海未「鬼瓦」 (44)

穂乃果「いらっしゃぃゃせー」

海未「」

穂乃果「あっ、海未ちゃん!いらっしゃい!」

海未「」

穂乃果「休日のこんな早い時間に来るなんて久しぶりだね!今ならお饅頭できたてだよ!1個食べる?」

海未「」

穂乃果「もしかして遊びに来たのかな?それならごめんね!早くてもお昼まではここにいなくちゃいけないんだよね」

海未「」

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穂乃果「さてと、今日は暑いからねー。餡蜜もあるけどどう?抹茶白玉かき氷もおすすめだよ!」

海未「」

穂乃果「わかった!穂乃果に食べたいもの当ててほしいんでしょ!えっとねー、海未ちゃん甘いものあんま好きじゃないからー、あげまんじゅう!どお!?そんな気分!?」

海未「」

穂乃果「違うのか……。うーんと、きなこもちかな?」

海未「」

穂乃果「これも違うのー?じゃあいつも通りほむまんあげるね」

海未「」

穂乃果「えっ、これも違うの?じゃあわかんないよー!」

海未「」

穂乃果「ていうか海未ちゃさ、入ってきてからずっとした向いてるけどなにか落ちてる?さっき掃除したからなにも落ちてないはずなんだけどな」

海未「」

穂乃果「海未ちゃーん?うーみーちゃん」

海未「」

穂乃果「おかしいなー……。なにか怒らせるようなことしたかな……。今日は練習も休みだし、生徒会で呼び出されてもないし……。ねぇー、なんかしゃべってよー」

海未「」

穂乃果「じゃないとそのぷにぷしそうなほっぺつねっちゃうぞー」

海未「」

穂乃果「いいの?本当にやるよ?後で怒っちゃやだよ?」

海未「」

穂乃果「よーし、こねくり回してやる!」

海未「」

穂乃果「うっしっし、……とりゃっあぁああああぁぁぁァォアアアアア!?!?!?」



デデーン



穂乃果「ひっ、ひぃっ……!?お、鬼瓦……!おかーさん!おとーさん!助けて!鬼瓦が穂乃果のこと食べに来た!」

海未「」

穂乃果「助けてー!おかーさーん!!」

海未「」

ほのママ「ちょっと穂乃果、うるさいわよ!外まで聞こえちゃうでしょキャアアァァァア!!」

海未「」

ほのパパ「お前たちうるさいぞ。お客さんが来たら迷惑になるだろうわああああああああ!!」

海未「」

雪穂「ふわぁ……。朝からなんの騒ぎー?日曜くらいゆっくり寝かせてよねひいいいいいいいぃぃぃぃ!!?」

海未「」

穂乃果「ね!?ね!?言った通りでしょ!?鬼瓦が穂むらのおまんじゅう掻っ攫いにきたんだよ……!!」

海未「」

ほのママ「あ、あ、ああああ……。いったいなにが起こってるの……?」フラッ

ほのパパ「お、おいっ!しっかりしろ!」

雪穂「あわわわわわわわ……!」

穂乃果「穂乃果すっかり騙されたよ……。おい鬼瓦!海未ちゃんの変装してくるなんて卑怯だぞ!」

雪穂「もうだめだぁ……おしまいだぁ……。にげるんだぁ……」

穂乃果「こ、こら!逃がさないよ!お願いだから穂乃果ひとりにしないで!」

雪穂「やだ!こわい!おまんじゅう全部あげてお帰り願いなよ!」

穂乃果「や、やだぁ……!!渡すときに穂乃果の手食べられちゃうかもしれないよぉ……!うぇーーーぇん!」

海未「」

雪穂「も、もう!ほんとに頼りないお姉ちゃんなんだから!」

穂乃果「びぇぇぇぇん!」

海未「」

雪穂「う、うぅ……」

海未「」

雪穂「あ、あの…………ご機嫌いかがですか……?」

クワッ!

雪穂「ひぃ……!そ、その……おまんじゅうでしたら全て差し上げますので、どうか気をお沈めくださいませんか……?」

海未「」

雪穂「……ック、ヒック、ヒグッ……。こわいよぉ……」

海未「」

グワァ!

