金色の瞳の勇者の物語(184)
キラキラ
キラキラ
長い髪が靡く
「おれゆうしゃになる」
「なってせかいをへいわにする」
「みんなをまもる」
「…きみをまもる」
キラキラ
キラキラ
君の笑顔
「やくそく、だよ」
「わすれないでね」
「…まってるから」
姫「勇者君!」
騎士「勇者!」
勇者「おー姫に騎士。
見送りに来てくれたのか?」
姫「もう…行ってしまうのですか?」
勇者「ああ。こーいうのはすぐ行動した方が良いだろ」
姫「わたくしもついていきます!
回復なら得意ですし!」
騎士「姫様駄目ですよ!?」
勇者「そーだよ姫は城で皆を安心させなくちゃ」
姫「ですが…」
騎士「悪いな勇者。
僕も本当はついていきたいが
姫様と城を守らなくちゃいけないんだ」
勇者「分かってるよ。
気持ちだけで十分だ。
アリガトな幼馴染みの騎士様」
騎士「やめろよ気持ち悪い」
姫「…どうか、どうが無事に帰って来てくださいませ」
勇者「ああ。
帰ったらご馳走楽しみにしてるぜw」
姫「はい…!」
騎士「気を付けてな」
姫「いってらっしゃいませ…勇者君」
勇者「いってくるな!姫!騎士!」
元々この世界は人間と魔物は不干渉で争いなどなかった。
だが10年程前から徐々に魔物が人間の世界にやってきて、暴れるようになった。
今では人間は魔物に怯えながら暮らしている。
今回は魔物がこうなった原因を突き止めて対処する為に俺は旅をすることになった。
勇者「よっ…と」ザシュッ
勇者「ずっとこれ位の雑魚ばっかだと良いんだけどなー」
勇者になるなんて夢を幼い頃から抱いて。
でもどうすれば良いか分からなくて兎に角幼馴染みの騎士と鍛え上げた。
お伽噺の世界だろwなんて騎士は笑っていたけれど、
ずっと俺に付き合ってくれていた。
実力が認められ、騎士と共に城に仕えるようになった。
世界が闇に包まれる時。
金色の瞳の勇者が現れる。
まさか本当に急になるなんて思ってもいなかった。
それまで俺は茶色の瞳をしていたのに。
洞窟の村
村長「おお!勇者様!よくぞいらしてくださいました!」
勇者(瞳ですぐバレるのは厄介だけどな…)
勇者「初めまして。
宿をお借りしたいのですが…」
村長「どうぞどうぞ!」
勇者「有難うございます。
ところでこの町は魔物の被害などありますか?」
村長「…はい。
この町の横にある洞窟に魔物が住み着いてしまい…
鉱石を採りに行けなくなってしまいました」
村長「この町は鉱石で生計を立てている者が多いので、
皆苦労しております」
勇者「分かりました。
では明日、様子を見に行ってきます」
何処に魔物の暴走の根源があるか分からない。
だからしらみ潰しに魔物がいる所に行く。
勇者(正直面倒臭いけど…仕方ないしな)
勇者(辛そうな人達を見たらほっとけねーし)
洞窟の中を黙々と歩く。
親玉らしきモノがいるのは最奥だそうだ。
勇者(ありきたりと言うかなんと言うか…)
勇者(…でも何か可笑しい)
魔物がいない。
正確には息のある魔物がいない。
勇者(共食い?そうは見えねーし一体これは…?)
ドーンッ!!!
勇者「!?」
勇者(なんだよ今の爆発音!?)
洞窟中が激しく揺れる。
足をとられながらも急いで最奥に向かった。
勇者「はぁ…はぁ…
!?
これは…」
倒れている巨大な何か。
何かとしか形容出来ない程に黒焦げている。
そしてその前にいるのは。
女「…あら、一足遅かったわね」
勇者「…アンタは?
ここの魔物を倒したのか?」
女「ええそうよ。
でも呆気なかったわ。」
魔物だったものを軽く蹴る女。
ボロボロとそれは崩れ落ちる。
勇者(彼女は無傷…一体何者だ?)
女「…ねぇ?」
勇者「何だ?」
俺の瞳をじっと見る。
女「アナタ、ユーシャサマ?」
勇者「…そうだ」
答えると首を軽く傾げニッコリ笑う女。
年は俺より少し下くらいだろうか。
小柄な体に銀色の髪。
黒を基調とした服を着ている…魔法使いか?
女「村の人達が困ってるーって言うからどんな強い魔物かと思ったけど弱かったの」
女「…物足りないの」
女「だから…相手、シテ?」
勇者「…なっ!?」
返事を聞く前に女は攻撃してきた。
無数の氷の刃が襲ってくる。
勇者「ちょ、え、無詠唱!?」
女「ほらほらー楽しませて?ユーシャサマ?」
無詠唱で魔法を使うなんて相当の手練れだぞ!?
クスクスと笑いながら次は炎の矢を何本も飛ばしてくる。
勇者「てか!なんで!戦わなきゃいけねーんだよ!」
女「物足りないって言ったじゃない」
女「暴れさせて?
それとも弱いの?ユーシャサマ?」
流石にカチンときた。
勇者「てめぇー…!」
女「!」
剣を抜き炎の矢を弾き一気に間合いを詰める。
女は少し驚いたようだ。
女「へぇ…やるじゃない。」
勇者「手加減しねーぞ!」
魔法使いは近距離が苦手だ。
相手の懐に入ったらこっちのものだ。
首筋にピタリと剣を当てる。
勇者「…チェックメイトだ」
女「…自分の首元よく見たら?」
勇者「な…!?」
何処から出したのか短剣が俺の首に当てられていた。
女「…ドローね」
勇者「…。
チッ」
ほぼ同時に切っ先は首筋から離れた。
うっすらと女の首から血が垂れる。
その血を指ですくいペロリと舐めた。
勇者(…エロい///)
免疫ないんだよ。
身近に女性は姫しかいなかったんだよ。
悪いか。
女「ユーシャサマ。
私は魔法使い。
アナタのお名前は?」
勇者「…勇者だ」
魔法使い「勇者、ね。
ありがとう勇者サマ。
楽しかったわ」
勇者「そりゃドーモ」
魔法使い「勇者サマは村の人に頼まれて此処に来たの?」
勇者「ああ。そうだ」
魔法使い「私勝手に来て勝手に倒しちゃったから、
勇者サマが倒したコトにしてちょーだい?」
勇者「へ?」
魔法使い「じゃーねぇー♪
また会いましょう」
勇者「ちょ、待てよ!」
魔法使い「!」
颯爽と去ろうとする魔法使いの腕を思わず掴む。
…細い。
それに白い。
不健康な程に。
魔法使い「何よー?
ここは私が消えなくちゃ面白くないでしょー?」
少し頬を膨らませ睨んでくる。
咄嗟に引き留めてしまったが、特に何かあるわけではない。
勇者「いや…えっと、さ」
魔法使い「何?」
勇者「魔法使いも一緒に村に行こう。
倒したのはアンタだし。
俺が倒した訳じゃないのに村長に報告なんて出来ねーよ」
魔法使い「…え?」
勇者「ほら、行こう」
魔法使い「ちょっと!待ってよ離しなさいよー!
変態っ!すけべ!エロ助!」
勇者「なんかそれ違ぇ。」
そりゃ細い割に胸かなりあるけど。
揺れてるけど。
顔も童顔で正直可愛い。
横に束ねてる髪もサラサラで良い匂いがする。
断じて下心ではない。多分。
俺には心に決めた人がいるんだし。
抵抗する魔法使いを引き摺って洞窟の村に戻った。
どうしてこうなったのかしら。
私はただ暴れ足りなかっただけなのに。
勇者に連れられて村長の元に行き、
洞窟の魔物を倒した事を報告した。
村長「有難うございます!有難うございます!
この村に居られる間は宿代もお食事代も頂きません!
どうぞごゆっくりなさってください!」
やけにテンション高い村長だったな。
村が平和になったのだから当然なのかしら。
…そして何故か。
勇者「このポトフ美味いなー!」
魔法使い「…」
この男と食事している。
勇者「なんだよ?食わねーのか?」
魔法使い「…いえ、頂くけど…」
さっきの今で何故普通に一緒に食事しているの?
普通警戒するんじゃないの?
勇者「変な奴だな」
魔法使い「アナタがね。」
ソーセージを一口。
うん、美味しいけど。
勇者「良いだろ別にお前も1人みたいだし」
魔法使い「…」
勇者「嫌だったか?」
赤茶色のクセっ毛が揺れる。
金色の瞳で真っ直ぐ私を見てくる。
少し不安そうな表情。
まるで叱られた仔犬みたい。
魔法使い「…別に良いわよ、もー…」
勇者「なら良かった。
1人で食うより2人で食う方が美味いしな」
1人で納得しながら緑たっぷりのサラダも美味い美味いとペロリと平らげていた。
…本当に、変な人。
勇者「そーいやさ、魔法使いは次何処に行くんだ?」
魔法使い「決めてないわ。
魔物が出る場所を気儘に旅してるから」
勇者「じゃぁさ。
俺と一緒に旅してくれないか?」
魔法使い「…え?」
勇者「正直剣には自信があった」
魔法使い「…まぁ勇者サマは強い方だと思うわ」
勇者「でも魔法使いと会ってまだ駄目だと思った。
互角だったとは言えそれではこのままじゃ駄目だ。
俺に付き合ってくれ。
力を貸してくれ」
魔法使い「ちょっと、別に私以上の人位沢山いるでしょ!
