神谷奈緒「かぜひいた…」(50)


アイドルマスターシンデレラガールズ、神谷奈緒のSSです。

奈緒を愛でたいだけの何か。


―――神谷家、奈緒の部屋

奈緒母「…ん、37度8分。完全なる風邪ね」ピピッ

奈緒「どーりで体が重いわけだよ…」

奈緒母「ま、あなた昨日までお仕事忙しかったもんね。久々の休みに気が抜けたんでしょ」

奈緒「せっかく遊ぶ計画してたのになぁ…」ムー

奈緒母「無理よ、あきらめなさい。さて」ヨッコイショ

奈緒母「母さんは買い物行くけど、なんか食べたいものとかある?」

奈緒「…いい」

奈緒母「食欲はなし、ね」

奈緒母「わかった。寝てなさい。まぁゼリーかなんかでも買ってくるから起きたら食べれるように」

奈緒「…ありがと」


奈緒母「病気になると妙にしおらしいわよねあなた。いつもそれくらいでいいわよ」

奈緒「病人からかうなよ…」

奈緒母「言い返す元気があるなら大丈夫」アハハ

奈緒母「それじゃ、なんかあったらメールちょうだい」スタスタガチャッパタン

奈緒(…なんかやけに静かだ…)シィーン…

奈緒(あーぁ、せっかくの休みなのにな…凛の家に遊びに行くつもりだったのに…)

奈緒(それから事務所にいってプロデューサーさんに差し入れして…)ポワポワ

奈緒(…ちょっと、ほんのちょっとだけオシャレしてみようと思ったのにさ…)ウツラウツラ

奈緒(あー…薬が効いてきたのかな…眠い…)

