穂乃果「ガンプライブ!!」 (179)
ラブライブメインのガンプラバトルものです。
一部キャラ崩壊あり。
ガンダムビルドファイターズキャラは登場しません。すみません。
初SSですので読みづらいと思います。ご容赦ください。
以上の点を留意してくださる方はどうぞこのままお進みください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406814407
第一話 ライブ(戦争)だよっ!!
すみません、出だしでミスしました。
第一章
第一話 学校存続をかけたライブ(抗争)だよ
真っ暗な部屋に、明かりが一筋差し込んだ。
よく見ると、扉から少女が入ってくる。
まだ年端もいかない外見ながらも、彼女は脇目もふらずに室内の奥へと向かっていった。
外では今現在やっている鬼ごっこの鬼をしている子が走り回っている音が聞こえる。
ほのか「ことりちゃんが鬼だからここに隠れてる訳じゃないもーん。」
彼女がいる部屋は公園の一角にある倉庫である。
月に一度、公園の草むしりをするために使う道具を仕舞ってある部屋のため、中に明かりはない。
ほのか「でもここが開いてたのはラッキーだなぁ、ウシシ。」
外で微かに友達が呼んでいる声が聞こえる。
ほのか「ありゃ、海未ちゃんが今度は鬼かぁ。急いで出ようかな。」
恐る恐る扉の隙間から外を伺う。見ると、海未が泣きそうな目でよたよたと走り回っている。
ほのか「海未ちゃん、もしかして私の事探しているのかなぁ。」
少し離れたところに他の子達が隠れているのが見えたからそっちに向かって思い切り走って茂みに潜り込む。
うみ「ほのがぁぁぁぁぁ。」
モブA「ウミちゃんが本気で走ると鬼になっちゃううよ―。」
実際、小学3年生としては、海未はかなり足の早い部類に入る方であった。
しかし、今現在泣きべそをかいている状況では真価を発揮できないでいるため、あまり脅威にはならない。
ことり「穂乃果ちゃん、どこいってたの?」
一人の少女が茂みの中に潜り込んできた。
ほのか「あ、ことりちゃん。そこの小屋に入ってたんだぁ。海未ちゃんタッチしたの?」
ことり「うん、さっき穂乃果は私が捕まえますってタッチさせてくれたの。えへへっ。」
茂みのすぐそばに海未が泣きながら走って来たが、二人には気づかずにジャングルジムの方へ走っていった。
穂乃果が見当たらにと見て、他の子にターゲットを絞ったようだった。
ほのか「行っちゃったね。」
まだほのかぁぁぁと言いながらも、既に普段の速度の六割程出して次の鬼となるべき子の追撃に入っていった。
ことり「ねぇ、その小屋の中に隠れてたら捕まらないかな?」
ほのか「うーん、どうだろう。入り口塞がれると逃げられなくなっちゃうから・・・。」
そうは言いながらも、穂乃果はことりに促されるまま、二人で倉庫の中に入っていった。
やはり中は少し埃っぽい匂いがしていたが、奥の方に二人で腰掛けて暫くおしゃべりに夢中になっていた。
ほのか「えへへっ、それでねぇ。」
ことり「えー、そうなのぉ。」
二人で話している間に、いつのまにやら日が傾いていたことに二人は気づかないでいた。
区内放送が五時を意味する放送を流す。
それに気が付いた二人は、いそいそと小屋から出てきた。
公園のベンチを見ると海未が一人で座っていた。
ほのか「あっ、うみちゃん。ごめん、待った?」
穂乃果の方を見るなり、キッと睨むと、走り寄って抱きついてきた。
うみ「ほのがぁぁぁぁぁ、どこいってたんですかぁぁぁ。」
ほのか「もう、うみちゃん痛いよぉ。」
抱きついてきた時の衝撃とグリグリと顔をすり合わせる動作の共合によって、
穂乃果は尻もちをつくことになっていたが、それでも構わず海未は泣き続けた。
ことり「ごめんねぇ、うみちゃん。捕まらないように隠れてたの。」
ことりの方へ海未が顔を向けると、一言、帰ってしまったかと思いましたよぉと言い、穂乃果から離れた。
ほのか「うへぇ・・・。」
着てた服に海未の鼻水と涙、涎の跡が残り、せっかくお気に入りの服がと思ったが、ちょっと意地悪しすぎたかなと海未に怒ることはしなかった。
三人で学校帰りにこうやって近くの公園で遊ぶのが日課となっていた。
時には海未が習い事で早く帰ってしまう日には、お互いの家に遊びに行ったりするのが恒例となっていた。
そんな日常がいつまでも続くと三人は思っていた。
しかし、それは今日を境に終了する。
その日、家に帰ってきた穂乃果はまず最初にあることに気がついた。
普段帰ってきた時に入る裏口の鍵がなかった事に一瞬血の気が引いた。
ほのか「あれぇ、おかしいなぁ。ランドセルに括りつけてたはずなのにぃ。」
赤いランドセルの金具から伸びているキーリングには家の鍵はついていなかった。
それを母親に話すと恐らく怒られるであろうことを見越して、表の方へと回って素知らぬ顔で家の奥へと入っていった。
穂乃果母「あら、穂乃果。どうしたの、まさか鍵でもなくしたんじゃないでしょうねぇ?」
ほのか「ゔぇ、ち、違うよお母さん。今日はこっちから入りたかっただけだもん。」
まずいなぁと思いながら、家へと入る。
表では客が入ってきたのか、母が歓談している声が聞こえてきた。
ゆきほ「おねーちゃん、おかえり~。」
居間には妹の雪穂が宿題の算数ドリルを解いていた。
ほのか「ああ、ゆっきー。ただいまぁ~。」
雪穂のそばに寄って抱きつくと、すぐにおねーちゃん、痛いと言われ、二階の子供部屋へと向かった。
ランドセルのキーリングを改めて見て、
そういえば、今日はポケットに鍵を入れてたんだと思い、ポケットを探ったが無かった。
ほのか「あぁ、どうしよー。」
誰もいない部屋でぶつくさ言ってると、雪穂に聞かれ、バレた。
ゆきほ「おねーちゃん、鍵無くしたの―?」
ほのか「うっ、ゆっきー、いつから居たの?」
ゆきほ「おかーさんに言いつけよ―。」
ほのか「ぎゃー、待って、待ってゆっきー!!」
廊下から表の方へと走って行く雪穂に抱きつき、今日のデザートと引き換えに言わない約束を取り付けた。
ほのか「ゆっきー、一緒に公園まで行かない?」
ゆきほ「えー、おねーちゃん一人で行ってくれば。ゆきほかんけー無いもん。」
ほのか「ね、おねがい。明日のデザートもあげるから~。」
ゆきほ「いいよー。」
やはり子供にとって、デザートは決め手となる道具であり、抑止力ともなった。
二人は秘密協定を結ぶと、すぐさま裏口から急いで公園へと向かった。
公園についた頃にはすでに日もかなり傾いており、小屋を見て帰った頃には両親が二人がいないと言って騒ぐ頃だなと思った。
ほのか「たしかぁ、あそこの小屋の中に鍵落としたかもしれない。」
ゆきほ「おねーちゃ、ゆき怖いから外で見てるね。」
ほのか「えっ、一緒に来てくれるって言ったじゃん。」
ゆきほ「えー、だってこわいもん。」
結局、穂乃果は一人で倉庫の中へ入る羽目になった。
倉庫に入ってすぐに違和感に気付くべきだったのかもしれない。
暗いはずなのに妙に中が明るいことに、穂乃果はきっと外の暗さに目が慣れたからだろうという考えで奥の方へと進んでいった。
奥のほう、埃が少し溜まってるところに二つ小さく埃のない所があった。
そこに銀色の鍵が落ちていた。
ほのか「あっ、あった。ゆっきー、鍵あったよ―。」
ゆきほ「おねーちゃん、早く戻ろー。」
ほのか「うん、待ってて。」
この時、素直に外に目を向けていれば、これまでの平穏は崩れることはなかった。
ほんの些細なことに興味を引く性格が災いした。
ほのか「ん、なんだろうこれ。」
鍵の落ちていた場所の少し奥のところに赤い非常灯のようなものが見えた。
そばによると、赤く光る石を見つけた。
少し大豆にも似た形の石を
ほのか「何だろ、これ?」
石を拾い上げた。
その石が発する輝きに目を凝らしていると、足元がフワフワし始めた。
ほのか「あ、あれ?」
目を離そうとしたが、目が思うように離せなかった。
視界が一気に暗くなった。
すみません、寝てました
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ピピピピピピピピピピピピピピ
穂乃果「…うーん。」
アラームが鳴っている。しきりにもう朝だと告げるこの音には慣れてしまっており、効き目はなかった。
バンッ!
