【ラブライブ!】逆襲のエリチカ (232)


部屋に光が差し込んできた、朝の弱い日差しでも寝起きの目には刺さる
「ん…」絵里は1つ伸びをする、睡眠は十分とれた

コンコン

ドアがノックされる

「少佐、お時間です」

わずかに緊張した女性の声がした、どうやら迎えがきたようだ

絵里「ええ、わかったわ」

まだ時間はあるのにと、絵里は少し嘆く


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403524900


絵里「そうだ」

そうつぶやくと、絵里は迎えにきた女性を部屋へいれた

絵里「あなたに1つお話を聞かせてあげようと思うの、私の昔の話なんだけど」

女性「ほ、本当ですか?!少佐の話を聞けるなんて嬉しいです!」

女性は嬉々とした表情を浮かべる
絵里はなんだか昔の亜里沙に似てるなと思い、絵里も少し嬉しくなった


絵里「私は幼い頃はバレエをしていたの、でも今日話すのは別の話。私が高校生の頃の話よ」

絵里「私は日本のとある高校に通っていた、私は友達を作るのが得意ではなかったけど、親友とまで呼べる友達もできた」

絵里「そして、3年生」

女性は、絵里が心の底から楽しいと言えるような青春を送ったことがわかった
だが一瞬、ほんの一瞬、絵里が悲しい表情を見せた理由はわからなかった


絵里「それは最高の毎日だったわ。互いにぶつかることもあったけど、いつもみんなの想いは1つで…」

絵里「まあこんなところかしら?そういえばガンダリウムが見つかったのもあの頃だったわね」

絵里「あれが見つからなかったら、日本とロシアは戦争を始めなかったのに…」

女性は絵里に尋ねる

女性「あの、その後はどうなされたのですか?」


絵里「そのあとは私は大学校へ、みんなはそれぞれの道を歩んでいったわ」

絵里「そして私は大学校を無事卒業、それで日本のA基地っていうところで働くことになったんだけどね」

バタン

今度はドアがノックもなく開かれる

女性2「エリー少佐、もうすぐ決戦のお時間です。何をなさっているのですか」

絵里「ごめんなさい、すぐ行きます」


絵里「…話はここまでね、帰ったら話の続きをしましょう」

女性「はい!貴重なお話ありがとうございました」

そして2人の女性は部屋から出ていった
部屋には絵里と朝の静寂だけが残った

絵里「…」

絵里は窓の外を見る

絵里「朝日はあの時と変わらず、綺麗ね…」


【ラブライブ!】逆襲のエリチカ

・シリアス系のラブライブss
・ガンダムの設定を使います
(大幅な改変あり)
・量産機が登場しますがジェガンとギラ・ドーガという機体で考えてください
・オリジナルの機体も登場します
・『』は無線での会話
・この作品はフィクションです、実在の人物、団体、事件とは一切関係ありません


ー北方基地ー

ここは日本、北海道にある、北方領土から最も近くに位置する基地
ロシアとの激戦地、北方戦線へと赴く兵士が駐屯している
ここには、とある2人の兵士もいた

海未「穂乃果、お茶です」スッ

穂乃果「ありがとう、海未ちゃん」

戦争の主力兵器が戦闘機からモビルスーツ(MS)へ移ると、日本では特別起動隊なる組織が設立された※1
特別起動隊に入隊すると、まずはMSについての基本知識、基本操作を教え込まれる
それから対MS訓練、飛行訓練などが行われ、それらを修了した兵士は北方基地で3ヶ月の軍務に服することとなる

彼女たちは今日がそれの最終日である


海未「穂乃果、聞きましたか?今度は九州の基地に人工衛星が落とされたそうです」

穂乃果「また~?最近多いね、もーアメリカは何やってるの!」

と、その時、基地内に緊急放送が鳴り響いた

放送「北方領土沖、ロシアのMS大部隊接近!出撃可能な兵士は直ちに出撃せよ!」

穂乃果「えー!今日が最終日だよ?!それなのに出撃?ついてないなー」

海未「仕方ありませんよ穂乃果、行きましょう!」

穂乃果「そうだね、よし!行こう!」

↑※1 貼り忘れ

モビルスーツ
高エネルギー結晶体ガンダリウムで作られたガンダリウム合金。その装甲板を採用しているMSはレーダーに映らず、ロックオンもできない。そのうえビーム兵器でしかまともにダメージを与えられないため、ガンダリウムが見つかってからというもの、戦闘機は主力兵器として姿を見せなくなった


ー海上ー

海未『穂乃果!無事ですか?!』

穂乃果『うん!敵の数も減ってきたね。一旦合流しよっか』

~数分後~

海未『穂乃果!無事ですか?!』

穂乃果『だから大丈夫だって、海未ちゃんは心配性なんだからー』

海未『ならいいのですが…』


海未『そうです穂乃果、あなた

穂乃果『海未ちゃん』

穂乃果の声が引き締まる、それに気づいた海未が周囲を見渡すと、1機のMSがこちらへ向かってくるのがわかった

海未『こちら側…ではありませんね』

穂乃果『うん、来るよ…!』

今までの相手とは違う、一目でわかる
赤い…いや、朱いMS
それはまるで一輪の花のような外見をしている
そして、朱いMSは2本のビームサーベルを両手に持った ※2

※2

ビーム兵器
ビームサーベルやのちに登場するビーム兵器は、ガンダリウムから生成された液状のエネルギー燃料を使用して発生させている
ちなみにMSの燃料も同じものである


穂乃果『海未ちゃん!』

海未『ええ!』

息のあった2人もビームサーベルを構え、一斉に飛び出す

ガキィン!

海未と朱いMSのビームサーベルが交差する、穂乃果はあっさりと受け流された


穂乃果「えーいっ!」

海未「はああっ!」

しかし、穂乃果は振り向きざまに横払いを、海未は高速の突きを繰り出す

海未「もらった!」

海未が勝ちを確信したその時

シュッ!

海未「消えた?!いや!上に…」

海未が上を見たとき、そこにはいつの間にか持ち替えられたビームピストルの銃口が向けられていた


海未「あ…ああ…」

海未の目は絶望に染まる
死ぬ、穂乃果を残して…いや、このあと穂乃果もやられるだろう
ならば最期、穂乃果のために何か…無理だ、さっきの動きでわかる、私たちが乗っている量産機ではスペックという大きな差があるのだ、今それをなくすことはできない
海未が死を受け入れようとしたその時、穂乃果は


ーー
ーーー


穂乃果「海未ちゃんがやられる!助けなきゃ!でもどうやって…」

「絵里先輩、μ'sに入ってください!」

穂乃果「あれ?これってあの頃の記憶…」

「先輩禁止!」

穂乃果「ああ…だからあのガンダムを最初に見たとき感じたんだ…」

「絵里ちゃーん!」

穂乃果「恐くて、かっこよくて、それでいて懐かしい…うん、全部が懐かしいね」

「穂乃果っ!」

穂乃果「絵里ちゃん…!」

ーーー
ーー


穂乃果「!」カッ!

穂乃果(外部音声に切り替えて…!)カチ

穂乃果「スーッ…」


穂乃果「絵里ちゃんやめてっ!!」


海未「え…?」

朱いMS「…」

朱いMS「…」シュバッ!

海未「行って…しまいました…」

穂乃果「はぁ…はぁ…はぁ…」


ー北方基地ー

上官「諸君、今日までの3ヶ月間よく働いてくれた。えー、諸君らはこれから各々の基地へ帰還することとなるが…」

海未(さっきのは一体…あとで穂乃果に聞かなければ)

穂乃果「…」


ー帰りの航空機内ー

海未「穂乃果」

穂乃果「…」

海未「穂乃果っ!」

穂乃果「はっ!ごめん海未ちゃん、どうしたの?」

海未「穂乃果、先ほどの戦い、助けてくれてありがとうございました」

穂乃果「ああ、あれね…どういたしまして」


海未「それとですね」

穂乃果「わかってるよ、あの朱いMSでしょ?」

海未「ええ、なぜあの時、穂乃果は絵里の名を…それにあのMSは穂乃果の声に反応して攻撃をやめました」

海未「…どういうことなんです?」

穂乃果「海未ちゃん、穂乃果あの時ね、海未ちゃんが死んじゃうって思ったの、そして穂乃果も死ぬんだなって思った」

穂乃果「そしたら頭の中で何かが起きたの、何を言ってるかわからないと思うけど…」

海未「かまいませんよ、私は穂乃果の話を信じています、続けてください」ニコ


穂乃果「ありがとう、そして一瞬気を失ったような気がして…次の瞬間、穂乃果には全部がわかった」

海未「全部…とは?」

穂乃果「見えないところがどうなっているのか、海未ちゃんの状況…死を覚悟してたよね、そして朱いMSのパイロットのこともわかった」

穂乃果「朱いMSのパイロットのオーラ、考えてること、直接見たわけじゃないけど顔だって一瞬見えた」

穂乃果「それでわかったんだ、あれは絶対に絵里ちゃんだった」

海未「…そうですね、実際にあの朱いMSは穂乃果の声で引いたのです、あれは絵里なのでしょう」


穂乃果「行方不明だった絵里ちゃんに会えた…海未ちゃん、私このことをみんなに教えようと思う」

海未「ええ、私も賛成です」

穂乃果「じゃあ東京に着いたら穂乃果がみんなにメールしておくね」

海未「わかりました」

海未「それと穂乃果、私たちは今疲れています、帰りの航空機くらい寝てましょう」

穂乃果「そうだね、穂乃果も疲れた…」

穂乃果(絵里ちゃん…私たちと音ノ木坂を守った絵里ちゃんが、なんでロシアに…)

2人は泥のように眠りにつく…


ー東京ー

東京に着いたのは夕方、陽は水平線の向こうに沈みつつある
穂乃果は海未に別れを告げると帰路についていた

穂乃果(そうだ、絵里ちゃんのこと、みんなにメールしなきゃ…これでよしっと)

