男「そうそう甘くはないわけで」 (19)
タッタッタッ…
妹「お兄ちゃん、朝だよ」
男「(妹の声がする…)」
男「(俺は毎朝、妹に起こされる)」
男「(ドア越しに…だけど)」
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妹「じゃ」
男「(起こす、それだけの行為だ。何の不思議もない)」
男「(母さんは料理をしているし、父さんはとっくに会社に行っている)」
男「(だから妹はごく自然に俺を~起こし~にくる)」
男「(別に叩き起こすわけでもないし、またがってくるわけでもない)」
男「(布団をひっぺがえして~キャ-何それ隠してよ//~ 的な展開は論外だ)」
男「…はぁ」ムク
ガチャ
幼なじみ「ん?」
男「あ」
幼なじみ「はよー」
男「おはよう」
幼なじみ「寝癖ついてるよ」ピッ
男「…本当だ」クシャ
幼なじみ「じゃねー」
男「うん」
男「(幼なじみ、家も近いし保育園から高校生になった今までずっと同じトコだ)」
男「(でも…)」
男「ただそれだけなんだよな…」ボソ
男「(同じクラスだったこともあるし、休みの時プリントを持っていってやったこともある)」
男「(でも、俺が風邪で看病されたこともないし、弁当を作ってもらったこともない)」
男「(もちろん、小さいころに結婚の約束もしたことがない)」
昇降口
男「…」パカッ
後輩「あ、先輩おはようございます」ペコリ
男「おはよう…後輩」
後輩「今日の昼生徒会でしたっけ?」
男「そうだよ…」
後輩「分かりました!ありがとうございます」ニコ
男「う、ん…」
男「(後輩、俺の入っている生徒会の書記だ)」
男「(よく笑うし、礼儀正しい奴だ。ちなみに中学でも生徒会で一緒だった)」
男「(だけど)」
男「(その生徒会の会長と付き合ってた)」
男「(今はどうなのかわからない、気にはなるけど…)」
ガララ
男「…」キョロキョロ
男「(いない…か)」
友「どしたん?男」ポン
男「ああいや…、少し暑いなーと思ってな」ハハ
友「ふーん、ま、それより今日○○がさ朝……」ペラペラ
男「(こいつとは一年のときに最初の席が前後だったのがきっかけで友達になった)」
男「(一応、俺は友達だと思ってる)」
友「……で、ガチやべぇってなってさ…!」
男「うん」
女「男君、ちょっといい?」
友「んだよ、オレが今男と話をしてんの、割りこむなよ」
女「うっさい、あんたは黙ってて」
男「どうかしたの?」
女「いや、あの子のことなんだけど…」
男「…」ビク
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
男「失礼します」ガララ
会長「遅いな」
男「すみません」
会長「なんてな、私しか、まだ来てないよ。むしろ男は二番乗りだね」
男「会長は早いですね」
会長「まあね、会長だしね」フフン
男「(生徒会長、今時女子の生徒会長なんて珍しくもないけど)」
男「(この学校的には17年振りらしい…逆に17年前に何があったと不思議に思う)」
会長「でさー、面倒なことがあるんだけどさぁ」
男「はぁ…」
会長「目安箱にこれが来てたんだけど…」カサ
男「~胸をさわられた、つらい~……これは」
会長「うーんイタズラっぽいといえばイタズラっぽいんだけどね…」
男「…」
会長「しかし、目安箱に入れられた以上ほうっておくのもね…」
会長「まあ、それに高校生にもなってこんなイタズラする人もいないだろうし…」
男「なぜ、それを俺に見せるんですか…?」
会長「へ?男は生徒会役員でしょ?」
会長「あ、~胸をさわられた~っていう部分?」
男「…」
会長「この投書が本当だとしたらそんなこと気にしている場合ではないでしょうよ。それに、これじゃ触ったのが生徒なのか先生なのかも分かんないし」
後輩「失礼しまーす」ガラガラ
会長「お、後輩ちゃん!」
後輩「こんにちは!って、先輩たちなにしているんですか?」
会長「ああ、実は…」カクカクシカジカ
男「(会長が後輩に説明している間俺は窓の外を見ていた)」
男「(朝の快晴が嘘のようにどんより曇り始めていた)」
後輩「…もし、本当だとしたら大変ですよねそれ…」
会長「ああ、下手すりゃ警察沙汰だしね」
後輩「いつ入ってたんですか?」
会長「いやー、それが…」アハハ
後輩「?」
