幼馴染「待ってたんだ」 (145)
僕と彼女の最初の出会いは幼稚園の時まで遡る
家が近かったこともあり、僕たちはよく一緒に遊んでいた
そのこともあって、元々人懐こい性格の彼女ではあったが、僕はその時ほかの子たちに比べて妙に気に入られていたらしい
住んでいるところは田舎だったので、そのまま小中高も同じ学校に通っていた
彼女は今では立派な幼馴染ということになる
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ーー高2 春
男「おっす、友」
友「おう、おはよう」
男「今日からまた学校が始まるなんてダルいよなぁ…」
友「ホントだよ…春休みはずーっとゲームしては寝ての繰り返しだったから朝起きるの辛いぜ」
男「さみしいやつめ」
友「お前には言われたくねー」
友「つーか2年からクラス変わるんだよな」
男「そーそー。同じクラスだといいんだけどなぁ」
友「俺は嫌だね」
男「この野郎…」
友「ぶっちゃけ可愛い子が同じクラスになるかどうかが一番重要だし」
男「可愛い子と同じクラスになったからと言ってお前には関係無いと思うぞ」
友「そんなのまだ分かんないでしょ!」
男「はいはい」
友「それにクラスに1人美少女がいるってだけで雰囲気もよくなるってもんだ」
男「確かに」
友「だろ?」
友「去年のクラスの女子なんて…おっと」
男「やめとけって」
友「去年隣のクラスにいた幼さんとか一緒のクラスにならないかなぁ…」
友「あの人と会話できるだけで残りの2年間は最高だろーな」
男「幼さん、ね…俺はあの人苦手なんだよね」
友「何で?なにかあったん?」
男「まぁ…そんなところかな」
友「なんだよ、はっきり言えカス」
男「カスなんて言ってくる奴に教えたくないなぁ」
学校
友「掲示板の前に人が集まってんな。あそこに貼り出してあるってことか」
男「見に行くか」
友「どれどれ…」
友「お、どうやらお前とはまた同じクラスになったみたいだな!」
男「ウソだろ」
友「ところがどっこい、これが現実!」
男「登校初日から悪いニュースだわ」
友「喜べよ!」
友「まったく…ん?…おおっ!!」
男「なんだなんだ」
友「見ろよ!幼さんも同じクラスだぜ!」
男「ゲッ…ホントだ」
友「あぁもうなんて素晴らしい日なんだ!今日は赤飯にしよう」
男「お前これから先何回赤飯炊くつもりだよ…」
友「なんだ?お前冷めてんなぁ」
男「苦手ってさっき言ったじゃん」
友「意味わかんねーな。あんな美人なのに」
男「美人なのは認めるけど、苦手かどうかはそれとは別の問題だよ」
友「そりゃーそうだけどさ…ホントに何があったんだよ」
男「後々教えてやるよ。大したことじゃないけど」
友「こりゃー教えてくれないパターンだな…」
友「ま、俺には関係無いしな!幼さんとは俺が個人的に仲良くすればいいんだし」
男「そういうことだ」
友「善は急げだ!幼さんの居る栄光のクラスに行くぞ!」ドヒューン
男「別にクラスメイトは逃げたりしねーぞ…って行っちまった」
男(…幼と同じクラス…か)
男(あの時から全く話さなくなって1年たったかな)
男(はぁ…なるべく関わらないようにするかな。あいつもそう思ってるだろうし)
男(なんでこうなっちまったかなぁ…)
ーーー
女友「ふぁ…ねむ」
幼「夜何してたの?」
女友「提出物の1つが見つからなくてね…一晩中探してた。なんとか見つかったからよかったわ」
幼「それは大変だったね」
女友「ホント…それに比べてアンタは元気そうね」
幼「そうかな?」
女友「そうだよ。何か良いことでもあった?」
幼「んー…まぁあった、かな?」
女友「えっ、本当にあったの?」
幼「た、大したことじゃないから」
女友「ふーん…ごめん、聞いといてアレだけど全然キョーミないわ」
幼「あのね…」
女友「文句なら放課後にどうぞ。今から寝るから」
幼「こ、この女…」
一時中断
午前 ホームルーム
担任「えー、今年からは私がこのクラスの担任になりました。2年間よろしく」