雪穂「おねーちゃん、うるさい。」
襖が思い切り開けられ、雪穂が目覚まし時計を止める。
雪穂「おねーちゃん、起きてってば。海未さんとことりさん待たせるとやばいよ。」
穂乃果「うーん、海未ちゃん、もうパン食べれないよぉ。」
雪穂「まーた、おねぇちゃんってば。はい朝ですよー。」
そう言うと、雪穂は布団をひっぺがした。
穂乃果「うう、寒い」
ようやく目を覚ました穂乃果は時計を見て戦慄した。
穂乃果「もう7字50分!?なんで起こしてくれなかったの!?」
雪穂「何度も起こしたってば!」
穂乃果は慌てて登校の準備をする。
表の方で引き戸が開くのが聞こえた。
穂乃果母「海未ちゃん来たわよ―。」
穂乃果「えぇぇぇ、もう!?」
誰かが階段を登ってくる音がした。
この足音からすると母ではなく、海のものとわかり、穂乃果の背筋が冷えた。
海未「穂乃果、何時まで寝てるんんですか!!」
穂乃果「あっ!」
着替え中だった穂乃果と雪穂の顔を見ると同時に海未は襖を一気に閉めた。
海未「なんで早く起きてないんですか。今日は大事な発表がある日だというのに。」
襖越しから海未の声が聞こえてきた。
穂乃果「海未ちゃーん、あとちょっとだから待ってー。」
雪穂「ちょっと、押さないでって。」
部屋の中からドカドカ何かをしている音だけが海未の耳に響いた。
海未「もう、先に行ってますからね!」
階段の方へ足を向けようとした時、後ろの襖が開いた。
穂乃果「海未ちゃん、お待たせー。」
海未は呆れ顔で穂乃果を見る。
海未「ちゃんとハンカチとちり紙は持ちましたか?」
穂乃果「うん、バッチシ!」
ポケットに手を突っ込み、中にあるかを確認した。それらしきものは入っていた。
海未「ではちゃんとズゴックは持ちましたか。」
鞄を確認するとズゴックがぶら下がっていた。
海未「ありますね。じゃあ行きましょうか。ことりも待ってます。」
そう言うと海未は階段を降りていった。
穂乃果の鞄にぶら下がっている赤いズゴック。
1/144スケールのものだ。
かばんを持つとき常が手足がぷらぷら揺れて何時取れるかビクビクしていたのを、
海未が瞬着剤で補強してからというもの、固定されるようになった。
穂乃果は思い出す。
あの小学3年のある日のことを。
その日を境に世間が大きく変わったことを。
あの日倉庫にあった赤く光る大豆みたいな石を拾った時、世界が変わってしまったことに誰一人として気づいていなかった。
そう、石を拾った穂乃果以外気づくものはいなかった。
アイドルという概念が全てガンプラへと変わった。
ほんの些細な変化である。それを誰一人として疑問に思う者はいなかった。
あの日、公園の倉庫で穂乃果は倒れているのを警察に保護された。
雪穂が中の異常に気が付かなければ穂乃果は暫く放置されていただろう。
その時、穂乃果の手にはおよそ女子にはにつかわしくない物が握られていた。
赤いズゴックのプラモデルである。
穂乃果自身、これは自分のものではないといったが、母には前に買ってやったものだと呆れられた。
このカニ爪が愛嬌があると自分で言っていたらしい。
たしかに、この爪には愛嬌があるのかもしれないと思うとなんだか愛着が湧いてきた。
その頃を思い出していると、後ろから雪穂の声が聞こえた。
雪穂「お姉ちゃん、そこ邪魔。」
家の入り口まで
穂乃果「あ、ごめんごめん。」
雪穂「お姉ちゃんよくそれなるけどあまりポケーってしないでよ。」
この回想をするといつも決まって周りが見えなくなっている。
そう考えると、これはあまりしない方が良いのかもしれないなと思い、引き戸を開けた。
穂乃果「いってきまーす。」
海未「穂乃果、早く行きますよ。」
海未が一足先に走って行く。
穂乃果も負けじとその後を追う。
ことり「二人ともまってえー。」
最後にことりが後を追う形となった。
再開します。
校門前には既に多くの学生が集まっていた。
どうやら外の掲示板にも今日の発表に関するペーパーが貼られているのだろう。
海未「ふぅ。そろそろ暑くなってきましたね。」
そう言うと額にハンカチを当てた。
穂乃果「ふぅー、ふぅー。海未ちゃん、全力ダッシュしすぎー。穂乃果もうヘトヘトー。」
海未の方に手をおいて肩で息をする穂乃果。
その隣では思いきりばてていることりが並んでいる。
ことり「う、ふぅ、みちゃ、ふぅ。速い、よー。」
海未「あぁ、ことり。申し訳無いです。ですが時間が押していたもので。」
既に呼吸の整った海未は、ことりに手を貸す。
二人の呼吸が落ち着いたところで、掲示板の知らせを見ずに校門へと入っていった。
教室へと入った三人は、まず自身の机へと鞄を置くとすぐに、黒板に書かれた字に気が付いた。
[本日は緊急構内集会のため生徒は教室に着き次第体育館へ集合]
海未「どうしたのでしょうか?」
穂乃果「何かあったのかなぁ?あ、もしかして新しい先生が来たとか?」
ことり「さすがにこの時期にはないと思うなぁ。」
海未「とにかく行きましょう。」
ことほの「うん。」
三人が体育館へと向かうと、既に体育館は多くの生徒で埋め尽くされていた。
二年の列に向かうと、周りの声がよりはっきり聞こえてくる。
ネェキイタ、ハイコウダッテヨ。
ドウスルノ、ホカノガッコウテンコウデキルキシナインダケド。
デモイマノイチネンセイデウチキリデショ、ソレハナイッテ。
ヤッター。
穂乃果「え、廃校!?」
海未「そんな訳無いじゃないですか。状況をちゃんと掴まないと。」
ことり「お母さんは何も言ってなかったよ。」
各々が話をしている間に、壇上が暗くなった。
壇上の真ん中には理事長が、端には金髪の少女がマイクを持って司会をしている。
少女が理事長にマイクを渡すと、一呼吸置いて理事長が話し始める。
理事長「皆さん、おはようございます。
既に知っているかもしれませんが、わが校は今年で創立80年を迎えます。
しかし、残念ながら運営の都合上、今年度の新入生をもって生徒の受け入れを停止します。
皆さんのご両親には本日より連絡をお伝えしますが、くれぐれも落ち着いた対応を望みます。
以上です。
本日は一日休校としますので、皆さんはこのことを真摯に受け止め、
残りの学園生活を有意義なものとしてください。」
そう言うと、壇上の照明が落ち、マイクを渡された少女は生徒に教室に戻るよう指示を始めた。
教室に戻った生徒たちは担任の指示に従い、その日は午前中に帰宅させられた。
その帰り道、穂乃果、海未、ことりの三人は穂むらからほど近い公園のベンチで座っていた。
海未「まさか・・・学校が廃校になる日が来るとは。くっ。」
ことり「海未ちゃん、それ今日で十回目だよ。そろそろ落ち着こうよ。」
海未をなだめることりを見ながら、穂乃果は自身のほうが呆然としているのに気づき、いけないと思い平静を装った。
穂乃果「ねぇ、私達だけでなんとかならないかな?」
海未「それがなっていれば苦労しませんよ。考えてもみてください。
今現在生徒を呼ぶために活躍している部なんて私のいる弓道部ぐらいですよ。
今どき弓道に青春を掛けようなんて思う娘がいますか?」
僅かに自嘲気味な顔をした海未がつぶやく。
ことり「海未ちゃんが先輩だったらことりは喜んで入ると思うのに。」
海未に聞こえない声でことりは穂乃果に囁く。
それには穂乃果も同意しているが、そもそも弓道の大会自体、
一般に公開しているものでもなく、入学希望者が全員弓道部であったとしても、
入学人数が少なすぎるためどうにもならないことは分かっていた。
穂乃果「それよりさ、もっと他のアイデアは無いかな?例えばキラ~ってしているような。」
海未「私はそんな派手なことは好きでないことは穂乃果が一番分かっているでしょう!」
穂乃果「じゃあことりちゃんは?」
ことり「うーん、あ、穂乃果ちゃんのお店紹介なんてどうかな。」
海未「ことり、それでは穂むらが繁盛するだけです。」
穂乃果は焦る。もしこのまま何か見つからなければ学校の廃校の危機に立ち会わなければいけないことに。
少しでも思いつくことはその後言い合った。しかし、これだと思うような物は無かった。
結局、三人はここで解散しようということになった。
今言い合っても仕方がない。
それよりも、何かを思いつくようにアイデアを貯める必要があると各々で情報を集めるほか無かった。
その日の夜、穂むら
穂乃果「うーん、なんか無いかなぁ。」
穂乃果は一人、パソコンで思いつくような言葉を調べていたが、めぼしい物はなかった。
帰ってすぐに母から廃校について問い詰められたが、走って自室に閉じ籠もった。
雪穂「お姉ちゃん、晩御飯で来たよ~。」
雪穂が夕飯が出来たことを呼びに来た。
しかし、呼ばれても気が付かないため、結局何をしているのか背後から伺っていた。
雪穂「お姉ちゃん、音ノ木が無くなるのは残念だけどさ、卒業生が結果を出せばいいと思うんだ。だからさ、落ち込まないで。」
そう言うと、穂乃果の肩に手を乗せた。
ビクッと反応した穂乃果は、その手を取ると涙目で雪穂を見上げた。
穂乃果「ゆっきー確か音ノ木受けるって言ってたけどどうすんの?他にここら辺だと学校ないよね?」
これはまずいなと思いながら、雪穂は穂乃果に掴まれた手を離そうとしたが、逆に強く握られた。
雪穂「うっ。い、今はさ、ほら、秋葉原駅の前のUTXが人気じゃん。あそこ受けようかなーって。」
なんとか穂乃果の手を振りほどいた雪穂は、焦るように下へ行った。
穂乃果「・・・UTX?」
すぐにパソコンでUTXのサイトを開いた穂乃果にある一つの思いつきが生まれた。
翌朝、穂乃果はいつもの待ち合わせ場所に行けないことを海未とことりにメールすると、秋葉原駅前に向かって行った。
昨晩見たサイトに上がっていたのは、同じ年頃の娘がロボットに乗り、戦っている姿だった。
しかし、ただロボットが戦っているだけでなく、そのチームワークには何か眼を見張るような物があった。
穂乃果「今の音ノ木にはあれが必要かもしれない。ううん、あれしか無いと思う!!」
記憶をたどりながら、鞄に括りつけられたズゴックを撫でる。
あの日手にしたこのズゴックは何か運命を引くものなのかもしれない。
そう思ったら居ても立ってもいられなかった。
UTXの前につくと、すぐに人だかりに遭遇した。
どうやら上方のスクリーンに見入っているようで、男女ともに多数が広場を埋め尽くしていた。
穂乃果「やっぱり、やっぱりこれしか無い!!」
穂乃果はUTXの前を去ると、すぐに学校へと走りだした。
ニコニコにスレタイと同じ名前の動画あったな。すげー凝ってた
>>31
スレタイ作った後にそういえば、と思い見たらやっちまったってなりましたね
それでは本日も行きますよ―。
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん!!やっと見つけたよ!!」
教室の扉を思い切り開けて扉が外れそうになったが気にせず二人に突っ込んだ。
海未「っ、穂乃果!いきなり飛びつくのはやめなさい!!」
穂乃果のタックルをもろに食らいながらも、少しよろめくだけだった海未の体使いに、
穂乃果は流石だなと思った。
ことり「で、穂乃果ちゃんは何を見つけてきたの?」
海未に抱きついたままの穂乃果にことりが話しかける。
穂乃果「そう、そうだよ。これ見て!!」
そう言って穂乃果は一枚の紙を取り出す。
それにはUTX学園の目玉情報であるガンプラバトルについて書かれていた。
海未「ガンプラ・・・バトル?ですか?」
ことり「へー、女の子でもこういうのやるんだぁ。」
海未は内心怪しいと感じているが、確かに人気は出せそうな気がすると考えていた。
対して、ことりは目を輝かせながら見ている。
穂乃果「そうなんだよ。昨日雪穂に教えてもらってから一晩中いろいろ見てたら寝れなくてさー。」
そう言って穂乃果はしまったと思った。
海未の視線がかなり痛く感じ、これではまずいと思った。
海未「穂乃果、また授業中寝るつもりではないですよね?」ニコッ
穂乃果(これ、だめなやつだ・・・!!)
