提督「貴女達を置いて――」 (55)

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*艦これSS
*フロム脳患者
*需要かあれば続くかも
*遅筆






 ――少し昔の話から始めよう

 それはある男の物語

 と言っても、本題に差支えがない程度に

 そもそも全ての事柄を書き記すことは不可能である

 何処を書き何処を省くか

 その取捨は簡単なようで難しい

 ここでは敢えてバッサリと語るとしよう

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405276460

 その男はかつて神童と呼ばれていた

 彼が指揮する艦隊は連戦連勝。支援に要請すれば百人力

 事の全てが彼の手柄である……と言えば嘘になるが、彼の腕は本物だった

 しかしある日を境に噂は収束し、限りなく0に近づいた

 何故その噂を知っているのかは割愛しよう

 それは切るべき話である

 話を戻そう

 とりあえずこの段階で語れることは一つだけ

 その男はかつて神童と呼ばれていた、という事だけである
 


 そしてこれはある提督の物語であり、彼女の物語だ

「これで終わり、ね」

「お疲れ司令官!」

「ええ、お疲れ」

 そう言うと提督は雷を膝に抱え、その頭を優しく撫ではじめる。

 雷に嫌がる様子は微塵もなく、むしろ気持ちがいいのか目を細めて体を彼女に預けている。

「艦隊帰投しました、提督」

 タイミング良く帰ってきた飛龍を見て、提督は柔らかな笑みを浮かべる。

 そして雷を撫でる手はそのままに、彼女は口を開いた。

「お疲れ飛龍。それであの子達はどう?」

 そう問われ、飛龍は愛想笑を浮かべながら答える。

 そう問われ、飛龍は愛想笑を浮かべながら答える。

「頑張ってはいるんだけどね。なかなか壁を超えられないみたい」

 どうしたものかと彼女は内心で呟くが、いい答えが見つからなかった。

 彼女達の練度の向上は必要急務である。

 深海棲艦との戦いは苦戦を強いられている。

 現状ではまだ優位に立っているが、徐々に押され始めている。

 深海棲艦の突然変異種に分類される鬼級と姫級。

 そして戦艦レ級、潜水ソ級……これからも脅威は増えるだろうと推測されている。

 どちらにせよ、艦隊決戦の切り札である大和型。

 それを切らざるを得なくなったのが現状である。

 最前線を目指す彼女にとって色々と忌々しき事態だ。

「仕方ない」

 彼女はそう呟くと机の隅に置いていた携帯電話を手に取る。

 慣れた手つきでアプリを起動すると、ある男にリプライを送る。

 "提督、突然ですいませんが演習を頼めますか?"

 そしてすぐに彼から返事が返ってきた。

 "構わないよ。誰を向かわせればいい?"

 彼女は笑みを浮かべつつ返信を送る。

 "翔鶴と瑞鶴、装備はお任せします。全力で叩き潰すつもりでお願いします"