奈緒「…くー…」Zzz





―――神谷家、リビング

奈緒母「ごめんね、手伝ってもらっちゃって」ガサガサ

凛「いえ、もともと今日は奈緒と遊ぶ予定でしたし」フゥ

加蓮「私は前にお見舞い来てもらったことありますし」ヨイショット

奈緒母「あの子は寝てるかしらね。さっきのメールに返事がないところを見ると」

加蓮「覗いていっていいですかー?」

凛「大丈夫かな」

加蓮「風邪ひいてる時とかってなんか心細いでしょ?誰か来てくれると嬉しいもんだって」

凛「加蓮が言うと説得力が違うね」フフッ

奈緒母「ご自由に覗いてってちょうだいな」

奈緒母「ツンツンするくせに内心喜ぶんだからあの子は」

凛「流石奈緒のお母さん」

加蓮「わかってるよね」

奈緒母「あぁ、起こしちゃっていいからね」

奈緒母「そろそろ次の薬飲んだ方が良い時間だから。これも持ってってもらえる?」カチャカチャ


凛「はい。じゃあ行こう、加蓮」

加蓮「うん」


―――奈緒の部屋

凛「入るよ、奈緒」

加蓮「おじゃましまー…ってやっぱり寝てるね」ソロソロ

奈緒「…くぅくぅ」

凛「起こしてお薬飲ませなきゃいけないんだけど」

加蓮「そんなに急ぐことはないもんね」

凛「わかってるね加蓮」グッ

加蓮「もちろん」ピシガシグッグッ

凛加蓮「「…じー」」ジー

奈緒「…くぅくぅ…」Zzz

凛「やっぱり」

加蓮「奈緒って」

凛加蓮「「可愛いよね」」ウンウン


凛「なんでこんなに可愛いんだろう」

加蓮「うーん…小さいから?」

凛「それはそうかもね。なんていうんだろ、全体的に造りが小さい」

加蓮「背が低いだけじゃなくてさ、手とか足も小さいし」

加蓮「そのくせスタイルいいじゃない?」

加蓮「スリーサイズじゃ私の方がよく見えるけど…抱き心地は奈緒の方が絶対いいよ」

凛「…身長は十センチ違うのにバストは私よりあるんだもんね」ムムッ

凛「…なんか悔しい。揉んでやろうかな」

加蓮「今日はやめときなって」フフッ

凛「…そうだね」


凛「あとはやっぱり奈緒の魅力と言うと…」

加蓮「眉だね」キリッ

凛「太くて柔らかいあの眉の魅力はどこから来るんだろう」

加蓮「言い方悪いけど、あの眉は奈緒じゃなかったら単なるイモだと思うんだよね」

凛「やっぱり奈緒は可愛いなぁ」サワサワ

加蓮「あ、ちょっと凛ズルいよ。私も奈緒の眉毛さわさわする!」サワサワ

奈緒「…ん、んんぅ…」カオシカメ

凛「…ふふふ」サワサワ

加蓮「…ふふっ」サワサワ

奈緒「…んっ…んんぅ…」イヤイヤ

奈緒「…んっ…はっ…くすぐったいよぷろでゅうさ…」パチッ

奈緒「…」パチパチ

凛加蓮「「…」」ニコニコサワサワ


奈緒「…お前ら人の部屋で何してんだ…?」

凛「奈緒を起こそうと思ってね」

奈緒「それで?」

加蓮「奈緒の眉毛をサワサワしてた」

奈緒「ほーん…バカかお前らは!」

加蓮「あー、ひどい。せっかくお見舞いに来た友達にそういうこと言うんだー」

凛「これでも本気で奈緒の事心配してたのにね…」

奈緒「そ、それは…ゴメン」シュン

凛加蓮「「(チョロかわいい)」」

奈緒「け、けどお前らだって人の眉を…」

加蓮「まぁそれは置いといてぇ」

奈緒「おい!」


凛「奈緒さ、どんな夢見てたの?」

奈緒「は?」

加蓮「私たちは聞いてたよ『くすぐったいよぷろで…』」

奈緒「わあああ!!バカ!バカ!知らないっ!!」ボフッ

凛「(真っ赤になって…)」

加蓮「(布団に顔埋めて…)」

凛加蓮「「(…かわいい)」」

奈緒「…それで、アタシをからかいに来ただけかよ」チラリ

凛「(涙目の赤い顔で…)」

加蓮「(顔下半分を布団で隠しながら上目使い…)」

凛加蓮「「(かわいい!!)」」

奈緒「…おい」

凛「…コホン。奈緒のお見舞いに来たのは本当だよ」

加蓮「はいこれ。奈緒のお母さんが、そろそろ薬の時間だからって」コト


奈緒「そっか…ワリィな、せっかくの休みなのに」

凛「ううん。どうせ暇だったし」

奈緒「…それだってアタシが風邪なんか引いたから」

加蓮「はいはい、病人は薬飲んで大人しくしててね」ポンポン

