トール「ディスボード?」 (49)

・とある魔術の禁書目録×ノーゲーム・ノーライフ

・微ホモ(?)

・バトル要素あり

なお途中までは一度VIPに投下してます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1402066692

では投下していきます

上条宅

トール「......」

トール「............」

トール「..............................」


テテテテレレレー
トール「勝った...」バタンキュー

トール(今日で1ヶ月か......)

2 以下、転載禁止でVIPがお送りします sage 2014/06/06(金) 19:23:33.87 ID:LCj2ui2j0
トール(デンマークでの一件の後、俺は色々あって上条ちゃんの家に居候することになった)

トール(最初の頃は上条ちゃんとオティヌス、インちゃんにスフィンクスと楽しくやってた)

トール(でもやっぱり、俺は我慢できなかったんだ)

トール(強い奴を求めて戦い続ける自分から次第に遠ざかっていくことが)

トール(そして俺は、ゲームで現実逃避することにした)

>>3
ミスだなかったことにしてくれ


トール(デンマークでの一件の後、俺は色々あって上条ちゃんの家に居候することになった)

トール(最初の頃は上条ちゃんとオティヌス、インちゃんにスフィンクスと楽しくやってた)

トール(でもやっぱり、俺は我慢できなかったんだ)

トール(強い奴を求めて戦い続ける自分から次第に遠ざかっていくことが)

トール(そして俺は、ゲームで現実逃避することにした)

トール(最初はそれこそ上条ちゃんたちに心配かけないようにしてた)

トール(でも、無理だった)

トール(こんなスリルのない板切れに、俺は闘争心を燃やせなかった)

トール(それから、俺は本当にひきこもるようになった)

トール(上条ちゃんに飯を作ってもらってんのに、礼も言わず手伝いもせず)

トール「ホント、ダメ人間だな。俺は」

トール「今日こそは謝らねえと...」

トール「そして、上条ちゃんともう一度やり直す」

??「君、つまらなさそうな顔をしているね」

トール「ああ、そうだな」

そう返しておいて、トールは聞き慣れない声に脳が活性化したのか、振り向きもせずに「正面」に殴りかかる。

トール「誰だ」

その瞬間、トールの位置は変わっていた。
トールの魔術、全能神の神業を模倣した「絶対に勝てる位置に移動する」術式。
これを使用したトールは決して負けることがない。

??「無駄だよ?」

トール「なっ......!?」

しかし、トールの右拳は目の前の色彩豊かな少年の右手に吸い込まれる。
少年が負傷している部位、急所かとも思ったが、彼は顔色一つ変えない。

??「出来れば、穏便に済ませたいんだけどね」

トール「上条ちゃんの望んだ日常を奪おうってんなら、お引き取り願うぜ」

しかし、口ではそう言いながら彼は少し笑っていた。

トール(これだ、これが俺の求めていた「経験値」だ)

??「いい顔だね」

トール「そりゃどーも!」

言いながら、トールは何度も殴りかかる。
少年は、それを一つも逃さず受け止める。

??「ところで、今日僕がここに来た理由についてなんだけど」

トール「神様の気まぐれに理由が必要なのか?」

??「あれ、やっぱり気づいてた?」

トール「この術式を使った俺をここまで子ども扱いしてるんだぜ?嫌でも気づかないわけにはいかねえよ」

??「そっか、やっぱり君を」

トール「知ってるだろうが、俺はトールだ」

??「そうだね、トール。名乗られたからには僕も名乗る、盤上の世界<ディスボード>唯一神として」

テト「僕はテト、これからよろしくね!」

ひとまずこれで終了
ジブリール戦までは一応考えてる

それでは投下していきます


トール「テト......、エジプト系の魔神か?」

テト「残念だけど違うよ」

トール「なら「上条当麻の方向性」!」

テトに対し上条の敵という認識による警戒を解いていたトールだったが、彼の言葉に再び身構える。

テト「まあ、ここに来ておいて警戒するなというのも無茶な話だよね」

トール「そりゃそうだ。しかもそんな話を持ちかけておいて仲良くできるなんて思われるほど俺は馬鹿じゃない」

テト「なら、上条当麻の方向性に君が最近より大きく関わってきていると言ったら?」

トール「......っ」

上条当麻の方向性。
その言葉の意味は理解できないが、本来なら人の形を再び持たなかったはずのオティヌスが復活したことから多少の推測はできていた。

トール(少なくとも魔神かそれ以上が関わっているのは間違いない。あのままオティヌスが復活しなけりゃ上条ちゃんは今頃どうなってたか......)