担任「それじゃホームルームを始めますね。今日は色々と決めることがあるので長くなりますけど、我慢してね」
担任「まずは学級委員を男女1人ずつ選びます。文化祭とかの準備はその2人を中心にやってくことになると思います」
担任「一応聞きますけど、やりたい人はいますか?」
シーン
男(まぁそうなるわな…)
担任「意識低いなぁ…ってのは冗談。まぁこうなると思って先生、予め誰にやらせるか決めてきました」
生徒「えーっ」
担任「もちろんテキトーに決めましたんで大丈夫ですよ。どーせ誰かやることになるから、なった人は運が悪かったと諦めてください」
男「お前と同じクラスになった俺は心配だな」
友「おい、運が悪いって遠回しに言ってんじゃないだろうな」
担任「じゃ、発表します。運悪く学級委員に選ばれてしまったのは…」
担任「幼さんと男君です」
男「えっ」
幼「えっ」
担任「2人には1年間たっぷり仕事を頼むので覚悟しといてください」
担任「ということで拍手」
パチパチパチパチパチ
担任「それでは次に---」
友「うっそ、お前幼さんと一緒かよ!」
男「な、なんてこった…」
友「かーっ!こんなことなら立候補しとけばよかった…」
男「是非とも代わってくれていいんだぞ?」
友「仕事ダルいんでパス」
男「てめぇ…」
友「いいじゃねーか。美少女とあれこれ行動を共にできるなんて男にはこれ以上ない喜びだろ」
男「相手が相手なんだよ…」
友「苦手だからーってか?あーもー贅沢だねー最近の子は!」
男「仕方ねーだろ…」
男(今日はマジで運が悪いな…口に出してるうちに現実になっちまったか)
男(これから1年間、不安になってきた…)
幼(…男と一緒か)
女友「あららかわいそうに…あの先生のことだから頻繁に雑用押し付けられるわよ」
幼「え?あ、そうだね…」
女友「何その反応。雑用嫌がらない幼ってもしかしてM?」
幼「し、失礼な!ちょっと考え事してただけだよ」
女友「あ、そう。それにしてももう一人の男子の方は幸運ね。こんな美少女と仲良くなれる機会が作れたんだし」
幼「さぁ…それはどうかな?」
女友「へ?」
幼「相手は嫌がってるかもよ?」
女友「何言ってんだか。そんな野郎この世に存在しないでしょ」
幼「あはは…」
幼(でも、実際分からないんだけどね…)
---
担任「はい、これで今日やることは全部終わりましたね」
担任「じゃ、もう皆下校していいですよ」
友「よっしゃ!」
担任「あ、学級委員の2人は後で職員室の私のところまで来てくださいね」
男「えっ」
担任「それじゃ皆さんさようなら。気をつけて帰ってくださいね」
友「残念だったな男!まぁそんなこともあるって!」
男「なんてこったい…」
女友「ふぁー…やっと帰れる。帰ったらすぐ寝よ…じゃーね、幼」
幼「う、うん…ばいばい」
一時中断
職員室
男「失礼します…」ガラガラ
先生「お、男君も来たね」
幼「…」
男(俯いてる…か。そりゃそーだ)
先生「早速で悪いんだけどさぁ、ここにある明日配る予定のプリントを全部教室に運んで欲しいんだよね」
男「はぁ…分かりました」
男「よいしょっ…と」
先生「お、女子にあんまり持たせない配慮をする男君、紳士だね」
男「茶化さないでくださいよ…」
男(切実に)
幼「あ、あの…」
男「えっと…だ、大丈夫。持てるから」
幼「その…ありがとう」
男「いいよ。とりあえず行こう」
先生「いやぁ、すまないね」
---
男「これを置いてっと…」
男(これで全部運び終わったかな)
男「…」
幼「…」
男(ちょー気まずい)
男(黙ったまま帰ってしまって大丈夫か…?)
幼「あ、あのさ」
男「え、は、はい?」
幼「その…久しぶりだね。話すの」
男「…そうだな。1年ぶり、くらい?」
幼「そう。中学の時以来だよ」
幼「面白いよね。同じ学校にいたのに」
男「まぁ…機会が無かっただけ、だろ」
幼「そう、だよね」
男「あ、あぁ…」
男「…」
幼く「…」
男(沈黙はヤバいって!)
