは」
文香「私たちと同じ、強大な力を手に入れたアイドルたち……財前さんのように……」
茜「きっと大丈夫です! 私たちに協力してくれるアイドルも、たくさんいるはずです!!」
飛鳥「ああ。アイドルすなわち非日常だからね。
こんな世界にこそ、ふさわしい存在だろう?」
凛「頼んだよ……私も、今の自分にできることをするから」
亜季「申し上げます! 東の『酒場の街』にて、大規模な暴動が発生!」
凛「ど、どうして!? あの街で、酔っぱらいが暴れるのは珍しくないけど……」
飛鳥「これも『ブリュンヒルデの王国』ってやつのしわざなんだ」
茜「『ブリュンヒルデの王国』絶対許せません!」
文香「あの……決めつけてかかるのはどうかと……」オロオロ
志希「とにかく、確かめに行こうよ。陰謀の匂いはするしね♪」
今までのお話
ビーチボールを投げられたら自分が沖に流されるくらい、運動音痴の文系アイドル、
鷺沢文香。
ある日、古書店で手にした本によって、異世界に導かれる。
そこは、本に親しむ者ほど強い力を得られるルール。
文香は日常が嘘のような、運動神経と剣の腕前を手に入れる。
しかし、文香は元の世界に戻りたかった。同じく異世界に来てしまったアイドルたちと共に。
飛鳥、志希、茜とパーティーを組む一方、時子のような敵対するアイドルも出現。
そして、シンデレラ王国の女王となっていた凛に謁見したことで、人々を脅かす謎の魔王の名を知った。
『悪姫ブリュンヒルデ』……魔王もアイドルだとすれば、その正体は誰なのか!?
酒場の街――
ウッ! フウ――
?「ふふ。やっぱり男の人は、持久力が凄いです……
ね、これからは私のために、戦っていただけますか?」
コクコク
?「よかった…♪ 頑張っていただけたら、また、一緒に気持ちいい汗を流しましょう?」
ウオオオオ――!!
?「棒と玉をうまく使って、ゴールに叩き込む運動……
皆さんに楽しんでもらえて、私、嬉しいです♪ 女の人も、積極的に参加してほしいですね」
亜季「これが、暴動の現場でありますか!」
飛鳥「……暴、動……?」
茜「皆さん、棒を振り回して、玉をすごい勢いで取り合ってますね! あれって、確か」
文香「なんとか……クロス……スポーツは疎いもので……」
志希「その○クロスに、みんなが夢中ってだけだねー♪
至って健全な、スポーツの汗の匂いが漂ってるよ!」
亜季「しかし……この剣と魔法の世界に、もともとこんなスポーツがあったのでしょうか」
飛鳥「まさか、新手のアイドル?
人々を○クロスに熱中させることで、世界の理(ことわり)を乱そうとしている……?」
?「皆さん、今日は暑いですね。私も、汗だくになってしまいました」ハアハア
文香「あ、こんにちは……」ペコリ
志希「あーっ! 誰かと思えば、総選挙43位の新田美波ちゃん!」
新田美波「そういうあなたは、44位の一ノ瀬志希さん!」
亜季「順位が近いと、お互い意識してしまうのでありますなあ」
文香「……新田さんも……この世界に……」
美波「はい……『はじめての○クロス』を読んでいたら、こんなところに」
茜「そして、街の皆さんに○クロスを教えてあげていたんですね!」
美波「けっこう激しい運動なんですが、皆さん飲み込みが早いです」
文香「私たちが、元の世界に戻すまで……安全な場所にいてくださいね……」
美波「わかりました。ところで今日は皆さん、宿泊先はお決まりですか?」
飛鳥「まだ決めてないけど」
美波「でしたら、私が働いている宿屋に泊まりませんか?
タダじゃないですけど、お安くしておきますよ♪」
亜季「自分は日帰りで撤収するでありますが、皆様はご自由に」
飛鳥(志希、キミの嗅覚は反応してる?)ヒソヒソ
志希(にゃうーん……美波ちゃんからは、清純派の香りしかしないねー。時子さんと違って)ヒソヒソ
文香「では……お言葉に甘えて……」
軍曹はだいぶこの世界に染まってるけど元からいた人?来たアイドル?
その夜
文香「すーすー……」
飛鳥「世界への……抵抗……」
志希「にゃふー……」
茜「むにゃむにゃ、もう食べられません……」
美波「うふふ……皆さん、ぐっすりお休みですね……」
シュオオオ
美波「私、この世界で欲望のままに生きたいんですよ……ブリュンヒルデ様が支配する世界で」
http://imgur.com/U1gIbcJ.jpg
美波「でも、命を奪うとかは嫌だから……淫夢の中で、精神を支配してあげますね」クスッ
誰か一人にどんな夢を見せる?
1.実は耳年増な文香
2.最年少の飛鳥
3.自他共に認める変態の志希
4.年齢の割に無知な茜
>>175以降しばらくご意見募集中
そらわざわざ前振りのあった1よ
内容は愛しのPにセルフプレジャーしてたのがばれて言葉責めに……
このSSまとめへのコメント
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