エレン「戻りたかった」※現パロ(1000)



エレン「ぼっち」※現パロ

エレン「ささやかな望み」※現パロ

の続きとして出させてもらいます



静かで涼しい夜に迷い込んだ一通の着信


部屋と寂しさを照らす明るい画面


柔らかくて温かい羽毛布団を退かし、ベッドに座り、天井に向かって手を伸ばした


電気照明の線を3回引き、真っ暗より少し明るい豆電球を灯した


そして明かりの目立つ携帯へと右手が伸びる


眩しさになれない眠気眼で画面を見つめたら、知らない電話番号が表示されていた


何故こんな時間に電話なのだろう?と疑問符を浮かべた


仕方無い・・・着信に気付いてしまったのだから出るしかない・・・か


もし知らない人間の奇妙奇天烈な電話であれば即切れば良いこと


深く考えなくていい・・・電話に出て、相応の対応を行えば済む単純明解な問題だ




・・・・・・Pi・・・



『もしもし・・・エレン・・・・・?』


「・・・・・」


『エレンだよね・・・だって、エレンの携帯に電話したんだもの』


「・・・・・・」


『・・・・・・・。返事くらいしてくれたっていいよね・・・』


『・・・・・・・』


『・・・・・・・・ねぇ・・・』





『・・・・・・・・・会いたい・・・』



確かにハッキリと聞こえた


産まれたての子猫が初めて鳴き声を発する様な・・・弱々しく今にも消えてしまいそうなのだけど、芯が通っていて生命を感じさせる


決して透き通ってなく綺麗な声とは言い難い


表舞台で披露できるような声ではない



その声は・・・切なさと寂しさを存分に感じとれた。いや、感じとれざるを得なかった


だって、紛いもない掠れた涙声だったから




『・・・・・・エレン・・・』




『・・・・・また・・・一緒に話したいよ・・・・』




・・・・Pi・・・・・・プープー・・・プープー・・・・



悪戯電話だったようだ・・・


何とも質の悪い悪戯電話だ・・・



ほんっと・・・悪戯電話とは質が悪い・・・・・



俺は着信履歴を削除した



そそくさに携帯を充電器に設置して、布団を頭まで被り、布団に残った自分の体温熱に身体を預けた



火山火口付近でマスクを着用して、接着剤でも飲み込んでしまったかのように・・・息は苦しく、妙にはぁはぁと乱れた


それと同時に胸が繋ぎ目も鉄も細い鎖で締め付けられたかのような途轍もない痛みが生じた


息を胸いっぱいに吸い、落ち着かせようとすると、思ったように上手くいかず寧ろ強烈に「げほげほっ!」と酸素も二酸化炭素も窒素諸々も吐き出された


顔が燃えるように熱い



「おちッ・・・つけ・・・・」



何度も呼吸を落ち着けようと努力するのに、息を吐く度声を出す度に強制的に息は躊躇いも余裕も無く無理に吸い込まれていく


脳では、こうしようと思っているのに、衝動的に寧ろ勝手に逆の行為が行われてしまう



なぁに・・・問題ないさ・・・


これはなんでもない。問題視するような事ではない


そう。これは布団に潜っているからだ・・・


布団に潜っている酸素の供給量も制限され、脳がパニックを起こしているんだ


そうだ・・・そうに違いない。それしか有り得ない。寧ろ・・・・・・・そうであって欲しい




・・・・・・・ガチャ・・・ギィ・・




カーテンがふわりと揺れ、ふぁさっという自然な音と自室の部屋の扉が開く音が聞こえた




ミーナ「お兄ちゃん・・・だいじょうぶ?」



布団に潜ったまま息を殺した。外で鳴いている鳩の鳴き声が妙に五月蝿くて耳障りだ。普段は気にすらならないのに


すると肺は空気を吸う事は出来るくせに読む事を出来ず・・・再び壮大な噎せりを引き起こさせた



エレン「・・・んぐっ・・・・ごほっぇほっ!」


ミーナ「お兄ちゃん・・・!」



スリッパがかぽかぽとフローラルの床に当たる


夜道で見つけた電灯か・・・勢いよく顔まで被っていた布団が剥ぎ取られ、目の前には先ほど点けた豆電球が目に入った



目の前はぼやけて、オレンジ色の光が眩しくもなく、それでいて明るい世界が俺を包んだ



なんで・・・目の前は、こんなにも虚ろに映るのだろう


そして虚ろに揺れる影


映る影は段々と確認できるものへとなっていく・・・


そして、肩と首に温かくて、やんわり柔らかい・・・何かが巻き付いた



ミーナ「どうしたの・・・怖い夢でも見たの・・・・?」



そんな母さんを思い出させる懐かしい質問を耳元で優しく囁かれた。耳と首筋にふうっと息が当たって擽ったい


そんな言葉と同時に頬には、もっと柔らかい感触が感じれた


俺の左目の前には、ぱちくりとした大きな右目があり・・・黒目がきょろりと俺の左目を見た




ミーナ「だいじょうぶだよ・・・?幽霊なんていないから」



頬を俺の頬に擦り付け、片手を俺の頭に乗せて、ゆっくり撫でて、そんな悪戯にも小馬鹿にするように、大人の女性を思わせるにこっりとした落ち着いた笑顔を見せた


的外れな答えを出している事は、相手も重々承知なのだろう


それは確信犯というか・・・分かってて言っている。そんな何もかも分かりきっているような笑顔の前では簡単に俺でも察しれる



ミーナ「・・・・大丈夫だって。・・・幽霊が怖くたって、そんな泣くまでの事じゃないよ。お兄ちゃんは強い子なんだから」



・・・・・・・そうか・・・俺は泣いていたのか・・・・


今のこの苦しみの謎が解けたよ



エレン「泣いてない・・・」



ミーナ「そんな泣き顔を見せられた私の身にもなってくれるかな」


エレン「・・・・・泣いてないって」


ミーナ「お兄ちゃんのそういうところ可愛いと思うけど・・・・私は嫌いだよ」


エレン「・・・・・・ごめんな」


ミーナ「今夜は、どんな幽霊を見たのかな・・・?お兄ちゃんを此処まで泣かせちゃう幽霊なら、是非私も見てみたいな」


エレン「きっと、お前じゃ見えないよ、きっと・・・」


ミーナ「そっかぁ・・・それは残念だな・・・・」


エレン「あのさ・・・」


ミーナ「何かな?泣き顔のお兄ちゃんの顔見たら何でもしてあげたくなった妹は今夜は従順だよ」




いやらしい言い方するな・・・・ばか



エレン「・・・一緒に・・・・・寝たいんだけど」


ミーナ「ふふっ・・・お兄ちゃんってば早く妹離れした方が良いんじゃない?」


エレン「お前こそ早く兄離れした方が・・・なんて言わないから。まだ大人になるまでは一緒にいて欲しい・・・からさ」


ミーナ「・・・・いいよ。というか、前は私に彼氏がどうのこうの言ってたくせに。まぁ私はお兄ちゃんさえ望めば、いつだってこうして傍にいてあげるんだから」


エレン「冗談でも嬉し過ぎるから少し困る」


ミーナ「なんでお兄ちゃんって・・・そんなナイーブになると、こんな生え始めた小枝みたいに弱々しくなっちゃうの?」


エレン「弱々しくないし・・・」


ミーナ「お兄ちゃんが文化祭で恥をかいた日の夜も・・・」



エレン「・・・・・・・」


ミーナ「あの決別の日の夜もこんな感じだったじゃない」


エレン「・・・・・・・。・・・小枝はな、生えたては細くて弱々しく見えるけど、実際結構折れにくいんだからな」


ミーナ「でも弱々しく見えちゃうのは仕方ないんだよ・・・だって、そう見えてるのは嘘の無い事実なんだから」


エレン「・・・ミーナ・・」


ミーナ「話戻すけど、あの日は大変だったね・・・私は初めて言われたよ。お兄ちゃんから『近付くな』だなんて」


エレン「悪かった・・・」


ミーナ「私は泣き出しそうになったよ・・・でもその後に違う意味で本当に泣いちゃったかな」


エレン「・・・・・・」



ミーナ「私の命は・・・お兄ちゃんという存在よりも軽いよ。でも・・・命よりも重いものなんて、お兄ちゃんしかいないよ」



そんなことない・・・お前ほど重い命はこの世にはない



ミーナ「私は周りから嫌われようと陰口をたたかれようと・・・大事なものが傍にあれば私は傷付かないから」



なんで・・・知ってるんだよ・・・・・言った覚えなんかないぞ



ミーナ「それは、犬や猫でさえ・・・・・ましてや、幽霊でさえも私と同じ事を感じるんじゃない・・・かな」


ミーナ「お兄ちゃんは幽霊が何故そこにいるのか、何故幽霊はお兄ちゃんの目に映ろうとするのか」


ミーナ「幽霊が何を目的として、何を求めていて・・・それが本当に答えなのか。彷徨える者なら助けて成仏させてあげなくちゃ・・・・でも、それがお兄ちゃんの願望じゃないなら、私はお兄ちゃんを咎めないよ」


ミーナ「だって、互いの利害が一致しないのなら片方の自己満足に過ぎないもの。だから無理なんてしなくて良いんだから・・・」




「・・・・ね?そうでしょ。エレン」



腕を回したままの体勢で俺の身体を跨ぎ、そのままもう片方の足も身体を越えて、ミーナは右側に転がりついた


いつの間にか息も整っており、無意識のうちに平常運転を続けていた



ミーナ「・・・お兄ちゃん」



呼ばれて頭を身体ごと右に向けたら、ミーナは目を閉じたままにっこりと口角を上げていた


頬は微かに桜色。そして小さく口を開き「だいじょうぶ・・・だいじょうぶ・・・・」と子供をあやす様に頭を撫でながら繰り返す


小鹿のように細くて柔らかい肉付きをした妹の身体を抱き締めた



ミーナの言った通り・・・全然力が出ない


強く抱き締めたつもりだったのに、全然力が入らない。寧ろ逆に抱き寄せられた


本当に・・・今の俺は弱々しいんだ



「豆電球点けたままで良いの・・・?」


「眠れないか?」


「うぅん・・・ぐっすり寝れそう」


「俺も同じだ」


「そっかぁ・・・・おんなじだね・・・」



その夜、携帯はそれから明かりを灯す事はなかった

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ーーー



”誰かの為”とは言い訳なのだろうか


実際何かをする場合”誰かの為”という理由を取り払えば、行動に理由らしい理由は皆目検討もつかなくなる時がある


そしてその理由を後から模索している時点でその理由は即席の後付け


勝負に負けた後に『あの時に、ああすれば良かった』というのと同じだ。負け犬の遠吠えの様なもの


事が起こった後に理由を求める


理由があるから行動するのと、行動してから理由を見つけたは全くの別物だ



では”誰かの為”とは何なのか



理由らしい理由として捉えてもいいのか・・・でもそれは本当に自分に利益があるのかどうかに隣接すると思う



誰かの為にした結果に対し、自分の得があったのなら、それは理由として妥当だろう


でも100%全てが自分じゃないその誰かの得になるのなら、それは本当に虫の良い話。或いは偽善、或いは献身的、或いは優しさ、或いは自己犠牲、自己重要感皆無な話である



時には善であり悪である


だが表面上、悪いとは言わない。そして良いとも思えない


相手からしてみたら、自分の為に幸福を与えてくれた。それだけで善なのだと捉えれる


自分からしてみたら、相手の為に身を呈して幸福を与えた・・・それだけしか感じないなら、それだけでいい


極端な話・・・自分が死ぬ代わりに相手は生きる。相手が死ぬ代わりに自分は生きる


もしこんな馬鹿げた選択肢があるのだとしたら、今までの例えが全て逆転する


もし自分だけが助かったら、自分が悪になってしまう



その逆でも同じであろうと仮定できる


たとえ相手が同意した上でのものでも、罪悪感とは残るものだろう。間違いない


”申し訳ない”という感情も深く考えれば、謙虚という訳でも、遠慮という訳でもない

妥協や諦めを表した言葉だと言える


自己犠牲には相手に与えるダメージはそれなりに存在するという訳だ


自己犠牲をした者はその身に。

された者はその気持ちに。


そんな心情の問題


それが悪として捉えた場合の残るもの




なら両方が得をする理想とする自己犠牲


善として残るものは何か




エレン「んっ・・・ふぁぁ・・・・・」


ぺトラ「おはよう、エレン君」



・・・・ミーナは、もう起きてリビングにでも行っているのだろうか?