幼「もう帰るの?」
男「…そりゃまぁ、もうやる事無いしな」
幼「あのさ…えっと、その…一緒に帰ってもいいかな」
男「えっ」
幼「…ごめん、急に言われても嫌だよね」
男「いや!全然!全然大丈夫」
幼「ほんと?」
男「もちろん…断る理由がないよ」
下校中
幼「ちょっと前まではよく一緒に登下校してたよね」
男「…そうだな」
幼「男君は通学路にいた大きな犬をいっつも怖がってたなぁ」
男「幼稚園の頃の話だろ、それは」
男「子供の時は背も小さいから、ハスキー?だっけか、そいつがめっちゃ大きく見えたんだよ」
幼「私は平気だったけどね」
男「むぅ…」
---
男(幼の家に着いた)
幼「じゃあ、また明日」
男「あぁ」
幼「あ、それと」
男「?」
幼「1年間、一緒に委員、頑張ろうね」ニコッ
男「…おう」
笑顔を見たのはいつぶりか
笑かけられたのはいつぶりか
久しぶりに見たその表情は、とても可愛いと思った
だけど僕にそんなことを喜ぶ権利は無い
だって僕は---
一時中断
更新遅くなって申し訳ないです
---初夏
友「暑くなってきたなぁ」
男「だな」
友「と同時に、文化祭も近づいてきたな」
男「だな」
友「どうよ?幼さんとは。苦手だ~とか言ってたけど、もうそろ文化祭準備じゃん」
男「んー…まぁ、話せるようにはなったよ」
友「おー、よかったやん」
男「比較的、ってだけだけどな。委員の仕事以外ではそんなに」
友「まーそりゃそうか」
友「いやー、俺の幼さんに手は出してないようで安心したぜ」
男「いつからお前のになったんだよ…」
友「でも悲しいことに、俺は将来の嫁さんと未だに一言も交わしていない!」
男「遂に将来の嫁さんとまで言っちゃったよ」
友「だからさー、もっとお前が幼さんと仲良くなってくれないと、話す機会ができないんだよ」
男「しらねーよ…ほら、授業始まるから席につけよ」
友「へいへい、分かりましたよ学級委員殿」
---
女友「文化祭の出し物、何になるかな?」
幼「さぁ…無難にお化け屋敷とかがいいんじゃない?」
女友「それじゃー他のクラスと被っちゃうでしょー?発想が貧乏ねー」
幼「ひどい!」
女友「あ、コスプレ喫茶とかやりたくない?」
幼「喫茶は分かるけど…コスプレ?」
女友「いいじゃん、コスプレ。こう言う時じゃないと体験できないと思うんだよねー」
女友「てか幼のコスプレが見たい」
幼「オッサンみたいだよ、女友ちゃん」
女友「よいではないか、よいではないか!」
幼「それは悪代官でしょ…」
女友「でもこれはいい案だと思うわ。男子からの支持が多そうだし」
幼「どうして?」
女友「そりゃー幼みたいな美少女のコスプレ姿が見れる、って考えれば当たり前じゃない」
幼「もーやめてよ…美少女なんかじゃないし」
女友「またまたー。こんなに容姿端麗な女の子、なかなかいないって…まぁ胸は小さいけど」
幼「一言余計だから!」
女友「やばっ、幼のコスプレを想像しただけでヨダレが…」
幼「完全にオッサンだよ…」
女友「こりゃー決まりね。次のホームルームの時提案しよっと」
幼「そんな思い通りにいくかなぁ…」
一時中断
今回は短くて申し訳ない
----
男「結局文化祭の出し物はコスプレ喫茶で決まりか」
幼(まさか本当になるとは…)
男「とりあえず今日はその企画書を書いて運営に提出ってとこだな」
幼「そうだね」
男「はぁーめんどくさ…早く帰って寝たいって言うのに」
幼「諦めなよ。うちのクラスだけ企画書の提出遅れてるんだし」
男「はい…俺が毎回書類を家に置いてきてしまったからです…すいません」
幼「分かればよろしい」
幼「男って昔からだらしないもんねー」
男「出たー昔話!俺は昔から真面目だっつの」
幼「どうだか…いつもいつも私に宿題写させてーって頼んできたじゃん」
男「うわぁ、何も言えねぇ」
幼「いつまでたっても大事な提出物出さないから先生に呼び出されたり」
男「これ以上はやめよう…俺はだらしないと認めるから…」
幼(とは言っても)
幼(最近の男君は昔ほどだらしなくはないみたいだけど)
幼(成績は学年でも良い方らしいし)
幼(1年間ですっかり変わっちゃったな)
幼(1年…か)
男「…?急に黙ってどうしたんだ?」
幼「え?いや、なんでもない」
男「…そうか」
幼「うん…」
男「…」
幼「…」
----
男「…これで記入は終わりか」
幼「そうだね…うん、書き漏らしも無いし完璧だよ」
男「じゃ、提出しに行くかな」
幼「うん」
----下校中
男「…」
幼「…」
男「…あのさ」
幼「…うん?」
男「お前はその、1年前のこと、気にしてないのか?」
幼「…どうして」
男「いや…さっきからなんか口数も少ないしさ」
幼「…」
男「やっぱりそうだよな…あんなことした奴と一緒にいなきゃいけないなんて、辛かったよな…」
幼「え?」
男「ゴメン…でも文化祭が終わったら、もう俺も極力関わらないようにするから」
幼「そ、そんなこと…」
男「だから今だけ我慢してくれ…気を使わせて悪かったな。それじゃ」
幼「あ、ちょっとまっ…行っちゃった」
幼「…」
幼「どーして上手くいかないんだろ…」
幼「はぁ…やっぱり男君は変わってないよ…何も分かってない」
幼(それとも分かってないのは)
幼(私の方…?)