雪穂「ひぃぃぃいぃぃいいい!?」

海未「」

雪穂「あわ、あわわわわ……ブクブク」バタン

穂乃果「ゆ、雪穂ぉ……!おとーさん、どうにかしてー!」

ほのパパ「」チラッ

穂乃果「おとーさん!?死んだ振りなんてずるい!よし、穂乃果も!」バタン

海未「」

穂乃果「死んでるよー……。腐ってるよ……。だから食べてもおなか壊すよー……」

海未「」


穂乃果「……」(もう行ったかな……?)チラッ


デーン!


海未「」

穂乃果「」

海未「」

穂乃果(ヲワッタ……。なんで穂乃果の目の前にいるの……?もしかして本当は生きてるってバレてる……?)

ペタペタ

穂乃果(あぁ……どこが肉付きいいかさわって確かめてるんだ……。そしておいしそうなところからバクッと……。こんなことなら海未ちゃんの言うこと聞いてちゃんとダイエットしておけばよかったな……)

海未「」

穂乃果(海未ちゃんもきっとこうやって鬼瓦に食べられたんだ……。それでなんだかんだで海未ちゃんの身体と一体化して、それでこの姿を使って穂乃果をあっさりと騙して……)

海未「」

穂乃果(海未ちゃん、今そっちにいくね……。ことりちゃん、μ'sのこと頼んだよ……)

ガラガラ

穂乃果「できることなら来世はメガロサウルスになりたい……」

穂乃果「……」

穂乃果「あれ……?出て行ったの……?」

雪穂「」ブクブク

はのママ「」
ほのパパ「」

穂乃果「も、もしかして…………死んだ振り作戦がうまくいった!?やったぁ!!これは穂乃果の咄嗟の機転からもたらした奇跡……!とにかく穂乃果は生きてる!生きてるよぉぉぉぉ!!」

穂乃果「今日は生還パーティーだよ!おとーさん、おかーさん、雪穂!起きて!ご馳走作ろう!」


ドタバタ、ドタバタ



海未「」

ガラガラ

海未「」

うみママ「あら海未さん、もう帰ったのですか?ずいぶん早かったですね」

海未「」

スタスタ

うみママ「……?海未さん?」

ー洗面所ー


海未「」

海未「………………ふぅ」


海未「おにがわらっ!」クワッ!


海未「」

海未「うーん、わりと似てるような気がしたのですが……。笑ってくれなかったってことはきっとおもしろくなかったのですよね……。やはりこんなことするべきではありませんでした」

海未「母上ー!お稽古お願いしまーす!」

うみママ「はい。では着替えてらっしゃい」

ー次の日ー

海未「あれ、……はぁ。ケータイを家に忘れてきてしまいました……。今から戻ったら穂乃果に『いつも穂乃果のこと注意してるくせに自分も遅刻するんじゃん!』とか言われそうですね。まぁ急な連絡など入らないでしょうし、このまま行きましょう」

海未「……」

海未「……ふむ、時間が過ぎてるのに穂乃果どころかことりまで来ません……。まさか2人とも風邪……?それならケータイに連絡が入って……って忘れてきたんでしたね。仕方ありません。先に行きましょう」

海未「速足で来ても2人の姿がない、ということはやはり休みでしょうか。2人の上靴は」ガサリゴソリ

海未「えっ?な、なんですかこの手紙の山は……!」

『うわさには聞いてたけど、やっぱりモッテモテ海未ちゃんなのね♪』

海未「ま、まさかこれ全部……。とりあえずここじゃ人目につきますし、とりあえずお手洗いへ行きましょう」

パタン……

海未「はて、なぜここに来るまで生徒が誰もいなかったのでしょう。もしかして休校日……?いえ、そんなはずはないですよね」

カサカサ

海未「……はぁ。返事を書かないとはいえ、さすがに読みもしないわけにはいきませんよね。えっと、」

『海未先輩、ご冥福をお祈りします。どうか安らかにお眠りください。私も、すぐにそちらへ向かいます。なので、どうかそちらでは私の告白のお返事をください』

海未「……は?」

『海未先輩お久しぶりです。弓道部の◯◯です。この度はご冥福お祈りします。私、先輩のことずっと憧ていました。弓道部に入ったのも先輩に惹かれたからで……。だからそんな先輩に少しでも追いつけるよう毎日がんばって、それで昨日の大会はなんと地区優勝したんですよ……!そして今日、思い切って先輩にこの気持ちを伝えようと思ったんですけど……先輩はもうこの世界にはいないんですよね。でも私は諦めません!すぐにこの気持ちを伝えにいきます!大好きです、先輩……』

海未「こっちも、これも、これも……!なんですかこれ!?どれもご冥福お祈りします、そちらに向かいます、って……。まるで私が死んでいるみたいに……」

キーンコーンカーンコーン

海未「いけない、もう教室に向かわなくては……!」

ガラッ

海未「……あれ?誰もいない……」

海未「……。まさか、本当に休校日……?そんな連絡ありましたっけ……?」


アオーゲバー、トオートシー、ワガーシノー、オンー


海未「仰げば尊し……?なぜ?しかも屋上から……」



イザ、サラーダバー

ヒック、ヒック


海未「嗚咽……。いったいこの扉の向こうではなにが……?」

キィ……

『海未先輩……。いまそちらへ……!』

『受け止めて!先輩……!』

海未「……!?」

バタンッ!!


『『?』』

海未「あ、あなたたちいったい何をしているのですか!?危ないのではやく戻ってきなさい!」

『えっ……うそ……。海未、先輩……?』

『夢……?夢なら……覚めてほしくない……!』

『間違いない!あの凛々しいお姿は園田さんよ!』

キャーキャー

海未「うぇっ!?な、なんですか!?離れてください!」

『先輩、生きてたんですね!』

『また会えて嬉しいです!』

海未「な、なにを言って……」


「みんな、そいつから離れて!!」


海未「……え?」

「近づいちゃダメだよ!みんなも食べられちゃうよ!?」


海未「た、食べられる……?」


「そいつはもう海未じゃない!海未の皮をかぶった鬼瓦なのよ!」


海未「皮をかぶった……?あ、あの……なんのことですか……?

穂乃果、ことり、絵里……」

絵里「しゃべらないで!でないと……このラブライブレードで刺すわよ!」

ことり「海未ちゃんの身体を離してあげて……お願い……。ゆっくり眠らせてあげてよ……」

海未「で、ですから私にはなにがなんだか……」

穂乃果「みんな、さっきも言ったよね。海未ちゃんはもうこの世にいないの。だって……そいつに……鬼瓦に喰われたから!」

『『……!!』』

穂乃果「私の幼なじみで、親友で、大好きだった海未ちゃん……。本当は仇を討ってやりたいけど……私じゃ……私たちじゃ何人束になってかかろうと敵わない。だから……私は海未ちゃんの分まで生きてみせる!」ダッ

海未「あ、穂乃果!?待っ……」

『行かさない!』

『悔しいけど……高坂先輩は生前の海未先輩がただ一人愛していた人!その人を失ってしまったら……きっと海未先輩も悲しむ!』

海未「あ、愛して……!?な、なにを言ってるんですか!?」

『やっぱり、喋り方だけ真似してるけど記憶はないんだ。こいつはやっぱり、園田さんじゃないわ!』

『たとえ私たちが喰われても……絶対に高坂さんは守る!絶対にだ!』

海未「くっ……、しつこい……。このままでは穂乃果のもとへ行けない……。…………御免ッ!」ストッ

『あうっ……』

『ぅっ……』

ドサッ

『とうとう本性を現したな……!みんなを気絶させて、後からひとりずつゆっくり喰うつもりなんだ』

海未「御免ッ!」

ストッ

『あっく……』

『いっ……』

ドサッ

ドサッ……、ドサッ

海未「ふぅ、これで全員……。穂乃果はどこへ……」


ことり「海未ちゃん……」

絵里「海未……」


海未「ことり、絵里……」

ことり「ううん、もう海未ちゃんじゃないんだよね……。大丈夫……殺れる!」

絵里「覚悟しなさい!海未の身体で好き勝手させない!死んだ海未の身体は……ちゃんと埋めてあげなきゃ……!」

海未「……この2人も話が通じそうにない……」

ことり「だから海未ちゃんの声でしゃべるなって…………言ってるでしょ!」チュン!

海未「!?……え、銃!?」

ことり「エアガンだけど……打ち所次第では殺れるよ!」チュン!

海未「あ、あぶな……っ、」

絵里「バック、もらったぁ……!」

海未「……後ろですか」

シュタッ、ザッ

絵里「……えっ?きゃっ……!」

ヒュン、ドサッ

絵里「……いたた……。あの体術、海未のものね……。まさに鬼に金棒、たった2人でこんな化け物に敵うのかしら……」

ことり「わからない……。でもやるしかないよ……!」チュン!

