この、古ぼけた分厚い、「航空史」という茶色の装丁の本を捲ると、所々に写真が載っているのが目につくだろうと思う。
その中に挿入されている写真には、
数の大小はあれど、どれも飛行機の前に、人々が無表情で並んで立っている様子が写されている。
貴方は知り得ないだろう。
その時、彼等の中では様々な感情が涌き出ていたことを。
これは、航空の時代の黎明期を創った人々の、辿っていった道筋の記録である。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405622097
王国は大陸の中央付近の、山脈に囲まれた巨大な盆地にある。
山脈は二方向に開けていて、その道を通って交易は行われるが、開けている場所で接する国とは百年ほど友好な関係が続き、王国は、他の外敵から山脈により守られて、安穏な土地となっていた。
その日々が破られたのが五年前である。
王国から北に位置する公国が、王国の首都に竜に兵士を載せて襲来し、魔法による攻撃や爆弾の投下を行ったのだ。
ちょうどその時行われていた、公国の、王国との友好国との戦争に、王国が兵士を派遣したのが原因であった。
首都への直接的な被害は少なかったが、人々のなかに恐怖を植え付けるには、十分だった。
王国の貴族たちの中でも、一刻も早い、空を飛んでくる敵に対する対策を求める声が上がり、竜騎士団の設立が決まった。
しかし、ここで問題が起こる。
そもそも竜の絶対数が少ない上、調教の仕方が分からないのだ。
竜は山脈付近に生息していたが、軍団を組むには人の手で繁殖させることが必要であり、何より人になつかないのだった。
酷いときは飼育係を飲み込んでしまうこともあったということからも、当時の飼育の難しさが分かる。
結局、生まれたときから人に触れさせ、馴らすしかないということが分かり、竜の幼子を命懸けで捕獲しに行く等の冒険を経て、ようやく一頭が使い物になるようになったところであった。
このときには、竜騎士団の設立から既に四年が経過していた。
一方、竜騎士団の設立と同時に、地方の領主であり、優秀な魔法使いでもあるケイリーが、飛行機械という概念を提唱する。
彼は、鳥の空を滑空する様子を注意深く観察し、その飛行の原理について考察した本を出版した。
それと同時に、王に本と、グライダーの模型を献上し、実演して見せた。
結果は大成功で、王に飛行機への関心を強く抱かせることとなる。
王国に飛行機械を研究する会が設立されたのは、その翌年のことであった。
ここまで
>>1の趣味と妄想全開でお届けする誰得SSです
次回から主人公達が登場します
話の構成に重大な欠陥があったので、このスレは落として暫くしたら立て直します
申し訳ないです
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