みく「ニュージェネレーション」 (62)
注意
※設定等の変化
※コレジャナイ感
※まったり不定期更新
以上の3点を踏まえてお読みください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368955454
みく「みんな、元気かにゃー?」
<みっくにゃーん!
みく「みくはとーっても元気だよっ! だから早速1曲いっちゃうにゃー!」
みく「準備はもうできてるでしょ! いっくにゃー!」
<ワァァァァ!
〜〜〜〜〜
みく「今日はみんなありがとう! 小さいステージだけど、みく、これだけ来てくれて感激だにゃ!」
みく「残念だけどアンコールとかはないにゃ! みんな、本当にありがとう! じゃーねー!」
<じゃーねー!
みく(……ふぅ、なんとか終わった)
—————
キーンコーンカーンコーン
みく(今日は……レッスンだったかな。遅れないようにしなきゃ……)
女生徒「前川さん!」
みく「何?」
女生徒「アイドルやってたんだね! この前のミニLIVE見たよ、とってもかわいかった!」
みく「えっ、み、見てたの……?」
女生徒「うん、学校と印象すっごく違うんだね。噂では聞いてたけど猫娘系アイドルっていいねー」
女生徒「皆みくにゃんって言ってたから私もみくにゃんって言っていい?」
みく「あ、あぅ……そ、その……学校でみくにゃんは……その……」
女生徒「ダメなの?」
みく「だ、だって恥ずかしいし……」カァァァァ
女生徒「ライブではあんなににゃーにゃーはしゃいでるのにー」
みく「と、とにかく……恥ずかしいのっ……!」
女生徒「あはは、前川さんはかわいいなぁ」
みく「……もう」
ルキトレ「今日はここまでです、お疲れ様ですよ」
みく「お疲れ様にゃー……」
ルキトレ「動きはバッチリですね!」
みく「そうかにゃ? みくは特別だしにゃー。でも、褒められると嬉しいにゃ!」
ルキトレ「前川さんの歳でセルフプロデュースして、きちんとしたレッスンも受けるアイドルってそうそう居ないと思いますよ」
みく「大変だけど、みくは頑張ってるよ!」
ルキトレ「見習いたいですねー」
みく(ふぅ、今日もレッスン疲れたなぁ……早く帰ってゆっくりしよっと)
ルキトレ「あ、もうすぐ次の子達が来るから、なるべく早く帰った方がいいですよ」
みく「トレーナーさんありがとうにゃ、じゃあ、また今度お願いしま——」
ガチャ
未央「今日もレッスンやっていこー!」
卯月「み、未央ちゃん、早すぎるよ。まだ人居るよ?」
みく「だ、大丈夫だよ? 今終わったところだにゃ!」
凛「……前川みく?」
みく「にゃっ? そこの子はみくの名前を知ってるかにゃ?」
凛「う、うん」
みく「ふーむ……レッスン場に見たことない人がここに来るってことはー……3人はアイドル候補生かにゃ?」
未央「そうだよ! えっと……前川さん? はアイドルなのかな」
凛「アイドルだよ、ここらへんだとちょっと有名だし」
卯月「し、知らなかった……」
みく「知らない事は知らないで当然にゃ! みんなはアイドル候補生から抜け出すためにも、レッスン頑張るといいにゃ」
凛「言われなくてもそうするよ」
みく「にゃはは、当然だったかにゃ? それじゃ、じゃーねー♪」
みく(初めて見たから、候補生の中でも新人さん……かな? どこの事務所なんだろう……)
凛「……」
未央「猫系アイドル?」
凛「うん、よくにゃーにゃー言ってるよ。LIVEも」
卯月「凛ちゃん、前川さんの事結構知ってるんだね」
凛「……ちょっとね」
未央「前川さんと関係でもあるのかなー? そうだったら是非聞きたいんだけど」
凛「そういうのじゃないけど、まぁ……また今度ね」
未央「あっ、逃げるつもり? 言いたくないならあまり問わないけどさー」
卯月「うー、気になるー」
未央「ねね、本当にダメ?」
凛「うーん……また今度、絶対に言うから。それで許して」
未央「……しょーがないなー。じゃあ、レッスン頑張ろうか!」
—————
みく「ふぅ、宿題終わった。……雑誌、読もっかな」
みく「……」ペラリ
みく「やっぱりセルフプロデュースだと、地元ぐらいでしか話題にならないかな……」
みく「この前見た子は載ってるかな?」
みく「……」ペラリペラリ
みく「流石に載ってないかな……うん」
みく「……仲良さそうだったなぁ。いいなぁ」
みく「みくもああやってグループでやってみたいなぁ……」
凛「仕事って面倒なんだね」
P「まぁ、そういうものだしな」
P「……」キョロキョロ
凛「どうしたの、プロデューサー」
P「いや、スカウトできそうな子はいないかなーって」
凛「……私の時みたいにまた行き成り話しかけてくるの?」
P「だってそれぐらいしか無いじゃん?」
凛(事務所なんだから募集とかすればいいのに)
P「……お、あの子、いいかも。ちょっと行ってくる」
凛「え、どの子……っ!?」
P「すみません、ちょっといいですか?」
みく「えっ、えっ?」
凛「え、あれって……みくちゃん? あ……プロデューサーっ!」
P「え、な、なんだ?」
みく(あ、あの時の子だ……口調変えなきゃ)
凛「ちょっと来て!」ガシッ グイッ
P「いてて、分かった分かった!」
みく(あれ?)
凛(プロデューサー、あの子前川みくだよ。知らないの?)ヒソヒソ
P(前川みく……? あ、ああ! ア、アイドルの……だよな?)ヒソヒソ
凛(そうに決まってるでしょ、どこの事務所か分からないけど、もし所属していたとしたら……)
P(そ、そういうことか! 危ない……大変な事しそうだった……)
みく「ど、どうしたんだにゃ?」
P「……な、なんでもないです」
凛「ったく……あの時以来だね、前川さん」
みく「みくでいいにゃ! そうだにゃぁ……あの時から結構経ってるけど、レッスンは順調かにゃ?」
凛「うん、とても順調かな」
みく「それはよかったにゃー」
P「えーっと……前川さん。俺、アイドルのプロデューサーなんだけど知らなかったよ……ごめんなさい」
みく「別に気にしなくていいにゃ。プロデューサーさんということは凛ちゃんは事務所所属なのかにゃ?」
凛「うん、シンデレラガールズ(CG)プロダクションっていうところ」
みく「聞いたことないにゃぁ……」
P「はは……まだ小さいからね。前川さんの方はどうなの? どこ所属?」
みく「みく? みくは……」
みく(あれ……もしかして、さっきのってスカウトっていうことなのかな?)
みく(だったら、みくもこの子達と一緒にやれるかもしれない。こっちから仕掛けてみよう)
みく「にゃはは、実はみくはセルフプロデュースしてるんだにゃ。活動はしてるけど、フリーってやつにゃ!」
凛「セルフプロデュース……? 私と同い年なのに、みくは凄いんだね」
凛(セルフプロデュースでLIVEとかできるんだ。本当に凄いなぁ……)
P「凛と同い年!? わ、若いのに頑張ってるんだなぁ」
みく「照れるにゃあ」
凛(……プロデューサー、さっきは止めたけど誘ってみたらどう?)
P(そうだな、セルフプロデュースしてるよりも、うちの事務所に所属すれば前川さんも楽だろうし……よし)
P「そうだ、前川さん。もしフリーだったとしたら、うちの事務所に所属してみないか?」
みく(来た……!)
みく「本当かにゃ? 複雑な手続きは苦手だけど……本当にいいのかにゃ?」
P「むしろこっちからお願いしたいぐらいだ」
みく「じゃあ、決まったにゃ。みく、事務所に入るにゃー♪」
P「本当か? ありがとう!」
みく(やった……これで誰かと一緒にレッスンできたりするかな? 楽しみだなぁ……♪)
みく「そういえば、みくだけ名前教えて、そっちの名前全く知らないにゃ」
凛「あ、ごめん。私は渋谷凛」
P「Pだ、よろしく頼む」
みく「よろしくにゃー!」
今日はここまで
はい、本スレのネタで見かけた前川さんネタです。書きたかったので書こうと思いました!
