概要
・ダンガンロンパss
・7/14だから苗木くんと石丸くんの話
・電波!電波!意味不明電波!
注意点
・電波……
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――努力したって必ず報われるとは限らない。
その言葉を口にしたのは、一体誰であったろうか。
未来機関
霧切「苗木君、もう就寝時間じゃない?明日にしたら?」
苗木「あ、うん……でももう少しで理解できそうだから」
十神「できの悪い凡人は大変だな。このくらいのマニュアルで、これほど手こずるとは」
苗木「アハハ……ごめんね。二人は先に寝ててよ」
霧切「えぇ、そうさせてもらうわね」
――――――
――――
――
苗木「はぁぁ……」
チクッ、タクッ、
チクッ、タクッ、
苗木(一時間も経ってる……でも、あと少しだけ)
十神「おい」
苗木「うわぁっ!?」
十神「なんだ、失礼な奴だな」
苗木「と、十神クン。いつからいたの……」
十神「さっきだ。トイレに立ったらまだ明かりが見えたからな。まさかとは思ったが」
苗木(全然気がつかなかった……)
十神「……どこだ」
苗木「え」
十神「どこが理解できないのかと聞いているんだ」
苗木「教えてくれるの!?十神クンが!?」
十神「フン、光栄に思え」
苗木「あ、ありがとう……!」
チクッ、タクッ
チクッ、タクッ、
苗木「十神クン」
十神「なんだ」
苗木「ボクね、夜更かしして勉強とかしたことないんだ」
十神「そうか」
苗木「うん。そもそもテストでいい点とろうって、あんまり思ったことなかったし。平均点はあればいいかなってくらい」
十神「……凡人らしいな」
苗木「だからね、きっとボクは記憶のない二年間で変わったんだと思うんだ」
十神「……」
苗木「今こうやって、このマニュアルを覚えようって必死に努力してることが、全部無駄じゃなかったってことを証明してる……気がするんだ」
十神「……何を言っているのか、抽象的すぎて全く分からん」
苗木「時々思うんだよ。ボクの知らない自分がいるって」
十神「……」
苗木「例えば、今みたいに。勉強をしている、少しだけ石丸クンみたいなボクが」
苗木「それってね、二年間みんなと培って成長してきたボクが消えてないってことだと思うんだ」
十神「……そうかもな」
苗木「石丸クンがね、言ってた。努力は無駄にならないって」
十神「あいつらしいが、現実はそうとは限らない」
苗木「石丸クンが、生きる限りしてきた努力って、全部無駄になったって思う?」
十神「……」
苗木「政治家になるために、立派な大人になるために、してきた努力。全部無駄になったって、十神クンはそう思ってるよね」
十神「……」
苗木「ごめんね、意地悪なこと言ったね」
苗木「だけど、無駄なんかじゃなかったってボクは信じてる」
十神「妄言だな」
苗木「ううん。だって石丸クンは、模範生でみんなのお手本だっただろうから、ボクもそれを少しは引き継いでいると思うんだ」
十神「模範……風紀委員、か」
苗木「努力することを、今までよりもできるようになったのが石丸クンのおかげで、もしそれで一人でも多くの人を救えたなら」
苗木「石丸クンが今までしてきた全ての努力のおかげで、人を救ったって言えるんじゃないかな」
十神「……」
苗木「ボクが前に進めたのも、ボクが元から少しだけ前向きな性格だっただけじゃない」
苗木「みんながいて、培ってきたボクがいた結果だと思うんだ」
十神「……」
苗木「十神クンが、わざわざボクに勉強を教えに来てくれたり、さっきも石丸クンの努力を否定できなかったり、そういう優しさも」
苗木「もしかしたらだけど、記憶をなくした二年間で得たものかもしれないよ」
十神「思うだとか、もしかしたらだとか、やはり抽象的な話だな」
苗木「ごめんね」
十神「いいや……謝るな」
苗木「え」
十神「……少しは、そう思わなくもない」
――努力したって必ず報われるとは限らない。
多分、そう言ったのはボクだった。
変わる前の、ボクだった。
チクッ、タクッ、
チクッ、タクッ、
けれども、それは今じゃない。
この言葉は、十神クンのように努力の先に勝ちを得た者だけが使うべき。
戦った敗者へと、敬意を示すもの。
だから――
『努力をするか否か、その選択を迫られたときの言い訳に使う言葉ではないぞ!』
何故か根付いている、聞き覚えのない概念が、
ボクの背中を押している。
静かに、暖かく。
おわり
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