背筋が凍りつく感覚と、思い切り肩を捕まれたことによる痛みで、今日は寝れないことを悟った。
海未「まぁ、冗談はここまでにしておいて。」
そう言うと海未は穂乃果の肩から手を離した。
海未「面白そうじゃないですか。私はどういったものに乗るんでしょうねぇ?」フフッ
妄想を膨らませているような蕩けきった顔。
やけに嬉しそうな海未の様子に穂乃果とことりは一瞬何が起きたかわからないでいた。
穂乃果「海未・・・ちゃん?」
ことり「さっきのタックルでおかしくなっちゃったのかな―?」
そう言われるなり、海未は二人の方へ向き直った。
海未「それでは今日は秋葉のヨド○シカメラに行きましょう。材料を揃えましょう!!」
安価出します。
ことりの機体だけ案が出ませんでした。
この話を続けるにあたって、読者の方に協力をお願いします。
ガンプラであれば基本的に縛りはありませんが、ことりが最初に乗る機体ならこれだと思うものを上げてみてください。
〉〉40
〉〉40なんと初っ端からラスボス臭漂うのが・・・。
頑張ってみますね。
今日も元気に行きますよー。
やはり海未の様子はおかしく感じた。
しかし、こうなったら誰にも止められないのを二人は知っていた。
穂乃果「それじゃあ放課後すぐに行こっか。」
海未「ダメです、一回帰ってから行きましょう。お金も今はあまり無いですし。」ワクワク
穂乃果「海未ちゃん、やっぱりおかしいよ。」
海未をどうにかするのを早々に諦め、三人は放課後になるのを待った。
そして放課後。
穂乃果「うーん、今日もよく寝たー。」
海未「穂乃果!!やっぱり寝てたじゃないですか!!」
ことり「まぁまぁ、海未ちゃん落ち着いて。一回帰ろうよ。」
海未「そうでしたね。穂乃果、帰りは説教込みですからね。」
穂乃果「うわーん。」
クドクドと説教をたれる海未と受ける穂乃果。
間を取り持つ構図はことりが別れる場所で終わった。
ことり「それじゃあことりはこっちだから、また後でね。」
穂乃果「それじゃ、お店の前に五時だね。」
集合時間と場所を決めると三人は別れた。
海未「はぁ、今日も叱りすぎましたかね。
ですが穂乃果も緊張感の無いままでいるのもなんだか危なっかしいですし…。」
穂乃果「どうしたの、海未ちゃん?」
海未「あ、いえ。別になんでもないです。ただ…。」
穂乃果「ただ?」
海未「実際に思いつきで行動して何か実るかが不安です。」
穂乃果(また始まった。)
海未が今日一日機嫌が良かったのは、夢中になれると思うことに対しての思い入れが強い事を意味していた。
だが、海未の性格上どうしても不安になることが多い。
海未の少し先を歩いていた穂乃果は海未の方へ振り向く。
穂乃果「きっと大丈夫だよ、今まで最後は上手くいったじゃん。」
海未「ですが…。」
穂乃果「海未ちゃん、頑張ろう。私だって学校が無くなるのは嫌だよ。だから最後まで頑張ろう、ね?」
海未に手を差し出す。
恐る恐る手を取った海未の手を穂乃果は強く握った。
海未「そうですね…。やります、最後まで!!」
海未は握られた手を強く握り返す。
穂乃果「海未ちゃん、痛いよぉ。」
海未「あ、すみません!!」
慌てて海未は手を離した。まだ僅かに手がジンジンしたが、熱い意思を穂乃果は感じ取った。
穂乃果「それじゃ、穂乃果こっちだから。またね。」
そう言うと穂乃果は穂むらに向かって走って行った。
それを見つめながら海未は独り言を漏らす。
海未「上手くいくと良いですね。」
既に花びらはなくなり、緑がかり始めた桜の木が風にそよいだ。
ヨド○シカメラ前 五時頃
穂乃果「うーん、甘い匂いがペコペコのお腹に効くぅー。」
海未「今食べたら夕飯は食べれなくなりますよ。」
比較的人通りの多い店の入り口そばのベンチで二人はことりを待っていた。
そばにある洋菓子店からする匂いが気流に乗って入り口付近まで漂ってくる。
ことり「二人ともごめんね~。待った?」
反対側のベンチから現れたことりに穂乃果は一瞬ビクッとなったが声でことりだとわかった。
海未「ことり、後ろから話しかけるのはやめてください。心臓に悪いです。」
ベンチから腰をあげると海未はそう言った。
穂乃果「それより早く行こうよ。六階だって。」
二人の手をグイグイ引きながら穂乃果は入り口に向かって行く。
海未「穂乃果、行きますからそんなに引っ張らないでください。」
ことり「穂乃果ちゃん、痛いよぉ。前向かないと危ないよ。」
三人はエレベーター前に着くと混んでいたのを見てエスカレーターに変えた。
店の至る所に家電製品やイベントのポスターが貼られている中に、十階の広告に目が行った。
『3×3の魂のぶつかり合い!!たぎれ、ヴァルハラまで!!ヴァーチャルガンプラファイトマシン絶賛稼働中!!』
海未「ヴァーチャルガンプラファイトマシン、ですか?」
穂乃果「なんだろうね、それ?」
ことり「先にそっちに行ってみようか。」
結局三人は6階に行くのをやめ、先に10階に着いた。
ゲームセンターのような音とネオン光を発する機械が大量に並んでおり、
映画などで見るダンスホールに似ていた。
海未「随分と猥雑なところですね。」
穂乃果「でもうちの学校の子達もいるみたい。ほら。」
そう言うと穂乃果は一台の機械の前を指さした。
音ノ木の学生が五、六人程集まって一台の機会に群がっていた。
ヤッチャエー、ジンチャン。
ソコデパンチ、パンチ。アアー!
バルカン、バルカン、ナンデデナイノォ!
ことり「すごいねぇ。穂乃果ちゃん、昨日見たのってこういうの?」
穂乃果「うん。でもUTXの人たちはやってる方だったかな。」
GF天ミナは意外と味方寄りなことが多かったりするんだよな、その前の天(というよりギナ)はラスボス的存在だけど…
しかも結構高性能な機体なんだよなぁ、天ミナ
>>49
今現在はことりをどう立ち回らせるかが悩みどころですね。
あと問題はどこまで話を広げていくか。
変に続編作りそうで怖いですね
海未「…。」ウズウズ
穂乃果「海未ちゃん、やっぱりやりたいんだ。」
海未「えっ!!い、嫌そんな訳無いじゃないですか!!アハハ。」
暫く見ていた穂乃果には、海未の見ている眼差しが純真そのものであるのに気が付いた。
まさに、子供の見る目と同じ様な感じがし、これは一気に押し切るチャンスだと思った。
穂乃果「それじゃあここに明日来よう。
今から6階の売り場を見て良さそうなのを買ってみようよ。」
海未「ええ、そうしましょう!!」
三人は10階からエレベーターで6階まで降りると、プラモデル売り場へ向かった。
海未「しかし随分と広いですね。場所は分かりませんが恐らくあちらでしょう。」
レジ前にある島で三人はそれぞれのものを見ていた。
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん!これ見て!すごいよ、大きいよ!」
穂乃果は赤い巨大な機体の模型展示を指差す。
ことり「ネオ・ジオング?大きいねぇ。あ~ことりもこんなのだったらみんなの足引っ張らないかな~。」
海未「大きさは関係ないと思いますよ。それよりも個々の技量が問題だと思います。
それに明日これを持ってくるにしても大きすぎて運ぶのに苦労するのでは無いですか。」
ことり「それもそうだね~、あはは。」
楽しくなってきてヤバイ
話が広がりすぎて今どこの段階かわからない状況の話作ってる
ことりは少々名残惜しそうにネオ・ジオングを見つめ、展示ケースから離れた。
穂乃果「海未ちゃんはどういったのがいいと思う?穂乃果には何がピッタリだと思う?」
海未「どうでしょうね。穂乃果らしいのが見つかるといいのですが。」フフッ
穂乃果の質問に嬉々として答えた海未の眼差しは完全に娘を見る母親のようになっていた。
ことり「海未ちゃーん、ことりは~?」
海未「ことりも何にしましょうかね~?悩みどころです。」アハハ
穂乃果とことりは完全に海未が待ち焦がれているのを感じ取った。
ここ最近めっきりいい笑顔で笑うことの少なくなった海未がこんなに破顔するとは思ってもみなかった。
海未「そうですねぇ、穂乃果なら…。いえ、しかしこちらはことりの方が…。」ブツブツ
悩み続ける海未を置いて、二人はガンプラの売り場に着いた。
ヤバイ、結局穂乃果は何使うか悩んだまま色々考えてた。
穂乃果ってどうしても太陽系の印象があるから何か無いか考えてたら色々錯綜してよく分からなくなってきた。
ってなわけで安価出します。
一応00系の主役機はもう出番が決まっているのでそれ以外でお願いします。
>>64
元祖SDとかアリなのかしら
>>64
一応頑張ってみます
乗り換えありならシャイニング
無しならゴッドとか
デ、デビルガンダム…
>>63
設定では乗り換え有りにします
バンシィ
ここまで2機とも黒か…A-RISEかな?
