頼子「その声を覚えてる」 (28)

放課後

生徒A「松本先生、さよならー」

頼子「さようならーー」

生徒B「センセ、さよなら」

頼子「さよならーー」

頼子「今日もみんな元気で良かったです」

他の先生「松本先生、これを資料室に運んでください」

頼子「はいっ」

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資料室


頼子「これをここに置けばいいのですね」

トンッ

頼子「はい、置きました」

頼子「あとは職員室に戻るだけです」

頼子「…」

ゆずこ『おかーさん!』


縁『おかーさーん!』


唯『先生』

頼子「懐かしい… この資料室に来るたびにあの子たちの声を思い出します」

頼子「あの子たちの卒業と共に情報処理部は無くなってしまったけど、あの子たちと一緒に楽しんだ思い出は今もちゃんと残っています」

頼子「あの子たちが卒業して10年が経ったけれど、みんな元気で暮らしているのかしら?」

頼子「卒業してから1回も会っていないから元気な姿をもう1回見てみたいです」

帰り道


頼子「スーパーで買い物も済んだし、あとは…」


「おかーさん」


ギュッ


頼子「きゃっ!」

唯「おい、ゆずこ、道端で勝手に人に抱き付くな!」

唯「すみません、うちのゆずこが勝手に抱きついてって」

縁「あっ、お母さん」

ゆずこ「おかーさん、おかーさん」

頼子「もしかして野々原さん、櫟井さん、日向さん?」

唯「はいっ、お久しぶりです!松本先生」

ゆずこ「お母さん、お久しぶり」

縁「お久しぶりです」

頼子「みなさーん、お久しぶりです」

先生の家


唯「すみません、家に招いてもらって」

頼子「いいですよ。皆さんが元気な姿を見れたのが嬉しかったから」

ゆずこ「お母さんの家にみんな集まるのは10年ぶりだね」

縁「高校生の時、みんなで鍋パーティーをいつも冬にしていたよね」

頼子「懐かしいです。今も皆さんと鍋パーティーした事を覚えているわよ」

唯「すみません、みんな忙しくて同窓会にも顔を見せなくて」

頼子「いいですよ。また皆さんにお会い出来て嬉しいです」

ゆずこ「ゴメンなさい、お母さん」


「同窓会にいつも参加出来なくてどうそうと思っていました」

縁「…」

唯「…」

頼子「…」

ゆずこ「(あれっ)」

ゆずこ「…」

ゆずこ「…」

ゆずこ「なんつって」

縁「「なんつって」出ちゃったね~」

ゆずこ「なんつってっつっちゃったっ」

縁「なんつってっつっちゃったっ」タンタン

頼子「えっ、何が始まったの?」

ゆずこ「お母さんも一緒に歌おう」

ゆずこ「なんつってっつっちゃった」

縁「なんつってっつっちゃった」

唯「なんつってっつっちゃった」

ゆずこ「なんつってっつっちゃった」

縁「なんつってっつっちゃった」

唯「なんつってっつっちゃった」

ゆずこ「テンポ上げるよ」

ゆずゆかゆい「なんつってっつっちゃった」

ゆずゆかゆい「なんつってっつっちゃった」

ゆずゆかゆい「なんつってっつっちゃった」

頼子「なんつってっつっちゃった」

ゆずゆかゆい「おおおー」

ゆずこ「じゃあ、お母さんも加わって4人で行くよ」

頼子「はいっ」

ゆずこ「なんつってっつっちゃった」

縁「なんつってっつっちゃった」

唯「なんつってっつっちゃった」

頼子「なんつってっつっちゃった」

ゆずゆか「なんつってっつっちゃった」

ゆいより「なんつってっつっちゃった」

ゆずゆい「なんつってっつっちゃった」

ゆかより「なんつってっつっちゃった」

ゆずより「なんつってっつっちゃった」

ゆいゆか「なんつってっつっちゃった」

ALL「なんつってっつっちゃった」

ALL「なんつってっつっちゃった」

ALL「なんつってっつっちゃった」