私じゃなくても良いじゃない!」
勇者「そうかもしれない。
けど魔物退治が目的なんだろ?
同じじゃないか。」
魔法使い「…そうだけど…」
勇者「危ないと思ったら離れてくれたら良い。
頼む」
魔法使い「…条件があるわ。
私が納得したらついていってあげる」
魔法使い「勇者は望んだ者しか、力が認められた者しかなれないと聞くわ。
アナタは何故勇者になりたかったの?」
守りたかった。
昔は魔物も人間も平和に過ごしていた。
全ての生き物の世界を平和にしたい。
皆を守りたい。
勇者「…それに。
約束したんだ」
魔法使い「約束?」
勇者「ある人の笑顔を守りたいって思ったんだ」
魔法使い「…」
キラキラ
キラキラ
輝く髪しか。
勇者「それを支えに頑張ってきた。
小さい頃の約束なんて相手は忘れているかもしれない。
正直、その時からその人には会っていない。
何処の誰かも分からないままだ」
キラキラ
キラキラ
輝く笑顔しか覚えていないけど。
勇者「その人も、皆が笑顔で居られる世界にしたいんだ」
一瞬。
魔法使いの紅い瞳が揺らいだ気がした。
魔法使い「…ふーん…。
大層ご立派な夢ね」
勇者「悪かったな!
くそー…語っちまった…恥ずかしい…///」
勇者は少し赤くなりそっぽを向く。
暑くなったのか熱くなってしまったのか水を手探りで探すけど届いていない。
まったく…不思議な勇者サマね。
だからこそ…勇者になれたのだろうけれど。
魔法使い「分かったわ」
コップを勇者の手に当てる。
そしてそのまま勇者の手に私の手を添える。
可愛らしい顔とは違ってマメと傷痕だらけの手。
余程頑張ってきたのが分かる。
勇者「!?」
魔法使い「そのご立派な夢に付き合ってあげるわ。
勇者サマ」
勇者「!
本当か!?」
魔法使い「女に二言はないわ。」
勇者「よっしゃぁぁ!
アリガト!!」
咄嗟に両手を握られる。
本人はきっと自覚がない。
満面の笑みをしているもの。
魔法使い「…手、痛いわ」
勇者「!
あ
あああごゴメンっ///」
魔法使い「何でそこで照れるの」
やっぱり、変な人。
翌日。
村長から隣の街も最近魔物の被害を受けたと聞いて、向かうことにした。
1日もあれば着く距離だ。
俺の隣にはちゃんと魔法使いがいる。
勇者「なぁ。
隣の街に着いたらちょっと鍛練付き合ってくれよ」
魔法使い「そのつもりで誘ったんでしょ?
良いわよボコボコにしてあげる」
勇者「」
ニッコリ笑ってる筈なのに寒気がする。
コイツ怖い。
正直勢いで誘った。
でも何故かあの時彼女と別れたら後悔する気がした。
年が近い人で彼女程の実力者を見たことなかったからなのか。
ずっと騎士や姫といたから1人旅が寂しいと感じたからなのか。
魔法使い「そーいや勇者サマは魔法は何使えるの?」
勇者「んー雷と火と回復だな。
全部簡単なヤツだけだけど」
魔法使い「ふぅん。
武器は基本剣?」
勇者「一通り使えるけど一番しっくりくるのは剣だな。
魔法使いは?」
魔法使い「私は光属性以外使えるわ。
詠唱無しで使えるのは中級までだけど」
勇者「…すげぇな」
魔法使い「そうでもないわ」
素っ気なく答えられる。
少し寂しい。
勇者「あの短剣は?
何処から出てきたんだ?」
魔法使い「見たいの?」
魔法使いはニヤリと笑うとスカートの裾を上げる。
勇者「ちょ…!///」
魔法使い「あははっ!…これくらいで照れないでよ」
勇者「…うるせぇ///」
爆笑しながら左の太ももを見せてきた。
短剣が3本。
勇者「そんなところにあったのか」
魔法使い「そんなところとは失礼な」
勇者「いや、そういう意味じゃなくて!」
何だろう。
からかわれてる気がする。
昨日年を聞いたら16歳だと言っていた。
俺や騎士の1つ下だ。
魔法使い「へぇ。
勇者サマって見た目通りウブなのねw」
勇者「見た目通り言うなっ!」
何だろう。
俺の方が年上なのに勝てない。
気がする。
書き溜め分終了
以下ゆっくり続きます
期待機
>>30
有難う!
すごく嬉しいです!
少しだけ進みます。
装飾の街
勇者「すげー…世界がキラキラしてる…」
魔法使い「城下町に住んでたんじゃないの?」ソワソワ
勇者「いやーこの街みたいに露店でそこら中にアクセサリー売ってなかったし」
魔法使い「それもそうね。
この街の品は加工技術が素晴らしい一級品ですって」ソワソワ
勇者「へー…後でゆっくり見回っても良いぞ?」
魔法使い「え?」
勇者「アクセサリー好きなんじゃねーの?
ずっとソワソワしてるしw」
魔法使い「!!…///」
勇者「まぁ先に宿探して訓練してからなw」
魔法使い「…笑いすぎよー…」
魔法使い「…でもアリガト…」ボソッ
勇者「ん?」
魔法使い「別にっ!///」
無事宿が取れ、そのまま夜を迎えた。
程々に飯を食い街から少し離れた草原へ行く。
鍛練の時間だ。
魔法使い「そーねー…対魔法が苦手なの?」
勇者「そうだな。
基本剣相手と戦ってたからなぁ」
魔法使い「…分かったわ。
いくわよ」
魔法使いは少し考え込んだように見えたがすぐに顔を上げた。
頭の回転が早いようだ。
ゆっくりと俺に向かって左手を伸ばす。
勇者「こい!」
魔法使い「風舞魔法!」
俺の回りを突風が吹き荒れる。
まるで風が踊るように。
勇者(これくらいなら風を切って抜け出せる!)
魔法使い「…」
魔法使い「火球魔法!」
魔法使い「氷矢魔法!」
勇者「えええええ」
沢山の火の玉が風に乗る。
氷の矢が上から降り注ぐ。
勇者(激し…でも相殺してるんじゃ?)
一瞬火が消えるのを待とうと考えた。
それと同時に魔法使いがニヤリと笑ったように見えた。
勇者「!?」
目の前に霧がかかっている。
さっきまで見えてた魔法使いが見えない。
勇者(まさか…っ!)
カキーン!
魔法使い「…チッ」
勇者「舌打ちするな。怖ぇ。」
魔法使い「ま、ボチボチかしら。
分かりやすく油断したら駄目よ」
勇者「…ハイ」
霧に紛れて魔法使いが短剣で斬りかかってきた。
とっさに剣で受け止める。
危なかった…。
勇者「そんな方法もあるんだな…」
魔法使い「闇雲に魔法使いまくってくる者もいれば状況を変える者もいる。
少しは良い勉強になったんじゃない?」
勇者「ああ…」
魔法使い「…でも隙を狙ったのに受け止められるとは思わなかったわ。
魔法防御の魔法でもかけて突っ込んで行く方が勇者サマには向いてるかもねー」
…まさか褒められるとは思わなかった。
素直に嬉しい。
勇者「アリガト。魔法使い」
魔法使い「…別に。」
柄にもない事を言ったのだろうか。
少しだけ赤くなってるように感じた。
夜だからはっきりとは分からないけど。
勇者「なんだ。
ちょっとは可愛いところあるじゃねーかw」
魔法使い「煩いっ!帰るわよ!///」
朝の仕返しだ。
ざまーみろ。
その気持ちが表情に出てたのか魔法使いが短剣を振り回してくる。
魔法使い「馬鹿っ!避けるなっ!」
勇者「ちょ、それはマジ危ないから!」
当然お互い本気じゃないからじゃれてるような物だ。
でも流石に真剣は怖いぞ魔法使い…。
「勇者!離れろ!」
勇者「!?」
魔法使い「!?」
激しい閃光が辺りを包む。
勇者と私は反射的に飛び退いた。
何者かが斬りかかってくる。
敵意は私にだけあるみたい。
私は短剣では重い一撃を受け止める事は出来ないので力を受け流すように回転させかわした。
「…やるな」
魔法使い「それはどーも」
視界が晴れる。
目の前には黒髪を1つに束ねた男。
鋭い翠色の瞳で私を睨んでいる。
勇者「魔法使い!大丈夫か!?」
魔法使い「誰に言ってるの?勇者サマ」
勇者「デスヨネー」
男から距離をとる。
彼は追撃をしてこず片手剣を鞘にしまい勇者に訊ねた。
「勇者?この女は何者だ?」
勇者「え…騎士!?」
次いで勇者の傍らにいた女が口を開く。
「勇者君…襲われていたんじゃないの?」
勇者「っ!?姫!」
ふわふわとした金糸の様な長い髪。
白い上品な服を身に纏っている。
勇者はヒメと言った。
いかにも物語の中のお姫様と言った風貌の持ち主だ。
騎士「状況も把握せずに攻撃して申し訳無い」
魔法使い「良いわよ別にー。
あの状況ならそう判断して仕方無いし」
深々と頭を下げてくる騎士という男の人。
お姫様の護衛をしているらしい。
魔法使い「まぁ勇者サマを襲う趣味はないけどねー」
勇者「初対面で襲ってきたアンタが何を言う」
鼻で笑って言うと勇者は冷めた目で言ってきた。
そう言えばそうだったわね…。
姫「まぁ!どういうことですの!?」
お姫様は泣きそうな顔をしながらも赤面して勇者に問い掛ける。
この人絶対誤解してるわー。
宿の一階に併設してある酒場に場所を移す。
勇者「でもなんでこんな所に?」
姫と騎士に訊ねる。
因みに皆ソフトドリンクだ。
姫「じっとしていられなかったのです。
勇者君の傍で一緒に世界を変えたかったんです」
騎士「姫様がそうおっしゃって聞かないので王様が許可を出したんだ。
僕を護衛につかせるのを条件に。
まぁ僕も勇者と旅したかったしね」
姫「わたくし達も連れていってくださいませ。
勇者君」
姫は見た目とは裏腹に頑固だ。
良く言えば意志が固い。
ああは言っても意地でもついてくるだろう。
勇者「本当に大丈夫か?
野宿とかもあるし治安の悪い町に行くこともあるかもしれないぞ?」
姫「大丈夫です。
城にはお父様もお兄様も居ります。
貴方と一緒なら何処へでも行けます」
騎士「」
そういう台詞は止めて欲しい。
騎士がいじけて後でグチグチ言われるんだよ。
ほら既に睨んできてるだろ。
…悪い気はしないけど。
魔法使い「…」
さっきから魔法使いが無表情だ。
愛想笑いはするものの何かを考え込んでいるように見える。
勇者「魔法使い?」
魔法使い「…あら。何かしら?」
勇者「良いか?
こいつらも一緒で」
魔法使い「勇者サマが決めた事に私は従うわよ」
少しホッとした。
魔法使い「…でも」
魔法使いはすっと姫に視線をやる。
視線の先には白いマントを留めているブローチ。
魔法使い「ソレは外した方が身の為よ?オヒメサマ」
姫「どういうことですの?」
姫はまだ魔法使いに警戒心を持っているようだ。
怪訝な顔をして答えている。
魔法使い「ソレ王家の紋章モチーフでしょ?
ワタシを狙って下さいと言ってるようなモノよ」
王家の紋章。
それは勇者のお伽噺から来ている。
世界が闇に包まれる時。
金色の瞳の勇者が現れる。
紅い月
蒼い星
翠の盾
黄金の星の剣を持ち
闇を照らす太陽となる。
遠い遠い昔の物語。
ずっと俺が、あの子が憧れた物語。
紋章は盾の形をベースに月と星と剣と太陽が刻まれている。
恐らく別の国の人が見ても一発で王家の証と分かるだろう。
訂正
黄金の星の剣→黄金の剣
今夜はここまで
多分のんびり続きます
乙
>>46
有難う!
嬉しいです
スマホ壊れて修理中です
代用機使いにくい…
少しずつの更新になります
すみません
魔法使い『その替わりのブローチ勇者サマに買って貰ったらー?』
魔法使い『装飾の街だしオヒメサマに相応しい物も見つかるでしょ』
魔法使い『どーせなら3人で明日ゆっくり1日過ごしたら良いんじゃない?』
魔法使い『私?私はプラプラしてくるわ。
また明後日ねー』
そんな魔法使いの気遣いのお蔭で俺達は今3人で店を巡ってる。
朝飯の時にはもう魔法使いは居なかった。
姫も騎士も心なしかウキウキしているように見える。
俺もコイツらからしたらそう見えるのかもしれない。
…でも、正直おちつかねー。
騎士「姫様!こちらは如何でしょうか?
可憐な百合の模様がまるで姫様のようです」
姫「そうかしら?
勇者君はどう思います?」
騎士「」
勇者「あーうん。
良いんじゃないか?」
姫「勇者君の反応がイマイチですわね…。
騎士君まだまだ探しますわよ!」
騎士「!
姫様!待ってください!
勇者も早くこい!」
…騒がしい。
でも懐かしい。
嫌じゃない心地良い居心地。
いつも3人で城を抜け出して遊んでいた。
今日はちょっとかなりすごく姫と騎士が元気過ぎる気がするけど。
もう既に米粒位小さく見える姫と騎士を追いかけようとした。
勇者(…ん?あれは…)
少し落ち着いた装飾屋に魔法使いの姿が見える。
ショーウィンドウをじっと見つめているようだ。
勇者(何見てるんだろ?)
勇者(あ、離れた)
魔法使いが見ていたであろう物を何となく探す。
沢山の装飾が自己主張をするかのごとくキラキラしていて眩暈がしそうだ。
こんなにあるのに分かる筈がない。
…筈がないのに。
勇者(…これだ)
赤い石にピンクの石、そして乳白色の石。
それらが控えめに飾り付けられている銀色のピアスが目に入ってきた。
勇者(えらくまぁ可愛らしい物見てたんだな。
ガラじゃねぇなーおいw)
勇者(…でも似合うだろーな)
姫「勇者君?ここにいたんですの?」
勇者「あ、悪い。
良いのあったか?」
姫がいつの間にか戻ってきていたようで背後から呼ばれる。
騎士も遠くからやってきた。
相変わらず姫に振り回されているようだ。
姫「可愛いお店がありましたの。
勇者君も一緒に見て下さらない?」
勇者「おぅ!行く行く」
チラリとピアスを横目に見て、俺は2人に合流した。
姫「…。」
短いけど続く
夜中に書けたらいいな
待ってる
>>53
有難う!
見てくれている人がいるの本当に嬉しいです
3人で悩みに悩んでやっと納得出来るブローチを見つけた。
姫の髪のような淡い金色の楕円型。
銀色の繊細な模様が描かれている。
所々に散りばめられている透明と水色の宝石がポイントですわね♪と姫もご機嫌だ。
早速王家の紋章の代わりに身に着けていた。
勇者「この後はどうする?」
昼になったのでパスタ屋にやってきた。
ペペロンチーノ美味ぇ。
騎士がミートソーススパゲティを食べながら答える。
見た目は俺より大人っぽいけど好みは完全にお子様だ。
騎士「僕は王様と騎士団に連絡があるので少し別行動するよ。
姫様もそれで宜しいですよね?」
姫「構いませんわ。
お父様とお兄様に宜しくお伝え下さいませ」
カルボナーラをペロリと平らげメニューを見ている姫。
この後は怒涛のデザートラッシュが始まるのだろう。
いつものことだけど見ているだけで胸焼けがする。
手を挙げ姫は店員を呼び、ニッコリと告げる。
姫「すみません。
ここからここのデザート全部くださる?」
店員「」
勇者「」
騎士「」
やりすぎだ。
騎士君が報告しに行っている間わたくしと勇者君は再び街をうろうろすることになりました。
明日の出発に備えて薬や保存食を買う為です。
…2人きりは久し振りで…少し緊張してしまいます。
勇者「ついでに次何処に行くかも考えなくちゃな。
酒場で情報収集するか」
以前の茶色い瞳も好きでした。
見ているだけで落ち着きます。
けれど今の金色の瞳の方が似合うと思います。
勇者君の勇者らしい強い想いが表れていますもの。
勇者「…姫?」
姫「!す、すみません!
そうですね、後で酒場にも行ってみましょう」
じっと見つめてしまいました…恥ずかしいですわ///
でも勇者君は気付いていないようです。
…少しくらい反応して下さっても良いのに…。
勇者「こうやって姫と騎士と旅出来ると思ってなかったから嬉しいよ」
姫「どうしたんですの?突然」
買い物を一通り終え、ティータイムに酒場に訪れました。
酒場に夜以外に入るのは変な感じです。
でも夕方までは喫茶も兼業しているようです。
勇者「元々1人で旅し続ける予定だったからさ。
ひょんな切っ掛けで魔法使いも一緒になったけどさ」
姫「…」ピクッ
魔法使いさん。
知らない間に勇者君と旅をする事になった人。
勇者「ちょっと寂しかったしなぁーずっと騎士や姫と一緒にいたしさー」
飄々とした美少女さん。
巨乳さん。
魔法をかなり使えるそうです。
勇者「でも騎士は兎も角さ、姫には危ない目は合わせたくないから…」
軽く癖のあるわたくしの髪と違いサラサラのストレート。
黒いミニワンピが似合う色白の肌。
小柄で細いのに胸がしっかりあるみたいです。
勇者「…おーい…」
女は顔と胸だけじゃありません…!
わたくしも貧乳ではないですし…うぅ…。
勇者「姫!」
姫「っ!はい!」
勇者「そのすぐトリップする癖どうにかしろよなw」
姫「ごめんなさい///」
勇者「ケーキ他には頼まなくて良いのか?」
姫「そうですね…じゃぁ洋梨のタルト3個と苺のショートケーキ2個とあと…」
勇者「まだそんな食えるのかよ!?」
姫「これくらい余裕ですわ」フフン
勇者「痩せの大食いめ…」
勇者君が心に決めた女性が居るのは知っています。
けれどわたくしは諦めません。
追いかけてきた理由は勿論それだけではありませんが。
また傍に居られるチャンスがやってきたのです。
勇者君が思っている以上に。
ずっとずっと、強くお慕い致しております。
騎士「…ふぅ」
王様と騎士団への連絡は済ませた。
姫様と勇者に合流しても良いが、折角の水入らずだ。
これから中々そんな時間取れないだろうから姫様には楽しんで頂こう。
…悔しくなんかない。
少しだけだ。
街から出た所にある草原に着く。
風が爽やかで気持ちが良い。
元々勇者と僕は自然が豊かな町で育った。
けれどお互いの夢の為に城に行った。
城の豪華な雰囲気にも流石に慣れたがやはり草や木が沢山ある場所は落ち着く。
騎士(少し横になるか)
陽射しもそんなに強くない。
瑞々しい草の上にゆっくりと座り込んだ。
「…あら?」
魔法使い「騎士サンじゃない。
どうしたのー?こんな所で」
頭の上が陰る。
黒いスカートがひらりとなびく。
見えそうで見えない。
…じゃなくって!
