卯月「どう? 凛ちゃん」
凛「駄目みたい……返事もしてくれないよ」
未央「うーん、どうしようか」
奈緒「どうしようって言ってもなぁ……」
加蓮「出てきてよ、プロデューサー」ドンドンドン
美嘉「プロデューサー! 返事ぐらいしてよー」ドンドンドン
凛「……これは時間がかかるかもしれないね」
卯月「持ち込んだパソコンの音は聞こえるんだけど」
加蓮「引きこもっても、ちゃんと仕事はするんだね」
未央「まいったね、こりゃ。あはは」
P「……………………」カタカタカタ
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奈緒「笑い事じゃないだろ……どうすんだよ、この状況」
加蓮「まさかこんなことになるとは思わなかったね」
凛「プロデューサーがトイレの個室に引きこもっちゃうとは」
美嘉「……そういえばここって、男子トイレなんだよね///」
卯月「わ、私……初めて入ったかも///」
未央「記念に写真でも撮る?」
奈緒「何の記念だよ……」
加蓮「あー、でも普段プロデューサーがここ使ってるんだよね」
凛「!? ……………………」クンカクンカ
美嘉「!? ……………………」スーハースーハー
P「……………………」カタカタカタ
未央「ちょっ!? しぶりんに美嘉姉ぇ何してんの!?」
凛「いや、ちょっと匂いが気になって」キリッ
美嘉「いや、ちょっと落ち着こうと思って深呼吸を」キリッ
奈緒「そんな言い訳が通じるか」
加蓮「ま、ある意味正直だとは思うけどね」
卯月「…………///」キョロキョロ
未央「しまむー? しまむーもちょっと落ち着こうか?」
卯月「!? う、うん。じゃ、じゃあ……///」スーハ-スーハー
未央「違うよ!? 合ってるけど違うよ!? 深呼吸する流れじゃないよね!?」
卯月「ええっ!? ど、どういうことなの!?」
みんな「wwwwwwww」ドッ
P「……………………」カタカタカタッターン
凛「ふぅ……とりあえず一度状況を整理しようか」
加蓮「と言っても、そんな複雑な状況じゃないけどね」
奈緒「まぁ、だからこそこんなことになっているんだろ……」
卯月「状況って……この状況? プロデューサーが引きこもっちゃったんだよね?」
未央「ふむ、つまりしぶりんが言いたいのはプロデューサーが引きこもった理由だね」
卯月「ああ、なるほど」ウンウン
美嘉「えっと……みんなと休憩スペースでおしゃべりしてて……」
凛「うん、始めは普通の内容だったよね。服の話だったり、お菓子の話だったり」
奈緒「それだけ聞くと普通なんだけどな……」
美嘉「それで卯月がアレを聞いてきたんだっけ……」
P「……………………」カタカタカタカタ
―回想―
凛「でね、プロデューサーの服をどうやったら貰えるかな?」
奈緒「話が唐突すぎる……貰ってどうすんだよ……着るのか?」
加蓮「まぁ、凛のことだから匂いでも嗅ぐんでしょ」
凛「うん」キリッ
美嘉「わかるわかるー★」
卯月「わかっちゃうんだ……」
未央「ま、しぶりんと美嘉姉ぇだしね?」
凛「それでみんなの力を借りたいんだけど、何か言い手は無いかな?」
奈緒「って言われてもなぁ……くれって言って貰えるもんじゃないし」
凛「さすがにタダで手に入れようとは思ってないよ」
未央「じゃあ、何かと交換だね。ギブアンドテイク、基本だよね」
凛「……なら私の下着とかどうかな?」
奈緒「うん、どうかな? じゃないよな」
美嘉「……アタシのでも駄目かな?」
加蓮「そういう問題でもないよね? もっと普通なものにしようよ」
凛・美嘉「…………普通」ムムム
奈緒「普通なものが出てこないんだな……」
卯月「凛ちゃん……美嘉ちゃん」ホロリ
未央「こういうときはしまむーだよね! 何か無い?」
卯月「ええっ!? 何で私!?」
未央「え? 普通って言ったらしまむーでしょ?」
凛・美嘉・加蓮「ああ……」(納得)
卯月「みんな酷いっ!?」ガーン
奈緒「卯月……」ポン
卯月「えっと……服は駄目だから……お菓子とかどうかな?」
未央「うん、普通だね!」
奈緒「ああ、普通だな!」
卯月「酷いっ!?」ガガーン
凛「なるほど……さすが卯月。お菓子に媚薬を入れれば完璧だね」
美嘉「……さっそく注文しなきゃ」ポチポチ
卯月「違うよっ!? そんなの入れたりしないよ!?」
加蓮「ホントこの2人は……頭痛い……」
凛「でもこの雑誌に効果的だって書いてあるし……ほら」
美嘉「その雑誌、アタシが貸したんだ★」ドヤァ
卯月「えっと……ホントだ! 書いてある……じゃあ良いのかな?」
未央「うん、良くないよね?」
加蓮「凛も美嘉も少し自重しなよ」
奈緒「ホント、少しで良いから頼む……相手してるこっちが疲れるから」
凛「良くわからないけど……わかった、努力してみる」
美嘉「…………何を自重すれば良いんだろ?」
卯月「…………ねぇねぇ、未央ちゃん」
未央「うん? 何だね、しまむーくん?」
卯月「ここに書いてある『DT』って何? わかる? 男の人のことみたいだけど」
未央「…………」
奈緒「…………」
加蓮「…………」
美嘉「あー、うん……///」
凛「卯月……それはね――」
凛「プロデューサーみたいな男の人のことだよ」ガシャーン
未央「何か割れた音が…………あっ」
奈緒「誰かがコップでも割ったのか…………あっ」
加蓮「えっ?…………あっ」
美嘉「なになにー…………あっ」
凛「…………あっ」
卯月「プロデューサーさんみたいな? うーん……あっ、プロデューサーさん」
P「……………………」
凛「あ、あのね、プロデューサー?」オロオロ
P「……………………」ポロポロ
みんな(な、泣いたー!?)
P「……………………」ダッ ガサゴソ ダッ
凛「あっ!? プロデューサー!? どこ行くの!? プロデューサー!?」
―回想おわり―
未央「って感じだったよね?」
奈緒「うん、凛が悪い」(断言)
凛「冗談のつもりだったんだけど、まさか聞いているとは……」
加蓮「で、どうすんの? あまり時間を掛けてると騒ぎになるよ?」
卯月「えっと結局DTって何かな? 何でプロデューサーさん泣いちゃったの?」
みんな「……………………」
卯月「あ、あれ? みんな聞いてる?」
凛「卯月……」
未央「しまむー……」
美嘉「うん……プロデューサーって案外傷つきやすかったんだね」
奈緒「そりゃあ年下の女の子からああいうこと言われたらな」
未央「プロデューサーもお年頃ですから……うんうん」
卯月「お年頃? うん? でも否定しなかったし、プロデューサーさんはDTなんだよね?」
みんな「……………………あっ」
P「……………………」ピタッ
みんな「……………………」
P「……………………」
卯月「???」
みんな「……………………」
P「……………………」
卯月(何だろ……空気が重い)ドキドキ
P「………………ううっ……ぐすっ」
卯月「ええっ!? プロデューサーさんがまた泣いちゃってるっ!?」ガーン
未央「しまむー……無いわー……それは無いわー」
奈緒「このタイミングで言っちゃうのか……」
加蓮「さすがにPさんには同情するよ……でもPさん、そうなんだ///」
卯月「え、えっと……ど、ど、どうしよう」オロオロ
凛「美嘉……卯月に教えてあげて」
美嘉「ええっ!? アタシが!? は、恥ずかしいよ///」
未央「しょうがない……しまむー、お耳を拝借」
卯月「う、うん……」
未央「ごにょごにょごにょ……ってこと!」
卯月「ええっ!? ど、ど、どうて――むぐっう///」
未央「はいはーい! その単語を出したらプロデューサー余計泣いちゃうから駄目ー」
P「…………ヒック…………ヒック」カタ…カタ…
凛「プロデューサー……気にすることないから出てきてよ」ドンドンドン
美嘉「そうだよーアタシたちも気にしないからさー」ドンドンドン
凛「そんなに気になるなら、私で卒業させてあげるからさ」ドンドンドン
加蓮「いやっ、それは駄目でしょ!?」
凛「大丈夫、私も初めてだから」キリッ
奈緒「何が大丈夫なんだよ……」
美嘉「あ、アタシでも……構わないよ? 初めてだし///」
未央「うーん、さすがにボケが多すぎて私がボケる隙が無いよ……悔しいっ」
卯月「未央ちゃん、悔しがってる場合じゃないよ……」
加蓮「自重してって言ったのに……はぁ」
P「……………………グスッ」カタカタカタ
凛「……出てこない…………どうしよう」
奈緒「いい加減、他の人たちも気づくよな……Pさんが居ないのを」
加蓮「みんなが理由を知ったら……どうなるんだろ」ドヨーン
未央「うーんと………………ちょっとしたお祭り?」ドヨーン
美嘉「ま、まゆに……まゆに知られたら…………アタシたちどうなるんだろ」ドヨーン
卯月「プロデューサーさん! 出てきてくださいよー!」ドンドンドン
ちひろ「あら? みんなこんなところで騒いでどうかしたんですか?」
みんな「ち、ちっひー!?」ガクガクガク
ちひろ「な、なんです? みんなして……普段そんな風に呼びませんよね?」
凛「あ……いや、その……」
ちひろ「それよりみんなプロデューサーさん知りません?」
卯月「ドキっー!?」
ちひろ「卯月ちゃん? どうかしたのかしら?」
美嘉「な、な、なんっげほげほ…………な、なんでもないよ? ね、卯月★」(震え声)
卯月「う、うん! なんでもないよね、美嘉ちゃん?」(目逸らし)
ちひろ「美嘉ちゃん? 声、震えすぎよ? 卯月ちゃんはどこを見てるの?」
加蓮「隠し事下手すぎ……もうちひろさんに助けてもらおう?」
凛「そうだね。あの……実は――かくかくしかじか――ってことが……」
ちひろ「…………はぁ、なるほど……それで引きこもってしまったと」
P「……………………」カタカタカタカタ
ちひろ「駄目ですよ、プロデューサーさんって仕事のこと以外はメンタル弱いんですから」
みんな「すみません……」
ちひろ「さて、このままって訳にも行きませんねぇ」
卯月「でも、プロデューサーさん返事もしてくれなくて」
未央「プロデューサーが立ち直るまで待つしか無いんじゃない?」
奈緒「立ち直るって言っても、いつになるかわからないしなぁ……」
加蓮「ちひろさん……」ウルウル
ちひろ「しょうがないですね……みんな一度外してもらっていいかしら?」
凛「……わかった。ちひろさん、お願いします」
美嘉「プロデューサー、アタシたち待ってるからねっ」
P「……………………」カタカタカタカタ
・・・・・・
未央「うーむ、こうして外で待っているのもなんだねぇ」
卯月「プロデューサーさん、大丈夫かな?」
奈緒「こんな状況になってんだ、簡単には戻らないだろうな」
加蓮「ちひろさんの説得でもどれだけかかることやら……」
凛「プロデューサー……」
美嘉「大丈夫だよ、きっと。アタシ、信じてるか――」
P「ひゃっほーい! さぁ、気持ち切り替えて働くぞー!」バーン
美嘉「ら……」ポカーン
ちひろ「ふぅ……、まったく世話のかかる人なんですから」ガチャ
凛「えっと……ちひろさん?」
卯月「どうやってプロデューサーさんを元気にさせたんですか!?」
ちひろ「ふふっ、プロデューサーさんに対する飴と鞭の使い方は心得てますから」ニッコリ
奈緒「うわぁ……聞くのが怖い」
加蓮「だね……ぜったい金銭的な何かだよ」
未央「ちひろさん、ちひろさん。どんなこと言ったんです?」
ちひろ「聞きたいですか?」ニッコリ
未央「……イエ、ケッコウデス、ゴメンナサイ」ガクガク
ちひろ「まぁ、ガチャ的なアレですよ。金銭的なアレでごめんなさいね? 加蓮ちゃん?」
加蓮「ひぃっ!? ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!」ブルブル
凛「まったく……ちひろさんには敵わないね」
みんな「あははははは」
P「さぁ! 頑張って働いて、タダで回すぞー!」
卯月「えっと……解決、で良いのかなぁ?」
奈緒「良いんじゃないか……もう」(達観)
おわり
全部暑いのがいけないんです
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