会長「本来なら毎週水•金曜に回収するんだけど…」
男「けど…?」
会長「着任以来入ってた試しがないからここ2週間サボってました!すみません」
後輩「そうですか…じゃあここ2週間以内ですかね?」
会長「たぶんね…」
男「(結局これ以上議論は進まなかった。呼び出されたのは俺と後輩だけだった)」
男「(何でも、あまり大勢に話すのは良くないと判断したらしく、1年の後輩と2年の俺、3年の会長一学年一人だけに話すことに決めたそうな)」
男「(懸命な判断だと思う、惜しむらくは2学年に女子役員がいないことだろう)」
男「懸命だけど、最善じゃないよな」
放課後
男「結局降りだしちまったよ…」
友「男はどーすんの?」
男「お前は?」
友「オレは車ー、乗せていくか?」
男「いや、やむまで図書室で待ってるわ」
友「おおー、知的ー!」
男「そうか?」
友「ま、ならじゃなー」フリフリ
男「おう」
図書室
男「相変わらずがらがらだな」ボソ
図書「!」
男「ん?なんですか?」
図書「…」ジッ
男「(なんだよ…誰なの…こいつ)」
図書「…え……て」
男「え?」
図書「か え し て」
男「返すって何を?」
図書「図書室で返すものは一つだとおもうのですが」
図書「あなた、貸出きかんは一週間ですよ」
男「!」
男「あ、ああそういえば借りてたな…」
男「ごめん、今家に置いてきてるから明日でもいいかな?」
図書「かまいませんけど…」
男「ありがとう…」
図書「…」
図書「あの…」
男「ん?」パラパラ
図書「~今日はお一人~なんですか?」
男「!!」ハッ
図書「」ビク!
男「(小一時間ほどで雨はやんだ、俺はいつもとは違う方向に歩いていった)」
男「(携帯の電話帳をながめる)」
男「(メモリ番号が一番大きい項目を指でなぞった)」
男「くそったれ」ポチ
プルルルル
男「(出るだろうか、出ないだろう)」
プルルルル
男「(許すだろうか、許さないだろう)」
プルルルル
男「(そんなに甘いもんじゃない)」
プルルルル
男「(俺は馬鹿だ)」
プルルルル
男「(俺は勘違いをしていた)」
プルルルル
男「(俺は…)」
プルル…プtッ
同級生「…おとこ…くん、なに」
男「っ……」タジッ
男「(謝ろう、謝ってすむか? 不可抗力だったんだ、誤りですむか?)」
男「……ごめん、本当にごめん」
同級生「…」
男「(俺は甘く見てた、夢見てた、あんな、とんでもない…)」
男「(ラッキースケベに…!)」
ごめん、なんかちがくなった、ギャグをかきたかったんだ。
どうしてこうなった
とりあえず決着つける
男「(まあ、言ってみれば大したことはない)」
男「(階段で、つまずいた同級生を受け止めたら柔らかかったという話だ)」
男「(お話の中ならただのドキドキイベントですむのだが…)」
男「(そうそう甘くはないわけで)」
男「(同級生は翌日から学校を休みがちになり、今週は一回も来ていない)」
男「(当然、俺は会話すらできていない)」
同級生「……正直」
男「うん…」
同級生「電話切ろうとおもった」
男「…」
同級生「自分の中でせいりがつかなくて…、どんな顔して会えばいいかわかんないし…」
男「…」
同級生「でも、男くんもさ…」
同級生「わざとじゃないんだもん…ね」
男「うん…」
同級生「だから、きにしないで」
男「ごめん…」
同級生「もういいってば…」
男「してほしいことがあれば…俺にできることがあれば…」
同級生「じゃあ、もう…忘れて」
男「…」
同級生「お互い、なかったことにしようよ」
男「そう…か、じゃあ」
同級生「…うん」
男「…」プツ
男「ふぅ…」
男「あれ、でもあの投書は?」
しばらくして
TV「○○市教員が生徒の胸を複数回にわたり触るなど………」
妹「これ、お兄ちゃんの学校じゃ…」
男「みたいだな…」
男「(結局、あの後同級生と言葉を交わすことはなかった)」
男「(いまでは、しっかり学校にきている同級生は本当にあの事を忘れられたのだろうか)」
男「(そんなことは、俺には到底分からないことだ)」
男「(ただ、~ラッキースケベ~はそうそう甘くはなかったのだ)」
end
本当は男がいい奴なのにいっこうにフラグが立たないギャグssのつもりだったのに…
お目汚しすいません
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