ちひろ「ウサミン星、ふたり酒」 (25)
ちひろ「では、メッセージ収録お疲れ様でした。乾杯!」
菜々「かんぱーい!」
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ちひろ「はー。生き返りますね」
菜々「ぷはぁー! やっぱり夏に飲むビールはおいしいですねえ」
ちひろ「いい飲みっぷりですね……最近はあんまり飲んでなかったんですか?」チビチビ
菜々「忙しくて、仕事終わったらすぐ寝てましたからねえ……それに」
菜々「楓さんが打ち上げでおいしそうにお酒飲んでて、ちょっと鬱憤が」
ちひろ「ああ……今日は宅飲みですしガンガンいっちゃいましょう、私も付き合いますよ」
菜々「お仕事の方は大丈夫なんですか?」
ちひろ「私の仕事は、基本的に雑務ですからね。プロデューサーさん達が必要な情報はまとめてありますから」
ちひろ「菜々さんとしては、プロデューサーさんも一緒に飲みたかったんじゃありません?」
菜々「なっ……いや、ダメですよ、今日は女子会ですし、その、ウサミン星は男子禁制ですっ!」
ちひろ(わかりやすいなあ……)グビグビ
ちひろ「ま、プロデューサーさんも俺のことは気にせず楽しめ、って言ってましたからね」
菜々「そ、そうですそうです! 女の子だけでしかできない話も、いろいろありますしね!」
菜々「ほら、せっかく作った料理も冷めちゃいますし、ね?」
ちひろ「それじゃあ、いただきまーす……あ、これおいしいですね」モグモグ
菜々「えへへ、ありがとうございます。そんなに手間暇かけてないんですけどね」モグモグ
ちひろ「あれ、そうなんですか?」
菜々「一人暮らしが長いと、時短レシピばっかり身についちゃって……あはは」
菜々「フライパンに敷き詰めたもやしを豚バラで覆って、卵を落として蒸すだけですからねー」
ちひろ「なるほど……今度、レシピとか教えてもらっていいですか?」
菜々「構いませんよー。ちひろさんって、あんまりお料理とか普段しない方ですか?」
ちひろ「そうですね……お菓子作りとかはしますし、オフの日は料理サイトとか見て作ることもありますけど」
ちひろ「事務所にいる時間が長いですから、外食中食に落ち着きがちで」
菜々「ナナもそんな感じですけどね。響子ちゃんほど、しっかり家事はしてないです」
ちひろ「お料理本も出ましたからね、響子ちゃん……さすがに、お酒の肴までは載ってませんでしたけど」
菜々「ナナは、デビューしてから居酒屋とか行けなくなっちゃったので」
菜々「家で一人で飲むとき用に、居酒屋メニュー研究するようになっちゃって……」モグモグ
ちひろ「もつ煮込みって、家で作れるものなんですね……おいし」モグモグ
菜々「大量に作るわけにもいかないですし、結構高くついちゃいますけどね」
ちひろ「……菜々さん、結婚して私に毎晩ご飯作ってくれませんか?」
菜々「ちひろさんが毎朝起こしてくれるなら、ナナも結婚したいです……あれ、ビールビール……」
ちひろ「取ってきましょうか? いつものとこに入ってますよね?」
菜々「あ、ナナが行きますよー。ついでに冷やしてた枝豆も持ってくるので」トテトテ
ちひろ「そういえば菜々さん、パソコン買ったんですね」カシュッ
菜々「そうなんです、奮発しちゃいました……最近は、ネット限定配信の動画とかも多くて」
ちひろ「デレラジも、ネットラジオですしね……やっぱり、見るのはアニメですか?」
菜々「そうですね。例えば、えっと……これとか、ちひろさんでも分かるかと」
ちひろ「えっ? これ、前のやつそのままとかじゃなくて、新作ってことですか?」
菜々「そうですよー。ももクロさんが主題歌出すはずです、メッセージと同日で」
ちひろ「わー、懐かしい……私、亜美ちゃん好きだったんですよね」
菜々「あー、確かに好きそう……ナナは美奈子ちゃんでした」
ちひろ「菜々さん、これには出演しないんですか?」
菜々「プロデューサーさんにも言われましたし、悩みましたけど……なんか、思い入れが強すぎて」
ちひろ「なるほど……じゃあ、千佳ちゃんの魔法少女が結構人気でしたし、続編出たらどうですか?」
菜々「魔法モノの時の、妖精さんみたいな役ですかね? メインで千佳ちゃんと体張るのはちょっと……」
ちひろ「前期は確か、アイドルアニメに出たんですよね?」
菜々「さすがにモブ役でしたけどね。ライブシーンがぬるぬる動いてて、すごい作品でした」
ちひろ「うちの事務所でも、結構見てた子多いみたいですよ? アイドルとして気になるとこもあるみたいで」
菜々「奈緒ちゃんには、あたしも出たかったって言われましたねー。凛ちゃんって子がお気に入りらしいです」
ちひろ「あ、それでですか」
ちひろ「この間、『凛ちゃんがさー、最後にかわいいスカート履いてさ……』って、聞いてる凛ちゃんが怪訝な顔してましたね」
菜々「ああ……確かに、うちの凛ちゃんとは180度違うタイプの子ですし、困惑するかも」
ちひろ「アニメ、あんまり見れないんですよね……」グビッ
菜々「分かります。ナナももー大変ですよ……気になるアニメ見て、事務所の子の出てる番組見て……」グビッ