騎士「魔法使い…」
魔法使い「奇遇ねー。
オヒメサマと勇者サマとは一緒じゃないのね」
少し距離を開けて横に座ってきた。
まだこの女とはどう接したら良いのか分からない。
魔法使い「良いの?勇者サマにとられちゃうわよ?オヒメサマ」
騎士「なっ///」
魔法使い「あーでも勇者サマ想い人いるんだっけー…なら安心?でもないわよねー」
クスクス笑いながら見てくる魔法使い。
どこまで知ってるんだ。
魔法使い「皆露骨だもの。
見てたら分かるわよー」
騎士「ええい考え読むな!」
魔法使い「じゃぁそんな分かりやすく表情に出さないコトねw」
僕この女苦手かもしれない。
魔法使い「でも気持ち分からないでもないわ。
姫様可愛らしいモノねー」
騎士「は?」
魔法使い「ふわふわの柔らかそうな髪に澄んだ青い瞳。
スラッとしててあのタイトな白い服も似合ってるわ。
ホント護ってあげたくなる。
THEお姫様って感じよねー」
私とは大違い、とまた笑っている。
なんだ、良いところあるじゃないか。
草を撫でながら続けて話しかけてくる。
魔法使い「騎士サン達は皆幼なじみなの?」
騎士「いや、僕と勇者はそうだが姫様は違う。
姫様とは12歳の時に出会った」
姫様は僕と勇者の1つ上というだけで最初は仲良くなった。
見た目とは違い行動的で、ご自身が守るべき街を、国を、ご自身で見たがってる人だった。
何度も一緒にこっそり城を抜け出した。
騎士「城下町も、此処のような草原にも何度も行ったさ。
当然帰ったら毎回怒られていたが」
魔法使い「そうでしょうねw」
騎士「でも本当に充実した日々だった」
環境は違えどまた3人で過ごす事が出来る。
当然使命はあるが。
騎士「だからこそ早くこの魔物凶暴化の原因を突き止める」
魔法使い「そうね…」
魔法使い「…私やっぱりお邪魔虫ね」ボソッ
騎士「え?」
魔法使い「日が陰ってきたわね。
私は戻るわ。
騎士サンも風邪引く前に戻るのよー」
子供扱いしないでくれ。
僕の方が年上だ。
ひとつだけだが。
背を向けながらひらひらと手を振り魔法使いは去って行った。
何となく掴めない女だ。
でも苦手ではなくなったかもしれない。
深呼吸をひとつして、僕はごろんと寝転がった。
今夜はここまで
おやすみなさい
乙です
>>66
遅くなったのに見てくださって有難うございます!
やっとスマホ戻ってきたのでぼちぼち再開します。
遅くなってすみません。
真夜中。
なんとなく寝付けないからハーブティーを用意する。
カモミールはリラックス効果が高いそう。
カップも温めて準備完了。
そんな時にドアがノックされた。
魔法使い「どちら様ー?」
勇者「俺。勇者」
魔法使い「…どーぞ?」
遠慮がちに勇者は私の部屋に入ってくる。
それならこんな夜中に来なければ良いのに。
魔法使い「どうしたの?
夜這いw?」
勇者「ちっ!ちげぇよ!///」
魔法使い「まぁ適当に座ってー」
赤くなりながら椅子に座る勇者。
ついでだしさっきのハーブティーを淹れて渡す。
うん、良い香りね。
勇者「あ…のさ。」
魔法使い「ん?」
勇者「…あのー…えっと…」
魔法使い「…。」
そのまま5分経過。
流石に焦れったい。
魔法使い「もー!何?」
勇者「こ、これ!」
勇者の腕が目の前に伸びてくる。
手には小さな紙袋。
白地に黒い文字が書かれているシンプルな物だった。
勇者「魔法使いに渡したくて…」
慣れてないのか目を合わせようとしない。
紙袋を受け取り問いかける。
魔法使い「開けて良いの?」
勇者「…ああ」
出てきたのは小さな箱。
そしてその中には*??*
魔法使い「何で…これ?」
何処かのショーウィンドウで一目惚れしたピアスが入っていた。
勇者「魔法使いがソレ見てたの見かけて…。
柄じゃないけどな!
似合うと思ったからやる」
照れ臭そうに頬をかきながら笑う勇者。
沢山似たような物も並んでいたのに。
如何にも女性向けのお店で入るのも恥ずかしかったと思うのに。
何で…。
勇者「無理矢理連れてきたのに相手してくれて助かってるんだ。
だから…ってのも変だけどなw」
何で。
何でこの人は。
勇者「これからもヨロシクな。
魔法使い」
あの2人が来たからもう私はいらないと思った。
始まりは無理矢理だったけど。
まだ少ししか一緒にいないけど。
楽しいと感じてる私が居た。
魔法使い「…有難う、勇者サマ」
これが勇者なんだ。
周りを惹き付け、救ってくれる。
魔法使い「これからもヨロシクね」
翌朝。
ホットドッグを食べながら次の目的地について話していた。
1つ目はシンプルにケチャップとマスタード。
2つ目はチリソース。
どっちも美味ぇ。
騎士「ここの近くの潮騒の港で魔物が海賊まがいな事をしているらしい」
姫「海賊まがい?」
騎士「船を襲い食糧や交易品を奪っているそうです」
勇者「じゃぁ次はそこだな」
魔法使い「治安が少し悪いとも聞くわ。
気を付けてねオヒメサマ」
姫「分かってますわ!」
姫を煽る魔法使いをチラリと見る。
耳元には昨日渡したピアスが付けられていた。
良かった。
…ん?何で俺はにやけそうになってるんだ?
騎士「いくぞ!勇者!」
勇者「!ああ!」
よく分からない気持ちをオレンジジュースで流し込み。
店を出る騎士達の後を追いかけた。
潮騒の港
勇者「おおー!デカイ船がある!」
騎士「見た事がない魚も沢山売られてるね」
魔法使い「潮風が気持ち良いわねー」
確かに魔法使いさんは凄かったです。
城の魔術師達よりもずっと。
勇者君と騎士君が倒し切れなかった魔物を魔法を使って瞬殺していきました。
わたくしが出来るのは回復魔法と補助魔法だけ…。
でも簡単な物なら勇者君も魔法使いさんも使えます。
わたくしにも…ちゃんと…。
勇者「…姫?どうした?」
姫「い、いえ!何も無いですわ!」
勇者君についてきたからには足手まといにならないようにしなくては。
お荷物になどなりたくありません。
騎士「じゃぁ聞き込みしていこうか」
勇者「そうだな」
夜になったら宿で落ち合う事を約束しわたくし達は別れました。
姫「あの島ですの?」
船員「そうだ。
奴等はあそこを拠点にしている」
船員さんが指差す先には青い海と空。
そのずっと向こうに小さな島がありました。
船員「おれ等も何度か乗り込んだが奴等強くてな…。
死人は出なかったが商売が出来なくなった奴もいる」
姫「そんなに…」
船員「おじょーちゃん止めとけ。
怪我しちまうぜ?」
姫「…有難うございました」ニッコリ
御礼を言い親切な船員さんの元を離れました。
分かっています。
強そうな船員さん達よりもっと強い海賊。
わたくしでは無力だと思います。
姫(分かってますわ…でも…!)
勇者君についていきたい気持ちも当然ありました。
けれど城から離れて国民の皆さんの現状も知らなくてはいけないと思っていました。
現にお仕事が出来なくなると困っている方々かいらっしゃいます。
姫(国民を守れなくて…そんなので姫なぞやっておれませんわ!)
胸元に隠した王家のブローチを強く握り。
わたくしは意志を高めました。
訂正
姫(国民を守れなくて…そんなので姫なぞやっておられませんわ!)
姫が見付けた船員のお蔭で無事船を出してもらえた。
岩場だらけのゴツゴツした島に足をつける。
船員「気を付けろよ?
頼むぜ勇者様」
勇者「任せて下さい」
そこら中に乾いたワカメが張り付いている。
潮の匂いがキツすぎて鼻がツンとする。
勇者「足元危ないからな、姫」
姫「分かっていますわ!」
そう言いながらずんずんと先頭を歩く姫。
たまに足を滑らせている。
分かっていない。
騎士「…姫様どうしたんだろう?」
魔法使い「さぁねー?」
姫の気合いが入りすぎているような気がする。
相変わらずの空回りか?
姫「おいていきますわよー!」
既に遠くの方に行ってしまった姫を追い掛け俺達は怪しげな洞窟に向かった。
姫「…如何にも、な感じですわね…」
洞窟の村の時と違い人工的に置かれたランプなどは無い。
人の手で全く弄られていない洞窟だ。
魔法使いの魔法で辺りを照らしながら慎重に歩く。
火の玉が指先から離れてふよふよとゆっくり俺達の前を進んでいく。
どんな仕組みなんだ…?
