海未「ヨコハマ恐竜展、ですか?」 (38)

穂乃果「そうだよ! パシフィコ横浜でやってるんだって! 行こうよ、海未ちゃん!」

海未「わたしたちにそんな余裕はありませんよ、練習はどうするんですか?」

穂乃果「おねがい! 海未ちゃん」ウルウル

海未「ドキッ……しょうがないですね、付き合いましょう」

穂乃果「わぁい! 海未ちゃん大好き!」

海未(穂乃果のこんな顔が見れるのであればなんでもしますよ)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406197403

穂乃果「というわけでやってきました! パシフィコ横浜」

海未「東急東横線のみなとみらい駅を出たらすぐですね」

穂乃果「さぁ! 恐竜さんに会いに行くぞ!」

海未「中学生以上は一人1800円のようですね」

穂乃果「ううぅ……、けっこうな出費……」

海未「ほんものの化石を見れるならば、妥当な値段ですよ」

穂乃果「さあ! 恐竜さんのところに行くよ!」ダダッ

海未「穂乃果、まってください」グッ

穂乃果「早く行こうよ~」ププー

海未「あなたは博物展の醍醐味を忘れています。まずは解説を読まないといけないでしょう」

穂乃果「そうだね、1800円分取り戻さなきゃ! えーと、なになに『科学とは何か?』」

海未「どうやら、古生物学が科学であるためにどうであるべきか書いてるようですね」

穂乃果「ほのか、難しくてわかんないや」

海未「まとめると、『反証』と『物的証拠』が大事だということですね。化石などの物的な証拠により、間違っているとされなかった仮説が有力な説になるということです」

穂乃果「科学というものは、証拠によって仮説が支持されるというよりも、たくさんある仮説が証拠により否定されていくというほうが正しいということかな?」

海未「ふむふむ……、なっ、なんと、鳥は恐竜だったんですか!」

穂乃果「えっ! ことりちゃんが!?」

海未「……なにをいってるんですか、ちがいますよ。ここを見てください」グイ

穂乃果「えっと、『恐竜は鳥類型恐竜と非鳥類型恐竜に大きく分けられる』……、えっえー!!」

海未「どうやら、鳥は恐竜の直系の子孫らしいですね」

穂乃果「それじゃあ、毎日恐竜を食べているってこと!? うわーすごいなあ!」

穂乃果「さぁて、さっそく恐竜とご対面だー」

トリケラトプスズラー

穂乃果「うわあ、圧巻だよー」

海未「有名な草食恐竜、トリケラトプスですね。頭蓋骨が並んでいます」

穂乃果「赤ちゃんからおじいちゃんまで全員集合だねっ!」

海未「しかし、このおじいちゃんトリケラトプス、襟巻きに穴が空いてますね」

穂乃果「これじゃあ戦うのに不利だね」

海未「穂乃果、ここにトリケラトプスの襟巻きと角は戦うためのものではなかったと書いてますよ」

穂乃果「えー、トリケラトプスとティラノサウルスが戦う映画、小さい頃見たことあるよー」

海未「科学は日夜変化をするのです。どうやら、襟巻きと角は互いが同じ種であることを確かめるためにあるものだという説が有力らしいですね」

穂乃果「それにしては大げさだねー」

グォー!!

穂乃果「あれ? 向こうからなにか聞こえるよ?」

穂乃果「うわぁ! 本物のトリケラトプス!?」

海未「(!!まさか、穂乃果を襲おうと!?) 穂乃果、下がっていてください!……ここはわたしが……」

バリツ!

バリーンバリーンドヒャーンガラガラ!