海未「もうそれは見切りました!」

バッ、ズサッ、ガシッ

ことり「ううっ!?」

絵里「ことり!」

ことり「え、絵里ちゃん!いまのうちに……!」

絵里「で、でも……!」

ことり「は、やく……!」

絵里「……わかったわ!」

海未「……く!?後ろが……!」

絵里「さようなら、……これで終わりよ!」

ゴッ

海未「あいたっ!」

絵里「そんな……!どうして切れないの!?切れ味の良さそうな赤色にしてるのに……!?」

海未「……」

ストッ

ことり「あっ……」

ドサッ

絵里「ことり……!」

海未「あなたもです。道を開けてください」

ストッ

絵里「う、海未……」

ドサッ

海未「さて、穂乃果は……」


穂乃果「あ、あ……あぁ……」


海未「そんなところにいたのですか」

穂乃果「うそっ……こんなに人数いたのに……全滅なんて……!」

海未「あの、教えてもらえませんか?いったいこれはどういう騒ぎで?」

穂乃果「お、お前に喰われるくらいなら……!」スタッ

海未「!?穂乃果!?」

穂乃果「一か八かでもここから飛んでやる!」ヒュー

海未「な……!?ばかっ!穂乃果……っ!!」

グシャッ

海未「うっ……」

『いたた……。あれ、鬼瓦が……!』

『うそ、誰も始末できなかったの!?』

『ちょっと待って!高坂さんは!?』

『ま、まさか……喰われて……』

『もう終わりよ……。海未さんの愛した穂乃果さんまでいなくなったなんて……』

『こんな世界で生きる意味なんかない……』

『みんな、いこう……』

『『うん』』

海未「なっ!?あなたたちまで何をして……!」

ヒュー

グチャッ、グシャ、ビチャッ

海未「うっ、うっぷ……」

ことり「穂乃果ちゃんも……死んじゃったんだね……」

絵里「ええ……。私たちも、もう……」

ことり「うん……。先に行くね……」チュン!

ことり「」

絵里「私も……借りるわね、ことり」パアン!

絵里「」

海未「……」

海未「穂乃果、ことり、絵里……みんな……。
なぜわけもわからず死んでしまったのです……。
本当にわけがわかりませんよ……。
うっ、うぐっ、あぎぎぎ……」

海未「…………ふふふふ、ぷっふっふっふっ、アハアハアハハハハハ!!
なんだこれはァ!?
これが学校ってやつなのかァ!?
うまそうな若い女の死体がいっぱいじゃないか!
こんなのご馳走パーティーかなんかじゃねェのかよおいッ!?
さて、まずはこのでかい方の女から喰ってやるかな!」

ビチャピチャ

海未「くぅー、うめぇ! ボキッ、ビリッ
やっぱ人間は胸肉だよなぁ!? バリッ、ピチャッ
腕も脚もプリプリだけどよぉ、でも最後に脳をすするのが通ってもんよ! ズズゥゥゥゥ」

海未「次はこいつか!
こいつもなかなか肉付きいいじゃねぇか!
今朝喰った細くてガリガリの女とは比べものにならねぇほどうまそうだぜェ!?」

海未「うまい……うまいぜ!!
こんなに一度に肉が喰えるなんて……生きててよかったぜ!
ほんとさいッこうの気分だぜ!!
食欲が止まらねェぜ!
肉を引きちぎる手が止まることをしらねぜ!!」

海未「まだ下にたくさん肉が落ちてるんだよなァ!?
ハハハ、ハハハハハハハハハハ!!
1匹残らず骨まで喰ってやるからおとなしくしてろよォ!?
ヒャッハァアア!!」



海未「ふぃー喰った喰った」コキ、コキ

海未「おっ、身体が変わってきたな……」

穂乃果「ほぉ、次はこの女か。
さて、お次はどこで肉を集めてかるかなァ!?
……ほおほお、なるほどな。
そこにも女がたくさんいるのか。
ようし、」



穂乃果「ゆーきほー♪今行くから学校のみんなかき集めておとなしくしてるんだよー?それじゃあ待っててねー♪」


・・・
・・・・・

にこ「ってことになりかねないからあんたは安易にお笑いに走っちゃダメよ」

海未「わけがわかりません」






ーFinー

終わりです。

ありがとうございました。


【安価】絵里「大変チカ」 - SSまとめ速報
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