男「胸無いな」 幼馴染「なんだとこの野郎!」(75)

男「あ、間違った。度胸無いな、だ」

幼「わざとだろ?そうなんだろ?なぁ、そうなんだろ?」

男「はは、たった一文字違いじゃん」

幼「文字で書くとな?でも口に出したら全然違うよな?」

男「まぁまぁ。落ち着けよ、幼」

幼「……」

男「今問題なのは胸が有るか無いかじゃないだろ?」

幼「お化け屋敷…」ゴクリ

男「いや、幼がどーーしても入りたくないなら別に良いんだぜ?」

幼「は、入るよ!なんだよ、こんなちゃっちいの!」

男「あんま大声で言うなよ。中の人怒っちゃうぞ?」

幼「ふん!別に問題ないつーのっ!」

男「普段より多めに脅かしてくるかもよ?」

幼「っ…!!」

男「ほらほら、どうする?」

受付「あの…どうなさいますか?もし宜しければ、後ろのお客様から先に…」

男「あ、そうですね、俺ら邪魔ですね。ほら幼、ちょっと道あけて…」

幼「わ、私たちから入りますし!」

受付「そ、そうですか?それでは…」

男「幼、大丈夫なん?」

幼「も、もちろんだっつーの!」

受付「それではどうぞ」

幼「おう!ちょちょいとヒネってやるっつーの!」

受付「あの、それはちょっと…」



お化け屋敷内

幼「……」
ぎゅーっ

男「幼、薄暗いんだから、目開けてないと危ないぞ?」

ぱちっ
幼「つ、瞑ってねーよ!ちゃんと開けてるっつーの!」

男「そうか?なら良いんだけど」

幼「…」

男「ほら、幼」

幼「なんだよ、目ならちゃんと…」

男「それは解ったから」
さっ

幼「あ?」

男「ちょっと段差があるから、手出しなよ」

幼「お、おう」
ぎゅうっ

男「ちょっと痛いよ」

幼「し、しっかり握らねーとだろが!」

男「そうだな」
ぎゅっ

幼「さ、さっさと先に進むぞ!」

男「何があっても慌てて走ったりすんなよ」

幼「は、ははっ…そんな事ある訳…」
バサッ
お化けA「ギャーーーー!」

幼「ぎゃーーーーーーっ!!!!!」
ダッ

男「言ったそばから…」
ぐいっ

幼「あ、あわわ…」

男「落ち着け、幼」
ぎゅうっ

幼「あ、あう…」

お化けA(何抱き合ってんだよ、リア充め…)

男「…落ち着いたか?」

幼「お、おう…」

幼「!」
ばっ
幼「つーか、どさくさにまぎれて、抱きついてんじゃねぇ!」

男「だってそうしないと危なかっただろ?」

男「転んで怪我でもしたら大変だし」

幼「…」

男「それに、走って先に進んだら、そこにもお化けがいるんだぞ?」

幼「う…」

男「だからほら、手」
すっ

幼「うん、あ、ありがとう…」
ぎゅっ

男「いつもそんなに素直なら良いのになー」

幼「私はいつでも素直だっつーの」

男「そうかそうか」

幼「…そうだよ」

男「そんじゃ、先に進むぞ?」

幼「お、おうよ」

幼(ちっくしょう…なんでこんな事に…)



