エレン「2m級巨人?」花山薫「・・・」(22)

エレン「何だそれ、巨人は一番小さくても3m級までだろ」

アルミン「違うんだよ、本当にそういう巨人がいるわけじゃないんだ」

エレン「どういうことだ?」

アルミン「そういう風に呼ばれている人がいるんだよ。何でも、化け物みたいな強さを持った人なんだって」

エレン「へぇ・・・聞いたことないな。ミカサとどっちが強いんだろうな」

アルミン「さあ?僕は分からないけど、聞いた話によれば・・・」



アルミン「素手喧嘩(ステゴロ)なら、間違いなく人類最強なんだって」

エレン「人類最強だって!?」バンッ

アルミン「あ、あくまで噂だよ?僕も自分の目で見たわけじゃないし」

エレン「そいつはどこにいるんだ!?」

アルミン「分からないよ。どこかの兵団に所属していたらもうちょっとはっきりした情報が入ってもおかしくないのに・・・」

アルミン「それがないってことは、多分兵士じゃないと思うんだけど・・・」

エレン「何だよそれ!!力を持ちながら闘うことをしないってことか?!」

アルミン「だ、だから噂なんだって!本当のことかどうか全く分からないんだ!」


ミカサ「エレン、いったい何の話?」

エレン「なあミカサ!!お前、2m級巨人ってやつのこと知ってるか!?」

ミカサ「2m級巨人・・・?いや、聞いたことない」

エレン「ミカサも聞いたことないのか・・・」

ミカサ「役に立てなくてごめんなさい、エレン」

エレン「いや、別に良いよ。アルミンにだってわからないことだしな。ミカサが分からなくても仕方ないさ」

ミカサ(やっぱりエレンは優しい・・・)キュン


エレン「ほかの皆にも聞いてみるか。おーい!!みんなー!!」

ライナー「ん?どうしたエレン」

マルコ「何かあったのかい?」

エレン「お前ら、2m級巨人って知ってるか?」

ライナー「ああ、最近話題になってるアレか」

エレン「知っているのか!?」

ライナー「一応な。本当かどうかは分からんが・・・」

エレン「教えてくれ!ライナー!!」

ライナー「ああ、何でもそいつは兵士じゃないそうなんだ」

エレン「兵士じゃない?戦いから逃げたのか!?」

ライナー「違う、そうじゃないんだ」

エレン「じゃあなんで兵士じゃないんだ!!」

ライナー「・・・俺たちと、殆ど歳が変わらないんだそうだ」

エレン「・・・はぁ?」

エレン「ちょっと待てよ、どういうことだ!?何で俺たちと同じ歳で人類最強なんだ!?」

ライナー「そいつも、元々はウォールマリアにいたらしいんだ」

エレン「ウォールマリアに?」

ライナー「そうだ。それで、巨人たちが攻めて来たあの日のことだ」

ライナー「周囲は恐怖に慄き、混乱し逃げ惑っていた」

ライナー「巨人に食い殺されるもの、崩れた家の下敷きになるもの、自ら死を選ぶもの・・・」

ライナー「その中でその男は、慌てもせずに、まるでそこらに散歩にでも出かけるように引き返して行った」

ライナー「自分の母親が自宅に残されていた。それを見捨てておけなかったのだろう」

エレン「そ、それでどうなったんだ!?」

ライナー「話は落ち着いて聞け。まあ、幸いにもその男の母親は生きていた」

ライナー「しかし、頭を打って気を失い、とても自力で動けるような状況ではなかったという」

ライナー「その男が母親を背負い、脱出しようとしたその時・・・」

ライナー「その男の目の前には、3m級の巨人が立っていた」

エレン「・・・」ゴクリ

ライナー「3m級とはいえ巨人は巨人、脅威には違いない」

ライナー「立体機動も使えない一般人は逃げ惑うしかない・・・」

ライナー「その男・・・花山薫というらしいのだが」

ライナー「巨人の攻撃をまともに受けてしまう。母親を庇ってな」

ライナー「繰り返し、繰り返しぶん殴られたらしい」

ライナー「奇行種なのか、花山薫を単にいたぶることを目的としたような攻撃だったらしい・・・」

ライナー「周囲の人間は、その光景を唖然として見守ることしかできなかった」

ライナー「巨人の攻撃のあまりの凄まじさに、恐怖に、動くことすらままならなかった・・・」

エレン「・・・こ、殺されると思ったか?その、花山薫ってやつ・・・」

ライナー「え?殺されると思ったかだって?花山薫がか?」

エレン「・・・」

アルミン「そりゃ、そんな状況になったら、普通はもう・・・」

ミカサ「そこから助かることは、ほぼ不可能だと思う」

ライナー「ん~~」


ライナー「やっぱりお前らはワカってない。花山薫という人物を―――」

ライナー「そりゃお前、ああなっちまったらふつうは勝負ありだ」

ライナー「ふつうはな」

ライナー「だけどこれは花山薫の話だろう?」

エレン「ど・・・どうなったんだ!?」

ライナー「おもむろに、花山薫がこぶしを振り上げ始めたんだんだよ・・・」

ライナー「ゆっくりと、ゆっくりとな。巨人の攻撃なんてまるで意に介さずに」

ライナー「その拳を巨人に命中(あ)てた瞬間、どうなったと思う?」

エレン「・・・」

ミカサ「・・・」

アルミン「・・・」


ライナー「吹っ飛んだんだよ、巨人がな」

エレン「!?」

ライナー「巨人の方もさぞびっくりしたことだろうぜ、素手で自分を吹っ飛ばす相手がいたんだからな」

ライナー「巨人はすぐに起き上がろうとした、しかしその時には既に花山薫が迫っていた」

ライナー「さっきやったことを反撃(かえ)されたわけだ。巨人をぶん殴り、ぶん殴り、ぶん殴り・・・」

アルミン「ウソ・・・」

ライナー「ただ、巨人もそのまま殴られたままでいるわけじゃなかった」



ライナー「噛みつきだよ。顔の肉を噛み千切られたのさ」

ライナー「顔の肉を噛み千切られて、手痛い反撃を受けて・・・」

ライナー「しかしそこが花山薫なんだろうな。立ってるんだよ、イヤ、全然ひるんだ様子もないんだ」

ライナー「巨人も焦ったんだろうな、花山に組み付いて、確実に噛みつこうとした・・・」

ライナー「ちょうど俺たちがやる裸締めみたいな状況になったらしい」

ライナー「仮にも俺たちは訓練兵なんぞやってるンだからこれはワカる」

ライナー「完全に極まった裸締めは逃げられない」

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