茂みの中で、クリスタが振り向き様に言った。
意図は分からないが別に断る理由も無いので僕は頷く。
クリスタ「じゃーんけーんぽんっ」
クリスタ グー
アルミン チョキ
アルミン「残念、負けちゃっ…」
それ以上、僕は言葉を続けることが出来なかった。
何故ならその瞬間に、僕の腹部を凄まじい衝撃が襲ったから。
アルミン「ッッッ―――!!!!!!!!!!!」
拳が。
クリスタの拳(グー)が僕の腹部にめり込んだのだ。
理解した時、胃の中の物を地面にぶちまけながら僕の意識は暗転した。
クリスタ「あっ、ライナー。じゃんけんしない?」
茂みの中で、クリスタが振り向き様に言った。
意図は分からないが別に断る理由も無いので俺は頷く。
ライナー「何かあるのか?いいぞ。じゃーんけーん」
クリスタ「ぽんっ」
クリスタ パー
ライナー グー
ライナー「あーいこーd」
それ以上、俺は言葉を続けることが出来なかった。
何故ならその瞬間に、俺のケツを凄まじい衝撃が襲ったから。
ライナー「んぬああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
刃が。
クリスタの刃(パー)が俺のケツの穴に深く突き刺さったのだ。
理解した時、ブリッブブッビチビチィィッというアナルの叫びを遠くで聞きながら俺の意識は暗転した。
あいこじゃねぇや
まぁいい
クリスタ「あっ、ジャン。じゃんけんしない?」
茂みの中で、クリスタが振り向き様に言った。
意図は分からないが別に断る理由も無いので俺は頷く。
ジャン「何だ、唐突だな?まぁ別に良いけど…」
クリスタ「良かった。じゃーんけーんぽんっ!」
クリスタ パー
ジャン チョキ
クリスタ「あらら、負けちゃった」
ジャン「はぁ?たかがじゃんけんくらいで何をそんな…」
クリスタ「うーん。まぁそうだよね、仕方ないよね。私はいつでも用意できてるよ」
二つの蒼い瞳が俺を据えるが、
それが何を示しているのか理解できず首を傾けた。
ジャン「用意? 何だ?」
クリスタ「もう、ジャンはチョキで勝ったんだから、ほら」
ジャン「?」
要領を得ない答えに困惑する俺に、クリスタは溜め息をついて俺の手を取った。
容姿端麗なクリスタに触れられて更に戸惑うが、その手を振りほどくことは出来なかった。
クリスタ「チョキして」
ジャン「?こ、こうか?」
訳は分からないものの、クリスタが掴む方の手でチョキのポーズを作る。
クリスタは俺の真っ直ぐに伸びた二本指を自分の目元まで持ち上げて笑った。
クリスタ「チョキで勝ったらこうするのよ」
ジャン「え―――」
ぬちゃあ、という滑った音と生々しい感触が俺の指先を襲う。
予期せぬ出来事に何も出来ずにいる俺を他所に、クリスタは暫し俺の指で自分の眼窩をこねくり回した。
ジャン「オイ!何やって―――」
ユミル「なぁジャン、クリスタ見なかったか?」
運が悪かったとしか言いようがなかった。
俺からすれば、自分の二本指がクリスタの双眸を抉っているこの現状は、
クリスタ自身の奇行によって作り出された状況。
しかし、他者の視点で語れば俺が何らかの悪意をもってクリスタに目潰しを実行しているだけ。
真実なんざ誰も想像できるわけがないのだ。
きっと三十秒後俺は、今しがたやって来たユミルに袋叩きにされているに違いない。
クリスタ「…ふ」
血涙を流して一瞬だけ歪に笑うクリスタ。
一秒後には、地面にその小さな体を伏した。
ユミル「おい、聞いてんのか??」
ジャン「!」
前言撤回。俺は運が良かった。
クリスタの小さい身体は俺の影になっていて、後方から来たコイツにはクリスタの姿が見えなかったらしい。
ユミル「何だよ、シカトすんなコラ、何か言えよ」
少しだけ逡巡し、俺はユミルの質問には答えず、要望にだけ応えのだった「。
ジャン「なぁユミル、じゃんけんしようぜ」
~暗黒じゃんけん大会幕開け編~ 終
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