トール(............、ん?)

何かが、引っかかった。

トール(魔神か、それ以上......!つまりコイツは)

テト「神だよ。そして、人間から成った魔神ではなく<概念>そのもの。最も、僕たちと彼らの間に大した差はないけれどね」

トール「<概念>だと?」

テト「僕としては詳しく説明してもいいんだけど、うるさい奴らがいてね。そろそろ本題に戻らなければいけない」

トール「俺の方で考えろってことか......。で、上条ちゃんの」

テト「「上条当麻の方向性」は、上条当麻自身の感情の揺らぎが大きく関わってくる」

テト「あの魔神の子の生死は、その中でも特に大きい揺らぎを生み出しかねないものだった」

テト「アレは魔神が力を振るえばどうにかなった。しかし、今回は言っちゃ悪いがたちが悪い」

テトの言葉には先程までとは違いどこか冷たい。
彼の興味が向かない’’仕事’’なのだろうか。

テト「今回揺らぎに関わってくるのは、君の性質だ」

トール「俺の、性質」

心当たりどころではない。
トール自身自覚のあることだ。
戦いから離れたことによる虚無感。
しかしそれはトールだけならまだしも、上条当麻の方向性にまでも関わることなのだろうか。

テト「分からないのかい?」

分からない。

テト「こればっかりは僕の口から言えることじゃないけどね」

いや、認めたくないのかもしれない。

テト「上条当麻は、仲間のために悩むことができる人間じゃないだと思っている。そして、その中にはトール、君も当然のように入っているだろうね」

そう、認めたくなかった。

テト「しかし上条当麻は悩んでも君にかける言葉が分からなかった」

出会いからして最悪だ。
今まで俺のことも知りすらしなかった上条ちゃんを自分の理想との差を感じた、ただそれだけで殴った。

テト「君の、強い奴と戦いたい、という性質を知っていたからこそだろう」

そのときはどうにかなったが、上条ちゃんが喧嘩してボロボロになった後、経験値が欲しいなどという理由で喧嘩をふっかけた。
兄妹喧嘩の後ガキ大将と殴り合うようなもの。
滅茶苦茶だ。

テト「そして、そのまま今に至るわけか───」

さらに、デンマークに来るまで散々殴られて血みどろだった上条ちゃんに、それによって積んできた経験値を求めて殴りまくった。
電車に轢かれたのは自業自得だったんだろうな。