加蓮「調子が悪くてネガティブになる気持ちはわかるけど、私と凛は別に気にしてないから」

奈緒「…ありがと」

凛「それに、いつもと違う奈緒を見られてなんだか新鮮だしね」フフッ

加蓮「そーそ。いつも偉そうに人にお節介焼いてる奈緒が、こうやってしおらしくしてるの見るとなんか可愛がりたくなるよねー」

奈緒「なんだと加蓮」ムッ

加蓮「はいはい、ムッとしないの」ヨシヨシ

奈緒「ちぇ、アタシは年上なんだぞ…子ども扱いしやがって」ウゥー

凛「病人に年上も年下もないよ」フフッ


凛「ゼリー持ってきたけど食べる?」

奈緒「…うーん…食欲ないけど…ちょっと食べようかな」

加蓮「どれどれ」ペリペリ

加蓮「はい、あーん」アーン

奈緒「い、いいよ、それくらい自分でできるから」

加蓮「照れない照れない。あーん」

奈緒「…りぃん」

凛「加蓮、次は私だよ?」

奈緒「アタシの味方はいねーんだな…」ガクッ

加蓮「ほらなおー」

奈緒「わ、わかったよ…」

奈緒「あ、あーん///」モグモグ

凛加蓮「「(かわいいなぁ)」」


凛「そういえば体の調子はどう?よくなってる感じはする?」

奈緒「あぁ…薬のおかげかな。朝よりは」

奈緒「まだだるいけど」アハハ…

加蓮「これ食べたらまた一眠りしなね」

加蓮「私たちは適当なところで帰るからさ、気にしなくていいよ」

奈緒「うん…ありがと…」ウトウト

凛「言ったそばからもう眠い感じかな?」

加蓮「子守唄でも歌ってあげようか」フフッ

奈緒「…すぅ…」Zzz

凛「…いらないって」フフッ

加蓮「じゃあ、お母さんにご挨拶してお暇しようか」

凛「そうだね」ヨイショ

加蓮「お大事にね、奈緒」フリフリ

奈緒「…すぅすぅ」Zzz


―――リビング

奈緒母「奈緒はどうだった?」カチャカチャ

加蓮「薬飲んだらまた寝ちゃいました」

凛「食欲はないみたいですけど、ゼリーは食べてたんで、大丈夫だと思います」

奈緒母「そう。じゃあ寝てれば治るかしらね」ジャーッ

奈緒母「二人とも遠いのにわざわざありがとうね」

凛「いいえ、友達の為ですから」

加蓮「奈緒が元気じゃないと、つまらないもんね」

奈緒母「あの子も幸せ者だわ」フフフ


凛「では、私たちはこれで失礼します」

加蓮「奈緒にお大事にって伝えて下さい」

奈緒母「あら、もう?ごめんなさいね、なんにもおもてなしできなくて」

凛「いえいえ、お見舞いですから」

奈緒母「二人ともお母さんたちに『今度またお茶しましょう』って伝えてちょうだい」

加蓮「わかりました」

凛「じゃあまた。お邪魔しました」

加蓮「お邪魔しましたー」

加蓮「そだ、未央とかにも連絡しとこ」ピッピッ


―――リビング

ピンポーン

奈緒母「あら、誰かしら」パタパタ

奈緒母「はいはい、どなた?」ガチャッ

未央「おばさんこんにちは!本田です!」

未央「奈緒ちゃんが熱出したって聞きまして!」

奈緒母「あらあら未央ちゃん、そちらは?」

美羽「あ、えっと、初めまして!矢口美羽といいます」

未央「みうっちは、私たちと同じ事務所のアイドルなんです」

未央「実は結構近くに住んでて奈緒ちゃんとも仲良くしてるので、お見舞いに連れてきちゃいました!」

奈緒母「あら、じゃああなたが千葉組の矢口さんなのね」

奈緒母「奈緒が前にちょっと言ってたわー、友達思いのいい子だって」


美羽「え、えへへ、なんか照れちゃいますね!」

美羽「では、お近づきのしるしに一発ギャグを…」スッ

未央「お、おーっと!おばさん!奈緒ちゃんの具合どうですかっ?」パタパタ

奈緒母「え?あぁ、ちょっと前まで凛ちゃんと加蓮ちゃんが来ててね」

奈緒母「薬飲んで寝たみたい」

未央「あちゃー、タイミング悪かったかな」

美羽「出直しますか?」

奈緒母「ううん、大丈夫。それも一時間くらい前だし」

奈緒母「なかなか丸一日は寝てられないもの。そろそろ起きるかもしれないから、相手してあげてくれる?」

未央「もちろんですっ!」

未央「いこ、みうっち」

美羽「うん!」


―――奈緒の部屋

コンコン!