しばらく歩くと穂むらに到着する


穂乃果「ただいまー」

穂乃果母「あら穂乃果!おかえりなさい…久しぶりね」

穂乃果「うん久しぶり。それより穂乃果、早くお母さんのごはん食べたいな」

穂乃果母「もうあなたったら…グス…何も変わらないのね」

穂乃果「どうしたのお母さん?穂乃果お腹すいたよー」

穂乃果母「はいはい、今用意するから」


穂乃果「あっ、雪穂ー!久しぶりー!ごめんね、穂むらを任せっきりで」

雪穂「お姉ちゃん…?お姉ちゃん…!」ダキッ

穂乃果「ん?どうしたの?」

雪穂「この…心配したよ…うわーん!」ボロボロ

穂乃果「え?雪穂?雪穂ってこんな性格してたっけ?え?え?」

雪穂「お姉ちゃんのばかぁ!いきなり日本を守るとか言い出して!北方戦線まで行って!ううう…」ボロボロ

穂乃果(そっか…みんな心配してくれてたんだよね)

穂乃果「うん、心配かけたよね…ごめんね」ギュッ


雪穂「もう行かないでよ、お姉ちゃん…私、お姉ちゃんが死んじゃったらどうすればいいの…」

穂乃果「雪穂…」

穂乃果「…私は日本を、音ノ木坂を守りたい、だから、この戦争が終わるまでは戦いたいの」

雪穂「…」

穂乃果「でも、私は必ず帰ってくる、絶対約束するから!ね?」

雪穂「うん…」

穂乃果「ありがと、雪穂」ナデナデ

この日、穂乃果は家族の暖かさを思い知った


ー穂乃果の部屋ー

穂乃果「ふー、やっぱり我が家は落ち着くなぁ、お風呂も自分の家のが一番だね」

穂乃果「おっと、メールがきてる。誰だろ…かよちゃんからだ」

穂乃果「えーっとなになに…ふむふむ…そっか…」


穂乃果「やっぱり凛ちゃんの消息が気になるんだね、かよちゃん」

穂乃果「ごめんね、凛ちゃんのことはわからないの…っと」

穂乃果「凛ちゃんか…あと、希ちゃんとも連絡とれないんだよね…やっぱりこの戦争と何か関係あるのかな?」

穂乃果(って、もうこんな時間か…幸せなときって時間が経つのが早いなぁ)

穂乃果「寝よ…」


ーー
ーーー


穂乃果「…ここはどこだろ?夢だよね?」

希「うちはμ'sにいたいんや」

穂乃果「あれは…希ちゃん?」

希「卒業は必ずしないといけない、そんなことわかってるけど…」

穂乃果「希ちゃんだ!おーい!」

希「みんなを守るためなら…!」

穂乃果「希ちゃんってばー!」

希「うう…もうだめや…えりち…」

穂乃果「希ちゃん!希ちゃん!」

希「助けて…」

ーーー
ーー


穂乃果「希ちゃん!!」ガバッ

穂乃果「はあ…はあ…なんだ、今の夢…まるで本当に希ちゃんが語りかけてくるような…」

穂乃果「う…頭が…」


ー西木野総合病院ー

「今夜は星が綺麗よ、雲ひとつない空…まるで宝石をちりばめたみたいね」

「…」

「初めて私の別荘に行ったときのこと、覚えてる?みんなでまくら投げしたわよね。私はあれが初めてだったんだけど、けっこう楽しかったわ」

「それに、あのときあなたに助けられたのよね、私はみんなと完全に打ち解けられてなくて…」

「私はまだあの恩を返しきれてないと思ってる、いつか必ず返すわ」

「まだ研修中の身だけど、あなたは私が治す…一生かかったとしても、必ずね」


つづく


ー東京B基地ー

穂乃果と海未が北方基地から帰還して数日後、B基地での訓練の日々が戻ってきた

穂乃果「海未ちゃんおっはよー!」

海未「おはようございます穂乃果。今日から再び訓練ですね、お互い気合いを入れていきましょう」

穂乃果「よーっし、がんばろー!」


海未「あ、穂乃果、先ほど伝わってきた知らせなのですが、今日よりC基地から援軍要請がくることがあるらしいです。そのときは我々も駆けつけねばなりませんので、わかりましたか?」

穂乃果「わかった、C基地は最後の砦って言われてるくらいだしね。ここが落ちたら東京は目と鼻の先だし、それにロシアの動きも最近活発だし」


海未「あともう1つ、私たちの北方戦線での活躍を見込んで、上官の方々が私たちに専用のMSを開発してくださるそうですよ」

穂乃果「うそ?!やったー!穂乃果あの量産機使ってて、燃料少ないなーって思ってたんだよねー、あとパワーももう少し欲しいなーって」

海未「私はビームライフルとビームサーベルなんていらないので、もっとよく切れる武器が欲しいと思っていました、あとはそれに見合った精密動作性ですかね」

海未「っと、ここでこんな話をしても無駄です。こういうのは直接上官にお願いしましょう」

穂乃果「そうだね。それじゃ今日も訓練がんばろっか!」


その時、放送が鳴る

放送「訓練中の兵士に告ぐ!C基地より援軍要請!ロシアのMS部隊が接近中のもよう!総員直ちにMSに搭乗したのち、輸送機に乗り込め!繰り返す…」

穂乃果「連絡がきたの今日だよね?」

海未「行きましょう!」


ーC基地付近ー

絵里『みんな、今回の目的はあくまで敵地の視察です、データが収集できたら直ちに撤退すること!いいですか?』

ロシア部隊『了解!』

絵里『もちろん必要とあらば戦闘を行ってもかまいません、それでは各員の武運を祈ってます』

絵里『作戦開始!』


輸送機の中、C基地まであと1kmほどの地点

放送『ハッチを開いた、総員出撃!』

穂乃果と海未も含めたMS部隊が順に飛び出していく
ここからは、MSで飛行して基地まで行くこととなる

穂乃果『海未ちゃん、あそこだよね?』

海未『ええ、あまり被害はないように見えますが…』


穂乃果「!」ピキーン

穂乃果『この感じ…いる…絵里ちゃんがいる』

海未『え?穂乃果、それは本当ですか?』

穂乃果『私、行ってくる!』

海未『あ、こら!穂乃果待ちなさ……行ってしまいました、後を追わねば』


ーC基地ー

日本兵士『なんだ!あの朱いMSは?!強すぎる…うわーっ!』

日本兵士2『3!4!あの朱いMSにジェットストリームアタックをしかけるぞ!』

日本兵士3、4『はい!』

日本兵士2『くらえ!』

絵里「目障りね…」

絵里は2丁のビームピストルを構え

ドン! ドン! ドン!


絵里(そろそろ引こうかしら…?)

絵里が撤退を考えたその時

穂乃果「待って!」

絵里「!」

絵里(ついてないわ…穂乃果、それにたぶんだけど海未も軍にいたなんて)

穂乃果「絵里ちゃんだよね?なんでこんなことしてるの?」

絵里「…」

穂乃果「なんでロシアといっしょに戦ってるの?ねえ!答えて!」


絵里「穂乃果」

穂乃果「やっぱり絵里ちゃんだったんだ…」

絵里「そうよ、正真正銘、絢瀬絵里本人よ」

穂乃果は心のどこかで絵里ではないことを願っていた、しかし真実は残酷だった


穂乃果「いや、今はそんなことより、なんで絵里ちゃんがこんなことをしてるのか、それを聞きたい…答えて!」

絵里「戦うのに理由が必要なの?…もし、戦うのに理由がいるとしたら、この私の怒りこそが理由かしら」

穂乃果「え…?それってどういう…」

絵里「穂乃果、私は今忙しいの、どいてもらえる?」

穂乃果「だめだよ!絵里ちゃんは連れて帰る」

突然ですがトリップ変えます…
予測変換なんてしなければよかった…

↑なんでもないです、勘違いです


絵里「そう…なら」

絵里はビームサーベルに持ち替え…

シュッ!

絵里(斜めに挟み込むような斬撃、上下左右どこに避けても斜めだから必ず当てられる、距離をとっても勢いでそのまま切り捨てる…かわせるかしら?)

穂乃果「!」カッ

穂乃果「えいっ!」バッ!

絵里(なにっ?!つっこんできた?!)


ガンッ!

穂乃果は絵里の不意をつき、強烈なタックルを決める
さすがの絵里もこれは避けられなかった

絵里(やるじゃない…なら!)

絵里「私の早撃ち、よけきれるかしら?!」

ドドドドドドドドドドン!

スッ スッ スッ

絵里は愕然とした
穂乃果の動きが先日とは別人のように違ったからだ

絵里(無駄のない、必要最低限の動きでかわされた…まさか穂乃果、あなたは…)


海未「穂乃果!穂乃果ー!」

穂乃果「海未ちゃん!」

絵里「はあっ!」シュッ!

穂乃果「あ、逃げられちゃう!追わなきゃ!」

海未「無理です、いくら穂乃果の動きがよくても機体のスペックに差があります、穂乃果が生きていただけでもよしとしましょう」

穂乃果「…そうだね」

穂乃果(絵里ちゃん…)

海未「それにしても基地はほとんど被害を受けてませんね、攻撃してきたわけではないようですが…」


ーロシアの母艦ー

絵里「これがC基地のデータです、この地形なら可能かと」

ロシア上官「そうだな、ご苦労だった、今日は休んでいいぞ」

絵里「はい、ありがとうございます」

絵里(穂乃果はおそらく…)

絵里(ニュータイプ(NT)になった)


つづく


ーB基地ー

絵里たちのC基地襲撃から数日が経過した
絵里たちの襲撃を除けば、今日までは平和である

穂乃果「今日もはりきっていこー!」

その時、放送が鳴る

放送「訓練中の兵士に告ぐ!C基地より援軍要請!ロシアのMS部隊が接近中のもよう!総員直ちにMSに搭乗したのち、輸送機に乗り込め!繰り返す…」

穂乃果「またか…」

海未「行きますよ!」


ーC基地ー

絵里「はああっ!」

ザシュ! ザシュ! ザシュ!

「な…に…」
「はや…い」
「化け物め…」

ドガーン!

絵里「雑魚は集まっても雑魚ね」

絵里(さて、穂乃果は来るのかしら?ん、あれは…)

2機のMSが絵里の方へと近づいてくる、もちろん穂乃果と海未である


穂乃果「絵里ちゃん!」

海未「絵里、あなた…」

絵里「何度でも来るのね、いい加減にしてくれない?しつこいわよ…?」

穂乃果「それは無理だよ。任務だし、絵里ちゃんにはまだ聞きたいこともあるし」

海未「そうです。1度絵里とは話し合わなければなりません!」

絵里「そう…まあいいわ、今日は別の子が相手をしてくれるから…そろそろね」

穂乃果「別の子…?」


ダッダッダッダッ…

海未「穂乃果っ!何か来ます!」

ダッダッダッダッ!