テト「───ところで、何で勝手に自分語りを始めてるんだい?」

トールの意識がテトの声に向けられる前に、テトがトールの胸ぐらに掴みかかった。

中途半端になりますがここで一旦切ります。

投下していきます


トール「......」

テト「これは君自身の問題だ。君は上条当麻の望んだ日常を守りたいみたいだが、その日常が君の行動次第で壊されるかもしれない」

テトはトールの胸ぐらから手を離す。
彼の体は、重力に従って床に落ちる。
テトは、責めるように告げる。

テト「まさか、君の現状を上条当麻が打破してくれるとでも思っているのか?」

テト「不可能だよ。君自身が上条当麻を拒否している。君が動かない限り、そう認識される」

トール「っ!」

トールはその瞬間、ほぼ無意識にテトに殴りかかった。
その拳は受け止められたが、トールは口を開く。

トール「なら、どうすりゃいい......」

トール「上条ちゃんの日常を壊さねえには、どうすればいい!?」

やつあたりだ。
トールにも分かっていた。
神様にここまで言われたんだ。
今さらそんなことを言ったところで助言の一言もくれるはずが

テト「君自身が望むなら、方法もある。僕の気まぐれに付き合ってもらうという条件つきだけどね」

トール「は......?」

テト「君が乗り気でないと提案できなかったからね。個人的に苛ついていたのもあるけど」

トールの思考が一瞬止まりかけるが、無理やりにでも動かす。

トール「つまり、お前には打開策について検討がついてるってのか」

テト「君の協力が必要なのは確かだよ。それでもいいなら喜んで提案させてもらうよ、トール」








テト「僕の世界に来ないか?」






トール「......どういうことだ」

神ってのは滅茶苦茶だとは思っていたが、これほどまでに滅茶苦茶だとは思っていなかった。

トール「......それがどう打開策になるんだよ」

テト「やっぱり事前に説明しておいたほうがよかったかな」

テト「僕の概念は<遊戯>。そして僕の世界はゲームで全てが決まる世界だ」

正確には僕が管理者に就いてからそうなるようにしたんだけどね、と付け足してから

テト「猛者を求める君にぴったりの世界だと思うんだけど、どうかな?」

トール「......なるほどな。それでお前が駆り出されたわけか」

テト「半分は僕の気まぐれだよ?君の性質は僕にとってここで潰すにはもったいない代物だ」

どうやら、この神様は概念通りただゲームを楽しみたいらしい。
そこに、トールは自分と似たものを感じた。
だからこそ、

トール「......その話、乗った」

テト「じゃあ、交渉成立だね」

その言葉と同時に。

トール「え?」

唐突に、床の底が抜けた。

いや、床だけではない。
天井や四方の壁も次々と開いていく。
しかも、開いた先に見えるのはどの部屋でもない。
この世とは思えないほどの鮮やかな景色。
そう、そこはテトの支配する世界、ディスボード。
しかし、トールにはそれが分かっていても、

トール「おい!転移するにしてももう少しまともな方法はなかったのかよ!」

テト「仮にも唯一神だからね。あまり住人に見られるのは避けたい。それを考慮して説明の時間を設けるにはこの方法が手っ取り早かったんだ」

時間?
謎の言葉について脳を働かせる前に、その言葉が意味する自分の状況をトールは把握させられた。

トール「ってテメェ!この高さから自由落下とか正気か!?この世界には撃墜術式とかねえのかよ!」

高度一万メートル。

テト「該当する魔法はないから君の方でどうにかしてくれ、ってのも酷だから速度は一定に保っておくよ」

トール「そうじゃねえ!」

そもそもあの世界じゃ空飛ぶ機会ねえから怖えんだよ!と口に出して言うわけにはいかなかった。

テト「とにかく、それでも時間が足りないから説明を始めるよ」

もう好きにしてくれ。
滅茶苦茶な神様に対して、もうそれしか告げることはできなかった。

テト「この世界には十の盟約という者がある。僕が作ったものだけどね」

トールは涙目になりつつも神様の説明に耳を傾ける。

テト「【一つ】この世界におけるあらゆる殺傷、 戦争、略奪を禁ずる」

テト「【二つ】争いは全てゲームにおける勝敗で解決するものとする」

何か眺めいいなー、とか現実逃避しながらも頭の中には入れておく。

テト「【三つ】ゲームには、相互が対等と判断したものを賭けて行われる」

テト「【四つ】’’三’’に反しない限り、ゲーム内容、賭けるものは一切を問わない」

どことなくコイツ慣れてるような気がしてきた、とか神様を見ながらも忘れないように復唱する。

テト「【五つ】ゲーム内容は、挑まれた方が決定権を有する」

テト「【六つ】’’盟約に誓って’’行われた賭けは、絶対遵守される」

あの何か月っぽい赤い奴なんだろう、とか思いながら耳はしっかり傾けている。

テト「【七つ】集団における争いは、全権代理者 をたてるものとする」

テト「【八つ】ゲーム中の不正発覚は、敗北と見なす」

あのチェスの駒っぽい建物なんかラスボスがいそうだよな、とか思いながら説明を聞いていると違和感に気づく。

トール「は?ちょっと待て地面近いぞもう五百ねえ!」

テト「【九つ】以上をもって神の名のもと絶対不変のルールとする」

トール「このスピードじゃ流石にまずいから落とせって、聞いてんのかテメェ!」

説明は聞いているが頷く余裕はない。
しかしこの神様は十番目まで説明しそうだ。

テト「【十】みんななかよくプレイしましょう!」

トール「ここで[ピーーー]るか!」

説明は終わった。
トールは全能神の術式で真上の空を殴るように体の向きを変え、辛うじて減速に成功して地面に落下する。
トールは文句の一言でも言ってやろうと起き上がるが、辺りを見回しても人影すら見えない。

トール「あいつ、今度会ったら殴って...、ってよく考えたら盟約とやらのせいで殴れねえじゃねえか!」

ヤケクソ気味に地面を殴るトール。
と、そこに何かが遅れて落ちてきた。
それはトールが旅をしている時に身に纏っていた黄色い服と、

トール「トランプ?選別ってとこか」

ここから、トールの旅が始まった。

長くなりましたが序章終了です!
当初の予定では大して鬱じゃなかったはずがどうしてこうなった
次回からは第一章を書いていきます!

