勇者「ターン制は絶対におかしい」
僧侶「そうですか?」
勇者「だってさ、何で相手の攻撃待たなきゃいけないんだよ、だるすぎだろ」
僧侶「そういうシステムですから、今やターン制はRPGのお決まりシステムです」
勇者「そりゃあやってる側としたらいいけどさ、俺らとしたらたまったもんじゃないだろ?」
僧侶「そこまでいうなら、ターン制撤廃します?」
勇者「で、出来んの?」
僧侶「はい」
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ー魔物が現れた!ー
勇者「うし、ボッコボコにしてやるぜ!」
ー勇者の攻撃!ー
ー勇者の攻撃!ー
勇者「こりゃいい、戦闘が楽チンだ」
僧侶「あっ、勇者様。危ないですよ」
ー魔物の攻撃!ー
勇者「やりやがったな!次は俺の......」
ー魔物の攻撃!ー
ー魔物の攻撃!ー
勇者「ちょっ......」
ー魔物の攻撃!ー
ー魔物の攻撃!ー
ー魔物の攻撃!ー
ー魔物の攻撃!ー
勇者「」
ーーー
ーー
勇者「なんだよあれ」
僧侶「ターン制、撤廃してますから」
勇者「にしたってやりすぎだろ、完全にハメだよ、ハメ」
僧侶「こっちが何回も攻撃出来るなら相手も然りですよ。仕方ありません」
勇者「......」
僧侶「どうなさいますか? 元のターン制に戻します?」
勇者「......頼む」
村人「私たちの村にようこそ!」
勇者「おい」
村人「私たちの村にようこそ!」
勇者「......」
僧侶「どうなさいました?」
勇者「こいつらなんで決まった事しか喋らないんだよ」
僧侶「そういったプログラムがなされてますから」
勇者「ぷろぐらむ?」
僧侶「はい」
勇者「......よくわかんないけどさ、僧侶なら何とか出来ないの?」
僧侶「出来ますよ」
ーーー
ーー
勇者「これで奴らは色々喋ってくれるようになったんだな」
僧侶「そうですね」
勇者「まあなんだ、新しい村についた事だし、確認ついでにアイテム回収してくか」
僧侶「そうしましょう」
勇者「まずはこの家だな」ガラッ
男「おい貴様、何勝手に人様の家にあがりこんどるんじゃ」
僧侶(あっ、ヤバそう)
勇者「えっ? アイテム回収ですけど」
男「不法侵入の挙句盗みを働こうとはいい度胸じゃねぇか」
勇者「あの、ほら、私勇者だから......」
男「何が勇者だコラァ!」
勇者「」
ーーー
ーー
勇者「めちゃくちゃ殴られた」
僧侶「当たり前です、不法侵入ですよ?」
勇者「でもさ、今迄は平気だったじゃん」
僧侶「それは彼らにそういった思考がプログラムされていなかったからです」
勇者「......」
僧侶「元に戻しますか?」
勇者「......頼む」
勇者「あのさ、宝箱って誰が置いてんの?」
僧侶「さあ」
勇者「おかしくね? そんな宝箱が各地に点在してるなんてさ」
僧侶「それをなんとかしたいと?」
勇者「出来るだろ?」
僧侶「勿論」
ーーー
ーー
勇者「よし、早速ダンジョンに向かうか」
勇者「......行き止まりか」
僧侶「ですね」
勇者「ならこっち......も行き止まり」
僧侶「はい」
勇者「そっちの道は......行き止まりかよ」
僧侶「その様ですね」
勇者「......」
勇者「行き止まり多くね?」
僧侶「そうでしょうか」
勇者「絶対そうだって、いつもはこんなに......」
僧侶「おそらくは今迄の行き止まりのいくつかには宝箱が設置されていたのでしょう」
勇者「宝箱が?」
僧侶「はい、行き止まりには宝箱。RPGの鉄則です。今は宝箱が存在しないので、行き止まりが多いように感じるのでしょう」
勇者「......宝箱、大事なんだな」
僧侶「戻しますか?」
勇者「.......頼む」
勇者「なあ、俺らのバッグってどうなってんの?」