?「少佐ーーー!!!」


穂乃果「うるさっ!?」

海未「この声はまさか…」


絵里『ちょっと凛!外部音声になってるわ!』

凛『ごめんごめん、それでさっそくこの基地を潰せばいいんだよね?』

絵里『ええ、凛のMSに勝てる相手なんていないわ、やってちょうだい!』

凛『了解!凛の ξ・クーンにかかれば朝飯前だよ!』


穂乃果「!」ピキーン

穂乃果「凛ちゃん!」

海未「そのようです、凛!」

凛「…」

海未『穂乃果、どうやら凛には外部からの音は聞こえないようです』

穂乃果『そうみたいだね…ってそれよりも…』

海未『ええ、凛のMS…と言ってもいいのでしょうか?四足歩行で尻尾のようなものもついている』

穂乃果『あとは耳みたいなのもついてるね。それと大きさ…80mはあるよ』

海未『ええ、100mくらいでしょう。それに毛が逆立っているように見えるあれ…全て砲台です』


凛「レッツゴー!!」

ξ・クーンは走りだす
速い、あの巨体であのスピード、それはどんな兵器より恐ろしいかもしれない
そして ξ・クーンはあっという間に基地のフェンスを突き破り、基地内を蹂躙しだす

日本兵士『あいつを落とすぞ!一斉射撃だ!01部隊ライフル構えー!』

日本兵士2『02部隊も続くぞ!ライフル構え!』

『『撃てーーーっ!!』』

ビュビュビュゥゥゥン!!

2つの部隊、総勢20人による一斉射撃は全て命中したが ξ・クーンはまったく応えない
それどころか ξ・クーンの装甲にはほんのわずかな傷すらついていなかった


凛「あーかゆいかゆい」

ξ・クーンは身震いのような動作をとる、するの大量の何かが空中にばら撒かれた

バラララララ…

日本兵士「なんだこれは?クラッカー(手榴弾)か?!」

ドガン! ドガン! ドガン!

日本兵士「ふんっ!こんなもの効くか!」

凛「ふふ、クラッカーでダメージは与えられないけど~」

凛「!」カッ!

ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン! ビュン!

ドッガーーーン!!!

凛「動きを抑制したり、視界を悪くしたりはできるよね!」


凛「…さて、基地も潰しちゃおっか~」

ドシン…ドシン…

ξ・クーンによって壊滅していく基地、それを見て穂乃果と海未は呆然としている
絵里はすでにどこかへ行った

穂乃果「…」

海未「…」

ザザッ

無線『生きている兵士に告ぐ!C基地から撤退!撤退だ!輸送機に戻れ!』

海未『穂乃果っ!撤退だそうですよ!穂乃果!』

穂乃果『あっ、うん!撤退しよう!』


ーB基地ー

気まずい空気が漂っている
最後の砦ともいわれたC基地は落ちた
そして凛のこと…凛もロシアにいた

穂乃果「…」

海未「…」

穂乃果(そうだ、こういうときは穂乃果がなんとかしなきゃ!何か話題は…)


穂乃果「海未ちゃん海未ちゃん」

海未「…はい」

穂乃果「海未ちゃんは造ってもらうMSの名前は決めたの?」

海未「名前ですか?なぜです?」

穂乃果「だって量産機じゃないんだよ?自分だけのもの、それに戦地では一心同体なんだし名前くらいつけなきゃ」

海未「それもそうですね」


海未(うーん、弓矢は使えませんし…ラブソードスラッシュ?いやいやいや!そんな高校生じゃあるまいし)

海未(ああ、そういえば今夜は十六夜でしたね)

海未「穂乃果、決めました」

穂乃果「おお!なになに?」

海未「イザヨイです」

穂乃果「へー、かっこいいね!てっきりラブソードスラッシュとか言うと思った」

海未(危ないところでした…)


海未「そういう穂乃果は決めたのですか?」

穂乃果「うん、μガンダムっていうの!」

海未「はは、穂乃果ならそう名付けると思いました」

穂乃果「え~?!そんなに穂乃果ってわかりやすいかな?」

海未「ええ、今も昔もそうですよ」

穂乃果「うそ~!そんなぁ!」


海未「…穂乃果」

海未は少し沈んだ顔をする

穂乃果「ん?どうしたの?」

海未「穂乃果は、穂乃果はずっと穂乃果のままでいて下さいね?」

穂乃果「…うん!わかってるって海未ちゃん!」

海未「いつの日かまた、μ'sで集まれる日がきて欲しいです…」

穂乃果「海未ちゃん…」

穂乃果(そっか…海未ちゃんは昔の仲間が敵になって、それがとっても辛かったんだね…)

それから穂乃果は何も言わず、そっと海未の肩を抱いてあげた


ー穂むらへの帰り道ー

穂乃果「じゃあ海未ちゃん、凛ちゃんのことも穂乃果がみんなに伝えておくから」

海未「ええ、お願いします。それでは」

穂乃果「またねー」


ー穂むらー

穂乃果「ただいまー!」

穂乃果たちは基本的に基地で過ごすので、穂むらに帰るのは一週間ぶりである

雪穂「お姉ちゃんおかえり、お風呂沸いてるよー」

穂乃果「ありがと、それじゃ入っちゃおうかな?ふふ、雪穂も入る?」

雪穂「なっ、何言ってるの?!小学生じゃあるまいし!…まあ入ってもいいけどさ…///」

穂乃果「あー、やっぱり我が家が1番!」

雪穂「って聞いてないし…」


ー穂乃果の部屋ー

穂乃果「送信…これでよしっと、あと行方がわからないのは希ちゃんだけか…そういえばあの夢はなんだったのかな?」

穂乃果「まあいいや、疲れたし寝よーっと」


ー東京のとある保育園ー

園児「はなよせんせい、さようなら!」

花陽「はい、また明日ね」ニコ!

彼女は小泉花陽、とある保育園で働いている

花陽「よし、これで今日のお仕事も終わりっと…あれ、メール来てたんだ」


花陽「…え?凛ちゃんが…見つかった…?」

ゴト

花陽は驚愕のあまり、携帯電話を落とした

花陽「う…うう…凛ちゃん生きてた…嬉しいなぁ」ポロポロ

スッ

花陽は落とした携帯電話を拾う

花陽「ええ?でもロシアの軍にいたの…そんな…」

花陽「…よし!」

花陽は何かを決意した


ー東京のとあるアパートー

にこ「あー、今日も疲れたわー」

彼女は矢澤にこ、日本では知らない人もいないくらいのアイドルである
幼女、いや、少女と見間違えてもおかしくはない可愛らしい外見をしている

にこ「ん?メールだわ、プロデューサーかしら?」

にこ「穂乃果から…絵里を捕まえでもしたのかしら?……なっ!今度は凛ですって?!」

にこ「これは…つまりそういうことね!」

にこも何かを決意したのだった


つづく


ーとあるライブ会場ー

にこ「ぴょんぴょこぴょんぴょん♪かーわいいっ♪」

にこ「髪の毛がはねてぴょんぴょこー♪」

にこ「痛さも本気ー♪悪いか本気さー♪」

にこ「それーがーにーこーの♪」

にこ「女子道ー♪」


にこ「イェーイ!今日はみんな集まってくれてありがとー!にこ、嬉しいにこ~!」

\ ワーワー! ニコチャーン! カワイー! /

にこ「でも~今日はにこが、だぁーい好きなみんなに~大事なお知らせがあるの」

\ ザワザワ… ナンダナンダ…/

にこ「…にこは」

シーン

にこ「にこは今日でアイドルを卒業します!!」

\ ウワー! ナンデ! ソンナ! /


にこ「ごめんなさい!でも、にこの友達が…にこの友達が、今すっごーく困ってるの!」

にこ「だからにこは行かないといけないの!みんなにこを許してください!」

………

\ ガンバレー! カエッテキテ! カワイー /

にこ「うう…みんな、ありがとう!ほんとにありがとう!」

にこ「それじゃあ最後に1曲聞いていってください…」

にこ「にこにーにこちゃん!」


ーB基地ー

ξ・クーンにC基地が壊滅させられて数日が経ち、ようやく海未にも元気が戻った頃

海未「穂乃果、今日は2つお知らせがあります」

穂乃果「おー!なになに?」

海未「1つ目はいい知らせです。私たちの専用MSが完成したそうです」

穂乃果「やったー!!よし!今すぐ見に行こう!」

海未「ええ?今すぐですか…あ、ちょっと穂乃果、手をはなしてくださーい!」


そして格納庫に到着する2人

穂乃果「おお…これが私のガンダム!」

海未「見た目もなかなかですね」

穂乃果のμガンダムは一言で表すなら太陽
白のベースにオレンジ色で塗装されている
背中には6つの三角形の何かがついており、それがより太陽のように見せていた
燃料は量産機の1.5倍ほどある


穂乃果「すいません、あの三角の6つついてるものはなんですか?」

兵士「あれはフィンファンネルですね」※3

※3

フィン 放熱
ファンネル 精神感応型無線誘導式起動砲台

フィンファンネルは放熱板の役割も果たしている


穂乃果「あれがファンネルか」

海未「あの、ファンネルとは…?」

穂乃果「それはね、最初にC基地に行ったあと、穂乃果、上官に呼び出されてさー」

穂乃果「脳波?を見るとか言われてさ、それで君ならファンネルも使えるって言われたんだよね」

穂乃果「それでファンネルっていうのは空中に浮いて敵を撃ってくれるんだよ!すごいよね!」

海未「それはすごいですね」


海未(…ん?どうやって動かすのでしょう?)

