久「何でも今年はご祝儀麻雀らしいわよ」咲「こんな直前でルール変更ですか…」 (37)

久「…確かに、こんな直前に変更されてもって話なんだけど、何か質問ある?」

和「連盟の方々がそう指定するのなら、それに従うのみです」

まこ「どうせやることは麻雀に変わりはないからのう」

優希「どんなルールでも東場の私に敵はいない!」

咲「私もカンしてツモれば全員から貰えるから別に大したことないかな…」

京太郎「えーっと、じゃあ質問なんですが…」

久「はい、須賀君」

京太郎「…その、ご祝儀麻雀とやらのルールが良く分からないんですが…」

久「…なるほど。そう来たか」

まこ「確かにご祝儀麻雀って言っても所属によって色々ルールが違ったりするからのう…」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405266510

久「今年のルールだと…咲が初めて来た時に、須賀君も一緒に打ってたじゃない?」

和「基本的にはあの時のルールと同じです。後付け、喰いタンともに認めるルール」

咲「当然1飜縛り。…ただし、あの時のルールから」

優希「一発・裏・新ドラ・ダブロン・赤ドラ・箱下計算は当たり前」

まこ「加えて飛び賞・役満賞等にサービスが追加されるってわけじゃな。打点は自己申告」

まこ「ま、簡単に言うとフリー雀荘と同じルールじゃな」

久「以上の説明を踏まえた上で、さて…」

久「これは何でしょうか?さっき全校に渡されたものだけど」

京太郎「…これは、チップ…ですか?」

久「そう。これをさっき言った、一発だったり裏だったりのサービスで点棒以外に支払うの」

久「まだちょっと時間があるみたいだし…せっかくだから実際にやって説明しようかしら?」

まこ「そがなこと言うて、雀卓はここにはないんじゃが…」

久「あ、そうか…」

咲「あ、私カード麻雀なら持ってますよ!」

久「咲、でかした!よーし、適当に5牌のカードに2枚ずつ赤く塗って、ちゃちゃっと説明するわよー!」

他校(あいつら何やってるんだ…)


※一般的にはこのルールをご祝儀麻雀とは言いませんが、競技麻雀との差別化を図るために、そう名称しております。

和「ツモ。タンピンツモ赤。2600オールです」

京太郎「くあー、やっぱ強えーな和は。ほい、2600」

咲「京ちゃん、それだけじゃダメだよ。チップ、チップ」

京太郎「あ、そうか。ほれチップ。つっても、1枚全員から奪った程度じゃ何も変わらないだろ?良く分からんけど」

優希「甘いぞキサマ!甘すぎる!」

京太郎「どういうことだよ…」

まこ「ま、最後に換算する時に分かるじゃろ」


~オーラス~


京太郎「な…なんてこった!焼き鳥だわチップはカモられまくりだわ散々だ…」トン

優希「甘い!ロン!そいつで5200!京太郎は4000持ちだから飛びの4枚+赤1で5枚チップよこせ!」

京太郎「げ…ったく、ホラよ」

久「終わった?じゃあ集計するわね?」

京太郎「-1200のチップ-11枚です…」

優希「42300のチップ+2枚だじぇ!」

和「34000のチップ+8枚ですね」

咲「24900のチップ+1枚です」

京太郎「なんだ、優希がトップか」

優希「甘い…どこまで行っても甘いなキサマ…」

久「はい、んで換算した結果がこれね?25000持ちの30000返しでウマは入れてないわよ」

久「まずこれがチップを抜いた計算」

京太郎「ふんふむ」


優希+32
和+4
咲-5
京太郎-31


久「で、チップ換算した場合の結果がこれ」


和+44
優希+42
咲±0
京太郎-86


京太郎「」

京太郎「ど、どうなったらこうなるんですか!?」

優希「私と咲ちゃんは持たざる者…そしてのどちゃんは持つ者…と言えば分かるか?」

京太郎「…ああ、なるほど」

久「分かってくれた?要するにこのルールだとチップの収入がね…」

京太郎「おもち持ちの人が得をするルールなのか…」

ALL「違う!!」

咲「…簡単に言うと、このチップ1枚で5000点の価値があるの」

京太郎「ええ!マジかよ!!」

優希「だから、さっきののどちゃんの上がりを思い出してみると良いじぇ!」

京太郎「えっと、親の2600オールの1枚オール…」

京太郎「2600*3+5000*3は…なっ!22800点の収入!?あれだけで!?」

まこ「ついでにオーラスでお前さんが打ち込んだのも思い出してみぃ」

京太郎「5200にチップ5枚…げっ!あの一打で30200点も失ってるじゃないですか、俺!!」

優希「それだけに、ツモはとにかくご祝儀麻雀ではお得なんだじぇ!」

久「全員から一辺に5000点*n奪えるわけだからね…」

和「リーチ一発ツモ裏のみとかやられるとそれだけで気分が悪くなります…」

まこ「…まぁ、実際の点棒の方も勿論大事じゃけど」

咲「このルールだと赤は6枚入ってるし、その辺の駆け引きも重要だよ!」

京太郎「…なるほど、これは難しい麻雀ですね…」

久「何にせよ、気を付けて打って頂戴ね!」

ALL「はーい!」

純「ロン」

優希(ぬぐぐ…このノッポ…変な鳴きをしてくるじぇ…)