>>70
A-RISE機はモノアイが多いかなって考えてます。
一応ケンプ、ゲフンゲフン
今考えたらほのことが機体色同じだ
黒と金
塗装して色変えたってことにすりゃあイメージカラーにできると思うが
>>73
そうしますか
それじゃあ続き行きますね。
今現在作れる範囲で各機製作中
穂乃果「うわぁ~、たっくさんあるねぇ!」
ガンプラ売り場には一面箱だらけとなっており、何がなんだか分からない状態になっていた。
ことり「これなんかいっぱい生えてるね~。鉄砲?」
ことりの視線の先にはフルアーマー・ユニコーンガンダム(デストロイモード)があった。
穂乃果「うへぇ、絶対これ組み立てるの時間かかるんじゃないの?」
他に並んでいるものと比べると比較的大きい箱に入っているそれを見て、穂乃果は本音を漏らした。
ことり「でもたくさんあったら良いな~って。」
穂乃果「それよりこれ見てよ、安いよ。」
穂乃果の手には、他の商品と比べると半分くらいの大きさの箱が手にあった。
穂乃果「400円もしないよ、これ。それなのに寸分が1/144って他のとサイズが連動してる!」
もう二十年も前に発売されたGガンダムの箱は、今見ると少し色あせて見える。
しかし、二人に合流した海未はこれを見逃さなかった。
海未「丁度いいじゃないですか、これ。私はこれにしましょうか。」
そう言って海未はライジングガンダムを手に取った。
穂乃果「あ、海未ちゃん。決まったの?」
海未「ええ、弓とか薙刀とか、私には合うと思うんです。更に刀があるといいのですが。」
ことり「そうだもんね。海未ちゃんならそれがいいかも。」
穂乃果「それより私のは決まったの?」
ついさっき迄真剣に一人でブツブツ言っていた海未をみて、二人は期待を膨らませた。
海未「穂乃果ならライオンのような強さを意識して
ユニコーンガンダム二号機のバンシィなんてどうでしょう?」
そう言うとこれ?と言いながら穂乃果は黒い機体を指さした。
右腕が板切れみたいので繋がってる以外は特に疑問を持つような外見はしていなかったが、
どうしても可愛らしい外観はしていなかった。
穂乃果「えー、なんでぇ?私もっと可愛いのがいんだけど?」
海未「しかしですね、穂乃果になら合いそうなんですよ、バンシィ。
それに変形だってしますよ!」
海未の力説には少々引きそうになったが、
それでもそんなに似合うと言われるのであれば断る理由はなかった。
ことり「それじゃあことりは?」
穂乃果の分が決まったところで今度はことりが聞いた。
海未「そうですね、ことりでしたらアストレイゴールドフレーム天ミナでしょうか。
相手を倒すことのない武装は逆に柔よく剛を制すという理念で組まれてますからね。」
ことほの(なんで海未ちゃんこんなに詳しいの?>>1より詳しいんだけど)
若干引き気味な二人を置き去りにしたまま海未は薀蓄を語り続ける。
だが二人には、それほど海未がガンプラが好きなことがわかった。
ことり「じゃ、じゃあこれにしようかな~。」
海未「それじゃあ決まりましたしお会計を済ませちゃいましょうか。」
やたらと嬉しそうにレジに向かっていく海未を二人は見ながら、一言。
ことほの「重度だね!!」
だめだ、設定の中で穂乃果に言わせるセリフ案を色々書いてたら謎の「パンチだよっ!!」が出てきたwwww
手加減してるって言うの···海未ちゃんはどれだけ穂乃果をみじめにさせたら···きがすむの!
何て言うのを想像したら頭から離れない
>>82
闇堕ちさせるのも手ですかね
それじゃあ暫く放置してた分挽回します。
その日は結局買っただけで、明日の放課後ヨド○シの10階に集合することにした。
その日の晩に作りきれるのであれば作ることにして、その日は解散することにした。
海未「一応パーツを切り離すときは爪切りを使いましょう。ニッパーですと少々値が張るので。」
ブツブツと一人で話す海未の後ろを二人はついていた。
穂乃果とことりは共に一番安く上がったのは海未ではないかと思っていたが口にはしなかった。
海未「それでは穂乃果、ことり。私は先に帰りますがどうしますか?」
振り向く海未を見て、風になびく髪がサラサラと音を立てたのを二人は聞いた。
もう日は落ち、秋葉原の街中にも酒を飲んだらしき人達がチラホラといる。
穂乃果「私はもう帰ろっかな。早くこれ組んでみたいし。」
ことり「うーん、海未ちゃんの家に行ってもいい?ちょっと話したいことがあるんだ。」
穂乃果「え、何があるの、ことりちゃん?」
ことり「え?ううん、なんでもないよ。」
何か大事なことでもあるのであれば、除け者にされるのは気分が悪かったが、
大したことでもないらしく、穂乃果はそれ以上の詮索をやめた。
海未「それじゃあことりが来るって家に連絡しますね。夕飯はどうします?食べていきますか?」
持ってきたトートバッグから海未は携帯電話を取り出しながら、ことりに聞いた。
ことり「ううん、すぐに終わる用事だから。」
そう言うとことりは少しだけ顔を曇らせた。
それを見た海未は何かを感じ取ったようで、それじゃあ行きますかと連絡を終えた携帯を鞄に戻した。
その日の晩、穂むら
穂乃果「うーん、これパーツ多いよぉ。」
律儀に爪切りを使ってパーツを切り離すのは良かったが、一個一個切り取るには時間がかなりかかった。
それに、爪切りで差し込みにくいパーツ等はいちいちカバーを外すのが面倒だった。
穂乃果「それにしても最近のってすごいねぇ。組み立ててシール貼るだけで出来上がっちゃうんだもん。
そうだ、ことりちゃんにどこまで出来たかメールしてみよ。」
そう言いながら穂乃果は机に置いたままのスマホを手に取り、ことりへとメールした。
『ことりちゃん、今起きてる?私はここまで進んだよ―。あのマシン楽しみで今日は寝れないや―(´∀`)』
そう書いて送信し、穂乃果はベッドに腰を下ろした。
穂乃果「やっぱり楽しいも必要かもしれないけど…、学校のためでもあるから頑張らなきゃ!!」
握り拳を作って時折明滅する蛍光灯に手をかざした。
少し握ったり開いたりをしているうちに眠気が襲い、いつの間にか寝てしまった。
穂乃果が眠りに落ちてから少しして携帯が振動したが、穂乃果はそれに気が付かなかった。
>>1です。今夜八時に復旧します
はい戻ってきました―、>>1です。これから暫く放置してた分復旧させていきます。
翌朝
ことり「穂乃果ちゃん遅いねえ?」
海未「そうですね、連絡もありませんし。もしかして先に行ってるかもしれないので行きますか?」
昨晩最後に連絡した海未は、恐らく穂乃果が寝落ちしたこと、また、
昨日のハイなテンションを鑑みて、先に行っただろうと予測した。
海未「普段から勉学にもあれほど熱心でいると助かるんですがね。」
一言多い気もしたが、あれくらい突っ走れるのであれば如何なるベクトルにも伸びそうな性格であるのを知ってのことで海未は愚痴をこぼした。
ことり「そういえば昨日はありがとね、海未ちゃんお陰でどうにかなりそうだよ。」
海未「そうですか、それは良かったです。それと昨晩はお蕎麦、美味しくいただきました。ごちそうさまです。」
そう言うと海未は鞄からラップに包んだうどんの束を取り出した。
海未「それとこれはお返しです。こちらは今朝打ってみたうどんです。母が気に入ったようで、またおすそ分けを頂きたいとのことです。」
二人の間で繰り返される麺類トークはかれこれ一年ほど続いている。
穂乃果にこの話をすると決まってスパゲッティが良いと言うので二人はやむなく穂乃果を除け者にせざるを得ない状況にある。
二人で暫く歩いていると、背後から付いてくる人物がいるのを二人は気づかずに、校門前に着いた。
二人が教室に着くと、穂乃果の机の上に紙が置いてあった。
海未「何でしょうね、これ?」
そう言いながら、海未は机の上にあった紙を捲った。
『これからの活動をしていく上でのポイント
1.生徒会長の籠絡。承認を得ること。
2.部員の確保
3.大々的な広告、認知度の上昇
あとは努力するしか無い!』
海未「何ですか…これ?」
書かれている内容に所々意味不明な事が書かれていたが、
それにはツッコミを入れずに穂乃果はどこに行ったのか辺りを見回した。
ことり「穂乃果ちゃん、どうしたんだろうね?電話にも出ないよ。」
いつの間にか携帯で電話をしていたことりに、
なんだかんだいってかなり活動に協力的であることに海未も感心した。
ことり「この紙に書いてあることからだと多分生徒会でも行ったのかな?」
海未「ああ、なるほど。冴えてますね、ことり。」
ことり「えへへ、誉められちゃったー。穂乃果ちゃん来るまでしばらく待とっか。」
海未「そうですね。」
暫く四方山話をしていると、予鈴が鳴り、担任教師が入ってきた。
穂乃果は戻らずじまいで、一瞬悪い予感が脳裏をかすめた二人だが、
全員が着席したと同時に、教室の後ろの扉が思い切り開いた。
穂乃果「やったよ海未ちゃん、ことりちゃん!なんか無理やり押し切ったら副会長さんが通してくれた!」
海未「穂乃果!何だと思っているのです、もう先生来てますよ!」
担任「おい高坂、いい度胸じゃないか。後で職員室来いな。」
海未の方を見ながら、ヤバイといった顔をしている穂乃果に、海未はそっぽを向きつつも、
悪い予感が的中しなかったことにほっと息をなでおろした。
昼間で授業をこなし(穂乃果はもちろん爆睡していたが)、昼休みに担任から開放された穂乃果は、
すぐに教室に戻って海未とことりを探し始めた。
海未「穂乃果、こっちです。」
既に弁当を広げた海未は、ことりと机を向かい合わせて、穂乃果が来るのを待っていた。
息じゃない。胸だ
穂乃果「ごめんごめん、ちょっと長引いちゃった~。」
海未「昼まで寝てましたからね。昨晩はちゃんと寝ましたか?」
呆れた顔をしながら、海未は水筒のお茶を蓋に注ぎ込む。
穂乃果「あー、海未ちゃん疑ってる―。もちろん昨日は十二時前に寝たもん。
まぁベッドで寝っ転がってたら寝てたんだけどね。」
海未「はぁ…。」
無心に弁当の中身を転がすことりにはしたないですよと海未が注意しているのを見ながら、
穂乃果は弁当を鞄から取り出す。
ことり「あれ、今日はパンじゃないんだ~。」
海未に咎められているのを回避したことりが穂乃果をの弁当を見て呟いた。
海未「確かに…そうですね?どうかしましたか?体調が優れないのではないですか?」
穂乃果「あー、二人とも私がパンばかり食べるパン星人だと思ってるでしょ。
今日は記念すべき日だから久しぶりにお弁当にしたんだよ~。」
ことり「え、今日なんかあったっけ?」
穂乃果「も~ことりちゃん。今日は記念すべき初ガンプラバトルの日だよ。
今日また行くって言ってたじゃん。」
ことり「そういえばそうだね~。昨日は海未ちゃんに手伝って貰ったからことりの分はもう出来たよ。
穂乃果ちゃんはどこまで出来たの?」
穂乃果「それがねぇ、昨日メールで送ったところまでしか出来てないんだぁ。」
海未「まさかと思いますが、頭部までしか出来てないってわけではないですよね。」
