かすみ「今日は」 (25)

アイマスSS
短いです
やよい誕生日おめでとう

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長介「よし、みんな揃ったな」

浩太郎「ねー、この苺食べていい?」

かすみ「ダメに決まってるでしょ。お姉ちゃんにケーキを作るために今日まで頑張ってきたんだから」

長介「みんな、今日まで本当によく頑張ってくれた。少ないお小遣いを切り詰め、買いたいものを我慢し、ケーキを作るために一致団結した」

長介「今日この日、俺達の目の前に材料が揃ったのは、紛れも無くみんなのおかげだ。本当に感謝する」

かすみ「でも結局お金足りなくて、お母さんに頼んじゃったね」

長介「あ、あれは、俺達の活動に共感してくれた人からの募金であって…」

浩太郎「ねー、このみかんの缶詰開けていい? 一つくらい食べても」

かすみ「だから、ダメって言ってるでしょ! すぐつまみ食いしようとするんだから」

浩二「いちご、おいしい」モグモグ

かすみ「ああっ! 浩二、食べちゃったの!?」

浩太郎「あっ! 浩二ずりーぞ! 俺も一口」

かすみ「こらぁ! これじゃあ苺無くなっちゃうよ!」

長介「あー、諸君、準備が良さそうなら始めたいのだが…」


かすみ「前置きはいいから早く始めようよ! このままじゃケーキが出来る前に材料が無くなっちゃうよ」

長介「わ、わかった。ゴホン…、諸君、お菓子作りは分量が重要である。決して適当にならないよう注意したまえ」

浩太郎「俺早く生クリーム舐めたいなぁ。甘いやつ」

長介「生クリームはちょっと先だから今は我慢だ。まずは、ケーキのスポンジを作るぞ」

浩太郎「スポンジ? スポンジなら洗面所に」

長介「ばか、そのスポンジじゃねえよ。ケーキのパンの部分のことだ」

かすみ「卵と砂糖を混ぜて焼くんだよね」

長介「そうだ。お湯で温めながら混ぜるんだ。お湯が入らないように気をつけてな」

かすみ「まかせて」

浩太郎「あっ俺、卵割りたい」

長介「お前が割るとなんかジャリジャリするんだよなぁ…。絶対殻混じってるんだよ」

浩太郎「えー、そんな長介兄ちゃんみたいなガサツなことはしないって」

長介「なんだと!? おい浩太郎もう一度言ってみろ!」

かすみ「なんでもいいから早く卵割ってよー」


長介「いいやかすみ、なんでもよくない。これは男のプライドをかけた戦いなんだ」

かすみ「ただの卵でしょ? やんないなら私が割るけど」

浩二「これってさとう?」ドバァ

浩太郎「ああっ! 浩二が砂糖の袋を逆さまに!」

長介「何やってるんだ浩二! 返せ!」バッ

浩二「あっ、うぅぅ、お兄ちゃんがとったああああああああああああああああああああ」ビャー

長介「ほっ、良かった。切り口を小さめにしといたおかげで被害は最小限だ」

かすみ「もう、なんでいっつも長介は浩二を泣かすのかな。浩二がなくと浩三が…」

浩三「ビャー!」

かすみ「ほら泣いた。もっと考えて行動してよ」ヨシヨシ

長介「なっ、俺はただ砂糖を取り返しただけで、何も悪いことしてないじゃないか!」

かすみ「その取り返し方を考えてよ。泣かさなくてもいいでしょ」

浩太郎「二人が喧嘩してる内に卵割っちゃおう…」


浩太郎「卵を割って、砂糖を混ぜて、温めながら混ぜる。うんいいかんじ」シャカシャカ

長介「あっ、浩太郎何勝手にやってんだ。適当な事するなって何度も言ってるじゃないか」

浩太郎「してないって! ほら、いい感じに混ざってるでしょ」

長介「む、うーん…。まぁよしとしてやろう」

浩太郎「せんせーい、長介兄ちゃんの偉そうな態度に腹が立ちまーす」

