みほ『時は第二次世界大戦中。1994年、9月の出来事です』
みほ『ノルマンディー上陸作戦から3ヶ月を経てなおヨーロッパの地はアメリカとドイツの激しい戦闘のさなかにありました』
みほ『果敢に攻めるアメリカ軍の最前線で戦い続けるのは第35歩兵師団。これはそんな彼女たちの、とある……ヒーローたちの物語です』
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403461264
・サンダース校とウサギさんチーム中心
・ナオミは二年ですが、らぶらぶ作戦などに準拠してケイにはタメ口。というかあまり年齢関係ないssですし
・タイトルで元ネタが分からない人にこそ楽しんでほしい
・基本ギャグですが悲しいけど戦争なので人死にネタもあります。苦手な人は注意してください
・このSSはフィクションであり実際の歴史、実際のガルパン本編、実際の戦略大作戦とは一切関係ありません
みほ『雨の降りしきるなか、大勢のドイツ兵が行き交う基地を猛スピードで暴走する一台のジープにケイは乗っていました』
ケイ「あっはははは!! こっちこっち~」
エリカ「ぅぅ……」
みほ『高らかに笑うケイでしたが、助手席に乗せられたドイツ人は青ざめた顔でうつむくばかりでした』
みほ『そう。ケイとその部下はドイツ軍の将校を拉致、誘拐するべく勇猛果敢にもドイツ軍の基地へと潜入していたのです』
ケイ「じゃ~ね~。See you~!!」
みほ『柵を突き破って基地を飛び出し、野砲の飛び交う戦場を走り抜け、ケイは見事に自分たちの陣地へと帰還しました』
みほ『立ち並ぶ木造小屋の一つが彼女たちの前線基地です』
ケイ「ほら、入って入って」
エリカ「……うぅ……」
みほ『足取りの重いドイツ軍将校を引っ張ってケイが扉を開けると、盛大な怒鳴り声が響いてきました』
ナオミ「だから!! ここで爆発してるの!! どこを狙ってるんだって言ってるんだ! 通信が聞こえない? そうだろうね! キミが撃った弾がここらに着弾してんだから!!」
みほ『なんと周囲へ着弾する砲撃は、味方の誤射によるものだったのです。こんなことも彼女たちにとっては日常茶飯事です』
みほ『ひとしきり怒鳴るとナオミは通信機を放り捨ててケイへと振り返りました』
ナオミ「おいおいケイ。私の好みはもっとキュートな可愛げのあるコなんだけどな」
ケイ「生憎、私はそうゆうの分かんないし~」
ナオミ「やれやれ」
ケイ「しっかしヒドい砲撃ね。今にもここに直撃しそう」
ナオミ「いや、着弾の振動だけでもう崩れそうd……」
あゆみ「ナオミさん! なんか敵が来そうです~」
梓「車も運転手もやられちゃいました」
ナオミ「はいはい。そこ、担架持って行ってやって。走った走った」
桂利奈「あいあい! まむ」
紗希「……」 コクリ
みほ『前線をつとめる部隊の小隊長、ナオミ。ビッグマムの愛称で親しまれるリーダーシップに溢れる少女で、ケイとは古くからのつき合いでした』
ナオミ「英語は通じるのかい?」
ケイ「No problem! 情報部の大佐だって」
ナオミ「へぇ。それならナンシー市内のことにも詳しいだろうね」
エリカ「…………ほ、捕虜の扱いはジュネーブ協定で……」
ナオミ「はいはい座った座った!」
エリカ「…………」
ナオミ「心配ないさ。おカタイ話じゃない。ホテルさ」
エリカ「?」
ナオミ「市内にはいくつある?」
エリカ「……3つだけど。2つは守備隊が……」
ナオミ「どこがいい?」
エリカ「は? な、何が?」
ナオミ「私たちを旅行者だと思って。私のガールフレンドたちが喜ぶようなFuckin Goodなホテルはどこか、と聞いたんだよ」
エリカ「いや……えっと……じゃあマジェスティック」
ナオミ「オーナーは?」
エリカ「な、名前は忘れたわ」
ナオミ「まぁいいわ。ミシュランで調べて」
優季「はぁい」
ナオミ「それと美味しいスイーツの店も聞いておきたいね」
エリカ「……ドイツ軍は反撃の準備を進めてるわ! 見てなさい、アンタたちなんか今に……」
ナオミ「はいはい。そうゆうのはいいから。こっちは右にパットン、左にイギリス軍で、背中側から榴弾が降ってきて、しかも雨降りときたもんだ」
エリカ「……」
ナオミ「まぁ雨のおかげで味方空軍の誤爆を食らわなくて済んでるけどね」
エリカ「は、はい」
ナオミ「それで。私が使えそうなデートスポットは?」
エリカ「あ、あんまりそうゆうの分からないんで……」
優季「あ! ありましたよ。観光ガイドに載ってます。ナンシー市。観光名所はコルドリエ協会。市役所は18世紀建築で~、ロレーヌ運送博物館とか~……あった。マジェスティックホテル。3ツ星です」
ナオミ「じゃあ彼女に案内してもらおうかしら」
梓「ナオミさん!!」
ナオミ「どうした、あずにゃん」
梓「大尉が呼んでます。あとその呼び方やめてください」
ナオミ「キュートでいいじゃないか」
梓「私は澤梓ですし。完全に梓違いですって」
ナオミ「はいはい。行くよ」
みほ『2人が出て行った為、小屋にはケイと僅かの部隊員、そして捕虜のエリカが残されました』
ケイ「じゃあヒマだし持ち物検査でもしよっか~」
エリカ「え」
ケイ「よっと……重いバッグね。どれどれ……」
エリカ「……」
ケイ「うわ。すんごい紙の束ね」
エリカ「運送命令書よ」
ケイ「へぇ~。何を運ぶの?」
エリカ「………………書類よ」
ケイ「何の?」
エリカ「じ、事務的な……普通の」
ケイ「怪しい……本当にぃ?」
エリカ「……」
ケイ「……ん? これは? 何これ? 重い、棒?」
エリカ「鉛よ。イザというときは書類を川に沈める為の」
ケイ「ふ~ん」
エリカ「ほ、本当にそれだけよ」
みほ『ふと、濃いグレーの鉛の棒を眺めていたケイは気づきました。削れた角の部分から、違う色が覗いていることに』
ケイ「へぇ。ちょっとこっちでさ、スナックでも摘んで話そうよ」
エリカ「え、いや……私は……」
ケイ「優季! チョコレート貰うわよ」
優季「あ! 私のウイスキーボンボン! て、敵軍の捕虜にあげちゃうんですか!!」
ケイ「まぁまぁ、今度買ってあげるから。ほら、エリカだっけ? もっと奥で座って、ゆっくり話そう」
エリカ「ジュ……ジュネーブ協定で……」
ケイ「Take it easy。ここはジュネーブじゃないわ。ほら、私はポップコーンでいいから。チョコレート食べて!」
エリカ「懐柔したって! 情報は漏らさないわよ!!」
ケイ「いいから、いいから」
……20分後
エリカ「ウィ……ヒック……らから~何で隊ちょーは、いっつも妹、妹って……ちょっとはわらしも……ヒック……みてくらはいよ~」
ケイ「……」 ニヤニヤ
優季「ケイさん! 敵がこっちに向かってるみたいですよ!!」
桂利奈「ヒドいよ! 3両って言ってたのに20両は居たよ!!」
あゆみ「やばくない?」
あや「やばいね」
紗希「……」 コクコク
優季「逃げよ逃げよ~。ケイさんも早く!」
ケイ「あぁ、私はいいから先に行っちゃってよー」
あゆみ「大丈夫なんですか~?」
ケイ「OK! OK!」
桂利奈「じゃあお言葉に甘えて」
「「「「すたこらっさっさー」」」」
みほ『ドイツ部隊の進行に伴い皆が待避した基地で、ケイは焦る様子も無く、ひたすらにヤスリがけをしました。削るのは勿論、先ほどの“鉛”の棒です』
ケイ「Wow! That's great!!」
みほ『濃いグレーの表面が削り落とされると、中から出てきたのはケイの思った通りのものでした』
ケイ「エリカ!」
エリカ「……ウィ~……ヒック……」
ケイ「金塊は、あと何個あるのかしら?」
エリカ「……隊ちょぉ~」
ケイ「エリカ! 金塊は? あと何個? ドイツ語じゃなくて、英語で言ってね」
エリカ「……ん~……フォーティーン……」
ケイ「へぇ……ふ~ん」
エリカ「……サウザント……」
ケイ「……!? Oh my god……!!」
エリカ「……う~~ん…………ヒック……」
ケイ「14,000個……? エリカ? 金塊はどこにあるの?」
エリカ「クレルモン……の……銀行」
ケイ「へぇ……護衛は? 沢山いるの?」
エリカ「……ティーガーが~……3両……」
ケイ「……Oh」
……
みほ『ナオミが上官のところから戻ってきた時にはドイツ軍部隊は目と鼻の先まで迫っていました』
ナオミ「あのファッキン大尉! 最前線を維持し続けたのは私たちなのに、ここに来て街への突入は後からきた他のヤツに任せるって言い出して! あげくに挙げ句に戻ってみれば皆で家出とはね」
桂利奈「ナオミさん、ケイさんがまだ敵の捕虜と残ってて……」
ナオミ「……ったく」
……
ナオミ「ケイ!!」
ケイ「今行くって。それより聞いてよ。40km先に金塊が……」
ナオミ「いいから、ほら」
ケイ「はいはい」
エリカ「ヒック……う~~~ん」
ケイ「じゃあね、エリカ。See ya!」
みほ『すんでのところで脱出したケイたちは何とか後方基地までの後退に成功しました』
エリカ「……う~ん……」 フラフラ……
小梅「あ、誰か出てきた。きっとアメリカ軍だわ。撃てーー」
みほ『エリカは酔っぱらってふらふらしているところにティーガーが通りがかり、敵と間違えられて撃たれて死んでしまいました』
エリカ「みぎゃー」
……翌日
ケイ「どう?」
ナオミ「何がだい?」
ケイ「昨日の金塊のハナシよ。最っ高にエキサイディングじゃない!」
ナオミ「ケイのそうゆうトコロは魅力的だけど、私はキミたちをベルリンまで連れて行く任務がある。合衆国から貰ったありがたい任務がね」
ケイ「え~。絶対おもしろいのに」
ナオミ「皆にはその話はしないでくれよ。頭痛がヒドくなりそうだ」
ケイ「はいはい。じゃあ一人で行ってくるわ」
ナオミ「そうだね……え? ケイ? ちょっと待っ……」
ケイ「だってこんなエキサイティングなイベント、放っておけないよ~~」
みほ『ナオミが止める間もなくケイはジープで走り去ってしまいました』
……
みほ『その後、ナオミが上官から言いつかったのは、あろうことか休暇の指示でした』
みほ『現在地は占拠して後方拠点とした田舎町。あるのは軍の物資と廃墟だけ。いるのは作戦行動中のアメリカ軍人だけのような場所です』
ナオミ「こんな何もないところでどう休暇をとれって言うんだか……せめてビーチがあれば日光浴もサマになるけどね……」
……
みほ『一方、ナオミと分かれたケイが訪れたのは資材部の主計軍曹、アリサのもとでした』
ケイ「アリサ」
アリサ「これは、隊長……じゃなかった。どうしたんですか元中尉?」
ケイ「今は二等兵だけどね。それはそうと、いい仕事があるのよ」
アリサ「ちょっと! アンタたち、席外して!!」
みほ『狡猾なアリサはケイの表情を伺うやすぐに周囲の人払いをしました』
アリサ「部隊はお留守番だそうで」
ケイ「うん。だからその間に、エキサイティングなことしようよ!」
アリサ「エキサイティングねぇ……で? 何が必要なんです?」
ケイ「自動小銃15挺、機銃2挺、ロケット発射筒2門と無線機。あとは小隊3日分の弾薬と食料ね」
アリサ「はぁ」
ケイ「あとこの地域の情報と、航空写真」
アリサ「……それを用意すると?」
ケイ「これが貰えます! ドーーン!」
つ[金塊]
アリサ「Wow!!」
ケイ「……」 ニヤニヤ
アリサ「ど、どれぐらいあるんです?」
ケイ「14,000」
アリサ「Zowie!! い、今のパリの金相場はコレだから……えっと……4で……7……2あがって54の……160万ドル!? ふふ…………あははははははは」
ケイ「むふふふふふ」
アリサ「ははははははは! 最っ高です! 場所は!? はははははは!!!」
ケイ「銀行よ」
アリサ「ははは……は? 銀行? 銀行強盗するんですか!?」
ケイ「No problem!! 敵地よ!」
アリサ「…………敵地って………それ………ALL OKじゃないですか!! Yeah!!」
ケイ「Yes!!」
アリサ「あと何か必要なものは!?」
ケイ「う~んとね……」
***「戦車が必要ですね」
ケイ「!?」
アリサ「!?」
みほ『人払いをしたはずの資材部でしたが、なんと詰み上がった資材をロフトの様に使って、その上でくつろいでいた不良軍人がいたのです』
優花里「話は聞かせてもらいましたよ!」
アリサ「げ!」
ケイ「だれ?」
優花里「私はオッドボール軍曹。どうです? 戦車なら三台ありますよ!」
ケイ「へぇ、所属は?」
優花里「無所属です!」
アリサ「……指揮官が戦死したのを報告せずに放置しているんですよ」
優花里「いえいえ。これはファッキンウォーゲームですから。皆が死んだ時の為に私は予備戦力として残っているんです」
ケイ「Oh。なかなかクレイジーなヤツね」
優花里「でも貴方の様な面白い方となら戦ってもいいです。M4シャーマン、頼りになりますよぉ?」
ケイ「OK。いいわ! 戦車を見て決めることにしましょ」
優花里「了解。じゃあ外にどうぞ。オッドボールヴィレッジに案内しますよ」
みほ『ケイがオッドボールに案内された先にはボロボロのM4シャーマンの周りで陽気に音楽を奏でて、くつろぐ一団がありました』
沙織「~♪」
華「~♪」
麻子「……zzZ」
ケイ「彼女たちは?」
優花里「小隊の仲間です」
ケイ「ふーん。まぁ……確かに戦車ね」
優花里「おっと、勘違いしないでください。わざと、ボロボロに見せかけているんですから」
ケイ「わざと?」
優花里「使い物にならないと思わせておくんですよ。そして、こちらが我らが天才技師、ナカジマさんです」
ナカジマ「いやいや、おだてないでよ」
優花里「ウチのシャーマンは世界一速いですよ! 前進も後退も!」
ケイ「なるほど」
優花里「まだありますよ! 敵のナチ戦車は大きいですからね! こっちも見かけで対抗しないと」
ケイ「?」
優花里「この主砲! 76mm砲にパイプを被せて太くしてあります! 90mmです!」
ケイ「……」
優花里「おまけにこの大口径の砲弾! 実は中身はペンキです! 撃てばみんなビックリです!」
ケイ「……」
優花里「そして進軍する時はこのスピーカーから大音量で音楽を流します! みんなノリノリです!」
ケイ「訂正するわ。想像以上にクレイジーなヤツね。気に入ったわ! 中へ戻りましょう」
みほ『こうしてケイは新たに仲間と戦車を手に入れました!』
アリサ「Oh my god! 隊ちょ……じゃなかった。元中尉! 一桁間違えてました! 160万じゃなくて1,600万ドルですよ!! せんろっぴゃくまんどる!」
ケイ「はいはい落ち着いて。燃料もいるわね……敵陣は突破できる?」
優花里「アイマム。おちゃのこさいさいです!」
ケイ「OK! じゃあ明日の夜に」
優花里「おーぎーどーぎー!」
アリサ「ナオミはどうするんです?」
ケイ「Everything is OK! 任せといて」
……
ナオミ「何もないトコだけど、みんなやさぐれないことだ! 大尉や司令官のグチを言うとか、ガールフレンド持ちのコをナンパするとか、万引きとかポイ捨てとかするヤツは私が締め上げるからね!」
みほ『ナオミはそう言って隊員たちから離れたはずでした』
みほ『しかし、将校の使いを終えて隊へと戻って来た彼女が目にしたのは、神妙な面持ちでケイの話を聞く隊員たちです』
みほ『話の内容は聞くまでもありません。目が$マークになった隊員たちを見れば一目瞭然です』
ナオミ「~……。ケイ。その話はしないって」
ケイ「だってこんなエキサイティングな情報、私の胸に仕舞ってたらハチ切れちゃうよ~」
ナオミ「いやキミの胸は前からボタンが吹っ飛びそうだったよ。全く、みんなに話したのか」
アリサ「まぁまぁ、いい話じゃん」
ナオミ「アリサまで……」
優季「え~。1,600万ドル簡単に貰えるなんて最高じゃないですか、ナオミさん」
あや「1,600万ドルって、なん円くらいかな~?」
梓「いや私たちアメリカ軍のアメリカ人だから! なん円とか、そうゆうのいらないんだよ?」
桂利奈「1,600万ドルあれば特撮グッズがいっぱい買えるかも!」
紗希「……」 コクコク
ナオミ「敵地だと皆に言ったかい?」
ケイ「もっちろん!」
ナオミ「突破の手だては?」
ケイ「All fine!! 戦車もあるわよ」
ナオミ「戦車!?」
ケイ「オッドボールが貸してくれるって!」
ナオミ「オッドボール!? 彼女はタンカーハイのファッキンクレイジーだ!」
ケイ「でも髪の毛もふもふでキュートだよ?」
ナオミ「私の好みじゃないね。いいかい? 戦場で生き残るのは無闇に首を突っ込まないヤツだ。戦争の英雄になりたいヤツだけが敵陣に突き進めばいい。でもみんなは違うだろう」
あゆみ「英雄とかどうでもいいですけど、ケイさんの作戦なら大丈夫ですよ」
優季「うんうん」
ケイ「ほらほら皆乗り気だよ~?」
ナオミ「……指揮は?」
ケイ「当然、私とナオミでとるわ!」
ナオミ「…………OK。分かったよ。行こう」
……
みほ『ついに同行を決意したナオミをともなって、一行は翌晩いよいよ出発しました』
みほ『オッドボールの戦車隊は別途合流予定なので、途中に通りがかる敵の前線拠点は自力で突破しなくてはなりません』
みほ『しかしそこは流石のケイ。事前に後方部隊を買収して援護射撃を依頼していたのでした』
みほ『榴弾の降りしきる中、ケイたちは機銃を乱射しながら敵陣を突破します』
桂利奈「撃て撃てーー! みなごろしだーーー」
紗希「……」 ズガガガガガガガガガ……
優季「わ~! ちょ→死んでる~」
梓「だ、大丈夫なのこれ……?」
あや「この時代はどの作品も反ナチ色が強いからこのくらいの描写は仕方ないんだって~」
あゆみ「わ~人がゴミみたい」
アリサ「ひぃぃぃぃぃ! 砲弾が! 銃弾が!! 荒れる10代ひぃぃぃぃぃ!!」
ナオミ「はいはい。アタマ下げて大人しくしてなよ」
ケイ「イェーイ!! エクスプロージョーーン!! エキサイティーーーーン!!」
みほ『やろうと思えば隠密行動もできた気もしますが、一行はドイツ兵を蹂躙し、壁をぶち破り、協会を爆破し、無事にドイツ拠点を突破しました』
……
みほ『翌日、一行は山中で身を隠していました。皆がくつろいでいるなか、少し離れてナオミはケイに銀行のある町の警備状況を訪ねていました』
ナオミ「40人? 何で40人だって分かるんだい?」
ケイ「え? それは~。あははは」
ナオミ「……ケイ!」
ケイ「……ティーガーが三台いるから……」
ナオミ「……ティーガー? ティーガーが居るなんて言ってなかったじゃないか」
ケイ「まぁまぁ! こっちにはシャーマンがいるし!」
ナオミ「いくらオッドボールがクレイジーでもティーガーがいると分かっていたら来ないだろうね。町ごと潰されるかもしれない」
ケイ「そこはほら! ナオミとアリサがとっておきの作戦考えてくれるって期待してるから!」
ナオミ「その作戦を考えるアタマを吹っ飛ばされないといいけど……」
みほ『ふとそこで、二人は航空機の音が急速に接近してくるのに気づきました』
ケイ「……げ!」
ナオミ「っ!? 待避ーーーーー!!!」
みほ『一行があわてて伏せると、そこかしこに銃弾が撃ち込まれました』
ケイ「すぐに旋回して戻ってくるよ。車から荷物を運び出して!」
桂利奈「あた」
優季「ふた」
あゆみ「あた」
梓「ふた」
紗希「……」
ケイ「Damm it! しかもあれ、友軍機だし」
みほ『戻ってきた航空機は最後に車にミサイルを撃ち込むと、離脱してあっという間にいなくなってしまいました』
ナオミ「また誤射か。……これで残りの行程は徒歩という訳だ。最高のダイエットだね」
優季「通信機も、機銃も私が持つんですか~?」
ナオミ「大丈夫。片方はアリサが持つよ」
アリサ「……重っ……ちょっと、お礼に食料持ってくれてもいいわよ」
優季「ふんふふ~ん♪」
アリサ「ちょっと!」
桂利奈「あ~いそがしいそがし」
アリサ「んぎぎぎ……重っ!」
紗希「…………」
アリサ「……? 持ってくれるの?」
紗希「……」
アリサ「……」
紗希「……」 フルフル
アリサ「…………」
……
みほ『一方その頃、鉄道用のトンネルを抜けてドイツ陣地へ潜入したオッドボールたちは別ルートから合流すべくドイツ軍拠点に襲撃をしかけていました』
優花里「BGMオン!! ヒャッホォォォォォォォ! 突撃だぜぇェェェ!」
沙織「てってれって、てってって、てってれっててー♪」
華「ま~るい緑のやっまのってせーん♪」
沙織「真ん中と~るは中央せ~ん♪」
麻子「いや、それ違うからな。あってるけど違うからな」
優花里「動くものはみんな撃てぇぇーー!」
華「HEAT弾で丸焼きです」
沙織「機銃掃射ーーーーー!!」
優花里「ひゃはぁぁぁーーー! ナチ公を殲滅だーーー!!」
沙織「ひゃっほーーーー!!」
華「ひゃ……ひゃっほ~~」
麻子「ご丁寧に丸太が敷いてあるとは……操縦しやすい……」
みほ『そんなこんなでドイツ拠点を蹂躙しつくしたオッドボール一行はぶじ目的地へ通じる橋まで到着しました』
優花里「どれどれ。双眼鏡は……と。おぉ! 橋がありました!!」
沙織「やった! これで目的地まであっと言う間だね」
--ブオォォォォ……
みほ『沙織が言うが早いか、瞬く間に米軍の航空機が飛んできました』
--ドカーン
優花里「あ、無くなりました」
沙織「」
麻子「」
華「」
……
みほ『場面は再びケイたちへ。車両を失い徒歩行軍となった一行の疲労は徐々に蓄積されていくのでした』
アリサ「どぅぁぁぁ……もう駄目……誰か……50ドルあげるからこの機銃代わりに担いで……」
桂利奈「え? 現金ですか?」
アリサ「うんうん! 必ず払うから」
桂利奈「……」
アリサ「……」
紗希「…………もうじき……金塊貰える」
桂利奈「あ! そっか! アリサさん、やめときます!」
アリサ「ぬがぁぁぁぁーーーー!!」
あゆみ「疲れたーーー」
あや「ケイさん、もう諦めましょうよー」
ケイ「Cheer up! 大丈夫、帰る道より進む道のが近いって」
優季「でももうくたくたで……」
--カチッ
優季「……ん? 何か踏ん……」
--ドーーーン!!
優季「みぎゃーーー」
アリサ「ひぇ!?」
ナオミ「!?」
ケイ「全員伏せて!!!」
桂利奈「え? なに? 敵?」
ケイ「静かに!」
ナオミ「……地雷原だ」
みほ『なんと言うことでしょう。一行が歩いていたのはドイツ軍によって仕掛けられた地雷原だったのです』
ケイ「誰がやられたの?」
あや「優季です!」
ナオミ「Fuckin damm it!!」
ケイ「向こうまで行けば舗装路があるよ。全員、銃剣で前方の地面を確認しながら進んで!」
あゆみ「……慎重に」
紗希「……」
あや「紗希ちゃん! がんばって……」
梓「慎重に慎重に……」
桂利奈「……!? あい!! あいあいあいあいあい!!!! 今銃剣が何かに当たりました!! 地雷!! 地雷です! 地雷!!!」
ナオミ「種類は!?」
桂利奈「これは地雷です!! それしか分かりません!!」
ナオミ「……マークして進め」
桂利奈「あいまむ」
ケイ「みんなー。ここからは安全だから。そこまで来たら私の足跡通りにそのまま来て」
みほ『ケイとナオミの適切な指示のおかげで、何とかほとんどの隊員が地雷原を抜けることに成功しました』
ケイ「あゆみ! 急いで」
あゆみ「はい……はひ」
桂利奈「ケイさん! 大変です! あそこ見てください!!」
みほ『桂利奈の声にケイが目を凝らすと、連れだって走るドイツ軍の車両が目に入りました』
ケイ「ドイツ軍のパトロール部隊よ!!」
ナオミ「こんな時に!」
ケイ「あそこの崩れた塀の陰から迎撃するわ! みんな急いで」
あゆみ「わ、私はどうすれば!?」
ケイ「今からじゃ地雷原は抜けられない。そこで伏せてて!」
ナオミ「心配ない。援護はするさ」
あゆみ「は、はいぃぃ……」
ケイ「全員射撃用意! 機銃は塀に据えて!」
みほ『丁度、準備を終えたころドイツ軍の車両が間近に来ました。トラック三台と士官用車両。兵士は30人以上います』
ケイ「そのまま通り過ぎてよ~……」
まう子「……? 全車停止!」
ナオミ「!?」
ケイ「げ!」
みほ『ケイの祈りもむなしく、遠目に何らかの違和感に気づいたドイツ士官は車両を停め、双眼鏡を取り出してしまいました』
まう子「あそこに何かいるように見えるわ! 全員車両から降りて確認!」
あゆみ「ひぃぃぃぃ……」
ナオミ「……」
アリサ「……」
桂利奈「……どきどき」
紗希「……」
あや「……」
梓「……」
ケイ「…………今よ!! GO AHEAD!!!」
--ズガガガガガガガ……
みほ『人数で圧倒的に劣るケイたちでしたが奇襲が功を奏して有利に戦局を進めることができました』
桂利奈「銃身が燃え尽きるまで撃ち続けます!」
まう子「た、助け……ぎょへーーー!!」
梓「やった! 敵の士官を仕留めました!」
まう子「ぐは……こ、こうなったら、地雷原で伏せてるヤツだけでも道連れにしなさい!!」
あゆみ「……!? て、敵がこっちに! し、死にたくな……ぶるぇぁーーー」
梓「あ、あゆみーーーーー!!」
--ズガガガガガガ……
--ドーン……ドカーン!
……
桂利奈「はぁ……はぁ」
ナオミ「……何とか殲滅できたようね」
紗希「」 ウルウル……
あや「あゆみ、優季……」
ケイ「……」
ナオミ「……」
アリサ「……」
ナオミ「……行こう…………全員準備!」
……
優季「痛たた~……死ぬかと思った~……」
あゆみ「うぅ……ヘルメットが無ければ即死だった」
……
アリサ「……あれ、生きてない?」
ナオミ「……死んでるよ……」
梓「優季。あゆみ。貴方たちのことは忘れないよ!」
あや「安らかに眠ってね……」
……
みほ『夜になる頃、なんとか合流地点までたどり着くことができましたが、戦友を二人も失ったせいか一行は重苦しい空気に包まれていました』
ケイ「……」
ナオミ「……」
アリサ「……」
梓「……」
あや「……」
紗希「……」
みほ『誰も口を開けずにいたなか、偵察に出ていた桂利奈が戻ってきました』
桂利奈「キタキター!!! 来ましたよ!! シャーマンが来てくれました!!」
ケイ「!」
あや「やったーーーーー!!!」
梓「これで百人力ね!」
紗希「……」 パチパチパチパチ
アリサ「Yeahhhhhhhhhh!!」
ナオミ「……って!?」
ケイ「すんごい大群!?」
優花里「ヒャッホォォォォォォ!!」
みほ『事前の約束はM4シャーマンが三両でしたが、空へ向けて主砲を放つ戦車の上でノリノリのオッドボールは、とんでもない大群を引き連れてやって来ました』
アリサ「ちょっと! 分け前が減るじゃない! どうなってんの!!?」
ナオミ「おいおい、キュートな女のコが沢山いるのは歓迎だけど、野球のチームでも作る気かい?」
梓「っていうか全然米軍じゃない人が沢山いますけど!」
優花里「途中で意気投合して拾ってきました」
あや「拾ったって……難民までいますし……」
優花里「彼女たちは楽隊だからいいんですよ」
アリサ「楽隊!? 何に使うのよ!? 遊園地じゃないのよ!」
優花里「賑やかでいいじゃないですか! わんわん!」
ナオミ「とんでもない大所帯になったね。どうするんだいケイ?」
ケイ「ま、エキサイティングいいんじゃない! 報酬は早い者勝ちよ」
アリサ「……OMG」
