アルミン「そんなこと出来ないよ」
クリスタ「どうしても?」
アルミン「ごめん」
クリスタ「そっか、わかった」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「空が綺麗だね」
クリスタ「曇りだよ?」
アルミン「曇りでもさ。この空も外の世界に繋がってるのかと思うとね」
クリスタ「だけど曇りだよ?」
アルミン「うん」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「寒い?」
アルミン「いや…」
クリスタ「わたしも」
アルミン「それより、そろそろ眠いかな」
クリスタ「まだ起きててよ?」
アルミン「…君が眠くなるまで?」
クリスタ「うん」
アルミン「…善処するよ」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「クリスタのこと、ヒストリアって呼んだ方がいい?」
クリスタ「わたしはクリスタ・レンズだよ」
アルミン「…そうだね」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「ちょっと楽しかった」
アルミン「ん?」
クリスタ「クリスタになれて」
アルミン「辛かったって言ってたじゃないか」
クリスタ「だから、ちょっとだけだよ」
アルミン「だったら、ちょっとだけお疲れ様」
クリスタ「…うん」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「アニは、どんな人だった?」
クリスタ「優しい人だったよ」
アルミン「うん。それだけは知ってるんだ」
クリスタ「じゃあ、それで十分だよ」
アルミン「…そうだね」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「…ユミル」
クリスタ「待ってるかな?」
アルミン「待ってないよ」
クリスタ「酷い」
アルミン「だからまだ話してようよ」
クリスタ「…うん」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「一人ぼっちは、寂しい」
クリスタ「……」
アルミン「周りから非難されるのも、嫌われるのも、蔑まれるのも。それってすごく辛いことだ」
クリスタ「……」
アルミン「だから…良かった」
クリスタ「……」
アルミン「ずっとあの頃のままじゃなくて良かった」
クリスタ「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「ユミルはね、よく頭をぽんぽんってするの」
アルミン「……」
クリスタ「サシャはお腹が空いて騒ぐと、ミカサが首の後ろをつかんで止めるの」
アルミン「……」
クリスタ「アニはね、よく星を見に行ってたんだ」
アルミン「……」
クリスタ「綺麗だねって言うと、別にって言ってたけど…すごく柔らかい表情だった」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「…ありがとう」
アルミン「うん」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「眠い」
クリスタ「もうちょっと待っててよ」
アルミン「でも眠いんだ」
クリスタ「…一人で起きとくのは」
アルミン「寂しい、もんね」
クリスタ「……」
アルミン「もうちょっと頑張るよ」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「アルミンは」
アルミン「ん」
クリスタ「怖く、ないの?」
クリスタ「わたしは怖いよ。今だって、そう」
アルミン「僕じゃ頼りない?」
クリスタ「うーん…ちょっとね」
アルミン「そこは否定してよ」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「怖くないよ」
クリスタ「……」
アルミン「今までの方が、ずっと怖かったから…今は平気」
クリスタ「…どうして」
アルミン「もう、夢でアニやベルトルトに会わなくてすむから」
クリスタ「……」
アルミン「やっと、終わったから」
クリスタ「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「それって、やっぱり変だよ」
アルミン「そうかな」
クリスタ「うん。すっごく変」
アルミン「……」
クリスタ「だって二人とも、最後はほっとした顔してたから」
アルミン「……」
クリスタ「アルミンが気付いてあげたおかげ」
アルミン「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「アニは、傷つくよって言ってた」
クリスタ「……」
アルミン「ベルトルトは、悪魔の末裔めって」
クリスタ「……」
アルミン「だから、夢で見ないわけない」
クリスタ「……」
アルミン「人類のために最善を尽くした」
クリスタ「……」
アルミン「だけど、二人には…」
アルミン「二人のために、何か少しは考えられたかも」
クリスタ「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「トロスト区で」
アルミン「……」
クリスタ「ユミルが死ななくて良かった。みんなも」
アルミン「…マルコは、死んだ」
アルミン「僕が提案した作戦で」
クリスタ「……」
アルミン「もしかしたら…クリスタ「わたし達も死んでたかも」
クリスタ「そんなの勝手だよ」
クリスタ「マルコがなんのために死んだかも知らないくせに」
クリスタ「その思いを無駄にしちゃダメだよ」
アルミン「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「けど、死んだのは事実だ」
クリスタ「……」
アルミン「誰も僕を責めないかもしれない」
クリスタ「……」
アルミン「でも」
アルミン「僕だけは許してくれない」
クリスタ「……」
アルミン「理屈じゃないんだよ」
クリスタ「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「ズルいよ」
アルミン「?」
クリスタ「なんて言えばいいか思いつかない」
クリスタ「…ズルい」
クリスタ「わたしだって、さっきのアルミンみたいにカッコいいこと言いたいのに」
アルミン「…っ//」
クリスタ「すぐに言い返してくるんだもん。ズルいよ。わたしだってアルミンにありがとうって言われたいのに」
アルミン「…クリスタの方がズルいよ」
クリスタ「え?なんで」
アルミン「……わかってないんだから」プイッ
クリスタ「?」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「もう、夜だね」
クリスタ「寒い?」
アルミン「もう大丈夫」
クリスタ「…じゃあ眠い?」
アルミン「すごく」
クリスタ「……」
クリスタ「わたしも」
アルミン「…そっか」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「…仕方ないよ」
アルミン「……」
アルミン「うん」
クリスタ「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「…まだ殺して欲しい?」
クリスタ「……」
クリスタ「ううん」
クリスタ「もう」
クリスタ「平気」
アルミン「…そっか」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「空、綺麗だね」
アルミン「うん。晴れたね」
クリスタ「綺麗な夜空…星も、大きな満月も」
アルミン「冬は空が綺麗に見えるんだよ」
クリスタ「うん…」
クリスタ「本当に、綺麗…」
アルミン「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「ごめんね」
クリスタ「え」
アルミン「もし、ここにいたのがエレンやミカサだったら…クリスタ「うるさい」
クリスタ「そんなこと、言わないで」
アルミン「……」
クリスタ「…言わないでよ」
アルミン「……」
アルミン「……」
アルミン「…ありがとう」
クリスタ「うん」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「今が冬で良かったなあ」
アルミン「…うん」
クリスタ「夏は嫌いなの。一人ぼっちでお家にいると、どうかしちゃいそうになるから」
アルミン「……」
クリスタ「だから」
クリスタ「死ぬのが、冬で良かった」
アルミン「……」
アルミン「うん」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「僕たち、頑張ったよね」
クリスタ「そうだよ。こんなに体力もないのにね」
アルミン「うん。卒業できるなんて、誰も思わなかっただろうな」
クリスタ「わたしは、馬術も立体機動も得意だったよ?」
アルミン「…そうだった」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「アルミンは、座学がずっと一位だったね」
アルミン「…慰めてくれてありがとう」
クリスタ「えへへ、二回もありがとうって言われちゃった」
アルミン「……」
アルミン「…ふふ」
アルミン「そうだね」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「みんな、気付いてくれるかな」
クリスタ「……」
アルミン「こんな冬の雪山で、岩の下なんかにいる僕たちのこと」
クリスタ「……」
アルミン「自分の命なんて、必要な時は捨ててやるって思ってたのに」
アルミン「……」
アルミン「やっぱり」
アルミン「恐い、みたい…」
クリスタ「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「気付いてくれるよ」
アルミン「でも」
クリスタ「わたし達ね」
クリスタ「自分が思ってるより、みんなに大切にされてるみたいなんだ」
アルミン「……」
クリスタ「さっき」
クリスタ「アルミンが、教えてくれたんだよ」ニコッ
アルミン「……」
アルミン「……」
アルミン「そうだったね」ニコッ
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「そろそろ、だね」
クリスタ「うん」
アルミン「もう…話したい事はない?」
クリスタ「…うん」
アルミン「……」
アルミン「……」
アルミン「…僕もだよ」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「もう、どこも痛くないね」
アルミン「うん」
クリスタ「みんなこんな感じだったのかな」
アルミン「……」
クリスタ「ユミルも、アニも、ミーナも、マルコも、ライナーも、ベルトルトも」
アルミン「…だとしたら」
アルミン「そんなに、悪くないね」
クリスタ「……」
クリスタ「うん。そうだね」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「……」
クリスタ「嘘」
アルミン「……」
クリスタ「わたし、まだ一つだけ大切なこと言ってない」
アルミン「……」
クリスタ「アルミン…わたしね」
アルミン「……」
クリスタ「アルミンのこと…」
アルミン「……」
クリスタ「……アルミン?」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「…嘘つき」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「……」
クリスタ「わたし達、訓練場で走ってるとき、いつも一番後ろだったね」
アルミン「……」
クリスタ「座学ではアルミンに追い付けないし、馬術ではいつもわたしがずっと前にいたっけ」
アルミン「……」
クリスタ「立体機動でも、格闘訓練でも、技巧でも」
クリスタ「わたし達、バラバラだったね」
アルミン「……」
クリスタ「でも」
クリスタ「走る時は、いつも隣だった」
アルミン「……」
クリスタ「アルミン」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「何も話さなかったよね」
クリスタ「だけど」
クリスタ「ずっと隣」
クリスタ「そんなの、おかしいよ」
アルミン「……」
クリスタ「変だよ。体調が悪い時も、良い時もあるのに」
アルミン「……」
クリスタ「…ずっと隣で」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「……」
クリスタ「わたしだって、本当はもうちょっとだけ速かったんだから」
アルミン「……」
クリスタ「…アルミン」
アルミン「……」
クリスタ「解散式の次の日」
クリスタ「何を、言おうとしてたの?」
アルミン「……」
クリスタ「明日話したいことがあるって」
クリスタ「言ってたよね」
アルミン「……」
クリスタ「あんなに緊張して」
アルミン「……」
クリスタ「わたし達、全然話したことなかったのに」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「……」
クリスタ「…何回も話しかけようとしたんだけどな」
アルミン「……」
クリスタ「馬鹿だね、わたし」
アルミン「……」
クリスタ「…アルミン」
アルミン「……」
クリスタ「アルミン」
アルミン「……」
クリスタ「アル、ミン…」
アルミン「……」
クリスタ「……」
クリスタ「……」
クリスタ「…おやすみ」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「…おや、すみ」
アルミン「……」
クリスタ「……」
アルミン「……」
クリスタ「……」
「―おい」
「おい」
「ここに誰かいるぞ」
「子どもが二人!?」
「……」
「……」
「…これはーー」
完
以上。バッドエンドですまなかった
短いけど見てくれてありがとう
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