長介「ぐ、生意気な…!」

浩太郎「だって長介兄ちゃんなんもしてないじゃん」

長介「うるさい! 材料をスーパーで勝ち取ったのは俺だぞ!」

かすみ「はい、そこまで。次はハンドミキサーを使って混ぜるよ」ギュウィィィィィン

浩太郎「かすみ姉ちゃん…、強そう…」

長介「あ、危ないだろ! 早くまぜろって!」

かすみ「わかってるって。そんなにビビらなくてもいいのに」ギュウィィィィィン

長介「びびってねーし」


~数分後~

かすみ「うん、こんなもんかな」

長介「お次は薄力粉を入れて混ぜるっと」

かすみ「こぼさないで入れてね」

長介「分かってるってば」サラサラ

かすみ「…お姉ちゃんが作ってくれた、お菓子覚えてる?」

長介「姉ちゃんのお菓子? 作ってくれたことあったっけ?」

かすみ「えー長介ひどい。私はしっかり覚えてるのに」

長介「うーん、姉ちゃんは料理しているイメージが強いからなぁ。いつ作ってくれたんだっけ」

かすみ「確か私が3歳の時だよ、お姉ちゃんが私ぐらいの歳の頃」

長介「3歳って…よくそんな時の出来事覚えてるなぁ。本当の出来事なの?」

かすみ「本当だって。お母さんとお姉ちゃんが台所に立って、一緒にクッキー作ってた」

長介「ふーん…。ちなみに俺は何してたの?」

かすみ「泣いてたよ。さっきの浩二みたいに」

長介「ぐっ…そうですか」


かすみ「さて、大体混ざってきたし、今度は溶かしたバターを入れて混ぜます」

浩太郎「あぁ…なんか凄くいい匂いがする…」スンスン

長介「あぁ…凄くおいしい匂いがするな…」クンクン

浩太郎「長介兄ちゃん、なんかこの匂いをかぐとなんか元気が出るよ!」

長介「そうだな浩太郎! どこまでも走っていけそうな気分だ…」

かすみ「…なんでもいいけど、手伝ってよね」

長介「ああ勿論だ。なんかスゴイケーキを作れる気がしてきた」

かすみ「本当? じゃあ、長介が混ぜて」

長介「まかせろー! おりゃぁぁぁぁぁ」ジャカジャカ

浩太郎「長介兄ちゃんかっこいい! 中身が飛び散ってスタイリッシュなPVみたいに見えるよ! ○'zみたいだよ!」

かすみ「こらー! せっかく作った生地を無駄にするなー!」



浩太郎「長介兄ちゃん…」

長介「どうだ、完璧な混ぜようだっただろ」

浩太郎「なんか、生地の量がさっきより減ってる気が…」

かすみ「もう長介のことは信用しません。あとは、見てなさい」

長介「な!? なんでだよ!」

かすみ「長介に任せると、ろくな事にならないって学びました」

長介「そんなぁ…完璧な混ぜだったはずなのにどうして…」

かすみ「さて長介はほっといて、生地の元が完成したので、今度は型に入れてオーブンで焼きます!」

浩太郎「オーブンなんてうちにあったっけ」

かすみ「案の定ないので、お隣さんのオーブンを借りに行きます!」

浩太郎「いえぇぇぇい!」

かすみ「おすそ分けしなきゃ。浩太郎、こういう時なんて言って渡すか覚えてる?」

浩太郎「はい! ツマラナイモノデスガー、ですよね!」

かすみ「よろしい。それじゃあ、お隣さんへしゅっぱーつ」


~焼入れ中~

浩太郎「25分焼くって長いなー」

かすみ「我慢だよ浩太郎。我慢したもののみにおいしいケーキが待っているの」

浩太郎「ゴクリ…。我慢我慢…」

かすみ「そう、我慢。我慢が私たちを幸せにするの…。我慢こそ幸福、我慢こそ喜び…」

長介「なんか我慢ならんことになってきた。おいお前たち、もうちょっと普通にできないのか」

かすみ「長介にはわからないだろうね」

長介「はぁ、なにがだよ」

かすみ「お姉ちゃんが普段どれだけ我慢しているかってこと」

