チノ「すいません。昼間はお酒は出していないんです」 (14)

宗達「えっ!?そうだったの」

チノ「はい。ラビットハウスでは昼間は喫茶店、夜はバーを営んでいます」

宗達「トホー…酔ってたときの曖昧な記憶を頼りにやっとこさ辿り着いたってのに…」ショボーン

チノ「すみません…」

かすみ「まあまあ、いいじゃないの。それよりもせっかく入ったんだし何か頼みましょ?イイ感じの喫茶店じゃない」

宗達「うーん。確かにこういう昔ながらの雰囲気の喫茶店は嫌いじゃないけど、ビールもないんじゃなー。やっぱり河岸を…」

かすみ「わたしはブレンドとケーキのセットを」

宗達「あっ、ちょっと」

チノ「かしこまりました」


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かすみ「岩間さんは?」

宗達「くそー、勝手に頼んでからに…。じゃあ、んーと…どうも洋菓子はなぁ…。食事のメニューは何があるの?」

チノ「ナポリタンがおすすめです」

宗達「じゃあ、俺はブレンドとナポリタン」

チノ「かしこまりました。ブレンド二つにナポリタンとケーキセットですね。コーヒーは先にお持ちしますか?」

かすみ「岩間さんどうする?」

宗達「いいよ、どっちでも」ムス

かすみ「じゃあ、二つとも先に持ってきてください」

チノ「わかりました。少々お待ちください」

タタタ

かすみ「もー、そんなにムスっとしないの。あんなに小さくて可愛い子が接客してくれてるのに」

宗達「別にムスっとなんかしてないよ」ムス

かすみ「いつも浴びるほど呑んでるんだからたまにはいいでしょ」

宗達「ふん…」

かすみ「それにしてもあの子、まだ中学生くらい?お店の子かしら」

チノ「リゼさん本日のケーキとナポリタンをひとつお願いします」

リゼ「了解!!まかせろ!!」

宗達(厨房はバイトの女の子か…参ったなぁ。こんな店だったとは…)

宗達(以前来たときは、寡黙で腕の確かなマスターに店の隠れ家的な雰囲気が気に入ってたのに、昼間はこんな店だったのか…)

チノ「ブレンドとケーキお待たせしました」

かすみ「わぁー、おいしそう」

宗達(まぁ、店構えや雰囲気なんかで女子どもは喜ぶかもような店かもしれないけど…子供がやってる店なんてなぁ)

かすみ「あぁ、コーヒーもいい香り」

宗達(こりゃ、料理は期待できんな。さっさと切り上げて別の店に…)

かすみ「岩間さん?」

宗達「な、なに??」

かすみ「コーヒー飲まないの?冷めちゃうわよ」

宗達「あ、ああ。飲むよ。いただきますよ」

かすみ「とってもおいしい。こんな美味しいコーヒー初めて」

宗達「ふーん…」ズズ


宗達「ほう…たしかに。これはなかなか…」

かすみ「でしょ」

宗達(どうやらブレンドもあのマスターがやってみたいだな。酒にこのブレンド…やっぱりあのマスター只者じゃないな…でもコーヒーは上手くてもきっと料理が…)

チノ「お待たせしました。ナポリタンです」

かすみ「わぁー、これも美味しそうね」

宗達(ふむ。見た目はイケてるな…でも問題は)パク

宗達「!?」

宗達「うまいっ!!」

かすみ「わっ!?びっくりした、急に大声出さないでよ」

宗達「うまいよ、このナポリタン!!フレッシュなトマトの風味をしっかりと持ってるのに、トマトケチャップの酸味と濃厚な味わいもあって喫茶店ならでは味わいをたもってる!!バツグンだよ!!」バクバク

かすみ「わ、わかったから。大声出さないで」

宗達「うん!!うまい。あの厨房の女の子なかなかのわざ師だよ。きっと若くして料理人の道を志して、この店で本格的に修行してるんだな」

かすみ「もう、げんきんなんだから。さっきまであんなに不機嫌だったのに」

宗達(しかしこうなると…)

宗達「すいませーん」

チノ「はい、なんでしょうか?」

宗達「あの…さっきも聞いたけど夜はアルコールをだしてるんだよね…?」

チノ「はい。そうですけど…?」

宗達「えーと…よかったら…ビールなんかオーダーできないかなと思って」テヘヘヘ

かすみ「ちょ、ちょっと岩間さん、やめてよ。非常識よ」

宗達「わ、わかってるよ…でもどうしてもこのナポリタンとビールを…」

チノ「そんなにうちの店のナポリタンを気に入っていただけたんですか?」

宗達「うん!!最高だよ」

チノ「…少し待っててください。父に…店主に聞いてみます」

タタタ

宗達「い、いやあ、聞いてみるもんだな」タハハ

かすみ「もう…あんな小さな子に恥ずかし…」

タタタ

チノ「お待たせしました。今回だけ特別ということで」

宗達「お、ということは」

チノ「はい、すぐお持ちします」

宗達「むふふ」

かすみ「やだやだ」

チノ「お待たせしました。ビールです」

宗達「おっ!?中ビンとはわかってるねー」

宗達「では」トクトック

宗達「うーん。やっぱり喫茶店には中ビンだね」ゴックゴック

宗達「うまい!!思ったとおり、このナポリタンとすごく合うよ」パクパク

宗達「濃厚で酸味がきいたソースとの取合せが絶妙だね」ゴクゴク

宗達「すいませーん、中ビンもう一本」

かすみ「ちょ、ちょっと岩間さん。そろそろ・・・」

宗達「まぁまぁ、いいじゃないか。幸い俺たちの他に客はいないみたいだし」

チノ「お待たせしました」

宗達「さてさて…」

ティッピー「わしが作り出したナポリタンがこんなにきにいってもらえるとはのぉー」

宗達「!?」

かすみ「岩間さん?どうかしたの?」

宗達「い、今、そこにいるウサギが喋って…」

ティッピー「…」

宗達「あ、あれ…」

かすみ「ウサギが喋るわけないじゃない。昼間から飲みすぎよ」

宗達「そ、そんな、今たしかに…」

チノ「…」

かすみ「ほらバカ言わないで。それ飲んだら行きましょ。すいません、お会計お願いします」

チノ「はい」

宗達「えっ...」

ティッピー「…」

かすみ「とても美味しかったわ」

チノ「ありがとうございました。またおこしください」

宗達「そんな!?絶対に今…」

かすみ「はいはい。わかったから行くわよ」

カランカラン

チノ「…」

ティッピー「…」

チノ「うちには珍しいタイプのお客さんでしたね」

ティッピー「そうじゃのう」

チノ「…おじいちゃんのナポリタン。気に入ってもらえて良かったですね」

ティッピー「…///」



宵の口
       香り芳ばし
                 うさぎかな

                            
                           
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                           終わり

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