奈緒「…うん?誰だろ…どーぞ!」

未央「…はっ」ガチャッゴロゴロゴロ

未央「…」ベッドノアシモトヘピタッキョロキョロ

未央「…ゴー!」

美羽「アイサー!」ガチャッゴロゴロゴロ

美羽「…」ミオノトナリニピタッ

未央美羽「「…」」ピシガシグッグッ

未央美羽「「…ふふん」」ドッヤァァ

奈緒「…何やってんだ?お前ら」

未央「あり?はずしちったかな?」

美羽「うーん…受けると思ったんだけどなぁ」


奈緒「意味が分からなかったぞ」

未央「ちっちっち、意味を求めちゃダメだよかみやん!こういうのはノリと勢いなのさ!」

美羽「そうですっ!」フンス

奈緒「…さいで」ヤレヤレ

未央「で、調子はどうだいっ?」

奈緒「お見舞いに来てくれたのか」

美羽「加蓮さんから未央ちゃんにメールが来たんですっ」

未央「かみやんが熱出して倒れたって聞いたもんだから、みうっち誘って飛んできたってわけさっ」

奈緒「そっか、わざわざサンキュな」

奈緒「体調はだいぶ良くなったよ。寝過ぎでちょっと体が軋むくらいだ」ハハッ

美羽「あー、わかります。一日寝てると腰とか痛くなりますよね」

美羽「そうかな、と思ってこんなの持ってきました!」ジャジャン

奈緒「…なんだこの丸い撒き菱みたいなの?」


美羽「ツボ押しグッズです!手でもって使っても踏んでもいいですよー」

未央「それってさ、体動かしてなくて固くなってるのに効果あるの?」

美羽「どうなんだろ…?」

奈緒「持ってきた本人が効果を疑ってちゃしょうがないだろ」アハハ

奈緒「ありがと美羽、使わせてもらうよ」

未央「かみやんかみやん、私に何を持ってきたのか聞いておくれよぉ」

奈緒「そういうのって、アタシから聞くもんでもなくないか?」

未央「いいからいいからっ」

奈緒「…未央は何を持ってきてくれたんだ?」

未央「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました…じゃじゃーん!!」ガサガサ

未央「ぴにゃこらまくらだー!」ババーン

奈緒「なんかおっきい袋を抱えてきたと思ったらぴにゃこら太じゃないか」

奈緒「うわぁ…」


未央「あー!かみやんなんで微妙な顔するのさー!」

奈緒「いや、微妙な顔もするよコレは…おおう」マジマジ

未央「まぁ形容しがたい表情はしてるけどねー」

美羽「まくら…なの?未央ちゃん」

未央「うん!実はかれりんから連絡を受け取った時、私ショッピングセンターにいてさ」

未央「みうっちとかみやんとこ行くって決めた後すこーし時間があったから、UFOキャッチャーに挑戦してみたんだ」

未央「そしたらなんか取れちゃってさ!ちょうどいいからかみやんへの手土産にしようかと思って」

奈緒「自分ちに入らないからアタシんちに置いてこうってことじゃないだろうな」ジトー

未央「あ、あっははー、やだなぁかみやーん」

奈緒「冗談だよ、ありがとな未央…ううむ」マジマジ

未央「ぐさぁー!する?」

奈緒「いや、いいよ。穂乃香に怒られそうだし、それは柚の役目だ」ポスッ


未央「にしてもかみやんの部屋ってさー」グルッ

未央「なんだかんだ乙女チックだよねー」

奈緒「わ、わりぃかよ…アタシだって女なんだからな!」

美羽「悪いだなんて!机の上の小物とか可愛いですよねー」

美羽「これとかどこで買ったんですか?」ヒョイ

奈緒「それは…ューサーがお土産で…」

未央「え?なんだって?」

奈緒「な、なんでもねぇよっ!」ワタワタ

美羽「あ、この漫画読みたかったやつだ…」

奈緒「美羽も大概自由だな!」

未央「ダメだよかみやん病人はそんな騒いじゃ」

奈緒「お前らがツッコませてるんだろぉ!?」

美羽「あ、奈緒さんツッコミたいです?ならばこのみうさぎが新作のギャグを…」

奈緒「いいってそんなの!」





奈緒「…すーすー…」Zzz