まったりとやっていきますので、よろしくお願いします
みく「おおー……本当に小さい事務所なんだにゃ」
P「はは……これから大きくなるさ。レッスンで会ったことあるってことは、他の2人も知ってるのかな?」
凛「うん、顔合わせはしてるよ」
みく「名前は知らないけどにゃー」
P「お、居た居た。おーい、未央ー、卯月ー」
未央「ん、なーにプロデュ……あれ、知らない人? って、前川さんじゃん!」
卯月「あ、本当だ。こんにちはー、前川さん」
みく「みくって呼んでいいにゃ!」
未央「じゃあ、遠慮無く呼ばせてもらうね。いきなりだけど、みくはどうしてこの事務所に来てるのかな?」
P「俺がスカウトした」
卯月「えっ、別の事務所の子じゃないんですか?」
みく「活動はしてるけどフリーなんだにゃー」
未央「もしかしてセルフプロデュース? 噂では聞いてたけど本当にやってる人いるんだ」
みく「にゃはは……でも、これから楽になるんだにゃー」
卯月「ということは、みくちゃんもこの事務所所属になるんだ」
みく「そういうことっ!」
凛「じゃあ、みくは私達の先輩ってことになるね」
未央「あ、そっか。アイドル暦はみくの方が断然長いから……みく先輩?」
みく「そ、そんな事言わなくてもいいんだよ? みくは15だし、今この事務所じゃ一番の新入りだにゃ」
未央「私と同い年だ!」
卯月「……と、年下だったんだ……ってきり同い年ぐらいかと……」
凛「卯月だけ17だね」
P「人生の先輩だな」
未央「卯月先輩!」
卯月「それ最初の時やったよね未央ちゃん!?」
みく「にゃははは」
みく(やばいかも……楽しすぎてにやけちゃう……)ニヤニヤ
みく「えーっと、凛チャンと卯月チャンと未央チャンと……」
みく(プロデューサーチャン……は何か違うな……ぴ、Pチャンかな)
みく「それとPチャンだにゃ」
凛「Pチャン……あー、プロデューサーの頭文字Pから?」
みく「そうだにゃ、プロデューサーチャンよりもPチャンの方がいいと思うでしょ?」
みく(個人的にはどうかと思うけど……)
未央「Pチャン……ほほう、確かに」
みく(いいんだ!?)
P「未央に言われると違和感が凄いな」
卯月「あはは、みくちゃんだからこその呼び方だね」
みく「……ふふ、ふふっ」
みく「今日は楽しかったなぁ……今度からもっと楽しくなるのかな」
みく「凛ちゃんと未央ちゃんと卯月さんか……」
みく「凛ちゃんの方は、どこかで見たことあるような気がするような……うーん、気のせいかな?」
みく「まぁ、いいか……」
みく(……Pチャンってどうなんだろう、そのままでいいのかな)
—————
みく「う、お母さんお弁当にお魚入れてる……食べれないって言ってるのに」
女生徒「みくにゃん、猫系アイドルなのに?」
みく「そ、それは関係無い……あとみくにゃんはやめてって……!」
女生徒「猫はお魚さん好きでしょ」
みく「みくは猫は好きだけどお魚は嫌いだよ……」
女生徒「ほ、本当に食べれないの?」
みく「うん……食べようとはしてるんだけど、どうしても」
女生徒「……アレルギーとか?」
みく「……単純に嫌い」
女生徒「努力しようよ」
みく「努力してこれだよ……」
みく「今日は皆とレッスンだぞー!」
卯月「楽しそうだね、みくちゃん」
みく「にゃふふ、今までずっと1人でレッスンだったからにゃ、楽しみなんだにゃー♪」
凛「そうなんだ」
未央「みくはどんなレッスンしてたのかなー」
みく「今日のレッスンの担当はみくがレッスンしてた時の人と一緒らしいし、そこで教えるにゃ。結構大変だよ?」
卯月「大変でも頑張るよ」
みく「あ、トレーナーさんだにゃ!」
ルキトレ「こんにちはー。前川さん、そこの事務所に所属したんですね」
みく「そうだにゃ、だから今日はみくが受けてたレッスンでお願いしてもいいかにゃ?」
ルキトレ「……ふふ、そういうことですか。分かりました! ちょーっと厳しいですけど、そういうのも偶には必要ですしね!」
未央「……しぶりん、なんか嫌な予感がするんだけど」
凛「……うん、なんかそう思う」
ルキトレ「じゃあ、まずはボイスレッスンからしましょうか! いつもより厳しくいきますよー」
卯月「が、頑張りますっ!」
—————
卯月「……」グデー
未央「……つ、疲れ……た……」グデー
凛「はぁ……はぁ……」グデー
みく「みくも疲れたにゃぁ……」
ルキトレ「まだ3人には辛かったですかね」
未央「い、いつもこんなことしてるんだ……」
みく「体力作りもアイドルの基本だぞ。歌、踊り、LIVEでは一緒にやるから絶対必要だにゃー」
みく(アイドルやり始めてから体育の評価が着々と上がっていくし……)
凛「……みくは凄いなぁ、本当に先輩っていうか、そんな感じがする」
みく「でも凛ちゃん達も凄いにゃ、まだレッスンやり始めてからさほど経ってないよね?」
卯月「……そうだね、まだ2ヶ月経ったっていうぐらいかな?」
みく(2ヶ月経ったぐらいでって……みく、このレッスン最後まで終わらせれたの5ヶ月目ぐらいからなのに……)
ルキトレ「それで何とか追いつけるっていうのもまた凄いですね……」
みく「にゃはは……絶対3人はいいアイドルになるにゃ!」
みく(ま、負けてられないかも)
卯月「……ひーん、宿題がぁ。凛ちゃーん……」カリカリ
凛「ごめんね、卯月。私、高校の問題は全然分からないから……」
未央「やっほーしぶりーん。……あれ、みくは?」
凛「プロデューサーとお仕事」
未央「そっか、今居ないんだ」
凛「ところで、何?」
未央「そうそう、この前言ってたみくを知ってることについてだけど」
凛「あれの事?」
未央「そろそろ話してもらおうかなって、丁度みくも居ないし言いやすいんじゃない?」
卯月「私もずっと気になってたかも」カリカリ
凛「……分かった」
凛「実は私、みくのファンなんだ」
未央「なんとっ!?」
卯月「ええっ!?」ベキッ
卯月「ああっ、シャープペンの芯が!?」
凛「同い年で凄いなって思いながら見てたから、愛着あって」
凛「ミニLIVEとかも見に行ったりしたかな、あとラジオも細々とやってるって聞いたから、ちょっと聞いて……」
凛「スカウトされた時、アイドルやってみようかなって考えたのも、みくみたいに私もできるかなって思ったのも少し関係してるし」
未央「ってかそれ、しぶりん結構なファンじゃん!?」
卯月「じゃあ、みくちゃんがこの事務所に来て嬉しかったりする?」
凛「もちろん。だって好きなアイドルと同じ事務所で一緒に活動できるって、嬉しくないはずがないでしょ」
未央「なるほどねぇ……でも意外だなぁ。しぶりんってスカウトされるまでアイドルに興味無かったとかっていう印象なんだもん」
卯月「そうだね、本当に意外っていうか」
凛「……そういうイメージだったんだ」
卯月「クールな感じだから、あまり興味あるもの無いっていう感じだったかな?」
未央「そうそう、それそれ。……ふーむ、LIVEまで見てたって事はみくの方は気づいてるのかなー」
凛「たぶん分からないかも、LIVEじゃ隅の方でしか見てないから」
卯月「そうなんだ」
凛「とりあえず、そんな感じかな」
未央「しぶりんとみくの関係はそういうことだったんだ。そりゃみくの事知ってるのが普通だねぇー」
卯月「本当に良かったね、プロデューサーさんがみくちゃんスカウトして」
凛「うん」
今日はここまで
設定とか色々とアレですが、楽しんでいただければ幸いです
ワイワイガヤガヤ
みく(ここはいつも混んでるなぁ)
みく(今日はオフだし……本屋で何か探そうかな?)
みく「……」テクテクテク
未央「……むっ、しぶりんしぶりん、あれってみくじゃない?」
凛「え、どこ?」
未央「ほらほら、あそこ」
卯月「あ、みくちゃんだ。今日はオフだったんだよね?」
凛「うん、確かそうだった」
P「お前ら、今は一応仕事中なんだが……」
未央「雑誌の撮影もう終わったから今日は無いでしょ!」
卯月「丁度お昼時ですね」
凛「どっちにしても、休憩だね」
P「……まぁ、そうだけどさ」
未央「プロデューサーだってみくがどこ行くか気にならない?」
P「気にはなる、ただ、俺がやったらストーカーだろ」
卯月「そ、そうですね……」
P「……頼むからちょっとだけでも否定はしてくれないか?」
未央「実際にやったらって思うと完全にねぇ……」
卯月「う、うん」
P「……男性ってのは辛いな」
みく「……」テクテクテク
未央「あ、見失っちゃう。早く早く」
P「お、おい、急かすなって!」
未央「しーっ、大声出すとバレちゃうよ」
P「ぐぬぬ」
みく「……」
凛「……結構静かだね」
卯月「みくちゃんなら元気で走りそうなイメージだったなー」
P「仕事やLIVE以外で大いに騒がれても事務所としては困るんだが」
みく「……」テクテクテク
未央「ん、本屋に入ったよ?」
P「ほう、みくだから、買うとしたら雑誌だろうな」
凛「ねこの○もちとかかな」
P「そこらへんかな」
未央「私達も突入だー」
卯月「あ、怪しまれないよね?」
—————
みく「……」ペラリペラリ
凛(……的中だった)ヒソヒソ
未央(本当にしぶりんの言った雑誌読んでる)ヒソヒソ
卯月(あっ、未央ちゃん、この服かわいいよね)ヒソヒソ
未央(ん、どれ……あ、本当だ。でもフリルかぁ、普段着としてはもうちょっと控えめでかわいいのが)
P(店ではなるべく静かにな。……しっかし、なんか雰囲気違うというか、そんな感じがしないか?)ヒソヒソ
みく「……あ、アメショー……かわいい」ペラリ
凛(うん、とても落ち着いてるっていうか……)
未央(これは、みくの意外な一面発覚かなー?)