----
友「いやぁーいよいよ文化祭…クラスの女子のメイドコス姿が見れる時がくるんだな!」
男「そうだな」
友「…なんかお前、最近元気ないよな」
男「俺が?別にいつも通りだろ」
友「いつもそんなだったら俺はお前と友達になってねーよ」
男「えっひどくない」
友「アレだろ、どうせ幼ちゃん関連だろ?俺には分かるんだぜ」
男「なんでそう思うんだ?」
友「明らかに最近疎遠になってるじゃん。それこそ見りゃ分かるくらい」
友「かぁー羨ましい!俺もあの子に関する悩みを抱えられるくらい仲良くなりてぇってもんだ!」
男「おい、俺はまだ何も…」
友「ごまかすだけ無駄だっての。それくらいしか落ち込む要素ないだろ」
男「まぁ…そうだけどさ」
友「そんでどうしたの?ほらほら、言ってみ?」
男「別に、聞いても面白くないぞ」
友「いいよ別に。面白そうだからってお前の悩み聞く程俺は下衆じゃねぇ」
男「そうは言ってもな…」
友「そーいやお前、幼ちゃんが苦手な理由まだ教えてくれてねーな」
男「それも聞きたいのかよ」
友「どうせ関係あるんだろ?それも。だからこの際話しちまえよ」
男「…フったんだよ」
友「…は?」
男「だから、1年前に告白されて、フったんだよ、俺が幼を」
一時中断
----
女友「一つ聞いていい?」
幼「なに?」
女友「そんな男のどこが良いわけ?」
幼「そう聞かれると…答えづらいなぁ」
幼「でもなんだろ…ずっと一緒に居たから、今更離れちゃったら、なんだか寂しいんだよね…」
幼「なんか心にポッカリ穴が空いたような…」
幼「だから諦められないんだ」
女友「ふーん…」
女友「あんたはホント一途だねぇ」
幼「あはは…」
女友「ま、精々頑張りなよ」
幼「精々だなんて手厳しいなぁ」
女友(もっとも、それはあの男次第なんだけどね)
----
友「ちょっと待とうか」
男「うん」
友「俺の聞き間違いだったら悪いんだけど、お前が幼ちゃんをフったの?」
男「うん」
友「逆じゃなくて?」
男「だからそうだって」
友「ははぁーなるほど…」
友「そらもう死刑ですわ」
男「死刑ですかそうですか」
友「一応聞くけど、なんで?」
男「なんで、か…うーん…そうだな…」
男「告白されたのは中3の終わり頃だったかな…あいつから告白してきた」
男「でも俺はさ、ずっと一緒に居た、まるで家族の一員みたいなヤツに告白されたのが驚きだったんだよね」
男「その告白にどう言う想いがこめられてたのか、よく分からなかったんだ」
男「それで俺がどうしたかっていうと、ゴメンって一言行って逃げ出しちゃった訳よ」
友「意味わかんねぇ」
男「俺も…今になってみれば意味わかんねーなと思う」
男「で、それっきり会うのが気まずくなって今に至るわけだ」
友「お前、思ってたより遥かに最低だな」
男「そうだな…勇気を出して告白してくれた女の子から背を向けて逃げ出したからな」
男「だから…そんな酷い事をした奴とはあいつも顔を合わせたくないだろうと思って、距離置いてる」
友「なるほど。それで今疎遠と」
男「そう言うこと」
友「ふーん…」
友「まぁ俺には関係ねーな」
男「そりゃーな…」
友「でも1つ言うとすれば」
友「結局、お前は今になってもその出来事から逃げ続けてるワケだ」
友「表向きは相手を気遣ってるように見せかけて、実際は自分からその問題から遠ざかりたいだけ」
友「つくづく最低な野郎だ」
男「…」
友「お前、どうせ今は幼ちゃんが好きで好きで仕方ないんだろ?」
男「なっ…」
友「見てりゃ分かるさ。だってお前の落ち込み方は俺から見ても尋常じゃなかったんだから」
男「…」
友「女々しく昔の事ばかり気にしやがって…向こうはきっと勇気出してお前に1年ぶり話しかけただろうに、それじゃ報われないな」
友「もーお前と話すこたぁねーよ。好きにすりゃーいい」
----
「今も逃げている」
図星だった。僕はあの時の告白の答えから逃げ出したままだった
いや、答え自体は僕の心の中ではっきりしている。ただ1年の空白が、僕の行動を鈍らせているんだ
このまま1年前の出来事に邪魔されたまま終わるのか?