その後、4人の「なんつってっつっちゃった」大合唱はしばらく続いた

大合唱が終わって


ゆずこ「うわー、ヤバい」

唯「久しぶりにやったけど、やっぱ気持ちいい…」

縁「あ~楽しかった~」

頼子「私も楽しかった~」

唯「そういえば、情報処理部はどうなったのだろう?」

ゆずこ「きっと私たちの後を継いで後輩が出来ているはずだよ」

縁「後輩が出来ていたら一回会ってみたいね」

頼子「…」

ゆずこ「お母さん?」

頼子「情報処理部は…」





「資料室になりました」


ゆずこ「…」

唯「そうか…」

縁「後輩が来なかったからね…」

唯「あたしたちが好き勝手に楽しんでいただけの部だったからな…」

ゆずこ「ひどい部だったからね…」

唯「あたしらがダメにしちゃったから…」

頼子「いいえ、ダメにしていませんよ」

頼子「皆さんが楽しく部活動をしているのを見て先生、嬉しかったの」

頼子「皆さんの元気な姿と笑顔をいつも見ていて私はこう思ったの」


「情報処理部の顧問をやって良かった」

頼子「確かに情報処理部は無くなり、部室は資料室に変わりましたけど、資料室に入る度に皆さんの元気な声を思い出すの」

頼子「それはここに「情報処理部」という部室があった事を思い出してくれるの」

頼子「そして皆さんと3年間、「情報処理部」で作った思い出も」

頼子「今も楽しいですけれど、皆さんと一緒に楽しんだ時間が一番楽しかったです」

唯「先生…」

頼子「卒業式の時に皆さんに言いたかった言葉があるの」

頼子「だけど、言えなかったから皆さんに再会した今、その言葉を言います」

ゆずこ「何だろう…」

縁「」ドキドキ

頼子「…」



「「情報処理部」を素晴らしい部活にしてくれてありがとう」


「10年経った今も皆さんの声が鮮明に残るくらい思い出を作ってくれてありがとう」

ゆずこ「おかーさん…」ウワーン

縁「おかあさーん…」ポロポロ

頼子「よしよし」ナデナデ

唯「まるで子供と母親だな」

ゆずこ「そういう唯ちゃんも泣いているじゃん」

唯「う、うるさい…」ポロポロ

唯「今日は先生の家にお招きしていただきましてありがとうございました」ペコッ

ゆずこ「ありがとうございました」ペコッ

縁「ありがとうございました」ペコッ

頼子「先生も皆さんと久々に再会が出来て嬉しかったです」

ゆずこ「お母さん、変わってなかったね」

縁「私たちは大人になってしまったけど」

唯「先生みたいなもっと優しい大人にならないとな」

ゆずこ「唯ちゃんはここがお母さんに近づいているけど」モミモミ

唯「路上で揉むな!アホッ!」

唯「揉むなら帰ってから揉んでくれ!」

縁「(家なら揉んでいいんだ)」

ゆずこ「(唯ちゃんもかなり大人になった)」

翌日 資料室


頼子「皆さん、お元気で良かったです」

頼子「「情報処理部」は無くなってしまいましたが」

頼子「ここには沢山の資料と共に皆さんと楽しんだ思い出も沢山残っています」

頼子「そしてそれは私がここに来るたびにいつも思い出すでしょう」


「特別だった3年間の日々を」

いつか学校を離れる時が来るまで、あるいは資料室が無くなる時まで私は覚えているでしょう。
あの子たちがこの部屋でワイワイと楽しんでいた声を。
その声を「お母さん」から「お婆ちゃん」になった時も覚えていたい。
この学校から離れても、資料室が無くなった後も覚えていたい。
この部屋で作った特別な日々を

ゆずこ『おかーさん!』


縁『おかーさーん!』


唯『先生』




「皆さん、いつまでも大好きです」



おしまい

タイトルは河野マリナの曲名から。
リスアニ!TVを見ていたらストーリーが思い浮かんだので書いてみました。

ありがとうございました。

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