卯月(普段元気一杯なみくちゃんが落ち着いてるなんて……)
みく「……よし」
凛(あ、ヤバい、こっち来た)
P(本棚のコーナーに行くぞ!)
未央(あいあいさー!)
卯月(あっ、ちょっと、まだ雑誌返してな……待ってー!)
みく「……あれ?」
みく(今、卯月ちゃんが見えたような……気のせいかな?)
みく(……気のせいだよね。確かお仕事だったはずだし)
みく「……アッメショー、アッメショー、マンチッカン……♪」ルンルン
P(……スキップしてるな。あ、会計済ませた)ヒソヒソ
未央(次はどこ行くのかな?)ヒソヒソ
卯月「結局買っちゃった。お金払わせちゃってごめんね、プロデューサーさん」
P「800円もしないならはした金だ。別にいいって」
未央「ひゅー、太っ腹だね。この調子でお昼ご飯も——」
P「やったとしてもファミレスの1品だけな」
未央「えー、ケチー」
凛「奢ってもらえる時点で良いと思うんだけど……ところで、みくは?」
未央「……あはは、実は見失っちゃったっていうか……」
卯月「ご、ごめんね、私が雑誌買っちゃったから」
未央「仕方ない仕方ない、それに今丁度みくに会う口実もできたし」
P「ん? 口実?」
未央「そうそう、というわけで……」ピッピッピッ
—————
trrrrr trrrr
みく「あ、未央ちゃんからだ……うんっ、よしっ!」ピッ
—————
未央「やっほー、みく」
みく『未央チャンやっほー! どうしたんだにゃ?』
未央「っ!」
未央「え、えっとね、今さっき仕事終わったんだけどさ、プロデューサーがお昼奢ってくれるらしいんだ!」
みく『えっ、本当?』
P「えっ、おい、まだ本当に奢るとは言ってないぞ!」
みく『……微かにPチャンの声が聞こえたにゃ。でも、いいの?』
未央「いいらしいよ、ほら、プロデューサーもこう言ってるし」
P「いやまだ決まってねぇし!?」
みく『にゃ、にゃはは……とりあえず、みくはお外に出てて今○○に居るよ。未央チャン達は?』
未央「あー、近いよ。△△の近くだから」
みく『じゃあ、すぐそっち向かうにゃー!』
未央「おっけーい、待ってるよー。じゃ、切るねー」
みく『じゃねー♪』
ピッ
未央「……」
凛「どうだった?」
未央「いつものみくなんだけど、さっきの雰囲気と比べると凄い違和感だったかなー……」
卯月「そうだったの?」
P「……それよりも、マジで俺が払うの?」
未央「ここまで来て逃げるのは無しだよっ!」
P「理不尽だな、おい……」
卯月「あ、あはは……ごちになりますっ」
みく「とうちゃーく!」
未央「おお、もう来た!」
みく「Pチャン、凛チャン、卯月チャン、未央チャン、こんにちにゃー」
凛「こんにちは」
卯月「こんにちはー、みくちゃん」
P(……なるほど、あのみく見てからいつものみくを見ると違和感が凄まじいな)
みく「Pチャン?」
P「お、おう、こんにちは……んで、どこ行きたいんだ? ……俺のなけなしの小遣いで、どこで食いたいんだ……?」
未央「ここらへんで高いお店はっと……」ピッピッ
P「[ピーーー]気かっ!?」
みく「そんなのPチャンに悪いにゃ、みくは安いところでで十分だよっ! ……本当に危なかったら割り勘でも構わないにゃ」
凛「そうだね。プロデューサーもなんか厳しいらしいし……私もそうするよ」
P「ああ……天使がいる」
未央「むっ、しぶりんとみくが言うなら仕方ないなぁ」
卯月(ちょっと高いところに誘導しようとしたけど、みくちゃんと凛ちゃんがあんな事言った後だと何も言えない……)
—————
みく「んー、ハンバーグ美味しいにゃ」
P「味わって食ってくれよ。俺が出したんだから」
凛「そんな事言うと申し訳なさで美味しくなくなっちゃうよ」
P「それを感じてなさそうなのが1人いるけどな」
未央「えっ?」
P「分かってるならいいや」
卯月「もぐもぐ……あ、これ白身魚なんだ。みくちゃん、いる?」
みく「え゛っ?」
卯月「あ、いらないならいいよ。みくちゃんって魚とか好きそうだったからつい」
みく「……」
みく「だ、大丈夫にゃ。卯月チャンがいいっていうなら、貰うにゃ」
卯月「じゃあ、どうぞ」
みく(……どうしよう)
みく(うぅー、お魚大嫌いだけど……今はプロデューサーさんも凛ちゃんも卯月ちゃんも未央ちゃんもいるし……)
みく(お魚嫌いなんて言ったら猫系キャラとしてどうのこうのとか言われそうだし……)
みく(……息止めて、一気に……!)パクッ モグモグ
みく(う、うぇぇ……で、でも我慢しなきゃ……)ゴクン
凛「……みく、どうしたの? 顔色悪いように見えるけど」
みく「え……な、なんでもないにゃ……きっと気のせいだにゃー?」
凛「そう? ならいいんだけど」
未央「うまうまー」
卯月「んー……♪」
P「……」
しまった、規制入っちゃった、すまん
今日はここまでです
優しいみくにゃんもっと流行るにゃ
みく「凛チャン、卯月チャン、未央チャン、まったねー」
P「……なぁ、みく」
みく「にゃっ?」
P「お前、魚嫌いだろ?」
みく「に゛ゃっ!? な、ななな何言ってるんだにゃ、Pチャン!? みくは猫チャン当然なんだからお魚は——」
P「卯月から貰った白身魚のフライ、食った瞬間すげぇ嫌そうな顔してれば誰だって分かるっつうの」
P「他の3人がどう思ってるか分からんけど、俺は分かった」
みく「むむぅ、Pチャンは騙せないかぁ。……そうだよ、みくはお魚大嫌いにゃ」
P「猫系アイドルなのに魚大嫌いとはこれいかに……」
みく「そう言われるのが嫌で隠してたんだにゃー!」
P「悪い悪い、まぁ、魚嫌いでもいいんじゃないのか? ファンには隠しても事務所の皆には言ってもさほど変わらんだろ」
みく「そうかにゃぁ……」
P「あの3人は結構心広いから大丈夫だって、な?」
みく「……うーん、分かったにゃ」
—————
みく「——というわけで、みくは実はお魚大嫌いなんだにゃ……」
卯月「じゃ、じゃあこの前あげた魚……ご、ごめんね?」
みく「あれは我慢したみくが悪いにゃ、こうやって素直に言えばよかったんだにゃー」
凛「そうだよ、隠し事なんかしないで、普通に話せばいいんだよ?」
みく「にゃ、にゃはは。でもファンのみんなには秘密だにゃ」
みく(よかった、プロデューサーさんの言う通り何も言わない。おちょくられるより、気が楽だなぁ……)
みく「よし、みくのマル秘を言ったところで……今日もみく式レッスン!」
P「お、レッスンの予定入れるのか? なんなら今すぐで取れるけど」
未央「ええええ!? またアレやるのー!?」
みく「期間空けつつも定期的にやらないと鈍るにゃ」
凛「……きょ、今日はレッスン休んでもいいかな? 明日体力テストが……」
みく「だめだにゃー♪」
卯月「……」ススス
みく「卯月チャン、どこに行くつもりだにゃ」
卯月「あ、あはは……もうすぐテストだから今日は勉強しないと……」
みく「こんな期間にテストなんてまずないにゃ、みくのファンの高校生はテスト終わって万歳してたよ? 卯月チャンもきっとそうだにゃ!」
卯月「うう、なんで的中してるの……同じ学校の子かなぁ」
みく「さ、頑張るにゃー♪」
P「ははは。ま、予定入れとくから3人とも頑張れ」
凛「鬼」
卯月「悪魔」
未央「魔王」
P「……魔王は無いだろ」
P(しかし、アイドルとしての技術はみくが一番なのはいいんだが……)
P(何か違和感あるように見えてきたんだよな……アレ、なのか?)
ワイワイガヤガヤ
凛「……」
凛(なんか1人のオフって久しぶりかも。いっつも友達か未央と卯月と一緒に居るし……)
凛(……そういえば、みくとオフで2人っきりとか、無いなぁ)
凛(今度誘ってみようかな? ハナコとみくが喧嘩とか……し、しないよね。そんなことは——)
女生徒「あ、凛さんだ!」
凛「えっ?」
女生徒「は、初めまして! 私、凛さんのファンなんです! 握手してもらってもいいですか!?」
凛「え、ど、どうぞ……」
女生徒「わぁ、みくの言ってた通り、凄いクールな感じ!」
凛「……みくの事知ってるんだ」
女生徒「そりゃ勿論、同じ学校の同級生で同じクラスですから。よく話したりしますよ」
凛(みくの友達かな。……丁度いいかも)
凛「じゃ、じゃあ……普段のみくとかよく知ってるんだ?」
女生徒「そうですね。みくってイメージ通り大人しいんですよ」
凛(イメージ通り大人しい……どういうこと? 確かにこの前の時は大人しそうには見えたけど、それでも……)
凛「あ、あの……大人しいって、みくが? ……ちょっと詳しく聞いてもいいかな」
女生徒「えっ、でも」
凛「……いいでしょ? あ、人ごみだといけないかな……公園とかがいいかも」
女生徒(あ、もしかしてやっちゃったかも……ごめんね、みく。でも、ここで私はみくのために逃げるという選択——)
凛「付き合ってくれたら、サインあげるから」
女生徒「分かりました!」
—————
女生徒「——って感じなんですよ。あんまり目立つのは好きじゃない方で、休み時間とかは読書とかで……」
凛「そうなんだ、こっちの普段のみくだと全然考えられないかも……」
凛(でも、話を聞いてるとあの時のみくの雰囲気に納得できる)
女生徒「それは……そうですよね。私だって知った時ビックリしましたから、凛さんとは逆の事で」
凛「なるほどね。そっか、ありがとう」
凛(私達あんまりみくの事知らなかったんだ……)
女生徒「いえいえ。……あの、みくが皆さんの前で素にならないことに、あまり強く言わないでくださいね」
凛「そのつもりは無いよ。心配しないで」
女生徒「そうですか。では……その……」スッ
凛(色紙どこから出したの……?)カキカキ
凛「はい、どうぞ」
女生徒「やったー! 凛さんのサインだー!」
凛(……ちょ、ちょっと恥ずかしい。でも、いい情報聞けたかな)
P「……今回は仕事無いのに、なんで勢ぞろいなんだ」
未央「何だかんだ言って事務所って落ち着くし」
卯月「お茶やお菓子もありますよね、息抜きならとっても良い空間だと思いますよ!」
みく「みくはゆっくりできればそれでいいにゃー」
凛「……みく、ちょっと来てくれるかな」
みく「ふにゃっ? どうしたんだにゃ、凛ちゃん」
凛「ちょっとね」
未央「どうしたのー?」
凛「未央と卯月とプロデューサーはダメ。みくだけ来て」
卯月「あ、うん。分かった」
P「大事な話か。じゃあ、邪魔しちゃいけないな」
—————
凛「みくってさ、お仕事以外だとどんな感じ?」
みく「……ふにゃ?」
凛「だから、その……普段のみくってどんな感じなの?」
みく「み、みくは普段もこんな感じだにゃ! いきなり何かなって思ったけど、それだけの話かにゃー?」
凛「……本当の事を言ってよ」
みく「えっ?」
凛「私だけじゃない、私達の事信用してくれないの?」
みく「ちょ、ちょっと凛チャン、何を言ってるんだにゃ……?」
みく(えっ、どういうこと……? これじゃまるで……)
凛「隠し事しないで、本当のみくを見せてよ。普段通りの、みくを」
みく(みくの事、知ってるみたいに……)
みく「……」
凛「……」
みく「……知ってる……の?」
凛「みくの友達から聞いたの。……ごめんね」
みく「……そ、そっか……」
凛「……」
みく「……」
みく(……ど、どど、どうしよう。何て言えばいいんだろう……)
凛「……あ、あのさ、勝手に友達から聞いちゃったりした上に、ここまで呼んで、勝手にせがんでる私が言うのもなんだけど……」
凛「どんな時でもみく自身はそのままじゃないかな」
みく「!」
凛「学校の時の大人しいみくでも、私達と一緒に居るときの騒がしいみくでも、みくはみくだよ」
凛「そんな隠さずにさ、いつものみくを見せてよ。自分らしさってそういうのだと思う……だから——」
みく「……笑わない?」
凛「まさか、誰か笑ったらプロデューサーでも叩くよ。……それでも、ダメかな」
みく「そこまで言うなら……うん」ニコッ
みく「……他のみんなも居ないから、話しやすいし……」
凛「雰囲気、全然違うね」
みく「そ、そうしてたんだもん……」
凛「どうして、学校の時と口調とか変えてるの?」
みく「だって、アイドルらしくないでしょ。目立たないし、地味だし……」
みく「凛ちゃん達よりアイドルは長くやってるけど……最初の頃なんて、友達に誘われてやり始めただけで……」
凛「自分からやったんじゃないんだ」
みく「うん……でも、猫……気ままな猫の気持ちになりきれば、みくもアイドルらしく目立てるかなって」
みく「……やり始めたら、自分自身でも分かるぐらい気が楽になれて、気づいたら使い分けしてて……」
みく「お仕事の、事務所とかでアイドルの前川みくをやってる時とかね……」
みく「凛ちゃん達が見ている普段の、ああいう感じで猫の気持ちになって、恥ずかしさとか抑えてるの」
凛「……アイドルやって、後悔してない?」
みく「そんなことないよ。最初はちょっと嫌だな、とか思っちゃってたけど……」
みく「でも、今は優しいファンのみんなもたくさん居るし、何より凛ちゃん達と一緒にやれて楽しいし……」
凛「……ふふっ、そっか。なんか、みくの本当の気持ちが聞けて、ちょっとほっとしたかも」
みく「なんで?」
凛「だって、友達からそういう話聞いたときそこまで信頼されてなかったのかなって思っちゃって」
みく「そ、そんなことないよ。た、ただみくが……アイドルじゃないみくを見せるのが恥ずかしかっただけで……その……」
凛「分かってるよ。でも、これからはアイドルじゃない方でも話したいな」
みく「……頑張ってみる」
凛「そうそう、その意気。事務所の人にも——」
ドンッ
凛「ん?」
みく「?」
<オスナ、バレチャウッテ
<ホェー、ミクッテフダンハ……
<……ビ、ビックリシタナァ
凛「……」スタスタスタ
ガチャ
P「……あっ」
未央「あっ」
卯月「……あれぇー」
凛「……全員そこに並んで、今すぐ」
3人『は、はい……』
卯月「うぅー、頭が……」ジンジン
未央「い、痛いの入った……」ジンジン
P「お、俺だけビンタなのか……」ヒリヒリ
凛「大事な話を盗み聞きなんて、重罪だよ?」
P「で、でも気になっちゃってなぁ。まず未央が——」
未央「プロデューサーだってノリノリだったじゃん! うづきんだって——」
卯月「え、ええっ!? そ、それはそうだったけど、結局は未央ちゃんが——」
凛「言い訳しない」
3人『はい……』
みく「——!」カァァァァ
凛「……ほら、みくが隠れちゃった。全員、1時間ぐらい正座しといてね」
P「……鬼」
卯月「悪魔」
未央「ちひ——」
凛「未央、何か言った?」
未央「な、ナニモイッテナイヨ?」
みく「……とっても恥ずかしかった……聞かれてただなんて……」
凛「私も、盗み聞きするとは思わなかった。ごめんね。もうちょっと別の場所でやればよかったかもしれない……」
みく「べ、別にいいよ。……何か、凛ちゃんのおかげできっかけできて……ちょっと吹っ切れそうな感じがしてきたかも」
凛「それなら良かった、どんどん吹っ切れちゃおうよ」
みく「そ、そうだね……えへへ。……ごめんね、隠し事してて」
凛「それを言うなら私もかな」
みく「えっ?」
凛「実は、私みくのファンなんだ。みくにはずっと隠してたけど……未央や卯月から聞いたりしてた?」
みく「全然……そ、そうだったんだ」
凛「一緒になった時、みく程じゃないかもしれないけど、とっても嬉しくってさ」
みく「……て、照れるよ」
凛「あはは。これからも一緒に頑張ろうね、みく」
みく「うん」
凛「あ、あと……また今度でいいからサインくれるかな」
みく「うん、いいよ。みくので良ければ」
凛「やった!」
みく(……なんか、心晴れ晴れって感じ……かも)
—————
みく「ふふふん……♪」
女生徒「あれ? 何かいいことあった?」
みく「うん」
女生徒「そっかそっか、それは良かった」
みく「……そっちも、凛ちゃんに会えたでしょ?」
女生徒(あっ)
女生徒「そ、そうなんだよねー。サインとか貰っちゃってさ、もう嬉しくって嬉しくって」
みく「サインも貰ったんだ……良かったね」
女生徒「う、うん……」
みく「そっか、そうなんだ。……ねぇ」
女生徒「」ギックーン
女生徒「な、何かなー」
みく「ありがとうね」
女生徒「えっ?」
キーンコーンカーンコーン
みく「じゃあ、レッスンあるから……またね」
女生徒「う、うん。またねー」
女生徒「……感謝?」
今日はここまで
ターニングポイントめいたところが終わりかもしれない
みくのファンになってあげてください
みく「……」オドオド
未央「……新鮮だなぁ」
卯月「そうだね」
P「……なるほど、これがみくの素か」
P(通りで違和感を感じてた訳だ)ジー
みく「じ、じろじろ見ないで……プロデューサーさん……」
P「プ、プロデューサーさん……!? なんていうか、『前川みく』と『みくにゃん』の差だよな、これ」
未央「分かる分かる。みくにゃんじゃなくて、これは前川みくっていう子なんだなって」
凛「私が言ったことそのまんまじゃない」
未央「だってそれ以外の言い方思いつかなかったもん」
卯月「みくにゃんかぁ、かわいいからみくちゃんでもみくにゃんでもどっちでもいいね」
みく「み……みくにゃんは……その、恥ずかしいっていうか……」
凛「らしいよ」
P「散々ファンから言われてるだろ、みくにゃんみくにゃんって」
みく「あ、あれは、猫の気持ちになってる時だから、まだ……」
P「俺としてはそんなみくもありっちゃありだけどな、正にキュートだし。みく、そのまま仕事行ってみるか?」
みく「や、やだ……いきなりこんなみく見せたら絶対心配されるよ……」
卯月「た、確かに……こんなみくちゃんをファンが見たら絶対にどうしたの? とか聞きたくなっちゃうよ」
みく「というか、今でも未央ちゃんや卯月ちゃんやプロデューサーに見られて恥ずかしい……」
未央「しぶりんはいいんだ」
みく「……うん」
卯月「いいなぁ、やっぱりみくちゃんのファンは一味違うのかな」
凛「ふふ」
P「ははは……ともあれ、アイドルやってても事務所内なら素になれそうっていうことでいいのか?」
みく「う、うん……」
P(しかし、これが『前川みく』ならば……うん、むしろプラスだ。凄くいい……)
P(……そろそろ動いてみるか、みくの素も知ることができたし、いい時期だ)
みく「ユニット?」
P「ああ、そうだ。お前達4人でユニットを組もうと思う」
未央「今までユニットじゃなかったんだ、むしろそっちがビックリだよ」
P「じゃあ、お前ら4人全員でLIVEステージ上がった記憶はあるか?」
未央「そりゃ無いけど……というか、メインでLIVEしてたのってみくだけな気が……」
みく「スポット参戦で凛ちゃんとか出たけどにゃ」
卯月「……それでも私達、まだまだレッスン重視だもんね」
P「雑誌の撮影だって個人個人だろ。複数人揃って撮ったか?」
未央「それも無いね。言われてみれば、確かにユニットらしくはなかったかも」
凛「それで、なんでいきなりそういう話に?」
P「本当ならもっと早めに言うつもりだったんだ。元々は3人で組むはずのユニットだったからな」
みく「3人? にゃるほど、つまり……」
凛「私と、未央と、卯月?」
P「ああ、そうだ」
卯月「み、みくちゃんは入れないんですか?」
凛「みくをユニットに入れないっていう意図があまり分からないよ、理由はあるの?」
未央「そうだよ、実力だって私達よりみくの方が上だよ?」
P「だからこそだ。いざ4人でユニット組もうにも、色んな意味でみくが浮いてるからな。猫キャラ然り、実力然り」
P「俺としては全員が平等に映えるような、実力が揃った正統派アイドル達っていう感じのユニットにしたい」
P「お前達も、そんな感じで組もうとしてたユニットに、今のみくが入ったらどうなると思う?」
未央「……そっか、みくだけ異様に浮くね」
凛「……うん、みくが目立つかも」
卯月「……同感です」
みく「Pチャンの言うユニットとしては、確かにみくは不向きだにゃ」
P「そうだ、だけどそれはみくにゃんでの話だ」
みく「に゛ゃっ!?」
凛「確かに、普段のみくなら私達のユニットに溶け込めるかもしれないね」
みく「ちょっと待つにゃ! それって——」
P「みくの察してる通り、ユニットでは『前川みく』での活動を——」
みく「無理だよ!? みくにそんな勇気なんてないにゃ!」
未央「ソロLIVEで猫耳と尻尾つけたりしてた癖にー、うりうり」
みく「未央チャン、だからそれは——」
P「といっても本人がこれだからな、なんとかならないものか」
卯月「……私達の実力についてはどうなんですか?」
P「3人ともみくにも追いつけそうな勢いで伸びてるように見えたから、大丈夫と確信した。それだけだ」
卯月「そうなのかな。私としてはみくと一緒にユニット組みたい気持ちですけど……」
P「我侭だが、俺はこのユニット方針を揺らがせたくない……」
P「なんとかならないなら、元通り3人でユニットを組ませざるを得ないんだけど、俺としては当然4人のユニットとして組ませたい」
未央「そうだねぇ……私はみくと一緒がいいな」
未央「何だかんだいってアイドルの先輩だからレッスンだとお世話になってるし、事務所でも一緒に居ると楽しいし」
未央「私はみく抜きのユニットは嫌だよ」
卯月「みくちゃんが仲間外れなのはかわいそうっていうのもあるけど、私も未央ちゃんと同じで一緒に居て楽しいからね」
卯月「私だって、みくちゃん抜きのユニットは絶対に嫌かな」
みく「未央チャン、卯月チャン……」
凛「……私は聞くまでもないでしょ? みくのファンで、みくにちょっと憧れてアイドルになって、そんな私が組みたくないとか言うと思う?」
みく「凛チャン……」
P「……俺も普段の、素のお前がステージに出るところを見たいんだ。頼む、お願いだ」
みく「……」
みく「……わ、分かったにゃ。Pチャンの言うとおりにするにゃ」
P「本当か? よし、それならまずは今から普段の前川みくに——」
みく「せ、せめて明日から、明日からにするにゃ!? まだ心の準備が……!」
P「そういうこと言うなって! ほら、今すぐあのキュートでクールな前川みくを見せてくれ!」
みく「そんな風に言っちゃダメにゃー!?」
未央「あはは、やっぱりみくが居ると楽しいなぁ」
凛「やっぱりこっちもみくだよね」
卯月「うんうん。みくちゃんらしさっていうのがこっちでも掴めてきたかも?」
凛(私達でユニット、かぁ。……夢みたい)
みく「……」モジモジ
ルキトレ「……なるほど、そういうことですね。つまり、今の前川さんが素の前川さん……ということですか」
凛「はい、たぶん実力自体は変わらないと思いますから、いつも通りにお願いします」
ルキトレ「任せてください。じゃあ、前川さん、いつものステップから——」
みく「は、はい」
<ワンツー、ワンツー
凛「……うん、やっぱり」
未央「本当に実力は変わらないんだ。でも雰囲気とか表情とか全然違うね」
ルキトレ「うーん、前川さん。もうちょっと笑顔でやってみましょう」
みく「こ、こうですか?」ニコッ
ルキトレ「……いつもと違う、儚げな感じの笑顔ですね。なら、ずっと維持する事じゃなくて、局所局所で笑顔をアピールするような感じで——」
<ワンツー、ワンツー、ハイ、ソコデ……
卯月「……今のみくちゃん、凄く綺麗な笑顔だったね」
凛「かわいいっていうか、美人って感じ?」
卯月「うんうん」
ルキトレ「ほら、他の3人もサボらずに! いつもよりメリハリをつけて!」
卯月「は、はいっ!」
ルキトレ「じゃあ、次はこの曲に合わせていきますよ! はいっ、ワンツーワンツー!」
〜♪
未央(ちょ、ちょっと、それいつもゆっくり流すやつ!?)