未央「寝ちゃったね、かみやん」ヒソヒソ

美羽「私たちにツッコんでて疲れちゃったのかな」ヒソヒソ

未央「病人は寝るのが一番。そうなるとこのちゃんみおの『疲れさせてねさせちゃおう大作戦』は大成功だね」ヒソヒソドヤァ

美羽「それホントに考えてたの?」ヒソヒソジトッ

未央「みうっち、それは言いっこなしだよっ」ヒソヒソウィンク

未央「とりあえず今日はこのくらいで帰ろうか」スッ

美羽「うん」スッ

未央「じゃあかみやん、お大事にね」

美羽「お大事にです」パタン


―――リビング

未央「おばさん、お邪魔しました!」

奈緒母「はいはい、おかまいできなくてごめんねー」

奈緒母「あの子が元気になったらまた遊びに来てちょうだいな。美羽ちゃんもね」

美羽「はい!ぜひ!」

未央「んじゃ、行こっかみうっち」

美羽「うん」

未央美羽「「お邪魔しましたー!」」


―――神谷家最寄駅

P「ふぅー、すこし遅くなっちゃったかな」

P「仕事はちひろさんのおかげで早めに抜けられたけど、やっぱりちょっと千葉は遠いなー」

P「奈緒たちはいつもこの距離通ってると考えると…」

P「もうちょっと考えてやるかな、色々」ウンウン


―――神谷家、奈緒の部屋

奈緒「…ごちそうさま」フゥ

奈緒母「うん、食欲はだいぶ戻ってきたみたいね」

奈緒母「お見舞いに来てくれたお友達のおかげかしら」

奈緒「…まぁ、確かに元気は出たかな」

奈緒母「ちゃーんとお礼言ったんでしょうね」

奈緒「あ、当たり前だろ!子供じゃないんだし…」ゴニョゴニョ

奈緒母「どうかしら」フフッ

奈緒母「こんだけ食べておしゃべりできれば、明日には回復してるでしょ」

奈緒「うん」

奈緒母「さぁ、最後の一眠りして、さっさと治しちゃいなさい」

奈緒「流石にもう眠くは…ふぁあぁ…」ウトウト

奈緒「あれ…?」ネムネム


奈緒母「なんだかんだ本調子じゃないのよまだ」

奈緒母「それに、やっとお腹にたまるものがちょっと入ってきたから眠くなってきたんでしょ」

奈緒「…うん」ウツラウツラ

奈緒母「いいから寝ちゃいなさい」

奈緒母「私が起きている間にあなたが起きてくるかはわからないから、麦茶は冷蔵庫から出しておくわ」

奈緒母「喉が渇いて起きるのはいいけど、冷たいものは飲んじゃダメよ」

奈緒「…はーい…」カクン

奈緒「…くーくー…」Zzz

奈緒母「あら、寝つきの良い事。赤ちゃんみたいね」フフッ

奈緒母「それじゃお休み」スタスタパタン


―――リビング

ピンポォーン

奈緒母「あら、お父さん帰ってきたのかしら」パタパタ

奈緒母「はーい」ガチャ

P「あ、こんばんは」

奈緒母「あら、奈緒の…」

P「えぇ、加蓮…ウチの北条からお嬢さんが体調を崩したと聞いたもので」

奈緒母「えぇえぇ、加蓮ちゃんならお昼頃来てくれたわ。そう、プロデューサーさんにお知らせしてくれたのね」

P「ちょうどこっちの方へ仕事でくる予定があったもので、ついでにお見舞いをと思ったのですが」

P「奈緒さんの具合はいかがですか?」

奈緒母「加蓮ちゃんたちお見舞い組のおかげで、だいぶ回復したみたい。さっき夕飯食べて寝ちゃったわ」

P「あー、寝ちゃいましたか。タイミング悪かったですね」

P「それじゃあ果物買ってきたのでコレだけでも受け取ってくださ…」


奈緒母「まーま、そんな気にしなくて良いのよ上がってって上がってって」グイッ

P「え、えぇ!?でも、奈緒さんが寝てるなら…」

奈緒母「いいのよそんなこと気にしなくて。あの子の顔一目見てってくださいなっ」オセオセ

P「え、ちょ、お母さん!?」

奈緒母「はい、ここ上がってった部屋だから」ズイ

奈緒母「変なことはしちゃダメだけど、写メくらいなら取ってってもいいわよ」ヒソ

P「はい!?」

奈緒母「あの子の完全に力の抜けた顔してるとこなんてなかなか見られないわよ?見たいでしょ」

P「…それは、まぁ…って!」

奈緒母「我が子ながら黙って寝てるところはなかなか可愛いもの!じゃ、どーぞ!」グイッ

P「ちょ、ちょっと…あぁ、もう仕方ないなぁ…」トントントントン


奈緒母「…行った行った」ニシシ

奈緒母「なかなか好青年だし、働き者みたいだし、あの子も満更でもなさそうだし」

奈緒母「おまけに真面目そうだし?これくらいしてやんないと距離もつまらなさそうだもんね♪」

奈緒母「大体、仕事のついでなんて下手なウソつくわ~。何年サラリーマンの奥さんやってると思ってるの」

奈緒母「あぁー、いいわねぇ、私も若いころは…うふふ♪」ピロリーン

奈緒母「あらお父さん…あらあら、これは鉢合わせるかしらね、ふふっ」


―――奈緒の部屋

P「…入るぞー」ソー

奈緒「…」Zzz

P「…寝てるよな…失礼します」ソロソロ

P「寝ている女の子の部屋にソロソロ入る俺はもしかしなくても変質者なんじゃなかろうか」

P「えぇい、悩んだら負けだ…!」ソロソロ

奈緒「…くー…」Zzz

P「ふぅ…よく寝てるな」

P「…ふむ」ジー

P「…これは」ジィー

P「…」シゲシゲ

P「…可愛いな」ウン

奈緒「…」ピクッ


P「コイツはなんでこんなに可愛いんだろうか」

P「背が低い…髪が長い…うーむ」

P「柔らかそうだよな、ほっぺたとか。てか肌」

P「長いだけじゃなくてモフモフしてることがポイントなのか?髪の毛は」

P「しかも姿勢いいんだよな、コイツ」

奈緒「…っ」ピクピク

奈緒「…(実は誰かが部屋に入ってきた音でうっすら目が覚めたとか)」

奈緒「…(入ってきたのがプロデューサーだって気づいた瞬間に目が冴えまくっちゃったとか)」

奈緒「…(ましてや今プロデューサーがぶつぶつ言ってたことが全部聞こえてたなんて)」

奈緒「…(絶対言えねぇ!!)」

P「指導しなくても自然と姿勢が良いのは親御さんの教育の賜物かな?」

P「ただ、コイツ身長の割に出るとこ出てるから、衣装によっては目のやり場に困るというか…」

奈緒「…!」ボンックルン


P「おっと、傍でぶつぶつ言ってたら五月蠅かったかな…」

P「寝返りうたれちゃった」

P「しかし…」スッ

奈緒「…(あっ、プロデューサーさんの手が頭に…)」

P「ごめんなぁ、お前は何にも言わず頑張っててくれたけど、疲れは溜まってたんだよな」ナデ

P「仕事終わるまで倒れないって言うのはお前らしいって言うかなんていうか」ナデナデ

P「普段から、俺の気が回りきらないところにも気を使ってくれてるし」ナデナデ

P「頼りにしてるんだぜ?」ナデ

P「だから、本当に今回はごめんな、気付いてやれなくて」ポンポン

奈緒「…別にアンタは悪くないだろ」

P「奈緒…!起こしちゃったか?」

奈緒「割と最初から」ヨイショット


P「え、じゃあ俺の独り言は全部」

奈緒「き、聞こえてたよ…その…かわ、かわいいとか…」カァァ

P「おおう…恥ずかしいな」

奈緒「普段からそうやってアタシの事からかってるくせに」

P「いつもだってからかってるつもりはないけど、今のは完全に素だったからな。そりゃ恥ずかしくもなるさ」

奈緒「す、素だったって」

P「あー、そうだよ、お前は可愛いよ。世界一可愛いよ。ウチのシンデレラガールは十時ちゃんと蘭子と凛だけど、俺にとってのシンデレラガールはお前だよ」

奈緒「ちょ、ちょっとプロデューサーさん!?アンタなに言ってんだ!?なんか開き直ってないか!?」

P「ダメなんだよ、冗談めかしてない本音を聴かせるのはなれてねーんだよ、それを聴かれちゃったんだからしょーがねぇだろ、恥ずかしいんだよ諦めろ」

奈緒「何言ってんだ意味わかんねぇぞ!?」


P「うっせ、お前が寝たフリなんかするのが悪いんだ。いいから病人は寝てろよ」グイッ

奈緒「お、おい押すなって」ググッ

奈緒「大体、今日一日寝てばかりだったからちょっとくらい体起こした…」グググッ

奈緒「アレ…?」ガクッ

P「おわっ!」ガバッ

P「き、急に力抜くな…ってすまん!」オオイカブサリー

奈緒「あ、あわわ」カァァァァァ

P「今どく…」

奈緒「あ、あ、あ…っ、えいっ!」ガバッ

P「ふぇ!?」


P「ちょちょちょ奈緒サン!?これは色々まずいんですけど!?」ギュウウウ

奈緒「う、うるせぇな!アタシだってわけわかんねぇんだよ!」ギュウウウウ

P「ええええ!?」

奈緒「な、何とかいえよ!どうなんだよ!」

P「や、やわらかいっす!なんかすげぇやわらかいしいいにおいします!」

奈緒「バカッ!そういうことじゃねぇよ!」

P「じゃあなんだよ!」

奈緒「嬉しいかって聞いてんだよ!…はぁ!?何言ってんだアタシ!」

P「お前が言ったんだろ!」

奈緒「あああああ!もう…」スッ

奈緒「なんかもう頭ぐるぐるしてわけわかんねぇけど…」

奈緒「あ、アタシはプロデューサーさんが来てくれて、可愛いって言ってくれてその…嬉しかったんだよ」

奈緒「凛や加蓮みたいに可愛くもないし、未央とか美羽みたいに朗らかな魅力もないし…」

奈緒「卯月みたいに素直でもないからさ…だから…」ウルッ


P「…」スッ

奈緒「あ…」

P「ばーか、言ったろ、お前は世界一可愛い俺の担当アイドルだよ」ナデナデ

P「見た目だけじゃなくて中身もな。俺はお前にメロメロなんだ」

奈緒「…メロメロって、古くないか?」ヘヘッ

P「オッサンで悪かったな。俺はどーせ、年下の担当アイドルに骨抜きにされるまるでダメなオッサンだよ」

奈緒「アタシだって…」

P「おーっと、ここまで言っといてなんだが、お互い今しばらくその辺の話は保留にしておこう」シーッ

P「俺はまだお前の魅力を世界に発信しきれてない」

P「独り占めにするって言うのは魅力的な選択肢だけど、それは文化的損失だ」

奈緒「大げさだよ」

P「俺はそうでもないと思ってるんだな、これが」

P「だからまぁ、もうちょっと待とうや」


奈緒「ズリィなぁ…勢いでここまできといて」

P「大人はズルいんだよ」

P「さ、いつまでもこの体勢はマズイし、そろそろお暇するよ」ヨッ…

奈緒「あ、待ってプロデューサーさん」キュッ

P「なんだ?」

奈緒「うん、アタシ頑張るよ。頑張るからさ」

奈緒「明日からもなるべく普通にしてるからさ…い、今だけ…えっと…」

奈緒「ねぇ…そのっ…ぎゅって、して…?」

P「…(あ、コレはヤバイ)」スッ

P「これでいいか?(ヤバイヤバイヤバイヤバイ俺の理性がヤバイまだダメまだダメ)」ギュッ

奈緒「うん…はぁぁ…(プロデューサーさん…あったかい…)」ギュウウ

P「…(考えろッ!考えるんだッ!思考を止めるなッ!)」ギュ


奈緒「…ありがと、もういいよ」スッ

P「…そうか(ミッションコンプリート…でいいよな?)」スッ

P「じゃあ、俺はこれでお暇するよ。明日も仕事は休みだし、体調戻ってもゆっくりしておけよ」

奈緒「おう」

P「それじゃ、お大事に」ガチャパタン

奈緒「…プロデューサーさん…あったかかった…」ホワホワ

奈緒「…ん?でもよく考えるとアタシすごい事しちゃった…!?」ボンッ

奈緒「うわああわああああ」ゴロゴロゴロゴロ


―――リビング

P「ふぅ…なんだかずいぶん長い事いた気がする」

P「あぁ、お母さん、お邪魔しま…」

奈緒父「やぁ」ニコニコ

P「」

奈緒父「わざわざ『私の』娘のお見舞いに来てくれたと聞いたよ」ニコニコ

奈緒父「遠いところをすまないね」ニコニコ

P「お、おとうさ…」

奈緒父「君に『おとうさん』と呼ばれる筋合いはないぞ」

P「す、すいません、奈緒さんのお父さん」

奈緒父「いやいや、聞けば君以外にもお見舞いに友人が何人も来てくれたようで、『私の』娘は愛されているようで嬉しい限りだよ」ニコニコ


P「えぇ、それはもう!奈緒は事務所の皆からも…」

奈緒父「『奈緒』は?」

P「…奈緒さんはですね、事務所の仲間からも大変に愛されておりまして!」ダラダラ

奈緒父「そうだろうそうだろう」ニコニコ

奈緒父「母さんや、熱燗つけてくれるか。お猪口は二つ、いや三つだ」ニコニコ

P「え?いや私はこれでお暇を…」

奈緒父「な に か ね ?」

P「…ご相伴させていただきます」

奈緒母「うふふ」ニコニコ

奈緒父「さ、色々話そうじゃないか!なぁ、Pくん!」ニコニコォォォ

P「はい!」トホホ


―――夜中、神谷家リビング

奈緒「喉渇いちゃった…」トテトテ

奈緒「まぁ結構汗かいたしなぁ…」

奈緒「てか、アタシあんな汗かいた状態でプロデューサーと…」ボンッ

奈緒「うわわわわ!ナシナシ今のはナシ!」ブンブン

奈緒「…はぁ、一人で何やってんだろアタシ」コトントポトポ

奈緒「んっ…んっ…ぷはっ」コトン

奈緒「熱もだいぶ下がったし、朝にはよくなってるかな」トテトテト…

奈緒「ん?父さんなんでこんなとこで…って、酒飲んでたな」

奈緒「うわ、すごい量。なんかあったのか…?」

奈緒「…あぁ、母さんと飲んでたのか。母さんまでこんなとこで寝てんのは珍し…って母さんじゃない!?」

奈緒「ぷ、プロデューサーじゃないか!帰るなんて言ってウチで飲んでたのかよ…」

奈緒父「うーん…なお…なおぉ…」

P「なおぉ…おれは…むにゃむにゃ…」


奈緒「…二人してなんの夢見てんだ?てかなんの話してたんだよ…」ハァ

奈緒「…寝てる、よな?」

奈緒「…」

奈緒「えっと…」キョロキョロ



Chu!



奈緒「…ななななにやってんだろアタシ」アセアセ

奈緒「い、今のはノーカンだかんな。いつかちゃんと起きてる時に…」

奈緒「って、なに寝てる人にまで言い訳してんだアタシは」

奈緒「…寝よ。っと、その前にプロデューサーさんが風邪ひかないように…」パサッ

奈緒「お休み、プロデューサーさん」トントントン

奈緒父「…」ギリギリギリギリ

P「…」ダラダラダラダラ


―――休日明け、CGプロ事務所

奈緒「おはようございます!」

凛「あ、奈緒」

加蓮「すっかり元気みたいだね」

奈緒「あぁ、心配かけて悪かった」

凛「ううん」

未央「あー!かーみやんっ!私のぴにゃこらまくらが効いたかなっ?」

穂乃香「えっ…」

美羽「いえいえ、私のツボ押し機が効いたんですよねっ?」

穂乃香「あの、ぴにゃこらまくらって…」

柚「すきアリ!ぐさぁー!」

穂乃香「ぴにゃこら太ー!」アァァァァァ


P「お、奈緒、復帰したな」

奈緒「おう。こないだは父さんがごめんな」

P「たまにはいいさ」

奈緒「また飲もうってさ」

P「ははは…ちひろさんからエナドリ買っとくか」

奈緒「それじゃ、仕事しよーぜ!」

P「お、やる気だな」

奈緒「まーな、目標も増えたし」

P「…だな」


未央「むむっ、なんかプロデューサーとかみやんの間に強い何かを感じるよ!」

凛「うん…ちょっと気になるね」

美羽「何かあったんですかっ?」

奈緒「おしえねーよっ!」ヘヘッ

加蓮「…なーんか奈緒のくせにナマイキー」

奈緒「アタシは年上だぞ加蓮」

加蓮「えー、だって奈緒かわいいからさー」

奈緒「可愛い関係ないだろ!?」

\ワーワーキャーキャー/

P「さーて、営業頑張るぞー」

ちひろ「じゃあ、景気づけにスタドリどーぞ!」

P「おっしゃー!」ゴキュゴキュ




こうして、神谷奈緒とそのプロデューサーは、これからも頑張るのであった。


以上です。

なんかプロデューサーといちゃつかせる予定はなかったんです。
ホントなんです。

でも書いてしまいました。

では。

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