オリョール海遭難日誌 (36)
※きつい表現があります
「12月27日。ドラム缶10本みつけたの」
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「1月27日。戦艦大和を発見。しかし、応答なし。雨が降るとオケに雨水をため、これを飲料水としたの」
「2月17日。いよいよ燃料が少なくなってきたの」
「3月6日。ドラム缶1本もとれず。燃料はひとつのこらず底をついたの。恐ろしい飢えと死神がじょじょにやってきたの」
「3月7日。最初の犠牲者がでたの、まるゆは、「ひとめ見たい・・・鎮守府の土を一足ふみたいよぅ」とうめきながら大破。全員で資材にしたの」
「3月9日。ドラム缶が1本見つかった、だけどはっちゃんは飲む気力もなく、やせおとろえ大破。資材にしたの」
「3月15日。それまで航海日誌をつけていたイクが大破したでち。かわってゴーヤが筆をとるでち。イクの遺体を資材にするのに、やっとのありさま。全員、顔は青白くあきつ丸のよようでち、ふらふらと亡霊そっくりの漂いざまは悲しいでち」
「3月27日。イムヤとしおいの2艦は、突然うわごとを発し、「あはは!富士山よ!サーモンについちゃったわ。ああ、羅針盤の妖精が見える…。」などと狂気を発して、自らの腕にがりがりと歯をくいこませて悶絶の中しおいは大破したでち。いよいよ地獄の底も近いでち」
「3月29日。1本のドラム缶をイムヤが見つけるのを見て、大鯨は突然として逆上し、錨を振りあげるや、イムヤの頭をめった打ちにしたでち。その恐ろしき光景に、ゴーヤは立ち上がる気力もなく、しばしぼう然でち。ポーキサイトの不足から、
壊血病となりて歯という歯からオイルしたたるは、あの大鯨も妖怪変化のすさまじき様相でち。ああ、羅針盤様」
「4月4日。イムヤはハ級を、ヘビのごとき速さで手づかみにとらえたでち。
全員、人食いアリのごとくむらがり、砲身をむしりとって、生きたままをむさぼる。オイルがしたたる資材をくらうは、
これほどの美味なるものはなしでち。これもみな、餓鬼畜生となせる業か」
「4月6日。イムヤ、どす黒いオイルを吐きて中破でち」
「4月14日。大鯨、不意に狂暴と化して発狂し、しおいの死骸を切り刻む姿は地獄でち。仲間の体をむさぼり食べる気力あれば、まだ救いようがあるでち」
「4月19日。大鯨、イムヤの二名、はっちゃんの遺骸を奪い合い争うでち。地獄の鬼と化すも、ただ、ただ生きて鎮守府に帰りたき一心のみなり。同夜、2艦とも血だるまになるまで争ったあげく、はっちゃんの腕をかじりながら大破したでち」
「5月6日。ついに一歩も動けず。潜水艦隊7艦のうち残るは記録係のゴーヤのみでち。重いポーキサイト不足でで、浸水寸前の為動けず、そのままオイル、破片をばら蒔きながら漂うのはしかたないでち」
「5月11日。曇り。北西の風やや強し。南に西に、船はただ風のままに流れる。山影も見えず、陸地も見えず。船影はなし。あまいサトウ粒ひとつなめて死にたし。友艦の骸は皮ががどろどろに錆びて腐り、
溶けて流れたオイルの腐臭のみがあり。ゴーヤの腕のかじったところから白骨のぞきて、この世の終わりとするや…」
「5月20日。あきつ丸が加筆する。オリョール海の一角で友の骸を抱いて漂う伊58を発見。大破寸前のこれを揚陸し、鎮守府に連れ帰る。提督に報告すると入渠中の伊58が抱えている資材を剥ぎ取り、修理が終わり次第オリョール海へ再投入せよとの指令を受ける。なお、この航海日記を提督に見せるが一瞥することもなく焼却せよとのこと。不憫に思い、自分が保管することとする。願わくば、後世にこの悲惨な事故が起こらないよう祈るばかりである。」
もうおりょくるはいやでち
以上っす
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