エレン「おはよう・・・今日は何曜日だっけか」


ぺトラ「えー?今日は土曜日だよ?学校休み過ぎて曜日感覚忘れちゃった?」


エレン「休み過ぎって・・・まだ、たった3日だぞ」



ぺトラ先生はいつもと違って、前髪に黒のピン2本で纏められており、服装は学生の制服にも似たポロシャツにネクタイ、黒の膝下ラインのスカートにタイツ


若いからこそ似合う新鮮味のある格好だな。若作りも程々にしとけよな・・・



ぺトラ「くしゅっ・・・ふぁ寒いな」



そう言いながら袖がぶかぶかな紺色のパーカーを羽織った


街に出た時とかたまに思う


寒いと分かっているのに何故女性はミニスカート等を穿くのだろうか、と・・・痴女なのか疑う



エレン「んーっ・・・」



両腕を天高く精一杯に伸ばしたら、背筋辺りにある骨がパキって甲高い音が鳴った



にしても気分の良い朝だ。昨日は時間に余裕があったから9時くらいに寝て、十分に休養出来た


きっとミーナと一緒に寝れたというのも1つの理由として妥当だろう


まぁ停学中の身であるから時間には余裕あり過ぎるんだけどな


学校から提示された停学7日分の課題も初日の半日で終わらせたし、する事ないし、バイト行ったも客来ないし、テレビ見る気ないし、本読む気ないし、勉強の気分じゃないし、ミーナ可愛いし・・・



でも今は、そんなことより



ぺトラ「あっ!電柱にスズメが8羽並んでる」



ぺトラ先生はカーテンを開け、そして窓も開けて、そう一言告げた


くるりと振り返りキャッキャと一人騒いでいる大人の姿・・・そんな幼稚な行動もぺトラ先生だから許されるのかと



エレン「ぺトラ先生?」


ぺトラ「ん、どうしたのかしら?」


エレン「そこの窓の横にある携帯を取ってくれないか?」



俺は右手で寝ぼけ眼を擦りながら、左手で充電器に繋がれたスマートフォンを指さした



ぺトラ「良いよ」


エレン「ありがとな」



携帯を手に取り、ベッドで上半身だけを起こした俺の元に携帯を持ってきてくれた




ぺトラ「電話でもするの・・・?」


エレン「まぁそんなとこだ」


ぺトラ「ふぅん・・・」



PiPi・・・・Pi・・・ぷるるる





「もしもし・・・警察ですか?不法侵入です」





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ミーナ「もうー!お兄ちゃんってば、朝っぱらから警察に迷惑かけないの!」



腰に手を当て、少々前傾姿勢で覗き込んでくる妹


犬の尻尾のような真っ黒な二つの縛られた髪が、ふわふわと揺れて、ほんのりと柑橘系の香りが鼻に透き通る



エレン「悪い悪い・・・軽く寝惚けてたから冷静な判断が取れなかった」


ぺトラ「私からしてみたら冷静過ぎる判断に度胆を抜かれたよ」



冷静だったから、通報の考えが出たのか


冷静じゃないから、通報してしまったのか


誠に皆無である


だが言える事とすれば、多少の悪意が有ったことは認めよう




エレン「で、何の用?」


ぺトラ「別に無いけど?」



顎に人差し指を置き、キョトンとした顔のぺトラ先生



エレン「要件も無く来たのか?」


ぺトラ「会うのに理由がなくちゃダメだった・・・かな」



理由が無いなんて事無いだろ


だって自分で言ってるじゃないか


それは”会いたかった”というのが理由なんだと思うけど、ぺトラ先生にはそれは言わない事にする



だって言ってぺトラ先生が微妙な表情を浮かべたら俺はきっともうぺトラ先生の前に顔を出す事を全力で拒否するようになってしまいそうだから


それよりも、それを理由として分かってる上で俺に言っているのだろうか?


会いたいなら、会いたいって言ってくれれば良いのに



エレン「良いけど・・・来るなら来るって言ってくれないと何の持て成しも出来ないだろ」


ぺトラ「・・・・・ぁ・・・う、うん」


ミーナ「ん、どうしたのですか・・・?」



目線を下げて何かをゴニョゴニョと言い始めた



ぺトラ「エレン君のツンデレのデレが出たから・・・・だから、ちょっとだけ・・・胸が高まったかも」



待て待て・・・持て成しをする事が俺のデレなの?


俺ってそこまでドライな人間だっただろうか


そこまで対人関係に難の有る絶望人間じゃないぞ


そんな俺は落魄れちゃいない!・・・多分



エレン「なんか乙女みたいな事吐かしているとこ悪いが、俺はいつからツンデレなんていうストレッサーにキャラ設定されているんだ。片腹痛いわ」


ミーナ「お兄ちゃんの空気の読めなさ具合に、私は途轍もなくガッカリだよ・・・ミーナ的にポイント低いよ」


エレン「というか、ぺトラ先生には悪いけど今日は出掛けるんだけど・・・」


ぺトラ「意外ね」


エレン「この時に使う『意外』という言葉は悪質な方向でしか捉えれないからな?覚えとけよ」




遠回しに引き篭りだと俺に言ってるようなもんだからな


まぁ否定できないけどさ


でも意外とまで言える程俺は家を出入りしてなかっただろうか



ぺトラ「で、何処行くのかしら・・・?」


エレン「ミーナと母さんの実家があった所に、ちょっとな・・・」


ミーナ「・・・・・」



俯いたミーナの頭に、ぽんっと右手を置く



ぺトラ「実家が”あった”・・・?」



エレン「あぁ。あった場所だ。もう誰も住んでいなくて、いつの間にか売地になった場所なんだけど・・・」


ぺトラ「どうしてそこへ今日行くの・・・?」


エレン「母さんの命日だから・・・」


ぺトラ「!?」


エレン「だから行くんだ」


ぺトラ「そ、そう。お母様は亡くなっていらしたの・・・ね」


ミーナ「お墓だけは実家の近くにってお母さんが言っていたそうなんです」



俯いたままミーナはぺトラ先生に向かって、そう告げた



ぺトラ「・・・・・今日は来ちゃまずかったかしら」



いつもと違ってシリアスな声で囁くように漏らした本音


数秒前とは違ってトーンが一段下がって聞こえるか聞こえないかの微音


やっぱり今日のぺトラ先生はらしくない


いや、空気が読めているだけ・・・かもしれない



エレン「ぺトラ先生も行きますか?電車で2時間程ですが・・・」


ぺトラ「なんなら私が車で」

ミーナ「あのっ・・・」


咄嗟に顔を上げたミーナがぺトラ先生の言葉を打ち消した


ぺトラ「な、なにか悪く事でも言ったかしら?」


ミーナ「電車で行きたいんです」



ぺトラ「電車・・・?」



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ーーー



がたんごとんっ・・・がたんごとんっ・・・・



度々上下に揺れる感覚が、どこか心地良い


変わりゆく街並みが、まるでタイムスリップで時間を遡っている、または戻っているかのよう・・・そんな感覚に脳が錯覚させられる


走馬灯とはこんな感じで頭に流れ込んでくるのだろうか?と、さくさくぱんだのキャラプロフィール並みにどうでもいい事を考えている今日この頃



ぺトラ「そう・・・電車はエレン君達の思い出なのね」


ミーナ「私は覚えてませんがお兄ちゃんと私とお母さんでよく電車に乗って車窓を眺めながらって・・・。えへへ、どうして私覚えてないのかな・・・・・寂しいな」



そんな悲愴を漏らし、こてんっと頭を俺の肩に乗せてきた妹


何処か遠い目をしており、見てて居た堪れない


なんとなく分かる・・・その心持ちは


大切な人の事を忘れてしまった罪悪感


それが例え仕方ない事だったとしても、自らは許せない事なのだろう


そんな気持ちを察して俺は妹の肩に手を回して、少し力を入れてググっと抱き寄せた



ミーナ「おにいちゃん・・・」



いつまで経ってもミーナは小さいな。そう感じた瞬間であった



エレン「ぺトラ先生は思い出って何だと思います・・・?」



「んー・・・そうだなぁ」額に人差し指を突き立てて考え始めた



ぺトラ「思い出は思い出だよ。不幸から幸福まで全てを水のように吸収する一本の木・・・かな。時に紅葉させたり時に花を咲かせたり、時に枯れたり・・・人生を語る象徴だと、私は思うかな」



思った以上に早い返事だった。5秒もかからなかっただろう


そして想像以上に深くて・・・驚かされる返事だった



エレン「・・・・・え・・・?」


ミーナ「どうしたの、お兄ちゃん」


ぺトラ「へ、変なこと言っちゃったかな。やっぱらしくない事は言わない方が良いよね!ねっ?」



開いた片手を口の前に少し照れ隠しをする素振りを見せる



不本意ながらぺトラ先生の言葉に感銘を受けたというか・・・・別に不満だったという訳ではない


だからといって不本意というのを取り消す事はまた別件で・・・



エレン「いや・・・ぺトラ先生が、昔の友達と同じこと言ったからさ・・・・・その驚いてさ。えと・・・何?それはネットのコピペとかなの?」



・・・・・・そっか・・・



そうなんだよ・・・・少し前から思ってた



ぺトラ先生に俺が執心する理由は此処に有ったんだ



ぺトラ「違う違う!その・・・そんな想像が浮かんできたから、そう口走っただけ。そんなこと言ったら、そのお友達哀しんじゃうんじゃない?」



そんな子供の様な無垢な振舞い



エレン「・・・言いたいこと言われちゃったな。なんか拍子抜けだな」


ミーナ「ぺトラさん凄いですね」


ぺトラ「もしかして私ってエレン君とミーナちゃんのお友達に似てるのかもね」



何処か身勝手で自分本位な傲慢さ



ミーナ「どうなの、お兄ちゃん?」


エレン「・・・・少しだけ・・・少しだけだかんな?」


ぺトラ「えっ!?ほんとっ!?やった!私調子乗っちゃうよ!」



喜怒哀楽を見せやすい槃特さと純情加減



エレン「そういう腑抜けたところは似てない・・・ぞ。ただ・・・その・・・・・なんだ・・・・やっぱなんでもない」



正直、意識したら瓜二つの様に思えてきた



ぺトラ「ええっ!?言ってくれたって良いんじゃないの!?」


エレン「言わねえよ!ばーか!」


ミーナ「見事にお兄ちゃんが動揺してる」


ぺトラ「どうして?」


ミーナ「この状況下で『ばか』という罵倒が先ずおかしい・・・・それにあのお兄ちゃんの瞬時に出た否定が『ばか』だけって・・・そんな安易な」

エレン「口を閉ざそうな!?」


ぺトラ「そんなこと言われたら逆に気になるわね」



エレン「言わないと言っているのに言う奴がいると思うか?」


ぺトラ「言ってくれなきゃリコちゃんに『エレン君の趣味は爆乳』って言ってやる」


エレン「恐らく、託けた10分後にぺトラ先生はコンクリ詰められて深海の奥深くだな」


ミーナ「ね。お兄ちゃん・・・私も気になるなぁ。そのお友達とぺトラさんが似てるポイント」


エレン「い、言えないって」


ミーナ「おねがい」


エレン「ダメだって」


ミーナ「こんなにお願いしてもダメなの・・・?」


エレン「ダメなものはダメだ。というか、こんなにって言うほどお願いしてないだろ」



ミーナ「もう!アニさんに言うからね!お兄ちゃんが昨日一緒に」


エレン「わかった!言う!言うからっ!!」



そこでアニを出すのか!?あいつからゴミを見るような目で見られたら生きていけねえなぁ、いけねえよ!



