番長「・・・違うな、もっとこう思いがけない感じで」
番長「波ぁ~~~~!!!」
>-夏休みを利用して、皆で南の島に旅行に行こうと船で移動していた時のことだ。
番長「・・・いや、やっぱり最初からでかいのを出そうとするからいけないのかもな」
>-突如大荒れした海に飲まれ、俺達が乗っていた客船は難破した。
番長「・・・最初に悟空が車を壊した時の感じで、試しにやってみるかぐらいの勢いでやってみよう」
>-気がつくと俺は無人島に流れ着いていた。他の皆は無事だろうか。
番長「」ばばばっ
>-誰もいない。俺一人。この広い島に俺一人・・・そう考えると、この先どうするとか、助けはくるのかとか、そんなことを考えたくなくなってしまった。練習せずにはいられなかったんだ。そう、かめはめ波の練習を。
番長「・・・駄目か」
波ぁああああ!
>-何か声が聞こえる。声のするほうに草木をかきわけていくと、陽介がいた。
陽介「かめはめ波ああああ!!!!」
陽介「くっ、やっぱ気が足りてねえのか?」
陽介「波ぁああああ!!!」
ガサガサ
番長「・・・・・・」
陽介「・・・・・・」
>-陽介と目が合った。
陽介「いや・・・あのさ相棒・・・これは・・・その・・・違うんだ」
番長「・・・」
陽介「今ならいけるかなって・・・いやほら、俺もずいぶん強くなったわけじゃん?」
番長「・・・大丈夫だ。俺もさっきまで練習してた」
陽介「なっ・・・あー、それアレか?俺に気使って言ってくれてる?」
番長「いや、俺は本気だ」
陽介「・・・マジ?」
番長「マジだ」
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>-五分後
番長「かめはめ波ぁ~~~~!!!」
陽介「波ぁああああ!」
番長「・・・やっぱり、角度が悪いのかもしれない」
陽介「角度なあ。結構テキトーでもいけると思うんだよな。やっぱ気をコントロール出来てないんじゃねえかな?」
番長「力のコントロールなら、かなり出来るようになっているはずなんだが・・・」
>-何か声が聞こえる。
陽介「ん?今、なんか聞こえたか?」
番長「ああ。俺達以外にも、誰か流れ着いているのかもしれないな」
陽介「じゃ、さすがにそろそろ行くか?いつまでもこうしてる訳にもいかねえしさ」
番長「そうだな」
>-声のするほうに草木をかきわけていくと、里中がいた。
千枝「どどん波!」
千枝「・・・やっぱり難しいのかなあ」
千枝「どどん!!」ばっ
番長「・・・・・・」
陽介「・・・・・・」
千枝「・・・・・・」
>-里中と目が合った。
千枝「は、花村に番長君!?い、いつから見てたの!?///」
陽介「いや今さっきだけど・・・お前がどどん波の練習してるところは見たよ」
番長「見たよ」
千枝「い、いやあの、これはね!?違うの!その・・・///」
陽介「何でどどん波なんだよ?」
千枝「えっ!?///」
陽介「いいから、何でどどん波なんだよ?」
千枝「・・・アタシ舞空術に憧れててさ」
番長「舞空術?」
千枝「うん。それで、まずは同じ鶴仙流のどどん波が打てれば、もしかしたら舞空術も!って思って・・・///」
陽介「あ~・・・なるほどな」
番長「わからないでもないな」
>-里中と合流した。
千枝「じゃあ、そっちはまだ二人だけなんだ?」
陽介「ああ。他の奴らは一体どうなっちまったのか・・・」
>-何か声が聞こえる。
番長「・・・あっちだ」
陽介「行ったほうが良いような良くないような・・・」
千枝「何言ってんの花村。誰にしたって、合流したほうが良いに決まってるじゃん」
陽介「いやまあそれはそうなんだけどよ・・・」
>-声のするほうに草木をかきわけていくと、天城がいた。
雪子「萬國驚天掌~~~~!!!」
番長「・・・・・・」
陽介「・・・・・・」
千枝「・・・・・・」
雪子「・・・・・・」
>-天城と目が合った。
>-天城と合流した。
雪子「だって、今なら、今なら誰にも見られずに練習出来るって・・・!」グスン
千枝「大丈夫、大丈夫だよ雪子」
>-天城は里中に慰められている。
陽介「しかしなんで萬國驚天掌なんてマイナーな技を・・・?」
雪子「」ビクッ
千枝「花村!」
陽介「い、いや、だって気になるじゃんかよ」
>-・・・そっとしておこう。
なんだこれ
ハアアァァァアアア!
>-何か声が聞こえる。
陽介「今度は誰だろうな?」
番長「・・・そっとしておこう」
陽介「そういうわけにもいかないだろ?」
>-声のするほうに草木をかきわけていくと、完二がいた。
完二「気円斬!!ハアアアア・・・・・・!!」
番長「・・・・・・」
陽介「・・・・・・」
千枝「・・・・・・」
雪子「・・・・・・」
完二「駄目か!気合が足りねえのかな・・・!
番長「・・・・・・」
陽介「・・・・・・」
千枝「・・・・・・」
雪子「・・・・・・」
完二「・・・・・・」
>-完二と目が合った。
完二「あ、あの・・・先輩等?これは・・・違ぇんスよ・・・」
陽介「ナッパよけろー」
千枝「ちょ、花村が突っ込み放棄してどうすんのさ」
陽介「もうだるいんだよ」
>-完二と合流した。
陽介「なんかこのまま皆集まりそうだな」
千枝「順番にも感じるものがあるよね」
雪子「順番・・・あ、ペルソナ使えるようになった順番だね」
完二「じゃあ、次はりせっスかね」
番長「・・・りせとクマ、同時じゃないか?」
陽介「確かに、あいつらはほとんど一緒だったな。もし今も本当に二人一緒にいるなら、妙なことにはなってなさそうだ」
>-何か声が聞こえる。
番長「・・・行こう」
>-声のするほうに草木をかきわけていくと、りせとクマがいた。
りせ「ピ・・・ピッコロさん・・・!」
クマ「に・・・げ・・・ろ・・・悟版」
りせ「ピッコロさん・・・ど、どうして僕を・・・?」
クマ「にげろと・・・行っただろ・・・ご・・・悟飯・・・!」
番長「・・・」
りせ「死なないでピッコロさん!きっと、きっとすぐにお父さんが来てくれるから!」
クマ「な・・・なさけない話だぜ・・・ピ、ピッコロ大魔王とも・・・あろう・・・ものが・・・」
陽介「・・・」
クマ「ガ・・・ガキをかばっちまうなんて・・・最低だ・・・へへ・・・!」
千枝「・・・」
クマ「き・・・きさまら親子のせいだぞ・・・あ・・・甘さが・・・うつっちまった・・・」
雪子「・・・」
クマ「だ・・・だが・・・悟版・・・オレと・・・まともにしゃべってくれたのは・・・お前だけ・・・だった・・・」
完二「・・・」
クマ「貴様といた数ヶ月・・・悪くなかったぜ・・・死ぬ・・・な・・・よ・・・悟・・・版・・・・・・」
りせ「!!」
りせ「うわああああ~~~~~っ!!!!」
りせ「魔閃光~~~~~~っ!!!!!!」ばっ
番長「・・・・・・」
陽介「・・・・・・」
千枝「・・・・・・」
雪子「・・・・・・」
完二「・・・・・・」
りせ「・・・・・・!!!」
クマ「あ、センセイ!皆!」
>-二人と目があった。二人と合流した。
りせ「だって・・・だって・・・皆いないし、クマじゃ頼りないし・・・!」ヒック
雪子「いいんだよりせちゃん。皆わかってるから」
>-りせは天城に慰められている。珍しく、嘘泣きではないようだ。
陽介「確かにあのシーンは感動的だったけど、クマにピッコロさんは無理があんだろ。つーか長ぇよ」
りせ「」ビクッ
クマ「む?」
番長「いや、二人ともなかなかの熱演だったと思うぞ」
りせ「」ビクッ
陽介「そうか?」
りせ「」ビクッ
雪子「花村君!もう!」
陽介「だ、だってよう・・・」
クマ「じゃあ何か?ヨースケにならピッコロさんいけるとでも言うつもりクマか?」
陽介「お、俺?」
千枝「柄じゃないっしょ」
番長「まあ、ヤムチャだな」
陽介「ヤム・・・せめてクリリンと言ってくれ親友」
クマ「じゃあクマは?ねえクマは?」
完二「プーアルしかいねえだろ」
番長「そうだな」
クマ「プーアル!?」
>-何が声が聞こえる。
番長「・・・行こう」
>-声のするほうに草木をかきわけていくと、直斗がいた。
直斗「ハァアアアアアア・・・」
>-あのポーズは・・・
直斗「魔貫光殺砲!」バッ
番長「・・・・・・」
陽介「・・・・・・」
千枝「・・・・・・」
雪子「・・・・・・」
完二「・・・・・・」
りせ「・・・・・・」
クマ「・・・・・・」
直斗「・・・・・・」
>-直斗と目があった。
技の練習じゃなくなったwwwwwwwwww
過去を思い出して悶絶せざるを得ない
直斗「・・・・・・」カァ///
ダッ
>-直斗は逃げ出した。
完二「あっ、おい待て!」ダッ
>-完二は追いかけた。
>-一分後。
直斗「・・・・・・///」
>-無事、捕まったようだ。
直斗「」グスン
りせ「しょうがないよ直斗。ピッコロさんかっこいいもんね」
>-直斗はりせに慰められている。
完二「・・・バツが悪ぃのはわかるけどよ、ここで皆とはぐれたら危ねぇ・・・もう逃げたりすんなよな」
直斗「はい・・・」ショボン・・・
りせ「ちょっと完二!今きついこと言わなくても良いでしょ!」
完二「あん?」
直斗「い、いえ久慈川さん・・・巽君の言うとおりです。今だからこそ重要な事です」
完二「直斗・・・」
りせ「直斗がいいならいいけど・・・」
陽介「な、なんか後輩組だけ別世界行ってね?」
番長「むしろ精神的に冷めきってる俺達のほうが危ういかもしれない」
陽介「それもそうか・・・」
銀魂ネタかwww
>-少し歩くとかなり開けた所に出たので、皆で状況を整理することにした。
直斗「僕達が乗っていた客船が難破したことは、もう本土にいる僕の祖父や堂島さん達にも伝わっているでしょうから、待てばいつか救援はくると思います」
番長「うん」
直斗「しかし、ここはおそらくもう日本の海域ではありませんし、この辺りには他の無人島も多いですから、それなりの時間がかかる可能性が高いですね・・・」
陽介「じゃあ、しばらく俺達でサバイバル生活するしかねーな」
りせ「・・・」
完二「・・・おいりせ」
りせ「なっ、なによ?」
完二「先輩等も皆いんだから。ん~な不安そうに肩張ってねえで、なんとかなると思っとけ」
りせ「あ、あんたなんかに言われなくてもわかってます~!」
完二「どーだか」
クマ「大丈夫クマ!りせちゃんはクマが守るクマ!」
ガサガサ
>-茂みが揺れた。
クマ「うっひょう!?!?」
番長「・・・」
ドガッ
番長「大丈夫。ただのヘビだ」
りせ「先輩すご・・・クマ頼りな~い」
クマ「め、面目ないクマ・・・」
千枝「ねえ番長君・・・それ、どうするの?もしかして・・・」
番長「食べよう」
千枝「や、やっぱりそうだよね・・・」
番長「嫌か?肉だぞ」
千枝「確かに肉っちゃ肉だけどさ・・・」
直斗「・・・いずれにせよ、何かを口にするなら可能な限りは十二分に加熱すべきです。それが果実や植物の場合でも、最低限真水で洗浄したいですね」
番長「そうだな」
陽介「じゃあ、まず必要なのは水と食いもんと火だな」
直斗「はい、あとは雨と風をしのげる手段、睡眠が取れるような環境も必要です」
完二「・・・あと、出来れば着るもんじゃねっスか?」
陽介「着る物?なんでまた?」
完二「ああいや、俺等は我慢すりゃいいけどよ、やっぱ天城先輩とか里中先輩とか・・・あ、あとは直斗とか、濡れたまんまの服じゃ、なんつーか・・・可哀想じゃないスか?」
りせ「ちょっと、私は?」
完二「わかってるお前もだよ」
クマ「クマは?」
完二「お前は出来りゃ我慢しろよ」
クマ「そんな~!」
番長「皆、海から打ち上げられたばかりだからな。いずれにしても火を早めに確保する必要はあるわけだし、まずはそれで今着ている物を乾かそう」
りせ「そ、そっか・・・ずっとこの服着てなきゃいけないんだよね」
雪子「うん。だよね」
陽介「あ~・・・確かにそうなっちまうよな。今濡れてんのは乾かすにしても、どうしても汚れとかボロとか気になってきちまうし・・・」
クマ「閃いたクマ!それなら皆裸で過ごせば良いクマ!」
>-場が静まり返った。
陽介「・・・お前こんな時によくそういうこと言えるよな」
完二「やっぱプーアルだな」
クマ「プーアルはやめて!?」
千枝「・・・ねえ、熊肉って食べられるのかな?」
クマ「ち、千枝ちゃん怖いこと言わないで!?」
千枝「いや・・・そうじゃなくて・・・あ、あれ・・・!」
熊「・・・グルル」
陽介「熊ーーーーッ!?」
クマ「熊クマーーーーー!?」
番長「わかりにくいぞクマ」
>-全員に緊張がはしる。
番長の安定感
熊「・・・」
雪子「ね、ねえ完二君・・・なんかこう、山で熊に出会った時の対処法とか知らないかな?」
完二「し、死んだふりとかよく聞きますけど・・・どうなんスかね?」
直斗「野生の熊には死肉食性があるため、その手段はむしろ危険かと・・・」
千枝「走って、逃げる?」
直斗「・・・成体になった熊の直進スピードは時速50キロを超えるらしいですよ。この熊は一見ヒグマのようにも見えますが、体毛が異常に薄いですし、何よりこのような南の島にヒグマがいるとは考えにくいですから、似たような別種の熊でしょう。しかしヒグマのそれと比較しても遜色ない体格と骨格・・・前述した直進スピードを大きく下回る個体だとは思えませんね」
りせ「き、木に登るとかは?」
直斗「熊はあの巨体にして木登りを非常に得意としています。何より、今はこちらの様子を伺っているようですが、逃げようとする行為それ自体が熊を刺激しかねない・・・!」
>-全員の緊張が色濃くなった。
陽介「ちなみに直斗。なんか妙に詳しそうだけど・・・お前は何か山で熊にあったときの対処法とか、知らないわけ?」
直斗「・・・まあ、山に行かないことですかね。遭遇しないことが何よりの対処法かと・・・」
クマ「もう目の前にいるんですけど」
直斗「いますねえ・・・」
熊「・・・グルル」
ザッ
完二「・・・皆逃げてくれ」
直斗「巽君!?何を!」
完二「こん中じゃ俺が一番ガタイがあんだ。時間ぐれぇ稼いでみせっから、その間に走って逃げろ」
直斗「なっ・・・こんな時に何を馬鹿なことを!」
完二「馬鹿はおめーだ。先輩等やお前等のためなら、てめーの命一つぐらい張ってやらあ!」
直斗「そんな・・・!」
陽介「・・・いや、やっぱ馬鹿はお前だろ完二」
番長「うん」
完二「何言ってんスか先輩等。いつ襲ってくるかわかんないんスから、さっさと逃げて下さい」
千枝「だ、だから花村も馬鹿だっつってんのよ!そんなこと言われてアタシ達が完二君置いて逃げると思ってんの!?」
番長「見損なうな」
完二「せ、先輩等・・・!けどよ、実際どうすんスか?こいつ」
番長「誰か、武器を持っている者はいないか?」
>-・・・・・・
完二「・・・いねーみたいスね」
直斗「あ、あの・・・十徳ナイフなら」
陽介「熊から見りゃオモチャみたいなもんだ。気持ちだけ貰っとくよ」
完二「ナイフっつってもそんだけ小せぇとな・・・」
番長「・・・まあ、マヨナカテレビで鍛えた皆だ。素手でも、肉体派が一斉にかかれば勝てるかもしれないだろ?」
完二「マ、マジで・・・んな無茶なこと考えてんスか?」
番長「少なくとも、お前を置いて逃げるなんて無茶苦茶なことよりは、希望がある」
完二「・・・」
陽介「だな!さて、肉体派っつーと、完二に相棒に俺に・・・」
クマ「クマクマね!クマも一人前のクマとしては、こんなぽっと出の熊なんかに負けられないクマよ!」
陽介「クマクマ言い過ぎてわけわかんねーぞ」
千枝「アタシのことを忘れてもらっちゃー困るね!」
陽介「里中。けどお前は・・・」
千枝「何々?いまさら女だからどう、とか言う気?そんな場合じゃないっしょ!少なくとも、この中じゃ一番良い蹴りもってるはずだけど?」
番長「・・・よし。俺、陽介、里中、完二、クマの五人であたろう」
>-完二が動き、それにあわせて全員が一斉に飛びかかった!