美穂子(けれど、このご祝儀麻雀ではそれが良い事とは決して限らないわ)

純(…点棒は稼げてるけどよ、赤牌の絡みが無いんだよな…)

美穂子(…さて、私の手元には赤牌0、捨て牌を見る限り清澄の子の手牌に良くて一つ…)

美穂子(ここは清澄の子に動いてもらって捌いてもらいましょう」

優希「チー!ポン!」

純「うっ…晒した牌で親満確定…」

純(この女…しかし、俺もこの赤々イーシャンでは降りれない…)トン

優希「おっと、それだじぇ!ロン!」

純「ぐっ…」

睦月「うむ」

美穂子(自分の手牌に赤が無い時は無理しないのもこの麻雀の特色よ)

―清澄高校控え室―

まこ「何か上手く優希を使われた感じじゃな」

久(どっかで見たことあるのよね…この風越のキャプテン…)

佳織「ツモ…。リーヅモトイトイ…でしょうか?」

まこ「うむ。で、何点?親のわしは何点払えば良いんじゃ?」

智紀(…なるほど)

智紀「リーヅモトイトイ…それだと4飜…」

未春(そういうことですか。胸がある人だし進言する必要もないですね)

未春「リーヅモトイトイでしょう?子の4飜ツモですよね?さあ何点です?」

佳織「えっと…それですと……分かりました!2000・4000です!」

まこ「良く分かりました!ホレ、4000じゃ」

智紀「…はい、2000」

未春「私も2000点ですよ」

佳織「や、やったー」

まこ「はい牌流してー。はいサイコロ回してー。いやー見事な上がりだったのぉ」

智紀「うん。凄い上がりだった。次行こう次。」

未春「いやーびっくりしましたね。裏が乗らなくて良かったですねー。さくさく行きましょうさくさく」

佳織「み、皆さん…ありがとうございます。私、頑張ります!」

―鶴賀控え室―

智美「…ワハハ。あいつら全員眼鏡だけど、畜生眼鏡しかいないぞ」

久「リーチ!」

星夏「…通れば」

久「通らないな」

久「ロン!リーチ一発ドラドラ裏裏、18000の3枚!」

星夏(また多面を捨てて地獄単騎待ちー!?)ぐにゃあああああ

智美「ワハハ。…とんでもない待ちだぞ」

一(…バカなのか、それとも)

―風越女子控え室―

美穂子「上埜さん…相変わらず自分から変な待ちに…」

華菜「一発と裏がなければただの5200だし!多面に受けてたらほぼツモれないとは言え、納得いかないし!」

未春「まぁ普通は一発ツモと裏を考えて多面に受けるよね…地獄単騎とは…」


※こういう上がりをされると点棒や財布以上に精神が痛みます。

和「……」

和(6sで二巡目にして、七対子テンパイですか)

純代「」タン

和(当然スルーです)

和「リーチ!」西単騎


―龍門渕控え室―

純「なっ!あの野郎1600の出上がりを蹴って西単騎で受けやがった!!」

一「まぁ、あそこで上がってもそんなに旨みが無いからね…」

智紀「…私には原村和の気持ちが良くわかる」

一「ともきー?」

純「…何か、様子が変だぞ?」

智紀「…七対子は跳ね満以上へのショートカット…っ!」

智紀「本来跳ね満とはそれ相応の手作りの必要があるっ…!」

智紀「…けれどもっ!七対子だけは別っ…!」

智紀「ツモって裏さえ乗れば…っ…どんな待ちでも…っ跳ね満っ…!!」

純「なっ…」ざわ…

一「そんな、そうそう上手く乗らないよ…7/34なんて」ざわ…

智紀「…そう、確率からすれば21%の決して高いとは言えない確率…っ!」

智紀「しかしっ…卓上では何が起こるか分からないっ…!!」

智紀「一つの裏が重なっただけで跳ね満ツモのチップ2枚オール…!単純な役満より打点が高い…っ!!」

純「そっ、そんな…!!」ざわ…

一「ダメだ透華!!そのリーチを相手にしたらーっ!!」ざわ…


和「ツモ」

透華「!」

透華(乗らないで下さいましっ!)