本当はずっとこのチャンスを待っていたんじゃないのか
だとすると僕がやるべきことは---
一時中断
1週間更新できず、申し訳ありませんでした
男「…友、ありがとうな。おかげで目が覚めたよ」
友「そんくらい自分で分かるようになれよ。まったく」
男「ホントにな…じゃあそろそろ文化祭について会議あるから行って来る」
友「おう」
友「ハァー、こんな奴が学校トップクラスの女子に好かれると言うのに何故俺は…」
友「世の中って不条理!」
--文化祭会議
ガヤガヤ
幼「はぁ…」
幼(やっぱり嫌われてるのかな、私)
幼(昔はあんなに仲が良かったのになぁ)
幼(…やっぱり、昔のことは忘れなきゃいけないのかな…)
男「あ、もう来てたのか」
幼「わっ…お、男君」
男「ここに座ればいいのか?」
幼「う、うん…」
男「よいしょっと」
幼「…」
幼(どうしよう…気まずい…)
男「…あのさ」
幼「は、はい?」
男「この間は変な事言って悪かった」
幼「へ…?」
男「いや、まぁその、なんだ…やっぱりお互い仲良くした方がいいと思って…」
男「なんやかんや話さないのって辛かったし…ゴメン、めっちゃ都合がよすぎるとは分かってるけど」
男「だからあの発言は間違いでしたってことにしていただけると嬉しいかなーって…」
男(うわ、口にしてみるとなかなかクズだな、俺…)
幼「…」パァァ
幼「ふふっ、しょうがないなぁ…いいよ」
男「マジで?ホントに?」
幼「うん♪」
男「ありがとうございます!ありがとうございます!」
幼「ちょ、ちょっと大げさだって…」
ワーナニアノヒト
キュウニカンシャシハジメタゾ
男「おっと…すまん…」
幼「まったくもう…」
幼「しょうがないなー、ホントにしょうがないんだから」
イケメン先輩「…」
生徒会長「急に黙ってどうしたの?イケメン君」
イケメン「いや…あそこにいる女の子かわいいなーと思って…」
会長「あの娘は…たしか幼さんね。2年ではけっこう人気あるみたい」
イケメン「やっぱり人気なのか!いやぁ可愛いなぁ」
会長「…彼女の隣りで他の女を可愛い可愛い言うだなんて良い度胸ね」
イケメン「あっ痛い!うち太ももつねらないで痛い!」
会長「何か言うことは?」
イケメン「あ、あなたより素敵な女の子はもちろん居ません!すいませんでした!」
会長「それでよし」
イケメン「ぉぉぉ…千切れるかと思った…」
会長「えー、それでは第4回目、文化祭についての会議を行います」
----
幼「会議、終わったね」
男「まぁまぁ時間かかったな」
幼「そうだねー」
男「さっさと帰るか」
幼「じゃあ一緒に帰ろ?」
男「お、おう」
----
幼「またこうして一緒に帰れるなんて嬉しいなぁ」
男「そ、そうなの?」
幼「うん。こっちの方面に帰る人はあんまり居ないから、寂しくて」
男「なるほど…」
幼「それにしても、文化祭、近くなってきたね」
男「もう準備も始まってるもんな」
幼「去年の文化祭は何してたの?」
男「俺か?俺は…お化け屋敷でずっと独り言呟いてる係やってたな」
幼「なにそれ、呟いてるだけ?」
男「そう。呟いてるだけ」
男「部屋を暗くするために窓とか締め切ってカーテンかけてたけど、いやー暑くて死ぬかと思ったわ…」
幼「あー…お化け屋敷ってやる側は大変なんだね」
男「あれって怖いのか?学生が出し物してるって分かってるのに」
幼「怖いよ!だって何が起こるかは分からないんだもん…」
男「そーいや幼はお化け屋敷苦手だったんだっけな。まだ克服してないのか」
幼「克服も何も、基本行かないもん」
男「確かに。今回の文化祭で行ってみりゃいいじゃん」
幼「絶対ない。絶対ないから」
男「どんだけ苦手なんだよ」
幼「あ、屋敷と言えば」
男「?」
幼「久しぶりに男君の家に行ってみたいかも」
男「急だな…つかお化け屋敷で思い出すのか…」
幼「大丈夫、屋敷の部分だけだから」
男「別に俺の家何も無いだろ」
幼「昔はよくお邪魔してたし、久しぶりに行ってみたくなったんだけど…ダメ?」
男「うっ…」
男(その顔で頼まれたら断れないだろ…)
男「まぁ…別にいいけど…」
幼「ホントに?やった!」
男「マジで何もないからね?来てガッカリするなよ?」
幼「大丈夫だよ!期待してないから」
男「おい」
一時中断
----