>-総攻撃 カッ
熊「」
>-・・・なんとか熊をしとめたようだ!
りせ「マ・・・マジ?やっちゃっ・・・たの?」
直斗「はは・・・なんて無茶な人達だ」
番長「今に始まったことじゃないだろ?」
直斗「・・・そうですね」
千枝「いやー、やっぱ完二君の裸締めが効いたっしょ!」
完二「それを言ったら里中先輩の蹴りのが凄かったっスよ!」
陽介「いやいや相棒のひじ打ちだろ!」
番長「陽介の金的も、卑劣で良かったと思う」
陽介「卑劣は余計だっつの!」
クマ「ねークマは!?クマのプリチーなパンチが一番凄かったと思うクマ!」
四人「それはない」
>-皆の空気が明るくなったようだ。
雪子「ねえ、なんとかなったのは良いけど、誰も怪我とかしてないよね?動物の爪とかって、菌が物凄いんだよ?」
りせ「・・・ねえ完二、あんた最初にとびかかる時、肩のあたりひっかかれてなかった?」
完二「あ?い、いや・・・こんなんちょっと服切られただけだ」
>-・・・心なしか、完二の顔色が良くない。
直斗「み、見せて下さい!」バッ
完二「お、おい。だから大したことじゃねえって・・・」
直斗「早く上着を脱いで下さい!」
完二「・・・わーったよ」
パサ・・・
りせ「・・・うっ」
番長「りせはもう見ない方が良い」
りせ「うん・・・ありがと先輩」
雪子「結構・・・ううん、かなり深いね」
陽介「お、おい、お前それのどこが大したことないんだよ」
完二「・・・すんません、ドジっちまって」
千枝「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
クマ「ど、どうするクマ!?どうするクマ!?」
番長「落ち着け」
直斗「急いで消毒しなければ・・・だ、誰か、何か消毒が出来そうな物を持っていませんか!」
>-・・・・・・
番長「皆無傷でというのは無理だと思ってはいたが、これは・・・」
直斗「どっ、どうしよう・・・!」
>-直斗をはじめ、完二以外の全員が激しく戸惑っている。
完二「・・・はー・・・直斗、悪ぃけどよ、さっきのナイフ使わしてくんねえか」
直斗「ナ、ナイフですか?」
完二「番長先輩、頼んます」
>-・・・!
直斗「え・・・えっ!?」
番長「・・・抉るんだな?」
完二「ウス」
直斗「そっ、そんな・・・!」
陽介「マジかよ・・・」
完二「傷んとこのばい菌がやべーってんなら、傷口ごと切り取ってもらうしかねーだろ」
りせ「・・・っ!?」
陽介「・・・りせはもう、ちょっとあっち行ってろ。里中、天城、りせを一人にしないでやってくれ」
里中「わ、わかった!」
天城「うん」
番長「・・・傷が深い。当然麻酔も無い。傷の深さは少しだけ骨にも達しているから、少しだが骨も削るぞ・・・発狂しかねないほど痛いはずだ」
完二「俺ぁ馬鹿だからよくわかってねーけど、直斗の顔見てる感じだと、このままほっとくよりゃマシなんでしょ?」
番長「そうだな」
完二「さすがにこんなこと頼めるのは番長先輩ぐらいなんス。頼むぜ」
クマ「完二・・・」
番長「わかった。直斗、ナイフを借りるぞ」
直斗「・・・は・・・はい・・・!」
>-今の"勇気"なら臆さずに、今の"知識"なら切り取るべきところだけ、今の"根気"と"寛容さ"ならやり遂げられるはずだ。
>-十分後、完二は全く声を上げずに処置を受けきった。出血がひどいが、幸い命に影響する程ではないだろう。
>-切り取った物は、少し離れたところに埋めておいた。
完二「あ・・・あざっした・・・!」
>-完二は気を失ったようだ。
直斗「巽君!巽君!!」
>-直斗の顔が真っ青だ。
陽介「・・・落ち着け。気ぃ失っただけだろ」
番長「うん」
陽介「しかしすげぇなこいつ・・・気ぃ失うまで声の一つも上げなかったぜ・・・」
番長「俺達に心配をかけまいとしたんだろう。ちょっと、真似できないな」
陽介「いやいや、俺からしたら顔色ひとつ変えずにやりきったお前もとんでもないけどな・・・」
番長「そうか?」
直斗「・・・みなさん、しばらくあっちを向いていて貰えませんか?」
クマ「あっち?あっちってどういうことクマ?」
番長「良いから、言うとおりにするぞ。陽介もだ」
陽介「お、おう・・・?」
シュル・・・シュル・・・
直斗「も、もういいですよ」
陽介「何だったんだ?」
クマ「あれ?完二の肩、いつのまに包帯なんか巻いてたクマ?」
陽介「包帯?包帯にしちゃやけに幅が広いような」
番長「直斗が包帯なんか持ってたわけないだろ」
陽介「えぇ?じゃあ、あれは一体・・・」
直斗「・・・///」
>-直斗の顔が真っ赤だ。さっきまで真っ青だったはずだが。
番長「直斗の胸元を見てみろ」
陽介「えっ、あれ?なんかやけに膨らみが大きく・・・服の上からでもわかるぐらい・・・!」
直斗「みっ、見ないで下さい!」
番長「膨らんだんじゃない。大きさを抑えていたものが無くなったんだ」
クマ「センセイ、つまりあれは包帯じゃなくて・・・まさか・・・!」
番長「ああ、さらしだ」
陽介「マジ!?」
直斗「ししし仕方ないでしょう!?巽君の傷をそのまま吹きさらしにするわけにはいきませんし、それに、僕の肌に直接触れていた部分ならもうほとんど濡れていなかったんです!」
陽介「ちょ、直接触れていた部分・・・だと・・・!」
クマ「クマー!!クマが怪我すれば良かったクマーッッッッッ!!!!」
番長「馬鹿言ってないで、すぐ皆で集まって話し合おう」
番長「お、おう。いつものことだけど、お前ほんと冷静だなあ・・・」
番長「仕方ない。冷静役の直斗が、今はああだからな」
直斗「巽君としても異性の肌に直接触れていた物を巻かれるのはあまり気分の良いものではないのかもしれませんが、やはり緊急事態であり他に手段がない以上これは致し方なく」ブツブツ・・・
陽介「誰も聞いてないのにめっちゃ言いわけしてるな」
クマ「クマーーーーーーーーッッッッッ!!!!」
>-少し離れて様子を伺っていた三人と合流した。
直斗「まずは火と、清潔な水を何よりも早急に確保しましょう。熊に直接やられた傷こそ・・・も、もうありませんが、それでも出血がひどい。一応縛りつけてからは出血そのものもおさまりましたが、巽君の体を温め、なおかつ十分な水分を摂取してもらわなければなりません。いつ傷口が開くかもわからないですからね」
陽介「ま、俺達自身も飲める水をどうにか見つけなきゃいけないしな」
直斗「ええ。それと、出来ればですが、やはり傷口を洗浄しておきたいです。熊の爪に直接つけられた傷こそありませんが、今日のうちに洗っておくだけでも後々の治りが随分違うはずですから」
千枝「海は見えるし、海水で洗うとか駄目かな?」
直斗「海水は川の水などと比較すると微生物や菌が多く、このような場合の洗浄に適しているとは言えません。それに何より、染みるでしょう?」
千枝「あっ、そっか・・・」
番長「そうだな。最優先は、火と水だ」
陽介「食糧ならさっきの熊肉があるし、焼けばなんとか食えないことはないだろ」
番長「小さいが蛇もあるぞ。熊のほうは、出来れば早いうちに全部裁いて干し肉にしておきたいな」
直斗「ええ、ですが、さすがにあの熊をまるごと僕の十徳ナイフで捌くのは現実的ではありませんね。硬度の高い石や鉱物などを、鋭利な形に加工したものも欲しいです」
陽介「そのあとは、雨風しのげる拠点だな」
直斗「はい」
りせ「・・・マジでサバイバルって感じになってきたね」
雪子「うん。わくわくしてきたね!」
千枝「マジ?さすが雪子・・・」
りせ「私もうびびりまくりだよ・・・」
千枝「同じく・・・」
クマ「心配しないで二人とも!クマがいるから大丈夫クマ!」
りせ「・・・・・・けど、どうしよっか。雨風しのぐってなると、やっぱり洞窟か何かを見つけなきゃだよね?」
クマ「スルー!?」
番長「うん。でも、とにかくまずは火を確保して、この周囲によく焚いておくようにしよう。さっきの熊のように、危険な動物が他にもいるかもしれない」
直斗「僕も同意権です。火をしっかり焚き続けるだけでも、野生動物の危険は格段に減ると思います」
陽介「じゃ、そのあとはわかれて水と洞窟探しってとこか?」
番長「そうだな。とりあえず、動ける皆で手分けして乾いた枝とか乾いた木の棒とか葉っぱを急いで集めてくれ。ただ、最低でも二人以上で行動すること。危険を感じたら、大声を上げながらすぐにここに戻って集まることだ」
陽介「わかった」
出だしからは考えられないくらい真面目な話になっている……
番長「よし、りせ、クマ、一緒にそのへんを回ろう」
りせ「はい」
クマ「任せるクマ!」
直斗「あ、あの・・・先輩」
番長「直斗は、出来れば完二についていてやってくれないか?目を覚ますかもしれない。それと、もちろん何かあったらすぐに大声をあげてくれ」
直斗「はい!」
陽介「じゃ、俺らは三人でそのへん行ってくるか」
千枝「うん」
雪子「わかった」
番長「気をつけろよ陽介」
陽介「わかってる!そっちもな相棒」
>-十数分後。
陽介「そこそこ集まったな」
千枝「けど、どうすんの?これで火起こせるの?
番長「今集めたものは、火の維持に使うんだ」
>-程よい長さのまっすぐな枝を二本と、丈夫な根、乾いた板、枯れ葉、そしてさっき拾っておいた弾性に富む丈夫な蔦を組み合わせた。
>-今の"知識"と"根気"なら、火を起こせるだろう。
雪子「おー・・・なんかそれっぽい道具になった」
番長「少し待っててくれ。なんとかなる気がする」
陽介「マ、マジ?」
ガッシガッシ
>-一分後。
ボッ
陽介「す、すげー!マジかよ!」
直斗「摩擦熱ですか・・・あっ、火を絶やさないように!」
番長「うん」
ゴオオオオ・・・・・・
千枝「おー・・・!」
クマ「火だクマ・・・」
りせ「・・・な、なんか力抜けてきちゃった」
>-皆、火のついたことに安心したようだ。今は昼間で、いるところはかなり開けているとはいえ、草木が生い茂っているところに入ると少し薄暗いから、無理もないだろう。
陽介「なんか安心したら急に催して来た。ちょ、ちょっと小便してくるわ」
クマ「クマも着いてくクマ。最低二人以上で行動しろってセンセイが行ってたクマよ」
陽介「そうだな。頼む」
番長「・・・」
千枝「なんか花村っていつもあんなだね」
番長「・・・まあ、生理現象だから」
雪子「ちょ、ちょっと待って・・・これってひとごとじゃないよ。今は良くても、私達だってそのうち・・・!」
りせ「・・・あっ」
直斗「!」
千枝「ハッ」
番長「・・・その時は・・・そのへんでやるしかないな・・・」
>-・・・問題は特に大の場合だろう。
直斗「と、とりあえず、一刻も早く水を確保しましょう」
雪子「うん!」
りせ「もう最悪・・・!」
千枝「考えたくなかったな~・・・」
>-せっかく火で取り戻した皆の元気が、一気に失われてしまった。
>-今まで培ってきた最高の"知識"、"伝達力"、"根気"、"勇気"、"寛容さ"を以ってしても、この暗い空気を打破する方法は考え付かない・・・
完二「ん・・・?」
>-完二が目を覚ました。
直斗「た、巽君!!」
完二「お、おお・・・?何泣いてんだお前・・・?」
直斗「なっ、泣いてません!///」
千枝「良かったー・・・!」
雪子「そうだね」
りせ「・・・」ブルブル
完二「・・・あー、そうか・・・俺ぁ・・・」
>-完二が、さらしを巻いてある右肩に左手をあてている。寝起きで少し混乱していた記憶が一気にはっきりとしたのだろう。
りせ「バ完二ぃっ!遅い!起きるの遅いのよ!」
完二「んだよいきなり」
りせ「何それ!?いきなりって何よ!こっちが一体どんだけ心配したと思ってんのよ!いきなり一人で残るとか言い出すし!なんとかなったと思ったら凄い怪我してるし!ちょっと離れてる間に気絶してるし!血はいっぱいだし!」
はぁ・・・はぁ・・・
>-りせは肩で息をしている。一気にまくしたてて息が切れたようだ。
完二「わ、悪かった・・・」
りせ「・・・良かった~~~!!」グス
完二「お、おい泣くなよ」
りせ「泣いてない!」
完二「あぁ・・・?」
りせ「泣いでない!」グス
>-りせの目じり一杯に涙がたまっている。
完二「・・・わかったよ。泣いてねえな」
りせ「ふん!」グスグス
陽介「おっ、完二起きたか!」
完二「うっす」
クマ「おぉ完二、ちょっとだけ心配してやってたクマよ~」
完二「んだそりゃちょっとだけかよ」
>-皆に明るい空気が戻った。
番長「今起きてくれて本当に良かった」ガシッ
完二「な、何スか先輩まで。ちょっと大袈裟スよ」
番長「今起きてくれて本当に良かった・・・!」
完二「ウ、ウス・・・」
完二「??」
完二「・・・けど、番長先輩にはマジで嫌なことやらせちまって・・・」
番長「そんなことはもう良い。今起きてくれて本当に良かった・・・!」
完二「ウ、ウス・・・」
完二「??」
今でなかったらここまで喜ばなかった事を考えると草を生やさざるをえない
完二かわいそう
直斗「・・・さて、巽君。君には言っておかなければならないことがあります」
りせ「そうだぞバ完二・・・!」
>-二人から恐ろしい気迫を感じる。
>-・・・そっとしておこう。
直斗「いかに皆さんのためとはいえ、ご自分を犠牲にしようなんてことはもう二度と言わないで下さい」
完二「・・・」
りせ「あんたに何かあったらわた・・・皆がどう思うか、わかんないあんたじゃないでしょ!?」
完二「・・・おう・・・俺一人で残るなんて言いながら、結局先輩等に頼っちまったし、てめでドジって怪我して皆に迷惑かけちまうし・・・」
直斗「そ、それは別に」
完二「はは・・・なんかいいとこねえなあ俺ぁ。悪かった。もう勝手なことはしねえよ」
りせ「わかればいいけど・・・」
直斗「いっ、いいとこないなんてそんなことはありません!」
完二「ん、んだよ急に・・・つーか顔近ぇ・・・///」
直斗「さ、さっきはその・・・かっこ・・・よかった・・・ですし・・・!」
完二「な、直斗・・・?///」
陽介「なんだこれ?つり橋効果って奴か?」
番長「客観的に見ても、完二は普通に凄かったと思うぞ」
陽介「それもそうか」
番長「直斗、そのへんにしておけ。また完二が気絶するぞ」
直斗「え、えぇ・・・?は、はい」
番長「必ず全員で生きて帰ろう。完二、それはお前だって例外じゃないからな?」
完二「・・・はい」
千枝「はーあ、先輩のあたし達が言わなきゃいけないようなこと、二人に全部言われちゃったなー」
直斗「あっ・・・すいません・・・!」
千枝「いやいや違うって。後輩が頼もしくて嬉しいってこと」ナデナデ
直斗「///」
雪子「そうだね」
完二「・・・つーか、包帯なんかよくありましたね。けっこうしっかり固定してんなぁ」
番長「ああ、それは」
直斗「せっ、先輩!待ってください!///」
番長「・・・」
完二「あっ、わかったぜ。番長先輩が持ち歩いてたんスね?やっぱそういうとこ、抜け目ないっスからね」
クマ「それは包帯じゃないクマよ~完二」
完二「あん?包帯じゃねえだ?そういや、やけに太いような・・・」
直斗「クマ君!」
りせ「な~んか怪しいと思ってたら、やっぱりそれさらしだったんだ?」
直斗「っ!///」
完二「はぁ?さらし?んなもんが一体どこにあっ・・・」
直斗「・・・・・・・・・///」
完二「えっ、あ・・・さ、さらしって・・・まさか」
直斗「ちっ、違うんです!他に手がなかったし、さらしの内側部分だけならあまり濡れていなかったし・・・変な他意はありませんから!///」
りせ「えぇ~?変な他意って何~?」ニヤニヤ
直斗「久慈川さん!!だから違うんです!///」
完二「」
番長「・・・逝ったか」
直斗「巽君!?巽君!」
陽介「大丈夫だ直斗。今度のは幸せな気絶だから、すぐ起きるよ」
番長「そうだな」
直斗「えぇ・・・???」
りせ「ちょっとかっこいいとか思っちゃった私が馬鹿みたい・・・!」
雪子「ホントにね」
千枝「幸せな気絶ってなんだよ」
>-数分後
番長「じゃあ、俺と陽介は歩き回って見ずばを探すから、他の皆はさっきまでみたいに火を維持できるものをかき集めておいてくれ」
陽介「完二はあんま無理すんなよ?つーかあんま動かないほうがいんじゃねーか?」
完二「大丈夫っス!右肩は痛ぇし全然力入んねえスけど、左は無事だ。これ以上迷惑かけらんねえ」
直斗「・・・」
番長「守って欲しいのは二つ、最低二人以上で行動すること、火を焚いているここからあまり離れないことだ」
千枝「おっけー」
クマ「ヨースケー。センセイにあんまり迷惑かけないようにしろクマよ~」
陽介「うるせ~よクマ。お前もこんな時にあんまはしゃいでんじゃないぞ~」
>-しばらく草木をかきわけていくと、少し開けたところに出た。
陽介「ここは陽が差しこんでるんだな」
番長「・・・少し、音を聞いてみる」
陽介「音?」
番長「静かに」
陽介「お、おお」
>-鍛え上げた"根気"で、自然の音を聞き続けた。
>-風の通る音や草木がざわめく音に混じって、かすかに水が流れる音が聞こえる。
番長「・・・こっちだ」
>-・・・広い川があった!
