モバP「短冊に願いを」 (17)
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小早川紗枝「お仕事も終わりましたし、今日はせっかくの七夕やさかい……」
紗枝「ほな、うちらもどりーむ対決してみましょか」
古澤頼子「どりーむ対決、ですか?」
紗枝「そうどす~。みなさん、短冊に願い事書きましたやろ?」
篠原礼「ええ、もちろんよ」
上田鈴帆「かっかっか、もう飾ったけんね!」
紗枝「題して『この短冊誰が書いたか当ててみましょ』対決~♪」
礼「へぇ……クイズは得意よ、見てなさい」
鈴帆「うちもやったるけん、見とき!」
頼子「……頑張りますね」
紗枝「ほな、最初のは……これにしましょか」
紗枝「……あたりどす~♪さすがは礼さんやなあー」
礼「あら、本当に紗枝ちゃんだったのね」
鈴帆「礼しゃん、すごかー……ウチは全然分からんかったたい」
頼子「紗枝さん……犬、好きなんですね」
紗枝「可愛いですやろー……ほな次、『実は怖がりなのを克服したい』……これ、誰やろか?」
礼「!!」
鈴帆「ん?礼しゃん、どうしたとね?」
礼「いえ、なんでもないわ……ねえ紗枝ちゃん、その短冊はパスでいいんじゃないかしら」
紗枝「あら、どないしはりましたか?」
P「……あれ、みんなここにいたのか。何してるんだ?」
礼「え、P君!?」
礼「そうだ!今度は私のクイズでもどうかしら!」
紗枝「あら~?どないしはりました礼はん、そない取り乱して……」
P「ん、なんかやってたのか?」
礼「な、なんでもないわよ!ほらP君もこっちこっち!」
鈴帆「もしかしてさっきの短冊、礼しゃんの……」
礼「さあ!第一問!」
頼子「あ……」
頼子「……」
――――
P「……なんだ頼子、ここにいたのか」
頼子「あら、Pさん」
頼子「……星を見ていたんです」
P「そうか」
頼子「私も輝けていたのかなって……少しだけ不安で」
P「そんなこと、ないと思うけどな」
頼子「……鈴帆さんに比べたら、やっぱり」
P「鈴帆と比べちゃ駄目だろ。頼子とは色々と方向性が違う」
P「……文字通り太陽だったからな。多分今回誰よりも輝いていたんじゃないか」
頼子「ええ、本当に……ふふ」
P「頼子には頼子なりの輝き方があるさ」
P「……俺じゃ頼りないかもしれないけど、一緒に少しずつ、見つけていけたらいいなって思ってる」
頼子「……ふふ、そうですね」
頼子「Pさんと一緒なら……私も、頑張れそうです」
頼子「だって、あなたは……」
P「?」
頼子「……内緒、です」
P「そっか」
頼子「もともと地味だった私も、こんな風に変われるなんて……」
頼子「不思議だなって、思ってます」
P「……そうかな。俺には、最初からずっと輝いて見えていたんだが」
頼子「それは……Pさんだから、ですよ」
頼子「……この服だって、昔の私だったらきっと……」
P「そうか?」
頼子「ええ、今だって、着るのに勇気が必要で……昨夜はずっと悩んでたんです」
P「へぇ……なんだか頼子らしいな」
頼子「もう……Pさんったら」
P「でも、その服」
頼子「ねぇ、Pさん」
P「あ……」
P「いいぞ、頼子から」
頼子「……ウソ、ついてもらえますか、Pさん」
頼子「こんな私にも、似合う、と……」
頼子「貴方の言葉が、私を……変えてくれるんですから」
P「……わかった」
P「似合うよ、頼子」
頼子「ふふ……ウソでも、嬉しいですよ」
P「正直に言ったつもりなんだけどな」
頼子「でしたら、ウソということにしてください」
頼子「もしも本当の言葉だったら……私には、少しまぶしすぎますから」
頼子「……でも、ありがとうございます」
頼子「私のこと、ちゃんと見ててくれているんだな、って」
P「そりゃあ、もちろん」
P「頼子は大切な……うちのアイドル、だからな」
頼子「ふふ……そうですね」
頼子「私も少しずつ、アイドルの色に馴染んでいるんだなって」
P「ああ。皆が期待してくれているからな」
頼子「皆さんに見つめられていると……自然と背筋も、伸びる気がします」
P「今でもたまに、猫背なのを見るけどな」
頼子「それは……ふふ」
P「?」
頼子「これからもちゃんと私を見ててくださいね、ということで……」
頼子「でもやっぱり、アイドルは大変です」
頼子「ポーズひとつ決めるのも……なかなか様にならなくて」
P「そうか?」
P「ああ、でも……特に今回は、みんな個性的だからな」
P「そんなに気にしなくてもいいと思うよ」
頼子「そうですか?」
P「なんて言うか……頼子らしくいてくれたら、それで十分じゃないか?」
P「少なくとも俺は、それでいいと思う」
頼子「……Pさんがそう言うのなら、信じます」
頼子「あなたの描くように、私は……輝いていたいから」
P「そんな大層な人じゃないんだけどな」
頼子「いえ、私にとってPさんは……私を変えてくれた、大切な人ですから」
頼子「これからも、私がうつむきそうになったら……手を差し伸べてくださいますか」
P「ああ、勿論だよ」
P「……頼子も変わったよな。昔よりもずっと、素直になったというか」
頼子「ええ、私もいつまでも同じ画風ではいられませんから」
頼子「私なりの……小さなルネサンス、です」
P「……なるほどな」
頼子「私というキャンバス……色を塗って絵画にしてくれたのは、あなたですから」
頼子「これからも素敵な色を添えてくださいね」
P「……いつまでも終わりのない、常に進化するアートだからな」
P「こちらこそよろしく、頼子」
頼子「……はい」
P「そういえば……さっき聞いたんだが」
頼子「?」
P「どりーむ対決だったか。誰の短冊か当てる、ってゲーム」
頼子「ああ……そうですね」
P「頼子は何を書いたんだ?」
頼子「……!」
P「礼さんがうやむやにしたから分からずじまいだった、って紗枝から聞いたよ」
頼子「そ、それは……えっと」
P「……聞いてもいいのか?」
頼子「そ、その……ダメでは、ないのですが……」
頼子「恥ずかしい……です……」
頼子「でも……Pさんに、なら……」
prrrrr! prrrrr!
P「あ……」
頼子「えっと……どうぞ」
P「ごめんな。はい、もしもし」
P「……ええ、一緒にいます……今そっちに戻りますね。では」
頼子「礼さんですか?」
P「ああ。みんな待ってるみたいだし、そろそろ帰ろう」
頼子「……すみません、勝手に抜けだしてしまって」
P「いいさ。怒られたら二人で謝ろう」
頼子「ふふ、そうですね……」
頼子「……」
頼子「……あの、Pさん」
P「どうした?」
頼子「美術館にいく相手……募集中です」
頼子「私一人で見にいくよりも、二人のほうがきっと……楽しいですから」
P「頼子……」
頼子「次のオフ、待ってますね。Pさん」
P「……ああ」
P「そうだな。一緒に行こうか」
頼子「……はい」
頼子「一緒に、行きましょう」
『これからも二人、一緒にいられますように――』
以上で終わりです。
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