和「1600・3200です」


―龍門渕控え室―

智紀「………」

純「おい、この空気どうすんの。散々何か起こるかもって煽っといてどうすんのこれ」

一「僕は知らない」

衣「リーチ」

ゆみ(残り一巡でリーチだと…!?)

衣「…ツモ。リーチ・一発・ツモ・赤・海底撈月・裏…3000・6000の3枚オール」

咲「はい、3000の3枚です」

咲(凄い!この子すっごく強いよ!麻雀って、楽しい!)

華菜「…にしても、何で突然ご祝儀麻雀になったんだし?はい6000の3枚」

華菜「華菜ちゃんからすると、高い打点にチップの移動も楽しいから構わないけど!」

ゆみ「何でも運営としては地味な競技麻雀をやる予定で準備していたが」

ゆみ「とんでもないドラゴン娘?とか何とかがいたらしくて変更に至ったらしい」

ゆみ「…あ、すまんな。点棒移動がまだだったな。はい3000の3枚」

華菜「連携取れてないんだなー。あ、ツモだし!数え役満。チップはこれどうなるんだ?」

咲「んー、この場合は一発と裏の3枚オールで良いんじゃないですか?」

ゆみ「そうだな。 純正役満じゃないことだし」

華菜「残念だし!」

咲「カンカン、も一個カンからのツモ。4000・8000の1枚オール」

ゆみ「ロン。リーチ一発七対子裏裏。12000の3枚」

華菜「やっぱ七対子だったかー」

衣(こ、こやつら…)

衣(打点とチップがインフレしたのもあって、全然衣に恐怖心を抱いてない!)ガーン

衣(おまけに高打点が高打点を、チップを絡めた上がりが更なるチップの上がりを引き起こす卓になってしまっている…!!)

衣(衣の支配すら相乗効果で上回ったとでも言うのか…!?これでは衣は…)

咲「まだまだ、これからだよ!一緒に、麻雀を楽しもうよ!」

衣「!」

華菜「そうだそうだ。まだまだ勝負は分からないし!」

ゆみ「最後まで分からないのが勝負事だろう…?」

衣「…そうだったな。 衣も久々に麻雀して辛酸を舐めている。面白い手合いに巡り会えた」

四人「勝つのは私だ!!」

咲「…あ、白ポッチツモです。リーチ一発ツモ赤1。2000・4000の赤+一発+白ポッチで4枚オールのラストですね」

咲「単純な点棒ではうちは二位ですけど、多分チップの差でうちが優勝だと思います」

三人「」


『長野県県代表の座を勝ち取ったのは、初出場の清澄高校だーっ!!』


※白ポッチ。白に赤いポッチが付いている牌。白の全4枚中1・2枚が主流。
リーチ一発目のみオールマイティ、全ての牌に変換して良い。他の状況ではただの白。
裏ドラを確認してから、最大に打点が高くなる上がり牌を選べる。
大体のチップゲー雀荘ではツモると何か貰える。糞ゲー。

怜「リーチ」

玄(円城寺さん、また……ううっ、ドラばっかりだけど手が進まないよー)ぐすん

怜「ツモ。リーチ一発ツモドラ。2000・4000の一枚オール」

照「はい、4000の一枚」

玄「はわわわわ」

照「ツモ。それじゃ今度は私のターン。連続上がり行くから」

玄「ううう…」タン

照「ロン。2600の一本場」

玄「あわわわわ」


淡「ん?誰か主役の私を呼んだ?」


怜(連続上がりで猛威を振るってるけど、チップの怪我が無いのが幸いやな…)

煌(阿知賀の方は全てのドラを集めている、それだけでもすばらな仕事をしていますよ)

玄「」 チーン

煌(…すっごい涙目になっちゃって多分事態が分かってないと思いますが…)

菫「シャープシュート」

泉「ぐがっ!」

泉(飛び賞狙うんやないの!?)

菫「今度はこっちに」

宥「避けます」

菫「!?」

宥「あと、それロンです」

菫(…このルールで赤牌を切ってまで私の狙撃を回避するとはな…)

美子「安上がり行きます」

菫「望むところだ。点数はリードしている。祝儀抜きに場を回してくれるならありがたい」

菫(トップが飛び賞を狙っても仕方ないからな…)

泉(え、全然速度に着いていけないんやけど…)


※飛び賞はあくまでオマケです。本来はフリーでトップと大差が付いた2着目・3着目が狙うべき賞だったりします。

憧「ロン!3900の2枚!」

セーラ「ほんと刻むの得意やなー。受ける」

セーラ「けど俺はでかく上がらせて貰うわ。2000・4000の1枚オール」

セーラ「さーて連荘や」

憧(だーからー…ご祝儀麻雀だから、そりゃ)

憧(打点もチップも稼ぎやすいけど!この面子で局が多いと…!)