陽介「す、すげーな!」
番長「・・・」
>-川の水はかなり透き通っている。
陽介「こんなに深いのに、底が透けて見える・・・これって物凄く綺麗な水なんじゃねーか!?」
番長「ああ」
>-川の水は冷たい。
>-思わず手ですくって口に運ぶと、まるで新鮮な空気のようにすんなり喉を通っていった!
>-高めの気温で火照った体が癒される。
陽介「・・・んぐっ・・・んぐっ・・・ぷは!早く皆に知らせようぜ!」
番長「うん。その前に少し汲んで行こう。早く完二に飲ませたい」
陽介「だな!って、そうは言っても俺達水を入れとけるような物なんか持ってなくね?」
番長「大丈夫だ」
>-しなる葉っぱを組み合わせて、たくさんの曲がった枝で芯を通して固定した。
>-あふれ出る"知識"と"根気"が、複雑で高度な作業を成し遂げる・・・!
>-植物のどんぶりを作成した。
陽介「うわ・・・器用だな。つーか火起こしたりこんなもん作ったり、もしかしてこういうサバイバル経験有り?」
番長「無い。即興だ」
陽介「えぇ、マジかよ!?凄ぇな・・・!」
>-植物のどんぶりを丁寧に洗い流した後、水を汲んだ。
番長「一旦戻ろう」
陽介「おう!」
>-皆と合流した。
陽介「広い川があったぜ。水も透き通ってて凄く綺麗そうだった」
千枝「やったじゃん!行きたい!」
クマ「クマも!」
りせ「アタシももう喉からからだよ~」
>-皆我慢して口には出さなかったようだが、やはり水を飲みたがっていたようだ。
番長「完二、少し汲んできたから飲んでくれ」
完二「ええ?俺なんかより、先輩等や、直斗やりせにやって下さいよ」
番長「怪我をして、気を失ってまで応急処置を受けて、この中で一番肉体的に消耗しているのは完二のはずだ。痛みを感じることは、思っている以上に体力を使うんだぞ」
>-逆に、精神的な消耗が大きいのはおそらく千枝かりせだろう・・・
完二「け、けどよ」
番長「じゃあこうしよう。いずれにせよ誰かがここに残って火の番をする必要があるから、最初は完二と俺が残ろう。陽介が他の皆を川に案内してくれ」
陽介「わかった」
番長「川までは片道10分ぐらいかかる。皆が戻ってくるまでに俺は水を入れられるものを作っておくから、皆が戻ってきたらまた何人かで水を汲みに行こう。それで、その時はあらためて完二も川に連れて行く」
直斗「・・・なるほど」
番長「おそらく今日はあと二時間ぐらいで陽が沈み始めるだろうから、この一帯で寝るしかないと思う。幸い天気は良いから、今日の内は雨の心配は無い。周囲に火を焚き続けて、交互に火番をたてて睡眠をとるのが良いと思う」
直斗「それについては同感です」
雪子「うん。けど、水を汲んでこられるもの、一応もう作ってあるんだ」
陽介「もうって、俺と相棒が行って帰ってくるまでの間にか?」
クマ「そうクマ、クマが一番頑張ったクマよ!」
千枝「いや、完二君でしょ」
番長「・・・どういうことだ?」
完二「へへ、これっス」
番長「木?」
>-ところどころ歪だが、大き目の木片に窪みを削ったような跡がある。
>-これならバケツ一杯分ぐらいの水なら十分に汲んでおけるだろう。
番長「どうやってこれを?」
完二「太ぇけど短い木を皆で引っこ抜いて、その後はクマが真ん中らへんを折ってから、俺が中身をくりぬいたんスよ」
クマ「木を倒す時もクマが一番頑張ったクマよ!」
完二「そうだな。まあ、直斗の思いつきなんスけどね。まだ折ってきた木は残ってるんで。こういうのをいくつか作れますよ」
直斗「巽君を歩き回らせるわけにもいかないと思い、何か座ったまま出来る作業はないかと考えたところ、やはり水源が見つかった際にそこから水を汲んでこられるものが必要かと思いまして」
陽介「そ、そうか。しかし木を引っこ抜くとか、直斗の発案にしちゃやけに力技だな」
直斗「皆でやればなんとかなると思ったんです」
陽介「なるほどな。けどこれ、まさか直斗のナイフで削っていったのか?」
番長「・・・いや、木を倒したり、この大きさに折ったりする作業も考えると、あの短時間でここまで削ることは無理だと思うぞ。あのナイフでは小さいし、何より強度が足りない。この木はけっこう硬いからな」
直斗「ええ、これは巽君の発案なのですが・・・」
完二「これっス」
>-細長い石の先に、何かの根や蔦で鋭利なものが巻きつけられている。
陽介「おお、こんなもんも作ったわけね。器用だな完二」
完二「まあ、手先の器用さにゃ自信ありますからね!」
>-完二は誇らしげだ。
陽介「けどこれ・・・何だ?さきっぽについてる奴」
番長「・・・さっきの熊の爪か?」
完二「そっス。それなら木ぐらい簡単に削れそうだったんで」
陽介「なるほど。考えたもんだな」
番長「・・・よし、じゃあ陽介はこの木のバケツに水を汲んできてくれ」
陽介「おう!」
番長「やっぱり完二は水を飲んでから少し体を休めたほうが良いと思う。まずは俺と完二が残るから、他のみんなで川に向かってくれ」
千枝「はいよ」
番長「川に行く皆も火を持っていったほうが良い。長めの棒がなにかに水を移して持ち運んでくれ」
雪子「じゃあ、火は私が持っとくね」
番長「・・・そういうことだ完二。だからこれはお前が飲んでくれ」
完二「ウ、ウス」
直斗「あ、あの・・・先輩」
番長「どうした?」
直斗「僕も一緒にここに残っても良いでしょうか?その、巽君は怪我をしていますし・・・」
番長「わかった。三人で残ろう」
陽介「じゃあ、俺達はさっきの川に行ってくるわ」
番長「ああ。頼んだぞ」
陽介「任しとけって」
>-一分後
番長「・・・どうにか一息つけそうだな」
直斗「ですね。まだやらなければならないことは多いですか、今日はここで夜を明かすしかないでしょう」
番長「そうだな。陽が沈んでからの探索はリスクが大きすぎる」
ゴク・・・ゴク・・・
完二「・・・」
番長「・・・どうした?」
完二「直斗、お前も半分飲んでくれ」
直斗「・・・え?いえ、そんな、良いですよ。巽君が全部飲んで下さい」
完二「遠慮すんなよな。お前だって喉渇いてるに決まってんだろ」
直斗「そ、それは・・・」ゴク
完二「ほら、な?」
直斗「は、はい・・・」
>-・・・・・・
直斗「・・・ゴク」
番長「・・・間接キスだな」
直斗「っ!!!」
完二「・・・こんな時に何言ってんスか」
直斗「・・・!」
>-水を噴き出すわけにはいかないと必死で堪えた直斗が凄まじい目つきで睨んでくる。
>-・・・そっとしておこう。
完二「あっ、いや違ぇぞ直斗!?俺はそんなつもりじゃなくて、お前が喉渇いてるだろと思って!」
直斗「だ、大丈夫です・・・わかってますから///」
完二「な、ならいいけどよ」
>-・・・菜々子に会いたい。
完二「・・・先輩だけに話してぇと思ってた話があるんスけど、ま、直斗なら良いか」
番長「なんだ?」
完二「先輩、俺悔しいんス」
番長「悔しい?」
完二「普段皆に色々教えて貰ってばっかのよ、体力バカの俺が皆の役に立てるのなんてこんな非常時ぐれぇじゃねえスか」
直斗「・・・」
完二「なのにいきなり怪我してよ、むしろ皆の足引っ張っちまって・・・」
番長「完二・・・」
完二「りせの気持ちにもかなり負担かけちまってたでしょ?あいつは口ではああ言ってたけど、内心一番きついのは心ってやつが一番・・・なんつーかこう」
番長「繊細、か?」
完二「ああ、それっスね。そう、一番繊細なあいつが、皆の中で一番きつくなっちまってるはずだ」
>-・・・気付いていたのか。
完二「こんな時こそ体張ってなきゃいけねぇ俺が、りせにまで負担かけて、何やってんだって・・・!」
直斗「巽君・・・」
完二「直斗にもだ。今だって俺が危なっかしくてここに残ってくれてんだろ?ほんとは皆と一緒に川に行きたかったはずだ」
直斗「危なっかしい・・・か。それも確かにありますが、それだけじゃないですよ」
完二「え?」
直斗「熊と戦った時、巽君は真っ先に飛び出していきましたよね」
完二「・・・」
直斗「体張らなきゃって、一番体の大きな自分が一番体張らなきゃって、そういう気持ち、小柄な僕には実感は出来ませんが、巽君の気持ちになって想像することは出来ます」
>-さて、俺は木のバケツを作ろう。
直斗「巽君は、皆さんを守りたいという気持ちを、あの時自分の体のことよりずっと優先していたんです。もしかしたら巽君が真っ先に飛び出して行かなければ、巽君は怪我をすることがなかったのかもしれない」
完二「・・・ああ」
直斗「確かにそういうところが、凄く危なっかしいと感じます。先ほど久慈川さんと僕が巽君に釘を刺したのは、きっと久慈川さんも僕と同じようなことを考えていたからでしょう」
完二「・・・だよな」
直斗「先輩達も、そう思っていたはずです。体が大きいからこそ、力が強いからこそ、自分が傷ついてでも皆を守りたい。巽君のそういうところが、危なっかしいと」
>-なかなか難しい。力の加減を間違って角を削ってしまえば台無しになるかもしれない。
直斗「ですが、だからこそ僕は、そういう巽君のことを誇らしいとも思えるのです」
完二「・・・?」
直斗「確かに巽君が真っ先に飛び出さなければ、巽君は怪我をしなかったかもしれない。ですが、もしかしたらその時は他の誰かがもっと大きな怪我をしていたかもしれないんです」
>-木と、削るための熊の爪の強度をすぐに理解する"知識"は十分のようだ!
直斗「もちろんそれは過程の話にすぎませんが、本心から、誰かのために自分の体を張ろうと思っていても、それを実際に行動に移すこと。例え自分の命を張ってでも誰かのために体を動かすというのは、本当にとても難しいことなんです」
>-絶妙な力加減を維持する"根気"も十分のようだ!