男「ただいまー」
幼「お邪魔します」
男母「おかえりなさーい」
男母「って、あら!幼ちゃんじゃない!」
幼「お久しぶりです」
男母「いやー本当に久しぶりね!てっきり男と喧嘩したんじゃないかと思ってたけど、安心したわ~」
男「おい余計な事を言うなって」
幼「ふふ、まぁ喧嘩みたいなものかな?」
男「お前な…」
男母「そうなの?幼ちゃん、もし男が変なことしたら言ってね!おばさんが成敗してあげるから」
男「息子に対して容赦ないね…」
男母「お茶でも用意してくるわね。ゆっくりしていって」
幼「はい。ありがとうございます」
--男の部屋
幼「わぁ…何も変わってないね」
男「ごめんなさいね」
幼「いいよーむしろ安心するし」
幼「たった1年だけど、すっごい久しぶりな感じがするなぁ」
男「まぁそれまではよく遊びに来てたしな…」
幼「おばさん、相変わらず元気そうだね」
男「そらもう元気さ」
男「お前が遊びに来なくなってから毎日『幼ちゃんはどうしたの?』『喧嘩したの?』ってうるさかったわ」
幼「へぇ、それじゃ今日からは心配いらないね?」
男「そーだな。その点に関しては感謝せざるを得ない」
幼「えへへー」
幼「そろそろ文化祭だね」
男「口を開けばその話題ってカンジだな」
幼「しょーがないじゃん。一大イベントなんだから」
男「まぁな…それに今回は運営にも関わってるしな」
幼「そーいうこと」
男「当日は何か予定とか決まってるのか?」
幼「うーん…部活の出し物の当番がある以外は、まだ何も無いかな」
男「ふーん、そんなもんか」
幼「そーいう男はどうなの?」
男「もちろん何も決まってないよ」
幼「ですよねー」
幼「あ、じゃあさ、文化祭私と一緒に回ろうよ」
男「突然だね…なんでまた俺と?」
幼「いや…そう言われると理由は無いんだけど…ひ、暇だからいいでしょ!」
男「まぁ暇だけどさ…なんか人に言われるとなんか切ないな…」
幼「事実だもんね。仕方ないね」
幼「で、どうかな?…別に嫌ならいいけど」
男「んー…じゃあ一緒にお化け屋敷入ってみるなら」
幼「やっぱナシで」
男「冗談だよ…つーかどんだけ苦手よ」
男「いいよ。一緒に回ろう」
幼「…本当にいいの?」
男「暇だからね!つーか誘ったのはお前だろ」
幼「そ、そうだね。あはは」
男「奢ったりはしないからな!」
幼「えー」
男「いやしんぼめ…」
----
男「でさ、結局友のやつ、そのまま走って逃げたんだってさ」
幼「…」プルプル
男「…おーい、幼さん?」
幼「まさか急に怖い話になるなんて…」
男「あっ、怖いの苦手だったんだよな?こりゃうっかり」
幼「いじわる…」
男「褒め言葉かな?」
男「…ってもうこんな時間か」
幼「こ、怖くて帰れないんですけど!」
男「お前の家、目と鼻の先じゃねーか」
幼「だ、だって…」
男「分かった分かった…送ってやるよ。それでいいだろ?」
幼「ほんとに?」
男「じゃなきゃお前帰らねーだろ」
----
男「着いたな」
幼「ごめんね…なんか」
男「本当だよ。あれぐらいの話で怖くて仕方ないとか小学生かっての」
幼「に、苦手なものは苦手だもん」
男「いつになったら克服できるのやら」
幼「今日はありがとうね」
男「いいって。俺はいつだって暇だから、むしろ遊んでくれてありがとうってくらいさ」
幼「そう?じゃあまたお邪魔するね」
男「お好きにどうぞ」
幼「ふふ、じゃあそうさせてもらいます」
幼「…それじゃ、また明日」
関係は元に戻りつつあるようだった
しかし、2人とも1年前の、あの日の出来事については言及できなかった
この壁はいつ壊れるだろうか
黙っていては埒が明かないと分かってはいたが、未だに踏み出せないままだ
一時中断
近頃忙しいので、更新はかなり遅いペースになってしまうと思います
ご了承ください
----
友「遂に!」
友「この日が!」
友「やってきt「うるせぇ」
男「なんなんだ一体?」
友「なーにねぼけてんだよ男ォ!今日はコスプレ喫茶の衣装合わせの日じゃないか!」
男「そうなのか?つーか何で委員の俺より詳しいんだ」
友「ふっふっふ…俺のカワイコチャンに関する情報収集能力を侮ってもらっては困るねぇ」
男(うぜぇ)
友「クラスの美女達のコスプレ姿…それを見るためだけに今日まで生きてきたといっても過言ではない!」