海未「穂乃果、どうやってファンネルは操作するのですか?」

穂乃果「それは穂乃果が念じれば動くんだって」

海未「信じられません…」

穂乃果「だよね、まあ使ってみないことにはわからないけど」


穂乃果「それより海未ちゃんのMSだよ!」

海未「ええ、私の希望通りのできのようです」

海未のイザヨイは甲冑からずんぐりした感じを取り去ったような外見だ
全身藍色で塗装されていて、日本らしい雰囲気が出ている
左腕部には盾が装着されており、武器のヒートソードを両手で持てるようになっている


穂乃果「そういえばイザヨイの武器は何なの?」

海未「ヒートソードと呼ばれる剣です。これはビームサーベルより扱いが難しいらしいのですが、サーベル以上の切れ味をほこるそうです」

穂乃果「へー、海未ちゃんにぴったりだね!」

海未「ええ…おっと穂乃果、いつまでもここにいるわけにはいきません。帰りますよ」

穂乃果「はーい!」


穂乃果「そうそう海未ちゃん、もう1つのお知らせっていうのはなんなの?」

海未「それはですね…まあ、仲間が増えるというのはいい知らせでしょう、2人ともこちらへ来てください」

そして現れた2人

穂乃果「ええーっ?!にこちゃんとかよちゃん!」

にこ「久しぶりね、穂乃果」

花陽「ふふ、お久しぶりです」


穂乃果「にこちゃんはまだしも、かよちゃんが軍に…」

にこ「ちょっと!それどういう意味よ?!」

穂乃果「いや、これはスーパーアイドルのにこちゃんなら軍にいてもおかしくないけど、あのかよちゃんは意外だなーってことで…」


穂乃果「あ、そういえばにこちゃんアイドルは?それにかよちゃんも仕事とかあるんじゃないの?」

花陽「私は有給をとりました」

にこ「にこはアイドルならやめたわ」

穂乃果「え?それでよかったの?」

にこ「ええ、もう少しがんばってもよかったけど、そろそろ潮時だと思ってたし、それに仲間のためだし…」


にこ「それより!絵里と凛はどうなってるのよ?」

花陽「そうです!絵里ちゃんと凛ちゃんは…?」

海未「すみません、2人はまだロシアにいます」

海未「ニュースは見ましたか?先日のC基地襲撃、あれは凛の仕業です」

花陽「あれを凛ちゃんが…」

海未「ええ、嘘をついても仕方ありませんので…」

花陽「…大丈夫です」

海未「そうですか、花陽も成長しましたね」


海未「それでは今日から2人にも訓練に参加してもらいますよ。ちなみに2人は特別に入隊した身ですので北方基地へは行かなくて大丈夫です」

海未「まずは花陽です、まず基本を覚えてから一般の兵士と同じ訓練をしてもらいます」

海未「それと花陽には対 ξ・クーン作戦に私と参加してもらうので、訓練 特別演習を毎日こなしてもらいます」

海未「まあ特別演習と言っても簡単な操作を覚えるだけですので安心してください」


海未「次ににこです、基本を覚えて一般の訓練、ここまでは花陽と同じです」

海未「そしてにこには」

にこ「にこには?」

海未「このトレーニングメニューを毎日こなしてもらいます!」ピラッ

メニュー表には恐ろしいトレーニングプランが書かれていた

にこ「なっ、何よこれ?!こんなの毎日してたらにこ、筋肉の塊になっちゃうわよ!」

海未「仕方ないですよ、にこには特別なMSに搭乗してもらいますので」


海未「まず特別に入隊できただけでもありがたいと思ってください、量産機といってもいきなり用意できるわけではないのです」

海未「ちなみに花陽にはロシアの量産機を鹵獲して改造したものに乗ってもらいます」

海未「…と、そろそろ訓練も始まりますね。みんな!今日もはりきっていきますよ!」

穂乃果花陽「おー!」

にこ「おー…」

久しぶりに4人だけ揃ったμ's
海未はそれだけのことでも、最近起きた出来事の中では一番嬉しいことだった


つづく


ーB基地ー

軍ににこと花陽が入って半月以上が経った頃

にこ「ふんっ!ふんっ!」

にこ「はあ…終わった終わった、これで今日のメニューも達成ね」

海未「素晴らしいですよにこ。最初はあんなにばてていたのに、今となっては見違えます」

にこ「まあ、このにこちゃんにかかれば楽勝よ。それより花陽の特別演習のほうはいいの?」

海未「ええ、花陽のほうも順調ですので」


海未「そうだ、にこもそろそろ専用のMSに搭乗してみたくはないですか?もう体も十分鍛えてありますし大丈夫でしょう」

にこ「そうなの?なら乗ってみようかしら?」

海未「わかりました、それでは明日には準備しますので楽しみにしててください」

にこ(あれ?なんだか嫌な予感が…)


そして次の日…

穂乃果「あれがにこちゃんのMSかー」

にこ「へえ、悪くないわね」

海未「レインリヴというらしいです」

レインリヴには大きな特徴が3つあった
1つ目は丸みを帯びた装甲
2つ目は肩と腰のあたりについた2対の翼
そして3つ目は背中についた2つの特大バーニアだ
正面からレインリヴを見ると両肩から覗いている2つのバーニアがツインテールに見えなくもない
塗装は白いベースに黒とシンプルなデザインだ


海未「ここが操縦席です」

にこ「へー、このイスふかふかじゃない。まあにこも毎日筋トレがんばったんだからこれくらいしてもらわないとね」

海未「これが説明書です」

にこ「えーと、なになに…」

海未「みなさん!危ないのでMSに乗るか建物の陰などに避難してください!」

にこ「ふむふむ…なるほどね」


花陽『海未ちゃん、レインリヴってどんなことができるの?』

海未『見てればわかります…ほら!』

にこ「レインリヴ発進よ!」

シュィィィィン…ドゴアアアッッ!!!

にこ「ぎゃー!なによこれ!苦しい!」

穂乃果「はやーい…」

花陽『ええ?!速すぎて見えなかったよ?!海未ちゃん、にこちゃんは大丈夫なの?』

海未『前にあれに乗った人は気絶したくらいですからね、どうでしょう』

にこ「さ、殺人的な加速だわ!!」


数分後

にこ「ぜえ…ぜえ…」

海未「大丈夫でしたか?にこ」

にこ「なわけないでしょ?!アンタ私を殺す気?」

海未「ですが、あれは使いこなせば一瞬で敵部隊を壊滅させられるほどの可能性を秘めているのです。それににこしか乗れるパイロットはいません、乗ってくれませんか?」

にこ「…はあ、しょうがないわね、乗るわよ」

海未「ありがとうございます!これで日本の戦力も一気に増えたようなものです!」

穂乃果「にこちゃんあれに乗るんだ…」

花陽「すごいね…とっても」


そして一週間ほど経ったある日

にこ「はああっ!」

バン! バン! バン! スカッ バン!

海未『すごいですよにこ!5個中4個のバルーンを切りました!』

にこ『まあにこにかかればレインリヴを乗りこなすのも簡単だったわ』

穂乃果「わあ!にこちゃんすごい!」

花陽「まさかあれを乗りこなしちゃうなんて…」


にこと海未がMSからおりてくる
にこは顔色一つ変わっていない、レインリヴの超スピードにも慣れたようだ

海未「みんな、聞いてください」

穂乃果「なに?」

海未「この間、C基地が壊滅したのは覚えてますね」

にこ「もちろんよ」

海未「それで次に危ないのはA基地です。上もそう判断したようで、今度はA基地から援軍要請がくることがあるそうです」

海未「あれから1ヶ月が経とうとしていますし、いつロシアが攻めてきてもおかしくありません。みなさん気を引き締めておいてくださいね」

花陽「はい!」


すると例のごとく放送が鳴る

放送「訓練中の兵士に告ぐ!A基地より援軍要請!ロシアのMS部隊が接近中のもよう!総員直ちにMSに搭乗したのち、輸送機に乗り込め!繰り返す…」

穂乃果「来ると思った!」

にこ「出撃ね!」

花陽「がんばりましょう!」

海未「花陽!おそらく凛は今回も来ます!作戦を確認しておいてください!」

花陽「はい!」

花陽(凛ちゃん…待ってて!)


ーA基地ー

絵里『凛はそっちから攻撃を!私たちはこっちからいく!』

凛『りょーかい♪』

絵里『よし01,02,03小隊行くわよ!』

ヒュン!

その時、何かが絵里の近くを通り過ぎた

ロシア兵士「今何か…」

ドガーン!

絵里「何?何が起きたの?!」


キラッ

絵里「何か光った…?」

ヒュン! ズババババッ!

ドガガーン!!

絵里(新手のMSか…)

絵里『みんな、新手のMSよ!気をつけて!』

絵里は一対のビームサーベルを構え、防御姿勢をとる

キラッ

絵里(来る!)

ヒュン! ガギィン!

絵里(このまま攻撃され続けるわけにもいかないわね)


絵里『凛!聞こえるかしら?』

凛『はーい?』

絵里『めちゃくちゃな速さのMSがいるの、撃ち落としてちょうだい』

凛『はいなー!』

凛「…」

凛「!」カッ!

凛「そこか…落ちちゃえー!!」

ビュイーン!

………


穂乃果「ったく~、にこちゃんったら先に行っちゃうなんて、速すぎるよ」

穂乃果「!」ピキーン

穂乃果(にこちゃんが危ない!)

穂乃果『にこちゃん!よけて!!』

にこ『はあ?よけるって何からよければいいのよ?…えいっ』

にこは少し困惑しながらも機体を前進させた


ビュイーン!