さすがオカン
完二「・・・」
直斗「普段皆さんにお世話になっているという思いがあるからこそ、そして本当に皆さん全員のことを大切に思っているからこそ、出来ることでしょう」
完二「直斗・・・」
直斗「そんなふうに、僕の、僕達皆のことを思うことが出来て、体を張ることが出来る巽君のことを、僕は誇らしいとも思えるんですよ」
>-木のバケツが出来た。
直斗「・・・た、ただ、危なっかしいと思っているというところも事実ですからね?///」
完二「ああ」
直斗「とはいえ、巽君も、自分の体が傷つくことで皆さんの心はもっと傷ついてしまうということがわかったでしょうし、もうあまり心配はしていませんが」
完二「・・・はは、りせの説教は効いたぜ」
直斗「・・・ですよね。だから、皆が皆の出来ることをやるだけで良いんだと思います」
>-完二が作ったものより更に歪になってしまった。後で木を削る時のコツを聞いておこう。
直斗「誰も無理なんかしなくて良いんです。皆さんそれぞれが、何か出来ることを持っている。そして僕達はそれを共有しあえる。だから、こんな時でも生き抜いていけるはずですから」
完二「ああ」
直斗「力仕事はもう難しいかもしれませんが、巽君の器用さは今後のサバイバル生活できっと重要な役割を持ちます。さっきのバケツ作りは、巽君自身が自分がやるべきことを何も出来ていないという後悔を持っているだろうと、無理して作っているところを見守らせて頂きましたが、今日はもう休んで下さい。それが今、巽君に出来ることです」
完二「・・・ありがとよ。直斗。なんかすっきりしたぜ」
スレタイからのこの展開を誰が予想出来ようか支援
番長「話は終わったか?」
直斗「・・・あっ!す、すみません先輩!先輩がいながら、先走ってこのように偉そうなことを・・・巽君も元はといえば先輩に相談していたというのに・・・!」
番長「いや、今完二を元気付けることが、さっきお前が言っていた、お前に出来ることなんだと思う」
直斗「先輩・・・」
番長「俺の言いたいことはほとんど直斗がそのまま言ってくれた。俺から今の話に付け足すことは一つだな」
完二「一つ・・・スか?」
番長「ああ。完二、さっき目を覚ました時のことを覚えているか?」
完二「そりゃまあ・・・いきなり、りせがあんな大声上げて、直斗とりせに説教食らって凄ぇ後悔して・・・」
番長「あの時な、お前が目を覚ましたという事実だけで、皆が凄く明るくなったんだ」
完二「え、えぇ?」
番長「それも、お前がやってくれたことの一つなんだ。だからお前は、自分は何もしていないなんて思っちゃ駄目だ」
完二「自分は何もしていないなんて・・・思っちゃ駄目?」
番長「・・・お前が元気ってだけで、皆は明るくなる。皆の気持ちを明るくするっていうのも、お前が出来る大事なことなんだ」
完二「あぁ、そういうことスね」
番長「さっき自分でも、りせの気持ちのことについて言っていたな?」
完二「ウス」
番長「だからお前も十分にわかっているだろうが、物を作ったとか、水や火や食糧を得たとか、そういうことは確かにこの極限状態で凄く重要な成すべきことだ」
完二「はい」
番長「でも、極限状態だからこそ、皆の気持ちの問題というのは無視できない。むしろ今後どんどんそっちも重要になってくるだろう。お前は今日、目を覚ました。そして皆の気持ちを明るくした。それだけのことでも、皆にとっては凄く大事で有難いことだったんだ」
完二「先輩・・・」
番長「今日はよく頑張ってくれたな完二。後で川に行ったらちゃんと傷口を洗ってやろう」
完二「あ、ウス。お願いします」
番長「直斗も、今日はよく歩いてよく喋ってよく考えて疲れただろ?それに、完二の応急処置の現場を見ていたのも女性ではお前だけだ・・・今日は早く寝ると良い」
直斗「は、はい」
番長「おっと・・・端に置いてある火種が尽きそうだから、ちょっと足してくる」
直斗「あ、はい」
完二「・・・やっぱ先輩って凄ぇよなあ」
直斗「・・・はい。でも、巽君だって凄いですよ」
完二「・・・お前もな」
直斗「・・・はい」
>-今日一晩なら、今現在拾ってきてある火種で十分に火が維持できそうだが、一応後でもう少し拾ってきたほうが良いかも知れない。
直斗「・・・・・・!///」
完二「ん?どうした?」
直斗「いえ・・・あの・・・」
完二「?」
直斗「お、お花を摘みに・・・行きたいのですが・・・///」
完二「花・・・あ・・・ああ///」
番長「完二、悪いが着いて行ってやってくれ。俺はもう少し周囲の火を強くしておく」
完二「え、えぇ!?でも、あの」
直斗「お・・・お願いします///」
完二「・・・わかった・・・///」
>-夜のことを考えると現状の火の強さでは少し不足かもしれない。やはり後でもう少し火種を拾って来よう。
完二「と、当然だけど・・・見ねぇから、大丈夫だぞ///」
直斗「は、はい・・・///」
完二「あ、と、音!音も聞かねぇから、耳塞いでっから!」
直斗「し、しかし巽君は右肩を上げたら痛いのでは・・・///」
完二「そんな場合じゃねえ!///」
直斗「は、はい・・・お願いします・・・///」
完二「・・・・・・・・・・///」
直斗「・・・・・・・・・・///」
完二「(・・・長ぇ。いや、長く感じるだけか)」
直斗「終わりました。その、ありがとうございます///」
完二「お、おう。じゃあ戻ろうぜ///」
>-思った通り、この熊の爪の道具なら、かなり力はいるが、十分に熊の肉を捌くことが出来るようだ。
完二「戻りました///」
直斗「・・・///」
番長「・・・おかえり」
>-戻ってきた二人の表情を見て、人員をわけての行動において、出来るだけ男二人以上女二人以上の四人以上でペアになったほうが良さそうだということが解かった。分けるとすれば現在男4女4だから、それぞれ2ずつの四人二部隊というわけだ。これは今後のための極めて重要な教訓になる。しかし凄く気まずそうだ。
>-しばらくすると陽介達が戻ってきたので、入れ替わるように三人で川にむかった。
>-直斗は火を、俺は新しく作った木のバケツを持っている。
>-川につくと一旦火種を地面につきたて、二人がかりで完二の傷口を洗った。
完二「・・・・・・」
番長「完二、痛いときは声をあげたほうが良い。少しは気が紛れるかもしれない」
>-骨まで削られたような傷の痛みが、数時間程度でおさまるはずがない。
>-太めの動脈などが傷ついていなかったのが幸いしたが、血管もいくつも損傷しているのだ。幸い、出血自体は俺と直斗の適切な処置でどうにか止められたが。
直斗「痛い・・・ですか?巽君」
完二「いや、大丈夫だ」
>-そんなはずはない。
番長「・・・応急処置の時も思ったが、お前は我慢しすぎだぞ」
完二「・・・俺が声を上げりゃ、俺は多少は気が紛れるかもしれねえスけど、それを聞いた奴等はどう思います?」
番長「俺達のことなら気にするな。まあ、確かにあの時は多少離れていたとはいえ里中やりせが聞いていただろうが・・・」
完二「いや、俺がびびっちまうんスよ」
番長「・・・お前が?」
完二「はい。自分が痛ぇのは我慢出来ます。声の一つや二つおさえんのなんて簡単だ。でも俺が声上げて、それ聞いた人たちの気持ちをまたどうにかすんのは俺にゃ出来ねえ」
番長「・・・」
完二「だから、俺は自分のために痛くても黙ってるんス。ま、痛ぇのは慣れてますしね」
番長「そうか・・・」
>-そこまで考えているなら、無理に声を上げさせることもないだろう。
番長「よし、傷回りで洗えるところは洗ったな。俺はもう少し下流でさらしを一旦洗ってくるから、二人はバケツを洗ってから水を汲んで待っててくれ」
完二「ウス」
直斗「はい」
>-・・・・・・
直斗「先輩は納得したようですが・・・」
完二「ん?」
直斗「僕は納得していません。痛い時は声を上げてもいいんじゃないかと思ってしまいます」
完二「あー・・・まあな」
直斗「まあなって・・・」
完二「先輩にゃああ言ったが、流石に俺も気ぃ失うぐれぇ痛い思いしちまうとちょっとな。我慢しすぎるのも良くねぇかもって思ったりもするさ」
直斗「・・・巽君が気を失った時、僕は内心凄く取り乱していました」
完二「お前が?」
直斗「見知らぬ人の死体や血、もっとグロテスクな光景なんて、探偵業で見慣れています。でも、それでもやはり、親しい人のそういう姿というものを見ると、精神的にかなりくるものがありまして」
完二「そうか・・・」
直斗「お恥ずかしい話です。あの時僕の頭の中は、混乱と恐怖で一杯だったんです」
完二「恥ずかしいこっちゃねえよ。つーか悪ぃな・・・お前は結構そういうのに免疫あると思ってたから・・・さっきも傷口洗って貰っちまったし」
直斗「いえ、それでも久慈川さん達よりは平気なのは事実ですし、洗っていたときは、巽君が気を失った時のような辛さは全くありませんでした」
完二「え?」
直斗「きっと巽君の意識がはっきりしていて、気持ちの上では元気だったから平気だったんだと思います。あの時はむしろ、視認出来ていた情報よりも、むしろ巽君の気絶こそが僕の混乱の原因だったのかもしれません」
完二「・・・」
直斗「だからもう、気絶なんてしないで下さいね?」
完二「・・・///」
直斗「・・・巽君?聞いてます?」
完二「あっ、ああ聞いてるよ!悪かったって!」
完二「(・・・何か今ヤバかった・・・///)」
番長「・・・」
完二「・・・みっ、見てたんスか番長先輩・・・!」
直斗「?」
番長「・・・」
>-・・・菜々子に会いたい。
初日:日中編は終わりです。
何日か書き溜めてからまた続きをやります。
反応してくれた方への返はこのレスだけでさせて頂きます。
>>4 なんでしょうね・・・
>>8 あの時のピッコロさんかっこいいと思います
>>9 僕も11歳の時まで本気でかめはめ波の練習をしていました
>>11 銀魂でも銀さんがやっていましたね
>>15 番長のキャラはアニメで固まった気がしますね
>>25 かめはめ波の練習を本気でするアホな番長をやりたかっただけなんですけど、なんかこうなっちゃったんで続けてみます
>>29 番長はなんだかんだで逆境には強くない気がしますね
>>30 何も先の展開考えてなかったので完二が何故か怪我をすることに・・・個人的に完二はP4で一番好きなキャラです
>>40 この番長は事件解決後の次の夏休みの番長なので最強の番長です。ちなみにマリーがいたら一瞬で無人島問題なんて解決しちゃいそうなのでP4GではなくP4基軸になってます
>>42 スレタイ詐欺みたいになって大変申し訳ない。支援ありがとうございます
乙
完二と直斗がいい雰囲気だな
そういえば番長は誰と付き合って……まさか菜々子!?
P3でこんなことになったら……
真田さんが一人でクマ殺れそうだけどめちゃくちゃ空気悪そう
荒廃組が信頼で結ばれてる感じが良いね
更新します。反応への返は最後のレスでやりますね。
>-陽が沈んできた。
番長「18時ごろには皆で食事をとったから、睡眠は20時からにしようと思う」
千枝「なんかずいぶん早いね。寝付けるかな?」
雪子「今日は皆凄く疲れてるから、大丈夫じゃないかな。陽ももう沈んできてるし」
りせ「だねー・・・」
クマ「クマー・・・」
>-りせとクマはもう眠たそうだ・・・
番長「ただ、三人ずつ交代で起きて火の番をしてもらう」
陽介「三人ずつ・・・か」
番長「ああ。見張りのシフトを発表するから、何かあったら今のうちに言っておいてくれ」
20:00~21:00
番長、陽介、クマ
21:00~22:00
番長、千枝、クマ
22:00~23:00
りせ、千枝、雪子
23:00~24:00
りせ、完二、雪子
24:00~翌01:00
直斗、完二、陽介
01:00~02:00
直斗、番長、陽介
02:00~03:00
千枝、番長、クマ
03:00~04:00
千枝、雪子、クマ
04:00~05:00
完二、雪子、りせ
05:00~06:00
完二、直斗、りせ
06:00~07:00
番長、直斗、陽介
07:00~08:00
番長、クマ、陽介
完二「へぇ~。二時間ずつぐらいで入れ替わって見張るわけっスね」
番長「そうだ」
陽介「(俺と相棒がかぶってないのは俺、直斗、完二の一時間だけか・・・)」
番長「睡眠には内臓を休めるという重要な役割があるから、皆が6時間以上の睡眠時間を確保できるように考えたつもりだ」
直斗「(なるほど・・・怪我をしている巽君と女性陣の皆さんが8時間、クマ君と花村先輩は7時間休めるようになっている。しかし、これでは集団の中心である肝心要の番長先輩が6時間しか休めない)」
陽介「(なんとかこれを変える名目が欲しい・・・けど、例え相棒にもっと休んで欲しいと言って相棒と代わっても、相棒と俺がかぶってないのは俺、里中、クマの1時間が2回。それじゃ意味ねえ・・・)」
クマ「これじゃークマが7時間しか寝られないクマね。クマはいっつも8時間は寝てるから辛そうクマ~」
完二「じゃあ、俺と代えて貰うか?」
クマ「クマは怪我人を休ませないほど酷い奴じゃないクマ」
完二「そ、そうか」
雪子「じゃあ、私と代わろう?」
クマ「ユキちゃんと?」
雪子「うん。私普段から一日6時間ぐらいしか寝ないから大丈夫だよ」
クマ「・・・ほんとクマか?じゃあお願いしちゃうクマよ?」
雪子「うん。えっと、いい・・・よね?番長君」
番長「あ・・・ああ。いいんじゃないか?」
陽介「(待てよ。クマと天城が・・・?ってことは、これならベストじゃないか・・・?)」
陽介「・・・相棒、お前も俺と代わってくれ」
番長「・・・どうしてだ?」
陽介「しれっとしてるけど、これじゃお前だけ休める時間が皆より短いのはわかってんだぞ?空いてる時間は6時間っつったって、そんなすぐ寝たり起きたり出来るわけないんだから、実際に休める時間はもっと短いはずだ」
>-・・・・・・
陽介「確かに今日一番疲れたのは完二だろうけど、その次に疲れてるのはどう考えてもお前だぞ?なんでもかんでもやって、皆に気配って仕切ってくれてさ。俺はお前にはもっと休んで欲しい・・・多分、皆もそう思ってる」
雪子「うん」
りせ「先輩・・・」
クマ「センセイ・・・」
>-皆から心配されているようだ・・・
陽介「俺のことなら、寝起きも寝付きもいいから心配いらないぜ。だから頼む、代わってくれ」
番長「・・・わかった。ありがとう」
>-20:00~21:00
>-陽介、番長、雪子
雪子「皆、すぐ眠っちゃったね」
陽介「無理もないだろ。むしろ、寝付けるだけ良かったさ」
番長「そうだな・・・・・・二人とも、今日はありがとう」
陽介「どしたよ急に改まって」
番長「二人には・・・特に天城には、里中やりせの気持ち的なところをかなり受け持って貰っていた気がする」
雪子「・・・気付いてたんだ」
番長「ああ。りせはもちろん、里中も普段は野生の女だとか肉食獣だとか言われてはいるが、精神面にはまだまだか弱いところがあるからな」
雪子「うん・・・」
番長「今のような、本当の意味で剥き出しの野生というものには耐性も無いだろう」
陽介「だな。あいつは確かに普段ガサツっぽいけど、お化けとか虫とかそういうの嫌がったり、中身は意外と普通の女の子してんだ」
雪子「・・・へー」
陽介「な、なんだよ?」
雪子「よく見てるね花村君」
番長「よく見てるな」
陽介「あ、あほかお前等こんなときに・・・///」
番長「・・・話を戻すけど、服も着替えられないし布団もベッドもない。シャワーの一つも浴びることが出来ないし、まともなトイレすら無い。それに、飲み食いだけをとっても凄い苦労が伴う」
陽介「・・・ああ」
番長「今まで当然のように保障されていたいろんなことが、急に何もかも無くなったんだ。皆出来るだけ表には出さないようにしてくれているが、そのことへのショックという意味で精神的な負担を感じているのは、何も里中やりせだけじゃない。少なからず全員がそうだ」