穂乃果「うわー海未ちゃんすごい! トリケラトプスが真っ二つだよ!」

海未「祖父から伝えられていた秘伝の技があったおかげで助かりました……ってなんでですかぁぁあああ!」

穂乃果「どっ、どしたの海未ちゃん!?」

海未「穂乃果! なにが『本物のトリケラトプス』ですか! よく見てください!」

穂乃果「う、うーん。これはトリケラトプス……のロボットだね」

海未「人騒がせな、これを弁償するのに一体いくらかかると思って……」

穂乃果「ウ、ウェーン。だって、怖かったんだもん……ウルウル」ダキッ

海未「カッ/// そっ、それならばしかたないですね。騒ぎにならないうちに、次にいきますよ」

穂乃果「(チョロイぜ)」

穂乃果「次はパキケファロサウルスのコーナーだね」

海未「トリケラトプスと比べてマイナーですが、頭がヘルメットのような面白い恐竜ですね」

穂乃果「知ってる! 映画で見たよ! 敵に対して体当たりで攻撃するんだよね!」

海未「いえ、どうやら頭蓋骨の構造から、衝撃に耐えられるとは思えないと書いてますね」

穂乃果「えぇえ!? じゃあ、この丸っこいハゲ頭はなんのために!?」

海未「わからないらしいですね。今後の調査を待つしかなさそうです」

穂乃果「えー、気になるなぁー」

パキケファロサウルスの復元図
http://club.pep.ne.jp/~arooaroo/pachycephalosaurus.html

(ここで、少し時間を遡る)

アルセーヌ「ふふふふ、世界最大級のティラノサウルス・レックス化石、わたしがいただきますわ」

アルセーヌ「まずは、観客に変装して……」

バリツ!

アルセーヌ「ん? なんでしょうか!?」

海未「祖父から伝えられていた秘伝の技があったおかげで助かりました……ってなんでですかぁぁあああ!」

アルセーヌ「あの声は!? 姿は違えどシャーロックに違いありませんわ! なるほど、面白いことになってまいりましたね!」

アルセーヌ「これは、わたくしに対する挑戦に違いありませんわ! それならば、こちらから」タッタッタ

アルセーヌ(男装)「こんにちはお嬢さん、さっきこれを落としましたよ」

穂乃果「そうですか! ありが……」

海未「サッ、ありがとうございました。それでは」

穂乃果「海未ちゃんそっけなさすぎっ」

海未「穂乃果も穂乃果です。ああいう不審者に近づいてはいけませんよ。この『落し物』だって怪しいです……んっ?」

穂乃果「どうしたの?」

海未「予告状……三分後にティラノサウルス頭蓋骨化石をちょうだいいたしまする??? なんですかこれは?」

穂乃果「とかいってるうちにティラノサウルスのコーナーに来たよ!」

穂乃果「ティラノといったら最強の肉食恐竜だよね!」

海未「いえ、ここにはハンターというより、ハイエナのような腐肉を食べるスカベンジャーであったと書いていますが…」

穂乃果「そんなぁ~、わたしの強いティラノのイメージがぁああ……」

アルセーヌ「ふふふふ、こうしていればシャーロックがわたくしを捕まえてくれるはずですわ」

アルセーヌ「逃げるわたし、でも、シャーロックに押さえつけられてっ、手錠をかけられてっ、その体を無理矢理っ、ああ!」ビクビク///

海未「そしてこれが展覧会の目玉、世界最大のT-レックス化石ですね」

穂乃果「うーん、腐った肉を食べていたと聞いたあとにはいまいちありがたさがないなー」

アルセーヌ「ビクビク///グチュグチュ、ハァハァ。シャ、シャーロック、はやくわたくしを捕まえて……」

海未「(はっ、さっきの不審者ですね!)穂乃果、早く行きましょう」

穂乃果「えっ、でももっと見てみたいよ」

海未「ほらっ、実物大のティラノロボットがありますよ!」

穂乃果「ほんとだーすごいーおおきーい!」

アルセーヌ「エッ、わたくしを無視して……ガッ、ガーン」

アルセーヌ「ぐ、ぐわぁぁあああ。ひょっとして、シャーロックに嫌われて……」

アルセーヌ「も、もう生きていけませんわ……、わたくしはどうすれば……」

グググググググググググ!

アルセーヌ「はっ、いけない、トイズが暴走して……!」

グァァァァアァァァァァァァァァン!



穂乃果「すごいよ!大きいよ! ん?どしたの海未ちゃん?」

海未「穂乃果、怖くないのですか?」ガタガタ

穂乃果「あははは、海未ちゃん意外に怖がり?」ヨシヨシ

海未「(穂乃果に守られるというのもいいですね)」


グァァァァアァァァァァァァァァン!