僧侶「どういうことですか?」
勇者「どれだけ物いれても平気じゃん。旅には必要最低限の物で旅立つもんだろ? いくらでも持てたら緊張感無いって」
僧侶「いいじゃ無いですか、便利で」
勇者「......」
僧侶「変えますか?」
勇者「うん」
ーーー
ーー
勇者「よし、これは......要らないな。これは......要る」
勇者「やべぇ、旅の準備超楽しい」
僧侶「そんなもんですか?」
勇者「試行錯誤の連続、これも必要だけどあれも......って考えてくのが最高にいい!」
僧侶「それは置いといて、行きましょうか」
勇者「ああ!」
勇者「......」
宝物「」キラキラ
僧侶「どうします?」
勇者「も、持ってけばいいだろ」
僧侶「手でですか?」
勇者「あったりめぇだ......」ズシッ
勇者「むむむ......」
勇者「めちゃくちゃ重い」
僧侶「でしょうね、あんなに大きいですし」
勇者「......俺ら今迄さ、こんなのどうやって持ち運んでたの?」
僧侶「バッグに入れてました。あれ、中に入れると大きさも重さも関係なくなるんですよね」
勇者「......」
僧侶「戻しますか?」
勇者「......頼む」
勇者「なあ、この世界って人口どれくらいなの?」
僧侶「急にどうしたんですか?」
勇者「だってさ、村一つにつき人が少なすぎだろ、限界集落もいいとこだ」
僧侶「変えますか?」
勇者「ああ、世界が終わっちまう」
ーーー
ーー
勇者「よし、早速様子みてみるか」
ガヤガヤガヤガヤ
勇者「......」
ガヤガヤガヤガヤ
勇者「人多すぎだろ」
僧侶「仕方ありませんよ、人口は増えても村は前のままなんですから」
勇者「そのせいで人口密度がぱないのか」
勇者「すいませーん、通して下さい」
ガヤガヤガヤガヤ
勇者「すみませんね、通りますよ~」
ガヤガヤガヤガヤ
勇者「ふぅ、宿屋に着くのにも一苦労だ」
僧侶「勇者様、宿屋は予約一杯のようです」
勇者「マジで!?」
勇者「そんな事始めてだ......」
僧侶「人口が増えてますからね、仕方ありません。今日は野宿ですかね」
勇者「......」
僧侶「それとも元に戻しますか?」
勇者「......頼む」
勇者「エンカウントが少なすぎる」
僧侶「いい事じゃないですか」
勇者「レベル上げがだるい、もっとじゃんじゃんかかって来いよ」
僧侶「変えますか?」
勇者「ああ」
ーーー
ーー
勇者「よし、早速レベル上げだ」
ー魔物の群が現れた!ー
勇者「ナイス、レベル上げはかどりそうだ」
ー魔物の群が現れた!ー
ー魔物の群が現れた!ー
ー魔物の群が現れた!ー
勇者「はっ!?」
僧侶「じゃんじゃんかかって来てますね」
ー魔物の群が現れた!ー
勇者「ナイス、レベル上げはかどりそうだ」
ー魔物の群が現れた!ー
ー魔物の群が現れた!ー
ー魔物の群が現れた!ー
勇者「はっ!?」
僧侶「じゃんじゃんかかって来てますね」
勇者「いやいや、限度考えろよ!」
僧侶「相手魔物ですから」
勇者「確かに」
僧侶「限度なんてわかりません」
勇者「......」
僧侶「戻しますか?」
勇者「......頼む」
勇者「この世界の防具どうなってんの?」
僧侶「普通だと思いますが」
勇者「いやいや、例えばさ、僧侶がこの兜装備するだろ?」
僧侶「はい」カポッ
勇者「んで、俺が装備」カポッ
僧侶「女の子が装備したものをそのまま装備なんて変態ですね」
勇者「うっさい!」
僧侶「つまり、何が言いたいんですか?」
勇者「俺らはまず間違いなく、体のサイズ違うだろ?」
僧侶「当たり前です」
勇者「ならなんで自然に装備出来るんだよ」
僧侶「フリーサイズなんですよ」
勇者「そんな防具無い」
僧侶「変えますか?」
勇者「ああ」
ーーー
ーー
勇者「よし、防具屋行ってみよ」
おっちゃん「サイズは?」
勇者「[ピー]です」
僧侶「隠す必要ないですよ」
勇者「恥ずかしいじゃない」
僧侶「......」
おっちゃん「ん~、あいにくそのサイズは切らしてるねぇ」
勇者「じゃあ、その隣のでもいいです」
おっちゃん「それも......無いなあ」
勇者「防具買えなかった」
僧侶「そうですね」
勇者「サイズがあるとこんなにめんどくさいとはな」
僧侶「戻しますか?」
勇者「......頼む」
勇者「世界狭くね?」
僧侶「唐突ですね」
勇者「いやさ、人口の時にわかったけど、人口云々のまえに世界が狭すぎるんだよ」
僧侶「ちょうどいいと思いますが」
勇者「だって魔法の絨毯とか手に入れたら世界がお庭みたいなもんじゃん」
僧侶「変えますか?」
勇者「ああ」
ーーー
ーー
勇者「いや~、広いっていいね。のびのび出来るわ」
僧侶「そうですね」
勇者「よし、次の町行くか」
僧侶「はい」
勇者「遠すぎ」
僧侶「はや5日ですね、世界が広すぎるんですよ、まだ次の村まで半分くらいあります」
勇者「マジ?」
僧侶「マジ」
勇者「......」
僧侶「戻しますか?」
勇者「......頼む」
勇者「魔物の奴ら、最後まで元気すぎだろ」
僧侶「どう言うことですか?」
勇者「体力MAXの時と死にかけで全く同じ強さとかあり得ないわ」
僧侶「魔物ですから」
勇者「とは言っても流石に厳しいだろ」
僧侶「変えますか?」
勇者「ああ」
ーーー
ーー
勇者「いざ、試し斬り」
勇者「おお、斬れば斬るほど弱くなりおるわ」
ー魔物の攻撃!ー
ー勇者にダメージ!ー
勇者「あれ、なんかちょっとだるい」
僧侶「体力MAXの時と同じとは行きませんよ」
勇者「あっ......」
僧侶「いい加減学習して下さい、相手がそうならこっちもそうなんです」
勇者「はい......」
僧侶「戻しますか?」
勇者「......頼む」
魔王「よく来たな勇者」
勇者「ついに魔王との決戦か!」
僧侶「気を引き締めていきましょう!」
勇者「魔王弱くね?」
魔王「」
僧侶「戦闘中ですよ」
勇者「だって俺ら二人だよ? しかもまだレベル最大でも無いから強くなれるんだよ? なのに魔王倒せるとか何」
僧侶「変えますか?」
勇者「勿論だ、魔王はもっと歯ごたえがないと」
ーーー
ーー
勇者「よし、行くぜ魔王!」
ー勇者の攻撃!ー
ーしかし魔王には効かなかった!ー
勇者「何!?」
ー魔王の攻撃!ー
ー魔王の攻撃!ー
ー魔王の攻撃!ー
ー魔王の攻撃!ー
ー魔王の攻撃!ー
ー魔王の攻撃!ー
ー魔王の攻撃!ー
ー魔王の攻撃!ー
ー魔王の攻撃!ー
ー魔王の攻撃!ー
勇者「十回行動、だと......」
勇者「強すぎだろ」
僧侶「魔族の長ですから」
魔王「フハハ! 貴様ら人間等敵ではないわ!」
僧侶「戻しますか?」
勇者「......頼む」
魔王「あれ? 力が出ない」
勇者「喰らえ」
魔王「ぐふっ!」
魔王「」
僧侶「呆気ない幕切れでしたね」
勇者「俺、わかった気がするよ」
僧侶「何がですか?」
勇者「リアルを追求する必要は無いんだな」
僧侶「今更ですね」
勇者「突っ込みどころがあって、笑えるのもまた楽しみなのかもしれない」
僧侶「その通りです。現実と違うからいいんですよ。現実と同じ事をゲームでしたって楽しくありません」
勇者「そうだな、そんな事を考えてる時点で、間違ってたんだな。純粋にゲームを楽しむのが、一番なんだな!」
僧侶「はい!」
勇者「なあ、なんで俺たち以外の人間は蘇生出来ないんだ?」
僧侶「ゲームだからですよ」
勇者「それじゃあ納得出来ないんだよ!」
僧侶「おい」
お終い
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