長介「っ、どうして姉ちゃんの話になるんだよ。別にケーキを作ることと関係ないだろ」

かすみ「まぁいいよ別に、私もお姉ちゃんが何を思っているかなんてわかんないし…」

長介「…ふん」


かすみ「さて、無事スポンジが完成しましたー!」

長介「よし、次は生クリームだな。混ぜるのは勿論俺が」

かすみ「長介には任せてられないので、私が作っておきましたー!」ジャン

長介「なっ!? いつの間に!?」

かすみ「さーて、いよいよ最終工程、クリームを塗って飾り付けをしまーす!」

浩太郎「ねーねー! この生クリーム吸っていい? まよちゅっちゅしていい?」

かすみ「ダメに決まってまーす! さぁ綺麗に盛りつけましょ-!」

浩太郎「くぅぅ、念願の夢、叶わず…!」

長介「どんまい浩太郎、大人になったら絶対にクリーム吸おうな」

浩太郎「うぅぅ、わかったよ、頑張って立派な大人になる…!」

長介「よく言った。それでこそ男だ」

浩太郎「長介兄ちゃん…ありがとう」

浩二「ねーねー、ちょーすけお兄ちゃんたちなんの話してるの?」

かすみ「知らない。ケーキは二人で盛りつけよっか」

浩二「ぼく、ケーキつくれるの?」


かすみ「うん。二人の茶番はほっときましょう」

浩二「ちゃばん?」

かすみ「はい、浩二は苺をケーキにのせてね。まんべんなく」

浩二「やった、ケーキやさんだ」

かすみ「一流のパティシエ目指して頑張ってね」

長介「あ、ずるい。俺にもやらせてよ」

かすみ「わかってるって。はい、長介はみかんね」

長介「合点!」

浩太郎「俺は?」

かすみ「浩太郎は…じゃあ、クリーム担当ね。あんまり強く押すと飛び散るから気をつけて」

浩太郎「まかせろー!」


長介「おい浩太郎、ちょっとクリーム出し過ぎじゃないか?」

浩太郎「えー? そんなことないと思うけど」

長介「あと浩二、苺を一箇所にまとめて置くな。まんべんなくって言っただろ」

浩二「ここはお姉ちゃんのところだよー」

かすみ「長介、食意地はらないでよ。自分が苺食べたいからって」

長介「はってねーよ。ただ見た目を良くしたほうがいいと思っただけだ」

浩太郎「本当にぃ? なんかさっきからみかんがまとまってるような気が」

長介「気のせいだ! まったくみんなで俺を疑いやがって」

浩二「長介お兄ちゃんも、やよいお姉ちゃんにいっぱいたべてほしいの?」

かすみ「そうだよ浩二。長介お兄ちゃんはやよいお姉ちゃん大好きだからねー」

長介「おい、かすみ何言ってんだよ」

かすみ「だって本当のことでしょ?」

長介「そ、そんなわけないだろ、いいかげんにしろ」

浩二「ぼくといっしょだー」

長介「……ふん」

浩太郎「長介兄ちゃん、なんか赤くなってない?」

長介「なってねーよ、ほら集中しろ」

かすみ「ふふっ、まぁでも、ケーキを作りたいって言い出したのは長介だもんね」

長介「…まぁな」

かすみ「……また、みんなでケーキ作りたいね」

長介「…。」

長介「…そういうのは完成してから言おうぜ」

かすみ「…そうだったね」



浩二「あれ、もういちごないよ」

かすみ「え? もうなくなっちゃったの?」

浩太郎「本当だ。じゃあ今浩二がのっけた苺で最後か」

長介「なんだ、もう無くなったのか。こっちもみかん使いきっちゃったぞ」

浩太郎「長介兄ちゃんが途中でみかんつまみ食いするから…」

長介「お前だって食べてただろ、少しぐらいなら大丈夫って」

かすみ「食いしん坊長介だね」

長介「そういうかすみだって、何切れか食べてたじゃないか」

かすみ「だって、みかんの缶詰なんて買ってきたことなかったし、どんなのか気になるし…」

長介「ということでみんな同罪ってことだ。浩二もだぞ」

浩二「ぼく、みかんなんてたべたっけ」

長介「ああ。多分一番食べてたと思うぞ。それは美味そうに」

かすみ「とにかく、お姉ちゃんのお誕生日ケーキはこれで完成ってことだよね!」

浩太郎「なんかあっさり出来ちゃったなぁ」

長介「色々あった気がするけど、いざ完成してみるとあっという間だった気がしてならない…」

かすみ「さぁ、あとは冷蔵庫で冷やして、お姉ちゃんの帰りを待ちましょー!」

浩太郎「あー、早く食べたいなぁ」


~数時間後~

長介「……遅い」

かすみ「やっぱり事務所のみんなといるのかなぁ…」

浩太郎「ねーねー、まだ食べれないのー?」

長介「もう少し待つんだ。我慢をしたもののみ幸せがどうたらこうたら…」

浩太郎「そんなこと言われたって、普通にお腹がすいたよー」

長介「思ったことを口にするな。もっとお腹が減るぞ…」

かすみ「はぁ…お姉ちゃん早く帰ってきてー…」

長介「……俺浩三にミルクあげてくる」

かすみ「ああうん、おねがい。浩二はお腹すいてないの?」

浩二「うん。ぼくはおなかいっぱい」

かすみ「そっか…そりゃあんだけみかん食べればね…」



長介「あげてきた」

かすみ「ありがとう長介。どうだった?」

長介「普通に寝てる。ぐずらなくてよかった」

かすみ「そうだね。…あっ、ぐずるで思い出した」

長介「なんだ?」

かすみ「お姉ちゃんがお菓子作ってる間、長介がぐずってたって話」

長介「またその話か…」

かすみ「私の隣では長介が泣いてて、台所にはお母さんとお姉ちゃんがいたんだ」

長介「あれ、泣いてる俺は放置ですか?」

かすみ「違うよ。お姉ちゃんが泣いちゃったから、長介も泣いちゃったんだよ」

長介「姉ちゃんが泣いてた? どういうこと?」

かすみ「確か、クッキー作ってたけどその時のお姉ちゃんは、うまく作れなかったんだよ」

かすみ「それはもう、ボウルをひっくり返すわ、砂糖をぶちまけるわ、大変だったよ」

かすみ「その時、お姉ちゃん泣いちゃったんだ。何一つうまく出来ない自分が悔しくて」

長介「ふーん…あんまり想像つかないな」

かすみ「結局クッキーはお母さんが作ったんだけど、すっごくおいしかったな。お姉ちゃんが一番食べてたかも」

長介「姉ちゃん食い意地はってんな…」


かすみ「ねぇ長介、今度はクッキーつくろうよ! お姉ちゃんと一緒に!」

長介「クッキーか。チョコチップクッキーとか美味しそうだな」

かすみ「決まりだね。お姉ちゃんにいってみよーっと」


やよい「ただいまー! 遅くなってごめんね!」


かすみ「!! お姉ちゃんだ!」

長介「帰ってきたぞ! おい浩太郎起きろ!」

浩太郎「んぇ…? あれ、寝てた…?」

長介「よしみんな、さっき話した通り、まず最初は知らないふりをして…」

浩二「やよいお姉ちゃんおたんじょーびおめでとー!」

やよい「えへへ、ありがとう浩二!」ナデナデ

長介「あっこら浩二! ぐぅ…作戦失敗だ…」

やよい「ありがとうね長介、みんな待っててくれたの? ごめんね、すぐにご飯作るから」

長介「あっちょ、ちょっと待って! 実はやよい姉ちゃんにみんなからプレゼントがあるんだ!」

やよい「プレゼント?」

長介「うん。かすみ、例のブツの準備は?」

かすみ「もうできてるよー。いつでも大丈夫!」

長介「よ、よし、浩太郎電気を!」

やよい「えっ、電気?」

浩太郎「まかせろー! ぽちっとな」カチッ





   ハッピーバースデートゥーユー!

   ハッピーバースデートゥーユー!

   ハッピーバースデー でぃやー やよいお姉ちゃーん

   
   ハッピーバースデートゥーユー!