4日前

男「は?賭け?」

幼「おう!賭けだ!」

幼「勝負事は何か賭けた方が燃えるだろ?」

男「んー、何を賭けるんだ?言っとくが金は駄目だぞ?」

幼「負けた方が一番苦手な弱点を晒して、克服するってのはどうだ?」

男「弱点…ねぇ?」

幼「どうだ?もちろん受けるだろ?」

男「あー、まぁいいぜ」

幼「うっし!んじゃやろうぜ!」

男「その前に、お互い苦手な事を事前に紙に書いておこうぜ」

幼「あん?」

男「後で、苦手な事を無かった事にしない為にさ」

幼「ははは、良いなそれ。そうしようぜ」

幼「ちゃんと苦手な事書けよ?」

男「そっちこそ」

幼「へへっ、武士に二言はねーぜ」

男「はは、武士なのかよ」

幼「おうよ!心はサムライだぜ!」

男「書いた紙は別々の封筒に入れておこうぜ」

幼「へっへっへ…私が苦手なのは…っと」
カリカリ

男「苦手な事なぁ…」
カリカリ

男「よし、そんじゃ、今日は何の勝負にすっかな?」

幼「へっへー。今日はソフト持参なんだぜ!」

男「お?」

幼「プレステ出せよー」

男「天地を喰らう2?懐かしいなー」

幼「だろだろ?」

男「でもこれでどうやって勝負するんだ?」

幼「最終面クリアした時のスコアで勝負だ!」

男「なるほど、受けてたつぜ」

幼「行くぜっ!」



関羽『敵将、曹操、討ち取ったりー!』
ジャーンジャーーン

幼「う…」

男「さて、最終スコアはどうなるかな?」

幼「私の方が沢山ボスを討ち取ったはずだ!」

男「でも呂布は俺が倒したからなぁ」

幼「むぅ…私の趙雲は負けてない!」



男「…まぁ結果、俺の圧勝だった訳だが」

幼「そんな馬鹿な…」

男「関羽の方が敵の突進を止めやすいし、使いやすいんだよ」

男「あと、幼は空中投げを狙いすぎだよ」

幼「だって、格好良いだろ?空中投げ!」

男「格好良いけど、点数には結びつかないからな」

幼「ぐぐぐ…特訓してきたのにっ!」

男「さーて…幼の苦手な事は何かなー?」
ガサガサ

幼「うぐぐ…」

男「何なに?……お化け?」

幼「そ、そうだよ…私の弱点はお化けだよっ」

男「まぁ、知ってたけどさ」

幼「くっそー!男の弱点を暴くつもりがっ!」

男「さて、どうやって克服するかなぁ?」

幼「お、お化けなんて本当はこの世には居ないんだぜ?」

幼「克服しようがないじゃんか」

男「あー、そう言えば」

幼「な、何だよ」

男「近くの遊園地にお化け屋敷があるじゃんか」

幼「お、お化け屋敷?そんなのあったかな?無かったんじゃないかな?」

男「あそこ、改装して前より怖くなったらしいな」

幼「つ、作り物じゃねーか、ハハ」

男「んじゃ、今度の日曜、一緒に行こうぜ」

幼「わたっ、私は!作り物のお化けは全然怖くねーよ!」

男「それを証明する為にもさ」

幼「に、日曜は用事が…」

男「おいおい、武士に二言は無いんじゃ無かったのかよー」

男「逃げるのか?」

幼「逃げねーよ!解ったよ!行ってやんよ!」

幼「時給制のアルバイトお化けなんざ、片手でヒネってやんよ!」

男「じゃあ、日曜日、朝からな」

幼「お、おぅ…」

遊園地に行く前日

幼「くっそー…まさかこんな事になるとは…」

幼「よりにもよってあそこの遊園地のお化け屋敷かよ…」

幼「私がお化け苦手になった原因じゃねーか!」

幼「正直行きたくねぇ!」

幼「……」

幼「でもなぁ…」

幼「こっちからふっかけた勝負だったしなぁ……」

幼「それに、あれからもう6年くらい経ってるし」

幼「今見たら、結構子供だましかも…」

幼「てか、行くしかねーな!」

幼「私の数少ない弱点を克服するチャンスって考えれば良いんだ!」

幼「そうだ…うんうん、そう考えれば良いんだ!」

幼「それにこれって、デ、デートだし?」

幼「男とデート…」

幼「作り物のお化けをぶっ飛ばして、弱点克服!」

幼「その後、男と遊園地を堪能!」

幼「そして2人はいい感じに……」

幼「おいおい、すげー良い事尽くめじゃねーか!」

幼「ちょっとワクワクしてきたぜ!」

幼「そうとなったら、明日に備えて早く寝るか!」
パチン
幼「……」

幼「……デート」モンモン

翌朝

幼(くっそ…興奮してほとんど眠れなかったぜ……)

