ベルトルト「久しぶり」
カネキ「久しぶり」
ベルトルト「半年ぶりくらいかな?」
カネキ「そうだね。今回は間が長かった」
ベルトルト「元気そうで安心した」
カネキ「うん。僕もだよ」
前々作
ベルトルト「人を食う巨人と」カネキ「人を喰らう怪人」ベルトルト「人を食う巨人と」カネキ「人を喰らう怪人」 - SSまとめ速報
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前作
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※両作ともに原作単行本までのネタバレあり
ベルトルト「ついにアニメ『東京喰種 トーキョーグール』、始まったね」
カネキ「うん。正直ドキドキしてるよ」
ベルトルト「どう、アニメを見ての感想は」
カネキ「もう言葉にならないよ。スタッフの人達には感謝してもしつくせない」
ベルトルト「僕もこの対談前に、アニメを見させてもらったんだけど……なんというかもう、凄かったね、いろいろと」
カネキ「ぬるぬる動いてたね」
ベルトルト「カネキの声からは、悩み苦しんでいる様が伝わってきた」
カネキ「本当に、作り手の熱意が伝わってくる出来だった。前にも言ったけれど、そういうのは見ている側も敏感に感じとるから、嬉しかった」
ベルトルト「僕、アニメを見て初めて知ったんだけど」
カネキ「うん」
ベルトルト「カネキって、もともとは黒髪だったんだね」
カネキ「あれ、言ってなかったっけ?」
ベルトルト「聞いてないよ! 何だよあれ、最初出てきた時誰だかわからなかったよ!」
カネキ「そっか、初めて会った時から黒髪だったから……」
ベルトルト「うん。まさかあんなおかっぱ黒髪の、僕より年下にしか見えない男の子がそうだとは思わなかったよ」
カネキ「何かいろいろ馬鹿にしてない?」
カネキ「でもそっか、そうだよね……うん、黒髪だったんだ。今となっては懐かしいけど」
ベルトルト「どうして今は白いの? なんかくせっけになってるし、染めたの?」
カネキ「言葉で説明するのは難しいな。詳しくはアニメ終盤でわかるんじゃないかな」
ベルトルト「アニメでちゃんと描写されるってこと?」
カネキ「多分ね。お茶の間に流すにはかなりキツイ内容だから、露骨な表現は避けられるだろうけど」
ベルトルト「……」
カネキ「どうしたの?」
ベルトルト「いや、どうしたのって」
ベルトルト(今の話で、染めたとかいう生易しい話じゃないってわかっちゃったし)
カネキ「そういえば、そっちは面白いことやってるよね」
ベルトルト「えっ?」
カネキ「アニメだよ。新刊が出るたびに、新しいアニメストーリーのDVDを出してるんでしょ?」
ベルトルト「あ、うん……」
カネキ「アニメが終わってもうだいぶ経つけど、まだまだ『進撃の巨人』の勢いは継続してるよね。スピンオフも大人気だったって聞いてるよ」
ベルトルト「……」
カネキ「やっぱり凄いなぁ君たちは。僕らはまだまだ足下にも及ばないけど、でも」
ベルトルト「凄いのは」
カネキ「えっ?」
ベルトルト「凄いのは……『僕たち』じゃない」
ベルトルト「僕を除いた、他の人たちだよ」
カネキ「……ベルトルト?」
ベルトルト「前にカネキと話して以来、僕、原作に一度も出ていなくって」
ベルトルト「でも、本編と関係ない、それも訓練時代の話なら、僕も出るチャンスがあると思ってたんだ、なのに」
カネキ「あー……」
ベルトルト「まさか上位陣で、僕だけハブられるなんて……いやクリスタはネタ枠だったけど、でもライナーやアニはちゃんと出番あったし」
カネキ「ベルトルトー」
ベルトルト「別に主役になりたいとまでは言わないけど、それでもせめてマルコの10分の1のセリフくらいもらえたらなって僕は僕は僕は」
カネキ「ベールートールートー!」
ベルトルト「はぁ……はぁ、ごめん」
カネキ「前から思っていたけど、ベルトルトって隠れ目立ちたがりだよね」
ベルトルト「いやさ、アニメ化当初は超大型巨人としていろいろグッズとかで売り出されてたから、なんかこう、今までなかった欲みたいのが出てきちゃって」
カネキ「なるほど」
ベルトルト「でもアニメも話数を重ねるごとに、調査兵団の人達が人気を博すようになってきて……リヴァイ兵長、エルヴィン団長、ハンジ分隊長」
ベルトルト「そうこうしているうちに、グッズはほとんど調査兵団メンバーで固められるようになっちゃってさ……リヴァイ兵長なんか単体でスピンオフ出ちゃうし」
カネキ「そういやとんでもない稼ぎ頭がいるんだっけ。表紙飾った女性誌を次々売り切れさせるっていう」
ベルトルト「そうなんだよ。あの人本業が少年誌ってことわかってるのかな。大体なんであんなに女の人に人気あるんだろ。小さいのに」
カネキ「最早ただの嫉妬じゃないか」
ベルトルト「やめてトドメ刺さないで」
カネキ「君にとって最大の敵が一番人気っていうのも複雑だね」
ベルトルト「そう! そうなんだよわかってくれる!? あの人ちょっと出過ぎじゃないかな進撃するのは巨人なんだよ!?」
カネキ「登場人物が増えても、原作のページ数は限られてるからね。一人一人の見せ場が少なくなったり、偏ったりしてしまうのある程度仕方ないと思うよ」
ベルトルト「僕は壁壊して以来見せ場と言えるものがアニメでは全くないんだけど」
カネキ「連載もアニメも続くんだし、君の見せ場はこれからたくさんあるはずだよ。そこで人気を取り戻せばいいんじゃないかな」
ベルトルト「カネキは大人過ぎるよー」
カネキ「そうとも言い切れないけどね。僕だってアニメに出だした月山さんに、主人公株奪われるレベルで人気とられたら発狂する」
ベルトルト「あっごめん全然大人じゃなかった」
ベルトルト「カネキはいいなぁ。主人公だし。人気者だし」
カネキ「いやまぁ、好き好んで主人公になったわけじゃないけどね」
ベルトルト「あ……そうだよね、ごめん」
カネキ「ううん。気を使わなくていいよ。人気なのは素直に嬉しいからね」
カネキ「それにベルトルトだって、望んでその役回りになったわけではないだろ?」
ベルトルト「それは……うん」
カネキ「だからおあいこ」
ベルトルト「……カネキは強いね」
カネキ「えっ?」
ベルトルト「そうやって、辛いことを乗り越えて、笑うことが出来るなんて」
カネキ「……」
ベルトルト「僕が……僕が笑ったのは、逃げてる時だけだった」
ベルトルト「僕が笑うことが出来たのは、訓練兵や調査兵の仲間を、本当に仲間だと思っていた時だけだ」
ベルトルト「僕はライナーみたいに心を病んでいたわけじゃない。でも、みんなに嘘をつきたかったわけじゃない」
『全部嘘だったのかよ?』
ベルトルト「彼らとは決して相容れない間柄だとわかっていたけれど、彼らと一緒にいる時間を、心地良いと思ったのも事実なんだ」
『おっさんになるまで生きて、いつかみんなで酒飲もうって話したのも……全部……嘘だったのか?』
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