にこ『えっ?今のどこから?!』

穂乃果『凛ちゃんだよ!』

にこ『ええ?!あの子が?この距離で?って今のでバーニアに損傷が…』

穂乃果『にこちゃん、レインリヴはもともと長期戦に向いてないし、にこちゃんは十分すぎる働きをしてくれた。今回はもう基地に戻って』

にこ『…そうね、そうするわ。絵里と話もしたかったけど仕方ないわね。穂乃果、あとはまかせたわ!』

にこはそう言うと基地の方へ戻っていった


穂乃果「さてと、絵里ちゃんは…いた!」

穂乃果は少し遠くに絵里を見つけた
絵里が率いる部隊のMSの数は、にこによってわずか3機にまで減らされている

穂乃果「絵里ちゃん」

絵里「あら穂乃果、専用のMSを造ってもらったの?よかったじゃない」

穂乃果「絵里ちゃん、今日こそは全部話してもらうよ」

絵里「懐かしいわ、ここは私が働いていた基地でもあるのよ」

穂乃果「え?それで何が」

絵里「ふふ、踊らされてるわよ?」

穂乃果「…っ!」


絵里「ま、私に勝ったら話してあげてもいいけど」

穂乃果「絶対だね?」

絵里「もちろん」

穂乃果「…わかった」

2機のMSから殺気が放たれる

絵里『あなたたちは手出ししないで』

兵士たち『り、了解!』

穂乃果「穂乃果は負けないから」

絵里「私だってそのつもりよ」

………


海未『花陽、見えましたよ』

花陽『あれに凛ちゃんが…』

基地では ξ・クーンと日本のMS部隊が戦闘している
MS部隊は ξ・クーンに攻撃をしかけるも、そのほとんどは効いていないようだった
それに対し ξ・クーンは、正確無比な射撃で次々にMSを撃ち落としていく
戦場はまさに地獄というのにふさわしかった

海未『あれでは蛾が火に飛び込むのと同じです…花陽!行きますよ』

花陽『はい!』


凛「!」ピキーン

凛「誰か来る…これは…」

『ザ…ザザザ……ん』

凛「ん?」

『り…ちゃザザ…んちゃん』

凛「この声…」

花陽『凛ちゃん!凛ちゃん聞こえる?私だよ!花陽だよ!』

凛「な、なんでかよちんがここに…それに凛がいることも…」


凛『かよちん、なんでこんなところにいるの?邪魔だから帰って!』

花陽『凛ちゃんを連れ戻しに来たの!帰るわけにはいかない!』

凛『そんな!だいたいなんで凛がロシアに行ったのかも知らないのに、勝手なこと言わないでよ!』

花陽『うう…でも!凛ちゃんなら昔からの友達がいきなりいなくなったらどう思うの?私、すごく悲しかったんだよ…?』


凛「…」

花陽「…」

しばらくの沈黙があった、すると

海未『花陽、凛から離れてください!』

花陽『あ、はい!凛ちゃんごめん、ちょっとだけ我慢して!』バッ

凛「え?!」

花陽は凛から距離をとる


凛(まさか、さっき話してる隙に何かされた?!機体に損傷は…ない)

ブーッ! ブーッ! ブーッ!

凛「え?これはオーバーヒート?!」

凛(そうか…かよちんは時間稼ぎで、その間に ξ・クーンを熱する準備を…)

凛「あーあ、やられちゃったよ。絵里ちゃんごめんね」

ガクン…

そして ξ・クーンは機能停止した

………


穂乃果「えーいっ!」

絵里「はあっ!」

ガキィン! バッ

穂乃果「やるね絵里ちゃん」

絵里「今回は本気だもの」

絵里(まずい、穂乃果のほうが1枚上手…このままじゃ…)


穂乃果「そろそろ終わりにするよ!」

絵里「…やってみなさい」

穂乃果「行けっ!フィンファンネル!」

バシュ! バシュ! バシュ! バシュ!

4つのフィンファンネルが発射された
ファンネルたちは絵里を取り囲む
すると絵里は…


ーー
ーーー


「えりちー!」

「なんでここに?!」

「うちなら大丈夫…」

「無理はしないで!」

「…」

「…っ!」

ーーー
ーー


絵里「!」カッ!

絵里「ファンネル…?まだそんなものを…」

絵里「あなたたちは…あなたたちはぁ!!」

ブワアアァァァ!!

穂乃果(うわぁ…手が、体が動かない!何これ?!絵里ちゃんから、どす黒い何かが溢れ出てる!なんていうの?プレッシャー?そう、ものすごいプレッシャーが…)


ロシア兵士『エリー…少佐…?』

ロシアの無線『総員に告ぐ! ξ・クーンが墜ちた!退却しろ!』

ロシア兵士『はっ!エリー少佐、退却ですって!行きますよ!』

兵士は絵里のMSを連れて行こうとするが

絵里「離しなさい!!」ズバッ!

ロシア兵士『きゃああ!』

ロシア兵士2『仲間に攻撃するなんて…おい!少佐を連れてくぞ!』

ロシア兵士3『おう!』ガシッ!

2機がかりで絵里のMSを拘束する
しかし、絵里はそれでも抵抗した


絵里「離せ!離しなさい!じゃないと切るわよ!」

ロシア兵士2「おい、日本のパイロット!今はそっちも引け!」

穂乃果「ロシア語はわからないけど、言いたいことはわかった。早く退却しなきゃ…でも体が…」

海未「穂乃果!」

作戦を終えた海未が駆けつけた

海未「何をしてるのです?!よくわかりませんがまずい状況なのでしょう?引きますよ!」ガシッ!

穂乃果とμガンダムは海未のイザヨイに支えられ、退却した


つづく


ーB基地ー

ロシアによるA基地襲撃を退け、B基地に帰ってきた穂乃果たち4人
今日の成果はとても大きかった

海未「やりましたね、あの ξ・クーンを墜とせるとは」

にこ「ええ、これで日本もしばらく安泰かもね」

穂乃果「…」

穂乃果は絵里のことを思い出していた
絵里にあった変化…自分と何か似ていた
そして絵里の放った言葉、あれは…


海未「…穂乃果、今日はもう休んだほうがいいですよ」

穂乃果「そうだね、そうする…」

海未「さあ、早く寮へ。上には私が言っておきますから」

穂乃果「うん」

穂乃果は1つ返事をすると自分の寮へ歩いていった

海未(さて、穂乃果のことを上に伝えねば)

海未(…そういえば凛の身柄はどうしましょう?)

今、凛は眠らされイザヨイの中にいる


花陽「海未ちゃん」

海未「はい、どうしました?」

花陽「あの、凛ちゃんのことなんだけど」

海未「凛のことなら私も考えていたところです。このまま上に渡してもいいのですが」

花陽「その、凛ちゃんを…私にください!」

海未「結婚でもするのですか?」

花陽「ええ?!いや、そんなつもりで言ったんじゃなくて!///」

海未「ふふ、冗談ですよ」


海未「…そうですね、わかりました。凛は花陽、あなたに託します」

花陽「ほんとですか?!」

海未「ええ。ですが、念のためにしばらく手錠はつけておいてください」

花陽「はい!ありがとうございます!それと、私のことなんだけど…」

海未「ああ、そうでしたね。花陽、今日までお疲れ様でした。凛のことは任せましたよ」

花陽「はい、お世話になりました。穂乃果ちゃんにもよろしく言っておいてください」

そして花陽は隊を抜けた

………


凛「…ん?」

凛が目を覚ますと、そこには見知らぬ天井が…いや、凛は知っていた
部屋を見渡す、やはり凛はこの部屋を知っている、昔よく来ていた場所だからだ

凛「ここ、かよちんの部屋…」

細かいところまで同じというわけではないが、ここは間違いなく花陽の部屋だ
安心する…凛の奥底に眠っていた記憶が凛をそうさせた

スタスタスタ…

凛「!」

誰か部屋に近づいてくる
凛は直感的に寝たふりをした


ガチャ

花陽「凛ちゃん、入るね」

部屋に入ってきたのは花陽だった

花陽「凛ちゃんまだ寝てるの…?そっか疲れてるもんね」

花陽は凛が寝ていると思っているが、それでも語りだす

花陽「私ね、凛ちゃんとまた会えて嬉しいの。もう一生会えないんじゃないかって思ったこともあったし」

凛「…」


花陽「なんで凛ちゃんがロシアに行ったのか、私にはわからない。どうしても行かないといけない理由があったのかもしれない」

花陽「でもね、次からそういうことがあったら、花陽にも一声かけてほしいな。私ね、ほんとうに寂しかったんだよ?」

ポタ…ポタ…

花陽の目はいつの間にか涙でいっぱいになっていた
あふれだした涙は頬をつたっては落ち、つたっては落ちていく

凛(かよちん…)

凛は今さらだが、花陽に申し訳ない気持ちでいっぱいになった


花陽「…凛ちゃん、またあとでね。おなかが空いたらこれ、よかったら食べて、私の作ったおにぎりだよ」

そして花陽は部屋を出ようとする
すると

グゥ~

花陽「えっ?!」

凛「かよちん、おはよう…///」

花陽「凛ちゃん!…あれ?もしかしてずっと聞いてた?」

凛「…うん」

花陽「…///」

凛「かよちんそんなに恥ずかしがらなくていいよ。凛ね、かよちんがずっと心配してくれてたってわかって、すっごく嬉しかったから!」

花陽「う、うん///」


凛「そ、それよりかよちん、凛ってばおなかが空いちゃった」

花陽「じゃあおにぎりを」

凛「手錠がついてて食べにくいよ」

花陽「そっか、とってあげるね」

凛「待って!」

花陽「え?」

凛「その…食べさせてほしいなー、なんて思ったり…///」

花陽「ええ?!で、でも手錠つけられてるし仕方ないよね!…はい!」

凛「あーん///」

パク!

凛は花陽のおにぎりに勢いよくかぶりつく


花陽「おいしい?」

凛「うん」

おいしい
そしてあたたかかった
温度の「あたたかい」もあった
が、それ以上に花陽の「あたたかい」があった

凛「おいしい…すごくおいしいよ」ポロポロ

凛の目から涙がこぼれる

花陽「凛ちゃん…?なんで泣いてるの?」


凛「かよちん、凛のことギュッてして」

花陽「うん、わかった」ギュッ

凛(…あったかい。絵里ちゃんも時々こうしてくれたけど、絵里ちゃんは何かが欠けてた)

凛(でも、かよちんはほんとうにあったかい…)

それは花陽の気持ちが今でも正直で、優しくて、凛のことを想っているからだった
凛は少しでも花陽を拒絶しようとした自分を本当に馬鹿だと思った


凛「かよちん、かよちんはあったかいよ」ポロポロ

凛「かよちん、今までごめんね。ほんとにごめんね」ポロポロ

花陽「もういいよ凛ちゃん、私は凛ちゃんに会えただけでも嬉しかったんだから」

凛「うん、ありがとう…」ポロポロ

凛「やっぱり凛はかよちんが大好き!」ポロポロ

凛は自分がなんで泣いているのかわからなくなった
だが、これが嬉し涙であることはわかった

………


凛がしばらく泣いて、少し落ち着いた頃

凛「かよちん、なんで凛がロシアに行くことになったのか教えるよ」

花陽「凛ちゃん、まだ無理しなくていいんだよ?」

凛「もう大丈夫だよ」

花陽「そう?なら話してほしいかな」

凛「うん。あれは2年くらい前だったかな」


ーー
ーーー


ー東京ー

凛「いやー、凛って幸せ者だにゃー♪夢の国で、しかもダンスするだけのお仕事だなんて最高だよ」

凛「さて、もうすぐお家に…ってにゃにゃ?電気がついてない」

この日は、いつも凛が家に帰る頃にはいるはずの両親がいなかった
そこに1人の女性が歩み寄る

絵里「凛」

凛「うわぁ!…って絵里ちゃんだにゃ!久しぶりー!」

絵里「ごめんなさい凛、懐かしむのもいいけど今は話があるの。近くの公園まで行きましょ」

凛「…わかった」

凛(なんだか嫌な予感…)


ー公園ー

2人は適当なベンチに腰掛け話し始めた

凛「それで話って…」

絵里「凛、最近あなたの家に政府の人が来ていたことは知ってるかしら?」

凛「え?全然知らなかった」

絵里「…そう、いい両親ね」

凛「え?え?どうゆうこと?説明してよ!」

絵里「わかってる、だから落ち着いて」

凛「うん…」


絵里「まず言わせてもらうなら、あなたにはある素質がある」

凛「素質…?」

絵里「ええ、まあそれは今は重要なことじゃない」

絵里「あなたに素質があるように、あなたのご両親にも素質はあった、政府はそれに目をつけた」

絵里「その素質は今行われている戦争で大いに役立つもの、1人でも多く素質を持つ人が欲しい」

絵里「それで連行されたわ…あなたが帰ってくるほんの数十分前に」

凛「嘘…だよね?そんなの嘘でしょ?!」

絵里「こんな嘘、わざわざ凛に会いにきて言うわけないでしょ!」

凛「う、うん…それもそうだよね」


絵里「それに聞いて、もう犠牲者は出ているの」

凛「え?誰が?」

絵里「希…東條希よ」

凛「そんな…!なんで希ちゃんが?」

絵里「私だって知りたいわよ!希が何をしたっていうの?希はただ、みんなのためになりたいって…」ウルウル

凛「…」

絵里「…とにかく、これ以上の犠牲者を私は出したくない、またすぐに政府の人が凛を探しに来る」


凛「じゃあ凛はどうしたらいいの…」

絵里「凛、私といっしょに来なさい」

凛「来なさいってどこに?」

絵里「ロシアよ」

凛「ええ?!ロシアって今の日本の1番の敵なんだよ?それに急すぎるよ!」

絵里「時間がないの、お願い凛!私はもう仲間の中から犠牲者を出したくない!私と来て!」

凛「…わかったよ、絵里ちゃん」


絵里「凛…わかってくれて嬉しいわ、それじゃさっそく私の家にきて準備を、明日の朝に日本を発つわ」

凛「絵里ちゃん!」

絵里「なにかしら?」

凛「助けに来てくれてありがとうにゃ!」ダキッ

絵里「ふふ、いいのよこんなこと」

絵里(凛、ごめんなさい…私はあなたを少し騙している…でも希をあんなことにしたこの国を私は許せないの、ほんとうにごめんなさいね)

ーーー
ーー


凛「ってことがあったの」

花陽「それで絵里ちゃんもロシアに…」

花陽「…あれ?凛ちゃん、希ちゃんはどうしたの?」

凛「え?希ちゃんは日本にいるよ?絵里ちゃんが言うには西木野総合病院にいるんだって」

花陽「ええ?!このことみんなに伝えないと!」

凛「みんな知らなかったの?真姫ちゃんは知ってたと思うんだけどな」

花陽「とにかく!みんなに知らせるね!」

凛「うん」


花陽「…そういえば凛ちゃん」

凛「なに?」

花陽「語尾の にゃ はどうしたの?」

凛「そ、そんなのもう恥ずかしくて言えな…い……にゃ///」

花陽「…凛ちゃん!もう1回ギュッてさせて!」


ー西木野総合病院ー

花陽からの知らせを受けて数日後
ここ西木野総合病院には絵里、希、ことり、真姫を除く元メンバーが集まっていた

穂乃果「ここみたいだね」

とある病室の前
1人部屋であり、名前のところには東條希と表記されている

スーッ

病室の扉を開くと1人の女性が寝ていた
女性の髪は手入れしやすいようにか肩のあたりで切りそろえられている
そしてその周りには命を繋ぎとめるための様々な器具が取り付けられていた


ダッ!

にこは希の姿を確認するやいなや、真っ先に駆けつけた

にこ「ちょっと希!アンタどうしてこんなことに!返事くらいしなさい!スーパーアイドルのにこちゃんが直々に会いにきてあげたのよ?希!!」

希「…」

「無駄よ」

にこ「はあ?アンタ何様…」

真姫「だから無駄なのよ、にこちゃん」

にこ「真姫ちゃん…」

真姫「みんな久しぶりね」

現れたのは真姫だった
にことは違い、身長も伸びて美貌にも磨きがかかっている


花陽「真姫ちゃん、希ちゃんのことは知ってたの?」

真姫「ええ」

にこ「だったらなんで私たちにも教えなかったのよ?」

真姫「それは絵里に頼まれたからよ」

にこ「絵里に?」

真姫「そうよ。絵里はね、希がこんな状態になってから毎日のようにここに来ては希に会いにきていた」

真姫「だけど、いつからか絵里は何かを決心したような顔をするようになった。もっと前から決心はついていたのかもしれないけど」

真姫「そして、しばらくして絵里は病院に来なくなった…」


真姫「ま、ここまでは病院の人に聞いた話よ」

穂乃果「じゃあ真姫ちゃんは絵里ちゃんに会ってないの?」

真姫「会ったわ、私がまだ大学生のときにね」

真姫「絵里は私に言った」

真姫「あなたは西木野総合病院で働くのでしょう?今そこには私の大切な人がいる。どうかみんなには言わないでほしい。こうなったのは私の責任でもあるから」

真姫「ってね」

真姫「きっと絵里はみんなを戦争に巻き込みたくなかったのね、その目的が正しいことかどうかは別として」


穂乃果「目的…」

穂乃果「…そもそも希ちゃんに何が起きたの?」

真姫「それは知らないわ」

凛「凛も絵里ちゃんからは何も聞いてないよ」

穂乃果「よし、ダメもとでも聞いてみよう」


にこ「はあ?どうやって聞き出すっていうのよ?」

海未「そうですよ穂乃果。最近ロシアは北方戦線から手を引いたようですし、何か起こそうとしています。そんな時ロシアに行くなんて危険です」

穂乃果「海未ちゃん、穂乃果がロシアに行くわけじゃないし、穂乃果が絵里ちゃんと話しをするわけでもないよ」

海未「え?」

穂乃果「あの人にお願いするんだよ」


ーどこかの国ー

「あれ、メールだ…穂乃果ちゃんから?」

「なるほど~…任せて、穂乃果ちゃん♪」


つづく


ーロシアー

ここは絵里がいるロシアの基地
この日は絵里に会うため、1人の客が来訪していた
南ことりである

ことり「ハラショー、絵里ちゃん♪」

絵里「久しぶりね」

2人は互いにあいさつを交わした
ことりから事前に話はしてある

ことり「絵里ちゃん、用意できてる?」

絵里「ええ、これよ」

絵里は一通の手紙をことりに差し出す


ことり「確かに受け取ったよ」

絵里「これであの子がわかってくれるといいけど」

ことり「うーん、無理だと思うな」

絵里「そうよね」

ことり「…」

絵里「…」

会話が途切れる
ことりが時計を見ると、時間はもうなかった

ことり「絵里ちゃん、そろそろ行くね」

絵里「そう、いってらっしゃい、世界のデザイナーさん」


ことり「あの、最後に」

絵里「なにかしら?」

ことり「本当に日本に戻るつもりはないの?」

絵里「…悪いけど無理ね、私の怒りはまだおさまってないもの」

ことり「そっか。それじゃあね、絵里ちゃん」

絵里「ええ、気をつけて」

ことりはロシアをあとにした


ー穂むらー

穂乃果たちが病院へ行った日から2週間経った
穂乃果は1度穂むらに帰っていた

穂乃果「ただいまー、手紙来てる?」

穂乃果母「来てるわよ、国際便が」

穂乃果「わかったー。どこだどこだー…あった!」

穂乃果は手紙を手にし自分の部屋へ向かう

ペリペリ

封を開けると中には2つの手紙が入っていた
1つ目はことりからだ


穂乃果ちゃんへ

穂乃果ちゃん元気?
ことりはいつも忙しくてちょっと疲れたかな?
たまには穂乃果ちゃんやみんなに会いたいよ~

絵里ちゃんのことだけど、絵里ちゃんの気持ちは変わらないみたい
絵里ちゃんの手紙を読めばわかると思うけど、ことりは絵里ちゃんの気持ちもわからなくはないかな
だからあんまり絵里ちゃんを責めないであげて

他にもたくさん話したいことはあるけど、それは次に会ったときにとっておくね

それじゃまたね ことり


穂乃果「ことりちゃんがんばってるんだろうな。会いたいなー」

穂乃果「…って、今は絵里ちゃんの手紙読まなきゃね」

穂乃果は2つ目の手紙を開く

>>162
ことりは穂乃果宛の手紙先に読んじゃったのかな?
この文面だとそう取れるんだが


みんなへ

希のことを知りたいようね
教えてあげるわ、何があったのか
あなたたちはともに音ノ木坂を守った仲間、希のことを知る権利はある

あれは私が大学校を卒業してA基地にいた頃の出来事

………


絵里「みなさん、私は絢瀬絵里大尉です。大尉とは名ばかりで、みなさんと同じく私も新入りです、どうぞよろしく」

そのあと、ある1人の女性兵士が絵里のもとへやって来る

女性兵士「絵里大尉!」

絵里「はい、なんでしょう?」

絵里は兵士を見た
兵士は帽子を深くかぶり顔はよく見えないが綺麗な唇が見える
髪型は腰のあたりまである三つ編み
そして豊満な胸、それは絵里より大きかった

女性兵士「大尉の胸をわしわしさせていただけないでしょうか?!」

絵里「なっ?!///」

驚きつつも赤面する絵里
しかし、兵士の言葉の中に知っている単語があった


絵里「わしわし…って、あなた希?!」

希「えりちー!」ダキッ

その兵士はなんと希だった

絵里「なんでここに?」

希「運命…やな」

絵里「もう、ふざけないでよ」

希「えりちに会いたかっただけやで」

絵里「そんなことで…ふふ、ありがとう」

希「いえいえ、大尉のためならどこにでも行きますよ」

絵里「あはは!なによその口調」

………

でも数ヶ月経って希にも北方基地へ行かなくてはならない時が来た
私は基地で3ヶ月間、希の帰りをひたすら待った

………


絵里(今日は新兵が北方基地から帰ってくる日、希は…)