男「幼、体調悪いのか?」

幼「んな事ねーよ」

男「ならいいけど…」

幼「さ、行こうぜ!」

現在


お化けB「置いてけぇ…その首、置いてけぇぇぇ!」
ガバーーッ

幼「ぎゃーーーー!」



お化けC「足元に落ちてないですかねぇ…」

幼「な、何がだよ」

お化けC「私のハラワタがぁぁぁぁ」
ガバーーッ

幼「ぎゃーーーーー!」



お化けD「……」
ズルリズルリ

幼「お、おい…あれ、あいつ、か、下半身無くないか?」

男「そう見えるな…」

お化けD「お前の足を俺にくれぇぇぇぇ」
ズルズルズルズル

幼「ぎゃーーーーーー!」

幼「は、速ぇぇ!ど、どんな仕組みだっ!」

お化けD「イヒヒヒ…俺は本物だからなぁ…」

お化けD「仕掛けなんてねぇよ…イヒヒヒ」
ズルズルズルズル

幼「ほ、本物だっ!あの動きは本物のお化けだっ!」

幼「ダメだ!逃げられねぇ!男っ!もう倒すしかねぇ!」
グググッ

男「いや、それは駄目だから」
ガシッ



幼「ハァ、ハァ…逃げ切れたか…」

男「うん、そろそろ出口かな?」

幼「やっと終わりか…」

男「あ、あそこ明るくなってるな」

幼「い、急ごう!男っ!」
ダダダッ

男「あっ!待てっ幼!危ないから走るなっ!」

バリバリバリーー

幼「ギャーーーーーーーーーーー!」
バタッ




幼「……っ!」
ガバッ

男「お、やっと気付いたか。良かった良かった」

幼「て、敵はどうなった?私はどうなったんだ?」

男「出口直前の壁から作り物の手がいっぱい出てきて」

男「それ見て気絶したんだよ」

幼「き、気絶…だと?」

男「頭打たなかったから、大丈夫だと思って救急車は呼んでない」

男「そんで広場のベンチで寝てた訳だ」

男「俺の膝枕でな」

幼「畜生!屈辱だーーっ!」

男「ほら、目が覚めたんならそろそろ帰ろうぜ」

幼「え?今何時だよ?」

男「もう4時回ったな」

幼「気絶じゃなくて、ただ寝てたんじゃねーか!」

幼「だーーーー!何やってんだ私!」

幼「予定が…計画が…くっそーーーー!」

男「取り敢えず落ち着け」

幼「うぐぅ…」

男「まぁ、また来れば良いだろ」

男「遊園地は逃げないし、お化けも克服してないしな?」

幼「……ニヤついてんじゃねぇよ」

男「ところで予定と計画って何だ?何か考えてたのか?」

幼「それはお化けとは関係無いから内緒だっ」

男「ん、そうか」

幼「帰るぞ!男っ!」

男「へいへい」



帰りの電車の中

男「結構混んでるな…」

幼「ん?そうだな…はぁ……」

男「何?まだ落ち込んでる?」

幼「な、何でもねーよ」

男「気になるんだが」

ガタタン
ギューーー
幼「いてててっ」

男「大丈夫か?」

幼「後ろから押された…すげー痛い…」

男「…こっち側に」
ぐいっ
幼「……向かい合わせに立つってどうなんだよ」

男「幼の後ろは壁だし、前は俺の鉄壁のディフェンスだぞ?」

男「幼の事をしっかり守るぜ」

幼「あ、ありがと…」

幼「……顔近けぇな」

男「そこは我慢してくれ」

幼「……別にイヤじゃねぇし」

男「ん、そか」

幼「あ、あのよ、男」

男「ん?」

幼「えっと、その…なんつーかさー」

幼「これ聞くのはルール違反かもしれねーけどよー」

男「何だよ、歯切れ悪いな」

幼「男のよー、じゃk」

ガタタン
ギューッ
男「うぉっと」

幼「だ、大丈夫か、男」

男「大丈夫大丈夫」

男「俺は大丈夫なんだけど…」

幼「ん?」
ぎゅうっ

男「俺の身体に手回しちゃってるんだが?」

幼「……しばらく良いだろ、掴まる所無くて不安定だったし」