魔法使い「…!待って」
魔法使いの声でピタリと歩みを止める。
火の玉も小さくなりうっすらと皆の顔が見える程の明るさに抑えられた。
勇者「声がする…?」
とりあえずここまで
装飾の街の魔物は街に到着してすぐ倒した事にしてください…恥ずかしい
夜中にまたこれたら良いなと思います
完全に寝てましたおそようございますすみません
少し続きです
「人間って馬鹿だよなぁ」
「ほんとほんとー疑わねぇもんなー」
姫「!わたくし達の言葉!?」
騎士「魔物も言葉を話すのか?」
魔法使い「…高位の魔物は人間が理解出来る言葉を話す、とは聞いたことあるけど…」
岩蔭に隠れて声のする方を覗きこむ。
ゆらゆらと揺れる灯りに照らされ不気味なシルエットが浮かび上がっていた。
酒盛りをしてるように見える。
魔法使い「…でも…これは…」
勇者「どうした?魔法使い?」
少し険しい顔をして考える魔法使い。
じーっとシルエットを見て考え込んでいる。
魔物の影は6体。
洞窟の広さからして少なくとも他の場所にまだ潜んでいるとはあまり思えない。
勇者「よし…行くか」
姫「…はい!」
勇者「俺と騎士で特攻する。
魔法使いは先に一発デカイのいれてやってくれ」
魔法使い「ええ」
騎士「姫様は後方支援お願い致します」
勇者「よし…いくぞ!」
魔法使い「イケッ!」
ドーーーンッ!!
「な、なんだ!?」
「うわぁ!お前らなんだ!?」
魔法使いさんの派手な魔法で意表を突き。
勇者君と騎士君が勢い良く魔物へと斬りかかっていきます。
魔物達はお酒が入っていたからか抵抗虚しくフラフラとすぐに倒れました。
わたくしの出番は無かったようです。
勇者「…仮面?」
騎士「顔を見せろ!」
泥塗れの身体に不釣り合いな忌々しい仮面を皆つけていました。
騎士君が倒れた魔物がつけていた仮面を切り裂きます。
姫「え…?」
魔法使い「…やっぱりね」
ハラリと落ちた仮面の奥には。
勇者「…人間…だと?」
魔物ではなくわたくし達と同じ。
ニヤリと汚ならしく嗤う人間の顔がありました。
騎士「貴様ら!何で魔物のフリをして海賊の真似事などしたのだ!」
全員をロープで縛った後。
騎士君が切っ先を敵の首元に宛がいながら問い詰めます。
先程と変わらずニヤニヤとしながら彼は答えました。
「そんなもん魔物の仕業にした方が俺等が怪しまれなくて済むからに決まってるだろーが」
動きや見た目を変え自身を偽り犯罪を犯す。
普段は平然と姿勢を正し生きていく。
魔物に罪を擦り付けて。
姫「そんな事…人としてありえませんわ!」
「キレイゴトで生きていけねーんだよ!
騎士様やーーー」
「おじょーちゃんと違ってなぁ~?」
姫「え…」
魔法使い「っ!」
「ほぉ…こっちのおじょーちゃんはヤルじゃねぇ~か」
「お頭っ!」
金属がぶつかる音がわたくしの目の前で響きました。
お頭と呼ばれる大きな髭面の男が振り下ろした剣を。
魔法使いさんが短剣で止めています。
…わたくしを庇って。
勇者「姫!魔法使い!」
騎士「姫様!大丈夫ですか!?」
お頭「お~っとお前ら動くなよ~?」
勇者「くっ…!」
耳障りな擦れ合う金属の音が鳴り続けます。
こんな大きな男性に魔法使いさんが力で叶う訳がありません…。
魔法使い「…っ!何してるの!オヒメサマ!」
姫「え…?」
魔法使い「貴女は早く勇者サマの所に逃げなさい!」
剣を抑えながらキッとわたくしを睨む魔法使いさん。
足が少しずつ後ろに下がっていっています。
流石にこの状態では彼女も魔法を使えないようです。
姫「でも…っ! 魔法使いさんが!」
お頭「良いねぇ~女の友情ってか~?
だがそんな余裕ないだろ~が」
ニヤニヤと気持ちの悪い声と表情で男が言葉を吐き出します。
それを遮るかのように凛とした声が放たれました。
魔法使い「私から離れなさい!」
その瞬間。
男は倒れ魔法使いさんに短剣を突き付けられていました。
魔法使い「…貴方達の存在、目障りだわ」
魔法使い「消え失せろ」
またのんびり始めます
見てくださってる方有難うございます
期待
すでつお
すで様れ疲お
>>92
ありがとう!
少しでも楽しんで貰えるように頑張ります
>>93
うとがりあ!
おつですって言って貰えるの嬉しいです
>>94
すでうとがりあ!
何でお二人とも反対なんですかww?
笑わせてもらいました
少し進みます
夜。
姫は大好きなケーキも食べずに部屋に引き込もってしまった。
魔法使いも一人にさせて、と何処かへ行ってしまった。
残った俺と騎士はカフェで時間を潰している。
…あの海賊達は結局皆真っ黒に焦げて死んだ。
人だったのか魔物だったのか分からない位に燃えた。
魔法使いが短剣を突き刺した後、凄い火力の魔法を使ったからだ。
幸いにも俺達は咄嗟に姫がかけてくれたシールドで難を逃れたが…。
騎士と話し合って、魔物を倒した、ということにした。
今の世界じゃ人間がそんなことまでして…と余計に皆不安になってしまうだろうから、と。
それが正しかったのかは…俺には分からないままだ。
騎士「勇者」
勇者「んあー?何だー?」
騎士「気の抜ける返事をするな!」
ペシッと頭を叩かれる。
地味に痛いぞ騎士。
騎士「…何を考えている?」
勇者「いやー…ねぇ…」
10年前とは違う今の魔物が悪なのか。
それを利用している人間が邪なのか。
そもそもそんな人間が居たから魔物は暴れるようになったのか。
勇者「よく解んなくなった」
騎士の切れ長な翠の瞳が揺れた気がした。
騎士「くだらないよ!」
勇者「…へ?」
くだらないとは何だ。
カチンときたがそれ以上に騎士は声を大きくする。
騎士「魔物にも人間にも善悪はある!
今お前がすべき任務を全うしたら次は人間を正せば良い!
それだけのことだ!」
勇者「…騎士…」
騎士「僕は何か可笑しい事を言っているか!?」
勇者「…いや、そうだよな」
肯定すると騎士は満足したように溜め息をついた。
俺は器用じゃない。
今は目の前にある問題を順番に片していこう。
それで良い。
勇者である俺が揺らいでいたら駄目だ。
勇者「すっきりした。
有難う騎士」
騎士「当然の事をしたまでだ」
すっかり冷めてしまったカフェラテをイッキ飲みする騎士。
少し照れているように見えた。
騎士「ッゴホッ!ゲホゲホ」
やっぱり。
淡く光る下弦の月が水面に映る。
潮風はほんのりじめっとしているけど嫌な感じはしない。
裸足で砂の上を歩く。
キュッキュッと音が鳴る。
人気はない。
カップルの一組や二組でも居そうなものなのに。
…魔物の海賊騒ぎがあったからまだ海辺には近付かないか。
波打ち際まで歩いていく。
水は冷たく心地良い。
魔法使い(やりすぎちゃったわねぇ…)
彼等が許せなかった。
魔物のフリをしていたなんて。
魔物は…
「魔法使いさん!」
魔法使い「…オヒメサマ?
なーに?こんな所まで」
姫「こんな夜に1人で出歩いたら危ないですわ」
魔法使い「人の事言えないでしょ」
それもそうだと納得したようで苦笑いするお姫様。
柔らかい金色の髪が夜の海に映える。
きっと太陽が上ってもよりきらびやかに光るのでしょう。
魔法使い「で、なーに?」
側にあった階段にお姫様を招き腰を下ろす。
お姫様はじっと私の前に立ったままだ。
魔法使い「ああ、オヒメサマはこんな所に座らないわね」
姫「ちっ、違います!」
あわあわと両手を振り否定する。
2つ年上とは思えないくらい可愛らしい。
私とは大違い。
姫「あの、わたくしもさっきまで落ち込んでました」
少しだけ間が空いた後、お姫様はポツリと話し始めた。
姫「わたくしは…はっきり言って足手まといです。
あの時も魔法使いさんに守ってもらわなければどうなって居たか…」
あの時。
考えないようにしていたのに簡単に蘇ってくる記憶。
今日の事なのだから当然の事だけども。
姫「勇者君についていく資格がないと思いました。
今も思っています。」
今にも泣き出しそうな蒼い瞳。
でもその奥はしっかりと見据えていた。
姫「でも!強くなります!
足手まといにはなりません!」
ああ、そうか。
この人は強いんだ。
力が、とかではない。
気持ちが、意志が。
揺らいでも自力で立ち直る。
姫「だから教えて下さい。
傍に居てください。
わたくしが強くなれるように」
守ってもらうだけの存在だと思っていた。
お姫様らしくなくてお姫様らしい人だわ。
にっこり微笑んで手を私に差し伸べす。
その手を掴み立ち上がった。
魔法使い「私は厳しいわよ?」
姫「きゃー怖いですわー」
棒読みにも程があるわよお姫様。
今夜はここまで
いつも有難うございます
おやすみなさいませ
ノ \
宀^宀く
_/___ヽ_
. ヽト!tテ'`tテ|i | ……
l. ト ,‐,.ィ|.l j
∨Y只7lハ'
〈 〈 〈. __〉
. ハトニ/,ハ
魔女大好きなんでちょっとお洒落な魔女ルックにしようとしたが挫折
>>104
りくっゆご
!wwせまいさ下み休お
勇者「おーこんな所に居たのか」
騎士「姫様!」
魔法使い「ゆ」
姫「勇者君!
と騎士君。
探しに来て下さったの?」
暗い砂浜に見覚えのあるシルエットが2つ浮かぶ。
姫様は嬉しそうにその方向に走っていった。
騎士が相変わらず可哀想な気がする。
少し呆れながら私も3つに並んだ影に向かう。
魔法使い「お揃いでオヒメサマのお出迎え?」
勇者「騎士が煩くてな…
魔法使いも一緒に居るとは思わなかった」
みつめる姫様を横目に私の方を見ながら微笑む勇者。
…あれ、この人こんな表情するっけ…。
止めて姫様の笑顔目が笑ってない凄く恐い。
魔法使い「何故か、ね。
そろそろ冷えてきたし戻るわよー」
気付かないフリをして背伸びをする。
潮風はかなり冷たくなってきた。
心地良いけれども流石に手足が冷たくなる。
勇者「そうだな。
行くか」
4つに並んだ不揃いの影が同時に動き始めた。
「お待ち下さい」
聞こえる筈のない方向から声が聞こえた。
俺達が背を向けている…海から。
小さいながらも奏でるような声。
恐る恐る振り返るとそこには。
「貴殿方が人間を倒して下さった方々ですね?」
巨大なイカに乗った人魚が居た。
騎士「なっ!?」
姫様「ええ!?」
魔法使い「…!」
勇者「そ、そうだけど…」
人魚って空想の生き物じゃないのか?
あれ、でも魔物?まぁ魔物なのか?
ていうかイカに人魚が乗ってるってシュールじゃね?
そんなのお構い無しと言わんばかりに人魚は続ける。
人魚「私たち魔物を名乗ったいた者を倒して下さり有難うございます」
イカと人魚が同時にペコリとお辞儀する。
駄目だシュール過ぎる。
訂正
人魚「私たち魔物を名乗っていた者を~」
姫「…わたくし達の言葉話せますのね」
姫は臆することもなく人魚に問う。
すげーな姫…。
人魚も平然と答える。
人魚「私たち魔物も言葉は理解できます。
そして人型の上位の魔物…魔族は話す事もできますよ」
さらさらと流れるような声。
ただ話しているだけなのに歌声のように聞こえる。
彼女が唄ったらきっと心を奪われるんだろう。
騎士「貴女達は…礼を言う為にわざわざ我々の前に?」
騎士は警戒しながら人魚に訊ねる。
冷たい風が俺達の間を抜ける。
その後人魚はゆっくり口を開いた。
人魚「…それだけではないです」
人魚「詳しくは言えません。
ごめんなさい」
人魚「お願いがあります」
静かだった波が荒くなる。
月が雲に覆われる。
人魚「私と戦って下さい」
人魚が振り下ろした手に海水が集まる。
そしてそれは瞬時に細い氷の剣をと化した。
人魚「一対一です。
相手は…貴女」
冷たく光る刃が指した先は。
姫「…わたくし?」
騎士「どういうことだ!?
何故姫様が!?」
人魚「…ごめんなさい。
言えないのです」
もう一本同じ細い氷の剣を作り姫を海に呼ぶ人魚。
姫は恐る恐るその剣を手に取った。
それを確認し人魚は続ける。
人魚「その剣を持っている間は水の上を歩く事が出来ます
さぁ、来て下さい」
姫「…凄い…」
姫の足元が光り水の上を沈むことなく浮いている。
人魚もイカから水の上に降りた。
同じ光が人魚の尾びれを包み人間の足へと変わる。
姫「!」
人魚「…いきます!」
氷のぶつかり合う音が辺りに響く。
と言っても姫は防ぎ続けるだけで人魚が優勢だ。
騎士「当然だ…姫様は剣術を殆ど学んで居ないんだ」
何で人魚は俺達に勝負を仕掛けてきたのか。
魔物…いや、魔族だから?
だけど人魚に敵意は無いように感じた。
すぐ傍で足をくねらせているイカからも。
…てかイカでけぇ。
人魚「その子はクラーケンと言うのですよ。
可愛いでしょう?」
…可愛いのか?
人魚は余裕そうに剣を扱いながら俺達の方に振り向く。
足2本を挙げくねくね動かしている。
応援のつもりなのだろうか。
魔法使い「…可愛いかも」
本気か魔法使い。
姫「余所見とは余裕ですわねっ!」
人魚の剣を弾き間合いをとる姫。
肩で息をしながらも人魚を強く睨む。
人魚「…うふふ」
その様子を見て人魚は嬉しそうに笑う。
そして切っ先を姫に向けた。
人魚「貴女は剣の扱いを解っていない。
なのに何故私の剣を取ったのですか?
拒むことも出来たのですよ?
勝てると思っているのですか?」
そうだ。
別に拒んだって良い。
俺や騎士なら剣を扱えるし、正直人魚の力量を見ても俺達なら勝てる筈だ。
手を抜いているのかもしれないが…。
姫「強くなるって、決めたのです」
剣を人魚の剣に重ねて姫は言う。
姫「足手纏いにはもうなりたくありません。
何からも逃げません。」
一気に間合いを詰めて人魚の懐に入る。
そしてそのまま足を払った。
人魚はバランスを崩して倒れる。
姫「わたくしは常に前を向いて胸を張っていくのです!」
ゆっくりと姫は切っ先を人魚の目の前にやった。
人魚「…参りました。
貴女を甘く見ていたようです」
人魚は自分の氷の剣を海に投げた。
同時に足は尾びれに戻る。
人魚「貴女の心の強さ、確かに認めました」
人魚「これを差し上げましょう」
眩しい光が辺りを照らした。
姫の手元にその光が集まってくる。
光が収まると現れたのは蒼い星の形を模したペンダント。
姫「これは…?」
人魚「どうか、どうか平和な世界に…」
またこっそり続きます
いつもコメント有難うございます
ちょっとだけ再開
人魚は多くを語らないままクラーケンに乗って去っていった。
姫の手元に蒼い星のペンダントを残して。
俺達は宿屋の俺の部屋で集まりそのペンダントを眺める。
騎士「これは結局何なんだろう?」
姫「強い魔力を感じますが…害のある物では無さそうですわね」
魔法使い「なんか、アレみたいね」
勇者「あれ?」
魔法使い「勇者のお伽噺」
勇者「ああ…確かに」
魔法使いに言われて勇者の物語を思い出す。
確かそれにはこう語られていた。
世界が闇に包まれる時。
金色の瞳の勇者が現れる。
紅い月
蒼い星
翠の盾
黄金の星の剣を持ち
闇を照らす太陽となる。
この“蒼い星”と何か関係があるのだろうか?
でも何故魔族が?
魔物の中にも善と悪がある…とか?
勇者「分かんねぇなぁ…」
姫「まぁまたいずれ分かるようになるかもしれませんし。
こちらは大切に取っておきましょう」
そう言うと姫はペンダントを身に付けた。
白いワンピースに蒼い星がよく映える。
姫の蒼い瞳と同じ色の宝石が胸元でキラリと輝いた。
姫様は強くなった。
色々な意味で。
最近は魔法使いに護身術を教えて貰っている。
また何かあった時に自身で身を守れるように、と。
つい先日は暴漢役の勇者が投げられた。
…元々力が強かったのかもしれない。
勇者も当初に比べたら強くなった。
元々城で一番強かった剣士だ。
魔物との実戦を重ね、より剣に磨きがかかっている。
こっそり魔法の練習もしていて、使える魔法が増えたようだ。
そして何よりあれから心が揺らがないようになった。
魔法使いは強い。
相変わらず飄々としているが、皆が疲れてきても変わらない火力で魔物を蹴散らしている。
何故それだけ強いのに護身術も出来るのか聞いた。
自分の身を守るのは自分しかなかったから、オヒメサマと違ってねとさらりと答えた。
僕は…何か変わったのだろうか。
深緑の町
姫「それぞれの建物が樹をくり貫いて出来ているなんて!
素敵ですわ!」
魔法使い「栗鼠や啄木鳥になった気分になるわね」
町自体森に覆われ、それを活かして建物が作られているそうだ。
町の人々ものびのびと過ごしているように見える。
木漏れ日がキラキラと降り注ぐ。
緑独特の香りも潮風の港とは一風変わって心地好い。
勇者「この町の被害状況を聞いてこよう」
騎士「そうだな」
こんな魅力的な町も今は魔物の被害に怯え始めている。
まだ大きな騒ぎはないらしいが、対処は早いに越したことはない。
僕達はいつものようの情報を集め始めた。
騎士「動物が襲われている…?」
牛飼「そうだべ」
農民「牛や羊や豚が毎日一頭ずつ殺されてるべや」
牛飼「もんすごーく大きな牛みたいな化け物が夜によく目撃されとるだ」
騎士「ふむ…」
大きさは人間の倍ほどあるそうだ。
潮風の港のように人間の仕業ではないだろう。
騎士「有難う。
礼を言う」
周りの木々が頷くように揺れる。
彼等に一礼し僕はその場を離れた。
勇者「じゃぁ早めに飯食って外が暗くなったら張り込みだな」
姫「ここの名産のスイーツは何かしら♪」
魔法使い「…バランスよく食べなさいよオヒメサマ…」
この賑やかな食事風景は何処の町に行っても一緒だ。
相変わらず姫様はスイーツを沢山召し上がる。
そしてすその光景を少し見慣れた魔法使いが呆れた顔でつっこむ。
姫「まぁ!ここの生クリームは甘いのにくどくなくいくらでも食べられますわ!」
魔法使い「そうでなくても沢山食べてるじゃない…」
姫「うふ」
勇者「ほら、暗くなってきたぞ。
早く食べろ」
窓の外を見ると群青色の空が見える。
僕達は急いで食事を流し込んだ。
今日はここまで
魔法使いと姫のイメージ
皆さんのイメージと近いでしょうか?
