愛「妹はじめました!」 (77)
876プロ 事務所
愛「さぁ! 今日はオーディションです!」
石川「自信の程は?」
愛「絶対大丈夫! 楽しみで眠れないくらいです!」
石川「昨日は眠れなかったの?」
愛「あっ、ちゃんと眠れました」
石川「なによりね」
愛「はい! 万全です! もし落ちたらどんな罰ゲーム受けちゃってもいいぐらい!」
石川「凄い自信ね」
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―――
――
―
石川「さて、愛。今回のオーディションに落ちた原因は?」
愛「うぅ……レッスンが不足していました」
石川「いいえ、充分だったと思うわ」
愛「じゃあ、運が悪かった?」
石川「ええ、その通り。運がなかったわね」
愛「千早さんが出るなんて聞いてませんよー!」
石川「こういうこともあるわ。負けは負けよ」
愛「う~……」
石川「母親を乗り越えたとはいえ、あなたはまだまだ発展途上。道は険しいと実感なさい」
愛「はい……よく分かりました。これからも、もっともっと頑張らなきゃですね!」
石川「それじゃあ、大見得切って出たオーディションだったし、ここは愛にペナルティをあげましょうか」
愛「ペナルティ!?」
石川「ええ、それはね――」
日高家
愛「た、ただいま……」
舞「おかえり♪」ニコニコ
愛「……」メセンソラシ
舞「ねぇ、愛? 何か言う事があるんじゃないの?」ニコニコ
愛「……う、う~……お、おね、お姉ちゃん……」
舞「はい! よくできましたー!」パァァ
愛「うわぁぁぁぁぁぁん!! 恥ずかしいよぉぉぉぉぉぉ!!!」
舞「妹になるだなんて、社長さんも面白い罰ゲーム考えるわねぇ。ママって呼ばれるのもいいけど、お姉ちゃんも新鮮でいいかも」
愛「やめてよママ! 本っっ当に恥ずかしいから!」
舞「ママじゃなくてお姉ちゃんでしょう?」ウフフ
愛「ママは恥ずかしくないの!? もうおばさんなのに!」
あたまガシッ!
舞「お姉ちゃんでしょう? ウフフ……」ギリギリ
愛「負けないもん……あたしは正しいもん……!」グググ
―――
――
―
愛「明日はお弁当なのでお願いします、お姉ちゃん……」プイッ
舞「顔背けちゃって可愛いわねー」
愛「!」ムッ
愛「ギロリ!」ジー
舞「怒っても可愛いわねー。愛は可愛さでとっても得してるわよ。お姉ちゃんもとーっても可愛いけど♪」
愛「むむむむ……あっ!」
舞「あら? どうしたの?」
愛「……ママ、じゃなくてお姉ちゃん!」
舞「なーに?」
愛「あたし今日はもう何言われても絶対気にしないからね! フフン!」ドヤ
舞「無反応で対抗しようってわけね。愛にしてはやるじゃない」
愛「フーン」プイッ
舞「じゃあ、お姉ちゃんは~……」ピッポッパ
舞「もしもしー? 暇よね? 暇になりなさい。今うちに来ると面白いもの――」
愛「わーーーーー!! ダメーーーーー!!!」ダッ
舞「もう、そんなに恥ずかしがることないじゃない。こんなに若くて可愛いんだから大丈夫よ♪」
愛「ダメったらダメー!」
舞「そもそも、気にしないんじゃなかったの?」
愛「見られるのは嫌ー!」
舞「うんうん、お姉ちゃんも鬼じゃないから~」
愛「ないから……?」
舞「買い物行くわよ、愛」
愛「……そ、外ではママだよね?」
舞「お姉ちゃんって呼びなさい」ニコッ
愛「絶対嫌ーーーーー!」
舞「愛、社長さんとの約束破るの?」
愛「ぎくっ」
舞「お姉ちゃん、そんな愛ちゃんどうかと思うわ」
愛「そ、それは……」
舞「ペナルティはしっかり受けるべきだと思うの」
愛「う、うぅ~……卑怯だよ~……」
舞「家庭に仕事を持ち込むことの是非はともかく、これも演技力レッスンの一環と思いなさい」
愛「は~い……」ガックリ
舞「あっ、パパのこともお兄ちゃんって呼びなさいよ」
愛「パパをいじめないで!」
舞「愛はたまに頭の中で話を吹っ飛ばしてくるわよね」
―――
――
―
舞「ねー、愛! お姉ちゃんに何か作って欲しいものある?」
愛「……」
舞「愛ったら~♪」
愛「太郎でいいよ~……お姉ちゃん」
舞「じゃあお米ね。丁度ピンチだったし買っていきましょう」
「随分年の離れた姉妹だな~」
「あれ、あの人たちって姉妹だっけ?」
「日高さんの家って一人っ子だったわよね……?」
「また舞さんが娘さんで遊んでる」
愛(み、道行く人たちの視線がー……)
舞「ねー、愛」
愛「な、なぁに? お姉ちゃん……」
舞「呼んだだけ~♪」
愛「う~……ガルルル……」
―――
――
―
舞「あっ、そうだ。愛、サラダ盛り付けておいて」
愛「はーい」
舞「それをお姉ちゃんに差し出して」
愛「?」
舞「ちゃんと、妹らしくね♪」
愛「……お姉ちゃん、いつもありがとう。あたしの特性盛り付けだよ」
舞「えー……あんまり可愛くないからもう一回~」
愛「もう! はいこれ! お姉ちゃんにはいつも頑張ってる分いっぱいだからね! 残しちゃダメだからね!」
舞「あっ、今のはちょっと可愛かったわ!」
翌日 876プロ
愛「社長ーーーー!」
石川「あら、愛。どうしたの?」
愛「恥ずかしすぎですよ! あのペナルティ!」
石川「でしょうね……だけど、約束は覚えてる?」
愛「……はい。一週間通しで、一日交代ですよね」
石川「そうよ。次は……」
愛「次は……?」
石川「絵理の妹になりなさい」
>「また舞さんが娘さんで遊んでる」
オーガの横暴は世間一般にも知れ渡ってるのかよww
愛「絵理さんですか? 今日は絵理さんと仕事一緒じゃないですけど……」
石川「既に絵理と尾崎さんに話は通してあるわ。今日は妹として絵理の家に帰ること」
愛「え、えーーー!? いいんですか!?」
石川「社長として許可します」
愛「それは楽しそうだから嬉しいです!」
石川「何よりね」
愛「絵理さんがお姉さんー♪ 絵理さんはお姉さんー♪」
石川「じゃあ、私は高木社長と黒井社長のケンカを見物してくるから、愛も仕事遅れないようにね」
今日はここまでです
>>11
世間に知れ渡っているというより、近所のイメージです
―――
――
―
水谷家
絵理「ふぅ……」
尾崎「今日もお疲れさま、絵理」
絵理「ありがとう、尾崎さん。だけど……疲れるのはこれから」
尾崎「妹状態の日高さんと一緒なのよね」
絵理「社長もとんでもないことを考える……」ハァ
尾崎「嫌なの?」
絵理「愛ちゃんと一緒は嫌じゃないけど……あのパワーが妹状態で更に上がると思うと……」
尾崎「絵理にはちょっとつらいわね……」
絵理「だけど、愛ちゃんのことだから楽しみにしてると思う」
尾崎「じゃあ、絵理も気を付けて楽しみなさい。また明日」
絵理「うん、また、明日」
絵理(愛ちゃんが来る前に破壊される可能性のあるものを保護しなきゃ)
絵理(最優先は仕事関係、次いで精密機器……)
絵理(愛ちゃんが来る時間までまだ少しある――)
絵理(やれるだけやっておかなきゃ……)
愛「……」スゥ
愛「お姉ちゃーん!」バッ
絵理「あ、愛ちゃん。いらっしゃい……」
愛「はい! だけど、今日は妹なので!」
絵理「それじゃあ……おかえり?」
愛「ただいまー! お姉ちゃん!」パァァ
絵理(あ、いいかも)
絵理「ところで、愛ちゃん、何を抱えてるの?」
愛「シュガーパイを買ってきました! ……きたよ! お姉ちゃんと一緒に食べようと思って!」
絵理「あ、ありがとう……?」
愛「ううん! 気にしないでいいよ。お姉ちゃんと食べたかったんだもん!」
絵理(口調が崩れてる愛ちゃんはレア……)
愛「それじゃ、おじゃましまーす」
絵理「愛ちゃん、今日は妹だから、ただいま?」
愛「あっ、そうでした! ただいまー!」
絵理「ペナルティ、楽しんでるね」
愛「えへへ。お姉ちゃんと一緒で楽しいもん!」
絵理「ふふっ……」
絵理(可愛いけど油断はできない。部屋の物は死守しなきゃ……)
愛「あれ? お姉ちゃん、パソコンに紙……故障中?」
絵理「今、ちょっと使えない? 少し調整したり、色々……」
愛「そうなんだ……」シュン
絵理「……使いたかったの?」
愛「あ、ううん。違うよ」
絵理「?」
愛「あのね、お姉ちゃんがとりゃとりゃーって、たたーっとキーボード打ってるのがかっこいいから、今日も見れるかなーって」
絵理「か、かっこいい?」
愛「うん! あたしは事務所のを使わせてもらっても全然だから、綺麗に使えるお姉ちゃんが、とってもかっこよくて好きだから」
絵理「……」
愛「だけど、故障中じゃ仕方ないよね。そうだ! パソコンみたいにインターネットには繋がらないけど、今日はあたしが色々やってあげ――」
絵理「三秒で直す」
愛「え?」
絵理「えい」ビリッ
愛「?」
絵理「直った」ドヤ!
愛「え、えーーー!? 故障中の紙をはがしただけで!?」
絵理「最新だから」
愛「最新って凄いです……事務所にあると社長が喜びそう……」
―――
――
―
絵理「ほら、このPVはね……」
愛「わー! これも絵理さんですか!?」
絵理「これは友達の。わたしのは、こっち?」タタン
愛「やっぱり凄いですね~……凄いね~」
絵理「愛ちゃん、無理に喋り方を変える必要はないよ」
愛「でも、ペナルティだから……」
絵理「愛ちゃんはいてくれるだけで妹みたいなものだから」
愛「?」
絵理「今は、お姉ちゃんって呼んでくれるだけで嬉しいよ」
愛「お姉ちゃん……えへへー」ギュー
絵理「シュガーパイ、食べよ?」
愛「はい! お姉ちゃん!」
―――
――
―
愛「そろそろ時間なので、帰りますね」
絵理「うん。楽しかったよ、愛ちゃん」
愛「あたしも楽しかったよ! お姉ちゃん!」
愛「あと、ごはん抜かずにちゃんと食べてね。でないと、お姉ちゃんのごはんは全部あたしが作っちゃうんだから!」
絵理「そ、それは、気をつける……」
愛「うんうん……う~」
絵理「どうしたの?」
愛「お姉ちゃんって呼ぶのもいいけど、やっぱり絵理さんは絵理さんの方がいいなーって。ただでさえお姉さんみたいな人なのに……」
絵理「明日からは、いつもと同じだよ」
愛「ですよね!」
絵理「フフ……だけど、時々妹になってもいいよ?」
翌日 876プロ
石川「絵理とは仲良くやれたようね」
愛「はい! とっても楽しかったです! 仲良しですよー!」
石川「これじゃあペナルティにならないわね……というわけで、涼」
涼「はい……」
石川「今日の愛はあなたの妹よ」
涼「これって、僕のペナルティなんじゃ? 僕何かしました?」
愛「お兄ちゃんは、あたしが妹じゃない方がよかった?」
涼「愛ちゃん、そういうのどこで覚えてくるの!? 誰の影響!? というか早いよ!」
愛「勉強してきましたから!」
涼「きっとその勉強はいらない勉強だったんだね……」
石川「というわけで涼」
涼「はい……」
石川「お兄ちゃんとして、今日は愛と頑張って」
涼「……分かりました」
寝るんで一旦ストップ
愛「さて、と! 何をしますか?」
涼「そうだね……実は今日は特にやることがないんだよなぁ」
愛「りょ……お兄ちゃん、呼ばれただけなんですね」
涼「折角事務所に来たから、何かやっていこうと思うんだけど」
愛「それなら、あたしと一緒にお掃除しましょう! お掃除!」
涼「掃除?」
愛「はい! いつもお世話になってる事務所だし、最近社長があまり片付いてないってぼやいていたので!」
涼「そういえば、ちょっと散らかってきた気はするね」
愛「もしよければ、お兄ちゃんも手伝ってくれると嬉しいです!」
涼「うん。勿論手伝うよ。妹の頼みは断れないからね」ナデナデ
愛「えへへー。ありがとう! お兄ちゃん!」
―――
――
―
涼「ふぅ……結局夕方になっちゃった」
愛「大変でしたねー」
涼「だけど、結構きれいになったんじゃないかな?」
愛「はい! 見違えるほどです!」
涼「愛ちゃん、頑張ったもんね」
愛「お兄ちゃんも頑張ったので、あたしからご褒美あげますよー!」
涼「ご褒美?」
愛「ちょっと待っててください!」タッタッタ
愛「戻ってきました!」タッタッタ
涼(下の自販機で何か買ってきたんだろーなー……音したし、後ろになにか隠してるし)
愛「フッフッフ~」トテトテ
涼「愛ちゃん、何隠してるの?」
愛「ここで、お兄ちゃんにクイズです!」
涼「クイズ?」
愛「妹のことを分かってくれてるかどうかだから、はずすとダメですよー!」
涼「そ、それは大変だね……」
愛「大変ですから、当ててくださいね!」
愛「実は! 掃除で疲れたお兄ちゃんに、いいものを買ってきたんですけど……」フフン
涼(ジュースかな?)
愛「それは何でしょう! さぁ、お兄ちゃん、どうぞ!」
涼「アバウトすぎるよ!? じゃあ、ジュース……!」
愛「そーれーでーはー……」
涼「待って! 違う!」
愛「えっ」キョトン
涼(愛ちゃんなら……)
涼「ジュース二本? 多分、同じもの」
愛「え、ええ~!? なんで分かったんですか!?」
涼(はずすとダメって言ってたのにな~……)
涼「えーっと……今日はお兄ちゃんだから、じゃダメかな?」
愛「今日しか分かってくれないんですか?」ヨコニストン
涼「ううん。分かってあげられるときは、いつでも分かってあげるよ」プシュ
愛「本当ですか?」プシュ
涼「大切な同期の仲間だし、それに、普段から妹みたいなものだからね」
愛「えー、あたしっていつもそう見られてたんですか?」
涼「むしろ事務所でそう見てない人の方が少ないと思うよ」
愛「お兄ちゃんもお姉ちゃんもいっぱいですねー。けど、もっと頼りになる感じでも見られたいです」
涼「た、たくましいなぁ……」
愛「けど、今日はお兄ちゃんの妹です!」
涼「……」
愛「どしたんです?」
涼「いや、愛ちゃんが本当に妹だったら、毎日すごいだろうなーって。従姉はいるんだけどね……」
愛「それじゃあ、お兄ちゃんは元々弟みたいなものだったんですね」
涼「うん。だから、お兄ちゃんは今日が初体験」
愛「楽しかったですか? あたしは今楽しいですよ!」
涼「そうだね……こうして、お揃いのジュースを並んで飲んでると、確かに楽しいね」
愛「えへへ。そうですね! ……かっこよくて優しいお兄ちゃんで、あたしも鼻が高いです!」
翌日 876プロ
石川「涼が桜井さんに「どーゆープレイしてたのよ!?」とか言われながら連れていかれたけど、愛は何か知ってる?」
愛「夢子さんに? いいえ。涼さん、何かゲームでもしてたんでしょうか?」
石川「まぁ、いいわ。さて愛、仕事の前に恒例の――」
愛「はい! 今日は誰ですか!? あたし、なんだか楽しくなってきてます!」
石川「そんな愛に、ペナルティの意味を思い出させてあげましょう」
愛「ま、まさか!? またママだったり……?」
石川「それは違うわ」
愛「じゃ、じゃあ、社長ですか!? ママよりキツイですよ!?」
石川「同意見ね。勿論私でもないわ」
愛「じゃあ、誰ですか?」
石川「フフッ……愛、同じ事務所の人間ばかりとは思わない事ね。ここに行きなさい」スッ
愛「?」ウケトリ
愛「……ここに書かれてる時間にこのバス停に行くと、何かあるんですか?」
石川「ええ。そこに今日の姉が待っているわ」
愛(姉……ってことは、女の人だよね? 事務所の人間ばかりじゃない……!)
愛「分かりました! 行ってきます!」
―――
――
―
愛(今朝の社長の話で、今日のお姉ちゃんが大体分かった!)
愛(社長も、いつまでもあたしに隠し通せると思ったら大間違いなんだから!)
愛(事務所の人間ばかりじゃない……そして、ペナルティの意味を思い出させる……)
愛(つまり! 年齢的にやっぱりきつそうな――尾崎さん!)
愛(……けど、尾崎さんはまだ余裕でお姉ちゃんな年頃だよね?)
愛(間違えちゃったかなぁ……?)
愛「……誰だろう?」
スタ スタ
雪歩「あ、愛ちゃん……」
愛「あっ、雪歩先輩! こんにちはー! こんなところで会うなんて奇遇ですね!」
雪歩「……えっと、あの」オロオロ
愛「雪歩先輩?」
雪歩「……!」スゥ
雪歩「お、お姉ちゃんとはぐれたら、ダメでしょ? い、一緒に、行こ?」プルプル
愛「」ポカーン
雪歩「あの、愛ちゃん……話聞いて、承諾しました。今日は私がお姉ちゃんです」
一旦ストップ
明日(今日)で全員やります
―――
――
―
愛「えっと、何かこう、妹としてやることはあるでしょうか!」
雪歩「えっと……じゃあ、お姉ちゃんとして、愛ちゃんにお願いがあります」
愛「はい! なんでも言ってください!」
雪歩「買い物に行きませんか?」
愛「買い物、ですか?」
雪歩「今日はお姉ちゃんですから。愛ちゃんの好きなものを買ってあげます」
愛「えぇっ!? 本当ですか!? いいんですか!?」
雪歩「大丈夫です! お姉ちゃんですから!」
―――
――
―
雪歩「ボールペンでいいんですか?」
愛「は、はい。仕事で使ってるのが丁度インク切れちゃったので」
愛(……う、嬉しいけど、いいのかなぁ?)
雪歩「」グッグッ
愛(雪歩先輩、ものすごく気合入ってる……断っても聞いてもらえそうにないよー!)
雪歩「好きなの選んでいいですよ。支払いはお姉ちゃんに任せてくださいね」
愛「あ、あの……お姉ちゃんが選んだのを使いたいかも!」
雪歩「私が選んだものですか?」
愛「はい!」
雪歩「え、えっと……」
雪歩「これなんかどうです? 持った感じがいいですし」
愛「じゃあ、あたしはこっちー!」
雪歩「えっ!?」
愛「こっちはあたしからお姉ちゃんに買ってあげますね!」
雪歩「い、いや、愛ちゃん? 今日は私がお姉ちゃんとして――」
愛「だったら、あたしも妹としてお姉ちゃんに何か買ってあげてもいいと思います!」
雪歩「それ、ありなんですか?」
愛「ありです!」
―――
――
―
公園
愛「はいっ、お姉ちゃん!」スッ
雪歩「はい、愛ちゃん」スッ
愛「えへっ、ありがとうございます! お姉ちゃんだと思って大事にしますね!」
雪歩「お姉ちゃんもそうしますね」グッ
愛「な、なんだか張り切ってますね」
雪歩「お姉ちゃんですから!」
愛「それじゃあ、あたしは妹です! 妹ですから……えーっと……てりゃー!」バタッ
雪歩「ひゃっ」ビクッ
愛「膝枕! です!」
雪歩「い、妹だからですか?」ナデリナデリ
愛「妹ですからー」フワァァ
雪歩「大丈夫、ですか? 痛かったら……」
愛「お姉ちゃん」
雪歩「?」
愛「もうちょっとこのままお願いします」
雪歩「いいですけど……」
愛「……張り切りすぎなくても、お姉ちゃんはお姉ちゃんらしいです」
雪歩「……」ナデリナデリ
愛「強くて綺麗で、かっこいいです」
雪歩「……ありがとう、愛ちゃん」ナデリナデリ
愛「はーい!」
翌日 876プロ
愛「雪歩先輩のお姉ちゃんは柔らかかったです!」
石川「何を言っているか分からないわ」
愛「えへ! 今日は誰がお姉ちゃんかなぁ♪」
石川「天海春香さんよ」
愛「わっ!? あっさり教えられちゃいました! だけど、春香さんだ!」
石川「どうする? 愛」
愛「ペナルティですから!」
石川「フフフ……」
―――
――
―
公園
春香「愛ちゃーん!」ヒラヒラ
愛「春香さーーーーん!!」ブンブン
春香「こんにちは。今日は、愛ちゃんが妹になってくれると聞いて来たよ」
愛「はい! 今日の春香さんは春香さんじゃなくて、お姉ちゃんです!」
春香「じゃあ、はい!」ストン
愛「はい!」ストン
春香「ふふっ」ワクワク
愛「あはっ」ワクワク
春香「……」
愛「?」ニコニコ
春香「……」ポンポン
愛(春香さん、膝を叩いてどうしたんだろ?)
春香「あ、あれ……?」
愛「?」
春香「愛ちゃん、はい!」ポンポン
愛「……!」
愛(そっか、あそこに何か置けばいいんだ!)ガサゴソ
愛「はい! シュガーパイです!」ストン
春香「わ、わー……」
愛「お姉ちゃん、お菓子作りが得意だから満足してくれるか分かりませんけど、あたしの一番好きなお店のです!」
春香「あ、ありがとう……」
愛(あれ? 喜んでもらえなかった……?)
春香「あ、愛ちゃん、さっそく食べよっか?」
愛(どうしよう、失敗しちゃった!?)
春香「愛ちゃん?」
愛「あの、お姉ちゃん……何か、足りなかったのかな?」
春香「え? ……あ、あー! えっと、そうじゃないよ! ただ、雪歩から話を聞いて――」
愛「雪歩先輩から?」
春香「……あの、愛ちゃん」スッ
愛(ええっ!? シュガーパイどけちゃった!?)
春香「……」ポンポン
愛「……あ」
愛「こうですか?」ストン
春香「そうそう、これこれ。膝枕」ナデナデ
愛「これは昨日もやったんですけど……じゃあ、今日はこうです!」ヒョイ
春香「?」
愛「シュガーパイをこのまま春香さんに食べさせてみます!」
春香「え、えー……? あの、愛ちゃん? 普通に甘えてくれるだけでいいんだよ?」ナデナデ
愛「何事も挑戦です!」ググッ
春香「あ、あーーーん……」ググッ
愛「んーーーー……えい!」ズッ
春香「ふっ!?」ボッ
愛「あっ!?」
春香(突っ込まれた! こ、ここでむせたりしたら愛ちゃんに、愛ちゃんに!)ゴクリ
春香「お、美味しいよ」ニコッ
愛「ご、ごめんなさい……」
春香「今度はこっちから」ナデナデ
愛「あーーん」ゴロゴロ
春香「はい!」
愛「ん」パクリ
春香「おいしい?」ナデナデ
愛「はい! お姉ちゃんが食べさせてくれましたし!」
春香「ありがとう、愛ちゃん」ナデナデ
―――
――
―
春香「さて、次は散歩でもしよっか」
愛「はーい!」ギュッ
春香「この辺まわるだけでいい?」
愛「お姉ちゃんと一緒ですから!」ギュー
春香「それじゃあ、まずは――」
翌日 876プロ
愛「今日もがんばりましょー!」
石川「今日も元気ね」
愛「はい! それで、今日のお姉ちゃんは誰ですか!?」
石川「もうじき来るわ」
トン トン
まなみ「失礼します」
愛「あっ、まなみさん! おはようございます!」
まなみ「おはよう、愛ちゃん」
石川「というわけで愛、今日はまなみよ」
愛「本当ですか!?」
まなみ「よろしくね、愛ちゃん」
愛「やったーーーー!」
―――
――
―
レッスン後
愛「お姉ちゃん、お姉ちゃん! 見ててくれました!?」
まなみ「愛ちゃん、レッスンもうまくこなせるようになったね」
愛「はい! 社長がついてきてくれることもあるんですけど、最近は一人でも色々な所に行けますよ!」
まなみ「本当、凄くなったね、愛ちゃん」ナデナデ
愛「もう道に迷ったりもしませんから!」
まなみ「……ちゃんと送迎お願いしたりしようね、社長もきっと聞いてくれるから」ナデナデ
昼食
まなみ「舞さんの意見を取り入れつつ、お姉ちゃんお弁当を作ってみました!」
愛「わぁ! まな、お姉ちゃんのお弁当久しぶりです!」
まなみ「876プロをやめる前はたまに作ってあげてたもんね」
愛「あたしだけですか?」
まなみ「所属してる子にはなるべく作ってあげたかったから、できる限りは、かな」
愛「あたしだけじゃないんですかー……」
まなみ「ふふっ。だけど、876プロをやめてからは愛ちゃんが最初だね」
愛「はーい!」
午後の収録後
愛「あとは夜にレッスン入れて終わり、っと」
まなみ「お疲れさま、愛ちゃん」
愛「あっ、お姉ちゃん! ……えへへ、なんだか、昔みたいですね」
まなみ「そうだね。愛ちゃんが来た頃は、こうしてつきっきりだったものね」
まなみ(ただ、涼君にはあまり構ってあげられなかったけど……)
愛「お姉ちゃんって、昔からお姉ちゃんだったんですね」
まなみ「そうだね。愛ちゃんのことは、妹みたいに見てたところはあったかなぁ。私だけじゃないと思うけど」
愛「それ、涼さんにも言われました」
まなみ「妹の位置が、876プロでの愛ちゃんの自然体なんだと思うわ」
愛「けど、いつまでも妹じゃありませんよ! 頼れるお姉さんだって目指しちゃいます!」
まなみ「そうだね。そうなるといいね」
愛「そしたら、お姉ちゃんもどーんと頼ってくださいね!」
まなみ「もしそんな日が来たら、そうね……愛お姉ちゃんに頼っちゃおっかな」
愛「えへっ」
まなみ「ふふっ」
翌日 876プロ
愛「なんだか、まなみさんがいた頃みたいで楽しかったです!」
石川「なんだか、本当にごめんなさいね」
愛「いえ、いいですよ。まなみさんはまなみさんの道、あたしはあたしの道ですから!」
石川「そうね……。さて、今日で妹も最後よ」
愛「はい! 最後は誰ですか!?」
石川「星井美希……」
愛「美希センパイ!?」
石川「にしようと思ったんだけど、舞さんから「これを是非」って言われて、そっちに話を振ったら承諾されたわ」
石川(酔ってたっぽかったけど)
愛「……えっと、誰です?」
―――
――
―
小鳥「……」セイザッ
愛「……」セイザッ
小鳥「……」
愛「……っ」シビレタ
小鳥「……」
愛「……ごめんなさい、やっぱりキツイです」ペコリ
小鳥「」ペコリ
愛(頭を下げられちゃった……まだだ、まだだぞ日高愛! 先に頭を上げたら呼ぶことになっちゃう!)
小鳥「」チラッ
愛(ここで呼んだら、小鳥さんが後から傷つくだけだもん! 絶対に呼ばない!)
小鳥「……ペ、ペナルティ」チラチラ
愛「!」
愛(そ、そうだった! ペナルティだから……)
愛「」グググ
小鳥「」ニヤリ
愛「や、やっぱり無理~~~~! ごめんなさいーーーーー!」ダッ
小鳥「あっ」バッ
舞「~~~~!」バンバン
小鳥「」ギロリ
舞「~♪」ピーヒャラ
小鳥「」ジー
舞「……はいはい、悪かったわよ」
小鳥「」ウッ
舞「ああ、こらこら、泣かない泣かない。可愛いから泣かない」
小鳥「うっ、うっ……」
舞「大丈夫、実は私も心が痛かったから」
小鳥「道連れにされただけじゃないですかバカァ」ウッウッ
舞「ごめん……」
翌日 876プロ
石川「愛、次のオーディションはこれなんかどう?」
愛「……はい! いけます! やります!」
石川「また厳しいけど、大丈夫なのね!」
愛「へっちゃらです! 頑張りますよ!」
石川「よし、よし。しっかり立ち直ったわね。さぁ、新しい目標に向かって突き進みなさい!」
愛「はい!」ダッ
石川「……」
プルルルル・・・ガチャ
石川「……どうも、高木社長。このたびはそちらのアイドルにも貴重な時間を割いていただき――」
石川「ええ、おかげさまで愛も元気です」
石川「……えっ? リクエストが出てる? 愛をまた妹に?」
石川「――当人と相談してみます」
その晩、日高家
舞「妹週間は終わっちゃったの?」
愛「終わったよー」
舞「どう? 楽しかった?」
愛「ママ以外は!」
舞「なによー、もう!」
愛(だってママは、お姉ちゃんじゃなくて、やっぱりママだもん)
舞「そんなこと言うと、今日の太郎は更に山盛りね」
おわり
終わりです
愛ちゃんの誕生日まであと少しですね
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