雪子「・・・そうだね」
番長「けど、皆の中でそういう喪失感を最も大きく感じているのは、里中とりせの二人だと思う」
雪子「私もそんな気がする・・・」
番長「クマはクマだし、直斗はここまでではなくても仕事柄似たような環境に身を置いた経験があるみたいだ。完二は肉体的に皆より融通が効く状況が多いし、何よりも今言った三人は、今この状況に対して皆のために精神的な面でも頑張ろうという思いがかなり強い」
陽介「頑張ろうって気持ちなら、里中にもりせにもあるだろ」
番長「もちろん頑張ろうという気持ち自体は二人にもある。ただ、それが皆の心の問題を考える余裕にまでは届いていないんだ。それぞれ自分自身が精神的な、極限状態にあるから」
陽介「極限状態ねえ・・・」
雪子「なんだか、私にはわかる気がする・・・」
番長「・・・例えば昼間、クマが軽薄な発言をした時にりせがスルーするくだりがあったが、あれは普段のりせからは考えにくい態度なんだ」
陽介「そうか?クマがうっとおしいことばっか言ってる時は、スルーすることなんてけっこうあったろ?」
番長「そうだな。クマがあまりにしつこい時とか、【皆がちょっとしつこいなあと思っている時】であれば、今までにもそういうことはあった。でも、今日のクマの口数や態度を考えてみてくれ」
雪子「口数や・・・態度?」
陽介「・・・」
番長「陽介は気付いているんじゃないか?」
陽介「まあな・・・状況が状況だけに、さすがのあいつも元気なかったし、いつもより明らかに口数は少なかった。それに、いつもみたいに自然にじゃなくて、皆を明るくしようと思って無理に冗談言ってるような感じもあったしな」
番長「そうだな」
雪子「そっか・・・クマ君も・・・」
陽介「ああ、普段と変わらないように見えても、あいつもどっかで無理してるぜ。まあ、あいつの場合は俺がいっつも甘やかしてるからかも・・・」
番長「そうだな・・・とりあえず今は、クマの話からりせの話に戻すぞ」
陽介「ああ」
番長「りせは間違いなく、俺達の中で人の気持ちを気遣う能力に関しては突出して一番優れている」
雪子「確かに、一番空気読める子かも」
番長「もちろん、空気を読むということに関してもそうだが、人の精神状態のケアが上手いんだ。りせがもしあらゆる意味で万全なら、皆を明るくしようとしてボケてるクマに突っ込まないでスルー・・・なんてありえない」
陽介「・・・なるほどな」
番長「今の状況のように、悪い意味でいつもと違う状態にある時、例えどんな形であっても【いつものような光景】というのは見ていてほっとするものがあるだろう?」
雪子「あー・・・わかるかも」
番長「りせがクマをスルーした時、みんなはこう思ったはずだ。【まあスルーすることもあるか。でもなんかちょっと変だな】って」
陽介「・・・ま、俺達ほどじゃなくても、クマがいつもより元気も無くて口数も少なかったのは皆気付いてただろうしな」
雪子「確かに・・・言われてみれば、あの時りせちゃんがクマ君に何か言ってたほうが、見てて安心しちゃう【いつものような光景】だったのかも」
番長「そう。本来りせは、そういうほんのわずかな気遣いを怠るようなことはしない。自分自身が万全ならな」
陽介「確かに・・・」
番長「いつも簡単に出来ていたそういうことが出来なくなっているほど、りせの心は弱っている」
雪子「・・・うん」
番長「俺達がいつも皆で笑ってこられたのは、皆が良い奴だっていうことはもちろん、りせやクマ、陽介のようなムードメーカーの存在が本当に大きい」
雪子「そうだね」
陽介「お、俺も?」
番長「・・・自覚が無かったのか?」
陽介「りせは解るし、クマもまあ・・・って感じだけど、俺をムードメーカー扱いは持ち上げすぎじゃね?」
番長「何を言ってるんだ・・・」
雪子「うーん・・・」
陽介「え?何これ俺が変なこと言ってるみたいな感じ?」
番長「誰に対しても気さくで、誰かの身になって真剣に考え、一緒に本気で怒ったり泣いたりすることが出来る。それに、懐も深い」
陽介「や、やめろ!なんか痒い!///」
雪子「┌(┌^o^)┐」
番長「・・・ん?」
雪子「あ、なんでもないの!続けて」
番長「あ、ああ・・・クマや完二なんかは、今でこそ皆と仲が良いけど、二人が俺達にすんなり溶け込んでくれたきっかけは陽介だと思う」
陽介「そ、そうか?」
番長「クマがテレビの外でも生活していることなんかは、精神的な話だけじゃなく、実現という意味だけをとっても陽介のおかげだろ?」
陽介「まあ・・・それはな。結局うちに住み着いてるし」
番長「完二のほうは、俺達に見られたシャドウがあまりにアレだったから、やっぱり最初は俺達に対して気まずいところを感じていたと思う」
陽介「まあ・・・アレだったな」
雪子「アレだったね・・・」
番長「けど、陽介が遠慮もなく、その後も完二のシャドウの件をネタとしていじったりしてくれていたから、それによって完二が俺達に対して遠慮しない態度でいられるようになったんだ」
陽介「ネタじゃない時もあったけどな・・・」
番長「完二やクマだけじゃない。俺達皆が互いに、互いの良いところも悪いところも言い合える。そういう関係でいられるようになったのは、陽介のおかげだ」
陽介「相棒・・・」
雪子「・・・・・・┌(┌^o^)┐」
番長「・・・ん?」
雪子「な、なんでもないよ」
番長「・・・とにかく、二人には特に、皆の気持ちの問題を見えないところでも助けて貰っていたと思う」
陽介「ま、天城は俺等ん中じゃ一番この状況に動じてないしな」
雪子「むしろ、なんか楽しいんだよね・・・皆大変な思いしてるのに、私だけ変なのかな・・・」
番長「そんなことは無い。楽しんでくれるほど余裕があるのは、皆にとっても凄く良いことだ」
雪子「番長君・・・でも、動じてないっていうことなら、番長君も一緒だよね」
陽介「・・・」
番長「・・・それは・・・」
陽介「・・・っと、そろそろ時間じゃね?里中起こして、相棒はさっさと寝ちまえよ」
番長「あ・・・ああ。とにかく二人には、里中やりせのことを頼む。二人は心配だ」
雪子「うん。わかった」
番長「陽介。里中には、二時間後のことをしっかり頼んでおいてくれ」
陽介「二時間後・・・?ああ、そういうことか。わかったぜ」
>-21:00~22:00
>-陽介、千枝、雪子
千枝「う~っす・・・」
雪子「大丈夫?」
千枝「ん、体はアレだけど、ちょっと寝ただけで気持ちはずいぶん落ち着いたかも」
雪子「そっか・・・」
陽介「相棒は寝たみたいだな」
雪子「そうだね」
陽介「・・・里中、起きたばっかで悪いけど、真面目な話に付き合って貰うぜ」
千枝「う、うん。何?」
陽介「相棒はお前とりせのこと特に心配してたぜ。精神的にかなりまいってるってな」
雪子「ちょ、ちょっと花村君」
千枝「・・・聞かせて、花村」
陽介「ああ・・・」
>-・・・・・・
千枝「・・・そっか、そんな話してたんだ」
雪子「花村君、どうしてわざわざ・・・」
陽介「事実は事実として、里中にも受け入れてもらう必要があるだろ」
雪子「そ、そんな・・・!」
千枝「・・・いいの雪子。実際今日はアタシ、ずっと雪子にくっついてたしね・・・」
雪子「け、けど千枝・・・それは・・・」
陽介「里中、お前とりせが、俺達の中で一番参ってるのは事実だ。けど、勘違いするなよ?それは別に悪いことなんかじゃない」
千枝「え?」
陽介「誰にだって、強いところも弱いところもある。今はたまたまお前が強くない状況にあるってだけであって、それは別に悪いことなんかじゃないんだ」
千枝「花村・・・」
陽介「例えば昼間さ、熊とやりあった時とかお前は凄ぇ頑張ってた。熊捌いてた時に相棒がびびってたぜ。お前が蹴りいれたところの内臓が破裂してたらしいから」
>-・・・やっぱり、陽介がいれば大丈夫だ。狸寝入りはやめて、本当に眠ろう。せっかく代わってくれた陽介に悪いしな・・・
>-・・・・・・意識が遠のく・・・
陽介「自分の弱いところが嫌なら、頑張って強くなれば良い。もちろん強くなるのに手助けがいるなら、天城も、相棒も俺も、寝てる皆も、絶対お前に協力する」
千枝「・・・」
陽介「けど、そんな時間が無いとき、例えば今!そんな時はさ、自分の強いところで誰かを助けて、自分の弱いところは誰かに補って貰えばいいんだ」
雪子「・・・」
陽介「だから、自分の心が弱くて、皆に迷惑かけてるとか思わないでくれよな。少なくとも俺は、お前に頼られても全然嫌じゃないぜ。天城だってそうだろ?」
千枝「そう・・・なの・・・?」
雪子「もちろんだよ、千枝」
千枝「雪子・・・花村・・・」
陽介「自分が出来ることはやって、自分が出来ないことは誰かを頼って、生きていける。俺達にはそれが出来るんだ」
雪子「うん」
陽介「辛いなら、辛いで良いんだ。きついならきついで良い。こんな状況できついって感じちまうことは、すぐにどうにか出来る様なことじゃない。だけど、そのとで自分を情けないとか、天城や皆に悪いとか、そういうことは出来る範囲で良いから考えないでくれ。そっちなら、ちょっとはなんとかなるだろ?」
千枝「うん・・・うん」グス
陽介「っと、ちょっとあっちの火に枝とか足してくるわ」
雪子「・・・」ナデナデ
千枝「・・・なんで撫でるの」
雪子「なんか撫でて欲しそうだったから・・・千枝、泣いてるし」
千枝「・・・泣いてないっす・・・」
雪子「花村君、多分千枝が泣いてるところ見られたくないだろうなって思って、ちょっと離れててくれたんだよ?今のうちに泣き止も?」
千枝「・・・わかってるっす・・・///」
雪子「な、なんか千枝の敬語おかしい」クク・・・
千枝「ちょ、ちょっと、今馬鹿笑いしないでよね。皆寝てるんだし///」
雪子「わ、わかってる。堪えるよ」クク・・・
千枝「うー・・・///」
陽介「よし・・・っと、なんだ?なんか面白いことでも言ったのか?」
千枝「・・・なんでもないよーー」
雪子「う、うん。な、なんでもない」クク・・・
陽介「な、なんだよこの疎外感・・・」
千枝「や、仲間はずれとかそういうんじゃないからね?ほんとに」
陽介「別にいーけどよ俺は・・・まあいいや、今から大事な話があるんだ」
千枝「何?私のことはついで?」
陽介「バカ。お前の話も大事なことの一つだっつの」
千枝「お、おお・・・そうですか///」
雪子「だ、だからなんで敬語」クク・・・
陽介「・・・ただ、これからする話も同じぐらい大事なことだ。特に天城は、笑ってないで真剣に聞いてくれ」
雪子「あぁ・・・はい」
陽介「相棒のことだ」
千枝「え?番長君?」
陽介「こういう状況では、本当なら全員が同じぐらい苦労するのが理想だ。それぞれが自分の出来ることをやって、出来ないところや辛いところは誰かに助けて貰うっていう、さっき言ってたことにつながる話だけど」
雪子「うん・・・でも、なんで番長君?」
陽介「わかんねーか?今は明らかに、相棒に色んな負担がかかりすぎてる」
千枝「あ・・・」
陽介「さっき相棒と天城と俺の三人で話してた時、天城が皆の中で一番この状況に動じてないって話があったよな?」
雪子「あったね」
千枝「確かに、雪子ほんと凄いよね・・・」
陽介「そんとき、天城は相棒も同じだって言ってたけど、実際全然違うんだ。むしろあいつが一番動揺してるかもしれない」
雪子「えぇ?」
陽介「でも、あいつは強いから。そんな動揺してる自分を押し殺して皆のために頑張ってる。あいつの"根気"はもう、なんつーかタフガイだからな」
雪子「けど、それをいうなら番長君の"寛容さ"って、もうほんとオカン級だし、一番動じてないかなーと思ったんだけど・・・」
陽介「確かにあいつなら、自分のことならいくらでも我慢出来るし、どうにでもなるさ。けど、いくらあいつでも皆の気持ちまではどうにもならないし、皆が辛い思いをしてるってことに一番心を痛めてるのが、きっとあいつなんだ」
雪子「・・・」
千枝「・・・」
陽介「いくら何でも出来るって言ったって、あいつだって俺達と同じ人間で、高校生だ。今日はかなり無理してたと思うぜ」
千枝「そっか・・・」
陽介「その証拠に、あいつは多分、俺とあいつ、天城とクマがこの見張りのシフトを交代することまで予測出来てなかった。いつもならそれぐらい余裕で計算してる。やっぱあいつも相当疲れてるんだ」
雪子「え?」
陽介「一番最初にあいつが言ってたシフト、次の一時間を思い出してみてくれ」
>-22:00~>-23:00
>-りせ、千枝、雪子
陽介「あいつが今一番精神面を心配してるりせと里中が、今の状況で一番動じてない天城と一緒になるように組まれてる」
雪子「・・・本当だ。そっか・・・」
陽介「多分あいつの元々の魂胆は、次の一時間でりせと里中の心をケアを天城にしてもらうことだったんだ」
千枝「・・・なるほど」
陽介「それだけじゃない。どの時間を見ても、俺か天城かあいつ自身がいるように組まれてるんだ。皆の全体的な気持ちのバランスを考えて組んだんだと思う」
雪子「・・・そっか。私・・・!」
陽介「けど天城、お前がクマと交代したのは余計なことなんかじゃないぜ?」
雪子「で、でも・・・!」
陽介「結果的に、俺が相棒のことを天城に相談出来るこの時間が出来た。あいつだってきついんだ。どうしても、俺等ん中で一番動じてない天城に、このことをしっかり知っておいて欲しかった」
雪子「・・・うん。わかった」
千枝「はあ・・・なんか、花村って番長君のこと理解しすぎって感じ」
陽介「ま、一番あいつのこと解ってて一番あいつのこと信頼してるのは俺だからな!相棒としてよ」
千枝「はいはい」
雪子「┌(┌^o^)┐」
陽介「俺がきついながらに平然としてられんのも、あいつがいれば大丈夫!って、一番本気で思ってるからだしな」
雪子「┌(┌^o^)┐」
陽介「けど、だからこそ今あいつがいなかったらヤバかったってのを一番よくわかってる。もしあいつに何かあったら、俺達全員はガタガタになっちまう」
雪子「・・・そうだね」
陽介「俺達も、出来るところを頑張ろうぜ。過労であいつが伏せっちまったらお仕舞いなんだ」
千枝「うん」
雪子「うん・・・あ、そろそろ時間だね」
陽介「だな」
千枝「次は、クマ君とりせちゃんか・・・」
陽介「里中・・・俺も、まだ起きとくか?」
千枝「あ・・・」
雪子「け、けどそれって・・・」
千枝「・・・バカ。やっぱ花村はバカだね」
陽介「な、なんだよ」
千枝「皆が同じぐらい苦労するのが理想って、今言ってたばっかじゃん。ただでさえ一番休めないあんたが、これ以上苦労してどうすんのさ」
陽介「そ、そりゃ・・・けどよ」
千枝「りせちゃんもクマ君も、あんたが思ってるほど弱くないでしょ。もちろん、アタシもね」
陽介「里中・・・」
千枝「だから大人しく寝てなさい!雪子もね」
雪子「うん。千枝、頑張ってね」
陽介「・・・わかった。けど、なんかあったら起こしてくれ」
千枝「・・・そういうこと言うな。甘えちゃうだろ・・・」ボソ・・・
陽介「ん?なんか言ったか?」
千枝「・・・・・・・・・///」
雪子「?」
千枝「い、言ってない!寝てろ!///」
陽介「わ、わかったわかった」
今回の更新はここまでです。次回は初日22:00~23:00(りせ、千枝、クマ)からです。またちょっと書き溜めたら再開します。
>>48,49,52,57 この番長はP4真ED後で全員友人ENDです。菜々子ちゃんはかわいいです。
>>53-56 何で皆そんなP3に容赦ないんですか。ああいうリアルなギスギス感も良いと思いますよ。そのうちP3でもこういうのやりますかね。P4と違ってテレビの中とか関係なくペルソナ出せちゃうから色々余裕そうですけど。
>>60-83 完二良いですよね。特捜隊グループは、はたから見たら完二や番長を中心としたヤンキー集団ぐらいに思われてても不思議ではないぐらいの連中なんじゃないですか?何か陽介への容赦ないレスが多かったので、今回は陽介が陽介なりに活躍しました。
1乙!