ミーナ「私は隠し事の無いお兄ちゃんが大好きだよ!」


ぺトラ「一番最強なのってミーナちゃんよね・・・」


エレン「あっ・・・もうそろそろ着くから、あっちに着いてからだな!っな?」


ぺトラ「え?もう着いた?」



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ーーーーーー
ーーー




ひゅぅっと心地の良い適温な風が吹く


周りを見渡したら目に入るのは猫じゃらし


風が吹く度に波打つように周りの草や木の葉が、ゆったりふわふわと揺れる



ミーナ「ちょっと風が冷たいかも・・・」


エレン「そうか?俺は季節の割には暖かい風だな・・・とか思ってたんだけど」


ミーナ「手が冷たいかも」


エレン「え?今日は気温も高いほうだぞ」


ミーナ「指先が悴んできたかも」


エレン「ぺトラ先生、手袋とか持ってないか?ミーナが困っているんだ」



この子はわざとこんな事をやっているのだろうか。わざとやっているのなら、これ程罪深い事は無いと思う


けど、1年共に過ごしてきて、それはないと私の頭は確信している



これが”素”なんだって



ぺトラ「それが演技でないというのが、最早逆に悪質に思えてきたわ」



ミーナちゃんのアピールは虚しくエレン君の鈍感という名の富士の樹海へと忘却されるのでした



エレン「というか、ミーナ?」



突如、ミーナちゃんの顔をグイっと覗き込んで真剣な眼差しで見つめるエレン君


私もそんな近くで見つめて欲しいな。そんな期待を胸にエレン君を見ている私ガイル



ミーナ「な、なに・・・?」



スっと開いた右手を胸の前に出したエレン君



エレン「そんなに寒いのなら、俺の手を握るとか考えないのか?市販の懐炉よりかは存外良いものだと思うけど・・・」



こちとらそれを望んで恥も承知で言っていたんだぞ。と言ってやりたい・・・・それを察してもらいたくて言ってたミーナちゃんが寧ろ可哀想


この鈍感野郎に恋愛の常識を教えてやりたい


あっ、私はまだ恋愛をした事ないから常識も何もないか・・・


失敬失敬・・・素人な私目がなんて調子に乗ったことを


へへっ・・・悲しいぜ!青春!



ぺトラ「なら遠慮なく」


ミーナ「お兄ちゃんのばか・・・」



私はエレン君の突き出された右手に手を伸ばし繋いだ


それと同時に、ミーナちゃんが呆れながら、もう片方の空いている左手に自分の右手を伸ばした


一瞬、ジロりとエレン君が嫌な目を私に向けた気がしたけど気のせいかな。うん


もしかして今の右手は私ではなくミーナちゃんに突き出していたのかな・・・・いや、私は確信犯じゃないから



エレン「手汗べちゃべちゃで気持ち悪いんだけど・・・」



何かを察してか、カッと目を見開き、瞬間的に手を離したミーナちゃん


女の子として言われてはならない事を言われてしまったね



必死にエレン君から目線を逸らして恥ずかしがっているミーナちゃん



ミーナ「ええっ!?今から拭くね!ごめんね・・・・まったく私の発汗作用は空気を読まないんだから・・・ううっ・・・・」


エレン「違う違う」



咄嗟に離した先程までミーナちゃんと繋がれていた右手で、手首から先を左右に揺らして否定のアピール



ミーナ「ふぇ・・・?」


エレン「手汗が物凄いのはミーナじゃなくて・・・」



そう・・・犯人は、私だっ!!



ぺトラ「なんか想像以上に・・・・緊張しちゃって・・・」



エレン「まず知っての通り、俺はぺトラ先生と手を繋ぐ為に手を差し出した訳じゃないんだが」


ぺトラ「減るもんじゃないし良いじゃない」


エレン「減る減らないの問題じゃない」


ぺトラ「エレン君は私と手を繋がざるを得ないのよ」


エレン「拒否権くらい行使させてくれ」


ぺトラ「意外だね。エレン君に拒否権なんてあったなんて」


エレン「血って服に付くと落ちにくいんだよな・・・」



・・・・・・・えっ?・・・・返り血の心配?



ぺトラ「違う違う!今のは人権損害的な意味じゃなくて・・・・エレン君はお願いしてくれたら、なんでもしてくれるじゃない」

ミス

ぺトラ「違う違う!今のは人権損害的な意味じゃなくて・・・・エレン君はお願 いしてくれたら、なんでもしてくれるじゃない」

ぺトラ「違う違う!今のは人権損害的な意味じゃなくて・・・・エレン君はお願いしたら、なんでもしてくれるじゃない」



エレン「へーへー。俺はそんな風に思われていたのか。誠に残念極まりない」



そんな殺伐としながらも平凡な会話を繰り広げていたら、ミーナちゃんが周りを見渡しながら唸り始めたけど、どしたのわさわさ



ミーナ「んー・・・」


エレン「どうした?」


ミーナ「いや、この辺りって去年工事していたよね。町おこし的なので」


エレン「そういえばそうだな」


ミーナ「山が切り開かれて、道が舗装されて・・・。なんか見渡す限りの草原になっただけだね」


エレン「途中で過ちに気付いたんだろ。需要がない事にさ」


ミーナ「ちょっと楽しみだったのに」



エレン「そうか?町が借金を抱える前に問題に気付けたんだ。俺としては存外満足な結果だぞ・・・・別に俺が心配する理由はないけどさ」


ぺトラ「エレン君ってさ、水族館とか動物園とかの存在に疑問を持つタイプでしょ」


エレン「ん、なんで?」


ぺトラ「どうせ・・・ただの魚や動物を見て何が楽しいとか思ってるでしょ?それの為だけに何でお金を払わなきゃいけないんだ?とか」


エレン「おお・・・よく分かったな」


ぺトラ「やっぱり・・・」


エレン「でも・・・それが無意味でも行く事に意味が有るからさ」


ぺトラ「どういうこと?」


エレン「そういうのは見て楽しむ事のが大半の理由だと思うけど、俺は普段とは違う環境に行く事がリラックスになると思うから行くんだ」


ペトラ「え・・・?」



エレン「物分かりが悪いなぁ・・・物を買うことと同じだ。知らないから物を買って確かめるようなこと。まぁ現代社会では雑誌やネット等で情報は簡単に見たり聞いたり出来るから、その考えは段々薄れてきているからな」


ミーナ「つまり、その目的の物より、新しいその環境を感じる事のがお兄ちゃんは好きだと言いたいんだね」


エレン「あぁ」



昔は情報の提供元が殆どないから、新しい物は買って確かめるのが常識だったからね


エレン君が興味があるのは、見に行くものより、環境だけなんだね



ミーナ「え・・・でも、それって私と行く時は多少は嫌だと感じていたのかな・・・・」


エレン「ミーナが幸せなら俺も幸せだ。だって・・・それが生きがいでもあるのだから」


ぺトラ「格好良いけどさ・・・他人の為に自分は我慢するって辛くない?」


エレン「だからミーナが幸せなら、それでいいんだよ」



エレン君の声のトーンが1つ下がった



ペトラ「でも・・・その他人に当たる人は、それが寧ろ罪悪感になっちゃう事もあるのよ?」


エレン「俺が他人に時間を注いで誰が損するんだ」


ぺトラ「でも!それでさっきミーナちゃんは心配になってあんな事を・・・」

エレン「いい加減にしてくれ」


ぺトラ「・・・・え?」


エレン「俺がした事に対して嫌味をぶつけやがって・・・俺が損して誰に迷惑が掛かるんだよ・・・・」


ミーナ「お兄ちゃん!」



私の身体を凍てつくナイフで刺されたような・・・痛みに気付いたのがワンテンポ遅かった



ぺトラ「ご、ごめ・・・ごめんなさい・・・・あっ今のは、その・・・エレン君の事を否定した訳じゃなくて、ね。ただ私はエレン君の負担を少しだけでもいいから痛み分け出来たらな。というか・・・良い理想に変えれたら良いなって思って・・・・」


エレン「・・・・・・・」


ぺトラ「その・・・嫌味とか皮肉とかじゃないよ。もっとエレン君の事を助けたいというよりか、守りたいんだ。ごめん・・・上手く言葉に出来ないけど、兎に角・・・・私はエレン君の味方だから」


エレン「・・・・・ぺトラ先生って本当に良い人ですね。そういう・・・素直で人間らしい優しさは好きですよ」



にこっとエレン君は笑った。・・・・笑った?



ぺトラ「なんで敬語なのよ・・・逆に恥ずかしいじゃない・・・・・って、あれ?エレン君、怒ってたんじゃないの!?」


エレン「あはは、演技に決まってるだろ。もしかして俺って俳優の見込みあるのかもな」


ミーナ「・・・・・」


ぺトラ「な、なんだぁ・・・んもう!エレン君に嫌われちゃったかと思って私はもう!私はぁ・・・」



エレン「というか今朝から、ずっと思ってたんだけどさ・・・・なんで普通に俺と話しているんだ?」


ぺトラ「え?好きだから」


エレン「んな小っ恥ずかしい事を聞いているんじゃない!・・・・俺が何をしたのかを、もう忘れたのか」


ぺトラ「・・・・・。ん、知らないよ?」


エレン「そう簡単に記憶がリセットされるなんて、遂に頭を白アリにでも侵略されたか」


ぺトラ「良いのよ。私はエレン君の味方だもの・・・だからエレン君がどんな悪者だったとしても傍に居てあげるわ」


ミーナ「・・・・あっ・・・ほんとだ・・・・あの人にそっくり・・」


ぺトラ「ん、ミーナちゃん何か言った?」


ミーナ「うぅん!何にも言ってないですよ?えへへ・・・ぺトラ先生は良い人ですね!お兄ちゃんは幸せ者だなぁ」



エレン「残念な事に嬉しいって思った自分がいる」


ぺトラ「”残念な事に”の使い方おかしくないかな?かな?」


エレン「だって・・・・不覚にもぺトラ先生が格好良いって思えてしまったんだから」


ぺトラ「・・・そ、そう」


エレン「・・・おう」


ミーナ「お兄ちゃんはあげませんから」


ぺトラ「・・・・・え?」


エレン「俺は物じゃないぞ」


ぺトラ「いや!ちょっと待って・・・今の発言おかしくない!?」



エレン「ん?」


ミーナ「え?お兄ちゃん、私なんか変なこと言ったかな?」


エレン「なんも言ってないだろ。ほら、ぺトラ先生ってヒステリックだからさ・・・・気付いて察してやれよ」


ぺトラ「なんで私の人間性がズレてるみたいな流れになってるのよ」


エレン「そう思ってるから、こっちもそれ相応の受け答えをしているんだろうが。それが事実だ・・・分かるだろう?」



本人いる前で聞くのも悪いし聞かないでおこう


エレン君がシスコンなのは奇しくも仕方無く認めていたけど、その妹までブラコンだなんて詰んでしまったようなものじゃない


でも・・・そうなってしまっても、おかしくなんかないのかな


だって、きょうだいは親よりも人生における唯一無二として永く永く・・・共に過去を共有できる存在だし、信頼できる家族なんだから



親じゃ出来ない事も親身になれる


年が近しいからこそしか理解出来るという現実だってある


例を挙げだすとキリがないけど・・・


エレン君達にはお母様がいないんだ


だから、そうなってしまってもおかしくないなんて思えちゃう


ミーナちゃんの頼るものが、そこにあって・・・・。そしてその頼るもの・・・エレン君のあの性格


憧れるようなもんじゃないけど・・・私も、もしエレン君の妹だったら・・・・好きになってもおかしくないと思う


優しく育てられれば優しく育つし、だけど優し過ぎると甘えた性格に子供は育つ


でも、甘やかし過ぎると・・・逆に育ててもらってる方が気を使って生きるようになってしまう


自分が”負担”なのだと、”迷惑”なのだと錯覚してしまう



子供にだって、そんな不安は抱いてしまうもの

相手が親身になって自分を分かってくれているのなら、自分だって相手の事くらい分かってくる


『あぁ苦労しているんだな』『嬉しいんだ』・・・なら自分はどうすれば良いのか自分の仮面を代えて育つのだろう


ミーナちゃんはそこまで重症なわけではないけど・・・


でも、実際に虐待などを受けて育った人間はそんな空気の読める人間に育ってしまうこともある


だから例えそうなるとは限らないけど、育ちの環境で気持ちも性格も何もかも変わってくる


それを踏まえた上で私が感じた疑問は・・・


恋愛対象としてミーナちゃんはエレン君を見ているのか、それとも家族という枠組みで傍に居てほしい・・・そんな意味で好きだというのかという疑問



結果として、きょうだいの居なかった私にはこの気持ちは分からないんだけどね



ぺトラ「ミーナちゃんはエレン君の事・・・好き?・・・・大好き?」


ミーナ「私のお兄ちゃんですよ・・・?大好きに決まっているじゃないですか」



え?なんでエレン君は顔を今まで見たことないくらいにニコニコさせてるの?やだ、額縁に飾りたい


なんでそんなに、そっぽ向きながらほっぺたとか真っ赤にしてるの?撮影して拡大して等身大で印刷したい


思うけど、やっぱりこの二人の距離感は異常!