希「えりちー!ただいまー!」

絵里「希!無事でよかった!」

………

私は希が無事に帰ってきて安心した
でも、希は変わっていた
外見自体はなに1つ変わっていない
だけど脳が今の人類の一歩先の段階へ進化していた

ちなみに穂乃果、あなたもよ

のちにこういった人たちはNTと呼ばれるようになった

そして希は

………


希「えりち、見て見て!」

絵里「なにこれ、浮いてる?どうやって?」

希「うちのスピリチュアルパワーが炸裂しとるんや!」

絵里「すごい…どうなってるの?」

希「実はね、脳波を…つか……」バタ

絵里「ちょっと希?希!」

………

希のおかげで完成したシステム、サイコミュ
サイコミュはNTから発せられる脳波を利用して、物を自在に動かしたりできる

穂乃果のガンダムについていたファンネル、これは希によって造られたといっても過言ではないわ

でも、サイコミュはすぐに完成したというわけではなかった

………


希「あれ?うち…」

絵里「希!起きたのね、よかった」

希「えりち…」

絵里「希、もう無理してあんな実験に協力するのはやめて」

希「うちなら大丈夫…。ちょっと疲れてただけや。それにこの実験が成功すれば、この戦争をより早く終わらせることができる」

希「うちはこんな争い、早く終わらせたいんよ」

絵里「そうなの…?でも本当に無理はしないで!疲れたらしっかり休んでね!」

希「了解であります、大尉」

………

希は日を追うごとに疲労が溜まっていくように見えた

そう、ここで完璧に実験をやめさせるべきだった

………


絵里「希が倒れた?!また?!」

タッタッタッ ガチャ

絵里「希!!」

希「…」

絵里「…っ!」

………

もう手遅れだった
希は短期間のうちに脳に負担をかけすぎた

だが、そのおかげでサイコミュは完成した
もちろん他にも犠牲になった人はいた

そしてサイコミュの完成に軍の奴等は祝杯をあげた

だけどサイコミュはここまでして、尊い人を犠牲にしてまで開発を急ぎ、造るほどのものだったのか
その答えはNO
実際サイコミュを扱えるのはほんのわずかな人間、NTになった人だけ
それにサイコミュは軍事機密とされた、表の社会に出ることはない

こんな馬鹿げたことをした奴等を私は粛清する
誰がなんと言おうと、必ずね


手紙はここで終わっている


穂乃果「…」

穂乃果「私が間違っていたのかな…」

穂乃果は何もかもがわからなくなった


つづく


>>164

>>159の2人の会話から
ことりは事前に絵里の手紙の内容を把握していてそれを受け取りに来た
だから手紙は読んでいないが内容はわかる
という具合です

我ながら癖のある文体ですね…


ーB基地ー

海未「絵里と希にこんなことが…」

にこ「なるほど」

2人は絵里からの手紙を読んだ
しかし、2人の意思は穂乃果と違い揺らぐことはない

にこ「絶対に絵里を止めるわよ。いくら親友のためといってもここまでするのはおかしいわ」

海未「そうですね。私たちでやめさせましょう」

穂乃果「…」

にこ「…?穂乃果どうしたのよ?元気ないわね」


穂乃果「あのさ、絵里ちゃんの気持ち考えてみたんだけど…」

穂乃果「もしも穂乃果の近くでμ'sの誰かが希ちゃんみたいになったら、穂乃果も絵里ちゃんみたいになると思うんだ」

穂乃果「だから、穂乃果も絵里ちゃんの気持ちがよくわかるの」

にこ「…つまり何が言いたいわけ?」

穂乃果「つまり、絵里ちゃんの好きにさせてあげないかって」

穂乃果「もう穂乃果たちが干渉するのはやめて絵里ちゃんの自由にさせてあげない…?」

海未(穂乃果の言い分もわかりまりますが…)


にこ「穂乃果、あなたは間違ってる」

にこ「絵里は希のためとはいえ人殺しを目的としてるのよ?あなたたち2人もあと一歩で殺されるところだったんでしょ?」

穂乃果「それはそうだけど!」

にこ「絵里は必ず連れ戻すわ。そしてなんとしても更生させる」

穂乃果「…エゴだよ、それは」

にこ「なんですって…?」

穂乃果「だから、それはエゴっていうんだよ。にこちゃんは目の前で仲間がやられたらどうする?」


穂乃果「私たちは北方戦線で絵里ちゃんに殺されそうになった。あの時は逃げられたけど、もし海未ちゃんがやられてたら私は目の前の敵を絶対に許さなかったと思う」

穂乃果「にこちゃんは目の前で仲間がやられて正気でいられるの?」

穂乃果「にこちゃんがそんなこと言えるのは立場が違うからだよ」

にこ「あなた、少し論点がずれてるわよ」

にこ「穂乃果、あなたが言っているのは殺された場合、でしょ?絵里の場合は殺されたわけじゃない。それに元に戻る可能性だってある」

にこ「それなのになんで絵里は希を信じてあげないのよ?希が寝たきりになったから日本を粛清するですって?馬鹿馬鹿しいわ!それこそエゴよ!」


穂乃果「…っ!」ダッ

海未「穂乃果っ…」

にこ「海未、追わなくていいわ。今は放っておくわよ」

海未「そうですね…」

その時、緊急放送が基地内に鳴り響いた

放送「日本、太平洋側領海にロシアの大艦隊が接近!敵の数はこれまでで最多と見える、総員出撃!繰り返す…」

にこ「大艦隊ですって?!何も聞いてないわよ?」

海未「どうやらあちらは後がないようですね。これが最終決戦です、行きましょう」

にこ「絵里を連れて帰るラストチャンスね、出撃するわよ!」


ーロシアの軍艦ー

女性「エリー少佐、もうすぐ決戦のお時間です。何をなさっているのですか」

絵里「ごめんなさい、すぐ行きます」

絵里(これが最後の戦いになるのね…)

………


絵里「ガンダム ヒメヒー、出撃します!」


ー日本沿岸ー

海未『始まってますね。にこ、絵里を見つけたら連絡してください』

にこ『了解よ』

海未(絵里のMSは朱いからすぐ見つけられると思いますが、ここまで敵味方が入り乱れていると…)

海未「!」

海未は少し離れたところに絵里がいるのがわかった
なぜなら感じたからだ、あの時のプレッシャーを

海未『にこ!見つけました』

にこ『わかった、攻撃するときは合図して!レインリヴで追撃するから』

海未『了解です』


海未は絵里に接近する

海未「絵里!」

絵里「あら?今日は穂乃果じゃないのね」

海未「絵里、単刀直入に言います、日本に戻ってきてください」

絵里「あはは!あなたたちみんな同じこと言うのね」

絵里「ことりにも言ったけど私の応えは1つ、それは無理」

海未「そうですか、ならば力ずくということになりますかね」


絵里「海未では私に勝てないわよ?」

海未「何事もやってみなければわかりませんよ」

イザヨイは居合の構えをとる

絵里「おもしろい構えね。いいわ、私の剣舞と勝負しましょ」

海未『いきますよ!』

絵里「!」ピキーン

絵里(何か来る…MS…これはあの時の…にこね)

絵里(なるほど、同時に攻撃しようって魂胆ね)


海未「はあああっ!」

イザヨイから繰り出される刹那の技
しかし、絵里はそれをかわした

海未「剣舞と勝負してくれる約束はどうなったのですか?」

絵里「私はちゃんと攻撃したわよ?」

海未「戯言を…」

にこ『海未!足をやられたわ!まだ戦えるけど絵里は化け物?レインリヴの動きを見切るなんて常人じゃありえないわ』

海未「なっ?!私ではなくにこに攻撃を?!そんな馬鹿な!」

絵里「ふふ…」

海未(こ、これはまずいですね…)


ーB基地ー

穂乃果はにこと衝突したあと、μガンダムの中にいた
放送は聞いたが出撃できる状態ではなかった

穂乃果(絵里ちゃんがやってることは絵里ちゃんの気持ちを考えれば理解できる)

穂乃果(にこちゃんが言ってることも間違ってはいない)

穂乃果(…そもそも誰が間違ってるの?正しい答えなんてあるの?)

穂乃果(誰かが言ってたなぁ、戦争にはどちらが正しいなんてことはないって)

穂乃果(はあ…戦争なんて早く終わっちゃえばいいのに)

穂乃果(疲れたな…ずっと眠っていられたらこんな悲しみ背負わなくていいのに……ああ、眠い…)