では投下していきます

盗賊A「兄貴、本当にこんな昔話だけでよかったんすか?」

トール「なんならもう一回付き合ってやってもいいが、次負けたら......」

トールがこの世界にやってきて半日、腹減ったなーと思いつつ歩いていると3人の自称盗賊がいた。
そもそも盟約で窃盗が禁じられているので盗賊なんて出来っこねえだろ、と思ったが某ゲームの某トレーナーみたく出会った人間にはひたすら声をかけているらしい。
実際は褌一丁のおっさん×3がシート広げて正座しているというとても見苦しい光景が示す通り、盗むどころかゲームに負け続けているようだ。
最近は話だけ聞いておいて通り過ぎる輩まで現れたらしい。
そしてトールはそんなおっさんたちに勝負を挑まれ、ババ抜きだの七並べだので戦っていた。

結論を言うと、トールは全勝した。
三人とも精神的に追い詰められているせいでより疑心暗鬼になってるし、なによりトールは魔術師でも類を見ない戦闘狂だ。
リアルファイトはもちろん、こうした読み合いにも強い。

トール「それより見苦しい姿になるぞ。ってかその時点で既にアウトだ」

盗賊B「言わないでえええええ!」

この世界のゲームは、盟約により勝者は敗者に何か要求できるシステムとなっている。
そして、トールはおっさんのあられもない姿など死んでも見たくはない(ただし上条ちゃんは除く)ので、代わりにこの世界の情報について勝った分だけ3人から聞き出していた。
一つは、テトについてのこと。
てっきりこの世界での神話上の存在だとばかり思っていたが、どうやら彼はこの世界に存在しているらしい。
一つは、昔話。
本当に昔話のノリで神々の戦いとか言い出した時にはオティヌスの一件を思い出しながら頷くしかなかった。

その他にも色々あったが、興味深い最後の一つ。
この世界の仕組み。
この世界に生きる者のうち16種族には序列が存在しており、その序列は魔法適性によって定められている。
人類は人類種<イマニティ>と呼ばれ、序列第16位・魔法適性0。

トール「俺も腹減ったし、俺はもう行く」

盗賊C「兄貴ぃ!せめて服を置いてって下せえ!」

トール「じゃあ強くなれよ」

この言葉には、強い感情が込められていた。

トールが盗賊と別れて、一時間が過ぎた頃だった。
トールが空を見上げると、あの世界にはいない、

トール「あ?」

本来いてはならない、

??「おや?」

それだけで世界の破滅をも意味する、

トール「テメェ......」

化け物がいた。

??「これは面白い」

それは、翼で空を飛んでいた。
それは、頭上に環を浮かべていた。
それは、それは、それは、それはそれはそれはそれはそれはそれはそれはそれはそれはそれはそれはそれはそれは











??「私を畏れないとは、非常に興味深いですわ」

序章?完

色々考える手間すっ飛ばしてここで会わせました
って逆に考える手間増えたな、時系列的な問題で

最後の彼女はシリアス口調があの話でしかないので難しいですね…
つか半角で・打っただけなのに対応してないのか......

次からは本当の本当に第一章です
作者はこんなんですが楽しんでいただければ幸いです

投下していきます

??(困りましたわね)

天使は困惑していた。
天使の主人が突然取り乱した。
なんでも、主人には本来兄がいて、その兄・
空という人物が天使の本来の主人であるらしい。
普段から冷静な主人が取り乱しているので只事ではないと感じ、その人物を探すために国中で正体を隠しながら聞き取り調査を行っていた。
しかし、そのような人物は国民も誰ひとりとして記憶しておらず、天使は別の可能性を考え始めていた。

??(マスターの記憶が...改竄された?)