海未「あれっ? おかしいですね」

穂乃果「どしたの? 海未ちゃん」

ティラノ「ギャオオオオ!」

海未「ティラノロボットですが、足が固定されているはずなのにこちらに歩いてきます」

穂乃果「ほんとだ! 科学の力ってすごいだねー」

海未「いえっ、これはもしかしてロボットではなくて……」

ティラノ「パクッムシャムシャ」

トゥエンティ「アァ! 美しい僕は恐竜にも食べられる! なんて罪深いんだ!」グシャプシュー

海未「ほんものですぅぅぅぅうううう!」


穂乃果「わぁ! すごい! 生きてるよ!」

海未「穂乃果、ここは逃げましょう!」

穂乃果「えっ? でもティラノサウルスはスカベンジャーなんでしょ、よほど近くにいない限り、襲ってこないよ」

海未「それもそうですね」

穂乃果「赤ちゃんティラノもかわいいー」

海未「赤ちゃん……はっ! ダメです穂乃果!!」

穂乃果「えっ!?」

海未「大人のティラノサウルスはスカベンジャーですが、子供のティラノサウルスは食性が違い、生きた獲物を食べるハンターなのです!」

ベイビーティラノ「ガブッ」

穂乃果「痛いぃぃいいいいい!!!」

穂乃果「痛い! 痛い! 片手かじられちゃったよう!」

海未「穂乃果!? 大丈夫です、いま止血します!」アムッ、ペロペロペロ

穂乃果「ウェーン、人差し指と親指がなくなっちゃったよ! スクフェスできないよ!」

海未「大丈夫です、わたしの指を移植しましょう」

穂乃果「そんな……悪いよぉ」

海未「幼馴染でしょう、当たり前ですよ(ハァハァ、穂乃果の細胞とわたしの細胞が合体///)」

穂乃果「ううー、海未ちゃん///」

海未「それよりも、問題はこのいまいましい爬虫類です!」

ベイビーティラノ「ギャォー!」

海未「(さいわい、学校の帰りだったので弓はケースに入っています)」

海未「(しかし、それを取り出している間、やつに飛びかかられたら終わり)」

海未「(おまけに穂乃果は手傷を負ってます)」

常人であれば、ここはいったん引き下がるであろう。だが彼女は違った! なんと、逆にティラノサウルスのほうへ向かっていったのだ!

海未「シュートじゃないけどラブアローシュートぉぉおおお!」(腹パン

ベイビーティラノ「キェェェェエェッェェェッェェェ!」

ナレーター「このとき! 奇跡的な出来事が起こった! 海未が放った腹パンにより、ティラノサウルスのツボが活性化し、通常の三兆倍の速さで進化しはじめたのだ!」

穂乃果「あれ? ティラノが小さくなって」

海未「羽が生えて」

穂乃果・海未「ことり(ちゃん)になったぁ!?」

ことり「チュンチュン」

ことり「ごめんみんな、黙っていたけど、わたし、人間じゃないの」

穂乃果・海未「へっ!?」

ことり「ほんとうはね、わたし、恐竜人類なの。真の地球の支配者になるはずだった生物」

ことり「でも六千五百万年前に、地球の進化を監視していたはずの宇宙人製コンピュータが発狂して、恐竜を絶滅させてしまった。そして計画外の存在としていまの人間たちが生まれたの」

ことり「人間たちの伝承に『天使』というものがあるでしょ、あれは恐竜人類を表しているの。真に訪れるはずだった世界からの情報」

ことり「でも、もうおしまい。すべての現生人間は絶滅して、恐竜の直径子孫である鳥類が地球を支配するの」

海未「そんなことはさせません! たとえ計画外の存在だとしても、わたしたちがここにいることは誰にも否定できません!」

穂乃果「ことりちゃん、もうこんなことやめよう! 元に戻って!」

ことり「そう……あくまでたてつくのね……、これも人間のサガか……」

そして、人類を賭けた最後の戦いがはじまった! ことりは元に戻るのか!? 海未と穂乃果の愛が地球を救うと信じて!

シャロ「っていう夢を見たんですよー」

ネロ「ハハハ、おかしな夢だなー」

エリー「アルセーヌとシャロがカッ///」

コーデリア「さぁっ! そろそろ時間よ! ぐずぐずしている暇はないわ!」

シャロ「そうですね! 水やりをしなきゃなりませんね! 農業オペラミルキィファームズ出動です!」

終わり

ヨコハマ恐竜展に行ったので勢いで初SS書きました。
当初は海未と穂乃果が恐竜の解説を延々とする予定でしたが、なぜかこんなことになってしまいました。
恐竜展は八月二十八日までやってます。色々学説が変わっていて驚きました。映画一本分くらいの金は出す価値あると思います。

それでは、ミルキィホームズ第四期があることを願ってさようなら

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom