――旧調査兵団本部・リヴァイ執務室――
エルヴィン「じゃあリヴァイ、この書類よろしく頼むぞ」
リヴァイ「分かった。……ちっ、多いな」
エルヴィン「仕方ないさ。じゃあまた後で。迎えの者を寄越そうか?」
リヴァイ「いらねぇ。勝手に行く」
エルヴィン「そうか。分かった」
パタン
リヴァイ「……」フゥ
リヴァイ「(くっそ多いなこの書類、何枚あるんだ)」ペラッ
リヴァイ「(時間は…待ち合わせまでまだあるな)」
リヴァイ「……」
リヴァイ「(それまでにさっさと終わらせちまうか)」
短い上にありがちネタです。悪しからず
カキカキ
リヴァイ「……」
カキカキ
リヴァイ「……」
カキカキ
リヴァイ「(今日は蒸し暑いな)」
カキカキ
リヴァイ「……」
カキカキ…
リヴァイ「……」ウト
ゴシゴシ
リヴァイ「ん…(眠くなってきた)」
ペトラ「兵長ー…あれ?」
ペトラ「失礼します…」
リヴァイ「……」zzz
ペトラ「(あら、珍しい)」
リヴァイ「……」zzz
ペトラ「(兵長が居眠りなんて)」
リヴァイ「……」zzz
ペトラ「兵長」
リヴァイ「……」zzz
ペトラ「兵長、起きてください」ツンツン
リヴァイ「……んあ?」
ペトラ「あ、おはようございます兵長」
リヴァイ「…ああ、ペトラか」
ペトラ「そうですよ」
リヴァイ「ん…寝てたのか俺は」ゴシゴシ
ペトラ「ええ、起こしてしまってすみません。それにしてもすごい書類の量ですね」
リヴァイ「ああ、エルヴィンに押し付けられた。…で、どうしたんだ」
ペトラ「?」
リヴァイ「何か用事があるからここに来たんじゃねぇのか?」
ペトラ「ああ、そうでした。実はみんなが呼んでるんですよ」
リヴァイ「みんな?」
ペトラ「班のみんなです」
リヴァイ「何の用か知らねぇが、もう少ししたらエルヴィンたちと会議がある。あまり時間が…」
ペトラ「大丈夫です!すぐに終わりますから!」
リヴァイ「おい…」
――旧調査兵団本部・食堂――
オルオ「兵長おはようございます!」
エルド「おはようございます」
グンタ「おはようございます」
リヴァイ「…なんでお前ら俺が寝てたって知ってやがる」
ペトラ「ふふふ」
リヴァイ「なんだよペトラ」
ペトラ「いえっすみません、その…ね、寝癖が…」
リヴァイ「!」
グンタ「その髪型もいけてますよ兵長」
リヴァイ「うるせぇ」
リヴァイ「で、てめぇら揃ってなんだってんだよ」
ペトラ「えーと実はですね…」ゴソゴソ
リヴァイ「?」
ペトラ「せーのっ」
エルペトオルグン「「「「リヴァイ班結成一か月おめでとうございます!!」」」」パーン!
リヴァイ「」ビクッ
リヴァイ「…あ?なんだこの紙屑は。宣戦布告か?あ?」
ペトラ「兵長、これは紙吹雪です。ご心配なさらずともあとで一枚残さず綺麗にしときますから!」
グンタ「そうですよ。さぁ、兵長こちらへ座ってください」
リヴァイ「……ああ…」
リヴァイ「何なんだ一体…」
エルド「兵長が俺たちを特別班に指名してくださってから一カ月経ちました。本当は丸一カ月の当日にやりたかったんですが、忙しかったですからね」
グンタ「それで今日やっと時間ができたのでちょっとしたお祝いをしようと思いまして」
リヴァイ「お祝い?」
ペトラ「名付けて、リヴァイ兵長と聖地巡礼ツアー!」
ペトラ「名付けて、リヴァイ兵長と聖地巡礼ツアー!」
エルグンオル「「「イェー!!」」」
リヴァイ「…は?」
ペトラ「兵長と一緒に私たち思い出の場所を巡って兵長に感謝の気持ちを伝えるツアーです」
リヴァイ「なんだそれは…気持ち悪ぃ」
ペトラ「まぁまぁそう言わずに。みんなで考えたんですよ」
エルド「お忙しいのは分かっています。すぐに終わらせますから」
リヴァイ「……」
グンタ「ほらこっちです兵長」
リヴァイ「おいお前らどこに連れて行く気だよ」
ペトラ「もうすぐ付きますよー。あ、ほら見えてきました」
リヴァイ「ここは…」
エルド「はい。私たちが初めてリヴァイ兵長にお会いした場所です」
リヴァイ「……(現調査兵団本部、か)」
グンタ「正直、初めて間近で見た兵長は想像と違いましたが…」
オルオ「人類最強なんて言われてるからどんなに屈強な人かと思っていたんですけどね」ハハハ
ペトラ「ちょ、ちょっとオルオ!失礼でしょ!」
オルオ「なんだよペトラ。お前だって予想してたよりかわいーとか言ってたじゃねぇか」
ペトラ「ちょ…っ!!」
リヴァイ「俺はバカにされるために呼ばれたのか?」
ペトラ「ち、違いますって! もう拗ねないでくださいよ」
リヴァイ「……」
ペトラ「私たち、自由の翼を纏った兵長の姿を見て、それだけでも調査兵団を志願してよかったかなって、思ったんですよ」
リヴァイ「…ふん」
期待
ペトラ「じゃあそろそろ次に行きますか。次はこっちです!」グイッ
リヴァイ「おい、今度はどこに行くつもりだ」
エルド「調査兵団の練兵場です」
リヴァイ「なぁお前ら、そこがここからどんだけ距離あるかわかって言って、
ペトラ「着きました」
リヴァイ「」
>>12
ありがとう嬉しい
ss書くの初めてだから今すげー緊張してる
リヴァイ「…?…?(なんだこれ)」
ペトラ「(混乱する兵長かわいい)」
エルド「ここでの入団訓練は本当に厳しかったな」
グンタ「ああ。訓練兵団での訓練をマシだと思う日が来るとは思わなかったぜ」
オルオ「兵長にも何度もぼっこぼこにされたなぁ」
リヴァイ「…てめぇが弱いからだろ」
オルオ「おっしゃる通りで。そのおかげで今じゃ俺はこの中で討伐数首位ですよ」
ペトラ「私は討伐補佐首位ですっ」
エルド「正直めげそうになったことは何度もありますが、その度に兵長の言葉を思い出して踏ん張れました」
リヴァイ「そんな大層なことを言った覚えはねぇが」
エルド「兵長にとっては何気ない一言でも、俺たちにはすごい力を持ったものになるんですよ」
オルオ「そうそう。何気ないってところがまたぐっとくるポイントでして」
ペトラ「”俺の剣が届く範囲に、巨人どもを生きて踏み入れさせはしない”とかね!」
オルオ「”お前らの命はもう俺のもんだ。だからなるべく粗末にするな”とかな!」
リヴァイ「(帰りてぇ)」
リヴァイ「で…次はどこなんだ」
ペトラ「次はえーと、そうだ、私が初めての壁外調査で向かった場所です」
リヴァイ「壁外調査…って、は? まさか壁外に出るつもりか?」
エルペトオルグン「「「「はい」」」」立体起動装置バッチリ
リヴァイ「……そうか」
ペトラ「あれ、兵長もう少し反対するかもしれないと思ったんですけど」
リヴァイ「突っ込みどころが多すぎてな」
ペトラ「あはは、そうですか。じゃあさっさと出発しちゃいましょう」パシュン
オルオ「あんまり時間もねぇしな」パシュン
ペトラ「はい、着きました」
エルド「ウォール・マリア奪還のための兵站路を作る任務でしたね」
ペトラ「初めての壁外調査で私は正直ビビりまくりでした」
オルオ「漏らしたしな」
ペトラ「っ!!それには今は触れないでくれるかな、そして漏らしたのはオルオもでしょ!」
オルオ「漏らしてないが!?ちょっと多めに汗をかいただけだが!?」
エルド「まぁ俺は漏らしてないが…結局最後まで慣れはしなかったな、壁外調査は。仲間が巨人に食われていく光景にも…」
リヴァイ「……」
リヴァイ「……」
エルド「それでも、兵長のおかげで救われた命がたくさんあります。俺たちもそうです」
エルド「普段どんなに厳しくて口が悪くても、兵長が俺たちのことを信頼してくださっている、それだけで命を賭けるに値した」
ペトラ「怖くても悔しくても、剣を離さずに立っていられたのは兵長のおかげですよ!」
グンタ「ああ。兵長が俺たちに戦う力をくれました」
リヴァイ「…よくもそうくせーことがぽんぽん言えるなお前ら」
ペトラ「あは、兵長照れてる」
リヴァイ「照れてねぇ」
オルオ「顔が赤いですよ」
リヴァイ「お前ら今日は遠慮がねぇな」
ペトラ「今日だけですから、許してください」
ペトラ「よし、じゃあ次で最後の場所ですよ」
リヴァイ「どこだ?」
ペトラ「旧調査兵団本部です」
リヴァイ「? もう帰るってことか?」
ペトラ「…ええ、もう一度」
リヴァイ「…!」
エルド「…最後にはふさわしい場所でしょう?」
リヴァイ「……なるほどな」
ペトラ「さ…行きましょう」
グンタ「相変わらず外から見ると古ぼけてるな」
ペトラ「中は徹底的に掃除したからすごく綺麗だけどね」
オルオ「兵長にとっては災難だったんじゃないですか、臨時本部としてこんな古城を使うのは」
リヴァイ「まぁな…だが、お前らが協力してくれたから苦じゃなかった」
ペトラ「あら、兵長どうしたんですか」
エルド「素直ですね」
リヴァイ「馬鹿言え俺は……ふん、今日くらいいいだろ」
ペトラ「ふふふ、そう言っていただけると嬉しいです」
エルド「こんな言い方は適切じゃないかもしれませんが、兵長とここで過ごした一カ月は楽しかったですよ」
グンタ「俺も。兵長との距離がより縮まったっていうか」
オルオ「色んな兵長の姿が見れたしな」
ペトラ「兵長がお酒に酔った姿なんて初めて見ました」
リヴァイ「うるせぇ…忘れろ…」
ペトラ「絶対忘れません! 一生心のアルバムに仕舞っておきます!」
オルオ「なんだよそれ」
グンタ「それにしても、あの時の月は綺麗だったなぁ」
エルド「ああ、街が遠いからな。澄みきった白い、大きな月だった」
グンタ「あれは壁外調査の前日でしたよね? 景気づけにエレンにも酒飲ませてやろうってなって、流れで宴会に…」
ペトラ「兵長、あの時は色んなこと話してくださいました」
リヴァイ「そうだったか?」
ペトラ「はい。兵長が調査兵団で経験したこととか…」
オルオ「今までに見た面白い巨人とか、ハンジ分隊長の奇行とか」
ペトラ「それから、私たちに言ってくださいましたよね」
ペトラ「死ぬなよ、って」
ペトラ「兵長」
ペトラ「命令守れなくて、ごめんなさい」
ペトラ「そして、今までありがとうございました。私、兵長に指名していただいたことが何よりの誇りです」
ペトラ「…私たち、今日はこれをお伝えしたかったんです」
リヴァイ「……そうか」
エルド「兵長。俺を兵長の下においてくださって、本当にありがとうございました」
グンタ「人類最強の下で働けるなんてこれ以上の名誉はなかったです」
オルオ「俺たち全員、兵長のこと心から尊敬してますよ!」
リヴァイ「……」
エルド「…さて」
グンタ「ああ、そろそろ時間かな」
リヴァイ「! もう行くのか」
エルド「はい。あまり長くはいられないので」
リヴァイ「……夢の中でくらい、ゆっくりしていけよ」
ペトラ「あは、兵長がそんな風に言って下さるなんて」
リヴァイ「待て」
ペトラ「どうしたんですか?」
リヴァイ「…俺も、お前らに言いたいことがある」
リヴァイ「お前らは立派だった」
リヴァイ「全員、剣を握ったまま死んでいた」
リヴァイ「俺がもしあの場にいたらとか、そんな後悔は言わねぇ。ただ――」
リヴァイ「――お前ら全員、俺は誇りに思う」
ペトラ「…ありがとうございます。その言葉が私たちは何よりも嬉しい」
ペトラ「じゃあ兵長、私たちからも最後に一つ――」
ペトラ「どうか――死なないでください」
――旧調査兵団本部・リヴァイ執務室――
リヴァイ「……」パチッ
リヴァイ「……」
リヴァイ「(……夢か)」キョロ
リヴァイ「……」
リヴァイ「(時間は…ああ、やべぇもう待ち合わせの時間だ)」
リヴァイ「(…行くか)」
リヴァイ「……」
テクテク
リヴァイ「……」
テクテク
リヴァイ「……」
テク…
リヴァイ「……ん?」
リヴァイ「誰だ食堂のドア開けっ放しにしていったやつ」
リヴァイ「…あ? なんだよ窓も開けっ放しに……」
リヴァイ「……」
リヴァイ「……」
リヴァイ「(…花びらか)」
リヴァイ「……」
――ガタッ
ストン
――コンコン
リヴァイ「やっときたか」
エルヴィン「遅れて申し訳ない。リヴァイ、エレン」
エレン「いえ…」
リヴァイ「…さて。じゃあ、聞かせてもらおうじゃねぇか」
リヴァイ「女型の巨人の話を」
おわり
泣けた
乙
駆け足だし短いし自己満足で申し訳ない。
コミック読み返したら例のシーンで死にたくなったので衝動的に書いてしまった。
というか冒頭にアニメ組の人へネタバレ注意書くの忘れた、ごめんなさい。
スペースありがとうございました。
id変わったけど1です。
ほんとだw
初投稿で乙もらえてテンパりました。
ありがとう
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