男「……あー、うん」

幼「嫌か?」

男「嫌じゃないけどさ…」

幼「何だよ」

男「胸当たってるんだけどさ」

幼「なっ!?」

男「胸無いな」

幼「何だとこの野郎!」

男「でも度胸はあるな」

幼「お、おう…?」

男「電車内で抱きついてきたりってさ」

幼「…こりゃ不可抗力だから良いだろ、別に」

男「あぁ、良いよ」

男「で?さっき何か言いかけたのは何だ?」

幼「あー、あのさー、言いたくなかったらさー、別に答えなくても良いんだけどよー」

男「何だよ」

幼「男の弱点って何だ?」

男「俺の弱点なぁ」

幼「勝負に負けた私に聞く権利無いんだけどよー」

幼「でも、聞いてみたいんだ」

男「何で?」

幼「男って、勉強も運動もソツなくこなすじゃん?」

男「そうか?」

幼「クラスの連中、分け隔て無く接してるだろ?」

男「普通だろ」

幼「先輩や後輩からも頼りにされてるしよー」

男「そうかなぁ」

幼「そうだろ。自覚ねーのかよ」

男「俺は普通だと思うがなぁ」

幼「…あと、男が何かにビビってるの見た事ねーし」

男「んー」


幼「あの賭けの紙に何て書いたんだ?」

男「……」

幼「あ、言いにくいなら良いんだ別に、うん」

男「…悪用しないって約束出来るか?」

幼「悪用?それをネタに脅すとか?しねーよそんな事、ははは」

男「……幼」

幼「なんだよ?」

男「だから、幼だって」

幼「だから、なんだよ」

男「俺の弱点」

幼「は?」

男「俺が一番怖いのは幼さんです」

幼「い、意味がわからねーんだけど」

幼「私が怖いってどう言う意味だよ」

男「あー、結構混んでる電車の中で話す事じゃねーと思うんだけどゴメンな」

幼「ん?なんで謝るんだよ」

ぎゅっ

幼「お、おい、男?」

男「俺、お前の事大好きなんだよ。知ってたか?」

幼「なっ!?」

男「声デカいよ」

幼「な、何言ってんだよいきなり」

男「ん?マジなんだけど」

幼「そんなの電車の中でする話しかよ!」

男「だから最初に謝っただろ」

幼「謝って済む話しかよ!」

男「また声デカくなってるぞ」

幼「でもお前っ…」

男「俺は今、幼の顔を見るのが一番怖い」

幼「何でだよ?」

男「返事を聞くのが怖いから」

幼「んん?」

男「幼はすぐ顔に出るからさ」

男「きっと解かっちまう」

幼「……」

男「幼が今、何を考えているのかが」

男「だから今、幼の事ぎゅっと抱きしめてるの、照れ隠し」

幼「照れ隠し?」

男「今、俺、きっと顔真っ赤だからな」

幼「そ、そうかよ…」

男「だからしばらくこうしてて良いか?」

幼「お、おぅ…」




『次は~薬師如来前、薬師如来前~。お出口、左側になりま~す』

男「おっと…着いちまったな」

幼「……おぅ」
プシュー

男「ほら、降りるぞ」

幼「……」
ぎゅうっ

男「どうした?」

幼「もうちょっと、このままでいたい…」

男「!」

幼「ダメか?」

プシュー
ガタンガタン…
男「…まぁ、こんな事もあるよな」

幼「すまねーな…」

男「……俺も」

幼「ん?」

男「実は俺も、もうしばらく、こうしていたかった」

幼「そっか…へへっ。たまにはこんな事もあるよな?」

男「あぁ…こうなっちゃうのが怖かったんだよなぁ」

幼「何がだよ?」

男「俺が幼の事怖いって言ったのはさー」

男「言っちゃったら、今までの関係が壊れそうで怖かったんだ」

幼「そんなのが怖かったのかよ、はは」

男「俺にとってはかなり重要な事だったんだよ」

幼「私が男の事を嫌いって言う訳ないだろー」

幼「私も男の事が大好きだぜ?昔からなー」