男「お前みたいなのにこの前アドバイスされたと思うと俺は心底死にたいよ」
友「まぁまぁ、お前だって興味あるだろ?幼さんのコスプレ姿とか」
男「まぁ…確かに」
友「だろ?」
男「でも衣装合わせなんて女子達だけでやるもんだろ。俺らが見るチャンスあるのか?」
友「…」
男「…」
友「今日はもう帰るか」
男「バカだなぁ…」
女友「あら、見せてあげてもいいわよ」
友「マジで!?」
男「いいの?女友さん」
女友「減るもんじゃないしね。それに男子からの感想も聞いておいた方がいいじゃない?」
男「なるほどね」
友「やった!やった!」
女友「あ、アンタはダメだから」
友「何故!?」
女友「胸に手を当てて考えてみなさい」
男「まったくだ」
友「そ、そんな殺生な…」
女友「じゃ、男子代表は男くんにお願いしまーす」
男「やったぜ」ドヤァ
友「なんでお前だけそんな役得…」
男「まぁ委員だしな。これも仕事だ、仕方ない仕方ない」
友「ぐぬぬ」
女友「モデルはそこにいる幼にやってもらおうかなー」
幼「えっ!?」
女友「そうと決まれば早速着替えましょう」ガシッ
幼「黙ってれば話振られないと思ったのに~…」ズルズル
男「ホラ、お前も内装の準備手伝ってこい」
友「世の中って不条理!」
----空き教室
女友「お着替え終わりました~」ガラッ
男「はやっ」
女友「いやーこれは私たちの自信作なんだけど、是非感想を聞かせてほしいな」
女友「…って早く入ってきなさいよ」
幼「い、いや…その…やっぱり恥ずかしいと言いますか…その…」
女友「まったく往生際の悪い。あたしと友達なのが運の尽きだったね」グイッ
幼「り、理不尽!」
女友「そしてあたしはクラスの準備にもどりまーす!」
男「えっ」
幼「えっ!?」
女友「お二人はごゆっくり…あ、後で感想聞かせてねー男くん」
男「え、あっ、うん…って行っちまった」
幼「…」
男「…」シーン
幼「え…えっと…その…」
男「お、おう?」
幼「どう、かな…?」
男「あぁ、そうだな…うーん」ジーッ
幼「うぅ…」
男(これはヤバい)
男(メイド服をベースとしているが所々の露出が多い)
男(それによって強調される胸元、可愛らしい肩、艶やかな背中)
幼「な、何か言ってよ…」
男「これは100点満点です。本当にありがとうございました」
幼「本当?ち、ちょっと露出多すぎじゃないかな…?」
男「いやいやもう文句無いよ」キッパリ
幼「そ、そう?ならいいけど…いいのかな?」
男「…」
男(しかし幼を改めて見ると…)マジマジ
幼「ど、どうしたの?」
男「可愛いなぁ」ボソッ
幼「!?」
男「おっと、いや、服ね!服のこと!」
幼「なんだ…ビックリした…」ガッカリ
男「しかしアレだな…誰も居ない教室で二人きりでこんな事してると…」
幼「へ、変な事言わないでよ!」
幼「は、恥ずかしくて死にそうだからもう着替えてくる!」
男「あっ、おい幼!」
男(教室から出て行ってしまった…)
女友「あららもうおしまい?つまんないのー」
男「女友さん…もしかしてずっと廊下で聞いてたの?」
女友「てへ☆」
男「や、やられた…」
女友「せっかく気を利かせて二人きりにしてあげたのになー」
男「気を利かせる?」
女友「え?だって仲良いでしょ?二人とも」
女友「突然のイベントで更に急接近!みたいなのを期待したんだけど、刺激が強すぎたかなー」
男「そらもう…強すぎたね」
女友「幼は可愛いから、あんまうかうかしてると誰かに取られちゃうよ?」
男「俺はまだ何も言ってないんだけど」
女友「え、もしかして好きじゃないの?あんなに可愛いのに?」
男「いや、それはその…あぁもう!」
男「この話は終わり!衣装は良かったよ!俺からは何も言うことはなかったと言うことで、それじゃ!」
女友「ありゃりゃ、行っちゃった」
女友「二人ともじれったいなー」
女友「あとちょっとだと思ったんだけど」
友「まだ昔の出来事のケジメをつけてないんだろ、もうちょっと待ってやれよ」
女友「そんな悠長でいいのかなぁ」
友「色々気持ちの整理もいるだろ。まぁ男なら心配いらねぇって」
女友「ならいいけど」
女友「で、なんでアンタがここに居るわけ?」
友「そりゃあ覗きに…あっ」
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