ちひろ「気が付くと、ハードディスクいっぱいになっちゃいますよね……嬉しい悲鳴ですけど」
菜々「仕事があるって、幸せですよね……あ、お酒取ってきます」
ちひろ「……菜々さん、大丈夫ですか? 今日だいぶペース早いですけど」
菜々「まだまだいけますよぉ……! ナナはまだ、ぴっちぴちのにじゅ……17歳ですから!」
ちひろ「17歳が私と宅飲みしちゃダメですよー?」
菜々「うぅ、ちひろさんのいけずぅ……いいです、実家から送られてきた日本酒開けますから」
ちひろ(ダメそうですね……)
菜々「アイドルは好きですけど……ときどき、年齢のこと考えると辛くなるんですよぉ」
菜々「ナナのことを信じる純粋な目も、ナナを疑うジト目もつらい時があるんです! ナナは17歳です!」
菜々「……ファンの皆さんの『そうだね、わかってるわかってる』みたいな空気も、ちょっと寂しいです……」
菜々「それで……ちひろさん、気になる人とかいないんですか?」グビッ
ちひろ「唐突すぎませんか……今はあんまり、恋愛って気分でもないですからね」
菜々「ダメですよー、そんなこと言ってると、あっという間にアラサーなんですから……」
ちひろ「ええと……ほら、アイドルの子たちがいる職場で、自分だけ恋愛にうつつを抜かすのもな、と」
菜々「むー、ズルいですねそのテンプレ回答は……」
ちひろ「ほんとですってば、今はアイドルが好きだからそれでいいんですー」
菜々「……ここだけの話、結構ちひろさんのこといいな、って言ってるプロデューサーさんいますよ?」
ちひろ「それ、具体的に誰の……あー、やっぱりいいです、私は何も聞いてないです」
ちひろ「自惚れでなくアイドルの子達に信頼されてるのは知ってますから、そっちの信頼関係壊したくはないです」
菜々「……ちひろさんのそういうとこ、好きですよナナは」
ちひろ「私もナナさんのこと、好きですよ?」
菜々「ズルいですね、ちひろさんはほんとにもう……」
菜々「ちひろさん、学生時代からモテてそうですもんねー」
ちひろ「そんなことありませんってば」
菜々「じゃあ処女ですか」
ちひろ「おっさんですか!」
菜々「いいですよー、ナナはどうせおばさんですから……」
ちひろ「ああもう、志乃さんとかが聞いたら怒りますよ」
菜々「恋愛かあ……高校の時にでも、しておけばよかったかなあ……」
ちひろ「……」ナデナデ
菜々「あー、ダメですそれ、好きになっちゃいます」
ちひろ「今日は一緒に寝ましょうね、菜々さん」
菜々「ふえぇ……」
菜々「はぁ、つら……電話しよ……」
ちひろ「えっ」
ケータイトリダシポパピプペー
菜々「デートしてくれま・す・か?」
P『……土曜日は2日後だ』
菜々「えへへー、プロデューサーさんだあ……お仕事がんばってますかー?」
P『だいぶ酔ってるなおい……そろそろ終わらせて帰るよ』
菜々「がんばれ?がんばれ?」
P『……明日、二日酔いになってないだろうな……?』
菜々「プロデューサーさんはぁ……ナナの、運命の人なんですよぉ……」
菜々「ナナのいる世界は、プロデューサーさんに出会って変わったんです……」
菜々「こんなナナに、プロデューサーさんは魔法をかけてくれたんです……」
菜々「ナナは……ナナは、うぅ……プロデューサーざんの、おかげで、ごごまで……がんっ、がんばっで……」
P『あーほらもう、電話で泣くなよ……俺も、菜々のプロデューサーができてよかったよ』
菜々「ぐすっ、うぅ……ナナは、プロデューサーさんのことが、大好きです」
菜々「同じぐらい、アイドルのお仕事も大好きで……でも、男女としても、運命の人だって、思ってます」
菜々「もし……トップアイドルになって、そのときもまだ、ナナが17歳だったら」
菜々「そのときは……ナナ、プロデューサーさんに、好き、って……デートしてください、って……」
P『……』
ちひろ「……」
菜々「んぅ……すぅ……プロデューサーさん……えへへ……ん……」
ちひろ「……あ、もしもしプロデューサーさん。ちひろです」
P『……寝ましたか』
ちひろ「ええ……その、すいません。居合わせちゃって」
P『それはいいんですが、そうですね……他言無用でお願いします、菜々本人にも』
ちひろ「いいんですか?」
P『酔った勢いで、なんて本人も納得しないでしょうし、起きても覚えてないでしょうから』
P『どうせ、一番上の景色見せたら、その時に俺の口から言うべき話ですからね』
ちひろ「…………分かりました。お仕事お疲れ様です、プロデューサーさん」
ちひろ「菜々さん、とってもかわいい寝顔ですけどどうします?」
P『あとで転送お願いします。スタドリとセットにでもしていただければ』
ちひろ「了解です。期待しててくださいね」
P『はい。じゃあ、明日もよろしくおねがいしますね、ちひろさん』
ちひろ「おやすみなさい、プロデューサーさん」
ツー、ツー……
ちひろ「……妬けちゃいますね、どうにも」カシャッ
終わりです
スペイべが天使すぎたので慌てて酒飲みながら書きました、あとやち天
メッセージのドラマCDも今から楽しみ
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