……
みほ『翌朝、ケイたちによる前線突破の報告は、米軍の後方拠点の作戦司令部の師団長である蝶野亜美少将の耳にも届いていた』
蝶野「凄いじゃない! 少数で戦線を突破するなんて! どこの部隊?」
桃「はい。噂によりますと……」
蝶野「噂!? 前線の兵士が必死で戦っているのに、貴方はそれを噂でしか把握してないの?」
杏「モグモグ」
蝶野「ドライポテトなんて食べてないで答えなさい!」
柚子「えっと、どうやら、321大隊と35大隊の一部の兵が……
蝶野「どうやら? 一部!? 全然分かってないじゃない!!」
杏「モグモグ」
桃「暗号のようなやりとりが多く、内容は分かっていませんが……通信の記録をたどるとケイとオッドボールなる人物が中心に指揮をとってクレルモン橋で激しい戦闘を行っているようです」
蝶野「素晴らしい! なんて勇敢な! まさに英雄!! 合衆国の誇りだわ! 勲章を箱ごと持ってきて!! 私が直接渡しにいくわ!!」
柚子「は、はい!」
杏「モグモグ」
……
みほ『司令部ではそんなやりとりが行われている頃、ケイたちは何とかクレルモン橋を突破し、クレルモン市内へとたどり着いていた』
ケイ「あんなに大所帯だったのにずいぶん減っちゃったわね」
アリサ「結局頼れるシャーマンも一両だけになったし」
ナオミ「結局元からのメンツにおちついたようだね」
みほ『橋が落ちていたことと、敵の抵抗が予想以上に激しかったこともあって、オッドボールの連れてきた大所帯は全て足止めとなってしまいました』
優花里「川底が不安定なせいで、ほとんどが渡れずに足止めされてしまいましたからねぇ」
梓「まぁ工作部隊の手で数時間後にまた橋が架かったら追いついてくれるでしょうし」
アリサ「分け前が減る前に全部いただきよ!!」
……
みほ『ケイの作戦に基づいて、まずは桂利奈と紗希が町中央の鐘塔に上って様子を伺い、離れた高台にいるケイたちに状況を報告することになりました』
桂利奈「もしもし、ケイさん。今は早朝ですから、まだみんな寝てるみたいですが……確かに広場にティーガーが三両います」
ケイ「OK! 銀行はどう?」
桂利奈「屋根に機銃が二挺、警備の兵士が数人います」
ケイ「ふーん。こっちからは見えないわね。屋根と、壊れた建物ばっかり。兵舎は見える?」
桂利奈「はい。銀行の裏の建物にジープと警備の兵士、それにトラック三台が見えます! ティーガーさえ居なければ制圧できそうです!」
ケイ「OK、ありがとう。しばらくそこで待機してて」
桂利奈「あいまむ!」
優花里「まぁそりゃティーガーさえ居なければ余裕でしょうね」
ナオミ「誘い出してくれればあとはコッチで建物を制圧するさ」
優花里「いやいや、誘い出したらこっちが棺桶ですよ」
ケイ「まぁまぁ。道の狭い町だし、遮蔽物もある。奇襲なんてどう?」
優花里「なるほど。ティーガーには弱点が一つだけ弱点があります。ケツに砲弾をぶち込んでやればひぃひぃヨガって燃えだします!」
ナオミ「とりあえず聞いた風な言葉遣いしてるだろ?」
優花里「……こほん。ですが、接近すればどうやっても音で気づかれて迎撃態勢に入られます」
ケイ「No problem! アイデアがあるわ!!」
ナオミ「……」
アリサ「……」
優花里「……オーケー! 乗りましょう!」
ケイ「All right! もしもし、桂利奈?」
桂利奈「あいあい!」
ケイ「状況は?」
桂利奈「裏の兵舎らしき建物の出入りが多くなってきました」
ケイ「OKよ。20分後からその鐘塔の鐘を鳴らし続けてちょうだい」
桂利奈「りょーかい!」
ケイ「紗希は銀行の屋上を狙撃で制圧」
紗希「……」 コクリ
桂利奈「りょーかい!」
ケイ「それじゃ、Mission start!!」
みほ『ケイの作戦通り、桂利奈と紗希以外の一行は二手に分かれて行動を開始しました』
みほ『ケイはオッドボールたちとともにM4シャーマンでティーガーの撃破を、ナオミたちは銀行と兵舎の制圧を、それぞれ担っています』
桂利奈「もしもし! もしもし、ケイさん!」
ケイ「桂利奈、そっちはどう?」
桂利奈「大変です! ティーガーが三両ともエンジンをかけました! もう逃げましょう!!」
ケイ「エンジンを?」
優花里「……大丈夫。そうゆう決まりなだけです。ルーチンで決まった時間、定期的にエンジンをかけるんです」
桂利奈「そ、そうだといいんですけど……どきどき」
優花里「逆に今いけばこっちの音は聞こえにくいですね。やりますか?」
ケイ「……そうね。頼んだわよマム!」
優花里「わんわん!!」
……
あや「やっば~。今ちょ~見つかりそうだったよ~」 ヒソヒソ
梓「静かに走って」 ヒソヒソ
……
アリサ「ひぃぃ、今こっち向きそうだったわよ! さっさと撃った方がいいんじゃないの?」
ナオミ「そうそう見つからないよ。どっしり構えてれば大丈夫さ」
アリサ「どきどき……」
……
桂利奈「私も鐘鳴らしに下降りるね! 寂しくなったらメールしてね!」
紗希「……」 コクコク
……
みほ『それぞれが分散して銀行と兵舎を囲んだ頃、ついに指定の20分が経過しました』
桂利奈「よしきたぁぁぁぁぁ!!」
--ガラーン!! ガラーン!! ガラーン!!
みほ『桂利奈によって鐘が鳴らされるとケイはすかさずM4シャーマンを前進させます』
ケイ「今よ」
優花里「おっけぇ~いい!!」
ケイ「道が狭くなってるから誘導するわ。お~らい、お~らい、そのまま。壁にぶつけないでよ~」
麻子「誰が」
ケイ「OK!! ストップ!」
優花里「……どれどれ。おぉ! 壁のすぐ向こうにティーガーのお尻が丸見えです! ここの隙間から砲で狙いましょう」
ケイ「ぃよっし! 今よ!! GO AHEAD!!」
優花里「撃てぇぇぇぇぇ!! ひゃっほぉぉぉぉぅぅ!!!」
……
アリサ「ひぃぃぃ……撃たなきゃ死ぬ撃たなきゃ死ぬ撃たなきゃ死ぬ撃たなきゃ死ぬ」 ドガガガガガ
……
紗希「……(ヘッドショット余裕)」 ズキューン
……
あや「そりゃー! 燃えろ燃えろーーー!」 ドカーン ドカーン
……
桂利奈「う、腕つかれた……」 ガラーン ガラーン
みほ『完全に虚を突かれたドイツ兵たちは抵抗むなしく次々やられてしまいます』
みほ『しかし敵にはティーガーがいることを忘れてはいけません。奇襲によって撃破できたティーガーは一両。敵にはまだティーガーが残っているのです』
ケイ「やば!! 来た来た!! 向こうも壁をブチ抜いてコッチにくる気だよ!」
優花里「後退、後退!!」
ケイ「……撃ってくるよ!」
みほ『ティーガーの砲撃はすんでのところで外れましたが、正面を向いたティーガーが相手ではM4シャーマンが何両いても勝ち目はありません』
優花里「ひょぇぇ」
ケイ「Back! Back!」
……
みほ『一方その頃、他の一行は見事に凶悪なナチどもを殲滅していました』
あや「あれ?」
梓「どうしたの?」
あや「なんかストーリー的にはここで誰かが建物の爆発に巻き込まれてトイレの中に落ちる、みたいな演出があっても面白い気がして……」
アリサ「いや、一応女の子だからね。分かってるアンタ?」
あや「え~、でも……あ!」
アリサ「機銃担がされた挙げ句、死にかけて、そこから何が悲しくてアンタ……!!」
梓「あ! アリサさん。犬のウンチ踏んでますよ」
アリサ「ぬがぁぁぁ!!」
あや「えんがちょバリアー」
梓「え……えんがちょバリアー」
アリサ「ぬがぁぁぁあああああああああああ!!」
桂利奈「はぁ……はひ……腕つりそう……でも……みんなの為に」 ガラーン ガラーン ガラーン ガラーン
アリサ「っていつまで鳴らしてんのよっ!!」
桂利奈「え? だってケイさんが」
アリサ「もういるのはバレてるからいいのよ! あとはナオミと元中尉にまかせなさい!」
桂利奈「……アリサさん、なんか臭いません?」
アリサ「ふぬぅぅがぁぁぁぁぁぁ!!」
……
ナオミ「よっと!」
みほ『ナオミは路地から飛び出すと同時に手榴弾を放り投げ、ティーガーに小銃を撃ち込みました。もちろん効かないことは分かっていたので、すかさず逃げます』
ナオミ「よし。追ってきた!」
ケイ「OK! GOOD JOBよ、ナオミ」
優花里「前進!」
ケイ「前進、前進!」
みほ『ナオミを追うティーガー。それをさらに追って前進したM4シャーマンは壁を突き抜け、車を踏みつぶし、ティーガーへと追いつきました』
みほ『ティーガーの乗員が失敗に気づいた時にはすでに手遅れです』
優花里「発射ーーーー!!」
みほ『背後からM4シャーマンの似非90mm砲の直撃を受けたティーガーはあっと言う間に真っ赤に染まりました』
ケイ「Yeahhhhhh!! やった、真っ赤になったわ!」
優花里「ひゃっほぅ!」
ケイ「……って!! ちがーーーーーう!! ちょっと、ペンキ弾じゃない!!!」
優花里「み、みすていくです! 実弾装填!」
ケイ「ちょっとーーーーー!!」
みほ『しかしそこでケイはティーガーの動きがおかしいと気づきます』
ケイ「……」
エレファン子「ははわわ……砲塔が……」
--ウィーン……ガッシン……ウィーン……ガッシン
みほ『なんと、道が狭すぎた為に、壁や木につっかえてしまって、ティーガーの砲塔はこちらに向けられなかったのです! 慌てた車長が思わずキューポラから顔を出しますが、これでは恰好の的です』
ケイ「Chance!! 機銃掃射えーい!!」
エレファン子「ぐへぇーー」
ケイ「今よ!」
優花里「撃てぇーーー」
--ドーーーーン!!
みほ『背面から砲撃を受けたティーガーは大爆発して吹き飛びました』
みほ『しかし、この時ケイたちはまだ知らなかったのです』
みほ『残る一両のティーガーが銀行へ辿り付いたアリサたちを襲撃していたことを』
……
アリサ「ほげぇーーーー!!」
みほ『砲撃によって石壁が盛大に破壊されると同時に、アリサの悲鳴が響きました』
梓「アリサさん!! 大丈夫ですか! しっかりしてください!」
アリサ「わ、私はもう駄目だわ……」
桂利奈「ビックリしてズッ転けたらオデコぶつけただけです! しっかりしてください!」
紗希「……」 コクコク
アリサ「じ、自分の体のことくらい分かるわ。私はもう……」
あや「もう、面倒なんで引きずって行きます! 紗希、左足もって!」
紗希「……」コクリ
アリサ「いたたたた、擦れてる擦れてる!」 ズルズルズル……
……
みほ『そして、一方のケイたちにも、最悪の事態が起こっていました』
ナオミ「オッドボール! 動けないってどういうことよ!?」
優花里「さっきの二戦で転輪がいっちゃったんですよ。いくら天才技師のナカジマさんでもカーコンビニ倶楽部じゃないんですから、そんな一瞬じゃ直りませんよ」
ナカジマ「じつはずっと居たよん」
麻子「戦車が動かないんじゃ」
沙織「私たちの出番は」
華「終わってしまいましたねぇ」
ケイ「ん~困ったね~」
優花里「まぁ、かっぱらったワインでも飲んで待ちましょうよ。わんわん!」
ナオミ「しかたない……アリサたちと合流しよう」
……
ナオミ「アリサ! ケガしたって!?」
桂利奈「はい! オデコにタンコブが」
ナオミ「……それだけ?」
アリサ「悪かったわね。それだけで。それで作戦の見通しは」
ナオミ「シャーマンがやられたよ……。向こうにはまだティーガーがいる。状況は良くはないね」
アリサ「んじゃ、取引すれば?」
ナオミ「?」
アリサ「取引よ。話の分かるヤツかも知れないじゃない」
ナオミ「へぇ……なるほどね。流石は参謀だ」
優花里「正気とは思えませんね。カチコチ頭のナチス軍人ですよ?」
ナオミ「いや、命令されて銀行を守ってるだけかも」
ケイ「自分が何を守ってるのすら、知らないのかもね~」
ナオミ「……」
優花里「……」
ケイ「やってみよっか?」
ナオミ「仕方ない、つきあうよケイ」
優花里「わんわん! ちなみに、コイツは犬の真似です」
……
みほ『覚悟を決めたケイ、ナオミ、優花里の三人は徒歩で、ゆっくりとティーガーに向かって歩みを進めました』
みほ『ティーガーの車体窓から乗員と目があっても、歩みは止めません』
優花里「……」
みほ『機銃を向けられても歩みは止めません』
ナオミ「……」
みほ『砲塔が旋回し、主砲を向けられても、歩みは止まりません』
ケイ「……」
みほ『そしてついに、三人はティーガーの眼前まで、来ました』
みほ『開いたキューポラから、車長らしきドイツ兵が現れます』
優花里「……出てきました」
みほ『依然、機銃は三人に向けられたままですが、毅然とした態度のドイツ兵は勇敢にも戦車から降りて、三人の前へと立ちました』
まほ「……」
ナオミ「やぁ……ガムでも買むかい?」
まほ「いや、結構だ」
ナオミ「まずは出てきてくれたことに感謝するよ。話があるんだ」
まほ「前置きは結構だ。用件を聞こう」
ナオミ「キミも、私たちも、ただの兵士だ。本気で忠義を尽くしてこんなところで戦ったって大して得るものも無い。犬死にさ」
まほ「……」
ナオミ「じきに味方の大群が来る」
優花里「だから、その前に」
ケイ「私たちの頼み聞いて、逃げちゃってよ!」
-
まほ「貴様らが何を言おうと勝手だが、私の任務は銀行を米軍から守ること。それだけだ」
ケイ「No problem!! 米軍には渡さないわ! 私たちが頂くもの」
まほ「貴様らだって米軍だろう!!」
優花里「いえいえ。そんなのもうヤメです! 知ってます? 1,600万ドルの金塊があるんですよ?」
ナオミ「分かるかい? 6,500万マルクさ」
ケイ「ねっ! サージェント。ここは仲良く山分けと行こうよ」
まほ「……何を言っている?」
ケイ「え?」
まほ「何度も言わせるな。私の任務は銀行を守ること。それだけだ」
優花里「えっ?」
ナオミ「えっ?」
まほ「もういいだろう。全員射s……」
ケイ「ストーーーップ!! なんでそうなるの!!」
優花里「分かりました! 今なら金塊に加えて、みほ殿の生写真もお付けします!!」
まほ「……何を言っている? 私はドイツ人で、貴様らはアメリカ人だ。金塊があったとしても渡す理由がない」
ケイ「ちょっ!」
まほ「それに、みほ殿などと言う人間を私は知らない」
ナオミ「待て待て。今ならこの『ナレーションの女の子』とデートできる権利も付けよう。ほら、お姉ちゃんって言って……」
みほ『わ、私ですか? え、えっと……お姉ちゃん…… ///』
まほ「……ナレーションだのなんだのと、クスリでもやっているのか貴様ら」
優花里「ひーーーーー!!」
ケイ「……あ、やっば。この人ジョークとか通じないタイプの人だ」
まほ「もう黙れ。今度こそ全員射さt……」
ケイ「ウェイウェイウェイ!! 待って待って!! そんなこと言わないで、友達でしょ!!!」
まほ「……は?」
ナオミ「……ケイ?」
ケイ「だって出会ったら即戦闘の戦場で、これだけ長くトークしたんだもん。これはもうフレンド! 友達でしょ! 兄弟……じゃないや。姉妹と言っても過言じゃないわ」
優花里「……???」
ケイ「それに、私たちも味方の誤射に三ヶ月さんざん苦しめられてるんだ。私たちも貴方たちもアメリカ軍に苦しめられた仲間ってコト! 同じ境遇の友達だよ!」
ナオミ「ケ、ケイ?」
優花里「この状況でそんな口八丁なんか……」
まほ「……な! 何言っている! わ、わわわわ私に友達など、ふふふ不要だ」
優花里「…………って、めっちゃ動揺してます!!!!」
ケイ「どーせ戦争なんてそのうち終わるんだしさ、金塊みんなで山分けして、どこかパーっと遊びに行こうよ!」
まほ「み、皆でぱーっと?」
ケイ「そうそう。友達みんなで。行くでしょ?」
まほ「……く、くだらん」
……
--ドガーーーーン!!
みほ『爆音とともにティーガーの主砲が発射されました』
まほ「友達なんて、そんなもの……」
ケイ「まぁ一緒に遊べば分かるって!」
みほ『ティーガーの主砲によって銀行のドアは破壊され、ついに道は開かれたのでした』
みほ『一同が中へ入ると、布が被せられた大きな塊が目に付きました』
ナオミ「……これが……」
アリサ「……」 ゴクリ
桂利奈「は、早くめくって見ましょうよ」
紗希「……」 ソワソワ……ソワソワ
まほ「……」
ケイ「じゃあ、めくるよ……せーの……それ!!」
みほ『ケイが勢いよく布をめくるとそこには……』
ナオミ「これ……」
アリサ「……マジ?」
みほ『そこには、光り輝く金塊が山のように積まれていました』
優花里「ひゃっほぉぉぉぉぉぉぉぉぅぅぅぅぅぅぅうううう!! 最高だぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
桂利奈「こ、これだけあれば特撮見ほーだい!!?」
あや「メガネ新しくして~ストラップも買いまくれるかなぁ」
梓「ま、まずは貯金して、外貨と海外株式で分散させて……」
紗希「……」 バンザーイ
ケイ「やったねナオミ、アリサ!!」
ナオミ「あぁ。これだけあれば何回デートしても使いきれないな」
アリサ「うぇぇぇぇえええ。よがった……生きててよがった……」
優花里「まずはこのお金でティーガーを買います!!」
まほ「う、売った!」
ナオミ「なら私はキミが今着ているドイツ軍服を買おうかな」
まほ「な!?」
ナオミ「軍服の交換だよ。サッカーだってユニフォーム交換するくらいだしさ」
まほ「な、なんだ。そうゆうことなら……」
ナオミ「さ、脱いで。大丈夫、優しくするから……」
まほ「え?」
優花里「ケイさんはこのお金で何するんですか?」
ケイ「もっちろん、も~~っとエキサイティングなこと!!!」
みほ「少数の精鋭部隊を率いて敵陣を突破し、凶悪なティーガーを打ち破ってアメリカ軍に勝利をもたらした勇猛果敢な兵士がいたことは、その後も後世まで語り継がれました」
みほ「これは第二次世界大戦中の、とあるヒーローたちの物語です」
おしまい
エ~ンタ~エ~ンタ~♪ ミッショ~ン♪
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