アルミン「私はヒストリア」 クリスタ「私はクリスタ」(26)

原作ネタバレあり

気持ち悪いとこもあるので一応閲覧も注意してください

―――訓練生に入って2年目の事

みんないい人で僕やエレンやミカサも仲間たちと仲良く打ち解けやっていけていた。


ある日、男子で「次の立体機動の試験でビリだったら罰ゲームでクリスタの格好をする」という話が出たんだ。

もちろんただ笑いを取るためだった。

しかし、そんな些細な事がきっかけで大きな事件に発展するとは誰も思いもしなかっただろう……



…結局負けたのは僕だった。

アルミン「…はあ…なんで僕がこんな格好を……」

コニー「負けちまったなアルミン!元気出せよ!」

エレン「悪いな、アルミン…俺も手を抜く訳にはいかなかったから」

アルミン「いいよ、この際これで皆の前に出て笑いを取ってやるさ」

エレン「ははは、言うようになったな!」

ライナー「いや、しかしクリスタの格好、似合ってるぞ意外と。あはは!」

ジャン「ライナーが言うと変な意味に聞こえるからやめてくれ…」

ライナー「失礼だぞ」

―――食堂

アルミン「…やっぱり恥ずかしいな…」

ジャン「おいおい、これで皆の前に出てやるって言ったのはお前だろ」

アルミン「そうだけど、実際するとなるとやっぱ…」

エレン「嫌ならやめてもいいだろ。無理にする必要は…」

コニー「いいじゃねぇか、アルミンあんま目立って無いんだからこの際笑いを取って人気者になろうぜ!」グイッ

アルミン「わっ、ちょっと!!」

エレン「おいおい…」


ミカサ「あ、エレン、アルミン………ぶふっ!!?」

アルミン「……」

ミカサ「…」

ミカサ「アルミン、私はあなたの親友。だからあなたにどんな趣味があろうと気にはしな…」

アルミン「いや、ここは笑ってよミカサ!!」

サシャ「ぷぷっ!?…アルミン…なんですかその格好…くく…」プルプル

コニー「おう、実はな…」

ミカサ「サシャ、笑ってはいけない」

アルミン「いや、僕は笑いを取りたいんだよミカサ」

エレン「なんか可哀想になってきたな…もうよそうぜ」

ライナー「まあ待て。クリスタ本人のリアクションも見てみたいと思わんか?」

エレン「…まあ確かに気にはなるが」

アルミン「これでクリスタにまで同情みたいな事されたら泣くよ僕」

ユミル「今日も疲れたなクリスタ~」
クリスタ「そんなひっついたら熱いよユミル…」

ライナー「お、来たぞ」

アルミン「ええい、こうなったらヤケだ!!」

ミカサ「あの目は…アルミンが本気を出した時の漢の目!!」

アルミン「クリスタ、こんばんは!」

クリスタ「あ、アルミ……んんっ!?」ビクッ

アルミン「は、あはは…」

クリスタ「ななな、なんでそんな格好してるの!?」

コニー「あんな動揺してるクリスタ初めて見たぞ」

ユミル「喧嘩売ってんのかテメェコラ」

アルミン「ちょっ…ユミル落ち着いて…」

エレン「男子でのお遊びでな、罰ゲームでアルミンがクリスタの格好する事になったんだよ」

クリスタ「罰ゲームでって…でも可哀想だよ、こんなの」

アルミン「いいよいいよ、どうせただのおふざけだし」

コニー「なあ、クリスタもアルミンの格好したら意外と似合うんじゃないかな?」

アルミン「は!?」

クリスタ「なに言ってるのコニー!?」

サシャ「ちょっと見てみたいですね」

ユミル「馬鹿言ってんじゃねぇよ、んなの私が許すか…」

エレン「あはは、面白いなそれ」

エレン「アルミンとクリスタで入れ替わってみたらいいんじゃないか?」


ビリビリビリッ…


アルミン「!」ピリッ

クリスタ「!」ピリッ



エレン「なんてな、冗談だ!」

ドサッ ドサッ

エレン「え?」


アルミン「…」

クリスタ「…」

ライナー「アルミンとクリスタが倒れたぞ!?」

エレン「おい、どうした!?」


ユミル「クリスタ、おい!」

ミカサ「アルミン!!」

―――男子寮


………

ん…

アルミン(クリスタ)「…」

アルミン(クリスタ)「あれ、私……」

エレン「お、アルミン起きたか!」

アルミン(クリスタ)「…え?私はクリスタ…」

エレン「おいおい、こんなときまでクリスタのフリすんなよ」

アルミン(クリスタ)「え?」

(あ……私、アルミンの体になってる?)

エレン「アルミン…大丈夫か?急に倒れたんだぞお前」

アルミン(クリスタ)「……」

―――ヒストリア、私の事は忘れてね


アルミン(クリスタ)「!」


―――凄いよヒストリア、もうこんなに読めるようになったんだ

アルミン(ヒストリア)「…お姉ちゃんの…記憶…」

エレン「ん?なんだって?」


(そうだ……今、思い出した……お姉ちゃんとの記憶を…)



(でも、どうして今思い出したの?今まで忘れてたのに…アルミンの体になってから…)

―――女子寮

クリスタ(アルミン)「…う…」

ユミル「よう、起きたか。大丈夫か?クリスタ」

クリスタ(アルミン)「…なに言ってるの。僕はアルミン…」

ユミル「は?」

クリスタ(アルミン)「え?」

ミカサ「クリスタ…無事で良かった」

(…あれ、これは僕の体じゃない…)

(あれ?そもそもここはどこだ?僕は何をしていたんだ?)

(それに…)チラッ

ユミル「…」

ミカサ「…」

クリスタ(アルミン)「あなたたちは誰ですか?」

ミカサ「え?」

ユミル「おい、何言ってんだお前…」

クリスタ(アルミン)「あれ…あれ?何も思い出せない……思い出そうとすると…」

ズキンッ

クリスタ(アルミン)「頭が痛い…」

ミカサ「クリスタ!?…何かあったのだろうか?」

クリスタ(アルミン)「だれ?僕はだれ?」


ユミル「まあ落ち着け。もしかしたら急に倒れたからパニックになってるのかも知れん。お前の名前は…クリスタ・レンズ。兵士になるために訓練生に入ってる女だ…まだ思い出せないか?」

クリスタ(アルミン)「ごめんなさい…思い出せない……けど…」

クリスタ「…私は…私の名前は、クリスタ・レンズなんだね?」

ミカサ「そう、貴女はクリスタ」

サシャ「大丈夫ですか、クリスタ!?どこも痛くないですか!?」

クリスタ「大丈夫だよ、…何も思い出せないけど。貴女の名前は?」

サシャ「え!?サシャ…です。本当に忘れてしまったんですか!?」

クリスタ「ごめんね、サシャ」

クリスタ「……ねえ、クリスタってどんな娘だったの?」

サシャ「クリスタはとても優しいです!!笑顔も美しいし、まるで神様のようです!!」

クリスタ「…わかった、ありがとう」

クリスタ(じゃあ、いいことをして……常に笑顔で居なきゃダメだな)

クリスタ(私はクリスタ・レンズ…優しい良い子なんだから)

―――男子寮

アルミン(ヒストリア)「…」

(どうしよう、どうしよう…なんで私とアルミンの意識が入れ替わってしまったんだろう…)

ライナー「見ろ皆!俺の筋肉を!!」

コニー「カッコいいぜ!!」

アルミン(ヒストリア)「ちょっと裸にならないでよ恥ずかしい!!」

ライナー「え?」
エレン「え?」

アルミン(ヒストリア)「あ、いや…何でもないよ気にしないで…はは…」
(…どうやって戻ろう…)

(…しかし皮肉な事に…アルミンと入れ替わってから急にお姉ちゃんの記憶が戻ったし……そのおかげで、クリスタの時の心のモヤモヤも小さくなった気がする。何だか気が楽だ)


ジャン「てかよ、お前いつまでクリスタの格好してんだ?」

アルミン(ヒストリア)「…」


アルミン「罰ゲームでしょ?もう少しこのままでいいよ」

(…やっぱり男の格好じゃ違和感あるしね)

―――翌日―――

アルミン(ヒストリア)「結局、朝になっても元には戻ってなかった…」

いったい何が原因なんだろう…何でこんなことに

クリスタ「…」ザッザッ

アルミン(ヒストリア)「!」

そうだ…私がアルミンの体になってるって事はあっちは中身はアルミンなんだよね
アルミンは賢いし何か分かるかも…

アルミン(ヒストリア)「ねえ…アルミン」

クリスタ「!」

アルミン(ヒストリア)「急にこんな事になってビックリだよね…どうしてかな?」

クリスタ「…?何を言ってるの?」

アルミン(ヒストリア)「ちょっ…アルミン。いま周りには誰もいないんだから隠さなくても…」

クリスタ「…あなたがアルミンでしょ?ミカサから聞いたよ」

アルミン(ヒストリア)「…え?」

クリスタ「私はクリスタ・レンズだよ?アルミン」ニコッ

アルミン(ヒストリア)「…!!?」ゾワッ

クリスタ「!どうしたの?顔色が悪いよ……」

アルミン(ヒストリア)「い、いや…大丈夫。大丈夫だから…」

クリスタ「足もフラフラしてるよ。医務室に行く?大丈夫?」

アルミン(ヒストリア)「や…やめて!お願いだから!!」

クリスタ「!!」ビクッ

クリスタ「…わ、わたし…何か悪い事した…?」

クリスタ「無理はダメだよ…気分悪いなら医務室に行こう?」ニコッ

アルミン(ヒストリア)「…うぷっ!!」

クリスタ「アルミン!?どうしたの!?」

アルミン(ヒストリア)「おえぇっ!…げほっ ゴホッ!!」

エレン「…!!おい、アルミン!どうした」

ミカサ「大丈夫なの!?」

クリスタ「あ…アルミンが吐いちゃって…どうしよう…」

アルミン(ヒストリア)「…はあ……はあ……」

クリスタ「…」

………気持ち悪い……

―――医務室―――

アルミン(ヒストリア)「………」

なんて事なの………あれは、アルミンじゃない……

クリスタになってしまっている。
何であんな事に……。

ていうか私…今まであんな作ったみたいな笑顔だったのかな……


エレン「よう、気分はどうだアルミン」ガチャ

………やっぱりアルミンって呼ばれるのは慣れないな

ミカサ「アルミン。黙っていては大丈夫かわからない…」

アルミン(ヒストリア)「あ、ごめん。わた……僕は、だいぶ良くなってるよ」

エレン「なら良かった…」

ミカサ「でも無理はしないで」

アルミン(ヒストリア)「…うん…」

エレン「クリスタがいてくれて良かったな……だが、あいつなんか…」

アルミン(ヒストリア)「!」

エレン「前からよ……作ったみたいな顔してて気持ち悪いって思ってたけど…なんか今日はいつもより気持ち悪いって思ったんだが」

ミカサ「……」

アルミン(ヒストリア)「……え、気持ち悪かった?前から?」

エレン「ああ…前から周りはクリスタの笑顔が可愛いとか言ってたが……無理してるみたいで俺は気持ち悪いとしか思えなかったよ」

アルミン(ヒストリア)「…」

ああ……気持ち悪いって思われてたんだ。
まあ、仕方ないよね………無理やり笑顔作ってたから

エレン「…って、なんでアルミンが暗い顔してるんだよ」

アルミン(ヒストリア)「え?いや、何でもないよ。大丈夫…」

ミカサ「…まだ体調が完全には良くなって無いんだと思う。そろそろ帰ろうエレン」

エレン「だな…早く良くなれよ」

アルミン(ヒストリア)「うん…」

アルミン(ヒストリア)「…」

そもそも私は本当にクリスタ…ヒストリアなんだろうか。もしかしたら、あれは元からアルミンじゃないのかも知れない。
…何だか不安になってきた……自分が何なのか分からなくなってきた………


ガチャッ


アルミン(ヒストリア)「!」

ユミル「よう」ザッザッ

アルミン(ヒストリア)「ユミル…」

ユミル「クリスタが悲しんでたぞ、お前に何か悪い事したかも知れないって言ってな…」

アルミン(ヒストリア)「……」

ユミル………いつもならユミルが一番頼れるのに……どうしよう…きっと、私が本当のクリスタだなんて言っても信じてくれない………どうしよう……ユミルすらもいなくなったら、私……

アルミン(ヒストリア)「……っ」ジワッ

ユミル「……」

ユミル「……去年の冬の雪山で………ダズが倒れたって話は知ってるだろ?」

アルミン(ヒストリア)「…え?」

ユミル「あの時は確か……クリスタがそのまま引っ張って行って死のうとしたんだったな。ったくあいつは、良い子ちゃんぶってる癖に他人を巻き込もうとするなんて……」

アルミン(ヒストリア)「……!!」

アルミン(ヒストリア)「違う!!私は……そんなつもりじゃ……」ガシッ

ユミル「…」

アルミン(ヒストリア)「……あ…」

ユミル「…やっぱりか………お前が本当のクリスタなんだな」

アルミン(ヒストリア)「!!」

ユミル「理由は知らねぇが…そうなんだろ?」

アルミン(ヒストリア)「…!!う、うん…そう…そうだよ……ぐすっ」

ユミル「…泣くなよ、ったく…」

アルミン(ヒストリア)「…今のクリスタがアルミン…だと、思うけど……でも……」

ユミル「…」

ユミル「すまん。あいつがああなったのは私のせいかも知れん」

アルミン(ヒストリア)「え?」

ユミル「…もっと早く気付いてれば良かったがな……あいつは目覚めた時、自分のアルミンという名前以外の記憶が全くなかったみたいでな……」

ユミル「まあ、その時はパニックを起こしてるんだと思って…お前はクリスタ・レンズだと言っちまったんだ。その後はサシャにクリスタの特徴を聞いたりしていた」

ユミル「それからあいつは…完全にクリスタになりきってしまっている」

アルミン(ヒストリア)「………!?」

ユミル「まあ……あいつは目覚めた時、記憶がいっさいがっさい無くなっていたんだ。言わば空っぽの存在だったんだよ……だから、何かになりきろうとしてるんだろう」

アルミン(ヒストリア)「………」

…私と同じようなものだ………私は思い出を消されてて、何もない空っぽな人間だった…だと思ってた。だから私はクリスタという人格を作った。
今のアルミンはその時の私と一緒だ

アルミン(ヒストリア)「……どうすればいいんだろう…」

ユミル「さあな…そもそも何故クリスタとアルミンの中身が入れ替わってるのかも分からんし…何故アルミンだけ記憶が消えてるのかも…」

アルミン(ヒストリア)「…ユミル…私、アルミンの体になってから思い出したの…昔の記憶を………消されてたみたいで…」

ユミル「なんだと?」

アルミン(ヒストリア)「お姉ちゃんとの思い出を…思い出した。ずっと忘れてたけど…」

ユミル「…」

アルミン(ヒストリア)「お姉ちゃんが…いつも遊んでくれてて……でも去り際には毎回私の記憶を消してたんだ……何故かは知らないけど…」

ユミル「…アルミンの記憶が消えてる理由は…それじゃないか?」

アルミン(ヒストリア)「え?」

ユミル「お前の本来のクリスタの体に……その記憶制御の力が残ってるから…アルミンはその影響を受けたんじゃないか?」

アルミン(ヒストリア)「!」

ユミル「そしてお前の今の体…アルミンは、記憶制御なんか受けてないはずだ。だからお前はアルミンの体になった途端に記憶が戻ったんだ」

アルミン(ヒストリア)「あ…そうか…そういう事か…」

ユミル「…参ったな……どうやってお前とアルミンを元に戻すか」

アルミン(ヒストリア)「…」

でも…元に戻ったら私はまた……記憶が消えるのかな……

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