一時中断
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友「最近仲良くやってるみたいじゃん」
男「幼のことか?」
友「他に誰がいるってんだよ」
男「おかげさまでね…」
友「なら安心ってもんだ」
男「おぉ、そんなに俺のことを心配してくれていたのか友よ」
友「お前じゃなくて幼さんがかわいそうだったから心配してたんだよアホ」
男「ひどくない?」
友「何か間違ってるか?」
男「おっしゃる通りでございます」
友「で、これからどーするつもりよ」
男「これからねぇ…」
男「まだあの日の事について謝れてないから、まずはそれかな」
友「なんだ、まだ謝ってなかったのか」
男「なんつーか、そのことに触れるのを向こうも意識的に避けてる気がするんだよね…」
友「そりゃ自分からはつっこまないだろ」
男「やっぱり?」
友「当然」
男「だよなぁ…」
男「こうも時間が経つと、どうも踏ん切りがつかなくてさ…」
友「わかるわかる。向こうが触れないでくれてるからそれに甘えちゃうんだよな」
友「でも心の中ではお互いひっかかってんだろ」
男「そうそう」
友「そこはお前の男の見せ所ってヤツだろ。いつまでも女々しく悩んでたって仕方ないぜ」
友「まぁそう深く考えんなよ。幼さんなら受け入れてくれるって」
男「そうだな…しっかりしないと」
男「いやぁ、お前ってホントいいヤツだよなぁ。なんでお前に今まで彼女が居ないのか不思議で仕方ねーよ」
友「褒めてもらえて嬉しいけどそれは余計だ!」
男「メンゴメンゴ」
友「こいつ…調子に乗ってやがる…」
友「俺ァ絶対文化祭までには彼女作ってやるからな!」
男「文化祭は明日からだぞ」
友「…終わるまでには作る!!」
男「はいはい」
友「ぐぬぬぬぬぬ…」
友「余裕こいてられんのも今のうちだからな!覚えてろよ!」ドヒューン
男(ものすごい速さで帰りやがった…)
幼「と、友君どうしたの?」
男「おっ、幼」
男「なんでも無いよ…あいつはいつもあんな感じだから気にすんな」
幼「い、いつものことなんだ…」
男「それより、何か俺に要があったんじゃないか?」
幼「あっそうそう、そろそろ最後の委員会が始まるから一緒に行こうと思って」
男「もうそんな時間だったのか…わるい」
幼「いいよー気にしないで」ニコッ
男(天使かな?)
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会長「それでは会議はこれで終了です」
会長「明日の文化祭が良いものになるよう、皆さん頑張りましょう」
会長「お疲れ様でした」
イケメン「やっと帰れる!やった!」
会長「貴方はこれから私と一緒に最後の見回りだから」
イケメン「デスヨネー」
男「さて、帰るか」
幼「うん」
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男「もう明日なんだなー」
幼「準備期間、過ぎるの早かったね」
男「まぁ委員のせいでめっちゃ忙しかったからな…」
幼「ふふっ、そうかも」
幼「明日はその…誰かと回るとか予定あるの?」
男「俺?俺は…特に考えてないなぁ」
幼「ふーん…そうなんだ…」
男「できれば幼と一緒に回れたらなー…なんて」
幼「私と一緒に回りたいんだ?」
男「そらもう」
幼「正直でよろしい」
幼「いいよ。一緒に回ってあげる」
男「マジで?本当に?嘘じゃなくて?」
幼「ひどいなー。そんな嘘つくような人じゃないと思うんだけど」
男「あざーっす!」
幼「大袈裟だなぁ」
幼「でもクラスの出し物の当番があるから、それが終わったらね」
男「りょーかい」
幼「…とか言ってる間に家に着いちゃったね」
幼「じゃあね、男君。また明日」
男「おう、明日な」
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幼(や、約束しちゃった…)
幼(夢じゃないよね?)
幼(でも…きっと)
幼「友達として、幼馴染としてだよね」
幼「はぁ…」
一時中断
そろそろ終わりです…
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