魔法を使えばそれこそすぐに可能なことだ。
しかし、生憎そんなことができる敵には覚えがなかった。
それならば、と天使は考える。

??(盟約なら可能...ならやはりあの犬ども)

主人は、現在他国に宣戦布告している。
その方法が国の全てを賭けた戦争(ゲーム)だったがために国民の反感を買っているわけだが、だからこそ他国から仕掛けてくればその影響は国全体に及ぶ。
ゲームという名目で行われれば、盟約の力によってどんなことも要求可能である。
そして、その国は’’仕掛けてきた相手が負けたら記憶を消す’’という要求を提示することで有名だった。
主人を疑いたくはないが、考えられる可能性としては最も説得力があった。

そして、天使は聞き取り調査を終え主人の元に戻るところだった。
とはいえ、国全体が反乱でも始めそうな雰囲気(それでも実際に王冠を奪取しに来る輩がいないのは嘆かわしいことではある)なので通常は利用しない隠し通路を利用していた。
それでもたまに天使を目撃する者がいるために、天使は目撃者にゲームを挑み、勝った場合は目撃者の天使に関する記憶を消すことにしていた。(天使自身は自らが嫌う’’犬’’の真似をしているようであまり好んでいない)
なので、今回もこちらから目撃者に勝負を挑んだ。

??「Excuse,そこのperson方?」

トール「」

よし、絶句している。
人類如き(一部除く)に口を挟まれる筋合いなどない。
これが主人にいつか教えてもらったごり押し戦法である。

??「見られてしまったからには、ゲームでも致しましょうか」

トール(......なんだこいつ)

天使。
元の世界にいた頃に見たTHE怪物みたいな物騒な顔はしていないが、体についている物は明らかに天使のそれである。
でも、

トール(性別特定できるし人臭いしつか人語話してるし日本語じゃねーかそしてノイズ走ってない)

このまでくるともう翼生やして輪っか載せた人間で納得できる。
撃墜術式ないらしいから魔術師ならこれくらいできるだろ、とか思いつつも

トール(...でも、こいつがゲームを仕掛けてきたってことは、これも盟約とやらの適用範囲内なわけか)

元の世界で天使といえば神の使いだ。
しかし、この世界の天使はそうではないらしい。
さっきの話の中に神殺しの兵器’’天翼種(フリューゲル)’’ってのがいたけどこいつらのことなのか?

そして、トールはそろそろ考えるのを辞めて意識を天使に向ける。

トール「ゲーム、か。いいぜ、やってやる」

別に断る理由はない。
旅の目的すら定まっていない上、ここの世界観も分からない。
リスクの少ない旅だ、思い切りやってやろうじゃないか。

??「そうでございますか、なら

トール「でも、ゲームはそっちの好きなもので頼むぜ。手持ちがトランプしかねえもんでな」

??「......それでよろしいのでございますね?」

トール「ああ」

一瞬間が空いたが、トールはあまり気に留めなかった。
そして

??「では、私の手持ち────’’しりとり’’はいかがでしょう?」

天使がそう言った瞬間、一瞬だけ’’世界が揺らいだ’’。

トール「......何をしたんだ?」

特に変化はなかった。
いや、テーブルと椅子が用意され、天使も地に足をつけていた。

??「少々特殊なしりとりですので、それに見合った仮想空間を作り出した、といったところでしょうか」

...さっき言ったことを訂正する。
この天使は魔術師なんて枠には収まらない。
普通に化け物に分類されることをトールは再認識した。

??「ルールを説明いたします。このしりとりは’’具象化しりとり’’。無いものは現れ、有るものは消えます。存在しない物は現れませんのでご注意くださいね」

トール「存在しない物?この世界にないがあるものは現れるのか?」

??「......現れますが、もしやあなたは異世界の出身であると?」

トール「そうだ。その言い方だと他にも異世界の出身者がいるみたいだが」

??「......ええ」

トールは少し疑問を覚える。
天使の顔が少しだけ曇っているように見えたからだ。
まあ、細かい事情はいい。
今は、ゲームをするだけだ。

トール「把握した。それじゃ要求の確認をしようぜ。俺はアンタの目的を知りたい、それだけだ」

??「?ではこちらも。あなたの私に関する記憶の削除を要求いたしましょう」

トール「そういえば、まだアンタの名前を聞いてなかったな、俺はトールだ」

??「そうでございましたね。私は位階序列第六位’’天翼種’’、ジブリールと申します」

??「言い忘れていましたが、このゲームは直接的な干渉以外でなら死亡もあり得ます。辞退するなら今のうちでございますよ?」

トール「今更辞退する理由もねえよ、それじゃ」

2人「「’’盟約に誓って(アッシェンテ)’’」」

ここらで今日はおしまいです。
さて、次回から具象化しりとりです。
物語も終盤です、作者の想像力の限界的な問題で。

どうでもいいけどジブリールはジブ表記にしますね

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