憧「…ツモ、1000通しの1枚オール」

憧(…って、赤入りのツモじゃ倒すしかないじゃない!)

セーラ「ほんと刻むんやなー」

憧(大丈夫かな…?大丈夫だと思いたい…! )

尭深「ツモ、大三元。8000・16000。6枚オールですね」

憧「」

セーラ「」

仁美「…もう一位抜けが殆ど決まった。なんもかんも政治が悪い」

誠子「ポン・ポン。ツモ」

灼(早…)

浩子(ま、でもそれだけ手牌を短く、速度重視なんて)

浩子「ロン。赤1の5200や」

誠子「はい」

浩子(狙われるリスクもあるってことやからな)

灼(どう考えても1位抜けはかなり分が悪…。何とか二位通過を…)

哩(とりあえず下位のうちとしては上がっといてキー渡さんと…)

哩(ただこれ…一位の白糸台は場を流すことしか考えてない…速度重視)

哩(そしてその余り牌を千里山が狙い撃ちしている格好…)

哩(何とか隙を見て姫子に稼いでもらう分だけの上がりを稼げれば…)

淡「全国5000万人の大星淡ちゃんファンの方、お待たせしました!」

淡「主役だよ主役!ダブリー!」

穏乃「」トン

竜華「」トン

姫子「」トン

淡(ふふーん。カンの前に出されても困るんだけど…酷いシャンテンからみんな2位狙いで押してるね?)

淡「カン!」

三人「くっ…」

姫子「」トン

淡「ロン!18000の4枚!」

姫子(しまった…鍵を貰ってなかと局はおとなしくするんが良かったんか…!?)

淡「ロン18000の4枚の一本場!」

淡「ロン18000の4枚のry」

淡「ふふふー。このルールこそ私の真骨頂!!」

穏乃(これ以上走られるとまずい…)

穏乃「マイオカルト発動!」

淡「ぐぬぬ」

竜華「怜ちゃん!出番やで!」

姫子「させん!この局は部長ば上がった局!」

穏乃「遊ぶんだ!決勝で!和と!!」


『インハイ決勝進出の二枠は白糸台とどの高校になるのかーっ!』

園城寺…(ボソ)

『さあ出揃いました、個人戦決勝まで駒を進めたのはこの4人!』

『白糸台の新星!シャンテン地獄にダブリーカン裏モロ乗りとオカルト様々!』

『惜しくも準決勝で敗れた先輩の宮永照の屈辱を貼らせるか!大星淡!』

淡「テルーの後継者は私にお任せ!サキーには負けないよっ!」

『あったかい牌大好き!大会屈指の赤牌所有率とそれを使った高い上がり率を誇る!』

『このルールなら出場した方が良いとの強い推薦を受けての県大会突破からの快進撃・松実宥!』

宥「玄ちゃん…お姉ちゃん頑張るよ…!」

『とにかく一発ツモ!全員から5000点ずつ奪えるその力はこの大会では驚異!』

『卓の途中でぶっ倒れると個人戦では控えとかいないから試合が進まないぞ!円城寺怜!』

怜「それしかウチにはあらへんからな…竜華、ウチ頑張るわ…」

『派手な勝ち上がりは無いものの、県予選とは異なるトーナメント方式の各予選と本選で」

『対戦相手を分厚い紙一重で破ってきた長野の新鋭!点棒はおろかチップすら調整するその力は最早魔物!?』

『実の姉である、高校生の頂点・宮永照を直接下しての出場!宮永咲!』

咲「…お姉ちゃんと約束したんだ。もう手加減しないって!」


『今、戦いの火蓋が切って落とされようとしています!!』


後日、「酷い糞ゲーだなおい」「子の跳ね満ツモより高い500・1000の1枚オールwww」
等々のクレームが起こりまくり、ご祝儀麻雀はこの年以降やられなくなったとか。


カン!

>>20
ギャー間違えた。ご指摘ありがとうございます。しかも二箇所。
という事は前作も間違えてる。トキ…うちのIMEが病んでいなければ…。

>>15,21
×円城寺
○園城寺

前作
『久「やっぱり今年も競技麻雀らしいわよ」咲「こんな直前でルール変更ですか…」』
からの派生です。前作を読まなくても今作単体でも読めます。
色んなルールですが、自分が良く行く東風ピン雀荘から引用しています。

思っていた以上に糞ゲーになりました。そりゃそうだ!競技麻雀の方が100倍面白いですね!
りつべ先生、チップとか入れないで本当にありがとう。読んで頂いた方も、ありがとうございました。
次回は割れ目麻雀にしてみる予定です。糞ゲーの予感しかしない。

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