男「お、おぅ…さらっと言うんだな」

幼「何だよ、何か変か?」

男「だってさっき大きな声出しただろ?」

幼「ありゃちょっとビックリしただけだよ」

男「ちょっとビックリ…か」

男「恥ずかしいーとか、拒絶されたらどうしようーとか…」

男「そんなマイナス思考一切無いのな?」

幼「そんな事考えた事ねーな」

幼「嫌いならずっと一緒にいねーよ」

男「仲の良い友達って言うか、兄妹って言うか…」

男「そんな感じには思ってなかったのか?」

幼「全然」

男「はぁ…俺一人がビビってたのかよー」

幼「そうだな、ビビリだなー」

幼「男の弱点は私だったかー……へへー」

男「悪用するなよ?さっき約束しただろ?」

幼「悪用って何だよ」

男「……」

幼「ま、いいや。今こうしてんのが幸せだからー」
ぎゅーっ

男「…あぁ、もう、お前は可愛いなぁ」
ぎゅーーーっ
ナデナデナデ

幼「なっ!?なんだよいきなり!」

男「それが悪用ってんだ」

幼「はぁ?」

男「いつもは乱暴な口調なのに、たまに見せる可愛い仕草が好きだ」

男「幼にそれやられると、俺は抵抗出来なくなっちまうんだよ!」

幼「…ほぅ?」

男「だから…」
ぎゅうっ
幼「へへへっ、こうすれば男は抵抗出来ねーのか?」

男「……だから悪用するなって」

幼「……もうちょっとだけ、な?」

男「……」

幼「なぁ、男」

男「なんだよ」

幼「私は男の事が大好きで」

幼「男は私の事が大好き、で良いのか?」

男「そうだな」

幼「じゃあ、私に言う事があるんじゃねーか?」

男「…そうだな」

男「……………」

幼「……黙ってないで早く言えよ、うりうり」
ぐりぐり

男「止めろちびっ子」

幼「ちびっ子じゃねーよ!」
ぐりぐり

男「…幼さん、俺とお付き合いして下さい」

幼「…ふへへへっ」

男「変な笑い方すんなよ、変態と思われるぞ」

幼「その変な女に告白したのは誰だよ、ふへへっ」

男「俺だな」

男「……で?返事は?」

幼「この顔を見て判断しろよっ」
ぱっ

男「ははっ、幼、何で泣いてんの?」

幼「そっちだって。ふへへっ、訳わかんねーな?」

男「意味わかんねーなー」

幼「私のは嬉し泣きだよ、バーカ」

男「俺のだってそうだよ、バーカ」




『次は~薬師如来前、薬師如来前~。お出口、右側になりま~す』

男「ほら、降りるぞ」

幼「…」

プシュー
ガタンガタン…

男「はー、ちょっと遅くなっちまったな」

幼「そ、そうだな。もう真っ暗だな」

男「早く帰ろうぜ」

幼「あ、あのさ」

男「ん?」

幼「手、繋いで良いか?」

男「…もちろん」
ぎゅっ

幼「…ありがと」

男「……お前、ホントに可愛いなぁ」

幼「……お前、ホントに格好良いなぁ」

男「んじゃ、帰るべ」

幼「そうすんべ!」

幼「行くぞ、男!」
ダッ

男「待て待て!」
ぎゅっ

幼「何だよ、早く帰ろうぜ!」

男「や、ゆっくり歩いて行こうぜ」

男「今夜は月が綺麗だしよ」

幼「キザか!」

男「まぁ、たまにはこう言うのも良いじゃないか」

幼「大人か!」



幼「今日は良い一日だったな」

男「そうだなー。俺史上最高の日になったな」

幼「それは大げさ過ぎだろー」

幼「大体私は半日寝て過ごした様なもんだしな」

男「そう言えば…」

幼「ん?」

男「…俺、幼の顔、ちゃんと見れたなぁ」

幼「ん、そうだな、今見てるな?」

男「俺の弱点、克服出来た」

幼「んん?」

男「だから来週は幼の弱点を克服だな?」

幼「はぁ?」

男「気絶してたからなー」

幼「う…それは…」

男「寝顔可愛かったから別に良いんだけど」