というか・・・・ミーナちゃんって、こんな心臓破裂寸前並みの重症なブラコンだなんて知らなかった


結構この兄妹とは関わってきた気がするんだけど、なんで気が付かなかったんだろう


シスコンがカモフラージュして、ブラコンが隠れて見えなかったのね、多分



ぺトラ「・・・・というか、この辺りって私の実家もこの近くなのよね」



エレン「それはそれは・・・奇遇だな」


ぺトラ「なんか色々変わってたから気付かなかったし、昔に2度くらいしか来たことないし」


エレン「だからこの辺りは町興しで色々改変があったんだよ」


ぺトラ「なんか悲しいわね」


ミーナ「ですね。思い出を無理に消させられるなんて・・・」


エレン「変わらないものなんて無いと思うけど」


ぺトラ「そんなこともないんじゃない」


ミーナ「盛者必衰・・・ですね」


ぺトラ「変わらないものだって有ると思うよ」



エレン「『いつも通り』って誰もがよく使う言葉だけど、いつも通り程難しいものはないんだぞ」


ぺトラ「あぁ・・・よく考えればそうね」


エレン「そんなことが出来れば人生にトラブルなんて起きないからな。まぁ人生の最底辺まで行ってしまえば話は別だが」


ぺトラ「うぅ論破された」


エレン「いや・・・これはとある先輩の受け売りだよ」



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今回はここまでですので

読んでいただきありがとうございました

フローリングですね。間違えてました




母さんのお墓の前に立って『虚しくない』と感じだしたのは、いつからだろうか


昔は、足首に枷でも付けたかのように足が重く、向かう事に拒否反応を起こしていた


『行きたくない』ではなく『行けない』という心持ちだった


行かなきゃならないのに、行ったら何かを失うような気がしていた


そこに行ったら何かが破滅してしまうのではないかと思っていた




そして、今・・・いつ間にかその『何か』を失っていた事に、ようやく気付いた




それは大事なものだったのだろうか。それならば、何故大事なものだったのに失ってしまったのだろうか



失ってどれくらい時間は過ぎたのだろう

失ったものの大きさはどれくらいなのだろう

それに・・・気付けたのは、何故今なのだろう


不明であるからこそ、不安がない・・・そんな答えが曖昧な思考に漸く嫌気がさした



『大丈夫だよ。私も一緒に行くから』

『・・・・来なくていい』

『あなたが---なんだって、私は知ってるから・・・・だから今度は私が傍にいてあげる』

『お兄ちゃんは虫じゃないですよ』

『ふふっ・・・そうだね。でも、いつか分かる時が来るから』

『分かる時・・・・ですか?』

『その時は、あなたがお兄ちゃんを支えるんだよ。もちろん!私も手を差し延べるから』

『俺はそんなに弱くない』

『弱いよ。弱いから-・・・』



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人生とはお金と同じだ


先に楽しんで後に苦労するか

先に苦労して後に楽しむか


借金して後に返すか

貯金して後に使うか



つまりは、人生において勉強等を先に熟しておけば後の人生は楽しめる


だがしかし、逆にそれを後回しにしてしまうと年を重ねて覚えや筋力が衰えるように、借金も利子が付き・・・後に大幅な苦労を重ねることになる


だがそれは、自分で決めること



若いうちに人生を学び楽しんでおくのも又ひとつの生き方


それは悪いとは言えないし、生き方を否定するわけでもない


実際問題、勉強をしなかったけど社会人として十分に充実した生活をおくれているという人は星の数ほどにいるだろう


だから何がいけなくて、何が良いのかという人生を語る基盤など何処にもない


それは、ただ自分にルールのようなものを課せているだけ


損するくらいなら、無駄なものでさえ全てを受け止める


無駄なものも手に入るけど、欲しい物も全て手に入る


それが最も得のする方法なのではないか・・・と思う



だから、人生に損は付きものだ。それは得をする為のリスクに過ぎないのだから



エレン「思うんだ」


ぺトラ「藪から棒にどうしたの?」


エレン「ぺトラ先生って、英語でいったら『N』ぽいよな」


ぺトラ「ごめん、的を射た発言をしてくれるかな」



お墓に水を掛けながら、ぺトラ先生がらしからぬ的確なツッコミをした


うん。無言で気まずかったから、何となく思い付いた事を適当に言ったんだ


悪かったと思っている。多分二割はそんな気持ち


あと八割はミーナのポニーテールによって発生した項という秘密の花園の事を眺め考えていた



ミーナ「お兄ちゃん、私は?」



エレン「『C』だな」


ミーナ「ほう、それはどうしてかな?」



『ミーナの胸のサイズの印象強くて』なんて言ったら俺は土に埋められて肥料にされるだろうな。危ない危ない



エレン「可愛い(cute)のCさ」


ミーナ「わわっ・・・」


ぺトラ「エレン君、流石に寒いわよ」



自分で言っててそれは少し思ったけど・・・いや、別に俺は傷付いてないからね?ぜんぜんっ!



エレン「因みにぺトラ先生のNは、ゴミクズのNだ」



そんなことを言った自分が悪いのだけど、そんな害虫を潰す時ような態度で反応したぺトラ先生も悪い・・・・と思う


俺の辞書に自業自得なんて文字はない!

うん・・・検索結果の最初の文字はきっとあれだな・・・・えと・・・・・世界平和・・・かな。若しくは地球温暖化か少子高齢化だ



ぺトラ「どこにNが入っているって言うのよ!?」



うむ。90点はあげれるツッコミだ



エレン「gomikuzu/gomi- kudo- ゴミクドゥー/【名詞】茶髪で戯け者の女教師の意。または愚か者の総称【形容】gomikuzly 愚か者らしい。愚鈍なよう」


ぺトラ「ねぇ、その辞書的な罵倒の仕方おかしくない!?というか『茶髪で戯け者の女教師』って明らかに私を断定してるでしょ!?」


エレン「例文:Is she gomikuzu? Yes,I am.By the way, it is her name Petra. (彼女は茶髪で戯け者の女教師ですか? はい、そうです。ちなみに彼女の名前はぺトラです)」


ぺトラ「こんな頭の良いバカのされ方は生まれて初めてだよ。というか、まともにN使われてないじゃない!」



エレン「良いつっこみだなぁ。安心したよ・・・やっぱりぺトラ先生は面白い」


ぺトラ「安心の意味を履き違えてない?」


ミーナ「私も安心しましたよ」


ぺトラ「ミーナちゃん!?」



ミーナがそう呟いた。それは不思議というか何がなんだか俺には分からなかった


「ふふっ・・・」とミーナは目を閉じて、頬の口角を上げて安らかな笑顔を浮かべた


その顔に・・・どこか懐かしさを感じた。いつも見ている笑顔なのに、違ったように見えた


ぺトラ先生は変に眉根を顰め、口をぱくぱくとさせて慌てていた


そんなぺトラさんの耳もとに顔を寄せたミーナ



ミーナ『お兄ちゃんがこんなに明るく話してるのなんて、ぺトラさんのお陰ですよ?』


ぺトラ『普通じゃない?』


ミーナ『・・・今、此処にいるお兄ちゃんは、ぺトラさんのお陰で、こんなにも笑顔でいられるのです』


ぺトラ『え、えと・・・??』


ミーナ『・・・ぺトラさんなら、いつか・・・いや直ぐにでも分かりますよ』


ぺトラ『直ぐに・・・?』



エレン「ミーナ。雑草の方は終わったか?」


ミーナ「おっけーだよ」



エレン「じゃあ、ほい」



雑巾を1枚手渡した。それに答え決して嫌な顔をせず、ミーナはコクコクと頷いた


雑巾をバケツに入っていた水に浸そうとし、バケツに突っ込んだ瞬間に「ちべたっ!」と少し高い声を発した



やはり可愛いは正義である



ぺトラ「ねぇエレン君?」


エレン「んー?」



気の抜けた軽い調子で答え、身体の方向をぺトラ先生へ向けた



ぺトラ「エレン君は運命的な出会いって信じる?」



エレン「そんな昭和の少女漫画みたいな質問生まれて初めて聞かれたわ」



正直、そんな惚れた腫れたとかいうスイーツな話題についちゃ、俺にはノウハウがとんと無いからな


相談する相手を間違えているんじゃなかろうか。もっと適した役どころの人間なら全国に星の数ほどいるだろう


本当に俺じゃ役不足だ。寧ろ演じたとしても俺は大根役者になりゆる逸材だ



ぺトラ「私はこう見えてロマンチストなの」


エレン「俺さ、今までぺトラ先生を見てロマンチストかどうかなんて気にしたことないからさ・・・。だからと言って、ぺトラ先生がロマンチストだからって『へぇ・・・意外だな!』とはならないからな」


ミーナ「この前の学校の校長先生の話でね、『私はこう見えて高いところが苦手でね・・・』って話しててさ・・・何ともコメントし難いよね。この話し方って」


エレン「こちとら知ったこっちゃないなって話だよな。だから会話をする時に『私はこう見えて』って話し始めるのは、あんまり使わないようにしりん。相手からすれば、はぁ?状態だからな」


ぺトラ「エレン君と話すとさ、あんまり話が進まないのよね」



エレン「そうか?」


ミーナ「お兄ちゃんは話の内容の結果より、原因や過程に疑問を持つタイプだからね。結果についての話に行く前にヒトネタ挟むよね」


ぺトラ「でしょ?」



きゅっきゅと雑巾で墓石の側面を拭き終わり、バケツに入っている水で雑巾を洗い始めたミーナ


それに合わせて俺とぺトラ先生も周りの清掃に区切りを付けて、道具を片付け始めた



エレン「で、運命的な出合い系サイトの話だよな」


ぺトラ「え、違うわよ」


エレン「分かってて言っているからさ、うん。だから、そんな淡泊な返事は止してくれ」


ミーナ「ぺ、ぺトラさん?お兄ちゃんにはまだ早い話ですよ・・・・だから恋ばなはまた宿にチェックインしてから私とゆっくりしましょ?」



ミーナがバケツやら雑巾やらを慌てて纏め、下ろしていた腰をあげた


何を慌てているのだろうか?


別に俺がリア充の会話に対して無頓着なのは仕方ないよ?でも会話の波についていけないからって気を遣わなくても良いんだけど


確かに3人いて、そのうちの2人で話が盛り上がってる時の残りの1人はある意味拷問に近いけどさ・・・火炎瓶持って、Here We Go!される感じ


誰と比べても優れている秀でているという事、個性や人格の違いは存在するものだから


寧ろそれは残された方が悪い事なんだ。相手に気を遣われたら『気を遣っているのにどうして気を遣われなきゃいけないんだろう』という状況における気持ちと行動の矛盾が起き、『でもここで引いたら自分本位になるという罪悪感が生まれてしまう』とか思ったりして・・・


いざ素直に受け入れたとしても、それは相手が自分に合わせてくれた事だから、何となく自分はまた気を遣って『同じこと思ってた』とか、空気の読める虚実を述べたりするんだよな。人間って風見鶏だな


結果的に、人間は壁を無意識のうちに作っているって事だ



エレン「いや・・・そんな俺に気を遣わなくたって良いぞ。大丈夫だ。力不足でも話せるから」



ミーナ「ち、違うよ!お兄ちゃんに・・・・恋とかそういうのは話して欲しくないというか・・・気付いて欲しくないというか。そういうのは早いと思うな」



どういう事なのだろうか・・・必死に脳内回転させて叩き出した答えに対して「違うよ!」の一言で打ち消されてしまった


このまま意味を理解出来ず、そして正論も出ずに黙っていたら、俺の兄として尊厳までもが打ち消されてしまうんじゃないか?


・・・・えっ、もしかして嫌われるんじゃないか!?キラワレル・・・?


そして10分後には「お兄ちゃんはそんな簡単な答えさえも導き出せないんだ・・・ぼっちきもい」と言われて、妹と人生を別々に生きていく事を余儀なくされ、俺は橋の下でダンボールをマイホームと呼び住居とする廃れた生活を送っていくことになる


そして親友の怠惰具合に絶望し、アルミンは心が荒廃し、暴力と略奪の跋扈する地獄を体現し始めた


そんな暴挙と化したアルミンを食い止めようとしたアニ・・・でも破滅した脳内にアニの救済の言葉はアルミンには永遠に届かなかった


血を血で洗う生活・・・街は誰のかも分からない赤黒い液体が装飾されていった



アルミン「・・・・やっと追い詰めた」


アニ「まったく・・・傷付くよ。一体、いつからあんたは私をそんな目で見るようになったの?」


アルミン「いつ・・・か。いつからだろうね。世界が変わったからって変わらなかったアニに問題があったんじゃないのかな」


アニ「ふっ・・・そうだね。で、そのナイフは・・・仕舞うつもりはないのかい?」


アルミン「あはは!面白いこと言うね!こんな状況でさ!?」


アニ「あんたは・・・変わったよ」


アルミン「そう思うなら素直に諦めなよ」


アニ「・・・・・・。私があんたの・・・良い人で良かったね」


アルミン「そうだね」



アニ「あぁ・・・あの時、エレンがミーナに正しい返事をしていれば、こんな事には」


アルミン「もういい。それはこれ以上聞いてられない。・・・・・・・不毛・・・・ズタズタに削いでやる」


そして全てが赤と灰色の世界に染まってしまった


そう・・・アニの言う通り、あの時に俺がミーナの言葉を理解出来ていれば、こんな事にはならなかったんだ



~fin~



エレン「・・・アルミンが人殺しなんて・・・・くそっ」


ぺトラ「何をどう処理すればミーナちゃんのお兄ちゃん独占ラブ発言から、そんな反応が出来るのかしら?先生困っちゃうよ、切実な方で」


エレン「はっ!?え?そうだったのか?」



ミーナ「ぺトラさん!べ、別にそういう意味じゃありませんからっ!」


エレン「あっ、わかったぞ。俺が頑張って嘘混じりの恋愛を語る見窄らしい姿なんて見たくないって事なんだな・・・・ごめんな。結果的に恥をかいてしまうのは妹のお前なんだよな。申し訳ない・・・でもな、俺はぺトラ先生の期待を裏切るわけにもいかないわけでな。でもミーナが思っている以上に俺は嘘と言い訳は得意だから。昔はあいつを出し抜く為に色々な言い訳も考えてきた。ぺトラ先生はあいつほど闇は大きくないし、傷付くよりか傷付けられて嬉しいみたいなマゾフィストだし。だからぺトラ先生を騙す事も傷付けない事も・・・・ほんと容易いんだよ苦笑」


ぺトラ「あっ・・・これ冗談無しにヤバいほうね。エレン君の脳内処理が追いついてない。最後に自分で『苦笑』とか言ってるし」


ミーナ「それよりぺトラさんって、マ」

ぺトラ「忘れなさい」


ミーナ「いや、でも」


ぺトラ「さぁ荷物を持って宿に行きましょ?ほら、エレン君肩貸してあげるよ」


エレン「あぁ・・・」


ペトラ「電車でのお友達の話はまた後よ」


ミーナ「忘れる云々より、まずは否定をしてくださいよ!あっ!待ってください!」



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どれほどに時間が経って、季節は流れて


どれほどに私の存在が色褪せたって


私はこの手のひらに、また戻ってきてほしいよ


あの陽だまりのように温かかった・・・あなたの存在全てを



クリスタ「おはよ・・・今朝も清々しいね」



私は写真立てに飾られた写真に向かって朝の挨拶を行った



彼は笑ったまま私を見ていた


そしてその彼の隣で肩を組まれて頬を赤く染めている私は本当に幸せそう。


目を瞑れば思い出す時間に心締め付けられる・・・今の私とは真反対だね



クリスタ「希望の朝だね。このまま家に篭っていたら、あなたはまた迎えに来てくれるかな」



来てくれるなら早く来て欲しいな


それでね、ゆっくり学校まで歩いて、回り道して・・・・少しでも一緒にいて欲しいな


その時は、また前みたいに私に・・・笑顔で・・・・


その温かくて大きい手を差し延べてくれるよね


写真立てを片手で持ち、眠気眼で虚ろになって映る目の前



人差し指で目を擦り、「ふぁぁ・・・」とまるで魂が出ていきそうな気の抜けた欠伸をした


でも、私はもう魂は抜けている感覚がある。って、もう意味が分からないね


口を動かすのも話を聞くのも・・・本心から沸き上がる無関心という名の現実逃避が一切を否定的にさせてしまう


脱力感、虚無感、寂寥感、孤独感、漂流感、疎外感、孤立感・・・私の意思など無関係に着々と、このような感覚が取り込まれていく


否定し難い絶望という名の沼地に足を連れ去られたところなんだ


残酷にも私の頭の中には、独りでいることの寂しさを理解しようとなんてしなかった


それが、嘘・・・なんだって


絶対にこれは、悪い夢・・・なんだって


だから私は弱々しく成長しているんだ


現実を理解できてない・・・まるで不安を覚えたばかりの無知の子供のよう



クリスタ「今でも・・・あなたを見ただけで、隣にいるのが私に見えちゃうんだよ。そこに居るのが・・・”クリスタ”なんだって・・・・・私にはそれが幻覚のように・・・・・」



そう・・・幻覚のように・・・・



私とあなたが仲良く楽しげに話し合っている”昔の私達”のように見えちゃうんだよ・・・?



ぴんぽーん・・・と、家のインターホンの鳴る音が聴こえた


5秒ほど沈黙が続いて気付いた


誰も玄関に出ようとしなかった


つまり・・・今は私しか家にはいない



クリスタ「はーい。今、出ますからぁ・・・」



手櫛で程々に髪の毛を整え、写真立てを伏せさせて、再び台の上に戻した




タッタッタッ・・・・・・ガチャ・・・




クリスタ「こんな朝早くにどうしたの、アルミンにアニ?」


アルミン「朝早くって・・・もう10時だよ?」


クリスタ「あっ・・・そっか。だからお母さんもお父さんももう仕事に出てて居ないんだ」


アニ「あんたって意外と時間にはルーズなんだね・・・・驚きだよ」


アルミン「うん。随分と思考がゆったりしているようだね」


クリスタ「えへへ・・・そうかな。休日にする事が無いから、活力が生み出されないのかもね」



今は正直、生きる気力さえ皆無なんだよね。それも休日に限らずに・・・


必死で笑顔を作ってる自分が本当に恥ずかしい


本当なら頬を上げたり歯を見せて笑う事も今の気分なら、無気力でやる気ない


・・・・・つまり、この人達に笑顔を作る事は私にとって社交辞令のようなものだろう


こうすれば私の評判は、この人達から下がらないから・・・


気が落ち込むと私はここまで人に無関心に陥ってしまうのか



ああ・・・笑うのも辛くなってきた



2人とも・・・早く帰ってくれないかな



私が現在進行形で最も求めているのは・・・・あなた達じゃないんだから



帰ってくれる事を願望として掲げている私は・・・あなた達に途轍もなく嫉妬しているんだ


だって私の居る筈の場所に、あなた達はなに食わぬ顔で平然とそこに居座っているんだから


そんな幸福に満ち満ちている顔で私を見ないでよ


こんな心寂しい気持ちを抱え込んだ私からしたら、あなた達の笑顔は”嫌味”にしか見えないんだから



アニ「それはまた老人くさい事を吐かすね」


クリスタ「私はこういう人間だもの。休む時は休むものだよ・・・それが正しい休日の過ごし方だから」



機械と一緒で、私にはONとOFFがあるんだよ。スイッチで簡易的に切り替えが出来る


でも機械とは違って、データは初期化出来ないんだよ



どうせなら全部をリスタートさせて、また中学1年生まで同じ人生を歩みたいよ


そして違う未来を築きたいよ



アルミン「今日もクリスタの笑顔は眩しいね」


クリスタ「ん・・・そうかなぁ。ありがとね・・・そんなこと言ってもらえて嬉しいよ」



何を見て、何を感じてアルミンはそんなこと言ったのかな・・・?


こんな作り笑顔を眩しいだなんて・・・


私のこと・・・・なんも分かってない・・・


私の事が分かっているのは、ただ2人だけだよ



アニ「朝から何を盛っているんだい」



アルミン「僕を発情期の犬みたいに言わないでくれないかい?」


アニ「何?例えそれが悪事だったとしても、事実を述べる事こそが正しい行動選択じゃないのかい?」



人殺しを目の前にして、その人殺しが知り合いだった


それを隠す事が正義なのか、全てを警察に届け出る事が正義なのか・・・


まぁそりゃ後者のが正義かな。そういう意味だよね?


・・・なんで私はこんな無意味な事を考えてるのかな。ほんと・・・反吐が出る・・って違う違う。溜め息の間違いだ



アルミン「それは違うよ!だって、此処に事実なんて1つも無いんだから!」



そろそろ私を省いての茶番は止めにしてほしいな


そんな締りの悪い馴れ合いは他所でやってもらいたいものだよ



だってアルミンが発情しているかどうかなんて、私には到底理解も出来ないし、微塵も興味が湧かない事実なんだし



クリスタ「で・・・何をしに来たのかな?」


アルミン「あ、ああ。クリスタも一緒に遊びに行かないかな?って・・・どうかな」



そういえば昔なら、今日みたいな休日は朝は6時には起きて15分後には家を出て、遊びに出かけていたな・・・


それはきっと・・・人生を楽しんでいたから


毎日が活力で溢れていたんだよね


うん・・・その頃はアルミンの言っていたように、私も眩しかったんだろうね。きっと・・・



クリスタ「・・・・・レン・・」


アルミン「ん?」




クリスタ「エレンは、来るの・・・かな?」



真剣な眼差しをアルミンに向けて、質問した



アニ「期待に沿えなくて悪いね・・・エレンなら、ペトラ先生から連絡があって・・・・なんか一緒に実家の方に行っているってさ」



私は一応アルミンを見て、質問をしたのだけど・・・。まぁいいか。どっちが答えようと結果は私の耳へ声は伝わるのだから


けど、これで分かった。


私は今のこの時間を無駄に過ごしているんだって・・・


目的のない努力ほど価値の無いものをはない


そう、骨折り損の草臥れ儲けだね



クリスタ「そう・・・もうそんな時期なんだね」


アルミン「・・・?」


アニ「それでクリスタは、どうだい?」


クリスタ「え?遊ぶかどうかってこと?」


アルミン「そうだよ」


クリスタ「今日は家でのんびり過ごそうかと考えてたの・・・だから、外には行きたくない・・・・かも」



10時まで余裕で熟睡していた人間に、用事があるなんて言い訳出来るわけない


変に嘘を吐いて、バレた時に嫌な印象持たれない為には、この断り方が1番妥当



用事がある事を伝えたわけでもない


それでいて一緒には居られない事を伝えれる


損がなく、それでいて傷付ける心配のない



アニ「・・・・願ったり叶ったりだね」


クリスタ「え?何か言った?」



アニが何かを小さく呟いたように聞こえたのだけど・・・



アニ「いいや、何でもないよ」



気のせいかな・・・うん。気にしてもしょうがない



人の独り言を聞き入れたところで、自分に価値あるものが発生するわけがないから


それに発生するとすれば、それははっきりと伝えるものだし・・・



クリスタ「そう・・・?」


アニ「じゃあさ・・・今からクリスタの家で遊ばないかい?」


クリスタ「え、ええーっ!困るよー!部屋とか汚いし」



私はなんでこんな寒い演技をしているのだろう


きっとこんな姿を自分で見たら抱腹絶倒だろうね。若しくは自殺レベルだよ


というか、丁重にお帰り願いたいのだけど・・・



アニ「私は気にしないよ」


アルミン「もちろん。僕もだよ」



なんでかなー・・・


なんで、そうなっちゃうのかなー・・・・



クリスタ「・・・・・・・」



本末転倒と自業自得。どちらがこの状況で合うのだろうか


まぁ・・・どちらとも似たり寄ったりな結果か



クリスタ「い・・・いいよ。でも私の部屋には絶対に入らないでね。本当に汚いから恥ずかしいんだ。だから・・・・ね?」



アルミン「うん、わかったよ」


クリスタ「じゃあ着替えてくるから、入って真っ直ぐ行ったとこのリビングで待っててね」



エレンが居ないこの連中に価値はあるのだろうか?私にとってなんの得があるのだろうか?


私って、どうしてこうも・・・最低なんだろうね


興味がないといつも霞んで全てが背景に見えちゃう。悪い癖だよね・・・でも、仕方ないよ。癖なんだから


でもそれでいて、自分の体裁を守るあたりは評価して欲しい。誰に?誰にだろう


無意味と無駄・・・・私の人生におけるパートナーともいえるワードだね。それが私の言い訳の真骨頂、支えるものだから


笑っちゃうほど性格悪いね



なんてね・・・人間なんて皆こんな性格だよね



ストレスを感じる、苛々する、不満を持つ・・・それは当たり前な感情であり、誰だって抱くものだよ


それを私が感情として抱いたって、それは特別な事でも何でもない。ましてや、私は腹黒いと主張しているわけでもない。いや、それは私が判断するような事でもないか


私はただ・・・嫌なものは嫌だ。そう思ってるだけ


そんな当たり前な感情論を、私は『最低』だと思っているあたり、少しはアルミン達を卑下にしている私を悪として捉えているのだろう


そしてそんな何もかも自分の悪に対して罪悪感を抱き、綺麗事しか並べれない人間なんて、あの妹くらいしかいないと思うよ


私はあれ程に・・・人を信じて生きている人は見たことない。それ程に純粋であり、人情深い


ほんとに・・・・人の子なのか疑うレベル




アルミン「あっ、アニ?そういえばリコ先生の方は・・・」


アニ「安心して・・・もう目星は付けてたらしい」


アルミン「アニの知ってる人だった・・・?」


アニ「一人はアルミンも知ってる・・・と思う。というか見たことがある」


アルミン「え?そうなんだ」


アニ「この前の特別授業の時にいた無口で黙々と授業受けてた奴」


アルミン「あ・・・クリスタと同じクラスの子だね」


アニ「いや、流石に私もそこまで知らないけど・・・。なんでそんなことまで知ってるの?」



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今回はここまでです

読んでいただきありがとうございました



人間とは特に面白い生物である


『人間』というその一言だけでも深みを感じる


でも『深い』という言葉1つで表せるところは浅さをも感じさせる


いや、それは『深い』という言葉自体が浅い言葉なのだろうか


綺麗な風景を見て、「実に興味深い」とか感想言われても、正直意味が分からない。そうでしょ?感想が無いが故に出る感想が『深い』だと私は思う


つまりは人間とは何なのか?実際のとこ自分でも確実には答えを見いだせてない。そしてそれは研究者だって完全完璧な結論を探し出せてないだろう


『人間とは面白い、興味深い』と言われ、その真意は皆無である


何が面白いの?能力、発想、行動、生態?


『上手く言葉には出来ない』とは言い難い。だってハッキリしてもいないし、答えの根拠もない、事実もない


何も私は人間の進化や身体の神秘について面白みを感じたいわけじゃない。ましてや、過去に連なる人間の歴史や戦争に興味があるわけでもない



私は人間の脳に興味があるんだ。その理解し難い理想や現実、希望や絶望・・・得てして得れぬ夢や想像


誰もが有しており、誰もが共有出来やしない・・・思考の密集地を知りたいんだ


では、逆の発想でこう表してみよう


人間とは何なのか分からないから面白い


そして、理解したいが故に興味が湧く


その結論故に、私は・・・・・



興味の湧かないものに存在価値を感じない




アルミン「お邪魔します」


アニ「・・・・・お邪魔します」




いそいそとキョロキョロしながら、靴を脱ぎ上がってきたアルミンと少し遅れて上がってくるアニ


アニはマフラーを外し、手持ち鞄に綺麗に折り畳んで仕舞った


そしてリビングに彼らを向かい入れ、3つのコップを食器棚から持ってきて、机の上に置いた



クリスタ「二人共何が飲みたい?」


アルミン「あっ、何でも良いよ」


クリスタ「そういう曖昧なのは女の子から嫌われやすいんだよ?ふふっ・・・」



うん。本当にそうだよ。危うく舌打ちしそうになったじゃない


そんな私の言葉を間に受けて、少し顔を俯かせ落ち込むアルミン。そんな私の対応に対してアニが鋭い睨みとも言えるような目線を向ける


あれ?私、変なこと言ってないよね




無論、アルミンも手を後頭部に置いて「だ、だよね・・・ごめん」とか無難な事を言い始める



曖昧模糊な発言は女性からしたら軽く顰蹙を買うんだよね。『どこ行く?』と聞いて、『君の好きなとこに行きたい』とか言われた日には、私はもうその人とは会う度にストレスを感じるようになる


それだったらキッパリと『行くところ考えてなかった』とか言って欲しい。それから2人で一緒に考えようかとか調べるなり出来るから


時間と好感度なんて比べなくても、どっちが大事かくらい分かるだろうに


だから、今の場合ならアルミンは『何がある?』の一言さえ言ってくれれば私だって、イラッとなんかしなかったんだ



アニ「悪いね。アルミンは空気と人心とフランス語を読むのが苦手なんでね」


アルミン「今の説明にフランス語必要だった?」


クリスタ「ふふっ・・・2人とも面白いね」



私は関節を曲げた人差し指を口元へ持っていき、心にも無くクスクスと笑った


アルミンはそんな私の態度を見たのか再び元気が戻った様子。いつの間にか普段の笑顔になっていた


そんな私の心にも無い演技に何で喜びを受けているのかな


こんなこと私はアルミンと出会った当初は思わなかったのにな。素直に勉強について質問してくれる可愛い子だなとしか思ってなかったのにな



ほんっと・・・アルミンは、薄っぺらい子だな



言葉の真意に踏み込まず、自分の事は語らず空気に合わせて台詞を並べる


そこら辺にいる男子となんら変わらないよ


3、4人くらいで固まって楽しげにそれはクラス全体に響かせるような大声で話して、時折に女子の方へ視線をチラチラと向けて『俺達の会話面白くね?』みたいに見てくるアレだよ


実際、聞いてもないし、興味も無い



こっちからすれば、何見てんの?状態ですから


別に『あっち楽しそうだし混ざろっか』とかいう展開には先ずならないから、安心して



アルミン「良かったよ・・・クリスタ怒っているんじゃないかと思って」


クリスタ「怒る怒らないというより、優柔不断が嫌なだけ」



貴方の為に時間を削らなきゃいけないのが嫌なだけ・・・と言いたかった・・・・・・というのは嘘です。うん、嘘だから



アニ「飲み物は何があるの?」



そうだよ。その質問を最初にしてよ


まぁ私が選択肢を出さなかったのも悪いけどさ



でも、わからなかったら聞けば済む事じゃない。分からなくて分からないまま終わるのと、分からなくて手間一つかけて分かるのじゃ、どう考えたって後者でしょ?


例えば、一度言われたことを忘れて、その忘れた事を人に話さなくてはならなくなった


でも忘れてしまった


この場合は、怒られてもいいから、もう一度またその事を聞いた方が確実でしょ


再び聞かないまま、『忘れてしまいました』じゃ話にならない。最早、論外の域だからね



クリスタ「苺牛乳とストロベリーティー、それと麦茶に蜜柑水、珈琲にミネラルウォーターかな」


アニ「珈琲で」


アルミン「僕は麦茶でお願いします」


クリスタ「うん。分かったよ・・・」



あぁ・・・めんどくさい・・・・



クリスタ「ミルクと砂糖は要る?」


アニ「両方要らないよ」


アルミン「僕も」



軽くイラッときた。その感情を抑えるべく、太腿をギュッと抓って、痛みに感覚を寄せた



クリスタ「あはは、アルミンには聞いてないよ」



軽くあしらい、私はキッチンへ向かった


私が去っても尚、2人は談笑を続けていた



これが普段の2人のスタンスなんだろう。アニがアルミンを罵倒して、アルミン『違うよ』的なツッコミを入れて。アルミンが1人でボケたかと思えば、アニは放置でただのアルミンのガードレールに突っ込む単独事故


そこにエレンが入れば、アルミンを擁護もやれるし、アニと共に罵倒する事も出来る


基本的に、2人vs1人の感じだね

1人vs1人vs1人とはならない関係性だね


・・・3人の中で1番仲良い関係は、アルミンとアニだよ


だって、エレンを見てて思う事がある



私からしたら、エレンに対する2人の関係性は本当に『ただの友達』にしか私には見えないんだから



ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー




~宿・和室~



エレン君が「ふぁぁ・・・」と欠伸を漏らしながら、途轍もなく溶けてしまそうなくらいホロホロで幸せそうな顔をして、ほっぺたを炬燵の机の上にペタッとつけて寛いでいる


そんなエレン君を見ているだけで、私も徳川埋蔵金でも掘り出したような高揚感に満ち満ちてくる。可愛すぎんだろ


炬燵の4辺のうち、テレビがある方向を除いて私達は座っている。テレビの対象にエレン君、テレビから見て左側がミーナちゃんで、その目の前が私


ミーナちゃんは、右肘を立てて、二の腕に左手を置き、少し高さを作ったお手製の枕に頬を預けていた


目線は迷うことなくエレン君。目はいつにも増して垂れ下がって、とろ~ん・・・としており、そして口元は緩んで「ふへへ・・・」という今にも涎が滴り落ちそうな気の抜けた声を漏らしていた。可愛すぎんだろ



ペトラ「ねぇ、エレン君はこんな話を知っている?」



私は炬燵の真ん中を陣取っていた蜜柑に手を伸ばした。ティッシュを2枚とり、自分の直ぐ目の前に広げた。そして蜜柑の皮を、じっくり剥き始めた



エレン「ん、なんだ」



ぴょこっと瞳孔だけが私に向いた


そして私がニコッと微笑んだら、エレン君は唇を尖らせて目線を逸らした。え?何か変なことしちゃったかな



ペトラ「大正2年の・・・そうだな確か4月から新聞に連載された中勘助の自伝的小説よ」



眉根を顰めて「んー・・・?」とエレンは唸った


ミーナちゃんは頭を上げて、蟀谷に手を当てて疑問符を浮かべた


私は蜜柑の剥いた皮をティッシュの上に置き、白い筋みたいなのを爪を上手く使い剥がし始めた

えっと、この白いのってなんだっけ・・・確かアルミン君みたいな名前だったのよね



エレン「それだけじゃ分からないな」



ミーナ「中勘助?」



全てを剥き終わり、丸裸になった橙色の果実を2つに割いた。そして半分になった片方のを1つだけ千切って口に運んだ


ん~・・・すっぱあまい・・・・



ペトラ「銀の匙。この銀の匙というのは物語の主人公である『私』が子供の頃に使っていた、小さな銀製の匙の事よ」


エレン「・・・・あぁ、それなら知ってる」


ペトラ「ふふっ・・・そうよね。エレン君の好きそうな話よ?」


ミーナ「私は全く知らないです・・・農業高校のあれなら知ってますけど」



ペトラ「当時、産後の体調が思わしくなかったお母さんの代わりに伯母さんが病気がちな『私』のお世話をすることになってね、この銀の匙で薬を飲ませてくれたの


伯母さんは限りなく善良で優しくまるで天使のような人でね、『私』をもう1人のお母さんのように親密な愛情をくるんでくれるの


伯母さんにとっては『私』の世話をすることが無限大の喜びであり生きる楽しみだったの


まるで燦々と降り注ぐ太陽のもと、窓で干した毛布にくるまれたように・・・伯母さんの存在がこの物語に暖かさと安心感を与えてくれるのよ


と、まぁ・・・まだまだ主要で面白い場面あるのだけど、私はあらすじを話すっていうのが好きじゃないのよね。読んで結果、自分は何を感じたか・・・という感想のようなのを語るのが好きなんだ」



ペトラ「うん。つまり私が言いたい事はね、エレン君はまるでこの伯母さんのようにあったかいね」



にこにこしながら、エレン君の口の前に蜜柑を持っていったら、ジイッと睨らまれた


「可愛いなぁ」と呟きながら、ほっぺたを突っついたら、エレン君は顔を上げて頬を軽く膨らまして、プィっと顔を逸らした。ふぁぁぁぁあああああああああっ!!!



エレン「お、おう・・・そんだけ話して出た答えは、それか」



少し照れた様子で答えるエレン君マジ天使



ミーナ「でも分かります!」



ミーナちゃんは炬燵に手をつき、身を乗り出して、キラキラした目で私を見ながら、そう告げた


「えっ!?」と言いながらエレン君が凄い勢いでミーナちゃんを見た



ペトラ「だよね!」



私もそれに合わせて身を乗り出して、「うんうん」と頷きながら共鳴した


ミーナちゃんが手を差し出し握手を求めてきたので、私は迷うことなく両手でギュッと握り締めた。ほのかに手は温かった



エレン「なんだよ、それ・・・」



エレン君は呆れた顔をし、再び炬燵にぺたんと寝付いた



ペトラ「私ね、昔伯母さんに連れられて、この近くの駄菓子屋で竹筒に入った羊羹を買って貰った事があるのよね。多分、お母さんの一番下の妹だったかな」


エレン「へぇ・・・・それで銀の匙の事を思い出したのか?」


ペトラ「そうね。伯母さんに当たる人の話で一番好きな話が私はそれなの。だからかな・・・で、よくよく考えたら、エレン君のミーナちゃんに対する愛情みたいでね」


エレン「俺はミーナが好きだからな」


ミーナ「・・・・・・・ば、ばかぁ・・・」



私には花澤VOiCEに聞こえた。うん。これなら愛情を精一杯そそげる理由も相応だ。可愛いは正義。やばい、妹に欲しいです。もう2人とも私の弟と妹に欲しいです。神様、仏様、二人のお父様・・・私にこの子達を預けてもらえないでしょうか。大丈夫、私は飽く迄お姉さん目線です。強姦者目線では絶対にありません。死んだお婆ちゃんに誓ってもありません。あっ・・・久し振りに自分が気持ち悪いと思えた



エレン「ミーナは相変わらず可愛いなぁ」



寝ながら、にやけてエレン君の手がミーナちゃんの頭に伸びて、優しく撫でられた


先程の言葉とは裏腹に、とてもご満悦な表情のミーナちゃん。撫でられながら見つめられている事に気付き、気恥かしいのか、かあっと頬を染めた。いや、その照れ具合は私にまで感染しちゃうから、ちょっとやめて・・・


私まで撫でられたくなっちゃうから!

でも、兄妹愛の邪魔をしたくないから!

私は空気の読める人間なんですから!


でも羨ましいんです・・・はいぃ・・・・



ミーナ「もうー、お兄ちゃんのシスコンめー。えへへぇ・・・」



悲壮に打ちひしがれた私の姿をチラッとエレン君が見た気がした。本当に何なのだろう?



エレン「・・・そういえば、昔の友達の話な。幼稚園の頃からの幼馴染みって言ったほうが良いか・・・・・・んー、それでペトラ先生の性格とその幼馴染みの性格が似ていた。まぁそれだけだ」




・・・・・・・。


うん。さて、本日の本題かな・・・



ペトラ「その幼馴染みは今は違う高校なの?」


エレン「・・・・・・。どうだったかな・・・」



確かリコちゃんの話によるとー・・・・



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ーーーーーーー
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~金曜日・放課後~



ペトラ「さっきの話の通り、私とリコちゃんとアニちゃんは決めた人のとこね」


リコ「アニ・・・・悪いな」


アニ「・・・・いいえ。こういうのは寧ろリコ先生達じゃ役者不足です」


ペトラ「というか、本当なの?エレン君とクリスタちゃんが親友だなんて?」


リコ「あぁ・・・エレンの小学校のほうに連絡をもらった。いつも一緒にいたって有名な2人だったらしくてな」


ペトラ「でも生徒会活動の時とか、エレン君はクリスタちゃんのこと距離置いていたような・・・・というか寧ろ忌み嫌っていたような」


アルミン「・・・・そっか。そうなんだね。読みが外れてたなぁ」


アニ「前に言ったアレでしょ?」



アルミン「・・・うん。僕とクリスタは同じで近寄り難いとかそんなのだと思ってたんだけど。・・・・・・でも、違ったみたいだね」


アニ「・・・・・・そうだね」


アルミン「2人は僕達の届かなくて知らない関係だったんだね」


アニ「・・・・・。私達はそれを知らなきゃならない。だから、届かなかなきゃいけない」


ペトラ「・・・・・アルミン君はどうする?私と来る?それともリコちゃんのとこ行く?」


アルミン「・・・・・いや、僕は聞かなきゃならない人がいるので」


アニ「・・・・・はぁ、あんたも物好きだね」


アルミン「それでも僕はアニと行くから」



ーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーーー




私は、親身になるという行為が特に苦手らしい


人間関係においてはサンプルなんて存在しない


人間を改めて観察してみればまた違った価値観も存在するし、そんなの千差万別だ


そう捉えると、人の身になって考えてみるという行為は非常に難しい。特に自意識の肥大化が顕著な私のような高校生に当たっては尚更だろう



何をどうしたって私達は他の人間にはなれないんだ



『あなたの事は分かってる』なんて言われても、そんなの信じられない。信頼も信用も得ることなんて出来ない本当の綺麗事ばかり


だからこそ言えるんだ。友人関係なんて本当に脆い。そんな環境において共存するなど私達の想像を遥かに超えて難しいのだと



だから言える。親友とは何なのか?と・・・




クリスタ「アルバム・・・?」


アルミン「そう。見せて貰っても良いかな」


クリスタ「・・・・・。どうしてかな?」


アニ「そんな疑心抱く必要あるかい?ただ単に見たいだけ・・・・それだけだよ」


クリスタ「・・・・それで損するのは私とあなた達だよ?」


アルミン「え?」


クリスタ「それを見て価値を得る人はいない。逆に損する人はいる」


アニ「あんたはただの写真になんの幻想を抱いているの?」


アルミン「外見の良し悪しなんて写真で語れないと思うよ」



クリスタ「そうだよ。写真なんて、ただの1枚の紙っきれに過ぎないよ・・・だからこそ、その紙っきれに何の理想を抱いているの?」


アルミン「写真に損得なんて考えは無いんじゃないかな」


クリスタ「じゃあ何で見たいのさ」


アニ「写真見せるくらいどうってことないでしょ」


クリスタ「私の質問に答えて」


アニ「あんたの過去が見たい。それだけさ」


クリスタ「さて・・・じゃあそれで得する点を応えて欲しいかな」


アニ「あんたは私達に何を求めているわけ?」


クリスタ「何も求めてないよ。ただ私を興奮させるような応えをしてくれたら面白いかなって」


アニ「・・・・・・。あんた、どうしたの?休養前と変わったよ」



クリスタ「えへへ~・・・それは意味の通じない質問だね。人はそう簡単には変わらないよ?変わったら人生苦労しないからね」



エレンの言いそうな言葉だね。


でも・・・それは・・・・

・・・・・・・・。うん、まぁいいや。


人はそう簡単には変わらない。寧ろ変われないんだ


そう。どんなに壮大で綺麗な景色を眺めたって、有名な霊媒師からお祓いを受けたって、変われやしないんだ


あくまで自己満足で、勘違いに過ぎない


いくら心の持ちようを変えてみても、周囲からの評価も過去の失敗も修正出来ないのであれば、それは変わらない。当たり前だろう


寧ろ評価する点はその変わる変わらないという事がそんな2つの事で分かっているところだ。主観的、客観的判断だけで変わったかどうか・・・それだけで人の変化など理解出来てしまう

逆に判断材料を他で探せと言われても、これだけしか出てこないのも、また事実なのだが



つまりは人間なんて積み木だね。積み重ねた時間が生きて学んだ経験がその人間を形作る。生まれ変わりたいのなら、その積み木を崩し、焼き払い、塵となるまで消滅させなければならない


けど、そんなの実質不可能に近い。いや、無理だ。だから生まれ変わる事なんて望まず、ただ自分の負った傷や罪、恥や損を抱えて人は生きていくんだよ


人生にリスタートもリセットも効かない



アルミン「ク、クリスタ・・・?」


クリスタ「強いて言うならば、私の言葉の厳選ミスかな。ごめんね。じゃあこう言おう」



「あなた達は、何が目的なの?」



クリスタ「ほらぁ。あなた達には興味無いけど、特別に聞いてあげる。特別に興味を持ってあげる」



無意識のうちに出来上がった不愉快な笑顔で私達を見てクリスタは不敵な半笑いを見せる




アニ「目的か・・・目的ね・・・・・」


アルミン「ちょっとクリスタ疲れているんじゃないの?や、やっぱり!まだ寝てなきゃ」



あんたは相も変わらず空気が読めてない


例えば、逃げ場のないとこで殺人犯が目の前にいるのに『殺人はいけない事だよ』とか騒いだって何もならないよ


それなら相手に合わせるのが1番。『何がして欲しい?』や『私に出来ることがあれば叶えてあげる』とか、そんな言葉をかけて上げるのが最善だよ


それを行えば殺されないという可能性は限りなくゼロに近いけどさ・・・


でも、相手を煽って死を急ぐよりかは、ゼロに近い可能性を信じてみたほうが良いんだよ



クリスタ「・・・・・。ねぇ、私が興味持ってあげるって言ってるのに、なんでアルミンはそんな事言うの?私を馬鹿にしてるの?」




クリスタは笑うのを止めた



7秒ほど時間が止まる



アルミン「・・・・えっ」



そして、またクリスタは「うふふ・・・」と笑い出す



クリスタ「あのさぁ・・・アルミン?アルミンは、塵や埃に対して興味湧く?」



つまりクリスタは私達が塵や埃に見えてるようだね。これは驚きだよ


いや、半分分かっていたよ・・・私は、作り笑顔に気付くのに長けているからね


こんなとこで昔の知恵や能力が役立つ時が来るなんて思いもしなかったよ



アニ「・・・・・」


クリスタ「ふふっ・・・私にはそんな特殊な趣味は持ち合わせてないんだよ?」



そう言い終わり、クリスタは「ふぅ・・・」と一息置き、ジッと私達を見つめて



「だから・・・・”特別に”って言ってるじゃない」



あくまで透明でただ口角を上げただけの無価値な笑顔を向けられた


声音も表情も目線も・・・・冷ややかなその態度にアルミンは口を開けたまま動かなくなった



さて・・・そろそろ私のターンだね。


普通なら、こういう説得はリコ先生の仕事なんだけど、私が代役として仕事をこなしてあげるよ




アニ「あんた・・・エレンにそっくりだね」


アルミン「え?」



クリスタはギロりと私を睨んだ


うん、まぁ・・・さっき私が『まぁいいや』と言って思わなかったのは、これだよ



アニ「・・・言動が似てるなんて言いたいんじゃない。でも、あいつに近いって言いたいんだ」


クリスタ「・・・・・・」


アニ「物の損得を求めて・・・それでいて、自分以外は全て背景にしか見えてないような」


クリスタ「・・・エレンは、そんな子じゃない・・・・・私みたいな愚かで劣悪で醜悪じゃない」



アニ「いいや。おなじだね」


クリスタ「エレンを馬鹿にするなぁっ!!」



ヴァイオリンの弦のようにこの空間がキリキリと張り詰められている。重いというより、ただただ全てのものが爆弾のよう・・・空気が一食触発と言った方が分かり易いか


いいや、分かりにくいね



アニ「私は馬鹿にしているんだよ。あんたもエレンも」


クリスタ「は、はぁ?」



はぁ・・・うちの学校きってのマドンナさんがそんな一般生徒に対して「はぁ?」なんて口が悪い言葉を使わないでよ


私の隣にそのマドンナのファンがいるのに




アニ「そもそもあんたは、エレンをどうこう言えるような立場なのかい?」



結論だけを述べよう


今回、私達がクリスタの家に来たのは、こんな喧嘩をする為なんかじゃない


寧ろこんな短気な人だなんて知ってイレギュラーだって起こしているくらいさ


そして、まぁ・・・私達の目的は・・・・



アニ「あんたにとってエレンはただの生徒会の同じ仲間なだけでしょ?そう・・・ただの仲間」



私がそう告げたらクリスタは、ダンっ!!と右足で床を踏み込み、静かな家の中を響かせる


そして拳を握り締めて俯き、激しくギリリと歯軋りをした




クリスタ「エレンはぁ・・・・エレンは!」



アルミン、ごめんね。


答え方によっちゃ、あんたは辛い思いをすると思うよ



クリスタ「エレンは!私の大事な、大事な大事なっ!!」



でも、あんたは覚悟していたのかもしれないね



クリスタ「譲る事の出来ない・・・唯一無二の私の親友だよ!!」



それだけで、聞ければ十分だよ





そして、ここからリコ先生から代わってエレンの仕事を私が代役させてもらうよ


エレンの代役ね・・・・・・ほんっと・・・荷が重いよ



アニ「そう・・・で、何?」


クリスタ「何って、何よ!?」


アニ「嘘は止めなよ・・・エレンの親友は私とアルミンだよ?私はあんたが親友だなんて一言もエレンから聞いた事ない」


クリスタ「そんなの言えるわけないじゃない!エレンはそんな人じゃない!!」


アニ「・・・・そんな言葉で私が納得すると思ってるの?根拠を求めて、その根拠が言えないんじゃ信じようにも信じられない」



別に人を痛ぶるのは好きじゃないと言えば嘘になるし、嫌いじゃないとも言えば嘘になる


けど、こういう人を崖に追いやるようなのは好きじゃないね・・・気持ち悪いよ。本当に・・・・




アニ「答えられないのなら良いよ。私はあんたが”ただの仲間”だと捉えるし、エレンの親友は私とアルミンだけと捉える」



でもそれくらい我慢できる


私は・・・エレンの為なら、どんな悪役にだってなれる


その為ならクリスタから、どう思われたって・・・へっちゃらだよ。きっと


エレンが私に与えてくれた事に比べたら、こんなこと・・・



そうだね。これが私の見つけ出した答えだね



親友とは同じ痛みを持つ者の証だよ



クリスタ「エレンの親友は私なのっ!!ふざけないで!」



アニ「ふざけてるのは、あんたでしょ?クリスタ・・・」


クリスタ「知らないくせに知ったような口を叩かないでよ!あなたに・・・あなたに何が分かるっていうのよ!」


アニ「知らないよ。そもそもあんたの言葉が本当なのかも疑っているのに、どうしてそんなこと言われなきゃならないの?」



クリスタは右足を前に踏み出して、私の目の前にズイっと立ち入り、斜め下から覗き込むように睨みつけてきた



クリスタ「エレンは私達をっ!クラスを守る為に自分を投げ捨てたんだよ!?人生も地位も・・・・性格も!」



ついに堪忍袋の緒が切れたクリスタ


ずっと歯を食いしばって黙っていたアルミンが、漸く口を開いた



アルミン「・・・それは、どういう事なのかな」




あんたは覚悟して此処に来たんだよね


あんたはペトラ先生の方でも、リコ先生の方も選ばずに・・・・私と来た


この賭けは、9割であんたにも私にも負担が来るよ。それは説明したよね・・・



だからそれは、つまり・・・あんたは片想い相手のクリスタから嫌われてもいいと覚悟を決めていたんだね




かっこいいよ、アルミン





ーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーーー




~廊下・土曜日~



私は、なぜ意味も理由も目的も聞かされず、保健室に呼ばれたのか


私は、なぜこのただ家が近くで、ただ幼稚園、小学校、中学校、高等学校と同じだっただけの男と廊下を歩いているのか


1つ心当たりがあるけど、それはタイミングが良いだけかもしれない。きっと気の所為



「んだよ、部活中に呼び出しとかさ。あとで先輩にどやされるじゃねえか」


「・・・・・それは、あなたに何か問題か気に掛かる事があった為」


「あ、あぁ・・・」


「ので・・・・・別に何も悪い事していなければ、それだけ。だから、何も心配する必要はない」


「おぉそうだよな!ははっ!あ、ありがとな」



この男はどうして言葉をよく吶るのだろう。どうしていつも目線を合わせて話さないのだろう


まだ幼稚園に通ってた頃は意味もなく絡んできた。けど、その時は目を見て話してた


小学生の四年生の春頃だろう。この男は、私と目を見て話すのを止めた。だけど意味もなく絡んでくるのは変わりなかった


こうして、今現在もその私には到底理解出来ない距離感の会話をしてくる



「・・・・・私はあなたを元気付ける為に言ったのではない。今のは・・・そう、無駄口を聞きたくなかっただけ」


「ぐっ・・・」


「ので・・・・・あまり調子に乗らないで。ニヤけ顔見せられて、私はとても不愉快」


「わ、わりぃ・・・」


「・・・・・分かれば、いい」



「あのさ!」


「・・・・・もう保健室に着いた。話はまた後で聞く」


「・・・・。おう、頼むわ」



私は病人でも開けやすて軽い抵抗の少ない保健室の扉を開けた。保健室内は暖房が効いており、ほのかに温かい


部屋の隅の方でベッドで座っていた銀髪の女性が取っ手の付いたコップを片手にこちらへ歩いてきた


それを見て私は軽く会釈をして「・・・・・失礼します」と言った


それに続き隣の調子に乗って髪を中途半端に染めた馬鹿みたいな高校デビューをした男もキョロキョロしながら「失礼します」と言った



リコ「そんな畏まらなくても良いぞ」


それが、私と保健医の初めての会話だった


今回はここまでですので

読んでいただきありがとうございまひた

叩いてる奴等へ

いいか、本当に『常識』考えろよ。
あのさぁ、言葉遣いがまず悪いし気持ち悪い。
本気で。(マジで)
なんなの、見てて不快な気持ちになる。
日本の恥だよ、本当に(笑)
最後に忠告な。

レスみたら分かると思うけど
◆TXaB6XtamMさんのファンは、マジ不滅だからな。
俺達を怒らすとやべぇぞコラ。

新・保守時間目安表 (休日用) 00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用) 00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

312 : ◆0dUQJag7fY:2013/11/07(木) 17:11:00 ID:DUfwuDFQ

男「>>1は続きを書かない理由として、『過去ログに落ち たから』という弁をしばしば使う」

男「これは逆に捉えれば、落ちない限りは自分に書く義 務が残されている、とも解釈できる」

男「よって>>1に言い訳を許さず続きを書かせるには、俺 たちがこうやって支援ageし続けるしかないんだ」

女「へ~」

男「>>1ッッ!! 俺たちは絶対にお前を逃がしはしな い……ッ!!」カチャルカチャル

>>330
この世に『神』が生まれたのだ。君は『神』になった
この人間世界の『神』だ
もはや崇拝しかない……この場所に『神殿』を建てよう

http://ss-conclusion.com/archives/30904727.html

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月21日 (月) 23:35:33   ID: opEAT0Ke

まってましたよー^_^

2 :  SS好きの774さん   2014年07月22日 (火) 15:15:01   ID: AlwaI9Z7

原作からずっと見てます! これからも頑張って下さい! 期待です!

3 :  SS好きの774さん   2014年08月06日 (水) 05:48:08   ID: sFOfrQUY

期待です!

4 :  SS好きの774さん   2014年08月08日 (金) 13:46:38   ID: 1Uigr_Uu

更新まってます! 頑張ってください! 期待してます!

5 :  SS好きの774さん   2014年08月11日 (月) 21:43:47   ID: DChRd0L6

超絶期待‼‼

6 :  SS好きの774さん   2014年08月18日 (月) 07:38:34   ID: JJp4xXZe

頑張ってください!

7 :  SS好きの774さん   2014年08月20日 (水) 18:13:28   ID: e33jzWhv

期待してます!

8 :  SS好きの774さん   2014年08月30日 (土) 00:56:33   ID: NDUz64zr

超期待してます!

9 :  SS好きの774さん   2014年08月30日 (土) 21:44:49   ID: IvHX1aD8

頑張って下さい
期待してます

10 :  SS好きの774さん   2014年08月31日 (日) 21:51:07   ID: oS5mv26G

凄く面白いので
期待してます!

11 :  SS好きの774さん   2014年09月01日 (月) 15:51:00   ID: GHorTIfV

すごく面白い...
ので、期待する...

12 :  SS好きの774さん   2014年09月03日 (水) 19:55:03   ID: Le5xcgj8

今思ったんだが、これは
エレミー?エレリコ?エレクリどれなの?

13 :  SS好きの774さん   2014年09月03日 (水) 22:43:14   ID: 7qmmZt97

>>196同感です!

14 :  えれくり同盟   2014年09月04日 (木) 21:13:27   ID: qTwS6c_8

このひとの作品やっぱいいね
かみだね!神作だよ!

15 :  SS好きの774さん   2014年09月06日 (土) 23:51:57   ID: flrChIIO

続きが来ることを切実に願う

16 :  SS好きの774さん   2014年09月07日 (日) 16:16:19   ID: VbRC-LH7

期待

17 :  SS好きの774さん   2014年09月23日 (火) 18:55:59   ID: p22G9x-X

まだかな
続きはよ頼むー

18 :  SS好きの774さん   2014年09月28日 (日) 16:11:28   ID: RozZQT69

はやく
書いてくれ〜

19 :  SS好きの774さん   2014年10月04日 (土) 22:29:03   ID: uV1DCPRu

続きに超期待!!

20 :  SS好きの774さん   2014年10月15日 (水) 01:28:47   ID: nwyTlGhl

前作から見てまーす♪
この続きにも期待です!!!

21 :  SS好きの774さん   2014年10月17日 (金) 07:21:01   ID: gCVtQTEh

もうこのスレ埋まったよ

22 :  SS好きの774さん   2014年11月10日 (月) 17:29:52   ID: leD8ktpe

ようやく見つけた

23 :  SS好きの774さん   2014年11月15日 (土) 11:50:07   ID: YxKdG0-D

どこにあるの

24 :  SS好きの774さん   2015年01月23日 (金) 03:18:38   ID: XBp0s3_j

続きはどこにあるんだろ?

25 :  SS好きの774さん   2015年01月31日 (土) 20:00:50   ID: 8C7tylkn

続きは書かないんですか?
このシリーズ、とても面白くて好きです

更新が止まって残念です
気が向いたら、続きお願いします
期待です!!

26 :  SS好きの774さん   2015年02月13日 (金) 00:48:32   ID: _S23wifA

続き書いてほしいです

27 :  SS好きの774さん   2015年02月21日 (土) 11:48:22   ID: Tqph3h7i

続きが気になって仕方ないです‼︎
あと期待です‼︎

28 :  SS好きの774さん   2015年04月03日 (金) 01:29:56   ID: 6JnjuGNx

この続き何処にあるんですかね?

29 :  SS好きの774さん   2015年04月12日 (日) 11:04:32   ID: S6SH9Rwt

続き作って〜

30 :  SS好きの774さん   2015年06月05日 (金) 05:34:03   ID: qj8OBBLj

続きってありますか?

31 :  SS好きの774さん   2015年06月12日 (金) 21:17:58   ID: 3g3z-Fuq

続きみたい(泣)

32 :  SS好きの774さん   2015年08月25日 (火) 22:24:13   ID: iE6ws7a0

わしゃこれだけが楽しみなんじゃ
続きはまだかのぅ?

33 :  SS好きの774さん    2015年10月03日 (土) 23:15:42   ID: MC3C_D9n

続きまだですか

34 :  SS好きの774さん   2015年10月04日 (日) 15:34:21   ID: qw8Hrfw0

途中でやめないで下さ〜い

超期待してたのに〜

35 :  SS好きの774さん   2016年09月28日 (水) 18:50:52   ID: mEAO1hAU

続き見たい!!どこ!?

36 :  SS好きの774さん   2016年12月11日 (日) 02:25:08   ID: ukFaBal2

続きは無いのかな?

37 :  SS好きのフウさん   2017年01月12日 (木) 00:40:03   ID: 6PMKDXjB

続きはまだですか?はやく見てみたいです!!

38 :  SS好きの774さん   2017年10月10日 (火) 00:41:42   ID: XBO3Sov7

これは辞めちやったかな?
残念、いい作品なのに

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