…リンク貼れてるかな
http://img3.imepic.jp/image/20140625/767920.jpg?1f85c504147362d68dd546e8299881d7
乙
魔法使いが意外とハイカラな格好しとる
おつん
>>107
同じ人だけど僕は94です。
93の人はどこに行ってしまわれたのでしょうね?
絵も描ける……だと……?
素晴らしい!
つづけてくれたまへ!
まだー!?
かなり放置してしまい申し訳ございません
やっと時間が取れたので再開したいと思います
また急に投下されない時期があるかもしれませんが完結させたいので
気長に冷めた目で見守って下さると嬉しいです
>>133
ありがとう!
また読んでくれると嬉しいです
>>134
94の方だったのですねw
何度もレス嬉しいです!ありがとう!
またこっそり勇者や騎士も描けたら良いなと思います
>>135
お待たせしてごめんなさい…
再開します
ここは一体何処なんだ。
僕達は大きな牛の魔物を見付けた。
だが逃げられ追いかけていた。
魔物が逃げ込んだのは鬱蒼と茂る深夜の森。
月明かりがない所為か普段より不気味に感じていた。
勇者『追いかけるぞ!』
勇者の一声で皆森に一本踏み入れた。
すると霧が急に出てきて。
気が付いたら…
騎士「…勇者?姫様?」
どうやらはぐれてしまったようだ。
騎士(ついさっきまで皆横に居た筈だけど…)
じっとしていても霧が晴れる様子はない。
仕方なく呼び掛けながら足を進める。
騎士「ゆうしゃー!ひめさまー!まほうつかいー!」
声が気持ち悪いくらい響く。
だが返事はない。
霧はより一層濃くなっていく。
こんな時はどうするべきなのだろう。
魔法使いなら何かしらの魔法で皆を探し当てれそうだが。
騎士「…チッ」
僕や勇者は前に進む事しか知らない。
でもそれは2人並んで立ち向かう時。
いつも僕達はずっと小さい頃から2人で戦ってきた。
互いの背中を互いが守る。
それが当然だった。
騎士(でも)
いつの頃からか勇者の力が目覚めて。
僕達の取り巻く環境が変わった。
勇者は1人旅立っていった。
姫様はそんな勇者の姿をずっと変わらず追っていた。
騎士(…なんだ?)
思考が変な方向に揺らぐ。
足元も覚束無い。
空気が重い。
息が荒くなる。
騎士(僕は何を考えてるんだ?)
どれだけ訓練しても城の誰よりも強くなっても勇者には敵わない。
姫様は僕を見てはくれない。
僕は姫様を護りたいのに。
勇者の背中を守りたいのに。
騎士(何で…)
僕はどうしたらーーー
??「あ~ら、いらっしゃい~」
騎士「!?」
女の声が聞こえた途端霧が晴れる。
少し開けた場所に辿り着いたようだ。
目の前には先程追いかけていた魔物と若草色の髪をした女。
その女の腕は鳥のような羽の形をしている。
??「オニーサンが一番にくるとは思わなかったわぁ~」
騎士「何者だ!」
女はくすくすと笑いながら魔物の頭を撫でる。
魔物は嬉しそうに女に身を預けている。
…気持ち悪い光景だ。
??「そ~ねぇ~?この森の主、とでもしとこうかな~?」
騎士「僕はその魔物を退治しに来た。
離れてもらおうか」
森の主「え~?嫌よ~」
やけに間延びした話し方に寒気がする。
森の主「別にこのコは悪くないわ~」
騎士「どういう事だ…」
森の主「勇者一行を~アタシが誘き寄せる為にさせた事だもの~」
騎士「!!」
森の主「種明かし、してあげる~」
深緑の町を襲わせたのはこの森の主で。
僕達が現れたら森に逃げるようにさせたのも。
そしてこの霧もこいつの仕業だという。
森の主「あの霧はね~ヒトの奥底にある黒いモノを増長させるモノよ~」
騎士「何故そんなに僕に教えるんだ…」
森の主「え~?だってぇ~…」
跪いている魔物を蹴り飛ばし僕の方に勢いよく飛んでくる。
咄嗟に剣を構えた。
強い風が吹く。
森の主「オニーサンはもう死んじゃうんだもの」
森の主の姿が靄に包まれる。
それと同時に先程までと同じような霧が辺りを覆う。
森の主「オニーサン、弱いわよね~」
声が響く。
森の主「アタシの元に辿り着くのは~弱いヒトになるようにしていたの~」
森全体が不気味に笑っている。
森の主「そんなんだから~」
言うな
森の主「姫様にも振り向いて貰えない」
言うな
森の主「勇者にも追い付けない」
それ以上
森の主「単なるお邪魔虫よ。
オニーサン」
止めてくれ…
僕は膝から崩れ落ちた。
森の主「…脆いモノね~」
いくら霧の力が効いているとはいえ効果がありすぎる。
余程普段から思い悩んで居たのだろうか。
森の主「…ふんっ」
森の主が羽を降り下ろすと風が僕の身体を木に叩きつけた。
痛いのかどうなのかさえ分からない。
朦朧とする。
森の主「ねぇ?聞こえてる~?」
騎士「…」
聞こえてはいるが声が出ない。
焦点も定まらない。
力なんて入らない。
森の主「冥土の土産ってヤツ~?教えてあげる~」
そんなものどうでも良い。
もう何も考えたくない。
森の主「皆ね、オニーサンと同じ位心弱いトコロあったわよ」
…“あった”?
森の主「オニーサンが唯一此処に来れたのよ~
他の皆は脆すぎて辿り着けなかったの~」
ケラケラと下品に笑う森の主。
皆心の闇があったのか?
勇者も姫様も乗り越えたのではなかったのか?
あの魔法使いでさえも?
僕よりも早く崩れたなんて信じられない。
森の主「あ~ぁ。
飽きてきちゃった~」
僕は皆の何を見ていたのだろう。
ずっと一緒に居たのに。
ずっとお慕いしていたのに。
森の主「そろそろ終わりにしよっか~」
森の主が近付いてくる。
羽の先に風が集まり濃縮されていく。
あれを喰らったら正しく風穴が開きそうだ。
騎士「…皆は…まだ生きているのか…?」
辛うじて出た言葉に森の主は目を見開く。
まだ話せることに驚いているようだ。
正直僕自身も驚いている。
森の主「…まだ気を失ってるだけよ~。
この後トドメを刺しにいくの~」
騎士「…そうか」
皆何かしら闇を抱えている。
それでも前を見て進んでいる。
僕だって。
騎士「負けてられないっ!」
手元に落ちていた大剣をつかみそれを支えに立ち上がる。
森の主が怯んだ隙に一気に間合いを詰める。
森の主「っ!」
風の塊を腹に撃ち込んでくる前に大きく振りかぶり切り裂いた。
森の主はゆっくり後ろに倒れていく。
森の主「…ま…おぅ…さま…」
勇者が世界を守るように。
姫様が国を守るように。
僕は…そんな大きいものではないけれど。
それでも同じ位大切な。
騎士「僕が、勇者を、姫様を、護るんだ」
森の主は塵になって消えた。
途端辺りを爽やかな風が吹き抜け霧が晴れる。
同じ場所とは思えない程月明かりが溢れる森の中。
視界も開ける。
勇者達は何処にいるだろう?
息も絶え絶え探しに行こうとした時に足元に光る物を見付けた。
さっきの森の主が持っていた物だろうか?
騎士「何だろう?これは」
手にとって見ると盾のような形の小さなイヤーカフ。
碧をベースに金の十字が大きく刻まれている。
何故こんなものが?
ふと姫様が人魚から貰った蒼い星のペンダントを思い出す。
これも何処と無く勇者の物語に当てはまる、気がする。
取り敢えず持っていくことにした。
勇者「いやー皆無事で良かった」
魔法使い「無事とは言い切れないけどね」
途中で意識を取り戻したらしい魔法使いを発見し、
そして魔法使いが魔法で勇者と姫様を見付け出し合流出来た。
やっぱりそんな魔法あったんだ…。
明るくなってきた森を4人で歩む。
勇者「それにしても流石騎士だな!