ーー
ーーー


穂乃果「…またこの夢か」

希「えりち…助けて…」

穂乃果「希ちゃん、穂乃果には誰が正しいのかわからないよ」

希「穂乃果…ちゃん…」

穂乃果「え?希ちゃん…?」

希「えりちを助けて…あげて」

穂乃果「そんなのどうやって…」

希「穂乃果ちゃんは…わからないと思うけど…人の心の光を…」

希「穂乃果ちゃんがかつて見せてくれた人の心の光を…えりちにもう1度…見せてあげて…」

穂乃果「希ちゃん、そんなの穂乃果どうすればいいの?」

希「あとは任せた…よ…」

穂乃果「希ちゃん!希ちゃん!!」

ーーー
ーー


穂乃果「はっ!」

穂乃果「あれ?私、何か夢を見ていたような…」

穂乃果「そうだ…行かなきゃ、絵里ちゃんのところに」

穂乃果「…希ちゃん、任せて!」

………


穂乃果「μガンダム、行きます!!」


つづく


ー日本沿岸ー

海未「でええいっ!」

にこ「このっ!」

スッ スッ

絵里「ふふっ、かすりもしないわよ。だんだん動きも単調になってるし、にこのMSは限界が近いんじゃない?」

海未「強い…強すぎます…」

にこ「まずいわ、燃料が…」

短期決戦型のレインリヴは限界が迫っている
それに海未とにこの精神も疲弊していた


海未『にこ!あなたは撤退してください』

にこ『はあ?それはできないわ!』

海未『燃料がもう残ってないのでしょう?それに足を損傷してますし。さ、早く!』

にこ『…そうね、基地に戻ったら穂乃果を呼んでくるから待ってて!』

「その必要はないよ!」

元気のいい声とともに上空から1機のガンダムが現れた


海未「穂乃果っ!」

にこ「あら、考えはまとまったの?」

穂乃果「全然!でもやることはわかった!」

にこ「ふっ、あんたらしいわね。あとは任せたわよ!」

穂乃果「うん!」

海未「では穂乃果、行きましょう」

穂乃果「いや、戦う必要はないよ」

絵里「あら、戦わない気でいるのかしら?」


穂乃果「うん。絵里ちゃん、みんなのところに帰ろう」

絵里「何を言い出すかと思えば…」

穂乃果「私は絵里ちゃんの気持ちがよくわかるよ、だけどこんなことをするのはやっぱり間違ってる」

穂乃果「でもみんななら、μ'sのみんななら絵里ちゃんの気持ちもきっとわかってる」

穂乃果「だから、帰ろう!」

穂乃果「これからは希ちゃんのために、希ちゃんのそばでがんばろうよ!」


絵里「…」

穂乃果「絵里ちゃん、行こう!」

絵里「…私はあの時、あなたの手に救われた」

絵里「でもね、今回ばかりはもう無理よ…」

穂乃果「なんで?私たちは分かり合えるんだよ!絵里ちゃん!」

絵里「勝手なこと言わないで…今さら戻れるわけないのよ」


絵里「…私だって仲間が欠けても残りのメンバーで前進できるならそうしたい…そうしたいわよ!」

絵里「でもっ!私はやっぱり弱かった!仲間1人欠けただけでこの様よ」

絵里「私は希が…希が隣で笑っていてくれなきゃダメなの…」

絵里「それに…今更希にただいまなんて、私が言えると思う…?」

穂乃果「でも…」

絵里「ファンネルッ!!」

ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン !


海未「ファンネル?!なぜあなたがそれを!」

絵里「これは希が使っていたファンネルよ。私の邪魔をする者は全力でたおす」

絵里「さあ穂乃果、来なさい」

穂乃果「…なんで、なんでこうなるの絵里ちゃん」ポロポロ

穂乃果「本当に戦わないといけないの?」ポロポロ

絵里「ええ、私はもう帰らない。いや…帰れないから」


穂乃果「…なら、無理やり連れて帰るよ!」

絵里「できるものならそうしなさい」

穂乃果「うう…絵里ちゃんの…絵里ちゃんのわからずやー!!」ポロポロ

穂乃果「フィンファンネルッ!!」

バシュ バシュ バシュ バシュ バシュ !

絵里「…」

絵里(さようなら…希)


ー西木野総合病院ー


『さようなら…希』


希「…」

希「…」パチ


ー日本沿岸ー

穂乃果「えーいっ!」

ガキィン!

絵里「くっ!」

絵里「行けっ!ファンネル!フィンファンネルを墜として!」

ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン !

穂乃果「フィンファンネルッ!ファンネルをお願い!」

バシュ バシュ バシュ バシュ バシュ !

ヒュン !

絵里「そこ!」


穂乃果「っ!絵里ちゃんのファンネルが!」

海未「はああっ!」

ズバン !

海未「穂乃果!決めてください!」

穂乃果「海未ちゃん!ありがと!」

穂乃果「よし、これで終わりだよ!こんのおっ!」ブンッ

ブロロロロロ !

シュッ

絵里「ふっ、そんなもの投げたって当たるわけ…」

絵里「?!」

絵里( 投げた…何を?!)


穂乃果「当たれぇぇぇ!」

バシュ!

絵里「フィンファンネル!?もう1つあったなんて!」

ビュン!

絵里「っ!バーニアが!」

穂乃果「うおおお!」

ガン! ガン! ガン! ガン! ガン!

ヒメヒーにμガンダムの拳が炸裂した

絵里「墜落する、脱出し…いや…」

絵里「…」


穂乃果「朱いガンダムが落ちていく…まさか?!このまま落ちて…」

穂乃果「助けなきゃ」

ドシュッ!

穂乃果は出せる最高の速度で落下する絵里を追う

穂乃果「絵里ちゃん!間に合って…!間に合って!」










グシャ

穂乃果「…あああああ!!」


………


絵里「…」パチ

絵里(…ここはどこかしら?私は穂乃果にやられて落ちたはず)

絵里(痛っ!体中が痛い…腕も折れてるわね…)

穂乃果「絵里ちゃん、おはよ」

絵里「穂乃果…」

穂乃果「ここはμガンダムの中だよ。もうすぐ着くからがんばって!」

絵里「着くって…どこに?」

穂乃果「西木野総合病院だよ」


絵里「私を…助けるため?」

穂乃果「それもだけど」

絵里「?」

穂乃果「希ちゃんが意識を取り戻したんだって」

絵里「え…ほんと…?」

穂乃果「うん!さ、着いたよ。ここからは穂乃果が絵里ちゃんをおんぶしてくね」

穂乃果「よいしょ、じゃ行こっか」

絵里「ええ……ゲホッ!ゲホッ!…かはっ」

穂乃果(吐血…急がなきゃ)

穂乃果「絵里ちゃん、先に希ちゃんのところに行くよ!」

絵里「任せるわ…」


………


絵里「穂乃果、あとは自分で歩くから」

穂乃果「大丈夫?無理なときは言って」

絵里「わかった」

絵里は希がいる病室の前まで来た
扉を開く

スーッ

絵里「希…起きてる?」

希「ん…えりち…」

絵里「ああ、希…目を覚ましたのね…はあ」トサッ

絵里は膝を崩し、希が寝ているベッドに上体をのせた


希「えりち、うちな…えりちの声が頭の中に聞こえてきてな…それで起きたんや」

希「でもえりち、さよならなんて言っちゃあかんよ」

絵里「ごめんなさい…でもそれは取り消して」

絵里「私、希にまた会えて嬉しい…さよならなんてできない…」

絵里「希、ずっとそばにいて…」

希「えりち、ありがとう…うちはずっとそばに居るよ」


絵里「希…ゲホッ!ゲホッ!…はあ…はあ…」

希「何も言わなくていい、うちもえりちに会えて嬉しいわ…だから、今はゆっくり休んで」

絵里「うん…なんだか今は眠いわ…」

希の声が聴こえてくる

希「安心してええよ、これからはいつでもうちがそばにいるんやから」

絵里「のぞみ…」

絵里「…」


逆襲のエリチカ END


~エピローグ~


海未「希、体調はどうですか?」

希「うん、だいぶ元気も出てきたよ」

にこ「ほんと、希が寝たきりって聞いたときは驚いたわ」

希「ふふ、にこっち心配してくれてたんやね、ありがと」

花陽「希ちゃーん」

凛「お見舞い持ってきたよー!」

真姫「こら凛、あまり大きい声出さないでって言ったじゃない」


タッタッタッタ…

海未「ん?誰か来ましたね」

ことり「みんな、久しぶり~!」

海未「ことり!」

ことり「きゃー!海未ちゃーん!」ダキッ

海未「は、離してください!\\\」

ことり「あれ?そういえば穂乃果ちゃんは?」

海未「来るとは言ってましたが…」

タッタッタッタ…

海未「どうやら来たようですね」

ピタッ

ことり「あれ?どうしたのかな?」


穂乃果「ええー!」

ことり「穂乃果ちゃん、どうしたの?」

穂乃果「あ、ことりちゃんだ!これ見て!」

穂乃果は病室の前の名前の欄を指差している
そこにはこう書かれていた

名前
東條希
絢瀬絵里

海未「穂乃果知らなかったのですか?」

穂乃果「うん、だから病室が変わったのかー」


絵里「あー、うるさいわ、眠ってもいられない。ま、こういうのも久しぶりでいいけどね」

穂乃果「絵里ちゃん!怪我はもう大丈夫?」

絵里「ええ、骨折と肺に少し傷がついただけだし」

穂乃果「よかった~」

穂乃果「あっ、そうだ!みんな聞いて!」

海未「なんです?」

穂乃果「μ'sがまた揃ったよ!だから歌おう!」

絵里「ふふっ、それはいいわね!ハラショーよ!」


穂乃果「嬉しいからー♪ 君に会いに行こう♪」

絵里「寂しいからー♪ 君に会いに行こう♪」

μ's「そんな気持ちになるんだ♪進む時悩む時♪つながっているんだねずっとー♪」


………


穂乃果「またね!希ちゃん!絵里ちゃん!」

希「またね」

絵里「ええ、また」

穂乃果「みんな待ってよー!」

穂乃果「おーい…」

絵里「…行っちゃったわね」

希「そうやね」


希「…えりち、そこに座ってくれへん?大事な話があるんよ」

絵里「わかったわ、それで話って?」

希「ふふっ、あのねえりち」










希「大好き」


絵里「…」

絵里「…」ポロポロ

希「うち、えりちが世界で1番大好きや」

絵里「…うん」ポロポロ

希「だから、もううちのそばを離れたりしたらいやよ?」

絵里「うん…うん…」ポロポロ


絵里「希…大好き…」

絵里「希…」


絵里「ただいま!」



逆襲のエリチカ おわり


読んでくれたみなさんありがとうございました

これでほんとうに終わりです

最後にオリジナルMSの解説でもしていきたいと思います


μガンダム

名前
まんまνガンダム

モデルとなったMS
νガンダム
ファンネルの位置はレジェンドガンダムのドラグーンのような感じ
あんなに大きくないけど


イザヨイ

名前
適当
しいて言えばスサノオっぽくした

モデルとなったMS
スサノオ


レインリヴ

名前
バーニア vernier(うろ覚え)
を逆から読んだだけ

モデルとなったMS
トールギス


ξ・クーン

名前
猫の品種の1つである
メインクーン(Maine Coon)
をガンダムの α・アジールと合わせた

モデルとなったMS
ラゴゥ


ヒメヒー

名前
できるだけサザビーっぽくしたかった
できるだけ、できるだけ…
由来は無理やり感があるが
ガンダム ヒメヒー
ヒメヒー ガンダム
ヒメヒガン
姫彼岸花

モデルとなったMS
アルケーガンダム


はい、逆襲のエリチカここに完結です

姫彼岸花の花言葉を調べてもらえると嬉しいです

それではまた会う日までー

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月03日 (木) 18:35:37   ID: x8rPLd1s

ガンダム見たことないけど面白かった

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