女「どちら様ですか？新聞はお断りしますよ」

ラフ・メイカー「名乗るほどたいした名じゃないけど誰かがこう呼ぶんだ"ラフ・カー"ってね」

女(たいした名じゃないのに結局名乗ってるじゃん)

ラ「あんたに笑顔を持ってきたんだ。まず寒いから入れてくれる？」

女「ラフ・メイカー？冗談じゃない！そんなもん呼んだ覚えもないし必要もない！俺に構わず消えてくれ！そこに居られたら泣けないだろうが」

女(もう行ったかなあいつ。一体何だったんだよ…)ｸｯ…ｳｩ

ｺﾝｺﾝｺﾝ

女「あの野郎まだ居やがったのか？"消えてくれ"って言ったろうが」

ラ「そんな事を言われたの初めてだよ。非常に哀しくなってきたじゃないか。どうしよう僕まで泣きそうだ」

女「ラフ・メイカー？冗談じゃない！あんたが泣いてちゃどうしようもない。泣きたいのは俺の方だよ……こんなもん呼んだ覚えねぇよ」

◇◇◇

チームメイト１「女！あと一つよ！この打者を打ち取れば終わる！あと少しよ」

チームメイト２「この試合を勝ってみんなで全国に行こうよ！」

チームメイト３「どんな球でもこい！」

主審「プレイ」

女(あと一人、２，３塁か…これを打ち取れば……ふう…よし！行ける)ｼｭｯ

ｶｷｰﾝ

女「えっ…セッ…センター！」

チームメイト４「かなり大きい……でもっ！」ﾀｯﾀｯﾀｯﾀﾀｰﾝ

ｶﾞｯｼｬｰﾝ!

女「あっ……」

チームメイト1,2,3「ボ…ボールは!?」

塁審「ホ…ホームラン!！！」

女「え！？なんで！？」

球審「恐らくボールを取った場所がフェンスを超えていたんだろう」

女「そっそんな……」

◇◇◇

女(あの時投げたボール、汗で滑って甘い球投げたんだよな……俺が、俺さえ失敗しなければ…)ﾝｸﾞ…ﾊｧ

ラ(消えてくれなんて初めて言われたよホント。笑わせに来たっていうのに泣かされちゃった)ﾋｯｸ…ｸﾞｽ

女「なあ、あんたは今でもしっかり俺を笑わせるつもりなのか？」

ラ「あぁ、そうさ。それだけが生きがいなんだ。あんたが笑うまで帰らないよ」

女「ふふっ。そーかそーか」

女(そうだな、別に部屋に入れてもいいか)

女「よし！」

ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ

女「あぁそうか。鍵かけたまんまだったけ？」ｶﾁｬｯ

ｶﾞﾁｬ…ﾎﾟﾛｯ

女「……えっ？ド…ドアノブが…」

女「ラフメイカー！そっちからドアを押してくれ！！鍵ならすでに開けたからっ」

女「……っおい！！！ウンとかスンとか言ってくれよ！どうした？……おい、まさか」

女「ラフ・メイカー！冗談じゃない！今更俺一人だけおいて構わず消えるな！信じた瞬間裏切りやがった」

女「ラフ・メイカー冗談じゃない！」

ﾊﾟｯﾘｰﾝ

ラ「あんたに笑顔を持ってきたよ！」

女(どこからそんな鉄のパイプなんて持ってきたんだよ…)

ラ「ほらこれを見て」つ手鏡

女「えっ？」

ラ「あんたの泣き顔笑えるぞ」

女「呆れた…でも笑えるな」ｸｽｸｽ