雪子自重しろwww陽介イケメン過ぎ
熊戦とかになってもペルソナ使えれば確かに余裕だろうしなぁ、真田さんなら生身で倒しそうだし重火器もちのアイギスも居るが
更新します
>-22:00~23:00
>-りせ、千枝、クマ
りせ「おはようー・・・」
クマー「クマー・・・」
千枝「・・・おはよ」
りせ「・・・火は?」
千枝「さっき花村が寝る前に枝足して回ってたから、しばらく大丈夫だと思う。あたし達はほんとに見張りってかんじかな」
りせ「そっか・・・」
千枝「体とか、どう?」
りせ「・・・あちこち痛いかも」
クマ「クマもー・・・」
千枝「二人とも眠そうだね」
クマ「眠いクマー・・・」
りせ「・・・私は仮眠とったり起きたりって慣れてはいるんだけど・・・」
千枝「・・・(大見得切っといて何にも浮かばないや。二人とも元気ない)・・・」
りせ「・・・千枝先輩?何かあった?」
千枝「へ?」
りせ「何か、考え込んでるみたいだから・・・」
千枝「う、ううん、何でもないの」
りせ「・・・」
クマ「?」
りせ「・・・私のせいだよね」
クマ「?」
りせ「ほんとなら、私が皆に元気だせー!って言う役なのに、私が一番元気なくて・・・」
千枝「りせちゃん・・・」
りせ「・・・最初ね、気がついた時、私とクマしかいなかったの」
千枝「・・・あ、昼間の?」
りせ「ん・・・それで、怖くて、どうしていいかわかんなくて、もうわけわかんなくなっちゃって・・・」
千枝「それで、昼間のアレ?」
りせ「そ・・・馬鹿だよね。何にも解決しないし、現実逃避したっていいことなんかないのに」
クマ「リセチャン・・・」
りせ「ごめんねクマ。わけわかんないことにつき合わせちゃったりして」
クマ「そんなことないクマ。クマは楽しかったクマよ」
千枝「番長君も熱演だって褒めてたしね!」
りせ「・・・うぅ・・・///」
千枝「(は、はずした・・・盛大に)」
りせ「・・・皆と合流出来て、皆と一緒ならきっと大丈夫だって思った」
千枝「・・・うん」
りせ「なのに、まだ不安で・・・怖くて・・・こんなの嫌で、どうして私ってこんなに弱いのかなって思っちゃう・・・」
千枝「・・・それで良いんだよ」
りせ「え?」
千枝「怖いのも、嫌なのもさ、仕方ないじゃん。そう思っちゃうんだしさ」
りせ「千枝先輩・・・」
千枝「私だって嫌だよ?熱いシャワーとか浴びたいしさ、柔らかいベッドで寝たいしさ」
りせ「・・・」
千枝「水よりお茶とかジュース飲みたいし、熊肉よりは鳥とか牛とか豚がいいし」
りせ「・・・そうだよね」
千枝「うん。けどさ、自分の気持ちを変えるのって、難しいじゃん?」
りせ「・・・うん。凄く」
千枝「だから、辛いって思っちゃうこと自体は仕方無いよ。すぐに変えられるようなものじゃないから」
りせ「けど・・・」
千枝「・・・私も最初、気がついた時は一人だったんだ」
クマ「チエチャンも?」
千枝「うん。りせちゃんと同じ、現実逃避にどどん波の練習してたから」
りせ「どどん波?」
千枝「・・・鶴仙流のどどん波が出来れば、同じ鶴仙流の舞空術も出来るんじゃないか?それでそのまま帰れるんじゃないか?なんてさ、ひどい現実逃避」
りせ「・・・ふふ、何それ?」
千枝「笑っちゃうでしょ?雪子も、完二君も似たような感じだったよ」
りせ「えぇ?完二も?」
千枝「意外?」
りせ「・・・ちょっとだけ意外かも」
千枝「・・・それでね、皆と合流してさ、番長君が中心になって、サバイバル生活始まっちゃって・・・」
りせ「・・・」
千枝「皆と合流したけど、私の不安はあんまり変わらなかった。今でも現実逃避したいし、辛いって叫びたい」
りせ「千枝先輩・・・」
千枝「けど、そんなこと言ったって何も変わらない。現実は、逃避なんかさせてくれないんだ」
りせ「・・・うん」
千枝「りせちゃんだって、帰りたいよね?」
りせ「う、うん・・・」
千枝「けど、帰るためには皆で生きていかなきゃ。助け合って、頑張ってさ」
りせ「・・・千枝先輩は強いけど」
千枝「え?」
りせ「・・・私には何も無いの」
千枝「な、何も無いって・・・」
りせ「・・・私、マヨナカテレビの頃も後方支援で、直接戦ったりしなかったから・・・皆より体力無いし、力も無いし」
クマ「リセチャン・・・」
りせ「完二とか番長先輩みたいに、手先が特別器用で、何か作ったり出来るわけでもない」
千枝「・・・うん」
りせ「私に出来ることなんて、皆に元気出せー!って言うことぐらいなのに、今はそんなことも出来ないし」グス
千枝「うん」
りせ「私皆の役に立たない。私・・・何も出来ない。私・・・私なんかここにいないほうが皆のためにって・・・」グス
千枝「・・・それは、違うんじゃないかな」
りせ「・・・え?」
千枝「昼間さ、完二君に説教してたじゃん」
りせ「え、あ・・・///」
千枝「あんなのでいいんだよ。あんなのだけでも、皆はりせちゃんがいてくれるなーって思える」
りせ「私が・・・?」
千枝「うん。皆、りせちゃんがいてくれるだけで元気出るよ?」
りせ「私が、いるだけで?」
千枝「・・・うん」
りせ「・・・」
千枝「私は今、凄く辛くてさ、今にも・・・泣き叫びたくてさ、昼間はずっと雪子にくっついてた」
クマ「チエチャン・・・」
千枝「けど、皆と一緒だから、皆がいるから、皆のために頑張りたい。皆のために」
りせ「皆のために・・・」
千枝「その皆っていうのの中にはさ、当然りせちゃんも入ってる」
りせ「千枝先輩・・・」
千枝「明るくて、けど、どこか影があって、いつも皆を明るくしてくれる。私はそんなりせちゃんが大好きで、私はりせちゃんを守りたい」
りせ「せ、先輩・・・///」
千枝「皆そうだよ。りせちゃんがいないほうが・・・なんて思ってる人なんか、ここにはいない。皆で生きて帰って、また皆で一緒に笑いたいから」
りせ「先輩・・・!」
千枝「りせちゃんがいてくれるだけで、皆はりせちゃんのためにって思えるから、それだけで、元気が出るよ」
りせ「先輩!」ガバッ
千枝「わっ!?///」
クマ「リセチャン!飛び込むならクマの胸に飛び込んでおいで!」
りせ「うっさいバカグマ!」
クマ「バ、バカグマ・・・」
千枝「りっ、りせちゃん!?///」
りせ「・・・」グス
千枝「(・・・あ、泣いて・・・)」
ギュ
りせ「千枝先輩・・・!」
千枝「・・・大丈夫だよ。しばらくこうしてよっか」
りせ「ありがとう・・・!」
クマ「・・・クマは、ここにいないほうが・・・」
りせ「・・・そうかもね・・・!」
クマ「そんな!?」
千枝「そっ、そんなことないって!ね、りせちゃん」
りせ「う、うん・・・ごめんねクマ」
クマ「リセチャン・・・良いクマ。なんだかりせちゃんがちょっと元気になって嬉しいクマ」
りせ「クマ・・・」
千枝「・・・う、うん、なんか良い感じになったし、そろそろ離れてくれると・・・」
りせ「千枝先輩、先輩は私が抱きついてると嫌?」
千枝「そ、そうじゃなくて、何かこのままだとイケナイ何かに目覚めそうな」
りせ「千枝先輩、あったかくて、なんだか落ち着く・・・」
千枝「りせちゃん・・・わかった、良いよ」
クマ「・・・やっぱりクマはここにいないほうが・・・」
りせ「・・・」
千枝「・・・」
クマ「せめて何か言って!?」
>-23:00~24:00
>-りせ、完二、クマ
りせ「あー・・・恥ずかしい・・・」
クマ「結局千枝ちゃんが寝るまでずっとくっついてたクマね」
りせ「クマ?さっきのこともし誰かに言ったら番長先輩に頼んで干し肉の仲間入りだからね・・・!」
クマ「だ、大丈夫クマ。クマの口はレアシャドウのように堅いクマ」
完二「・・・うーす・・・」
りせ「おはよう完二」
クマ「おー完二。寝てても良いクマよ。クマはリセチャンと二人きりのひと時を楽しみたいクマ」
完二「そういうわけにもいかねーだろー・・・あー」
りせ「大丈夫?」
完二「おー・・・なんとかな」
クマ「怪我はまだ痛いクマか?」
完二「いや、大丈夫だ」
りせ「・・・ほんとに?痩せ我慢してんじゃないの?」
完二「だから大丈夫だっつの・・・つーかお前、なんか、元気になったか?」
りせ「はっ!?べ、別に何も無かったし!///」
完二「い、いや、何かあったかとは聞いてねーけど・・・」
クマ「むっふっふー」
りせ「・・・干し肉」
クマ「ひぃっ!?」
完二「・・・?」
りせ「ほんとに何でもないから!」
完二「・・・ま、なんでも良いや。ちっとでも元気出たんならよ」
りせ「完二・・・」
クマ「なんだかさっきに引き続きまたもやクマが寂しい予感・・・」
完二「・・・引き続き?」
りせ「クーマー?」
クマ「な、なんでもないクマよ~」
完二「・・・?」
りせ「っていうか、完二にまで心配されてたんだ?」
完二「そりゃ心配もすんだろ。飯もあんまり食えてねーみたいだったしよ」
りせ「・・・だよね。ごめん・・・」
完二「ごめんってお前・・・謝るようなことじゃねえだろ」
りせ「え?」
完二「俺だって怪我のことで心配かけてんだしよ。そんなんお互い様だ」
りせ「完二・・・」
クマ「リセチャン!泣きたくなったら今度はクマのところに!」
完二「・・・今度は?」
りせ「・・・!クマとは一度ゆーっくりお話しなきゃいけないみたいねー?」
クマ「リセチャン顔は笑ってるのに目が笑ってないクマ・・・」
りせ「・・・はあ、ねえ完二」
完二「あん?」
りせ「番長先輩のことなんだけど・・・」
完二「・・・先輩がどうかしたか?」
りせ「さっきまでそんな余裕なくて、全然気付かなかったけどさ、考え直してみると、番長先輩って頑張りすぎじゃない?」
クマ「センセイが?」
完二「・・・確かにな。何でもかんでもやりすぎって気はすんな」
りせ「うん・・・ちょっと心配」
完二「・・・ま、俺等がどうにか出来るようなことじゃねー気もすっけど・・・」
クマ「センセイなら大丈夫クマ。センセイに出来ないことは無いクマ!」
りせ「クマ・・・」
完二「・・・なんか、おめーの呑気なとこって良いな」
クマ「どゆことクマ?なんか褒められてる気が全然しないクマよ」
完二「んなことねーよ。おめーが呑気だと、俺等も気が楽になるじゃねーか」
クマ「か、完二・・・!」
完二「こんな時だからな。そういうのも大事なんだよ。ま、番長先輩の受け売りだけどな」
クマ「クマ、完二になら抱かれても良いクマ・・・!」
完二「やめろ気色悪ぃ」
クマ「ちぇー、完二ならひっかかると思ったのに~クマ」
完二「どういう意味だてめえ・・・!」
りせ「・・・ふふ」
クマ「あ、リセチャン笑ったクマ!」
りせ「・・・うん」
完二「・・・そういやりせ、おめえなんか目腫れてっけど、泣いたんか?」
りせ「バ、バ完二!無神経すぎ!///」
完二「・・・」
りせ「な、なによ?///」
完二「やっぱおめーは、そうやって元気なほうがいいや」
りせ「そっ、そんなこと言われても誤魔化されないわよ!///」
クマ「・・・やっぱりクマはここにいないほうが・・・」
りせ「・・・!」ギロッ
完二「・・・?」
クマ「だからせめて何か言って!?ってリセチャン怖い!?」
完二「あぁ・・・?」
りせ「はあ、もういいや。バカグマはほっといて、完二、やっぱりちょっと先輩のこと気になるから、それとなく聞いてみて。確か次の一時間一緒でしょ?」
完二「いや確かに一緒だけどよ・・・それとなくってお前、俺にそんな器用な真似出来っと思ってんのか?」
りせ「あんたに無理なら、直斗に頼むとか何かあるでしょ?」
完二「あー。そうだな。わかった」
りせ「よし、ほらクマもう寝るよ」
クマ「クマ~ン。じゃあリセチャンの隣に!」
りせ「だーめ。ちゃんと離れて寝なさい」
短いですが今回はここまでです。次回は24:00~翌01:00(直斗、完二、番長)からです。
>>99-106 乙ありです。なんだか皆さん雪子に反応してますね。やっぱり皆ホモが好きなんだ()。陽介は旗から見たらホモですけど、個人的には千枝と仲良くやってほしいですね。
>>107 火(アギ)も水(ブフ←アギ)も切断する道具(各物理技)もなんとかなっちゃうどころか、そもそも頑張れば自力で帰れそうですからね。
乙ん
>>1はP4の女子人だと誰が一番?
乙
真田先輩なら自力で帰れるってそりゃ泳いでってことか
……うん、帰れるような気がするな
今更だけどプーアルじゃなくてウーロンじゃね? どうでもいいけど
>>141
陽介=ヤムチャとかかってんじゃね?
もしくは精一杯の優しさ
いろいろ突っ込まれると一番脆いのは番長だよな
だからこその仲間なんだけども
更新します
>-24:00~翌01:00
>-直斗、完二、番長
番長「・・・おはよう」
>-体が重い・・・
完二「おはようございます」
直斗「・・・おはようございます」
番長「少し火を見て回ってくる」
直斗「あ、いえ、僕に行かせて下さい。一番長く眠らせて貰っていますし」
番長「いや、なんだか目が覚めそうにないんだ。俺が行ってくるよ」
直斗「そうですか?」
番長「ああ」
完二「・・・調度良いか」
直斗「どうかしました?」
完二「さっきりせがよ、番長先輩のことを心配してたみてえなんだ」
直斗「番長先輩を?」
完二「ああ。ほら、先輩ってよ、俺の傷の手当とか、皆をひっぱってたりとか、皆の気持ちまで気にしてたりとかよ・・・なんつーか、なんでもかんでも一人でやってねえか?」
直斗「・・・確かにそうですね」
完二「そんで、実は凄ぇ疲れてんじゃねえのか?ってことだと思うんだけどよ」
直斗「・・・なるほど。確かに、仰るとおりだと思います」
完二「そんで、実際んとこどうなのか、それとなく聞いとけって言われてんだ」
直斗「それとなく・・・ですか?あの勘の鋭い番長先輩相手に?」
完二「俺に無理なら直斗に頼めとか言ってたぜ」
直斗「無茶ぶりですね・・・」
完二「お前ならなんかこう、うまく聞きだせるんじゃねえか?」
直斗「いえ、さすがに気付かれてしまうと思います。それに、僕達が心配しているのであれば、心配しているということも含めてはっきりと聞いてみるべきではないでしょうか?」
完二「ま、確かにな」
直斗「・・・はい。しかし、久慈川さんの言っている、それとなく聞いておいて欲しいというのもわからない話ではなくて・・・」
完二「・・・」
直斗「なんと言いますか、言い方は悪いのですが、僕達が心配するのはおこがましいというような気もするんです。先輩のような方に対して、心配してしまうということ自体が失礼にあたるのかもしれないと・・・先輩は、心配されれば、自分が至らない。もっと頑張らなければ・・・そう、思ってしまう方ですから」
完二「・・・気持ちは、わかるぜ」
直斗「巽君・・・」
完二「凄ぇわかんだけどよ・・・なんか俺等って、先輩に遠慮しすぎてねえか?」
直斗「え?」
完二「・・・俺だってそうだし、花村先輩でさえそうなんだけどよ。なんか肝心なとこで先輩に遠慮しちまってると思うんだよな」
直斗「遠慮・・・ですか」
完二「まだ先輩が八十稲羽にいた頃もな、ほんとは俺ぁ毎日でも先輩に会いたかった」
直斗「・・・はい」
完二「毎日でも先輩に会って、色んなこと教えて欲しかった。一緒に遊びたかった」
直斗「・・・わかります」
完二「けど、俺なんかにそんなこと思われても先輩に迷惑なんじゃねーかとか、先輩って転校生なのに顔広ぇし、他の人との付き合いとかもぜってぇあるだろうな・・・ってよ。遠慮しちまうんだ。毎日会いてぇなんて一言も言えなかったんだよ」
直斗「・・・はい」
完二「でよ、今みたいになって後悔してんだ。なんでもっと先輩と一緒にいなかったのかな・・・なんてな」
直斗「今みたい・・・というのは、現在の難破した状況のことを示しているわけではなさそうですね」
完二「おう。先輩と同じ高校にいねえっつうことそのものだな。高校もだし、住んでるとこもだし」
直斗「ですよね・・・」
完二「会えないってわけじゃねえ。長い休みになりゃこうして会えてるし、俺の記憶ってやつにはずっと先輩はいてくれる。けどよ、皆で集まった時とかにふと思うんだ。あー、先輩いねえんだなって」
直斗「巽君・・・」
完二「先輩は凄ぇ人だから・・・凄すぎる人だから、俺も、他の奴等も遠慮しちまってるところがあんのかもしれねえけどよ・・・そんな凄ぇ人相手に遠慮することねえんじゃねえかな?先輩なら、笑って聞いてくれんじゃねえかな?」
直斗「先輩・・・なら」
完二「俺は今後悔してる。もっと一緒に遊んで下さいよって言えなかったてめえにな。先輩なら、無理なら無理で、無理だ。って、いいならいいで、いいぞ。って、言ってくれてたんじゃねえかな・・・とか、今更な」
直斗「・・・・・・今だから、言えることなのですが」
完二「ん?」
直斗「僕には、先輩と男女としてのお付き合いをしたいと思っていた時期がありました」
完二「だ、男女の・・・って」
直斗「・・・いえ、正確には、先輩からお付き合いを求められていたら、断らなかったであろう時期がありました」
完二「・・・似たようなもんだろ」
直斗「・・・自分からは、何もはっきりとは言わなかったんです。先輩に対して」
完二「何もって・・・お前」
直斗「先輩には、もうお付き合いしている女性がいるかもしれない。もしもいなくて、先輩も僕のことを求めてくれているなら、きっと先輩のほうから何か言ってくれるはず。僕のほうから気持ちを言ってしまえば、先輩は優しいから、その気が無くても無理をさせてしまうかもしれない・・・そう、思っていました」
完二「そ、そうか」
直斗「そんなこと、先輩にしかわからないのに」
完二「直斗・・・」
直斗「僕も今は後悔しています。面と向かって何かを言えなかった自分に」
完二「そうか・・・」
直斗「ええ・・・きっちりとふられていたほうが、先輩が都会に帰ってしまった時に、あれほどまでに寂しい思いはしなかったでしょうから」
完二「・・・」
直斗「はっきりと聞いてみましょう。先輩に、今無理をしていませんかと」
完二「・・・おう」
>-・・・・・・
番長「そうか、俺のことを・・・りせがそう言ってたのか」
完二「ウス」
番長「良かった」
完二「よ、良かった?」
番長「りせがそう思えるようになったということは、少なからず持ち直してくれたんだろう?」
完二「ま、まあ確かに、昼間よりは随分明るくなってたみたいスね」
番長「里中とクマが上手く元気付けてくれたんだろうな。里中のフォローは陽介に頼んでおいたし」
直斗「ぬかりないですねー・・・」
完二「・・・で実際どうなんスか先輩。無理してんじゃないすか?」
番長「そうだな。無理してるぞ」
完二、直斗「えっ」
番長「俺が辛いだけなら別に気にしないんだが、今は皆が辛そうだし、ちょっとそれに影響されているところがあってな。俺自身、精神的に結構参ってる。菜々子にも会いたいし」
完二「マ、マジスか」
直斗「(最後の一言は聞かなかったことにしたほうがいいのかな・・・?)」
番長「ああ。とはいえ、そうも言ってられない状況だからな。きつくても動ける奴が動かなければ、事態は好転しない」
直斗「先輩・・・」
番長「だから正直、陽介が休める時間の長いシフトに代わってくれて、かなり助かった。昼間動きすぎたせいで、今もちょっと体が重いし」
完二「は、はあ・・・」
番長「けど、りせと里中と天城が同じシフトになるように組んでいたから、最初はちょっと戸惑ったぞ。天城とクマがシフト代わった時」
直斗「た、確かにあの時、先輩は少し言葉を止めて考え込んでいましたね」
番長「ああ。状況が状況だけに、夜の間に俺一人で皆を元気付けるのは無理があるからな。天城や陽介にも力を借りたいと思っていたんだ」
直斗「なるほど」
番長「天城は皆の中で一番この状況が平気みたいだし、陽介はなんだかんだでメンタル面がとてつもなくタフだ。頼りになると思ってる」
完二「・・・」
直斗「・・・」
番長「・・・お前達のことは、実はもうあまり心配してない」
完二「・・・え、俺等って、俺等二人・・・スか?」
番長「そうだ。完二は、直斗に相談してから随分気が楽になったんじゃないか?」
完二「あー・・・はい///」
番長「逆に直斗も、完二の本音を聞いて、自分なりの言葉を捜して、それで随分この状況を自分の中で整理して受け入れられたんじゃないか?それまでは、隠していても自分の中で混乱しているところがあったはずだ。自分の中でだけ気持ちを抱えているのと、それを言葉にして外にも出すとでは全然違うからな」
直斗「・・・先輩は何でもお見通しなんですね」
完二「そ、そうなんか?」
直斗「あ、敢えて言語化させようとしないで下さい。今言葉を濁したところなんですから///」
完二「・・・悪ぃ」
直斗「あ・・・いえ・・・事実です。そうですよ///」
完二「お、おう」
番長「・・・二人とももちろん、この状況特有の不便さ、辛さをそれぞれの中に感じているかもしれないが、二人はそれを自分達で受け入れて、気持ちを助け合えるからな。そうしてくれると、俺のほうも随分気が楽だ」
完二「先輩・・・」
番長「皆が元気になってくれれば、俺も楽にやれる気がする・・・今はまだ難しいが、今はそれでも頑張らないといけないからな。無理もするさ。幸い、少なからず無理は効く体だ」
完二「なんか・・・先輩でも、そう思うことってあるんスね」
番長「そりゃそうだろ?」
直斗「・・・はは」
番長「だから、悪いが二人とも、頼りにさせてもらうぞ?」
直斗「はい!」
完二「任してください!」
番長「とりあえず、五時からの一時間、りせと一緒になるはずだ。シフトが変わったりしたが、そこは元の予定通りだからな。二人でりせを元気付けてやってほしい」
>-01:00~02:00
>-直斗、陽介、番長
番長「・・・というようなことがあった」
>-陽介に、さきほど三人で話していたことを伝えた。
陽介「な、なんだよそれ。俺が寝てる間にそんな話してたのか」
番長「ああ。陽介も、随分俺を心配していたんじゃないか?」
陽介「あー・・・それもお見通しなわけね?」
番長「そうでなきゃ、俺が休める時間を増やしてくれたりしないだろ?」
陽介「あぁそうだよ。けど、それをお前に言って逆に心配させてもなーとか深読みしてさ。さっきお前が寝てる間、里中と天城に相談してたところだ」
番長「やっぱりな」
直斗「僕には、花村先輩の気持ちもわかります」
陽介「直斗・・・」
直斗「番長先輩のことを心配していると伝えてしまうと、番長先輩はそのこと自体を気に病んでしまうのではないかと・・・」
番長「俺がそう思ってしまうことは否定出来ないが、出来ればそれも含めて皆で共有して解決していきたい・・・駄目か?」
直斗「いえ、良いと思います」
陽介「つか、それが一番だよな。悪ぃな、コソコソしようとして」
番長「いや、解ってくれたなら、これから頑張ろう」
陽介「おう!」
>-三人で談笑した。
>-02:00~03:00
>-千枝、陽介、雪子
陽介「つーわけだ。余計な心配だったかもな」
千枝「余計ってことないでしょ」
雪子「うん。けど、そっか。番長君、自分でも気付いてたんだね」
陽介「どうだろうな。気付いてたっつーより、直斗と完二に言われて、考え直してみたら気付いたってとこだったんじゃねえかな」
雪子「へぇ~」
千枝「あの二人頑張ってるよねえ」
陽介「そういうお前も、頑張ってくれたんだろ?なんかりせがちょっと元気出してたらしいじゃん?」
千枝「ま、まあそれなりにね」
雪子「何かあったの?」
千枝「ちょ~っと先輩らしいことしちゃったかな。秘密」
陽介「これであと心配なのはクマぐらいか」
千枝「クマ君か・・・クマ君のフォローは特にしてないというか流れ的に出来なかったというか・・・」
陽介「流れ的に?」
千枝「や、こっちの話」
陽介「何でも良いけど、次、二人ともクマと一緒だろ?ちょっと励ましてやってくれよな」
雪子「クマ君をかー・・・」
千枝「うーん・・・」
陽介「な、なんだよ。渋るようなことか?」
千枝「や、そういうことじゃないの。何て言ってあげたら良いのかなーと思って・・・」
雪子「だよね」
陽介「まーな。あんまり甘やかすと、逆に調子乗りそうだし」
雪子「・・・なんかクマ君って、実は結構平気だったりしないのかな?」
陽介「あいつがか?いや、きついと思うぜ。どう見ても元気ねーもん」
雪子「元気なさそうなのは、確かにそうなんだけど・・・」
陽介「っと、時間だ。とにかく頼んだわ。ちゃんと寝とかないと、俺のほうこそ参っちまう」
千枝「そだね。おやすみ」
>-03:00~04:00
>-千枝、クマ、雪子
クマ「クマーン・・・」
千枝「お、おはようクマ君」
雪子「眠そうだね」
クマ「またしても両手に花なのにクマの元気が足りていないクマ。普通なら一発で元気ビンビンお目覚めクマよ」
雪子「ねえクマ君。クマ君って元気無いけど、やっぱり辛い?」
クマ「クマクマか?クマはー別にいいけどー、でも皆が元気ないからクマも元気無いんだクマ。クマは皆の元気のバロメータークマ。ユキチャンはけっこう平気そうクマね?」
雪子「うん。私は案外平気かも。皆が一緒だから」
千枝「そ、そうだったんだ・・・なんか、ごめんね?」
クマ「しょうがないクマよ。辛いと思っちゃうのは仕方無いって、チエチャンさっき自分で言ってたクマ」
千枝「クマ君・・・」
クマ「チエチャンもだけど、リセチャンもセンセイも元気無いし、ヨースケも平気そうなフリしてホントはセンセイに寄りかかってるだけクマ」
千枝「え・・・」
雪子「番長君のこと気付いてたんだ・・・っていうか、花村君も?」
クマ「そうクマよ。ユキチャン気付いてなかったクマか?」
雪子「全然気付いてなかった。花村君も平気そうだなーって・・・」
クマ「・・・ヨースケは誤解されやすいけど、ホントは誰よりも傷つきやすい根っからのシティーボーイクマ。なのにセンセイに気を使って一番休めない時間に自分から頭突っ込んで・・・クマは今ヨースケのことが一番心配クマ。けど皆元気無いし、あの時は何もいえなかったクマ。クマは駄目なクマクマー・・・」
雪子「駄目なんてことないよ」
クマ「ユキチャン・・・」
雪子「それに気付いて、私に教えてくれたから。あとは私がなんとかするね」
千枝「わ、私も!出来るだけ頑張ってみるから」
クマ「チエチャン・・・」
雪子「・・・けど、どうしよっか。花村君の負担減らしてあげたいけど、もう私たちって誰も花村君とシフトかぶらないよね?私は最後にかぶるけど、最後じゃちょっと・・・」
千枝「んー・・・」
雪子「・・・今日のことは仕方無いか。夜が明けてから、あんまり花村君に負担かけないように番町君にも言ってみよう」
クマ「あんまりセンセイにばっかり気苦労かけさせたくないクマが・・・センセイも余裕なさそうだし。でもクマもそれしかない気がするクマ」
千枝「うん・・・」
>-04:00~05:00
>-完二、クマ、りせ
りせ「きれい・・・」
クマ「クマー・・・」
完二「日の出か」
りせ「なんか明るくなってくるとちょっとほっとするね」
クマ「そうクマね」
りせ「・・・完二、番長先輩どう?なんか聞けた?」
完二「ああ、無理してんだと」
りせ「え?」
完二「面と向かって聞いてみたんだけどよ、はっきり無理してるっつってたぜ」
りせ「そ、そっか・・・やっぱりそうだよね」
完二「おう。けどよ、お前が人の心配出来るぐらいまで元気になって良かったとも言ってた」
りせ「そっか。先輩・・・」
完二「先輩だってきちーんだ。俺等もやれることやらねーとな」
りせ「うん」
クマ「クマにやれることはみんなを癒すことだと思うクマ。癒し系クマクマ」
完二「・・・」
りせ「・・・」
クマ「せめてなんか言って!?」
完二「・・・そうだな。今回はあんま、真面目な話に急にぶっこむのはやめとけ」
クマ「適切なアドバイス痛み入るクマ・・・」
りせ「・・・ごめんねクマ。今もだけど、昼間もスルーしちゃったし・・・なんか元気無くて、そんな気力ないの・・・」
クマ「リ、リセチャンをへこませるつもりではなかったクマ。こっちこそごめんクマ」
りせ「ううん、クマは悪くないよ・・・」
クマ「けどリセチャン・・・」
完二「おめーら謝りあってる暇あんならちっとでも元気出せや」
クマ「完二・・・」
りせ「あ・・・ごめん、ウザいよね」
完二「いや、別に全然ウザかねーよ。けどよ、見ててなんつーかこう、モヤモヤすんだろ。ただでさえ普段飛び抜けて元気なお前等が・・・あー、元気ねーとよ。お前等が笑ってりゃ、皆笑ってられんだ」
りせ「もー・・・完二がそういう優しいこと、いうから・・・」グス
完二「お、おいおい泣くこたねえだろ」
クマ「リセチャン!今度こそクマの胸に飛び込んでおいで!」
りせ「・・・いい、直斗に飛び込むもん」
>-05:00~06:00
>-完二、直斗、りせ
直斗「おはようございます」
りせ「直斗~~!」ガバッ
直斗「え、ええっ!?///」
完二「・・・」
直斗「あ、あの・・・これは一体・・・?///」
完二「・・・や、まあ、色々あんだわ。泣きてー時にゃ泣かせてやってくれ」
直斗「は、はあ・・・?」
>-数分後
りせ「・・・ありがと直斗。ちょっとすっきりした」
直斗「いえ、いいですよ」
りせ「あー・・・!よし、元気出す!」
完二「そうしろ」
りせ「完二のクセに偉そうに・・・!」
直斗「・・・」
りせ「っていうか完二、あんた人のことばっか見てるけど、自分はどうなのよ?なんかちょっと暗いんじゃない?」
完二「あ?別に、んなことねーよ」
りせ「何かあったんじゃないの?」
完二「な、なんもねーって」
りせ「なーんか怪しい。ねぇ直斗、さっき完二と先輩と一緒だったんだよね?何かなかった?」
直斗「何か・・・ですか。先輩は、無理をしていると仰っていましたけど」
りせ「それはさっき聞いた。それじゃなくて、何か完二が元気なくすようなこと」
完二「だ、だからなんもねーって!」
直斗「巽君が・・・?あっ」
完二「!」
りせ「今あっ、って言った」
直斗「い、言ってません!」
りせ「あやしー・・・」
直斗「あ、怪しくないですよ?」
りせ「うー・・・」
完二「いや、マジなんでもねーって」
直斗「そ、そうですよ」
りせ「直斗と完二が私のこと仲間はずれにするー!」えーん
直斗「な、泣かないで下さい久慈川さん」
完二「嘘泣きはやめろ」
直斗「う、嘘泣きって、そういう言い方はないですよ巽君!」
完二「い、いや」
りせ「うー・・・なんで完二と先輩にはすぐわかっちゃうんだろ?」
直斗「えっ・・・嘘泣きだったんですか?」
完二「見りゃわかんだろ」
直斗「わかりませんよー・・・あ、もしかして、さっきのもそうなんですか?」
りせ「え?あー、さっきのは」
直斗「むー・・・!」
りせ「に、睨まないでよ直斗ー・・・さっきのは違うのー」
完二「さっきのはマジだろ」
直斗「そう・・・なんですか?」
りせ「もー、だからなんでわかんのよ?これでも演技派で売ってんだからね?」
完二「おめーがマジで泣いてるかぐらい、わかるっつーこった」
りせ「完二・・・なーんて良い空気にもっていこうったって誤魔化されないわよ?さー二人とも、何があったか白状しなさい」
完二「お前は元気ねーよりあったほうがウゼーな。何もねーっつってんだろ」
りせ「あー完二ひどーい!罰として白状しなさい!」
完二「どういう理屈だ・・・」
直斗「・・・巽君、もし、さっきのことで元気が無いのでしたら」
完二「・・・」
直斗「僕は、もう大丈夫ですから」
完二「直斗・・・」
直斗「今はもう、良き先輩であり、良き友人であり、良き仲間だと。目標にしたいような人だと、思っています」
りせ「???」
完二「・・・そうか」
直斗「・・・はい」
りせ「もうやだー。何この二人で通じ合ってる感じー。先輩助けてー」
>-06:00~07:00
>-陽介、直斗、番長
陽介「・・・なんか、りせが先輩助けてーとか言ってなかったか?」
直斗「断じて気のせいですね」
陽介「そ、そうか」
直斗「はい」
>-・・・目がマジだ。
番長「りせの様子はどうだった?」
直斗「・・・泣いていました。ですが、それで少し気持ちを切り替えられたところもあるようです」
陽介「・・・そうか」
直斗「はい」
>-・・・・・・
直斗「先輩、差し出がましいようですが、今日の行動予定を考えてみたので聞いて頂けますか?」
番長「・・・それは構わない。けど直斗、一つだけ先に聞いて欲しい」
直斗「はい、なんでしょうか?」
番長「差し出がましいとか、申し訳ないとか、そういうことは思わなくて良い。昼間、りせと二人で完二に無茶をするなと言った時、里中に謝っていたことも、昨晩、俺と完二の三人でいた時、完二に色々言っていた後に俺に謝っていたこともなんだが、今は年功序列がどうこう言っている場合じゃない。後輩だからとか、そういうことで俺達に遠慮して、自分の意見を出すことを躊躇しないでくれ。直人の意見は積極的に欲しい。そのほうが、俺達も楽だ」
直斗「先輩・・・はい、わかりました!」
>-陽介と一緒に、直斗の案を聞いた。
>-07:00~08:00
>-陽介、雪子、番長
陽介「そろそろ、眩しいぐらいになってきたな」
番長「ああ。これ以上日が昇ると、皆眠るのが難しくなってしまうだろう。体が太陽の光をある程度浴びると、意思とは無関係に目が覚めてしまうからな」
陽介「相棒は、体大丈夫か?ちゃんと眠れたか?」
番長「ああ。陽介のお陰で、一日しっかり動けそうだ」
雪子「┌(┌^o^)┐」
陽介「そっか。そりゃ何よりだ」
雪子「・・・ね、ねえ花村君」
陽介「ん?どした天城」
雪子「花村君は・・・う、ううん。何でもない」
陽介「?」
雪子「(やっぱり面と向かって聞くのもなんかきまずいし・・・どうしよう・・・)」
番長「・・・」
進みが遅いかと思いましたので展開を早めてみました。今回はここまで、次回は二日目、起床からです。
>>118-121 乙ありです
>>120 攻略対象でいうなら無印は直斗、Gならマリーですね。不問なら千尋さんか菜々子ちゃんです。
>>121-143 P3組でやるなら召喚機なし、アイギスの銃火器なしぐらいは必要ですね。P3の奴等が仲良く旅行して難破して・・・というのが全く想像つかないので、そもそも異世界ネタは必須だと思ってます。テレッテは明らかに作中で精神的に一番成長しているキャラなので、どこらへんの時間軸でやるかでも話が変わりそうですね。
>>141 ご指摘の通りです。
>>144 いいですねそれ。そうしましょう。
>>145 番長がいなきゃ始まらなくても、番長がいれば大丈夫というわけでもないんですよね。
チエチャンが一番好きだわ、Qのモーションも可愛すぎ
マリー?Gやってないから知りません
今更な質問なんだが、このクマは着ぐるみのクマなのか中の人(?)状態なのか
更新します
番長「皆、おはよう」
クマ「クマー・・・」
りせ「うー・・・」
番長「とりあえずみんなで川に行こう。一人一つ、これを持っていってくれ」
陽介「なんだ?これ」
雪子「そういえば、さっきからなんか作ってたね」
番長「木製の歯ブラシだ」
千枝「え、これ歯ブラシ!?」
陽介「こんなんで歯磨いたら血まみれになるんじゃね?」
番長「普段の要領でやってたらそうなるな。使い方は現地で教えるから、少しずつ上流に上がりながら、一人ずつ磨こう」
陽介「お、おう」
:::【川】:::
>-歯ブラシの使い方を披露した。
番長「素材がありあわせだから使い捨てになるけど、今やって見せたようにやってくれ」
りせ「あ、じゃあ私からやる」
直斗「・・・よくこんなこと思いつきますね」
番長「明治時代の初期ごろまでは、結構一般的だったんだぞ」
完二「そ、そうなんスか?」
番長「昔から、現代みたいな歯ブラシがあったわけじゃない。けど、昔の人だって歯の健康を気にはしていたんだ」
陽介「素直に関心するけど、なんでこんなこと知ってんのかはちょっと気になるところだよな」
千枝「ね」
番長「なんか、本で読んだ」
陽介「そ、そうか」
雪子「うち帰ってもやってみようかな。なんかこれ面白い」
番長「それはやめておいたほうがいい。昔の人が食べていたものは、現代ほど糖を含んでいなかったから、こういう歯ブラシで十分だったけど、お菓子や糖を含んだ飲料をよく摂取するようになった上、料理なんかにもよく砂糖を使うようになった現代だと、やっぱり今一般的な歯ブラシを使ったほうが良いよ。この歯ブラシはあくまで、軽く口内を綺麗にするぐらいのことしかできない。同じ木製でも、しっかりしたメーカーが作ったものなんかだと、良いものもあるみたいだけど、手作りのものはちょっと」
直斗「なるほど・・・であれば、逆にここの暮らしならこの歯ブラシで十分そうですね」
番長「そうだな。使い捨てになるし、作るのが少し手間だけど、完二なら教えればすぐ作れるようになると思うから、二人で分担して全員分作っていこう」
完二「うっス」
りせ「終わったよ~」
クマ「じゃあ次はクマクマ!」
雪子「どう?りせちゃん」
りせ「なんかちょっとスッキリしたかも」
番長「衛生面の問題もだけど、今りせが言ってくれたように精神的にリフレッシュ出来ると思う。歯磨きにはそういう効果もあるから。昨日できなかったとなると、なおさらな」
陽介「なるほど。そこまで考えてこつこつ作ってたわけね」
直斗「さすがですね・・・」
番長「全員終わったら、とりあえず完二のさらしをまた洗いなおして、乾かして巻きなおそう」
直斗「はい。すみません巽君、本当は取り替えたいところなのですが、それしかなくて・・・」
完二「お、おおおう。ぜ、全然いいぜ」
陽介「どもりすぎだろ」
完二「ううううっせーぞ!」
>-朝食
りせ「・・・」
完二「・・・食っとけ。もたねーぞ」
りせ「う、うん・・・」
番長「・・・」
直斗「やはり、この干し肉以外にも何か食べられるものを確保しておきたいですね」
陽介「だな。肉の里中でさえ、あんまり食えてねーし」
千枝「ちょ、ちょっと、肉のって形容詞みたいにつけないでよ。あたしは今、ちょっとだけ食欲ないだけだってば・・・」
番長「・・・果物とまではいかなくても、食べられる野草ぐらいはかき集めよう」
直斗「ええ」
雪子「けど、大丈夫?変な草拾ってきて、毒でもあったりしたら・・・」
陽介「オイオイ天城、相棒がいるだろ?」
番長「任せろ。日本に現存する植物なら大体わかる」
完二「すげーぜ先輩・・・」
直斗「言い切れるのは凄いですね・・・」
クマ「グマグマ」
陽介「お前は案外普通に食えてんな」
クマ「グマ?ん。野生動物とはいえ命は命クマよ。その命をもらったからには、クマ達は感謝して食べなきゃ駄目クマ」
陽介「なんの受け売りだよ」
クマ「ヨースケの部屋にあった漫画クマ」
陽介「漫画?あー、トリコか?」
雪子「か、かたい・・・」
陽介「天城も、こればっかりはきついか」
雪子「ごめん。なかなか普段、こんな硬いお肉食べないから・・・」
クマ「そーいうヨースケこそ、喋ってばっかりであんまり食べてないクマ」
陽介「お、俺はいんだよ俺は。普段から小食だろ?」
クマ「そうクマかー?」
>-・・・やっぱり、他に食べられるものが必要だな。
>-食後
番長「とりあえず、この周囲で必要な物を拾ってくる班と、遠出して雨をしのげそうな場所を探す班にわかれよう」
直斗「はい」
番長「午前中はその班ごとに行動して、昼食後に物資の集まり具合を基準に、その後どうするか話し合おう」
陽介「おう、いいと思うぜ」
雪子「うん」
番長「じゃあ班分けだけど、遠出する班は出来れば体力に自信がある人でかためたい。俺と陽介と里中、あと直斗に頼む」
陽介「わかった」
直斗「・・・はい」
番長「ここから遠出しない班は、天城にリーダーを頼む」
雪子「えっ、私?」
番長「いろいろ、頼む」
雪子「あー・・・うん、わかった」
番長「これは皆にお願いなんだけど、体調に何か異変を感じたら、すぐに他の誰かに連携するようにしてくれ。特に完二は、無理するなよ?」
完二「・・・ウス」
番長「こっちの班は俺、そっちは天城に従って行動してくれ。じゃあ、頼むぞ天城」
雪子「うん」
>-収集班 雪子+クマ、りせ+完二で行動中
りせ「・・・やっぱ、先輩、私のことちょっと避けてるよね」
完二「あぁん?何だよ急に」
りせ「・・・」
完二「・・・よくわかんねーけど、避けてんのはお前のほうじゃねえのか?」
りせ「・・・」
完二「・・・」
りせ「わ」
完二「お」
りせ「・・・かぶっちゃったね。完二から先言ってよ」
完二「お前からで良い。お前がふってきた話だろが」
りせ「・・・私のは、避けてるっていうか、先輩によりかかると、甘えちゃいけないことまで甘えちゃうと思うから・・・」
完二「そういうのを避けてるっつーんだろが」
りせ「そうかな・・・そうかも」
完二「・・・」
りせ「私と先輩って、付き合ってるわけじゃないからさ。私が一方的に好きなだけで」
完二「先輩だって、お前のこと好きだろ」
りせ「そういうんじゃないでしょ?仲間としてとかじゃなくて」
完二「・・・あぁ」
りせ「・・・なんか、一晩置いたからこそっていうか、あーほんとに遭難しちゃったんだーって実感沸いてきちゃって」
完二「・・・」
りせ「余計なこと色々考えだしちゃって・・・」
完二「・・・」
りせ「今甘えれば、先輩、私のこと受け入れてくれるかも・・・とか、卑怯なこと考えだしちゃう自分がいて、それが凄く・・・嫌なの」
完二「・・・」
りせ「・・・」
完二「良いんじゃねーか?甘えちまってもよ」
りせ「え?」
完二「いつもみてーに、のらりくらりとかわしてくれるぜ。あの人ならよ」
りせ「完二・・・」
完二「お前がいきすぎちまうようなら、俺も止めてやっから」
りせ「そ、そんなことまで、アンタにさせたくない・・・」
完二「あ?」
りせ「頑張りすぎなのよ!アンタも・・・先輩も・・・皆・・・!」
完二「・・・りせ」
りせ「こんな時にまで、私のそういう気持ちなんかで、余計な負担かけさせたくない!」
完二「オイ聞け」
りせ「・・・」
完二「余計ってこたねーだろ。こんな時だからよ、いつも通りやってみろや」
りせ「えぇ?」
完二「きちーんだろが。先輩に甘えねー、先輩を避けてる。んなーオメー見てる方も気使うぜ?」
りせ「・・・けど」
完二「けどじゃねんだよ。お前が先輩に露骨にふっかけてくのなんて、いつものことだろが。いつものことやってたほうが気楽になれる時だってあんだよ」
りせ「あ・・・」
完二「大体よ、俺にそんなことさせたくねーとか、お前らしくもねぇ。余計な気回して、一人で黙ってるお前見てるほうが、よっぽどめんどくせえんだよこっちは」
りせ「・・・」
完二「ダチだろ。俺等よ」
りせ「ダチ・・・」
完二「素直んなれや。お前馬鹿なんだからよ」
りせ「ば、馬鹿じゃないもん!アンタのほうが馬鹿でしょ!」
完二「あぁ馬鹿だよ俺は。悪ぃかよ」
りせ「う・・・」
完二「・・・それだ」
りせ「え?」
完二「遠慮してんじゃねえぞテメエ。いつもなら"開き直ってんじゃないわよ!"とか言ってくるところだろが。俺にまで遠慮してどうすんだ?先輩にも遠慮して、俺にも遠慮してよ。そんで黙ってんのかよテメエは。あぁ?」
りせ「・・・」
完二「いつもより静かなテメエ見てよ。こっちが良い気分になれっと思ってんのか?無理に決まってんだろ」
りせ「わ、私だっていろいろ考えてるんだよ!?先輩、つらーいって言いたいよ!でも、言ったら皆もつらくなっちゃうでしょ!?」
完二「だからって黙ってんのかよテメエ。それだと皆も黙っちまうだろ?」
りせ「そ、それは・・・」
完二「・・・駄目だ。俺ぁうまく言えねーや」
りせ「・・・」
完二「先輩なら気の利いたことの一つや二つ言えんだろうけど・・・だからよ、おめーもちっと先輩のこと頼れや」
りせ「でも・・・」
完二「いろいろ考えんのは仕方ねーけど、お前が黙ってたら、こっちだって気使うんだ。お前がほんとに黙っててえなら、それはそれで良い」
りせ「・・・」
完二「喋る元気ねーなら、それは仕方無ぇ。けど、なんか言いてえのに、先輩に甘えてえのに・・・皆のために我慢して、それで黙ってんなら、それは違ぇぞ」
りせ「でも・・・」
完二「でもじゃねえんだよ。何か言いたそうなのに、何か我慢してる。んなオメエ見たくもねえんだよこっちは」
りせ「・・・」
完二「・・・お前の言いてえことも解るけどな」
りせ「・・・え?」
完二「普段通りに、先輩に甘えてよ。んなオメエ見て、嫌な気分になる人がいるかもしれねえ。そう思っちまうんだろ?」
りせ「・・・うん」
完二「確かによ、こんだけ余裕の無ぇ状況だ。そういう人もいるだろ。こっちだって辛ぇのに、一人だけ大声出して辛がりやがって・・・そう思われんのは、怖ぇだろうよ」
りせ「うん・・・」
完二「俺等ん集まりだって、結局皆、人間だ。誰かがそういう気持ちになることだってあらあ」
りせ「だよね・・・」
完二「けどよ、お前が黙ってるほうが、皆心配すんだよ」
りせ「・・・」
完二「口から飛び出そうな気持ちおさえつけてよお、全然喋らねえし口も開かねえ。で結局、皆に心配かけてる。今のお前が黙ってるってのはそういうこった」
りせ「・・・」
完二「もちっと先輩のこと信用しろや。あの人なら、お前が何言ったって悪いようにはしねえよ」
雪子「やっぱり二人にして正解だったね」
クマ「何々?ユキチャンはクマと二人きりになりたかったんじゃないクマ?」
雪子「うん。全然違うよ?」
クマ「そ、そうクマか・・・」
完二「俺にもよ、気ぃ使わせろや。気ぃ使わせたくねーとか、そっちのが面倒なんだ。ダチだろ」
りせ「・・・ふふ。なんか、完二がダチとかいうと悪っぽい」
完二「わ、悪っぽいってなんだテメー!」
りせ「・・・ちょっと泣くから、見ないで」
完二「お、おう。わかった」
雪子「・・・私達も行こう」
クマ「あれ?もう見てなくて良いクマ?」
雪子「見ないであげたほうが良い事もあるの」
クマ「よくわからんクマ」
雪子「いいから行くの」
クマ「あ、ちょっとユキチャン。髪掴んだら痛いクマよ」
りせ「はー・・・」
完二「・・・」
りせ「もうこっち向いて良いよ」
完二「お、おう・・・」
りせ「・・・ありがとね。完二」
完二「・・・お前、目晴れすぎだろ」
りせ「え、嘘」
完二「マジだよ。オラ、バケツ持っといてやっから、ちっと顔洗え」
りせ「う、うん」
完二「終わったら急いで枝拾い行くぞ。全然拾えてねーからな」
りせ「うん・・・」
>-遠出班
直斗「・・・あるにはありましたね」
番長「これは・・・?」
>-洞窟があった。奥まで見渡せない・・・
直斗「熊か何かの住処でなければいいのですが」
千枝「熊・・・熊か・・・」
陽介「それシャレになんねーんだよな今・・・」
直斗「狭すぎても使い物にはなりませんが、こう広いと逆に怖いものがありますね」
番長「・・・調べよう。何か動物が住んでいるとすれば、その痕跡が間違いなくあるはずだ。あたらしめのな」
陽介「やっぱそうなるよな」
番長「仮にここが使えればかなり助かるんだ。念入りに調査しよう」
直斗「はい」
番長「陽介は俺と一緒に奥を見てこよう。里中と直斗は手前のほうを頼む」
>-たいまつで隅々まで照らしながら洞窟を調査した・・・
>-昼食
りせ「先輩おかえり!」
番長「・・・ただいま」
りせ「会いたかったー!」
千枝「・・・どしたの?これ」
雪子「私は何も。完二君がちょっとね」
千枝「そっか・・・」
雪子「なんかほっとするよね。りせちゃんが元気だと」
千枝「うん」
雪子「そっちはどうだった?」
番長「見つかったよ。拠点に出来そうな洞窟」
完二「マジスか?いいスね」
番長「念入りに調査したけど、何か動物が住んでる痕跡はなかったから、何かの住処になってるってことは無いとおもう。一応、午後からクマを連れてもう一度行ってくる」
クマ「クマクマか?」
番長「クマの鼻で、何かが住んでいるようなニオイが無いか調べて欲しいんだ」
雪子「なるほど」
りせ「当てになります?それ」
クマ「リセチャン失敬クマね!クマに任せんしゃい!」
りせ「ちょっと不安~」
クマ「アレレ?クマ信用無い?」
陽介「信用しろっつーほうが無理じゃねーか?けどま、俺等も調べたし、あくまで一応だしな」
雪子「私は信じるよ。クマさんの野生を」
クマ「や、野生?クマは野生のクマじゃないクマ」
完二「似たようなもんだろ」
クマ「失礼クマ!」
>-少し、皆の活気が戻ってきた・・・
陽介「・・・」
>-・・・?
番長「陽介?どうかしたか?」
陽介「え?いや、別に・・・」
番長「本当か?」
陽介「なんかちょっと疲れたかなーってだけだよ。まだ頑張れっから、心配すんなって」
番長「ならいいけど・・・」
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陽介と番長のくだりワロタ
|(^o^)|ホモォ…ゲフンゴフン