かすみ「お姉ちゃん、誕生日おめでとう!」

長介「みんなで作った手作りケーキだ。その…えっと…まずは火、吹き消して」

やよい「…………すごい…、みんなで作ったの…? すごい…すごいよ長介! 本当にありがとう!」ギュ

長介「わっ姉ちゃん! 俺じゃなくてケーキケーキ!」カァァァ

かすみ「えへへ、このケーキ、長介が言い出しっぺなんだよ」

長介「よ、余計なこと言うなよ!」

やよい「ありがとう…長介…ぐすっ本当にぃ…うぅぅ」ギュゥゥゥ

長介「な、泣くなって姉ちゃん! ほら早く吹き消さないとろうそくが…」

やよい「ぐすっ…う゛ん……ありがとう…じゃあ消すよ…?」



やよい「はぁぁ……っ………ぅぅぅ…」プルプル

かすみ「……お姉ちゃん?」

やよい「うぅぅ、ダメだぁぁ…ぐすっ…ヒック……息が吸えなくて…うまく消せないよぉぉ」ポロポロ

長介「姉ちゃん泣きすぎだろ! あーあー!もうろうそくの残りが無いよ! 姉ちゃん早く吸って!」

やよい「うぅぅう、ありがとう…本当に…うわぁぁぁん!」ボロボロ

長介「やばい、このままじゃろうそくの火がケーキに移って大火事に! 浩太郎! 吹き消せ!」

浩太郎「えぇぇ!? だってやよい姉ちゃんが吹き消すって…」

長介「いいからはやくしろ! ケーキが黒焦げになる前に!」


    ギャーギャー ドッタンバッタン



―――――――――――――――――
――――――――


長介「さて、姉ちゃんが落ち着いたところで…」

やよい「先程はごめんなさい…」

長介「いや、いいけどさ…。それじゃあ早速、食べよう」

かすみ「お父さんとお母さんのぶんも合わせて、8等分?あ、お隣さんの分もかな」

浩二「やよいお姉ちゃんはいちごのとこだよ!」

かすみ「はいはい、わかってるって」

やよい「いちごのとこって、ここのいちごが偏ってるところ?」

かすみ「そうだよ。お姉ちゃんだけ特別だよ」

やよい「へぇ、ありがとう、浩二」

浩二「えへへー」


やよい「ところでみんな、もう夕飯は食べたの?」

長介「……あっ」

かすみ「……ど、どうしよう。私たちケーキ作っただけで夕飯のことなんか何も…!」

浩太郎「お腹すいたー! ケーキ食べたいけどご飯も食べたいー!」

浩二「ぼくもおなかすいたー!」

長介「浩二はさんざんみかん食べただろ!」

浩二「おなかすいたったらおなかすいたー!」

やよい「えへへ、任せといて。すぐに作るから」

かすみ「でも、今日はお姉ちゃんの誕生日なのに…」

やよい「いいの! こんなにスゴイプレゼント貰っちゃったんだからお返ししないとね!」



―――――――――――――――――
――――――――


浩太郎「はぁ~食った食った…」

長介「デザートにケーキ…なんとも豪華な夕食だった」

かすみ「あのね、お姉ちゃん」

やよい「どうしたのかすみ?」

かすみ「今日はありがとう」

やよい「えへへ、私のほうはもっとありがとうだよ!」ギュゥ

かすみ「えっと、お願いがあるんだけど…」

やよい「お願い?」

かすみ「今度は私たちと一緒にクッキーを作って欲しいんだ」

やよい「クッキー? もちろんいいけれど、どうして?」

かすみ「えーと…その…今の私は一人で料理とか出来ないから、お姉ちゃんに色々教えて欲しいなーって」

やよい「えへへ、いいよ、お姉ちゃんが教えてあげる!」



 そう言って笑ったお姉ちゃんの顔に思わず見とれてしまいました。
 あの時流した涙と、今日流した涙はどのように違うのでしょうか。
 私にもそれが分かる日がいつか来るのでしょう。
 今日は大切な人の誕生日です。


 悔しくて泣いたのもあるが、それ以上に何かが怖かったのです。
 何も出来ない自分が見捨てられそう。
 幼い妹の目線に気づくと、自然と涙が出てきました。
 
 弟達は成長するに連れ、自立していきます。
 まだ小学生だけど、他の子の面倒まで見てくれるようになりました。
 私は弟たちと沢山喧嘩しました。
 ふと、思っちゃうんです。
 私はいらないんじゃないかって。
 
 でも、今日私のためにケーキを作ってくれた弟たちを見て、自分の場所を見つけられたような気がするんです。
 ここにれば私は幸せで、暖かいんです。
 だから、この子たちは私にとって大切なんです。
 一生守り続ける事はできないにしても、せめて大人になるまで…。
 
 そんな決意。
 今日は私の誕生日です。

おしまいです。
浩太郎の一人称って僕だったかしら…

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