卯月(あ、あれ、いつもより激しいような……)
—————
みく「つ、疲れた……」
ルキトレ「ふぅ、担当の子が代わったみたいな感じがしましたよ……ついはりきっちゃいました」
凛「……」グデー
未央「……」グデー
卯月「……」グデー
ルキトレ「あれ?」
凛「……ト、トレーナーさん……さらっといつもより厳しくしないで……」
未央「や、休み無しで、いつもより激しいダンスレッスンは……ちょ、ちょっとね……」
卯月「も、もう今日は……がんばれません……」
ルキトレ「あっ、ご、ごめんなさい!」
みく「みくは普通に疲れました……でも、なんか不思議な気持ちかも……」
ルキトレ「今日の前川さんはいつもとは違いましたが、いい感じでしたよ。これからも頑張っていきましょうね!」
みく「……はい、頑張ります!」
P「おはよう、早いな?」
みく「お、おはようございます。……学校休みだから、早く来ちゃって……」
P「お、みくにゃんじゃない」
みく「プ、プロデューサーさんが、せめてレッスンや事務所はこれでって言ったから……頑張ってるんだよ?」
P「なるほどな。それで、まだ他の3人は来てないんだけど、どうするんだ?」
みく「……これ」ペラリ
P「読書? ……じゃないな、猫の写真集か」
みく「トレーナーさんから借りた物だけど……」
P「トレーナーさんっていうと、いつもレッスンのお世話になってるあの人か。へぇ……あの人も猫好きか」
みく「猫好き仲間だから、セルフプロデュースしてた時でもお願いしやすかったかな……」
P「そういうのいいなぁ。……もしかしてステージもそんな感じでお願いしてたのか?」
みく「う、うん。あんまり人気無い場所だからってタダでやらせてもらったりとか……」
P「な、なんだそりゃ……下手なプロダクションよりコネがあるな……」
P「……あー、通りでLIVEやる時もあそこだけはあっさりOK貰ったのか」
みく「……猫好きな人は、みんないい人だよ」
P「それは運が良すぎやしないか? ……じゃあ俺は作業してるから、静かにな」
みく「うん……」ペラリ
P「……」カタカタカタ
みく「……」ペラリ
P「……」カタカタカタ
みく「……」ペラリ
P(いくらなんでも静かすぎやしないか、みく)
P(い、いや……素の自分を見せてくれてるっていう事なら確かにそれでいいんだけど)
P(何か物足りないな……そういうものなんだろうか)カタカタカタ
みく「……かわいい」ペラリ
P「……何かお茶でもいるか? いるなら淹れてくるけど」
みく「あ、お、お願い……」
P(……やっぱりなんかこう、騒がしさが足りないって思っちゃうなぁ)
—————
P「ほら、淹れてきたぞ」コトッ
みく「あ、ありがとう……ふーっ、ふーっ……」
P「みくのは氷入れて温くしといたから、そのまま飲めるはずだ」
みく「えっ? ……あ、本当だ……猫舌のこと、知ってたの?」
P「いや、なんとなく……勘ってやつかな」
みく「……か、勘って……でも、ありがとう。プロデューサーさん」
P「……あいよ」
P(物足りなくはあるが、こっちもこっちで……)
今日はここまで
みくにゃんがNG入りじゃなかったそれっぽい理由を。単にそれっぽいだけである
凄い今更ではあるが、>>30の
3人『は、はい……』
卯月「うぅー、頭が……」ジンジン
の部分の間に区切りの線『—————』入れてなかったので、脱字報告。ごめんね
P「おーい、みんな! LIVEの予定が大体が決まったぞ!」
卯月「えっ!?」
未央「ユニットの……だよね。本当に決まったの?」
P「ああ! 日付は今から2ヶ月後ぐらいで、最後の仕上げとしてレッスンも厳しくいくそうだ」
凛「2ヶ月か」
未央「も、もっと厳しくするんだ……筋肉痛とおさらばしたいなぁ」
みく「……み、みくからしたら、3人はもっと厳しくても大丈夫だと思うけど……」
卯月「私はテストもあるし、レッスン順調にやれるかな。ちょっと不安かも」
凛「それを言ったらこっちもテストはあるんだけどね」
P「ははは、こっちはデザイナーさんと衣装の打ち合わせが続く日々だ。いい服ができるよう色々と考えなきゃな」
凛「期待してるよ」
P「任せろ!」
みく「プロデューサーさん、テンション高いね……」
P「当たり前だろ、俺のプロデュース暦の初のユニットなんだ。テンション上がらないとかありえないって」
P「おまけに全員俺がスカウトしたから、益々テンション上がってさ!」
凛「みくはスカウトしたっていうより、うちに来てくれたって感じじゃないの?」
P「……気にするな! それよりもみく、今日はお仕事だったよな。そのままで行くつもりか? まだ無理だろ」
みく「あ、そ、そうだね。準備してくる……」
—————
みく「Pチャン、お仕事いっくにゃー」
P「おう、行くか」
未央「……人って簡単に変わるんだね」
凛「私達の近くじゃみくぐらいだと思うけど」
卯月「でもやっぱり、変わる瞬間ってびっくりしちゃうよね」
未央「まさに猫かぶり?」
卯月「猫かぶりは逆に落ち着いてるって意味だから……文字通り猫をかぶってる感じ?」
凛「あながち、それで間違ってないかもしれないね。猫の気持ちらしいし」
ワイワイガヤガヤ
未央「本当、いつも混んでるなぁ……それにしても、みくからオフの日に誘ってくるなんて珍しいんじゃない?」
凛「そうだね、行く場所は大体分かってるけど」
卯月「あ、そうなんだ。確かここらへんだったよね」
未央「あれ、みくはどこ? もう集合の時間——」
みく「……居るよ?」
未央「うわっ!? び、びっくりしたぁ。いつの間に?」
みく「さ、最初からここに……」
未央「め、目立たないねぇ」
みく「目立ちたくないもん……派手な柄の服とかあまり好きじゃないし……」
卯月「地味な色合いだけど、よく見るとかわいくていいなー。ところで、どこ行くの?」
みく「ね、猫カフェ……あっ、誰か猫がダメってことは、ないかな……」
未央「問題無いんじゃない?」
凛「私は大丈夫だよ」
卯月「私もアレルギーとか無いから安心して、みくちゃん」
みく「良かった……じゃあ、案内するね」
卯月「案内されちゃいます!」
—————
<ニャーニャー
みく「ここだよ」
凛「い、一杯いる」
店員「みくちゃんいらっしゃい。あらあら、渋谷凛ちゃんに本田未央ちゃん、島村卯月ちゃんもいるのね」
未央「こ、こんにちは!」
卯月「こんにちは! 私達の事知ってたんですか?」
店員「ええ、みくちゃんから話色々と聞いたりしてたから……」
凛「そうなんですか」
店員「本当楽しそうに話してくれるから、聞いてる方も楽しくなっちゃって良く覚えてるのよー」
卯月「へぇ……」
未央「楽しそうに、かぁ……そういう風に話してくれるって嬉しいね!」
<ニャァー
みく「あ、みーくん」
ニャー ニャー
ニャア
みく「み、みんな……ちょっと……」
未央「へー、みくってこんなに猫に好かれるの?」
店員「そうなのよ。みくちゃんが来るとうちの子達みんな寄っちゃって……」
卯月「あはは……気づいたらもう足元に8匹ぐらい居るね……」
凛「す、好かれすぎじゃないかな?」
—————
ニャー
卯月「かわいいー!」
未央「大人しいなぁ、うりうりうりうり、ここがええのんかー?」ナデナデ
凛「……」ソーッ
フッー
凛「……」
未央「しぶりん、嫌われてる?」
凛「……犬飼ってるからかな。それでもちょっと悲しいかも」
みく「……あの子はみくの友達だから、大丈夫だよ」ナデナデ
……トテトテ
凛「あ、こっち来た……よしよし」ナデナデ
卯月「さ、さっきまで威嚇してたのに……」
店員「流石みくちゃんね」
未央「……意思疎通してるのかな。正に猫アイドル……!」
—————
未央「いやー、猫カフェって初めていったけど、とても良いねー」
卯月「みんな人懐っこくて癒されたなぁ」
凛「お店の人もいい人だったよね」
卯月「みくちゃんが話してた私達の話を聞いた時は、ちょっと恥ずかしかったかも……面白エピソードとかは笑っちゃったけど」
未央「……レッスン終わりに疲れてその場で寝ちゃった私の話とかを言ったのはこの口かーっ!」グリグリ
みく「や、やめへ……」
凛「いいじゃん、面白エピソードなんだし」
未央「面白エピソードの話が私の話ばっかりだった気がするけど!?」
卯月「仕方ないんじゃない?」
未央「うっ、味方が居ない……」
みく「……未央ちゃん、面白い時に目立つから……」
未央「な、なにをー!」グリグリ
みく「や、やめっ……あうう……」
凛「……もうこんな時間」
卯月「そうだね。もうそろそろ帰らないといけないかな」
未央「ん、本当だ、もう帰らないといけないのかぁ」
みく「あ……みんな、楽しかった?」
未央「この状況を見て楽しくないって思ってると思っちゃうのー?」
凛「楽しかったに決まってるよ。ね、卯月」
卯月「うん!」
みく「……そ、そっか。……本当に良かった」
卯月「また誘ってね!」
未央「それじゃ、また事務所で!」
みく「……うん! ま、またね……!」
みく(みくも、とっても楽しかったよ……凛ちゃん、未央ちゃん、卯月ちゃん)
凛(着実にLIVEの日にちが近づいてくる……まだまだなのに、緊張してくるなぁ)
ガチャ
P「おーい、みんな!」
凛「おかえり、プロデューサー。何、その荷物?」
P「ああ、これはな……衣装が完成したんだ!」
未央「本当!?」
P「ほら、ここにケースが4つあるだろ? 見てみるか?」
未央「もっちろん! ほら、しぶりんも見ようよ!」
凛「ひ、引っ張らなくても見るって」
卯月「どんなのかなー♪」
みく「……」ジー
P「じゃあ、それぞれの衣装ケースを開けてみろ」
パカッ
凛「あっ」
未央「おっ」
卯月「えっ」
P「これがデザイナーさんと必死で考えた結果だ」
凛「これ、前に私がステージに上がった時の?」
未央「私のも一緒っぽい? でも、大分違うかも」
卯月「前着た衣装にフリフリとか一杯ついてます」
P「パッと見、違うっていうぐらいしか分からないかもしれんが、ちなみにこれがアクセサリーもセットでマネキンに着せた写真だ。どうだ?」
凛「……こんな風になったんだ……凄い華やかになってる」
未央「アクセサリーでキラキラしてる! すっごーい、同じような衣装なのに、こんなに変わるんだね!」
卯月「か、かわいいです! ここらへんの柄とか細かいチェック柄になってるんですね……わぁ……」
P「今まで着てた衣装の進化系っていう感じだ。気に入ったか?」
未央「もっちろん!」
卯月「衣装は統一しなかったんですね?」
P「ああ、それは俺が決めた。デザイナーさんは統一した方がユニットらしくていいとは言ってたが、俺はこっちの方が良って思ってな……」
P「それぞれの個性を生かす衣装の方が、お前達にはよりいいって判断した、それだけだ!」
凛「プロデューサー……」
P「……気に入ってくれるか?」
未央「気に入らない訳無いじゃん! こんな衣装着れるなんて嬉しいよ!」
P「そんな言葉を聞けるなんて、俺も嬉しくなっちまうな」
みく「……」
卯月「あれ、みくちゃん、衣装見ないの?」
みく「……まさか、みくのも?」
P「いや、みくはちょっと違うな……まぁ、見れば分かる」
パカッ
みく「……あれ、ドレス……? 色も全然違う……」
P「みくのいつもの衣装よりも露出は少なめだ、イメージ的には凛に近い」
みく「そうなんだ」
P「ちなみに、これが写真」
みく「わっ……!?」
未央「おおー!?」
凛「本当だ、未央や卯月みたいにセパレートタイプじゃなくて、私のと結構似てるけど……」
卯月「ね、ねぇ、みくちゃん、今着てみて!」
みく「えっ、今……?」
P「おっと、俺は退散しとくか……じゃあ、しばらく部屋の外に出るわ。できたら呼んでくれよー」
バタン
未央「プロデューサーも出てくれたことだし、着てみようよ!」
みく「こ、こんな衣装……恥ずかしいよ……」
卯月「いつものLIVE衣装の方が絶対恥ずかしいと思うよ!?」
みく「あ、あれは猫の気持ち……」
凛「ほら、みく。自分で着ないなら私達が着せるよ?」
みく「……ちゃんと着るから、それは……」
卯月「見張りとか必要かな?」
未央「見張りならお任せあれ!」
みく「……ちゃ、ちゃんと着るからって言ったよね!?」
みく「……」カァァァ
卯月「みくちゃん、凄い似合ってるよ!」
凛「……私のと色とかが逆って感じだね」
未央「真っ白ではないけど、白主体のいい感じになってるねぇ。みくにゃんじゃなくて前川みくだからこそだね」
みく「う、ううー……そんなこと言わないで……」
コンコン
<オーイ、ハイッテイイカー
凛「あ、いいよ、プロデューサー」
ガチャ
P「うおっ、予想以上に似合うな!?」
未央「だよね! 写真見たときはおおっ! って声あげちゃったけど、それ以上だったよ」
みく「は、恥ずかしい……」カァァァ
卯月「……ねね、凛ちゃん。凛ちゃんも衣装着てみくちゃんと並んでみて?」
凛「いいよ、分かった」
P「んじゃ、俺はまた外に退散しないとな……」
—————
凛「どう?」
みく「……」
卯月「しゃ、写メ撮らせてね!」パシャ
みく(返事無しでもいきなり撮るんだ……)
未央「2人ユニット組んでもおかしくないよコレ、白と黒のお姫様って感じ」
みく「お姫様……」
凛「この衣装でLIVEするんだ……私達」
みく「え……あっ、そうだった……大丈夫かな……」
未央「リハーサルで慣れるしかないかもね」
みく「き、着てるだけでもちょっと恥ずかしいのに……」
卯月「じゃあ、リハーサルの時はもっと恥ずかしい衣装にするとか……みくのいつものLIVEの衣装とか」
みく「えっ、酷くない……? そ、そんなの無理……」
凛「まぁ、そこらへんは本当に慣れるしかないからリハーサル次第だね。自分を魅せる為に頑張らないと」
凛「じゃないと本当にいつものLIVE衣装着せちゃうよ」
みく「り、凛ちゃんまで……う、うん、分かった……」
<オーイ、ハイッテモイイカー
未央「あっ、いいよー」
みく(……自分を魅せる為に……かぁ)
今回はここまで
休日は非常に捗ってよろしい
スタッフ「はい、OKです! 午前はこれで終了で、休憩入りまーす」
卯月「ふぅー……リハーサルって疲れるねー」
未央「疲れないリハーサルもどうかと思うけどね! それにしても、あっという間にLIVEまで残り1週間切っちゃったよねぇ……」
卯月「……振り返ると短かった感じがしてあまり実感湧かないよね」
凛「そうだね」
みく「あと1週間……あ、プロデューサーさんだ」
P「視察に来たぞ。リハーサル頑張ってるか?」
凛「うん、スタッフの皆に頑張ってもらってしっかりやれてるよ」
P「みくの方はどうだ?」
未央「慣れてきたからもう大丈夫だよね!」
みく「……う、うん。なんとか、やれそう……かも」
P「それなら安心だ。しっかしまぁ、本当全員似合ってるな、衣装」
卯月「プロデューサーさんが似合ってる衣装にしたんですから、当たり前ですよ」
P「実際に似合ってると本当に嬉しいもんなんだよ」
みく「……」
P「どうした、みく。不安か?」
みく「そ、そんなんじゃないけど……なんかこう、変わったなって……」
凛「変わった?」
みく「う、うん……その、自分自身が変わったなぁって……こんなみくをみんなに見せてるし……」
卯月「リハーサルの初めはみくちゃんの事知ってたスタッフさんが目を丸くしてたもんね」
みく「……恥ずかしかった……」カァァァ
P「簡単に赤くなるなよ、本番は大勢のファンの前だぞ?」
凛「確かに、今までのところよりずっとステージも広いし、ファンも多く来るかもしれないし」
みく「……だ、大丈夫かな」オドオド
P「大丈夫だって、俺から見たらリハーサル通り行けば問題無いと思うぞ」
みく「でも……」
凛「みくがダメでも、私達がフォローするよ」
未央「うんうん、何のためのユニットだと思ってるの?」
P「自分の魅力を出すことも重要だが、協力も断然必要だからな。みくは安心してやればいいだけさ」
みく「……うん」
卯月「そういえばプロデューサーさん、私達まだユニット名を聞いてないんですけど、いつ教えてくれるんですか?」
未央「あっ、そうじゃん! もう本番まで1週間しかないのにスタッフさんも教えてくれないし」
凛「宣伝のチラシもユニット名書いてないし……」
P「あー、それは……ひ、秘密って事でいいか?」
みく「も、もったいぶりたいだけ……? プロデューサーさんが教えてくれないなら、それでもいいけど……」
未央「仕方ないねぇ……この事は不問にしてあげよう。プロデューサー何かやりたいことでもあるんだろうね」
P「ま、まぁな……う、うん。まだ教えたい時じゃないっていうか……」
卯月「じゃあ、教えたい時になったら教えてくださいね!」
P「……勿論だ」
未央「……」
未央「うわぁぁぁぁぁ、LIVE今日だよ! 今だよ! もうなのっ!?」
未央「ファンのみんなもすごい居たんだけど!? っていうかいつもより席もずっと多いのに満席ってどういうことっ!?」
未央「うわぁぁぁぁぁ、すっごい緊張してきたぁぁぁぁ!」
凛「……衣装着終わってから何言ってるの?」
未央「しぶりんはブレないなぁ、クールだなぁ……」
凛「これでも私、凄く緊張してるんだけどね……」
未央「いやだって、今そこに緊張してるって感じの例が」
みく「……だ、大丈夫……大丈夫……」
凛「……あれは、うん」
未央「というかうづきんも黙ってないでさっ!」トンッ
卯月「あ、うん。そうだね」
未央「何か気になってたの?」
卯月「えっとね、もうすぐ出番なのに、プロデューサーさん結局ユニット名教えてくれなかったなとか——」
ガチャ
P「よっ、プロデューサーさんのお出ましだ」
卯月「プロデューサーさん!」
未央「見送りにきたの?」
P「そんなところかな。んで……どうだ? あのファンの数の前で踊らないといけない気持ちってのは」
凛「そりゃ、今まで以上に、怖いかも」
未央「しぶりんと一緒だよ、不安たっぷりだもん」
卯月「……殆ど同じです」
みく「こ、怖い……」
P「まぁ、予想通りっつうか、なんというか」
P「……そうだな、俺としては……LIVEが上手くいかなくてもいいって思ってる」
卯月「えっ、そ、それって酷くないですか?」
P「お前達のことを信頼してない訳じゃないぞ。信頼した上で、失敗しても俺が全力でフォローしてやるって意味だ」
凛「……」
P「だけど、お前達の気持ちはそんなんじゃないだろ?」
卯月「それは、そうですけど……」
P「なら、そのままで自分らしく行けば良い、今までそうしてきたんだしさ」
P「今更、ファンの前で踊るのが怖いとか言うなよ。ただ多いだけじゃないか!」
未央「か、簡単に言ってくれるね、プロデューサー。……でも、自分らしく、か。そうだよね、まずそれだよね!」
みく「……自分らしく」
P「怖がらずにやればいい。リハーサルではスタッフのお墨付きだろ?」
凛「うん」
P「じゃあ、お前達なら絶対できる。俺はそう信じてる!」
凛「プロデューサー……」
卯月「それよりもプロデューサーさん、そろそろ教えてください。私達のユニットの名前」
P「ああ、それはな……『ニュージェネレーション』だ!」
凛「……新しい世代?」
P「そうだ、女の子は誰でもシンデレラ……それをアイドル会に知らしめるための普通の女の子4人、それが……お前達ニュージェネレーションだ!」ビシッ
P「……決まったか?」
卯月「……」ポカーン
卯月「……も、もしかして、それが言いたかっただけ……とかですか?」
P「ああ! 俺、今凄く充実感溢れてるっ……!」
卯月「き……決め台詞で普通の女の子4人って……確かに私達って普通かもしれませんけど、普通の女の子って……」
未央「な、なにそれ……あっはっはっはっ! ぜ、全然かっこよくないし! あっはっはっは!」
凛「……そ、それだけのために渋ったって……ふふっ、プロデューサーってやっぱり変だね」
みく「あ、あはは……ギャグ?」
P「いや、うん、これ言いたかっただけってのはマジだったんだけど……どうだ、緊張解れたか?」
未央「あっはっは……うん、結構取れたかも」
卯月「プロデューサーさんのせいっていうか、おかげっていいますか」
凛「うん、変なプロデューサーのためにも頑張らないとね」
みく「そ、そうだね」
P「変っていうな!?」
凛「……みくも大丈夫?」
みく「うん、前に凛ちゃんに言われた通り、自分を魅せるために……」
みく「みくは……みくは自分を曲げないよ!」
卯月「その意気だよみくちゃん!」
未央「よーし、よく言ったみくみく!」
みく「み、みくみく!?」
未央「しぶりん、うづきんときて、みくみく。中々いいんじゃない? 今考えたっ!」
凛「未央の呼び方って独特だよね」
卯月「凛ちゃんがしぶりんは分かるんだけど、私がうづきんって……」
未央「そっちの方が語呂はいいじゃん?」
P「ってか、お前ら、そろそろ出番なんだが……」
未央「嘘っ!? やばい、急いで準備しないと!」
凛「ほら行くよ、みく!」
みく「が、頑張る……っ!」
卯月「プロデューサーさん、頑張ってきますね!」
P(予想以上に緊張感吹っ飛んだな、いいことだ)
P「ああ……行ってこい! シンデレラガールズ!」
————————
—————
———
みく(LIVE、大成功だったな……)
みく(みくのファンのみんなも驚いてたけど……一瞬で声援がみくにゃんからみくちゃんに変わったのは面白かったなぁ……ふふっ)
女生徒「みっくー! クラスの友達みんなでLIVE見に行ったよ! 凄いじゃん、みく!」
みく「えっ、ほ、本当?」
女友達「うん! とってもかわいくて、私、みくちゃんのファンになっちゃった!」
みく「あ、ありがとう」
女生徒「まさかステージで素のみくが見れるとはねぇ……クラスでみくにゃんを晒す日はいつになるのかなぁ?」
みく「そっちは……そうだね……」
みく「……今やってもいいよ?」
女生徒「えっ!?」
女友達「みくにゃん? 何それ」
みく「……やってみるね……にゃはっ! どうだにゃ!」
女友達「……い、いつものみくちゃんじゃない!?」
女生徒「えっと、みくってこんなキャラもやってたから」
みく「こんなキャラとは何だにゃ、これも立派だみくだにゃ」
女友達「……か、かわいい! ね、猫耳とかつける!?」スッ
みく「どうして学校に猫耳とか持ってきてるんだにゃ!?」
女友達「そんなことより、いいでしょ? ねっ、ねっ?」
女生徒「あはは、まさかあんな簡単にみくにゃんになってくれるなんて……予想以上に騒がしくなりそうかも」
女生徒「でも、みくがあんなに学校で笑ってるのは初めてかもね……吹っ切れたのかな」
女生徒「……アイドルかぁ、私もなってみようかな?」
女友達「わぁー、凄く似合う!」
みく「猫耳つけてLIVEとかしてたから当然だにゃ」
女生徒「ちなみにこれがその時の写真ね、綺麗に写ってるでしょ?」
女友達「う、うわぁー! うわぁー!」
みく「にゃっ!? い、いつの間に撮ったの!?」
女生徒「なーいしょ」
みく「むう、まぁ、いいにゃ。……今、とっても楽しいし」
女生徒「何か言った?」
みく「むふふ、なーいしょ、だにゃ♪」
みく「Pチャン、お仕事いっくにゃ!」
P「あれ、今日はみくだけの仕事だったか?」
凛「私も居るよ」
P「凛も一緒に居るよな」
みく「凛チャンも一緒……っていうことは、そういうことかにゃぁ……」
P「準備よろしくな」
みく「……分かったにゃ」
—————
P「衣装もしっかり持ったし、準備OKかな」
みく「……あ、あの衣装で雑誌撮影なんだ……」
P「この前は卯月と未央が一緒に写って意外と好評でさ、今回は凛とみくでお願いしたいって向こうから来たんだよ」
みく「……むぅ」
P「まぁまぁ、みくにゃんじゃない仕事もいいじゃないか」
みく「お、おかげでラジオでも弄られてるよう……」
凛「認められてる証拠だよ。むしろ良いんじゃない?」
みく「みくの気持ちは……」
P「自分を曲げないで行くんだろ? じゃ、車乗っとけよー」
みく「た、偶には自分も曲げたく——あっ、凛ちゃん、待って……!」
未央「今日も平和だねぇ」
卯月「そ、そうだね。LIVEの後はお仕事一杯来て大変だったけど……今はゆっくりできるね」
未央「ほんとほんと、しかしみくも大変だね」
卯月「そ、そうだね……」
未央「……どうする? オフで事務所来たのはいいけれど、プロデューサー含めてみんな出て行っちゃったよ」
卯月「あそこに飾ってる写真の整理でもする?」
未央「確かアイドルになり始めて少し経ってからしか、私達弄ってないもんね。よーし、あの3人を驚かせるぐらい綺麗に飾ろっか」
卯月「プロデューサーさんが適当に貼ってるからね……もうちょっと考えて欲しいなぁ」
未央「左から右の順で古い順だっけ。懐かしいなぁ、これ3人で撮ったやつじゃない?」
卯月「これだけ、ボードの真ん中に張ってからずっとそのまんまなんだねー」
未央「……んー、これは外しちゃおうか」
卯月「外しちゃうの?」
未央「うんうん、だってさ。……と、あったあった!」
卯月「あっ、それって最近撮ったみくちゃんも入ってる集合写真!」
未央「あれもいいけど、今だったらこっちの方が真ん中に相応しいでしょ。みくみくがかわいそうじゃん」
未央「3人のは、また大切にしまってこっちを貼り付けて……よし、これで……」
〜〜〜〜〜
『ニュージェネレーション』
渋谷凛 島村卯月 本田未央 前川みく
〜〜〜〜〜
未央「やっぱ、こうじゃなきゃね!」
これにて完です
ココまで読んでいただきありがとうございました
発想はこの前の作品投下中にぼやいた、
猫モードじゃないみくを入れたニュージェネレーションとかいいなぁというのを発展させたものでした
そして
「ほんとほんと、しかしみくも大変だね」→「ほんとほんと、しかしみくみくも大変だね」
最後の最後で脱字やってしまいました、ごめんね!
みくにゃんにファン辞められます
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