少し顔をひきつらせた海未が恐る恐る聞いた。
穂乃果「海未ちゃん、ひどいよ。さすがにそこまでしかやらないのはないよ。
頑張って頭と胴体、あと足の先は作ったよ!」
海未「つまり腕は出来てないんですね?」
少しだけため息をつき、メイン武装が無いことにガックリさせられた。
ことりカラーになった天ミナとか…ミラージュコロイド使えなくなるんじゃ…
>>104
天ミナの情報を検索中に見つけたもので確証はないのですがこちらに
C.E.71年当時は黒色の装甲(ディアクティブモードで使用することから濃紺・灰色くらいはセーフ)で使用することしか出来なかったが、後に黒色以外の装甲にも使用可能に改良された。
Wikipedia「ミラージュコロイド」より
海未「集合時間を今のうちに決めましょう。後で騒ぐの面倒ですし…。」
そう言うと、海未は四時頃を提案した。
穂乃果「うーん、私は別に今日は用事がないしいいかな。ことりちゃんは?」
ことり「どうだろうねぇ。多分ぱっと行けるかも。」
海未「ではそうしましょうか。一度帰宅してからそれぞれの機体を持って集合です。
場所はヨド○シカメラの10階ということで。穂乃果、腕をちゃんと作ってくださいね。
ですが無理は禁物ですからね。」
穂乃果「も~、海未ちゃんは心配症だなぁ。そんなに心配ならうちにおいでよ。」
海未「穂乃果、私は用事があるので四時きっかりに着きます。良いですね?」
穂乃果「ちぇー、わかったよ。それじゃあ帰ったらすぐに腕作らなきゃな~。」
渋々引き受けた穂乃果は、もう一つ話すべきことを思い出した。
穂乃果「そういえばチーム名は何にする?」
ことり「チーム?」
首を傾げることりに、穂乃果は説明する。
穂乃果「えーとさ、ほら、昨日やってた人たちのとか見てて思ったんだけど、
みんなチーム作ってたよね?」
海未「そうでしたか?私は画面ばかり見てて気が付きませんでした。」
穂乃果「も~海未ちゃん、しっかりしてよ。みんなでこれから盛大にやるんだもん。
それに、チームが無いと参加できないって書いてあったじゃん。」
海未「そうだったんですね。てっきり個人で集まってやっているのだと思いました。」
ことり「それで、名前はどうするの?」
穂乃果「うーん、このまま行っても何か思いつかないし、いっそみんなの頭文字で取るのはどうかな?」
そう言うと、穂乃果は三人の名前の頭文字を紙に書いていった。
海未「アルファベットで取ると随分と苦労する気がしますが…。」
穂乃果「え、でも大丈夫じゃない?まず私のH・Kでしょ。それに海未ちゃんのU・Sに、
ことりちゃんのK・M。さあ、並び替えよう!」
『H K U S K M』
海未「まず母音がなくて発音できないのですが?」
穂乃果「う、うん。だめだね、こりゃ。」
ことり「それよりひらがなにしてみたら?」
穂乃果「ことりちゃん、それナイスアイデアだよ!よし、じゃあこほ、そう、みこ、かな。
あ、味噌奉公なんてどうかな?」
海未「なんですか、それは!?第一味噌に奉公するのに何の意味が!」
穂乃果「えー、じゃあ小耳舗装なんてどうかな?」
ことり「うーん、ちょっと頭がくらくらするよ~。」
小耳舗装じゃないです。ホコミ倉庫です。
>>1です
申し訳ありません、遅れました。
今回で一応第一話を終わらせます。
海未「これは無しです!頭文字はもうおしまいです。
なにか良いのを考えておきますから後で決めましょう。それでいいですね?」
穂乃果「本当は海未ちゃんが好きなの決めたいだけなんじゃないの?」
海未「ま、まさか!そんな訳無いじゃないですか!」
わずかにたじろぐ海未に穂乃果はジト目攻撃を仕掛けたが、
海未は平静を装うと、時計を見て、思い出したように机を戻し始めた。
海未「ほら、穂乃果。もうすぐ授業が始まりますよ。さあ、机を戻しましょう。」
穂乃果「あー、海未ちゃん逃げた。」
ことり「まぁまぁ、多分海未ちゃんのことだから大丈夫だよ。
それに、中学の頃に見せてもらったポエムだって…。」
海未「ことり、それ以上言ったら今後の付き合いについて考えさせてもらいますよ。」
穂乃果「ネーミングにポエムって関係有るのかなぁ?」
海未「穂乃果、今はポエムを忘れてください。でないと今にも恥ずかしくて…。」
少し海未をいびって、三人は授業の準備を始めた。
程なくして午後の授業が終了すると、終礼をしてその日は下校することになった。
穂乃果「よし、今日も終わったしこれから帰ろう!ダッシュだよ!」
海未「ああ、穂乃果!あまり無茶すると危ないですよ!」
思い切りダッシュして一人で校門まで走って行った穂乃果を、ことりと海未は下駄箱から眺めていた。
ことり「行っちゃったね…。」
海未「全く穂乃果は…。ちゃんと時間には来ると思いますが、今晩の夕飯はどうしましょうか。」
少しことりは考えて、なにか思いついた顔をした。
ことり「今日はお母さん帰るの遅いって言ってたから、海未ちゃんの家、行って良い?」
海未「今の間は何だったのかは問いませんが、是非いらして下さい。昨晩は十分におもてなしできませんでしたので。」
ことり「うん、そうするね。」
二人は靴を履き替えると、各々の帰路についた。
ヨド○バシカメラ10階
海未「穂乃果、遅いですね。」
ことり「そうだね~、どうしたんろ?」
集合時間である四時より少し前に着いたが、案の定、穂乃果はまだ来ていなかった。
今日も昨日同様、音ノ木の学生がチラホラと見えるが、そこに混じってUTXの生徒も何人かいた。
ことり「やっぱりUTXの人が多いね。」
海未「やはり本場でしょうからそれでやる人が増えるんですね。あちらもチームがかなり出来てますし。」
画面を見ながら二人は話をしていた。ガンタンクを容赦なく斬りつけるエクシアが、
背後から現れたグフにヒートロッドを食らわされていた。
海未「乗ってる方も衝撃とか受けるんでしょうか…?」
ことり「そしたらこんなに人気は出ないと思うけどなぁ。」
機械から音ノ木の生徒が出てくる。反対側からはUTXの生徒が他の生徒と交代していた。
穂乃果「海未ちゃーん、ことりちゃーん、ごめーん、待ったー?」
エスカレーターを急いで駆け上がってくる穂乃果が、出口で他の人にぶつかりそうになっていた。
海未「穂乃果!全く、四時に集合にしておいて遅れるとは何事ですか!」
早速海未の詰問攻撃が始まった。しかし、穂乃果はその詰問を遮る。
穂乃果「海未ちゃん、腕作り終わったよ!」
海未「穂乃果、話はまだ終わってませんよ。」
尚も詰問しようとしている海未に、ことりがそれを遮る。
ことり「これで三人揃ったから良いんじゃない?ほら、海未ちゃん、行こうよ。」
海未「しかし、ことりは穂乃果に甘すぎます。」
咎めるように海未はことりに詰め寄ろうとするが、穂乃果がそれを止めに入る。
穂乃果「海未ちゃん、チーム名決まった?」
海未「はい?あ、チーム名ですか?ええ、決まりましたよ。」
そう言うと、海未は鞄から一枚の紙を出した。
『ノルニル』
明らかに毛筆で書かれたその字に、海未の気合を感じ取っったが、穂乃果とことりは顔を見合わせた。
穂乃果「海未ちゃん、ノルニルって何?」
海未は待ってましたと言わんばかりに顔をほころばせた。
海未「ノルニルとはですね、北欧神話における運命を司る三人の女神のことです。
最初は三美神にしようと思いましたが、それでは芸がないのでこれにすることになったのです。」
穂乃果「うん。それで、ノルニルって何?」
海未「過去、現在、未来の三人が居ます。一応穂乃果は現在を担当してもらおうかと思っていますが、
ことりはどうします?私は参謀として未来を担当したいのですが…。」
ことり「うん、別にいいよ。それじゃあ行こう。」
穂乃果「海未ちゃんがもっと正確な解説してくれると思ってた…。」
少し愚痴をこぼした穂乃果をことりは置いていって、機械の前に立った。
ことり「大きいねぇ~。」
流線型に似た形の機械に、青字で何かしらアルファベットで書かれていた。
穂乃果「やっと出来るね~。やっと戦えるね~。」
海未「穂乃果、どうしました?なんだか目付きが妙に鋭いですが…。」
現に、穂乃果の目つきは明らかに常軌を逸したそれであった。
穂乃果「ううん、ただ単にこれから学校存続の使命を果たせるんだなって思って。」
穂乃果の目に何か光るものを感じ取った海未は、それ以後、何も言わなかった。
穂乃果「それじゃあ始めよう!ノルニルのスタートを!」
そう言うと、穂乃果は鞄を探り始める。
穂乃果「あれ?え、無い!え、嘘!無い!無い!無いよ!」
ことり「そうしたの、穂乃果ちゃん?」
既に天ミナを手にしていることりは穂乃果に声をかけた。
穂乃果「ことりちゃ~ん、バンシィ居ない。」
涙目になった穂乃果を見て、海未の眉が吊り上がった。
海未「穂乃果!なんで肝心な時に無いのですか!」
穂乃果「う~、だってさっきまで作ってたんだよ。忘れるはず無いのに~。」
海未「仕方ありません、今日は出直しです!」
穂乃果「そんなぁ。」
これから帰宅するルートに入りかけている状況を見て、ことりは穂乃果の鞄に目をやった。
ことり「穂乃果ちゃん、鞄ってトートのこと?それとも学校鞄?」
穂乃果「トートだよ。さすがにここに学校鞄で来る人は居ないよ、って私だ!」
ことり「海未ちゃん、待って!ガンプラならここにもあるよ。」
既にエレベーターのボタンを押していた海未が怪訝そうにことりを見る。
海未「ことり、どういう意味です?」
そう言うと、海未は二人の方に寄ってきた。小鳥は穂乃果の鞄を海未に見せる。
ことり「海未ちゃん、これ覚えてない?」
鞄の一端についたキーホルダーに、赤い塊が付いている。
海未「ズゴックですね。」
ことり「これ、使えないかな?」
穂乃果の鞄についたズゴックを見て、暫く考え事をしていた海未は、すぐにこれを取り外した。
海未「穂乃果、残念ですがこれを使いましょう。」
くたくたになった状態の赤いズゴックが、穂乃果に手渡された。
穂乃果「う~、残念だよ。バンシィどう動くか見たかった~。」
海未「今はそう言ってる場合でないでしょう。さあ、行きますよ。」
そう言い残して海未は先に機械へと乗り込んでいった。その後をことりが追う。
暫く黙っていた穂乃果は、しゃがむのを止め、機械のそばに寄った。
穂乃果「あの日にあったズゴック…。これは…運命かな?」
機械の扉が上がる。中に入り込んだ穂乃果は、目の前の台にズゴックを載せた。
ズゴックを光が包む。画面にアルファベットが並ぶが、それが消えると機械内が暗くなった。
横のスピーカーが何かを言っているが、上手く聞き取れなかった。
それが済むと画面が急に青く光る。それと同時に回線が開いた。
ことり「穂乃果ちゃん、聞こえる?海未ちゃんはもう連絡ついたよ。」
海未「穂乃果、聞こえますか?ことりとは回線がつながりましたよ。」
暫く黙っていた穂乃果は、顔を上げると応答した。
穂乃果「聞こえるよ。行こう、みんな!高坂穂乃果、ズゴック、行きます!」
機体がカタパルトから発射される感覚が体に掛かる一気に視界が開けてきた。
次回のガンプライブ!
「紫煙、漆黒の幻影」
夜遅くになってしまいました。
>>1です。
なんとか復旧にこぎつけましたので、再開します。
前回のガンプライブ!
穂乃果「学校が廃校になっちゃうと聞いた私達三人。何とかしようと考えた私達は・・・。」
海未「熱意だけではなんとも出来ないのでいろいろと画策していくうちに、
UTXの人気にあやかってガンプラファイトへと参入を決意することに。」
ことり「海未ちゃんが妙にガンプラに詳しいのは置いとくとして、三人の機体はもう準備出来たよ。」
穂乃果「これから待ちに待ったファイトの開始だっ!!」
第二話 紫煙、漆黒の幻影
開けたままの窓からそよそよと風が吹いてくる。
時折、校庭に咲いている桜の花弁が飛んでくるが、別にそれは気にはならない。
目の前の書類をひと通り目を通し、今日はこれで生徒会の仕事を終えようかと思い、
午前中にあったことを思い返していた。
絵里「ねえ希、この後時間あるかしら?今日ちょっと寄ってみたい所があるんだけど。」
ちょっとはにかみながら、絵里は帰り支度をしている。何か面白いものでも見つけた子供みたいな興奮ぶりだった。生徒会長に周りから半ば無理やり推薦させられた彼女は安請け合いして今期奮闘してきた。とはいえ、まだ周りよりほんの少し大人びた風貌を持つだけで、実際は、まだ幼くもある。
希「あ~、エリチすまん。ウチ今日寄るトコあるんよ。また明日でもええ?」
申し訳無さそうに堪忍してやとつぶやく。
絵里「あら、ごめんなさいね。てっきり希ってかなり暇人かと思ってたから。」
鞄を肩にかけて扉の方にしょんぼりしながら歩いて行く絵里の背中を見ながら希は後ろめたさを感じた。
希「な、明日その行きたいトコ行かん?ウチ奢るで。」
扉に既に手をかけていた絵里がこちらを振り返ると嬉しそうに笑った。
絵里「期待してるわよ!それじゃあね。」
扉を閉めた絵里が廊下を歩いて行く足音が聞こえる。
自分も荷物をまとめて急いで帰る準備をし、忘れ物は無いか確認し、扉に手をかける。
丁度今日はバイトも入れていないし、何か特別な用事が有る訳ではないが、
午前中にあった生徒会に嘆願しに来た子を思い出す。
生徒会室
明るめの茶髪の娘「すみません、部を設立したいのですが!」
希「ほえ?」
思わずペン回ししていたペンが指の間を抜ける。
学校が廃校になることを伝えられた翌日にわざわざ部を設立しに来るなんて随分と酔狂な娘が残っているなと思った。
希「せやかてな、昨日理事長さんも言うとったやろ。
今年で新入生の受け入れはせんから今部を作る言うても一気に名門とタイマン張れる訳やないで。」
明るめの茶髪の娘「でも、どうしても生徒会の認可を頂きたく…。」
まあそれなりの意地があるのは分かっている。
別段試したわけでもないし、それに確実にやり遂げるつもりがあるのはハナから分かってはいた。
希「まあウチも鬼やないし、一応受け取っとくわ。会長に話しは通しとくからまた連絡するで。」
一応申請書は受け取ることにした。
失礼しま~すと気の抜けた声を出して彼女は部屋を出て行った後、申請書を見た。
希「ガンプラ部って…、最近女子人気出たからってまた安直な…。」
とは言いつつも、少しだけ体が疼いたことは事実だった。
希「そういえば最近はやってないなぁ。昔はよくヘビーアームズでかましたっけなぁ。今日久々に行ってみよ。」
絵里「あら、希。もう授業始まるわよ。」
独り言をブツブツ言っていたら驚いた顔をした絵里が入ってきた。
一瞬、素の語り口調が出て取り繕うようにどうしたんと言った。
希「そんなこと言いながらもエリチはこっちに顔出すんやね。」
ほんの少しだけ絵里をからかってみる。僅かに頬を赤らめた絵里が悔しそうにもう迎えに来ないわよと反撃する。
絵里「仕事熱心なのはいいけれど、学業の方は疎かにしないようにね。
仮にも生徒会の親玉の片割れみたいなのだから。」
こういう時は調子に乗るが、実際はかなり慎重な性格であることは三年前から知っていたことだが、
こういう時にからかうのもなんかいいなと思いつつ、教室へと移動し始めた。
結局その後、絵里に申請書を見せずじまいになってしまったが、とりあえず明日話をしようと考えた。
今はひとまず家に帰って久々にガンプラファイトしに行こうと決めている。
マンションに着くと、自分の部屋までエレベーターで登る。
一回上がる度にエレベーター内の光量が下がるが、9階に着いた時、軽快な音が鳴って扉が開いた。
そこから自宅までは歩いて数歩の距離にある。扉が開くと同時に出した鍵を部屋の鍵穴に差し込む。
希「ただいま。」
誰もいない室内に呼びかける。もちろん返答はない。
親の都合で何度も転勤したが、高校からは一人暮らしさせてもらえるようになったため、
今はここが唯一の落ち着ける場所であった。
希「えーと、どこ置いたっけなぁ、ヘビーアームズ。」
鞄をリビングに置き、棚に手をかけた。所々に置いてた本が倒れ、しまったと思いながら、ヘビーアームズを探す。
隣の棚を探していると、一番下の段にクッキーを入れていた箱が出てきた。
中からカコンカコン音がするので、恐らくこれだろうと思い開けてみると案の定そうだった。
希「あちゃ~、ここにあったか。久々に見るとやっぱり良いね。」
赤い部分を紫に染め上げていた機体に、かつての戦いを思いだす。
希「そういえば通名もあったっけ。確か紫煙だったけな。
多分最近行ってなかったから知ってる人はいないと思うけど。」
なんて独り言を言っていた自分にまた悪い癖が出ているなと改めてこれはいけないと顔を叩いた。
外出用に着替え、念のためいくらかお金をトートバッグに入れて行ってきますと家を出た。
ヨド○シカメラ 10階
前と比べてやる人が増えたなというのが第一印象だった。
以前はそれこそ男性ばかりだったここも、いつのまにやら女性も参入し始めている現状を見ると、
やはり人気が出るものなのだなと改めて思う。そばの筐体には、やはり女学生が何人かいる。
その中には、音ノ木の学生のみならず、UTXの生徒、その他の学校の生徒も見受けられた。
希「う~ん、それじゃあ久々にちゃちゃっと行ってみよ~。」
気の抜けた声を出しながら、一人専用のブースへと足を運ぶ。
久々に待機場に着くと、見知った顔がちらほらといた。
緑毛ロング「あ、紫煙。久しぶり。ここ最近は会わなかったわね。どうしてたの?」
厄介な奴に捕まったと内心思いながらも、必死に笑顔を作った。
希「久しぶりやね。ちっとばかし忙しくてよう来れんかったんや。」
あたかも久々の再開を喜ぶふりをしながらも、内心では何時出し抜かれるか、気が気でなかった。
希「最近どうや、機体とかは変えたん?」
一応挨拶程度に最近の状況を尋ねることにした。
約一年ほど間を開けていたこともあり、確実に名うてのプレイヤーは上達しているはずだった。
当時はまだプレイヤーも少なかったこともあり、ここでは上位に必ず入るほどの実力があったが、
それも今となっては過去の話で、後進勢に確実に追いぬかれていることは確かであった。
緑毛ロング「そうだね~、ここ最近は若いのが多いね。
特にちょっと気に入らないがUTXだかってところのほれ、あのチームなんて言ったっけ?
A-ROSE?」
希「A-RISEや。」
緑毛ロング「ああ、それそれ。そいつらが牽引してよく蹂躙されんのよ。全く、いつの間にこんなことに…。」
どうやらここ最近はUTXの幅の効かせ方が異様らしく、そもそもは昨年の大会優勝からの知名度の上昇が一因となっているらしい。
その煽りを受けて音ノ木の入学生の減少も起因しているらしいが、それ以外も何かしらあるとは思っている。
緑毛ロング「それよりさ、どうせ一人なんだろ?丁度今日はコマンダーが来てるから組まない?」
希「あ~、相性悪そうなんやけど、まぁええか。コマンダーは今あれなん、重爆型量産機仕様なん?」
緑毛ロング「今は接近メインかな。まあ、感でも取り戻しながらやればいいよ。ほら、あっちあっち。」
先に機体に乗り込んだ緑毛ロングの後を追いながらも、この緑毛ロング、通称、マジシャンに不利に働かされないよう気を付けた。
扉の開いている一台に乗り込み、目の前の台にヘビーアームズを乗せる。
紫色の光がヘビーアームズを包むと、画面が起動し、『紫煙』と表記が出る。
希「それじゃあ行きますか。紫煙、ヘビーアームズ、出る!!」
目の前の明るい点に向かってカタパルトが加速を始める。
通名がある者に許された特権、それはそれぞれが選択できるのではあるが、カタパルトの長大化であったり、
落下地点の選択であったりなど、優位性が僅かにであるが、上がることとなる。
あと数メートルで射出されるゲートを抜ける直前、回線が一気に開いた。
コマンダー「紫煙、久しぶり。マジシャンから話を聞いた時は一瞬嘘かと思ったけど、機体を見てやはりかと思った。
今日は肩張らずに行こう。」
相変わらず温和な声が流れてくる。コマンダーという通名が似合わないほどの性格でありながら、
その作戦には的確性が異様なほど高く、彼女と共に戦ったプレイヤーが負けた試しが無いのは前々から知っていた。
マジシャン「お二人さーん、話は後々。今はちゃちゃっと片づけよ。」
ヘビーアームズが着地したと同時に先ほどまで話していたマジシャンとコールがつながる。
希「今回の作戦は何やろ?ウチが後方か?」
片手に構えたガトリング砲が重心を悪くさせていたが、気にしないでスラスターを吹かした。
コマンダー「紫煙は接近戦時は援護で、私とマジシャンは森に隠れとく。
できるだけ紫煙を囮にする形で周りを二人で固めるほうが良いかもしれないな。」
前方に敵の機体が見えてきた。固まりつつ移動しているのが見え、素人かと気が緩んだ。
希「前方二機確認。型は…天ミナとズゴック。もう一気は確認できへんけど多分どっかに居るから気い付けや。」
先に確認した後、すぐに森の方へと後退し始める。
希「ちょうどウチは対密林仕様や無いから見つけやすいやん。あえて狙ってくるんよ。」
前方の浮翌遊している天ミナに向けてガトリング砲を構えた。
希「後のことは任せるで!」
回線から無言の頷きが聞こえると同時にスイッチを押す。
目の前が一気に煙に覆われるが、ガトリング砲の硝煙が一面を覆うと、直ぐに移動を開始する。
希「敵はどうなっとる?ダメージとかは?」
コマンダー宛にコールをかけるとすぐに、回避した後、着陸したと連絡が入る。
希「ヤバイやん。接近戦はウチの苦手やから迂闊には寄せられん。援護頼むで。」
後方から緑の機体が飛び出すと、前方へ駆けて行く。後ろ姿からアストレイグリーンフレームと判断し、
その方面へ僅かに上方へ逸らしながらガトリング砲を放つ。
案の定、先程のグリーンフレームが上方へすくい上げた天ミナがその射線上に現れ、命中する。
やったかと思ったが、案の定、その右腕のトリケロスによってダメージの殆どを吸収されていた。
マジシャン「こいつ、素人のくせに随分と動けるよ。感は良い方だと思うけど、あっ!!」
いきなり回線が切れたのを聞いて、そうおちおち戦っていられないと感じた希は、一気にカタを付けるべく、
左腕にガトリングをはめ込み、左へ走り始める。
先に見た赤いズゴックも恐らくこの中にいるとは思うが、
何分、移動が妙になりやすいズゴックのことだからすぐには見つからないだろうと考える。
希「面倒やし一気にここら一帯を綺麗にせなアカンな。」
そう言うなり、左手のガトリングを背部へと戻し、開いた手にガトリングを持ち替えた。
希「ここいらの森片したるで。」
右肩のミサイルパックが展開し、焼夷弾換装してあるマイクロミサイルが打ち出される。
右肩のミサイルがなくなったと同時に右手にガトリングを持ち直し、ミサイルが命中した辺りへ駈け出した。
コマンダー「紫煙、突出しすぎるな。ズゴックはそちらに向かっているが、残りの一機が長距離から射撃してきている。」
恐らくは射出した場所からすぐに接近せず、その地点から冷静に打ち出して援護する構えを取っていることを予想して、
大方スナイパー系の機体であることを予想した。
目の前をよたよたと走ってきたズゴックを目にすると、一気にガトリングが火を吹き、
残弾が無くなったことを確認してその場にガトリングを捨てた。
右手のアーミーナイフを展開し、煙を突き抜けてズゴックのモノアイに直接ナイフを突き刺す。
希「一機取った。天ミナは任せるで。」
アーミーナイフをたたみ、森が開けた方へと走りだす。
少し高台になっている所は無いかと探していると、二、三ある方の内の一つに、直立して弓を構える機体が居た。
希「あれやん。」
左手にガトリングを構えると、走りながらがむしゃらに撃ち続ける。
時折立ち止まると、足のミサイルコンテナのマイクロミサイルと胸部ガトリングを一斉に吹かす。
つい先程まで丘になっていたところに弾が命中し、土が掘り返される形となったが、
どうやら弓兵は上手く逃げたようだった。
希「このウチが手玉に取られるとは良うやるなあ。でも、まだやで。」
幸いにも、接近戦を仕掛けられても胸部ガトリングの弾はまだ撃てる。
それに苦手とはいえ、右腕のアーミーナイフは十分に戦える。
希「今は距離を取らんと詰めた方が良えなあ。」
今しがた打たれたビームの形状からライジングであることを悟った希は、一気にそちらへと走りだした。
マジシャン「紫煙、天ミナは片したからそっちにマッハでいくね。残りは何か分かった?」
ライジングのデータを送ると、マジシャンの反応が喜々としたものとなった。
マジシャン「紫煙、コマンダーと接近戦しかけるからあんたは目潰しお願い。」
連絡をしているうちに、目の前の地面が急に隆起し、薙刀状の武器が飛び出してきた。
希「うわっ!」
あと僅かに前を走っていたら確実にゲームオーバーになっていたことに、内心ヒヤヒヤした。
飛び出してきたライジングの構えが、素人のものでなく、経験者のものであることを悟るのにそう時間は掛からなかった。
的確に足を狙ってくる動きと、適度に突きを入れてくるところからして、接近戦よりも中距離の、
機銃乱射の方が得策と見て、胸部ガトリングを展開した。
希「このまま掛かって来ても良えで。その代わり痛い目にあうけどな!」
ガトリング二門が火を吹き、ライジングが回避行動に入ると見ると、すぐに胸部装甲を戻した。
コマンダー「紫煙、遅れた。すぐにバックアップに入る。」
左後方から現れた青いグフカスタムが、ガトリングを構えて間合いを詰める。
希「接近戦は止めた方が良えで。いっそヒートワイヤーで攻めたほうが良えんとちゃうん?」
右後方に現れたグリーンフレームは、ジムストライカーのツイン・ビーム・スピアを構えているが、
締りが悪いようで、ふにゃふにゃと動く。
そういった訳の分からない武器を使っていることからマジシャンの異名を取ることとなった彼女に、
目の前のライジングは恐らく翻弄されるのは目に見えるが、まともにやりあえば確実に負ける気がするため、
希は残っていた弾をありったけ撃つことにした。
なんとか復旧にこぎつけた>>1
今の心情を一言でどうぞ
>>1「やっちゃいましたね…。期待して下すった皆さんには申し訳ないです。」
それでは行きますよ
希「ミサイル、いっくでー。」
左肩のミサイルハッチが展開し、残っていた三発のマイクロミサイルがライジングめがけて飛んで行く。
ミサイルは躱されることを見越したうえで、ガトリングを容赦なくぶち込み始めた。
案の定、軽快なステップでミサイルはことごとく躱されたが、
ガトリングによる押しは脚部に損傷を負わせるに至った。
そこにマジシャンの駆るグリーンフレームが鎌を振るうが如く横にツイン・ビーム・スピアを薙ぐ。
勝ったと思った矢先のこと、目の前のライジングの持つヒートナギナタがそれを受け止めた。
希「反応が早いやん。けどな、こっちは三人やし余裕で勝てるんよ。」
そばに居たグフカスタムがヒートワイヤーでライジングに命中させると、電撃が放出され、機体がダウンしたのが確認できた。
それと同時に画面が一気に暗くなり、勝利したことが告げられる。
なんとか一呼吸つくと、背後の扉が開き、外の明かりが漏れ、同時に軽快な電子音が響き始める。
毎回勝った後には少しこの音が下がってくれないかなと思うが、あえて鳴らしていることは承知のうえで、機体から降りた。
両隣の機体から既に降り立ったマジシャンとコマンダーは互いにガッツポーズをしていたが、どうもその輪に入る気にはなれなかった。
それよりも今回の相手を少しだけちらと見ようと思い、相手側の機体のそばに寄った。
そこには、聞き覚えのある声と、少女が居た。
希「あ…。」
少女が振り向くと、こちらを唖然とした顔で見ていた。
つい今しがたまで戦っていた相手が、生徒会副会長であったことに驚きを隠せないでいた穂乃果は、
その後希に思い切り叱られることとなった。
希「君らな、いくらなんでも経験者相手にボロ負けするんはすぐわかるやろ。」
ヨド○シカメラ11階にあるファミレスの中で四人は甘味を咀嚼しながら、
傍から見れば歓談している体を装っていた。
穂乃果「あ、あの、せんぱ~い。」
おずおずと希に尋ねる穂乃果に海未はギョッとした。
海未「穂乃果、いつの間に副会長と知り合ったんです?」
小声で聞いた海未に、今日だけど、と不思議そうに答える。
希「何や?」
飲み終えたグラスの氷がカランと鳴ったのを眺めながら、質問を促した。
穂乃果「あ、え~と、質問なんですけど、何故ここに?」
事情を知らない三人は、最初から考えていた疑問を解消する手に出た。
希「あぁ、それな。それはな…。」
そう言いながら、傍らにあるヘビーアームズを小突いた。
希「丁度三年くらい前かな、此処に来たんは。」
そこから、ここまでの経緯について話すことにした。
希「高校入る少し前にこっちに引っ越してきたんよ。そん時にここを知ったんやけど一年で終いにしたん。
丁度今の会長さんとようつるむようになってからは来なくなったんけど、今日たまたま久々にやりたくなってな。」
ヘビーアームズを小突くのをやめて、手で腕をグリグリ弄りながら話を続ける。
海未「そのきっかけが穂乃果だったということですか。」
一瞬何かを考えるように間を置いてからそうやねと希は言った。
穂乃果「あ、そういえば…。」
本題とも言える、ガンプラ部の設立の件を思い出した穂乃果は、それについて尋ねたが、思ったような回答を得られなかった。
希「今回戦って思ったんやけどね、こん中で一番強いんは園田さんなんやろ。多分一人だけ技量が先行しとるんはかなりキツイんよ。
その状態で今後やっていってもきついと思うし早めに諦めるんも一つの手かもしれんな。」
それを聞いて、穂乃果は思わず立ち上がった。そのはずみでグラスを倒しかけてあたふたしたが、そこは、海未が手を伸ばして抑えた。
穂乃果「でも、他の高校でもこういった方法で人を集めているじゃないですか。それもごく最近始まったことですよね。」
一瞬の間も置かず、今度は毅然と答える。
希「下積みが長いのと、あとは潤沢な資金があるからな。」
日付跨ぎましたが>>1です。復旧します。
ここでこれ以上の追及は無意味だと悟ったのか、希とはそこで別れた。
三人は、今後如何にしていくかを相談するため、一度穂むらに引き返すことにした。
海未「やはり・・・、無駄だったんでしょうか。」
なかなかこういったことを言わない海未の言葉に、穂乃果は戸惑いを覚えた。
しかし、ことりはどこ吹く風とばかりに海未を宥める。
ことり「明日も頑張ってみよう。確実に練習すれば先輩だってきっと認めてくれるよ。」
穂乃果「・・・そうだよね!明日も頑張ろうよ。今日はたまたま本気じゃなかっただけだからさ。明日になったらちゃんとバンシィも出せるし。」
海未はそういえばと思い出し、次回ならば勝てる算段を見込めた。
海未「そうですね。ではまた明日もあそこに集合しましょう。そして暫くは練度を上げていくしかありませんし、
また副会長と勝負して認めてもらいましょう。」
穂乃果「うん!!」
その日はそこで解散し、明日に向けて備えることにした。
翌日 廊下
昨日の鬱憤もあってか、作業の殆どを絵里に頼ってしまったことに後ろめたさを感じながら
放課後の寄り道を楽しんだ希はそのまま学内の廊下に戻ってきていた。
希「・・・あっ。」
なんとなしに廊下に張り出されていた部活勧誘のポスターの中に彼女たちの名前を見つけ、足を止める。
『Join us!! 誰も見たことのない熱い場所がある!! スクールファイターチーム・ノルニル』
無意識のうちにそのポスターを剥がしていた。
希「こんなことして、なんになるん?」
ポツリと漏らした声が廊下に響いた気がして、戦場に再び戻る決心をした。
ヨド○シカメラ 10階
穂乃果「おりゃー!!」
バンシィの右腕から放たれたビームが敵のマラサイの右腕を消し飛ばした。
それを逃さずに天ミナのマガノシラホコがコクピットを貫通する。
背後に現れたガブスレイがビームソードで斬りつけようと振り下ろしたが、ビーム形成された矢によって両手を失った。
そこを振り返り際にバンシィのビームソードで腹部を斬りつけ、その瞬間に画面が暗くなり、勝利が確定された。
背後のハッチが開くと中が明るくなる。台に置いてあったバンシィを取り、穂乃果は外に出て伸びをする。
横のハッチからことりと海未が出てくると、二人の方へと駆け寄った。
穂乃果「やったね!ことりちゃん、海未ちゃん!」
やれやれといった顔をして海未がまだ二回しか勝っていませんよと勝利の余韻をぶち壊す。
ことり「でもほら、やっと何とか勝てるようになってきたんだし頑張ってきてると思うよ。」
海未「ですが、せめて今日中にあと十勝出来ないと私は…。」
そう言いかけた時、遠くに見覚えのある三人が居るのを見つけた。
希と他の二人。恐らくは昨日対戦した二人であるが、どうやら此方にはまだ気づいていないようだった。
穂乃果「ねぇ二人とも。」
穂乃果が言いかけた時、海未は一度ため息を付いて、好きにしてくださいと為すに任せることにした。
よっしゃぁっ、なんとか復旧出来そうな機運が回ってきたぜ(かなり道が出来上がったらしい>>1 )
ということで今日の午後八時に復旧致します。
長らくお待たせしまって申し訳ございません。
そして日付またぎそうになるというなんか申し訳ない気持ちに・・・。
復旧です。
希の方へ歩み寄る穂乃果の足取りは徐々に重く感じてきたが、これが必ず転換する何かしらのきっかけとなることが予測できていた。
しかし、その理由について問われれば、具体的に述べられる自信はない。
穂乃果(何とかしなきゃいけないんだ。誰かにやってもらうのは楽かもしれない。
けど、誰もやらないならせめて私たちだけでもやらなくちゃいけないんだ!!)
穂乃果が向かって来たのに気が付いた希は一瞬コマンダーとマジシャンとの会話から離れ、穂乃果の方へ寄ってきた。
希「どうや、決心は付いたん?」
飄々とした態度を取りながらも、受け入れようとはしない素振りが一瞬穂乃果をたじろがせたが、
自分自身の決めたことにこれ以上嘘を付きたくない一心もあり、一言勝負してくださいと呟いた。
希「え、何やって?」
馬鹿にされているのは重々承知していた。
穂乃果「私達と、勝負してくださいっ!!」
周りが一瞬ビクッとなり穂乃果の方を見る。
その状況の中、希は一人ほくそ笑んだ。
希「なんでそんなにウチと勝負したいんや?負けたくないから?それとも馬鹿にされたくないから?」
穂乃果「だって、可能性感じたんです!!だから…、私たちと勝負してください!!」
遠くで見守っている海未とことりの方をちらと見る。海未は焦ったような顔をしており、
それを抑えるようにことりが寄り添っている。
希「ふーん、それが単なる思い違いやないと良いけどな。その勝負、買ったわ!!ええやんな、二人共?」
一瞬考える素振りをしながらも、既に腹の中では勝負を買うことは考えていた。
背後の二人に目をやると、どちらも頷いていた。
希「でも、一つだけ条件をつけようか。ウチらに勝てんかったら、もう金輪際ガンプラバトルはせん。それでええな?」
穂乃果「構いません!!」
ニヤリと笑いながら、希は二人を連れて機体の中へと入っていった。
昨日の今日で絶対に上達などは出来ない。それが出来るのは生粋の努力人かはたまた天才だけ。
自分自身でも彼女たちに何故こうも対立しているのかはわからなかった。
しかし、これは恐らく自分自身が一番良く知っているからこそ、
彼女たちには残念な思いをさせたくなかった為のほんの僅かばかりの良心なのだろうと決め付けることにした。
希「あまのじゃく・・・なのかな?この口調もなんだろうけどね・・・。」
戻ってこれました~、>>1です。
それじゃあ行きますね~
海未「良かったのですか、穂乃果?あんな大見得なんか切って。」
事の次第を見ていた海未は動揺を隠しきれずに、穂乃果に詰め寄る。
このまま胸ぐらを掴みかかりそうになっている海未をことりが何とか抑える。
穂乃果「ここで引いたら元には戻れない。だから、やるっきゃない!!」
これはどうしようもない目だと感じた海未は、しかし、そこに望みを賭けてみようと感じた。
海未「分かりました。ですが、やるからにはやはり勝ちたいです。ことり、そうですよね?」
ことり「うん!!」
穂乃果「絶対勝とう!学校のためにも!!」
力強い頷きを返した二人は、各々の機体に乗り込むと、すぐにマシンが起動しだした。
ことり「ゴールドフレーム、出ます!!」
加速が始まり、カタパルトから射出されると同時に回線が開いた。
『ことり、穂乃果のサポートにまわってください。私は各個撃破していきます。任せましたよ。』
突然の回線に驚いたことりは着地で転びそうになったが、
なんとかスラスターを吹かして体勢を整えるとバンシィを探すために回線を開いた。
ことり「穂乃果ちゃん、サポートに行くから」
『わかったよ、今回は前回と同じ場所みたいだけどどうする?』
目の前には前回あの三人と戦った時と同じ森林と岩場の複合化した地形のため、前回の教訓を踏まえて、
自分は宙に浮いて注意を引いて穂乃果にその攻撃している相手を叩くように指示をして森の上を浮翌遊し始めた。
遠くの方で何かが光った気がして回避行動をすると、つい今しがたまで居た場所にビームが走った。
ことり「やっぱり撃ってくるね。でもこれで相手の位置は捕捉できたから穂乃果ちゃんに座標位置を指示すれば作戦通りだね!」
一言漏らすとすぐにデータを穂乃果に送り、自分はその方面へ向かっていった。
案の定ビームを連射してくるのを回避して敵を補足した。
ことり「こんなのってアリなんだ。」
見つけた相手はグフカスタムではあったが、追加装備としてビームライフルが握られていた。
ことり「穂乃果ちゃん、なんとか凌いでみせるね。」
そう言うと手始めにイーゲルシュルテンで目潰しにとりかかった。
だが、撃たれ始めるとすぐに盾でメインカメラをガードしながらビームライフルで応戦してきた。
『ことりちゃん、ごめん。なんか他のに捕まっちゃった!』
集中していたところで急にまわってきた回線に一瞬注意がそちらに向いたため、ビームが右足を貫通する。
それと同時にモニターが異音を発生させ、地面に墜落した。
ことり「う~ん、折角海未ちゃんに頼まれたのに出来そうになかったな~。」
目の前にはヒートサーベルを構えたグフカスタムが走り寄って来ている。
ことり「ごめんね、二人共。頑張ってね。」
回線を二人に向けてオープンにしてそれを告げるとトリケロス改を構えた。
確実にランサーダートで仕留められる距離に入った瞬間、
グフカスタムはヒートワイヤーで側の木に引っ掛けスライディングした。
やられる!と思ったと同時に、スライディングしてくるグフカスタムの動きがスローに見え、
何も出来ないまま負けるなと諦めた。
『はぁっ!』
先程から開きっぱなしだった回線から誰かの声が聞こえたと同時に、
目の前のグフカスタムがあらぬ方向へ吹き飛ばされた。
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