 その後、彼女は彼からの了承を旨を見てから飛龍に向き直る。

「二人を連れて来てもらってもいいかしら?」

「わかった。翔鶴と瑞鶴を連れて来ればいいのね」

 二つ返事で退出する彼女を見つつ、携帯を元の場所に置くと雷が口を開く。

「司令官、またあの人に頼んだの?」

 雷は彼女の膝の上から、背中を預けた状態で彼女を見上げる。

 彼と関わりを持つ事を雷は快く思っていない。

 その感情は嫌悪――という類ではない。

 自分達の在り方と彼女を照らし合わせた結果、不安に思ってしまう。

 彼女が居なくなってしまうのではないのか、と。

 現に雷は不安そうな表情で彼女を見つめ、幾度となく聞いた彼女の言葉を待っている。

「心配無用よ。私は彼の鎮守府所属一航戦加賀ではなく、この鎮守府を任せれた一人の提督」

「貴女達を置いてどこにも行かないわ」

需要があれば云々

――加賀提督執務室――

「向こうの鎮守府は平和そうね」

 加賀は携帯の画面を、元同僚たちのツイートを見ながら愚痴を漏らす。

 そしてその場にいた少女がその小さな呟きを拾う。

「お言葉ですが司令、全体から見た貢献度ではあちらの方がだいぶ上かと」

「そうね不知火」

 加賀はそれを短く肯定する。

 だいぶ、ね――加賀は内心で呟く。

 実際は彼女の鎮守府と彼の鎮守府では天と地ほど差が開いている。

 累計の戦果も、味方への支援の数も、艦隊全体の練度も、何を取っても劣っている。

「何と表現するべきか――そう、余裕があるというのは羨ましいってところかしら」

「勝たなければいけない。成功させなくてはいけない」

「そういう『~しなくてはいけない』という強迫観念が一番恐ろしいものよ。だからそういう余裕があるのは羨ましい限りだわ」

「……同意します」

 不知火は目を閉じ、考え、ゆっくりと答えた。

 彼女にもそういう経験があるのだろう。

 そしてそれは勿論――元は艦娘であった彼女にも。

「ねえ――貴女の目から見て今の五航戦をどう思う?」

「それは強迫観念に駆られていないか――ということでしょうか?」

 加賀は無言で頷く。

 珍しい――彼女の表情を見て不知火は思った。

 司令があの人達を心配するなど――と。

「問題ないかと。二航戦の方がフォローしていましたので」

「そう」

 彼女はそっと胸を撫で下ろす。

 疑問を持った不知火が初めて彼女に問いを投げる。

「……何故彼女達に厳しく当たるのですか?」

 その問いを聞いて彼女は少し困ったように人差し指で頬を掻く。

「私が鞭で、二人が飴。そっちの方が上手く回るのよ」

「それは経験上からの――いえ、分を超えた発言失礼しました」

「気にしないでいいわ。本当の――」

 そこで言葉を切ると彼女は不意に笑みを浮かべる

「そういうのも面白いかもね」

 その発言に不知火だけでなく、部屋の隅で手伝いをしていた雷も怪訝な表情を浮かべ、彼女を見る。

 そして加賀は口を開いた。

「ブレインストーミングをやりましょうか」

「皆さんお集まり頂きありがとうございます」

 不知火が口を開きそう言うと、食堂に集まった艦娘達が口を閉ざし静かになった。

 その食堂の隅で提督、間宮、明石、妖精さんと数多くの人が集まっていた。

 その中に、五航戦の姿は見えない。

「司令の指名より、不知火が司会を務めさせてもらいます」

「それではさっそくブレインストーミング、ブレストについての説明に入りたいと思います」

「それでは雷さんよろしくお願いします」

 雷が不知火の隣に立つと、食堂の一角から頑張れと声援が送られる。

 雷は頬を僅かに赤く染めながら不知火からマイクを受け取り、口を開いた。

 ブレストの安価説明
お題:『空母隊に不足している「練度」をどう補うか』
次の本番のための練習なのでレス番号+3~5ぐらいまでを対象とする↓


駆逐「倒れるまでキス島を周回するのです」●ワ●
軽巡「倒れるまでキス島を周回するのです」●ワ●
軽空母「倒れるまでキス島を周回するのです」●ワ●
空母「倒れるまでキス島を周回するのです」●ワ●
戦艦「倒れるまでキス島を周回するのです」●ワ●

各艦種の子の名前指定を指定してください。もちろん潜水艦など例にない艦種も可
ただし加賀の鎮守府は今3-2キス島 4-3リランカまでは攻略済みとする

ブレストなのでつまらないアイディア、乱暴なアイディア、見当違いなアイディア何でもあり
ちなみに本番は『加賀提督をどうやって「瑞鶴」にデレさせるか』なので適当に昇華してくださると助かる

説明がアレでこれで伝わるかどうかアレ

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