俺守られてばかりだ」
騎士「そんなことないだろ」
姫「そんなことありますわ」
勇者と姫様が我先にと話しだした。
勇者「お前はいつも突っ込んでいく俺達を抑えてくれてたぞ」
姫「わたくし達の御守り役みたいだっていつも城の者達が言ってましたわ」
魔法使い「…すごく想像出来るわね」
そんな風に思われていたなんて思ってもいなかった。
僕は知らない間に護れていたんだ。
ずっと。
でも、これからはもっと。
皆を護れるようになろう。
しっかりと恥じないように。
続く
今夜か明日再開予定です
今更ながら勇者の物語ミスってたので訂正しますwww
気付くの遅すぎワラエナイ…
黄金の星→黄金の太陽
闇を照らす太陽→闇を照らす光
です
つまりは
世界が闇に包まれる時。
金色の瞳の勇者が現れる。
紅い月
蒼い星
翠の盾
黄金の太陽の剣を持ち
闇を照らす光となる。
になります
ノムリッシュ翻訳に掛けたくなった
>>158
何それ?と思ってググってみたらwww
面白い物を教えてくれて有難うw!
どうせなのでやってみたよ
ヴァナ・ディールが闇に包まれる、すなわち我と同等の実力を持つ時。
全てなる臨界点(バーニングゴールド)の曇りなき眼の運命を操られし者が顕現する。
紅い人類の新たなる繁栄の地
蒼い星
翠の盾・オーヴァドライヴ
ウォウ・ゴンの太陽の剣を持ち
闇を照らす無量無辺光となる。
ナンダコレ
国境の村
魔法使い「いくつか情報を整理しておくわよ」
此処は国境の村。
俺達が今まで居たのは明星の国。
そしてこの村を抜けると黄昏の国がある。
魔法使い「騎士サンが森の主という魔族から聞いた言葉」
“ま…おぅ…さま”
魔法使い「あちらにも国があるのだから当然だけど王がいる。
その王…魔王が今回の魔物の凶暴化に関わっている可能性が高いわね」
一瞬魔法使いの表情が曇った気がしたが構わず姫は続けた。
姫「あとはこのペンダントとイヤーカフですわね」
コップが並べられたテーブルにその2つが置かれる。
どちらも不思議な力を宿しているように感じる。
魔法使い「蒼の星に翠の盾。
やっぱりこれは勇者の物語に関係していると思うの」
騎士「じゃぁ後は紅い月に黄金の太陽か…」
でもどの魔物が持っているかなんて解らない。
ただ手に入れないといけない物なのだと感じる。
その2つにちらりと目をやると淡く光った気がした。
勇者「人魚と森の主は自分達から俺達の前に現れた。
他の2つの持ち主もくるんじゃないか?」
魔法使い「なんて適当な…」
勇者「うるせー」
魔法使い「まぁ勇者サマの意見も解らなくはないわ
取り敢えず進みましょう」
皆が頷くと同時に店員が料理を運んできた。
この村は深緑の町に近いからか乳製品が豊富らしい。
ピザやドリアがテーブルに並ぶ。
やっぱり地域の名産品は良いよな。
店員が立ち去ろうとすると姫が声をかける。
姫「デザートもすぐに持ってきて頂けます?
パフェとアイス全種類で」
店員「」
勇者「」
騎士「」
いつも通りの姫を余所に。
魔法使いの表情がまだ暗い気がした。
今日はここまで
続きは明日
このままでは駄目なのは解っている。
でも一歩が踏み出せない。
彼等は自然と私を受け入れてくれた。
だからこそ。
だからこそ。
信じたい。
怖い。
たった一言なのに。
黄昏の国
王都
黄昏の国は魔物の国と10年前まで頻繁に交易をしていた。
最近の様子までは解らないかもしれないけれど、何か情報があるかもしれない。
騎士「それに王立図書館がある。
僕達の国よりも大きい。
調べ物には向いているだろう」
武力の明星・魔法の黄昏と言われていた。
遥か昔には戦争があったそうだけど今は友好関係を築き上げているらしい。
勇者「じゃぁまず図書館と酒場に行ってみよう」
魔法使い「二手に別れた方が良いわね」
姫「わたくしは勇者君と…」
勇者「姫は本読んでると寝ちゃうだろ。
姫と騎士は酒場と買い出し。
俺と魔法使いは図書館だ」
姫「うぅ…(´;ω;`)」
魔法使い「…ぁ」
勇者「いくぞ、魔法使い」
お姫様可哀想。
勇者ただ鈍いだけなのかしら?
それとも想い人が居るから…?
そんな疑問を余所に私は勇者に引っ張られながら図書館に向かった。
宵闇の国に関する書物は簡単に見付けられた。
でも量が多過ぎてとてもじゃないけど一人では持てない。
呆気に取られていると上の方に古い本を見付けた。
うっすらと背表紙には金色の勇者という文字が見える。
魔法使い「ん…っと…」
届かない。
辺りを見回しても踏み台のような物はない。
思い切り背伸びしてみる。
…届かない。
魔法使い(どーせ小さいですよーだ)
せめてお姫様くらい背があれば良いのに。
あれは勇者に取らせよう。
そう思った時背後から手が伸びてきた。
男「これかな?」
魔法使い「あ…有難うございます」
背の高い男性があの本を取って渡してくれた。
ニッコリという言葉がぴったりな笑顔をしながら話し掛けてきた。
男「古い本を読むんだね」
魔法使い「ええ。気になったので…」
いかにも爽やかな雰囲気の人だ。
さらさらと薄茶色の髪が靡く。
清潔でいて綺麗な身なりをしている。
高貴な人なのだろう。
魔法使い「…」
男「…」ニコニコ
何でこの人はずっと私を見てるの?
魔法使い「あの…有難うございました。
それでは」
男「!
待って!」
立ち去ろうとした時に腕を掴まれる。
何このテジャヴ感。
ああ、勇者に初めて会った時と一緒だ。
男「君の名前は?」
魔法使い「…魔法使いです」
男「ここら辺の娘ではないよね?」
魔法使い「ええ。
旅をしていてこの王都に…」
男「そうなんだね。
あ、僕の名前は…」
ペラペラと話続ける男性。
此処、図書館ですけど。
少し呆れていると男性の腕を誰かが掴んだ。
勇者「何してるんだ?魔法使い」
魔法使い「勇者…」
男「勇者だって?」
勇者が私と男性の間に割ってきた。
心なしか不機嫌そうに見える。
男性はまじまじと勇者の瞳を見つめた。
男「君が…勇者か」
勇者「だったらなんだ」
笑顔の男性に睨み付ける勇者。
勇者が掴む腕に力が込めているのか爪が食い込んでいる。
男性は笑顔のまま軽く息を吐き私の腕を離した。
男「ようこそ勇者様に魔法使いちゃん」
真っ直ぐに立ち右腕を折り一礼をする。
男「僕は皇子だ。
君達を歓迎するよ」
つづく
日曜までに投下します
でも一歩が踏み出せない。
↓
――魔導院による最新の研究データによれば=全ての始まり=移行が踏み出せ…そして亡びた。
>>173
なんか壮大なことになってる((( ;゚Д゚)))
ペラペラとページを捲る。
皇子様はこの後用事があると言ってお城に帰った。
なのに私と勇者の間を漂う空気が重い。
ちらりと勇者を見ると眉間にシワを寄せながらも本は進んでいない。
しかも。
魔法使い「勇者サマ?」
勇者「…何だよ」
魔法使い「本逆さ向いてるけど?」
勇者「」
なんて典型的な。
魔法使い「何が気に入らないのよ。
皇子様のこと?」
図書館の中で話続けるのもあれだし休憩がてら外に出る。
暑い時間だからか人は居ない。
私と勇者の2人だけ。
漸く勇者の重い口が開いた。
勇者「…皇子が気に入らない」
魔法使い「まぁね。
何か爽やかすぎて胡散臭かったわ」
きっと他の女だったらキャーキャー言ってるのだろうけど。
勇者「だったら相手しなくても良いだろ」
魔法使い「そうは言っても本取ってくれたし蔑ろには出来ないわよ」
勇者「俺を呼べば済む話だろ!」
魔法使い「呼びに行こうとした所だったのよ!」
勇者がこんな風に声を荒らげるのは珍しい。
つられて私の声も大きくなってきた。
じわりとした暑さが余計に苛立ちを煽る。
それは勇者も同じようだ。
勇者「魔法使いは!
美人なんだからもっと気を付けろ!
明らかにナンパだったじゃないか!」
魔法使い「…へ?」
何それ。
つまりそれって…
魔法使い「勇者サマ…ヤキモチ?」
勇者「えっ?///」カァー
勇者が一瞬で真っ赤になる。
うわぁ…耳まで赤い。
勇者「な、ちがっ!そうじゃなっ!」
魔法使い「あらー違うの?残念だわ」
勇者「どどどどういう意味だよ!///」
魔法使い「別にー?」
すごく慌ててる勇者。
なんてからかい甲斐があるのかしら。
勇者「とにかく!魔法使いは押しに弱すぎだ!
俺と一緒に旅に出る事になったのだって…」
魔法使い「強引だったと思ってるのねw」
勇者「うるせー!///」
魔法使い「…ねぇ…?」
勇者に近付く。
至近距離。
息が荒くなっているのが分かるくらいに。
勇者の顔がより赤くなる。
人差し指を唇にあてる。
金色の瞳が潤む。
…何よ。
そんなに怯えなくて良いでしょう?
ゆっくり微笑んで私は言った。
魔法使い「想い人が居るのにそんな思わせ振りなコト他の女に言ったら駄目よ?
勇者サマ?」
チクリ。
胸が痛い。
いつもの私通りなのに。
何で?
短いけどつづく
2日以内予定です
このSSまとめへのコメント
これ未完で終わりなの?