幼「に、ニヤついてんじゃねぇよ!」

男「今度は手離して走ったりすんなよ?」

幼「そ、そうするよ」

男「大丈夫、今度は俺も絶対離さないからな」

幼「おぅ!一度戦った相手に遅れをとるような私じゃねーよ!」

幼「今度こそバイトお化けなんざ、軽くヒネってやるっつーの!」

男「じゃ、来週は別の遊園地に行くか!」

幼「!?」

男「ちょっと遠出だけど、富士急ハイランドに行こうぜ」

幼「そ、そこに何があんだよ」

男「それは行ってのお楽しみ」

幼「そのニヤけ面で大体解った!行かねぇ!富士急ハイランドには行かねぇ!」

男「えー?弱点克服するのが罰ゲームだろ?」

幼「私はもう大丈夫!今日で克服出来た!」

男「えー?本当に?」
チラッ

幼「何だよ…おい、どこ見てんだよ?」

男「いや、あそこの草むらに…」
ガサガサガサ

幼「ギャーーーー!」
ダダッ

男「ちょっ…」
ぐいっ
バタッ

男「いてて…だから急に走るなっつーの」

幼「ご、ごめん、つい…」

男「……」

幼「……」

男「あのさ、俺の上からどいてくれるか?立てないんだが」

幼「男、あ、あのさ…」

男「ん?まさか腰が抜けたとか?」

幼「かばってくれてありがと」

男「いえいえ、彼氏ですから。鉄壁のガードで守るぞ?」

幼「…これ、お礼っ」

ちゅっ

男「!!」

幼「…ファーストキスだな、路上で。にへへー」
がばっ
ぎゅうっ

男「…胸無いな」

幼「なんだとこの野郎!」

男「でもやっぱりすげー度胸だな」

男「いくら人通りが少ないからって、道で、お前……」

男「誰かに見られたらどうすんの?」

幼「別に構わねーよ。私は隠すつもり無いからなー」

男「おまわりさんに怒られるかもだぜ?」

幼「こんな所に警官なんてこねーよ」

男「そうかな?」

幼「ははは、男は心配性だなー」

男「でも、さすがにもうそろそろ立って欲しいんだけど」

幼「んー、もう少し~~」
スリスリ

男「急に甘え出したな、可愛いから良いけど」

幼「んふふ…男に新たな弱点を作ってやるぜ」

婦警(道端に転がって抱き合う明らかに未成年の男女……)

近くに居た婦警(これ、注意すべきかな…すべきだよね……)

近くに居た婦警さん(イチャイチャしちゃって)

たまたま近くに居た婦警さん(年齢=彼氏居ない歴の私を馬鹿にしてるのかしら)

たまたま近くに居た婦警さん(27)(……)


たまたま近くに居た年齢=彼氏居ない歴のちょっと可哀想な婦警さん(27歳)「爆発しちゃえ、リア充っ!」
タタタッ


男・幼「!?」



おわり

これで終わりです
読んでくれた人が居たら嬉しいです

次スレは
男「え?もうですか?」 幼馴染の父「おう」
ってタイトルで立てると思います
見かけたら読んでもらえたら嬉しいです

では。

待ってた、乙

次回は 男「え?もう?」幼馴染「はーい」 の続きかな

レスくださった方ありがとうございます

>>72 フフリ…気づかれてしましましたか……
次スレは
男「え?もう?」幼馴染「はーい」
男「え?もう?」幼馴染「はーい」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1342188272.html)
の、続きになります

読まなくても楽しめる様に書いたつもりですが
じゃがいもとチーズと茹でたタコと和風ドレッシングを用意しておくと
よりお楽しみ頂けるSSになるんじゃないかと思います

良ければ。

では。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom