P「安価でアイドルに復讐する。5スレ目」【追及か放任か】 (1000)

モバマスのPがアイドルに復讐する話の5スレ目です。女の子がひどい目に遭うのは堪えられない!、復讐はなにも生まない!という方はそっ閉じ推奨。
また、ホラーゲーネタや系列会社キャラも出てくる場合がございます。ご了承ください


終わったアイドル(順不同)
・復讐
日野茜
渋谷凛
高垣楓
橘ありす
荒木比奈
佐城雪美
塩見周子
向井拓海
佐久間まゆ(ジョイン)
城ヶ崎美嘉
城ヶ崎莉嘉
諸星きらり
ヘレン
櫻井桃華
棟方愛海
片桐早苗
水本ゆかり
八神マキノ(この人から始めます)


・復讐(一時中断)
二宮飛鳥

・復讐(番外)
qp(棟方P)

・救済
星輝子
双葉杏
白坂小梅
白菊ほたる
三船美優
高森藍子
大原みちる
神崎蘭子


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1401297052

マキノ「行方不明に? 身を隠したのかしら」

ライア「相葉さんがいなくなり、花壇の手入れはされなくなりました。手入れをされなくなった花壇はどうなると思いますか?」

マキノ「荒れ放題になるわね」

ライア「それでも雨さえ降れば育つんです。その花壇も例外ではありませんでした。一つだけ普通の花壇と違うところは……」

マキノ「血ね。どうやって血を補給したのかしら? 相葉さんはいなくなったのでしょう? それなら誰が引き継ぐのかしら」

ライア「それは謎です。ですがあなたが"噂"を信じるなら話しましょう」

マキノ「興味があるわ」

ライア「行方不明になった彼女が花壇に引き寄せてるんですよ……神谷さんのために。また、ある話ではあの木にダイエット成功を願うと叶うという話も……」

マキノ「神谷さんはどうなったのかしら?」

ライア「彼女も彼女で話があります。ですが……この学園にはない設備も絡むのでお話ししてもリアリティがないでしょう」

マキノ「つまりその吸血樹の"噂"は、実は花壇が人の血を樹に吸わせていたということなのね?」

ライア「はい」

マキノ「いまいち現実味に欠ける話ね」

ライア「信じるか信じないかはあなたの自由です。それにしてもすっかりこの学園の"闇"に魅了されてるようですね」

マキノ「気になるだけよ」

ライア「気を付けた方がいいですよ。まるで麻薬のようにジワリジワリと侵食していきます……」

マキノ「私は平気よ」

ライア「ところで周りで起きたことで気になることはありませんか?」

マキノ「周りで起きたこと?」

ライア「七不思議の"噂"以外にも小さい話、例えば13階段の話や謎の出演者や音楽室の話、それに美術室や保健室のスカート等々。数えればキリがありません」

マキノ「13階段なんてただの数え間違えだし、謎の出演者なんてのはそもそもいないわ。スタッフや出演者の調査は万全に済ましたもの。残りの教室を済ませましょう」

ライア「移動しているときなにも話さないというのは少し寂しいですよ。美術室の話なんてどうですか? 美術室にはコ・シミズさんの肖像画というものがありましてね……それが描かれているキャンバス、実は人の──」

マキノ「教室に着いたわ」

マキノ「ここの"噂"は開かずのロッカー。まぁ、輝子と乃々が籠ってただけなんだけど…………あら? いつの間にかいないわ」

??「あっ、いたいた!」

マキノ「あなたは?」

??「レイコって呼んで! あなたは八神マキノさんだよね?」

マキノ「そうだけど……何で知ってるの?」

レイコ「私の友達アイドルとか好きだから。よく話してるのを聞いてるの」

マキノ「そう……それにしても知り合いと同じ名前ね」

レイコ「有閑マダムみたいなアイドルも同じ名前だよね。それよりマキノちゃんって呼んでいい?」

マキノ「えぇ」

レイコ「マキノちゃんはここになにしに来たの?」

マキノ「七不思議を調べに来たの」

レイコ「うわっ、勇気あるねー。七不思議調べるの拘束で禁止されてるよ?」

マキノ「どうせただの噂話よ。でも気になることは調べる質なの」

レイコ「教室でなに調べてるの?」

マキノ「開かずのロッカーよ」

レイコ「開かずのロッカーについて調べてるんだ。なにか収穫あった?」

マキノ「今回はなにもないわ」

レイコ「今回は?」

マキノ「……以前調べたときは知り合いの子がロッカーに引きこもってただけって結果に終わったのよ」

レイコ「あはは、私の知ってる話とだいぶ違うねー」

マキノ「あなたの知ってる話はどんなの?」

レイコ「私の知ってる話を話す前に聞きたいんだけどね……七不思議調べててなにか変なこと起こらなかった? なにかがなくなったり、誰かがいなくなったり、忘れたり」

マキノ「人はいなくなってないし、物もなくなってないわ。けど…………たしか誰かが襲われたって聞いたわ」

レイコ「もしかしてプール使ってた人?」

マキノ「そうよ。名前は……」

レイコ「西島櫂さん……でしょ?」

マキノ「そうだけど……知ってるの?」

レイコ「水泳部の有名人を知らないはずないよー」

マキノ「そういえばそういう設定だったわね……」

レイコ「ねぇねぇ、西島さんは何に襲われたの?」

マキノ「又聞きで聞いたことだから確信は持てないけど…………」


下2
選択安価
マ.人間
キ.動物
ノ.得体の知れないもの

ゾロ目で…………(現在3)

マキノ「よくわからないものに襲われたと聞いたわ。足でも吊ったのかしら」

レイコ「あー、あれ恥ずかしいよね。やっぱり得体の知れない何かってことは……アレかも」

マキノ「幽霊とでも言いたいの?」

レイコ「西島さんって水泳部の有名人じゃない? だから例の呪いにかかったの」

マキノ「呪いなんてまた非科学的ね」

レイコ「あなたも女の子だからわかるだろうけどさ、女だけの部活って色々あるじゃない? ところであなたは水の事故っていうと何が多いと思う?」


下1
選択安価
マ.こむら返り
キ.心臓麻痺
ノ.注意力散漫

ゾロ目で…………(現在3)

マキノ「心臓麻痺よ」

レイコ「わっ、自信満々! そうなんだよね、心臓麻痺なんだって。息切れは感じやすいけど、
走るのと違って心臓への負担は感じにくいんですって。知ってた?」

マキノ「えぇ」

レイコ「博識だね。それで……これは私のお姉さんから聞いた話なんだけどね、当時ここの水泳部にはエースがいたの。名前は……裕子さんっていってね、泳ぐのが好きで彼女が泳ぐと嬉しそうに水が波打つんだってさ。私、プールとか好きだからちょっとだけそんな様子わかるな。彼氏にするなら絶対泳げる人がいい! 一緒に海外旅行したら泳ぎたいもん。だから泳げない人はお断り。それに溺れたりしたら助けてもらいたいもの」

マキノ「私はどっちでもいいわ。運動って苦手だし、海にも行かないから正直どっちでも困らない」

レイコ「そう? なんだかガッカリ。それでね、その裕子さんは毎日遅くまで残って練習してたんだ。だからプールに男子が集まって大変だったって言ってた。男の子ってこういうところあるよね」

マキノ「女も大概だけどもね」

レイコ「裕子さん目当てに男子水泳部に所属する人もいたとか。なんであれ人気だったの。そんなんだから他の女子からすれば面白くないよね」

マキノ「水に濡れると女性的な魅力が三割増しだと誰かが言っていたわ」

レイコ「うわ、その人気持ち悪い。心臓麻痺ってどんなときに起こりやすいと思う?」

マキノ「イメージ的には驚いたときに起きやすいものだと考えられている。これは虚血性心疾患と非虚血性心疾患に分けられるわ。虚血性心疾患にもいろいろあって一番有名なのが…………」

レイコ「その話長くなりそうだからカット! 私の知ってる人にも博識な人いるけどあなたと気が合いそう」

マキノ「そう」

レイコ「それでね、女子ってグループ作るじゃない? グループで分かれて行動するなんて珍しくもない光景。もちろんここの水泳部にもあったわ。それでそんなグループからすれば、周りから人気がある裕子さんは気に入らない存在。だから色んなイジワルをされたの。それも陰湿な。水着隠したり破いたり、コースを使わせなかったり」

マキノ「湿っぽい話ね」

レイコ「水辺の話だけに? そんなグループのリーダーってどんな人だと思う? あっ、答えなくていいよ。うん、大体想像つくから。それでね、そういうグループのリーダーって声が大きいんだよね。あることないこととにかく話があっという間に広がるの」

マキノ「うちの事務所にもそんな人いるわ。噂好きな25歳児。なにやら最近また動いてるらしいけども……」

レイコ「困ってる人によっていく人っていつの時代にもいるものよね。。その時ももちろんいたの。困ってる人によっていく人。名前はたしか……小関さんだったかな」

マキノ「…………」

レイコ「それでその小関さんはね、いたずら好きだったんだって。そんな彼女がよっていくんですもの。彼女がどう思っていたかなんて関係なく、ろくなことないのは目に見えてるわよね」

マキノ「まぁ……ね」

レイコ「どうしたの? 具合でも悪い?」

マキノ「なんでもないわ……」

レイコ「そっか。なら続けるね。裕子さんの話に戻るけど、実は彼女が水泳始めたのって体を鍛えるためだったの。元々そんなに体が強い方じゃなかったんだって。人間何がどうなるかわからないものよね。その日も裕子さんは遅くまで練習してたの。だいたい夜の8時くらいかな」

マキノ「よくそんな遅い時間まで残らせてもらってたわね」

レイコ「水泳部のエースだからね。いいところから声もかかってたくらいだし、多少のわがままは聞いてもらえたとか。それでね、彼女が泳いだコースって言うのが……あ、そうだ。実際に行ってみよう。ささっ、行こうー!」

マキノ「ちょっと……! 着いていくしかないわね……」

レイコ「うわー、誰もいないプールって不気味だよねー」

マキノ「たしかに不気味ね……雰囲気が」

レイコ「ほら、そこだよそこ。その4番コースが裕子さんがよく使ってたところ」

マキノ「そうなのね」

レイコ「ちょっと入ってみる?」

マキノ「遠慮しておく」

レイコ「残念。えっとどこまで話したっけ?」

マキノ「遅くまで残って練習してるところまで」

レイコ「そうだったね。その日も遅くまで残ってこのコースで練習してたの。するとガサ……ガサ……って小さな音が聞こえてきたの。少しだけドキリとしたわ。誰だってそう思うわ。だって変質者かもしれないし。でも、少しするとなにもなかったかのように静かになった。だから彼女は練習を再開した」

マキノ「変質者だったら警備体制に問題ありね」

レイコ「それから彼女はどうしたと思う?」


下1
選択安価
八.練習を続けた
神.練習を中断した

ゾロ目で…………(現在3)

マキノ「練習を続けたんじゃないかしら。日々の鍛練は大切なんてよく聞くもの」

レイコ「そうなの。裕子さんは練習を続けたの。大事な大会も近かったから集中してたらしいの。人間、集中すると不思議なものでね。それまで気になってたガサガサという音もいつの間にか気にならなくなってた。でも……それがいけなかったのね……」

マキノ「体力が尽きて溺れたの?」

レイコ「バーーーーーーーーン!」

マキノ「ひっ……!」

レイコ「あはははは、驚いてるー。ねぇ、いきなりこんな音がしたらどうする?」

マキノ「そりゃ驚くわよ……あー、びっくりした」

レイコ「そう、裕子さんもそうだった。彼女は驚いた。集中してるところにいきなりなにかが破裂した大きな音が鳴り響いたんだもの」

マキノ「滑ったのね」

レイコ「ううん違う。彼女はプールから上がるところだったの。そこに大きな音が鳴り響いた。するとどうなるかわかる? そう、彼女はプールに真っ逆さま」

マキノ「泳げない私としては最悪な展開」

レイコ「裕子さんは泳げるから大丈夫だと思う? だとしたらチョコレートより甘い。激甘だよ。河童の川流れとか猿も木から落ちるとか言うけど、彼女の状態もそれに近かった。人間、驚くととっさの行動ができなくて、脳の処理が追い付かないんだって。パニック状態って言うんだってね。そうなると普段出来ることでも出来なくなる」

マキノ「…………」

レイコ「なにかに驚いたと思ったら、次はもう水の中。裕子さんは自分が泳げることも忘れてもがいた。必死にもがいてプールの縁にいる誰かに手を伸ばしたの。あと少しでプールの縁に手が届くというところで……心臓麻痺を起こしちゃったの。元々そんなに体が強い方じゃなかったところにパニック状態。もうリーチどころか役満ね。あれ、役満でいいんだっけ?」

マキノ「踏んだり蹴ったりや泣きっ面に蜂なんてものじゃないわね…………」

レイコ「彼女の遺体はすぐ見つかったわ。近くにごみ捨てに来てた先生が見つけたんだって。それからかしら……変なことが起こり始めたのは……」

マキノ「変なこと?」

レイコ「プールの4番コースを泳ぐとよく足がつるようになったり、夕方にプールの縁を歩くと手が出てきたり。プールだけじゃなくて部室がビショビショになってたり……まだまだあるわ。次第に裕子さんが使ってたロッカーでもおかしなことが起こるの」

マキノ「誰かのいたずらじゃない?」

レイコ「ゆうこさんのロッカーを使ってる子にだけ起こるのに?」

マキノ「格好の標的ね」

レイコ「何が起こるかっていうとね……水着がなくなったりよく怪我したりするの。しかも同じ箇所の怪我。不思議よね」

今日明日と書く時間がないので、ものすごく書くのが遅くなります。ご了承ください

八神マキノ編のオチは考えてありますのでご安心ください。
(なにやってんのか)わかんねぇな……と思ってるかと思います。なので分かりやすいオチにしてます。
切断は今回ありませんのでご安心ください!

八神Pについては書かなくても良さげかな。なにも知らない善良な一般プロデューサーですし。

文章で何か分かりにくいところがあればレスしておいてください。
人の口から伝わりし詠唱に触れるは禁忌(誤字には触れないでください)

マキノ「大袈裟にいってるか大雑把に言ってるだけ。膝を怪我しても腿を怪我しても脚というのと同じよ。もしくはその箇所以外は見てない可能性もある」

レイコ「えー、そうかなぁ? なんだかわからない不思議なことってあると思うな。マキノちゃんはそういうのが好きだから諜報活動が好きなんじゃないの?」

マキノ「否定はしないけどそういうオカルトは好きじゃないわ。よくオカルトキャラやら不思議ちゃんキャラなんてのがいるけど、そういうのは全部計算で成り立ってるのよ」

レイコ「そうかなぁ? 私の友達にもすっごく不思議というか変な子いるけどその子は計算苦手な方だよ?」

マキノ「それも計算よ」

レイコ「なんだかマキノちゃんの性格だと周りが不思議なものだらけで楽しそうだよね。あっ、話がずれたね。えっとどこまで話したっけ?」

マキノ「水着がなくなったり、ロッカーを使ったらケガをするってところまで」

レイコ「そうだったね。それで話は西島さんに戻るけど……私はね、こう思ってるんだ。西島さんは裕子さんの霊に襲われたって。知ってる? 実は西島さんの手足には手の跡がくっきり残ってたの」

マキノ「そんな話は聞いてないわ」

レイコ「じゃあ私の方がスゴいんだね。やった♪ そうだ、今から見に行こうよ」

マキノ「また戻るのね……移動が多くて疲れるわ」

レイコ「まあまあ、話してればあっという間に着くって」

マキノ「ならいいんだけど……」

レイコ「そういえば知ってる? 女子水泳部にはもうひとつ話があってね。女子の集まりって陰湿なところあるじゃない? これはあるいじめの話なんだけど──」

レイコ「それでこの学校では犬かきが禁止になったの」

マキノ「迷信を信じるなんて信心深いのね」

レイコ「そういえば危ないテレビ局プロデューサーがいるって話もあるけど聞きたい?」

マキノ「結構。そこはツッコまないようにするわ。テレビ局なんて腐敗の宝庫だもの」

レイコ「ふーん」

マキノ「…………あら?」

レイコ「どうしたの?」

マキノ「あそこにいるの…………誰かしら。ほら、犬を抱えてる」

レイコ「あの後ろ姿は新任の三船先生だね。たぶん焼却炉に行くんだよ。新任だもの」

マキノ「ごみ捨てにでもいくの? でも犬を抱える必要は……」

レイコ「聞いた話だけどあれは新任の仕事だもの」

マキノ「?」

レイコ「あっ、着いたわ。ここよここ」

マキノ「蛇が出るか蛇が出るか……ね」

レイコ「人が入ってたりしてね♪」

マキノ「前は二人入ってたわ」

レイコ「そういえばここの教室出た廊下にさまよう死体の噂があったけどあっちも気になるよね」

マキノ「あれはただの酔っぱらいの仕業」

レイコ「顔や体の肉が抉れて骨が見えるくらい腐敗してる人が酔っ払いなの?」

マキノ「……そんなに酷い顔じゃないわ…………たぶん。贔屓目で見てるのかもしれないけども……えぇ」

レイコ「そんな酷い顔の男の人なんてゾンビくらいじゃない?」

マキノ「ゾンビねぇ……」

レイコ「顔が抉れたといえば、顔がない女の子の話もあったなぁ。誰が話してたっけ……」

マキノ「小梅が話してたわね。顔がないって曖昧な表現よね」

レイコ「化粧品が原因だとか言ってたような……」

マキノ「それより早く開けましょう」

レイコ「なんだかんだいって興味津々じゃない。これなら音楽室に連れていけばよかったかな」

マキノ「音楽室とは定番ね。何があるのかしら?」

レイコ「ピアノ。たしか岡崎さんって人から贈呈された物なんだって」

マキノ「後で見に行ってみようかしら」

レイコ「やっぱり興味津々じゃない♪ こういう話って楽しいよね」

マキノ「私にとっては取るに足らないただの噂話に過ぎない」

レイコ「火のないところに煙は立たぬって言うから案外本当のことなんじゃないかな? そういえばこの学園に白髪鬼がいるの知ってる?」

マキノ「そんなことよりロッカーを開けて中を確認しましょう」

レイコ「やっぱり興味津々じゃない♪ それじょ開けよっか」

マキノ「えぇ……………………開けないの?」

レイコ「んー……ひとつ聞きたいんだけどさ……ロッカーどっちが開ける?」

マキノ「あなたに頼むわ」

レイコ「怖いの?」

マキノ「そんなこと……ないわ」

レイコ「なら開けられるよね? 実は私、怖くなっちゃった。怖くないあなたなら開けられるよね。それとも本当は怖い?」



下1
選択安価
八.そんなの欠片もないわ
神.まぁ多少は…………ね

ゾロ目で…………(現在4)

マキノ「そんなの欠片もないわ。超常現象? ハッ、くだらないわ」

レイコ「よかった。なら開けられるね。それじゃ開けよっか♪」

マキノ「えぇ…………」

レイコ「開けないの? 私ワクワクしてきちゃった♪」

マキノ「何もないとわかっていても心拍数が上がるものよ。ビックリ箱みたいなものかしらね」

レイコ「それじゃガバーっといこうよ、ガバーと」

マキノ「えぇ……」


下1
選択安価
八.ウジウジしてるのは私らしくないわ
神.慎重にいくのが八神マキノの流儀よ

ゾロ目で…………(現在5)

マキノ「ウジウジしてるのは私らしくないわ」

レイコ「マキノちゃんってゴキブリが出ても即叩きそうだものね」

マキノ「でもこのロッカー立て付けが悪い……なににしろ勢いよく開けないといけないわね」

レイコ「言い訳っぽーい」

マキノ「開けるわよ……せーのっ!」

レイコ「よいしょぉー!」

マキノ「…………空っぽね」

レイコ「空っぽ?」

マキノ「何もないわ。所詮はこの程……っ!」

レイコ「…………」

マキノ「いたた……な、なにが……!」

レイコ「どうしたの?」

マキノ『いきなり引っ張られたような気が……開かないわ』

レイコ「ほんと? こっちからも開けてみよっか?」

マキノ『お願いするわ』

レイコ「うーん……うーん……ホントだ開かない」

マキノ『困ったわ……他にも調べたいことあるのに…………それになんだかここは生臭いわ』

レイコ「ねえねえ、いまどんな気持ち?」

マキノ『どんな気持ちと言われても……掃除用具臭いわ』

レイコ「ふーん…………それだけ?」

マキノ『それだけってどういうことかしら』

レイコ「んーん、なんでもない。そっかぁそれだけかぁ」

マキノ『それよりそっちから開けてくれない? なんだか身動きがとれないし、なにか鉄臭いというか生臭さが増してるというか……とにかく不快なの』

レイコ「ダメよ。何してもびくともしないもの。それよりそこ、生臭いでしょ。なんでだと思う?」

マキノ『掃除用具でも入ってるからかしら? 暗くて見えないからわからないわ』

レイコ「でもおかしいと思わない? いくら水泳部のロッカーが大きめだからといっても人が一人入るなんて」

マキノ『…………え? でも現に輝子と乃々は入ってたわよ?』

レイコ「あっ、そうか。そういえばそんなこと言ってたね。じゃあなんで今は身動きがとれないほど狭いのかな? それと血生臭いの?」

マキノ『それは二人は体格が小さい方だし……横に入って……』

レイコ「そうだよね。二人は"横に"並んでたんだよね。縦には重ならないものね」

マキノ『……! っ! ……ッ!!』

レイコ「うわぁ、すっごい暴れてる。予想以上だなぁ」

マキノ『アッ! ガッ……!』

レイコ「すっごいボキボキ鳴ってる。痛そー」

マキノ『いっあ…………ひぎゃあああああ!』

レイコ「闇の底から響く悲鳴ってこういうこと言うのかも♪ ボグギッて音もクセになりそう」

マキノ『…………』

レイコ「開けーゴマ♪ わっ、すごい血黙りと肉塊……しばらくお肉食べられそうにないなぁ。でもこうなったのもしかたないよね。女の子をAVに売っちゃうんだもの。こうなるのは必然。当然の帰結だもん──」

マキノ「イヤァァァ!」

マキノ「! ハァハァ……ハァハァ…………?」

マキノ「ゆ、夢……?」

マキノ「たしか教室のロッカーを開けたら誰かに襲われて…………」

マキノ「でもロッカーはなんともない……」

マキノ「いったいなんなのかしら……」

マキノ「あと残ってるのは…………もしやもうない……?」

マキノ「でもまだ教科書には白紙のページがある……いったいどういうことなの?」

マキノ「そういえば美優さんがいたけどあれは…………まだいるかしら」

マキノ「とりあえず教室から廊下に出なきゃ埒が明かないわ。次は……また理科室にでもいこうかしら」

マキノ「頭がクラクラする……風邪か疲れかしら」

マキノ「…………まだ終わってないのに外すのまずいわよね……」

マキノ「謎が謎呼ぶ展開なのは嫌いじゃないけどこういきなりだと……」

マキノ「あら、廊下と理科室に線がされてないわ。まだあるということかしら」

マキノ「そういえば話を聞くに一つの"噂"でも複数のバリエーションがあると言っていたわね」

マキノ「少し教室でも調べようかしら。新たな発見があるかもしれないし」

マキノ「目ぼしいところは……引き出しとその上」

マキノ「教卓とその近くの掲示物……それと……」

マキノ「ロッカーは調べたから候補から外して…………机ね」

マキノ「黒板……はそうでもなさそうね……どこから調べようかしら」


下2まで
選択安価。どの順番で調べる?
マ.教卓
キ.黒板
ノ.机

被ったら安価下
ゾロ目で…………(現在5)

マキノ「教卓、黒板、机の順番で調べることにするわ」

マキノ「まずは教卓。どこにでもあるなんの変鉄もない教卓ね」

マキノ「輝子や乃々なんかが隠れてそうね。あの二人が好きそうな空間」

マキノ「教卓の引き出しには……なにもないわね」

マキノ「裏……もない。ま、こんなものかしらね……ん?」

マキノ「教卓の下になにか落ちてるわ」

マキノ「何かのメモかしら? なになに……で……フンフン……ん? あぁそういうこと……」

マキノ「どうやら誰かの書き残したメモみたいね。なんでチョーク入れのところに入れてるのかしら……」

マキノ「メモによると音楽室のピアノは某幸何とかさんからの贈呈品らしいわね。これはさっき話してたピアノのことかしらね。さっきから気になってるけどこの人は岡崎さんと関係があるのかしら……? お母さん……いえお婆ちゃんかしら」

マキノ「これだけじゃ細かいところまでは判断しかねるわ。そもそも肝心の"噂"やらについて書いてないもの……」

マキノ「今のメモをまとめると、音楽室で新たな"噂"が見つかったみたいね。詳細は書いてないけどもピアノを贈呈した人がどうのということらしいわ」

マキノ「次は……黒板を調べたから教卓ね」

マキノ「よくみるとボロボロの黒板と違って教卓はきれいね」

マキノ「よく使うからよく取り替えるのかしらね。それとも逆にあまり使わないからきれいなのか。ま、どっちでもいいか」

マキノ「引き出しは……あった。またメモね。えっと…………」

マキノ「……これも切れはし。謎がひとつ増えてる……」

マキノ「シンデレラプロジェクトでフルート奏者というと…………ゆかりさんね。そういえばあの人も行方知れずね」

マキノ「なにかに巻き込まれたのかしら。世間知らずなところあったから心配」

マキノ「それとこの『人形』ってなんのことかしら? 前二つとは関係なさそうだけど……」

マキノ「頭が混乱しないように情報をまとめましょう。まずひとつ、音楽室の"噂"が追加された。ふたつ、それには世間知らずのお嬢様……なにかこの書き方失礼ね。その"噂"には水本ゆかりが絡んでるらしい。そして謎のキーワードの『人形』……これはなんなのかしら。ずれたところに書いてあるから、書いた本人にとっても確定的な情報でないのはたしかね」

マキノ「最後は…………机か。数が多いから骨ね」

マキノ「教卓から見る机ってこんな感じなのね……少し感動」

マキノ「机は結構あるけどここから見て閃いたわ。三つに分けましょう」

マキノ「ここ教卓からみて窓側・真ん中・廊下側にして…………どこから調べようかしら」

マキノ「全部調べないと気がすまない自分の性格が憎い……」

マキノ「嘆いていてもしかたないわ。どこから調べようかしら」


下3
選択安価
マ.窓際
キ.廊下側
ノ.真ん中

ゾロ目で…………(現在5)

マキノ「真ん中の列から調べることにするわ。迷ったら真ん中。基本ね」

マキノ「真ん中の席といえば目立つので有名よね」

マキノ「不真面目な部類の人達には不人気な列よね。席替えのときなんてそれだけで阿鼻叫喚」

マキノ「でもこの列のここ。教卓の前って意外とバレないから穴場なのよね。意外と盲点。私もここが多かったのよね…………多くならざるをえなかった……のよね」

マキノ「…………教卓の目の前から調べていくとしましょう。なにかを隠すならここだしね」

マキノ「これは本……かしら。あ、これは本じゃなくて日記ね」

マキノ「今日もメガネをすすめた。メガネ盟友が増えた。OBの人にすすめた。これは勢力拡大のchance! でもあの人どこかで見たような……たしか新」

マキノ「掠れてるわね。それにしてもこれは……ここでも彼女はこんなキャラなのね。他のページは…………ほとんど同じね」

マキノ「この机には目ぼしいものはない。次の机に移りましょう。まだまだたくさん……ハァ」

マキノ「…………やっと調べ終わったわ。なにもめぼしいものはなかった……骨折り損のくたびれ儲けとはこのことね」

マキノ「収穫は女生徒の日記と黒い縁のメガネと紙切れだけ…………時間がかかったわりに収穫がないなんて珍しくもないけどさすがにへこむわ」

マキノ「それに紙にはまた謎の言葉が書いてあるし。もうちょっとどうにかならないのかしら。情報も小出しにされるとイライラがスゴいわね」

マキノ「いつもはこんなことないのに不思議ね。これも学園の闇とやらの仕業かしら。それともこの薄暗い雰囲気がそうさせるのかしら。さて、紙切れにはなんて書いてある……読み辛いわね」

マキノ「私は…………私は…………掠れてるわ。人……と書いてあるわね。人何になりたくない……? 人形になりたくない。読めた。私は人形になりたくないと書いてあるわ」

マキノ「これも心の叫びを書いた日記の一部なのかしらね。それにしては乱暴に机に押し込まれてたみたいだったけども……それにこの字はどこかで……」

マキノ「考えていても思考がループするだけね。次に進みましょう。次は……ん?」

マキノ「この紙の裏にもなにか書いてあるわ。読み辛かったのは裏にも書いてあったからなのね。えっと、内容は……」

マキノ「まただ……またやってしまった……思考と行動が伴わない……これは何なのだろう。これも学園の闇の仕業か、それとも…………」

マキノ「この字は男の人の字ね。私みたいに調べていた生徒がいるっていっていたわね……まぁ関係ないか」

まー、たしかにガタガタですね
最初に説明し忘れたのがホント響いてます

ぶっちゃけ出てくる"噂"は全部解明させると膨大な量になりますから全部は書けないんスけどね

マキノちゃんがなにをどのようにやったのかは書きます。このスレから入った人には何がなんだかわからないレベルですから。時間的な意味でもうしばらくお待ちください。
ソードマスターヤマト並みにちょっぱやでやります

マキノ「…………読んでみるとこれはなにやらループしてるみたいね。試験がと書いてあるからどうやら留年したようね。留年した生徒なんて生々しいわ」

マキノ「さて、残るは……1ヶ所。窓際ね」

マキノ「それにしても謎はきちんと解明できるのかしら。これだけあると一回じゃ終わらなさそう。コースを分けるのかしら?」

マキノ「私がやってることもテストといえばテストだけど…………なんでこんなのに参加しようと思ったのか自分でも不思議ね」

マキノ「めぼしいものは…………教科書くらいしかないわね。あら?」

マキノ「この教科書、私が持ってる赤い本と同じだわ。中身は…………掠れて読めない。辛うじて読めるのは『早く靴を履いて出ていきたい』だけね」

マキノ「しかたない。次の机を──」

マキノ「この学園は日記を書くのが義務なのかしら? それとも流行?」

マキノ「いくらなんでも日記や走り書き多すぎ。授業中ヒマなのかしら」

マキノ「内容もどうでもいいことが多いし。飼い犬がいなくなっただの誰それが恋をしてるだの。毒にも薬にもお金にもならない。教師と生徒の色恋や講堂のシスターの事件みたいなのなら、多少はお金や暇潰しになるのにそれもない。そういえば、前の席に座る人と後ろの席に座る人で収入が違うっていう話があるけど本当かしらね。にわかには信じられないわ」

マキノ「あっ、でもお金にはならないけど何人かは秘密を抱えてそうね。あとでじっくり読んでみましょうっと」

マキノ「残るはこの可愛らしい日記帳だけね。マタマタ日記なんてふざけたタイトル。ペンでデコレーションしてるし持ち主は頭悪いの確定ね」

マキノ「さて、肝心の中身は…………」

『今日は私の番! 張り切っていくぞー!』

マキノ「ダメ……一行目から目眩がするわ……」

『兄……も着いてきてくれたし、ちょーマンゾク! 運転してるときの横顔かっこよかったぁ』

マキノ「兄がついてくなんて過保護すぎないかしら? 一人っ子にはわからない世界ね。それにしても所々掠れてるのはもはや仕様ね。さてと続きを……」

『今日のは少しやり過ぎた。反省☆ でも丈夫な糸っていったらピアノ線くらいしか思い付かないよー』

マキノ「この子は趣味が麗奈と一緒なのかしら。よく出てくるわね。他にめぼしいページは……」

『なんか落ち着かない……』

マキノ「あら?」

『食欲もわかないし、ご飯喉とおらない……なんだか最近変だよー!』

マキノ「これは…………」

『お……んに相談したらよくわかんないこと言われた。やっぱりちょっと……だね。だから次はあ……に相談したんだーそしたら』

マキノ「やっぱりこれは恋の話ね。この様子だとこのアイドルと誰かしら……」

『兄……との恋。これって近眼の恋なのかなー?』

マキノ「それをいうなら禁断……なに突っ込んでるのかしら私は。でもこれで確定したわね。アイドルとその兄の禁断の恋。もう少し読み進めていってみようかしら」

『今日はシンデラァプロダクションとのお仕事! 新しい事務所らしくてイロイロ大変だーって言ってたけど全力でやるだけだよねー』

マキノ「うちの事務所と?」

『今日はいまチューモクの双子のサッカー選手のインタビュー! オーバーヘッドきめたる☆』

マキノ「これは関係ないわね。あった。これね」

『今日は兄……とのデート☆ いやーキンチョーしますなぁー。初デェトがオダイバーなんてドッキドキのワックワク☆ 近くの船でクルーズとか!? キャーキャー。あっ、デートの前にあま……のところによらなきゃ』

マキノ「オダイバーって……この子もしかして……」

『チャオチャオがカワイー変装道具貸してくれるっていうし、これは行かなきゃ女がすだれるってもんだよね。あっ、兄……に会う前に御手洗いにも行かなきゃ。大変だー!』

マキノ「でもあの事は私以外知らないことだし……」

『帰ってきたらまた続き書こ。もしかしたらプロポーズされちゃったりして。イヤーン……困っちゃう! あれ、結婚ていくつからだっけ? ま、いっか。愛さえあれば年齢なんて関係ないよねっ。あ、でもさらに……と遊ぶ時間なくなるしどうしよう……うー。えぇい迷っていてもしかたない! プロポーズされたら受ける、……とも遊ぶ! 両方やっちゃえー! ガッとやってチュッと吸ってオリャー!』

マキノ「このイライラする口調、いや口語は…………間違いないわ。他には何か書いて…………ないわね。これ以降は白紙」

マキノ「あの子の事は私以外知らないのになんでこれにはその事が……」

マキノ「だいたいあれは生意気なあっちが悪いのよ。私を不快にするから」

マキノ「なにが絆よ、笑顔よ。子供が知ったような口を聞かないでほしいわ。そんな精神論じゃ世の中渡っていけない」

マキノ「それにオトナの世界を知りたいから教えてあげただけ。その後はこっちの知ったことでじゃない」

マキノ「ただ紹介した人が良からぬ噂がある人だっただけ。それに良からぬ噂の真相の解明に貢献させてあげたのだから感謝してほしいくらいだわ。いまどうなってるか知らないけど。フフ」

マキノ「嫌なこと思い出したら気が滅入ってきたわ」

マキノ「でもなんでこの事が……誰にもいってないはずなのに…………」

マキノ「漏れるとしたら…………でもそんなに勘の良い子ではないし……同じプロダクションのアイドルに話してた?」

マキノ「あり得るわ。現に相談したと書いてあるから"デート"のことも話してるかも。だとしたらまずいわね。片方はぽやっとした感じの人だからいいとして、問題はもう片方ね。二人とも名前が掠れてたけど、あのプロダクションの中でそういう事を相談するとしたらあの二人以外考えられないわ。年齢もそれなりだもの」

マキノ「まずいわ……あの人は私でも全貌が掴めてない。それだけに知られていたらどんな手を使ってくるかわからない」

マキノ「ここのところ妙な気配があるのはあの人だっていうの? いえあり得ないわ」

マキノ「一応売れっ子アイドルだから私のことを調べる余裕なんてないはず。それに仕事をしながらなんて非効率もいいとこ…………なのにこの不安感はなにかしら」

マキノ「気になったらとことん気にしてしまう悪い癖ね。早くこれを終えて帰らなきゃ。いつになったら終わるのかしら。さっきから話が不備があるレベルでガタガタなのよ」

マキノ「テスト版だからしかたないなんて言い訳は通らないわ。こんな仕事取ってきたのはどこのどいつよ…………あら? あっ……いや……でも…………私ってフリー?」

マキノ「いいえそんなはずない。私がフリーだなんてないわ。あの根暗にもついてるんですもの。私にいないわけない」

マキノ「あの映画だって私は納得いってないのよ。主演にしろなんて言わないけどもっとましな配役にして欲しかったわ。こういうときに枕って必要なのかしらね。でもそんなので体を汚したくない」

マキノ「そもそも主演だって単にホラーが好きだってだけの子じゃない。よく教室の後ろの席になるらしいけどもあれじゃ逆に目立つわよ。中学生で金髪ピアスだなんてね。しかもあの性格。教師も匙を投げるわよ。そもそも本当に学校に行ってるのかも怪しい」

マキノ「ああいうのは男と耽溺な遊びに耽ってるのが相場。そういえばジメッとしたのと仲が良いわね。根暗同士惹かれるものがあるのかしら。そもそもプロダクション自体変わったというか色物が多いのよ」

マキノ「あっといけない。このままイライラしてたら先に進めないわ。こんなことは早く終えて……」

??「あ、マキノさん」

マキノ「あなたは……美優さんじゃなかった。あの映画では三船先生ね」

三船「まだ残っていたのね。課題終わらないの?」

マキノ「課題? あ、そういう設定なのね」

三船「提出してないのはあなただけよ。言っておくけど終わらないと帰れませんからね」

マキノ「課題?」

三船「私の気になる物・事・人」

マキノ「あっ、作文でしたね」

三船「きっぱりしてるあなたが決めかけてるなんて思えないけど」

マキノ「実は決めかねてて……気になる人も物もなくて」

三船「即決のあなたが珍しいわね。あまのじゃくの佐久間、決断の八神と呼ばれてるあなたにしては珍しいわ」

マキノ「は、はは…………そんな呼ばれかたしてるなんて死にそうなくらい恥ずかしい」

三船「きちんとやるように」

マキノ「はい」

三船「それじゃあ先生は職員室にいるわ。終わったら持ってきてちょうだい」

マキノ「はい」

マキノ「私の気になる物・事・人か。まるで小学生みたいな課題ね。でもそれだけシンプルだから解釈も様々ね」

マキノ「私が気になることといえば事務所と自分自身の動向だけね。シンデレラプロダクションは私を刺激してくれるし言うことなし」

マキノ「他人の秘密を探るのってどうして楽しいのかしら。人の不幸は蜜の味なんて言うけど本当にそうよね」

マキノ「例えば輝子。例えば杏。例えばきらり。探れば探るほど出てくる出てくる。きらりは本当に最近不幸よね。でも大した秘密がなくて面白くないのよね。たかだか窃盗癖だし。輝子にいたってはたかがキノコ好きだってことだけだし。ああいうのを陰キャラっていうのかしらね 」

マキノ「こうもっと大きな秘密だったら脅しにも使えるのにね。もしくは本人がどうしても隠したがってる事とか。例えば……恋の話なんてそうね。禁断の恋なんていい材料」

マキノ「煮て良し焼いて良し生で良し。そもそも隠し事を暴いたり公表したりする事のどこが悪いのかわからないわ」

マキノ「秘密といえばいま一番知りたいのはあの人の事ね。当面の不安材料でもあるけどそれ以上に興味の対象。その人個人はわかり辛いけど、プロダクションからプロダクションへの移籍だもの。その移籍にはどんな裏取引があるのか楽しみだわ」

マキノ「絆だの仲間だのを謳い文句にしてるけど、あんなの小学生、よくて中学生のお遊戯会。あんな数で群れてればそりゃ誰かしらは売れるわよ」

マキノ「でも秘密はなかなか面白かったわね。週刊誌にすっぱ抜かれたって点は面白くないけど。どんな状況であれ見殺しにしたなんて結果は辛いものよねぇ。フフフ」

マキノ「だから私の琴線に触れた。それまで弱小プロダクションだったのに調子に乗るからよ。私はどちらかというとあのプロダクションの方が好き」

マキノ「どこまでいっても結局は人は独りなのよ。だから分析する。人の腕力なんて限られてるもの。それに人の長所は腕力じゃない。頭脳」

マキノ「だからそれを使うことはいけないことではない。むしろ推奨されてもいい」

マキノ「そういえば佐久間といえばまゆもイライラくるときあるのよね。よく担当プロデューサーにベタベタしてるけど、あんなことよくできるわ。私がプロデューサーさんのこと一番理解してるという態度が原因かしら。中身が薄っぺらいというかなんというか……形容しがたいわ」

マキノ「プロデューサーにベタベタしてるとこをファンに見せたらどうなっちゃうのかしら。ファンが恋人ですぅなんて言ってるからちょっと楽しみだわ」

マキノ「事務所に戻って一段落したらファンにバラしてみようかしら。それともあの妄想日記みたいにクスリでも……いやクスリはつまらないかもしれないわ」

マキノ「やっぱり意識をしっかりもって絶望してほしい。抵抗されるにも頭を使ってもらわなくっちゃ面白くないもの」

マキノ「なんでかしらね。教室にいるとイライラする」

マキノ「甘ったるい雰囲気のせいかしら。ここは暗いけども」

マキノ「そもそもなんで私があんな事言われなきゃいけないのよ。誰が好きなのか気になると言ってたから調べてあげたのに。嘘偽りなく事実をそのまま伝えただけなのに」

マキノ「本当、色恋なんて頭の悪い連中の遊びよ。ただでさえ頭の悪い会話は嫌いなのに、現実を飲み込めないからって、私のことを人でなし呼ばわりはないわ。勝手に調べられたくないなら話さなければいいだけなのに……ホント馬鹿」

マキノ「学年が変わったし、私はアイドルやってるからその子がどうしてるのかわからないけど、今も男子に可愛がられて喜んでるでしょう。不良好きだったからお似合いなの"紹介"してあげたけど」

マキノ「頭の悪い人ってなんで事実をそのまま飲み込めないのかしら。普段は周りの目なんて気にしない!って態度なのに、そういうことを知ったら途端に絶望する。あの顔嫌いじゃないけどね。わざわざこっちが調べてあげたのに感謝の一言もない。現実逃避しないように懇切丁寧に分析して報告するこっちの身にもなりなさいよ」

マキノ「私からすれば中身がない調査も調査だし、何が出てくるかわからないから面白いけど」

マキノ「一回着色して伝えたことあったけどあのときはなんとも言えなかったわ。あの人がどうなったかはどうでもいいけどあまり楽しくなかった」

マキノ「着色といえば渋谷凛はなにしてるのかしら。母親から引き継いだマルチでもやってるのかしら。蛙の子は蛙ね。同じ穴の狢ともいうのかしらね」

マキノ「ああいうのを負け組というのね。違う花も売ってそうだけどそっちはどうなのかしら。調べたら面白いことがわかりそう」

マキノ「勝ち組といえば彼女はまだ入院してたわね。正直言えば頭が悪かったらそれだけで既に負け組。誰と付き合おうが変わらない。いえ、だから勝ち組になろうとして躍起になるのね。でも同じ人種と付き合えない時点で…………フフ」

マキノ「その上貢いで喘いでホント馬鹿。まぁ男に弱そうな感じだから順当といえば順当ね。この事を担当プロデューサーが知ったらどうなるかしらね。男四人を相手に……」

マキノ「まぁこの事は彼女だけの問題じゃないけど。女3人に男4人。やることは一つよね。映像もあるしどこかに売ろうかしら。それにしてもカラオケやまんが喫茶にカメラがついてるの知らないのかしら? 少なくとも彼女たちは知ってても良さそうだけど。ま、それどころじゃなかったのかもしれないわね。それに男共は見られても平気そうだし」

マキノ「頭が真っ白だったものね。女の性なのかしらね。これを売ったら彼女も向こうも双方大スキャンダル。その上、退去派に火がついて大挙する。これってリトルボーイならぬリトルガールね。入れたのは火でも太陽でもなくて息子、SUNじゃなくてSONだけど」

マキノ「防衛対策と映像でお金稼ぎそれに……ここから出たらやること満載ね。さて、早くこれを終えて……なにかしらこの写真? 私と見知らぬ男性が写ってるわ」

マキノ「これはアイドルスポーツ大会の時のね。ブルマはないって思ってたけどお金になるからって履いたの懐かしいわ」

マキノ「あの映像も彼女たちの年齢と彼らの年齢及び職業に比例して大金間違いなしね。ヘレンさんの言葉を借りれば世界レベルの男だものね。範囲が広すぎるけど」

マキノ「それにしても私と写ってるこの男性は誰なのかしら。見たことあるようなないような……気にしててもしかたないわね。さて、廊下に出ましょう。歩きながら本を読むのは効率的じゃないから好きじゃないけどこの際しかたないわ」

マキノ「えっと……部活動日誌。ふむふむ……野球部で事故相次ぐ……サッカー部部員が女の子を連れ込み──」

マキノ「夜の廊下ってなんでこんなに不気味なのかしら。補習で居残る人もいるけど毎回こんな感じなのかしら」

マキノ「あら、あそこは映画部の……まだ誰かいるのね。編集でもしてるのかしら」

マキノ「それにしても廊下に響く足音って不気味。普段は足音なんて気にしないのにこんなときばかり気になってしまう」

??「……」

マキノ「この部活動日誌は膨大な量ね。紙で保存すると重くなるから嫌いよ。私の持ってるデータも印刷するとこのくらいになるのかしらね」

??「……」

マキノ「この学園は運動部だけじゃなくて文化部も盛んね。文武両道がモットーなのかしら。同好会も多いわね。エスパーなあの子はこの同好会かしら? エスパーってオカルトだし。私は運動苦手だから文化部ね。なに部に入ろうかしら。データをまとめたりするところがいいけど……」

??「…………」

マキノ「…………」

??「…………」

マキノ「後ろにいるのは誰かしら……」

??「…………」

マキノ「こういうときは振り向きたくないものね。このまま逃げるのも手だけども誰かわからずに逃げるのは下策。運動得意じゃないし」

??「…………」

マキノ「…………」

??「…………」

マキノ「先手をとった方がいいわね……」


下2
選択安価
八.振り向かず挨拶をする
神.振り向かず誰か尋ねる

ゾロ目で…………(現在5)

マキノ「誰なの?」

??「あ、気付いてくれた♪」

マキノ「誰なのか聞いてるのだけれど」

??「いきなり教えたら面白くないですよ」

マキノ「堅苦しい話し方ね」

??「そこ気になりますか? 私としてはこのままでもいいけど気になりますか?」

マキノ「話し方なんてどうでもいいわ。あなたは誰」

??「振り向いてみればわかるんじゃないですか?」

マキノ「あなたを信用できないから無理ね。振り向いた途端…………なんてことされかねないもの」

??「乱暴されちゃうかもしれませんよ?」

マキノ「それならもう既にやってるはずよ」

??「バレてましたか。それじゃ振り向かずに私が誰か当てて。もちろん質問していいよ」

マキノ「質問はいくつしていいのかしら」

??「3つ」

マキノ「わかったわ」

??「じっくり考えていいですよ。時間はたっぷりあります」



下1
選択安価。一つ選んでください
八.趣味はなにか
神.知人かそうじゃないか
マ.ニックネームがあるかないか
キ.気配を探る
ノ.しゃべり方について

ゾロ目で…………(現在6)

マキノ「私の知人?」

??「こちらはそんなに知りませんがそっちはよく知ってると思います」

マキノ「それだけじゃ質問の答えとしては足らないわ。あなたのその声はアイドルね。どこの事務所?」

??「プロダクションはシンデレラプロダクションじゃないかなーって」

マキノ「……ふざけてるのかしら?」

??「いいえ。ふざけてません。次の質問は何ですか?」


下2
選択安価。「/」以外から一つ選んでください
八.趣味はなにか
/.──
マ.ニックネームがあるかないか
キ.気配を探る
ノ.しゃべり方について

ゾロ目で…………(現在6)

自分でksk
安価下

マキノ「そのしゃべり方は素なの?」

??「これはよそ行き用。素のしゃべり方がいいんですか?」

マキノ「その方がいいわ。こっちも疲れないし」

??「それじゃそうすよー!」

マキノ「そんなしゃべり方なのね」

??「ホントはこんなしゃべり方ナリよー?」

マキノ「イラッとするわ」

??「しゃべり方を治したところで最後いってみよー!」

マキノ「…………あなたまさか……いえでもあの事は……」

??「ブツブツ言ってると変人さんっぽいよ?」


下1
選択安価。「/」以外から一つ選んでください
八.趣味はなにか
/.──
マ.ニックネームがあるかないか
キ.気配を探る
/.──

ゾロ目で…………(現在7)

マキノ「大事な事を聞くの忘れていたわ。趣味はなに?」

??「ゲームといたずらとメール。あと映像編集……?」

マキノ「それは公開プロフィールに載ってること? そもそも全部本当のことかしら」

??「とっぷしーくれっとですぅ」

マキノ「…………」

??「私が誰かわかったかなぁー? さぁ答えいってみよー! 倍率ドーン!!」

マキノ「私が知ってる他プロダクション所属でこのしゃべり方。それでいて本当かどうかは定かではないけど多趣味……うちのプロダクションと仕事したことはあるの?」

??「さらっとズルするのはダメだよ? さぁ導き出される結論は!?」


下2
選択安価
八.三浦あずさ
神.秋月律子
マ.四条貴音
キ.天海春香
ノ.水谷絵理

ゾロ目で…………(現在7)

マキノ「水谷絵理ね」

??「…………」

マキノ「無言ってことは正解かしらね。振り向いても?」

??「振り向かないで」

マキノ「どうして? 当たったのが悔しいの?」

??「…………なんで水谷絵理だって思ったの?」

マキノ「趣味が最大のヒントね。映像編集だけ口調が違ったもの」

??「そっか……そうかぁ……」

マキノ「もういっていいかしら」

??「正解かどうか言ってないよね?」

マキノ「言われなくても正解でしょ?」

??「それじゃあここで問題。映画部の部屋にいるのは誰でしょう」

マキノ「部員でしょ?」

??「ピンポンピンポーン! それでなにしてるかわかる?」

マキノ「映像を編集してる」

??「半分正解。正確にはしてただよ?」

マキノ「その編集してた人は今そこにいるものね」

??「そうそう。じゃあ耳を澄ませてみて? ほら、なにか聞こえない?」

マキノ「……シュウシュウという音が聞こえるわ。なんの音かしら」

??「なんの音だろうねぇ。あっ、言いたいことあるんだけどいいかな? あなたの後ろにいるのが一人だけだっていつから三角してた?」

マキノ「三角? それをいうなら錯覚……え?」

??「ほら、よーく耳を澄ませてみて」

『…………て……ぇ…………』

??「なにか聞こえるよね?」

マキノ「息の漏れる音かしら?」

??「違うよ。よーく聞いて」

『け……ぇ……た……け……ぇぇぇ……』

マキノ「近いから離れてくれないかしら」

??「私は近付いてないよ?」

マキノ「え?」

『たすけ……ぇ……顔が…………顔が溶けるぅ……』

マキノ「えっ? キャアアアァァァァァ!」

??「ありゃ、降りむいちった。後ろにいる一人目の正解はぁ……顔が溶けかけた絵理ちんでしたー♪ どう? 驚いた? 意外だった?」

マキノ「ちょっと、やめ、やめて! 押し倒さないで……!」

『ねぇたすけて……? 顔が熱ぐで苦じいの……! ねぇ……おねヒュウがヒューがいぃ』

??「押し倒すなんて積極的ですなぁ」

マキノ「このっ……!」

『あぐっ……!』

??「乱暴ですなぁ」

マキノ「あなた誰よ!」

??「そんなのとっくに気付いてるくせに」

??「自分がなにをやったのかなんてのは一番よくわかってるよね?」

マキノ「あなたが悪いのよ。私に知ったような口を利くから!」

??「でも事実じゃん。それに慕ってたんだよ? 私にもお姉ちゃんが出来たーって。エビフライホーンじゃなくて知的なお姉ちゃんがーって」

マキノ「いたずらばかりしてたくせによく言うわよ」

??「やっぱり……」

マキノ「やっぱり? やっぱりなによ」

??「相談されたときおかしいと思ったんだ。デートするだなんて言ってたからさ。でも私に譲ってくれた。あの時は嬉しかったなぁ」

マキノ「まさかあなた……」

??「似てるからよく間違えられるんだよねー。親でも間違えるときあるし。複雑な気持ちだよー」

マキノ「私としたことが初歩的なミスを……!」

??「でも兄ちゃんとデート出来るって舞いあがちゃったのは本当だし、こっちにも非があるのかもしんない。気が付いたときにはアチャーの祭り」

マキノ「生意気な妹を誘い出すつもりがなんで……!」

??「そーそーその感じその感じ。妹と姉で分けてるその感じ。だからミスするんじゃないかなーって」

マキノ「でもあなたは所詮バーチャルの存在。この廊下から立ち去り靴を履いて外に出ればあなたは消え」

??「いつからここが廊下だって錯覚してたの?」

マキノ「え? どういう──」

マキノ「う……ん」

『んぎぃあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あァァァァァァァァ!』

???「君はそれに生まれ変わったのか。これで3人すべて終わった。次は……」

マキノ「ここ……は? ッ! ゲホゲホ! なにこの臭い!?」

???「おや、起きたかね」

マキノ「あなたは!?」

???「そう騒がないで欲しい。私はただの理科……科学教師の……」

マキノ「白髪の痩せぎす……見たまんまマッドサイエンティストね」

シロイ「生徒からは白髪の鬼と呼ばれてる。話がずれたね。理科教師の白……シロイだ」

マキノ「雰囲気は黒いわね。ところでなぜ私は拘束されてるのかしら」

シロイ「それは君を更正させるためだよ」

マキノ「更正?」

シロイ「生まれ変わらせるといってもいい」

マキノ「彼らのように?」

シロイ「どうなるかは君次第」

マキノ「罪のない人たちをどうしたの?」

シロイ「彼らのことかね? 彼らに罪がないだなんてどうして言える?」

マキノ「マッドサイエンティストの常套手段でしょ」

シロイ「彼らがなにをしたか気になると?」

マキノ「他人のことなんてどうでもいいわ。大体想像がつくわ」

シロイ「君も知ってると思うがね。何せ彼らは……」

マキノ「…………」

シロイ「時代は変わって娯楽の方向性もだいぶ変わった。彼らは"少女"にクスリを打ち監禁し……」

マキノ「それ以上聞きたくないわ」

シロイ「アフターケアも大切だと思うがね。ここに来た人達が何に生まれ変わったか知りたいかね?」

マキノ「興味ない」

シロイ「ここは理科室の奥なんだがね。理科室にある人体模型は知ってるね。ここに来た者の内2人は人体模型になった。どっちにどっちを使ったかは忘れたがね」

マキノ「興味ないっていったわよね?」

シロイ「素晴らしいことにたまに後悔の涙を流すんだ。人体模型の目元が濡れてるのを見たことはあるかね?」

マキノ「あれは晶葉の……」

シロイ「これから君に質問をする。それに答えほしい」

マキノ「質問?」

シロイ「これから……7つの質問をする。君に関することだ」

マキノ「少し多いんじゃないかしら」

シロイ「その分だけチャンスは減る。では6つにしよう。不吉な数字だね」

マキノ「拒否権はなさそうね」

シロイ「2つずつ質問していく」

マキノ「その方が楽ね」

シロイ「ひとつ目の質問。君は人の秘密を知っている。はいかいいえか。ふたつ目の質問はその秘密を誰かに話すか話さないか」



下1と下2
コンマ判定。コンマ以下が52以上なら正直に話す、未満なら本心を隠す

マキノ「ひとつ目の質問の答えは『はい』よ。趣味が諜報活動ですもの。ふたつ目の質問の答えは…………『話さない』ね。人の秘密をベラベラしゃべるなんてするわけないじゃない。どんなことがあっても絶対に言わない」

シロイ「そうか……」

マキノ「なにをチェックしてるのかしら」

シロイ「君が知る必要はない」

マキノ「あなたは私に隠し事するのね。フェアじゃないわ。そんなことしたら正確なデータが取れないわよ」

シロイ「君が気にすることではない。次の質問にいく。みっつ目とよっつ目の質問だ。君は分け隔てなく人と付き合う。はいかいいえか。そして君に嫌いな人がいるかいないか」


下1と2
コンマ判定。コンマ以下が53以上なら肯定的な返事、未満なら否定的な返事

マキノ「私は聖人君子じゃない。分け隔てなく人と付き合うのは無理よ。でも嫌いな人はいない」

シロイ「なるほど。だから年下である彼女にはさん付けか。なるほどなるほど」

マキノ「……なんのことかしら?」

シロイ「わかってることを説明しなければいけないほど君は頭が悪いのだね」

マキノ「…………あれは差別じゃなくて当然の反応よ。そもそも誰がスカウトしたのかわからないけどあんな子がいなければ私だってあんな反応しないわ」

シロイ「人のせいは良くない。私から見れば全生徒が心配の対象であり実験の材料だ」

マキノ「なんて人なの」

シロイ「これで4つ…………そうだこれを飲んでくれ」

マキノ「ンブ……ッ……パハ! なによこの飴みたいに甘ったるいの」

シロイ「甘い? 苦いはずだが…………おかしいな。まぁいい。それはビタミン剤だ」

マキノ「レイプドラッグの間違いじゃない?」

シロイ「私はそんなことはしない。君をどうこうする気もない」

マキノ「信用できないわ」

シロイ「しなくて結構。ここまで君を見てきて思ったことは、君は人の秘密を暴くのが好きなのだね。使命感……いや最早強迫観念といってもいい」

マキノ「あなたがそう思うなら"あなたの中では"そうなんでしょう」

シロイ「……君はデータをまとめる時は何にまとめてる。紙かそれともコンピューターか?」

マキノ「紙にまとめるのは面倒だからデータ化してまとめてるわ。それがなんだって言うの。なにをはっきりさせたいのか不明瞭な会話ね」

シロイ「そうか。それでは"両手"を使ってるのか……」

マキノ「一本指じゃ打てないからよ。あなたは一本指で打ちそうだけど」

シロイ「実験データはノートにまとめさせている。自分でも書くがね。さて、そろそろ違和感が出てきた頃だろう」

マキノ「違和感?」

シロイ「手にだよ。プツプツと細い針で刺されてるような違和感があるだろう。小さな穴が開いて何かがスースー染みる感覚があるだろう」



下1
コンマ判定。コンマ以下が75以上なら右手が、未満なら両手がナニカニナル

マキノ「イッ…………あああァァぁぁぁ!」

シロイ「骨が変形して指があっちこっちに反ったか。左手は骨から溶けて、まるで短指症にでもなったみたいだな」

マキノ「アッアッ……あっ……なによこれぇ」

シロイ「体の正直な反応だよ。君に使われたくないとさ。いったいどんなことをやったのか……さて最後の質問だ」

マキノ「そんなのどうでもいいから早く戻しなさい! いたァァァ……」

シロイ「君次第では考える。さて、五つ目と六つ目の質問だ。五つ目の質問は、君は今まで秘密をばらした人に対してすまないと思ってるか。六つ目の質問はそれらの人に謝るか謝らないか」



下2まで
コンマ判定。コンマ以下が36以上なら否定的な返事、未満なら肯定的な返事

マキノ「悪いと思ってるし謝る! 謝るから……この痛みを取って……!」

シロイ「時期に感覚がなくなるから安心していい。もうしないと誓うか?」

マキノ「誓う。誓うから早く……感覚……が」

シロイ「そこまでいけばもうないのと一緒だ。それにもうやらないと誓った契約金代わりだ」

マキノ「こんなのやり過ぎよ!」

シロイ「君のやって来たことに比べたらまだまだかわいいものだ。さて、誓ったからには担保が必要だ」

マキノ「両手じゃ足りないと言うの……!」

シロイ「担保は手元に置いておきたい。そうだな……これなんてどうかな?」

マキノ「それは私のラップトップ!」

シロイ「このノートパソコンの中には大切なものが入ってるのだね。助手に頼んで正解だった」

マキノ「それだけはやめて!」

シロイ「やめて? それは彼ら・彼女らも言っていた事。聞き入れられない」

マキノ「くっ……!」

シロイ「この中には何が入ってるのか。ここから先は助手に頼むとしよう。入ってきてくれ」

??「呼びました?」

シロイ「この子に説明してくれ。なぜこれをとったのかを。私は外にいる」

??「わかりました」

マキノ「あなたは?」

オサダ「オサダと呼んでくれ」

マキノ「とりあえずこれ外してくれないかしら」

オサダ「嫌だね。自由にして逃げようとしたら大変なことになる。君がね。それでそのノートパソコンの中身だけど……」

マキノ「言わなくてもわかるわ」

オサダ「その中にはいろいろな秘密が入ってる。現在過去問わず様々な秘密。それだけなら単なる行き過ぎた諜報活動。しかしその中に"事件に発展する・した情報"が入っていたら?」

マキノ「…………」

オサダ「そしてそれを知っていながら誰にも相談も報告もせずにいたと知られたら?」

マキノ「それだけは本当にやめて……!」

オサダ「それは保身のため? だろうね」

マキノ「そんなことがアイドルなんて頭の悪い人種に知られたらどうなるかなんてあなたにもわかるでしょ!」

オサダ「よく知りもしないで……それにそれは僕が考えることじゃない。秘密をもつ方が悪い。誰の言葉だったかな?」

マキノ「私になにをさせたいの……!」

オサダ「反省をしてくれればいいだけさ」

マキノ「反省ならしてる! もう人の嫌がることはしない! だからそれだけは返して!」

オサダ「断ると言ってる。ところでこの中に今入院しているアイドルについての情報も入ってたね」

マキノ「どのアイドルのことよ……」

オサダ「ありすぎて特定できない。そんな様子だね。今は便利な世の中になった。ボタンひとつでその場にいながら遠くに情報が送れる。素晴らしいの一言」

マキノ「大変なことになるわ!」

オサダ「もう情報の持ち主である彼女たちは大変なことになってる。今さら一人増えたところで……あぁ君が大変なことになるという意味か」

マキノ「みんながよ!」

オサダ「そんなこと言う人がやって来た所業とは思えない。まぁ、やめてほしければ……」

マキノ「だから反省はしているわ」

オサダ「…………おっと」

マキノ「なにをしたの!」

オサダ「つい手が滑ってしまってエンターキーを触ってしまった」

マキノ「もしかしてどこかに送信したの!?」

オサダ「その様だ。すまないすまない。送信先は……おやおや」


下1
コンマ判定。コンマ以下が27以上なら所属事務所、未満なら担当プロデューサーが送信先

もう終わります

マキノ「まさか……事務所宛てじゃないわよね!?」

オサダ「まずかったかな?」

マキノ「アンタ、ふざけるのも……!」

オサダ「担当プロデューサーに送ったが事務所の方がよかったか……そうか」

マキノ「えっ、担当……? 担当プロデューサーって誰のよ」

オサダ「さぁ誰だろうか。秘密を持ってるアイドルの担当かもしれないし、君の担当かもしれない。どっちだろうね」

マキノ「私の……担当?」

オサダ「……あぁなるほど。とにかく君はこれで追われる身だ。どうする?」

マキノ「どうするもこうするもここから出たら無実を訴えるだけ。あなたの顔を見れたらどんなにいいことか」

オサダ「現実か架空かの区別がついてないのか……おっとすまない。どうやらもうひとつの秘密も送信してしまったようだ。あぁ、でも安心してくれ。プロフィールを見るに送信先はただの事務員だ」

マキノ「事務員? その中に入ってる事務員といったら一人しか……っ! なにを! 何を送ったの!」

オサダ「遺書……? いや、ラブレターかな? なにやら手紙が大量に移った画像だ。これは……」

マキノ「なんて……なんてものを送ったのよ! 顔を見せなさい。もう怒ったわ」

オサダ「どうせ数時間後には覚えてなどいない。見るだけ空しいだけだ。メガネメガネうるさい彼女もそうだった。ま、関係ないが」

マキノ「こんなことをしてる場合じゃないわ。早くここから出て逃げないといけないのに」

オサダ「仮にこの部屋から出ても全ての"噂"が解けるまで帰ることは出来ない」

マキノ「お生憎さまね。もうここで七不思議は最後……」

オサダ「なにか勘違いしていないか? この学校の七不思議は七つだけではない」

マキノ「え?」

オサダ「聞いたことがないか? この学校の七不思議は人の数だけあると。いつか誰かが言ってたと思うが……」

マキノ「あれはそういう演出じゃ……」

オサダ「ない。仮にそれを演出だと思うならそれでもいい。ならそれも取って大丈夫かもしれないな。なぜ取らない?」

マキノ「それは……」

オサダ「結局、自分がの命がかわいいのさ。だから他の人がどうなろうと傍観してるだけ。それが八神マキノという人物だ」

マキノ「なにかおかしな仕事だと思ったけどまさかこんなことが……私もまだまだ甘いわ」

オサダ「さっきもいったがこの学校の"噂"を全て解明出来れば道は開けるかもしれないな」

マキノ「なにかしてくれるのかしら?」

オサダ「鬼が出るか仏が出るか。それはわからない。それに危険も伴う。それでもやるか?」

マキノ「それしか道はないもの。それにあんなことで捕まりたくないもの」

オサダ「そうか。ならまずは佐久間とその恋人に気を付けろ。君の臭いを嗅ぎ付けたかもしれない。その飴の匂いを……」

マキノ「?」

オサダ「さぁ手順だがまず教室に行き──」

ライア「そして彼女は今でも校内をさ迷い、調べているのです。終わらない"噂"を……」

小梅「おぉー」

ライア「これで僕の話は終わりです……」

小梅「迫力……満点……!」

医者「あ? 屋上の入り口でなにやってるんだ」

ライア「あっ、こんにちは。つい先程まで屋上に出てましてね。屋上からなら校庭などがよく見えるんですよ。そちらは?」

医者「スポーツの良さを広めてた。あけみとレイコは金髪の子に話してる」

ライア「だから叫び声が鳴り響いてたのですね」

医者「今は多分、何回目かの漢字書き取りテストでもやってるだろう」

ライア「レーコもサナエもキライヨー!と聞こえてたのにはそんな理由があったんですね」

小梅「Pさんは?」

ライア「そういえばあなたをここに送り届けてからどこかに行ってますね」

P「お待たせしました」

小梅「あ……Pさん……」

ライア「どこにいってたんですか?」

P「ハカセのところに行ってました」

ライア「そうですか……あまり深くは聞きません」

P「そうしてもらえると助かります」

小梅「?」

医者「そうそう、あけみから写真もらったぞ。階段のところで撮った出来立てホヤホヤのだ」

小梅「ハサミが……に、似合う」

P「少しまゆのところに行ってくる」

まゆ「うふふ、まゆも右小指の神経取り出そうかしら」

P「屋上でなにを呟いてる」

まゆ「あ、Pさぁん。あけみさんの話を聞いて閃いちゃいました」

P「担当プロデューサーにプレゼントするのか?」

まゆ「うふふ」

P「それより八神マキノは?」

まゆ「それならPさんの予測通り……うふふ」

P「笑ってないでしっかりしてくれ」

まゆ「頭が壊れちゃいました♪ どうやったんですか?」

P「科学ノ発展、進歩ニ犠牲ハ付キ物デース」

まゆ「?」

杏「絶叫パワフォー草野球のセリフだよ」

まゆ「あら、杏ちゃん。なんでここに?」

杏「徒歩で来た」

P「前後の文から察しろ」

杏「なに怒ってるのさ。それにしてもこれすごいね。次世代型ゲーム機の試作品?」

P「それのテストも兼ねての運用実験で聖靴学園のセットを組んで怪談話をな」

杏「どこかの遊園地もリアルな幽霊屋敷なの作ってたよね。あれみたいなもの?」

P「コンセプトはなんだったかな。入院時における患者の負担軽減だったかな」

杏「つまり暇潰しだ」

P「元も子もない言い方だな」

まゆ「他になにか見えないかしら」

P「これを使って宝探しをやると面白いかもな」

杏「そういえば直前に回収になったのはどうして?」

P「メガネ型のことだな。どうやら欠陥があったらしい。あれはまた別のことに使う予定だったのが問題だったらしくてな」

まゆ「怖いですねぇ」

杏「科学ノ進歩、発展二犠牲ハツキモノデースなんてことになったらシャレにならないよね」

P「なんでもあまりにも現実と似せてしまい、現実と架空の区別がつかなくなる恐れがあると実験でわかったんだとか」

杏「なるほどわからん」

まゆ「つまりバーチャルの世界でのケガを現実のものと認識してしまう。そういうことですね」

杏「なるほどわかりやすい」

P「ところでなんでさっきから服の裾を掴んでるの?」

杏「次世代型ゲーム機ってスゲー」

まゆ「つまり怖かったんですね。かわいい」

杏「そういえば蘭子が泣いてたけどなにかあったの?」

小梅「か、花壇の話聞いたら……感動し、して……泣いちゃった……んだって」

杏「花壇の話ぃ? なぁにそれ」

ライア「園芸部員の話ですよ」

小梅「ど、どんな話?」

ライア「校庭を少し歩いたところに件の吸血樹ありますよね? それの花壇にまつわる話なんですが……」

まゆ「小梅ちゃんなんだか目が輝いてます」

P「好きな映画監督だからね」

杏「それで他の五人は?」

まゆ「それぞれ話を聞いてます。輝子ちゃんとみちるちゃんはトイレツアーだとか」

杏「なにそれ汚ない」

まゆ「そういえばどこかで見た三人組が橘ぁー!と言いながら男の子追いかけてましたけど……」

P「イタズラでも仕掛けたのかも」

杏「あぁ、あのどこかで見たことあるような三人組のちっこいね。ありすきてるの?」

P「彼らも呼ばれてる。橘ありすも呼ばれてるけどそっちの橘じゃなくて……」

?「ひっひぃぃぃぃ」

杏「あの後ろ姿はありすじゃん。やっぱり来てんじゃん」

まゆ「なんだか煙玉みたいなのを投げられてますね」

P「あの二人だろう……」

まゆ「はい?」

輝子「ヒィーーーーハァァァァァ!」
みちる「いたぞー! 投げろー!」

?「な、なんでぇ!」

輝子「そぉれそれそれそれそれー!」
みちる「頭に当たっても痛くないよ! 小麦粉だから。小麦粉だから!」

?「こっち来ないでください!!」

輝子「アパーム! 弾もってこーい!」
みちる「ほいさ!」

杏「…………見なかったことにしておこう」

まゆ「なんなんですかあれ?」

P「ゲームをしていて閃いたらしい。やっとクリック地獄にも慣れたのにな。可哀想に」

杏「だから輝子を肩車してたんだ。納得」

まゆ「ありすちゃん、本気で逃げてました」

P「彼女のは特別製だから。別のソフトが入ってる」

杏「あんなのリアルにいたらおしっこ漏らす」

P「その内火炎瓶投げそうな雰囲気だったな」

まゆ「あ、電話です。ちょっと失礼します」

杏「まゆ最近よく話してるね。誰から?」

P「担当プロデューサーだろう」

杏「妬かないの?」

P「考えあってのことだから。こっちから口は出せない」

杏「ふーん」

P「オレも望んでのことだしね」

杏「杏にはよく理解できないや」

P「理解できないのが普通だよ」

小梅「Pさん……Pさん」

P「どうした?」

小梅「い、いまからチェーンソーで……壁壊しに行くけど…………一緒……一緒にいかない?」

P「遠慮しとく。楽しんできて」

小梅「ざ、残念……無念……た、楽しむ。あ、これあげる…………猫の耳……」

杏「…………たまには付き合ってあげればいいのに」

P「そういえば猫の耳がトラウマになった人がいるらしい」

杏「話をずらすなんて……汚ないさすが忍者きたない」

P「そろそろ帰る支度するか」

杏「寮にもう一泊しないの? せっかくまた建てたんだから泊まろうよ」

P「今日撤収予定だよ」

杏「え、マジ? それどこ情報」

P「スタッフ情報。泊まってもいいけど朝起きたら地面に寝てることになるかもね。夕方から作業するし、ここのスタッフ予定に厳しいから。それにみんな寮に帰らないと」

杏「あんまりだ。じゃ、帰るしかないね。あっ、でも杏はPさんのとこに泊まろうかな」

P「布団乾いたかな」

杏「生乾きの布団なんて拷問だよ、拷問」

P「それにぬるーいお湯を入れたカップラーメンを晩御飯にしよう」

杏「やめて」

P「それじゃみんなに挨拶したら帰るか」

ライア「もう帰るんですか?」

P「お疲れ様です」

ライア「お疲れ様です。帰るならこちらをお土産に。赤い紫陽花です。三船さんにあげてください」

P「わかりました。喜びます」

ライア「いつか映画でも使おうかと思ってます。もちろん脇役で。彼女は脇役で光ります。あ、それとこれを杏さんに」

P「佐久間式ドロップですか」

ライア「えぇ、まぁネタ商品ですよ。でも味は保証します」

P「よかったな」

杏「ん……」

P「なにからなにまでありがとうございます」

ライア「いえいえ。それではまだ用事があるので……次はこの理科の教科書を──」

みちる「あ、そこのサラダ取ってください」

輝子「フヒ…………キノコサラダ……フフ」

美優「あ……私よそいます」

藍子「いえ、私がやります」

ほたる「あ、えっと……」

小梅「上映会……楽しみ。ふふふ」

まゆ「蘭子ちゃん、目が赤いわ」

蘭子「げ、幻覚なるぞ!」

杏「…………」

P「結局、みんな来たね」

杏「こんなことだろうと思ったけどね」

みちる「ところ狭しと並んだメシ! 飯! めし! ごーはーんー!」

輝子「パンだけどね……フフ」

みちる「フーゴーゴー!」

P「そんなに口に頬張らない」

輝子「パンとキノコとシチューのコラボ。つまりパイ包み……フフ」

蘭子「あ……美味しい」

まゆ「おいしい?」

蘭子「びっ、美味だぞ」

みちる「食糧の枯渇!」

P「それで足りるようにして」

みちる「コーカーツー!」

蘭子「我の模倣……!?」

杏「あぁ、もうメチャクチャだよ──」

P「ふぅ……」

まゆ「お疲れ様です」

P「みんなは?」

まゆ「みちるちゃんと輝子ちゃんはお風呂。杏ちゃんはお布団です。ほたるちゃんたちは下の階の部屋に戻りました。そういえば、ほたるちゃんがなにか話があるみたいです」

P「わかった。あとで聞いておくよ」

まゆ「それにしてもマキノさんはいまどうしてるんでしょう」

P「現実と架空の区別がつかなくなったのは確実。今頃彼らが拾ってるんじゃないかな」

まゆ「そういえば誰かになにか渡してましたけどあれは?」

P「八神マキノの実験結果だ」

まゆ「なんの実験ですか?」

P「人は生まれ変われるかの実験。それと人の感情と人工知能の研究。良いお金になった」

まゆ「なんだか怖い実験ですね」

P「アンドロイドを作ってるハカセだからな。噂は絶えない」

まゆ「どこでそんな人と知り合ったんですか?」

P「不思議な縁というものがある。仕事をしていたときにたまたま会った」

まゆ「アンドロイドなんて夢物語です。名前は決まってるんですか? やっぱり亡くなった息子や娘の名前とかですか?」

P「その人に子供はいなかったはず。なんでも、シンデレラプロダクションのアイドルからつけるらしい。シンデレラには程遠いがとも言ってた」

まゆ「誰の名前をつけるんでしょう。まゆ、気になります」

P「それよりだ。次はどうする」

まゆ「まゆと寝ます?」

P「そうじゃなくて」

まゆ「わかってますよぅ。ほんの冗談です」

P「今回は長めに時間をとったからみんなの休息になったと思う」

まゆ「関係ない人も2名ほど巻き込まれてますけど」

P「誘ったのはオレじゃない」

まゆ「ところでマキノさんは誰を売ったんですか?」

P「AVの件か? それは繊細な問題だから教えられない」

まゆ「そうですか。なら深く聞きません」

P「さて、どうするか」

まゆ「悩みどころですね。まゆはどちらでもいいです」

P「そうだな……」

まゆ「この時間がまゆ好きです。この緊張感クセになりそう。まるで前戯みたいで」

P「決めた。>>139>>141


>>139
ジュニア(12歳まで)かティーン(13歳から19歳まで)かアダルト(20歳以上)選んでください。個人名はまたあとで安価します

>>141
復讐か救済をお願いします

それ以外は安価下

テイーン

救済

P「ティーンを救済だな」

まゆ「今回のことに対しての罪滅ぼし?」

P「それはない」

まゆ「誰にします? まだまだ選り取り見取り♪」

P「やり手ババアみたいな言い方だな」

まゆ「ババアはひどいです。まゆ、怒っちゃいますよ」

P「誰にするか」

まゆ「今日は耳元でずっと囁いて安眠を妨害します。起きたらまゆの事が好きになっちゃってます。怖いでしょう?」

P「よし……>>145


>>145
モバマスのティーン(13歳から19歳まで)アイドルをお願いします

それ以外は安価下

みく

P「前川みく」

まゆ「前川さんってあの猫耳アイドルの?」

P「それだと猫耳が本体みたいだな」

まゆ「そういえば最近ファンの数に変化があったと言ってました。減ったんですか?」

P「さぁ、仕事やめてからはなんとも言えないが、減ってはないと思うぞ」

まゆ「ファンをやめる人が急増してるとか」

P「みくにゃんのファンやめますってやつか? それならあれはファンの間での悪ふざけだ。身内ネタともいうな」

まゆ「なるほど。まゆみたいなものですね」

P「君の場合は…………うん」

まゆ「うん……?」

P「仮に減ってるとしても原因はすぐわかる」

まゆ「それはなんですか?」

P「あとで話す。今はプロフィールのお復習だ」


まゆ「にゃーん」

P「……前川みく、キュートな猫娘アイドルの15歳で高校1年生。身長152cm、体重45kg。体脂肪率19.48。スリーサイズは上から85の55の81」

まゆ「Pさんは猫でいうとデブ猫ですね。丸っこくてかわいいの」

P「お魚くわえて逃げられそうにないな。誕生日は2月22日の魚座。血液型はB型で利き手は右。大阪府出身」

まゆ「別の国の方でしたか。まゆ、うっかり♪」

P「そう言ってやるな。趣味は猫カフェ巡り」

まゆ「聞いたことがあります。かわいいネコがいっぱいだとか」

P「相手にされない事も珍しくない。ちなみに苦手なものは魚」

まゆ「ネコなのに?」

P「猫なのに。まぁ猫も体質的に魚ばかり食べてると体壊す。魚介ばっかり食べると耳が取れたり、腰抜かしたりするぞ。腰抜かすのはイカだったかな」

まゆ「イカ臭くて腰を抜かすなんて意味深ですね」

P「そう言いながらオレの臭いを嗅がないでくれ。どういう意味だ」

まゆ「まゆも腰を抜かそうかと。ダメですか?」

P「後で風呂でも入るか」

まゆ「お供します♪」

P「ダメ。他の人もいる」

まゆ「お供させていただきます♪」

P「言い方変えてもダメ」

まゆ「旅は道連れ、世は情け」

P「それは意味が違う」

まゆ「オトモしたいにゃん」

みちる「オトコしたいにゃん」

P「ん?」

輝子「やぁ、し、親友。お風呂気持ちよかったぞ……フフ」

P「よかった。それでオトコしたいってなに大原さん」

みちる「それはまんまの……」

P「どういう意味かな?」

みちる「あぁ、そんな迫られると……! 圧縮されるぅ!」

輝子「みちるサンドイッチ……フフ」

まゆ「間にキノコ入ってるから栄養満点♪」

みちる「聞いたことある。なんでも汁が滲み出る毒きのこがあるって」

P「圧縮しながらで悪いけど前川みくって知ってる?」

輝子「親友は私が知ってるように見える可能性が微レ存?」

みちる「フーゴーゴーゴフー」

P「退くよ」

みちる「前川さんですよね? もちろん知って……るかどうかはパンをくれたら答えます」

P「前川みくっていうのは……」

みちる「あぁ! サンドイッチにおけるパンの耳扱いっ!」

輝子「どういう意味なんだ?」

P「無視される、邪魔者扱いされるっていう意味だと思う」

みちる「パンだけに」

輝子「ド、ドヤ顔で言われたぞ、親友」

P「むしられるって言いたいんじゃないかな」

輝子「んー?」

P「無視と千切り取ることを意味する毟をかけた駄洒落」

みちる「ふふん♪」

まゆ「お茶が入りましたよぉ」

みちる「クルトンを入れよう」

P「スープに入れるものだと思う」

まゆ「高森さんお気に入りのカフェで売ってるお茶です。どうですか?」

みちる「これにあたしのクルトンが合わさればさいきょ……」

P「うにはならない」

みちる「なにおぅ。アマゾンコンビは人気なんですよ。小梅ちゃんに教えてもらった」

蘭子「熱帯雨林?」

輝子「あ、堕天使さん」

蘭子「闇に飲まれよ」

輝子「酒に飲まれよ……フフ」

P「それは駄目人間。堕落した人間」

みちる「むっ、出たな。闇酒飲みコンビ」

蘭子「堕落せし人間……だと……」

P「ところで前川みく知ってる?」

蘭子「陽光の猫娘の事など血を飲むより容易い」

P「親友なんだ」

蘭子「うむ」

輝子「びょうじょうってなんだろね」

みちる「あたし知ってる。病気のこと」

輝子「病キノコと? キノコが関係してる……?」

蘭子「ビョウというのは獣へんに苗と書く、人間界でいうところのね……」

みちる「あたし知ってる! 羅生門だよね?」

輝子「あ、犬の鳴き声……?」

みちる「でもみくちゃんってネコキャラだから犬はおかしいと思う」

蘭子「くっ……我の言霊は届かず……!」

P「事務所ではどんな感じ?」

蘭子「陽光の猫娘のことか?」

みちる「あ、わかりやすくなった」

蘭子「我の心眼はなにも問題ないと見ている」

P「そう」

蘭子「あ、いや待て。ただ少しだけ異なことがある」

P「なに?」

蘭子「杞憂だと思っているが魔虫を噛み潰した顔をしていた。あれは……昼時だ」

P「いつも昼時になるの?」

蘭子「いや、あれは記憶を撮す者或いは声を刻む時の昼」

P「ラジオやテレビの収録のお昼か」

蘭子「心当たりが?」

P「ラジオの収録は別としてテレビの収録は何人で?」

蘭子「孤独なるときもあれば仲魔がいるときも。定型はない。だが、仲魔がいるときが多い気がする」

P「うん、わかった。ありがとう」

蘭子「怪しきもののけの気配」

まゆ「そんなこと言ってもPさんは教えてくれませんよ」

蘭子「我の言霊がわかるのか?」

みちる「まゆはあたしが育てた」

まゆ「育てられちゃいました♪」

P「まゆ、ちょっと」

まゆ「はい?」

みちる「むむ、なにやら怪しいふいんき」

輝子「二人だけの夜の……キノコパーティー?」

蘭子「夜の……?」

みちる「そういえばあたしユニット名考えた」

蘭子「誰ぞ」

みちる「この三人の。ずばりユニット名は──」

前川みく「ピィィィィィィチャァァァァァァァン!!」

前川P「どうしたみく」

みく「どうしたじゃないにゃ! 大きなお仕事が入ったってホント!?」

前川P「あぁ、本当だ。でもそんなに大きなとこじゃないぞ?」

みく「でもでもライブだって聞いたにゃ! お歌が歌えるのかにゃ!」

前川P「歌えるぞ!」

みく「やったにゃー!」

前川P「これで本当のみくがみんなに見せられるぞ!」

みく「さっすが敏腕スーパールーキーにゃ!」

前川P「ま、これくらいはな」

みく「ボイトレ開始にゃ☆」

前川P「あー、その前に質問なんだがハンバーグ好きだったよな?」

みく「大好物にゃ! 何でそんなこと聞くにゃ?」

前川P「ちょっと……な」

みく「にゃ?」

前川P「特別ゲストもいるぞ」

みく「特別ゲスト?」

前川P「あぁ"特別ゲスト"だ──」

みく「おっ疲れさまにゃ☆」

前川P「お疲れ」

みく「さすがに息が上がっちゃったけど楽しかったにゃ!」

前川P「よかった、よかった」

みく「でも特別ゲストさん来なかったにゃ」

前川P「その事なんだがな、実は特別ゲストってあれなんだ」

みく「にゃにゃにゃあれはぁ!」

前川P「フフ」

みく「JOJO苑の黒毛和牛100%ハンバーグ弁当にゃあ! これどこで!?」

前川P「頑張ってるみくのために俺からのプレゼントだ」

みく「大好きにゃ!」

前川P「ハハハ、さぁ早く食べてくれ」

みく「いっただきまーす! んー☆」

前川P「そんなに勢いよく頬張ったら味わかんなくなっちゃうぞ」

みく「舌の上で肉汁が踊るにゃあぁ☆ ニンジンも美味しいし、言うことなしにゃ!」

前川P「ホンモノだからな。それにしても今日はお疲れだったな」

みく「あれくらいへっちゃらにゃ! あふっ」

前川P「あれでみくがみんなに知ってもらえたな」

みく「アイドルの本当の魅力を出すことに定評のあるプロデューサーに感謝にゃ!」

前川P「いやいや、みくの実力だ」

みく「楓にゃんも草葉の陰で泣いて喜んでるにゃ」

前川P「おいおい、何人か手掛けてるからといって、楓を蔑ろにしてるわけじゃないぞ? 勝手に殺しちゃまずい」

みく「久しぶりのお肉が五臓六腑に染み渡るにゃー!」

前川P「話聞いてないか……俺は困らないしいっか」

みく「お肉パワーで明日からもがんばれるにゃ──」

蘭子「ぬぬぬ……」

みちる「むむむ」

蘭子「吊るされた月……」

みちる「あたしは不満」

まゆ「二人とも何を唸ってるの?」

P「大原さんは人選に不満があるんだろ。向こうは不安」

みちる「こういうことならあたしが一番なのに……!」

P「やり過ぎる心配がある」

みちる「ぐにに……否定できない自分が悔しい」

蘭子「白羽の矢が我に……百年ぶりの目覚めに騎士震いがするわ」

みちる「こりゃもう東洋なのか西洋なのかわからんね」

蘭子「義を騙るは堕天使の業」

みちる「かっこ震え声」

P「無理なら他の人に頼むよ」

蘭子「こ、これくらい造作もない。月を見るようなもの」

みちる「Pさんの言い方なんだか悪い男っぽい。出来ないならいいよ、他の女に頼むから……みたいな」

まゆ「それは言い過ぎですよぅ」

みちる「あ、ままゆが飛び出してきた」

まゆ「ぎゃおー」

P「向こうはどうだった?」

まゆ「みくちゃん笑顔でしたよ♪」

P「そうか」

蘭子「太陽の顔……?」

みちる「問題ない……?」

P「端から見れば」

まゆ「外道ですよね。楓さんのことも放っておいてるし」

P「手がつかないんだろう。それに楓さんも事務所で飲めるから満足だろう」

みちる「よくわかりません!」

蘭子「深緑なる妖精の騎士は新進気鋭との噂。その騎士は二人を守護する。手に余るというのか?」

P「二人プロデュースするなんてあそこでは珍しくもない。人手不足だしさ。彼の方針は『本当の君をファンに!』なんだ」

蘭子「陽光の猫娘に密なる扉が?」

P「誰にもあるように彼女にも人にバレたくないことがある」

蘭子「世を覆す大いなる秘が……」

P「世の中を覆すまでじゃないけどね。あなたのリアルは他の人にとってのシュールって」

杏「それ以上いけない」

蘭子「煩わしい太陽ね!」

杏「お昼過ぎだけどね」

P「おはよう」

杏「んっ、おはよ。杏、たまに思うんだ。この業界に入ってよかった点。昼でも夜でも深夜でも、いつでもおはようで良いところ」

P「じゃあ、こんにちは」

杏「なに話したの?」

蘭子「陽光の猫娘について」

杏「猫娘? みくちゃんのこと?」

P「ああ。仲いいのか?」

杏「杏が人と話すと思う? 私が一方的に知ってるだけ。なんだかんだで有名だしね」

蘭子「王道を行く者の風格……か」

杏「そのみくちゃんについてなに話したの?」

P「ほんの些細な悩み」

杏「悩み? みくちゃんにそんなのなさそうだけど」

P「一般的なネコキャライメージには致命的な──」

みく「お疲れにゃーん!」

前川P「お疲れ。昼だな」

みく「どこか食べに行くにゃ。魚以外!」

前川P「そんなみくにはいこれ」

みく「こ、これは! 一日三十食限定のたるき亭弁当!? これどうやって手に入れたにゃ!」

前川P「ちょっと伝があってな。ほら、食べろ食べろ」

みく「いただきまーす!にゃ。ハグッ」

前川P「どうだ?」

みく「んー☆ うんめーにゃー! ちゅんちゅんブログに書いてあった通り絶品にゃ! しかもハンバーグが追加されてる方だし!」

前川P「お昼には子どもも来るから新しく作ったとか言ってたな」

みく「口の中でとろけるにゃぁぁぁ。あぁしあわしぇ」

前川P「そうかそうか。美味しいか」

みく「いくらみくのプロデューサーだからってこれはあげられないにゃ! 殺してでも守り抜くにゃ☆」

前川P「俺はいいよ。それにしてもうまいかぁ……」

みく「あー、お腹いっぱいにゃ。少し食べ過ぎたっぽいけど美味しいのがいけないにゃ。というわけで、みくはこれからお昼寝タイムにとつにゅーするので邪魔しちゃダメにゃ」

前川P「それじゃ片付けておくぞ。この魚ハンバーグ弁当」

みく「え?」

杏「魚嫌いぃ?」

P「そう」

蘭子「拒絶反応とでも?」

P「アレルギーではない。どうしても食べたくないだけだ。ピーマンが苦手な人がピーマンに強烈な苦味を感じるのと同じ。前川さんが魚食べさせられてるところ見たことない? 表情はどうだったかな」

蘭子「禁術を発動しそうな面持ちだった。しかしそれくらいだったら克服した方が良好かと……」

杏「あのね蘭子ちゃん。世の中にはどーしてもダメなことがあるのよ、うん。一般的に勤労は推奨されてるけど杏は大っ嫌い」

P「それに普通とのズレもある。前川さんはネコキャラで売ってるのもあるけど、ああ見えて一般人よりネコには詳しいからね」

杏「ネコって魚食べられない体質なんだよね」

P「小さい頃から食べられなかったらしい。前の担当さんが話してた」

杏「それに食事ってのは静かで豊かで……救われてないとダメなんだよ蘭子ちゃん」

蘭子「ふむ……」

みちる「うぬぬぬぬ……」

P「……情報を整理しよう」

P「前川さんはネコキャラで売ってる」

蘭子「はい」

P「ネコキャラなのに魚が嫌い、苦手」

みちる「はい」

P「それは小さい頃から食べられなかったから。OK?」

みちる「うむ」

蘭子「問題点は?」

P「ネコキャラとプロデューサーと売り方」

みちる「なるほどわからん」

まゆ「今のみくちゃんの担当さんは二人目なの」

みちる「さっき聞きました。担当プロデューサーがなにかしちゃうんですか? もしかして手込めにしちゃうとか!?」

蘭子「手込め?」

P「今の担当プロデューサーについては二人に話してもピンッとこないだろうけど、高垣楓の担当でもあるんだ」

みちる「フゴ?」

P「考えるのを放棄してパンをかじらない。高垣楓の担当だからどうこうというわけでもないが、この先の未来が問題なんだ」

蘭子「未来?」

P「前の担当さんは前川さんを尊重して魚の事には触れてなかったんだ。しかし、彼の場合は違う。彼は"本当"のネコキャラにするんだ」

まゆ「それだけ聞くと良いことのように聞こえますよねぇ」

蘭子「天使と堕天使のコサックダンス……」

P「混乱するのも無理はない。彼のいう本当というのは、自分の思った通りにすることだからね」

みちる「一緒にパンをかじろうぜい蘭子ちゃん」

蘭子「えっとつまり………………フゴ」

杏「簡単にいうとプロデュースの押し付けってこと?」

P「そんな感じだね。それと前川さんは魚嫌いが周りに知られたくないんだ。だから彼は──」

みく「ちょっと待つにゃ。今なんていったの?」

前川P「ん? 魚ハンバーグって言っただけだぞ」

みく「えっ……あ……え?」

前川P「魚食べれるじゃないか。ん?」

みく「えっと、みくが魚苦手なの知ってるよね?」

前川P「あぁ知ってる。だからだよ。ネコキャラで売ってるアイドルが魚嫌いだなんて世間様に顔向け出来ないだろ?」

みく「それでもみくは自分を曲げないよ! それにネコは体質的に魚が……」

前川P「それそれその態度。それ、小さい子達の前でも出切る?」

みく「うっ……でも嫌いなものは嫌いなの!」

前川P「でも食べれてたじゃないか。あれ誰が作ったかわかるか?」

みく「お店の人じゃないの?」

前川P「とある魚好きアイドルが協力してくれたんだ。今度のライブで共演させる予定だしな」

みく「そんなのないにゃ! みくが嫌いなの知ってるでしょ!」

前川P「そのアイドルが? 魚が?」

みく「お魚!」

前川P「あー、魚かぁ」

みく「そんなの考えなくてもわかるでしょ!」

前川P「だよな。そーだよな。こっちはそうだよな。でもな……その態度を向こうにしたらどうなるのかねぇ」

みく「にゃ?」

前川P「向こうが知ったら、自分自身が嫌われてると思っちゃうだろうなぁ」

みく「うっ……そんなのわからないにゃ!」

前川P「でもそうなりたくなかったら……な?」

みく「なんでみくにひどいことするの!?」

前川P「ファンが知ったら失望するなぁ。ネコキャラなのに魚が食べられないことにがっかりしました。みくにゃんのファンやめますってさ」

みく「そんなことされたら困るにゃ!」

前川P「俺も困る。だからそんなことになりたくないなら言うこと聞いてほしい。それにさっきもいったけど事務所の小さい子に魚嫌いがバレたら悪影響だろうなぁ。みくおねえさんが魚嫌いだから私も嫌いなものあっていいんだって」

みく「そんなことされたらみんなが困るにゃ!」

前川P「そうならないために言うことを聞いてほしい」

みく「ううぅぅぅ……」

前川P「どうする? ん?」

みく「…………わかったにゃ」

前川P「聞こえない」

みく「わかったにゃ! 言うこと聞くからバラさないで!」

前川P「自分を曲げるのか?」

みく「みんなのためにゃ」

前川P「それでいいんだよ、それで……」

みく「うぅー」

前川P「みくが嫌いだからこんなことをするんじゃない。むしろ好きだからだ」

みく「言ってることがメチャクチャにゃ……」

前川P「わかってくれとは言わない。けど、みくが嫌われないように心を鬼にしてるんだ」

みく「…………今日はもう帰るにゃ」

前川P「ごめんな……」

みく「今日は帰るけど明日からはいつものプロデューサーチャンでいてほしいにゃ!」

前川P「ああ、約束する──」

蘭子「……解せぬ」

P「ネコキャラなのに魚嫌い、食べられるのに食べられない。しかし一番の問題は……自分を曲げないところだ」

まゆ「それが楓プロデューサー、もとい前川プロデューサーの琴線に触れた」

杏「いるよね。そういう人。杏もこのキャラ貫き通すの大変なんだよ?」

蘭子「苦労があるのだな……」

P「杏のは地だけどキャラにしろ何にしろ貫き通すのに大変だ」

みちる「あたしも自分を曲げない! そう、バゲットのように」

P「苦労するのは大原さんだけどね」

みちる「あっれー?」

P「なにかを貫き通そうとする人をなんとかして曲げたいって人はいる。彼の場合は信念を持ってる人や真っ直ぐな人が嫌いなんだ。本人の性格もあるけどね」

蘭子「乙女の危機……」

P「そこで頼みたいことがある。杏にもあるけどいいかな」

杏「杏に?」

P「君さえよければ」

杏「ものによっては大丈夫。だけど杏は自分を曲げないよ」

P「それは曲げなくていい。これは運の要素も絡むけど──」

蘭子「……狭間で揺れ動く乙女心」

P「ファンと自分。比べにくいよね」

蘭子「我にかかれば容易い」

P「杏はどうする?」

杏「うーん……微妙。あっ、でも待って…………うんやるよやる」

P「よかった」

杏「よく考えたんだけど成功したらいろいろ誤魔化せるし、杏も傷付かないしで一石二鳥」

蘭子「剣を研ぐ!」

杏「杏も準備してくる」

P「オレも準備する」

まゆ「まゆもします」

みちる「フゴゴモ」

P「もう少しで夕飯だからパンをかじらない」

みちる「ンポン……パーンー」

P「輝子にも頼むか」

みちる「あたしが伝えます。そしてあわよくばマッタケを……」

P「バカマツタケならそこにあるぞ」

みちる「えっ、どこ!?」

みく「ただいにゃー。誰もいないけど」

みく「あー、今日もつっかれたー。にゃ」

みく「あれから数日経ったけどピーチャンは普通だし、どうともないから本当にみくのこと思ってやったのかにゃ?」

みく「……お魚かあー。ホントなんでか知らんけど食べれないんだよにゃあ」

みく「フッシギフッシギブギウギにゃ。そういえば藍にゃんからメール着てたけど見るのだるいにゃ…………でも見ないと悪い気が…………にゃあぁぁ」

みく「そういえば明日のお仕事は一杯いるんだった。混乱しないようにお復習しなきゃ」

みく「…………明日はあの子もいるんだった。お魚すすめてくるんだろうにゃー。嫌われたくないけどお魚はなぁ……ああうぅもう!」

みく「来るならこいにゃ! 返り討ちにするにゃ! 猫パンチで」

みく「お魚には勝てなかったよ……オエェェェ」

みく「やっぱりきっついにゃ……あのモニョモニョした感じがなんともいえにゃい」

みく「でもでも今回はロケ弁だにゃ! ロケ弁ということはお肉もあるにゃ」

みく「そ・れ・に……にゃふふふ。今回は一番みくがえらいにゃ! だから今回はみくが最初に選べるにゃ! にゃっしゃあぁぁぁ!」

みく「というわけでみくは楽屋に直行! 音速キャット! いや、トムキャットもかくやというスピードで飛んできたにゃ」

みく「にゃっふふー。さぁてなにがあるかにゃー…………ニンジンにピーマンに焼き魚のお弁当。これは見事に子供の嫌いなものばっかり詰め込んだお弁当にゃ。頼んだ人のセンスを疑うにゃ。あとは…………おっ……おおーこれはたるき亭のお子さまランチ! 子供はもちろん、大人も懐かしむ定番のお子さまランチ。ハンバーグにマッシュポテト、それにご飯の上の旗! もちろんおもちゃもついてるにゃ。それをたるき亭アレンジで作った逸品と名高いお弁当。その名もお子さまランチュン。これは涎ズビッにゃ」

みく「それじゃみくはこれを……!」

前川P「こんなとこにいたんか。ちょっといいかみく」

みく「にゃ? なにか用? みくはこれからお弁当を食べるとこにゃ」

前川P「いいからいいから」

みく「しょうがないにゃー」

前川P「ここの振り付けなんだがな」

みく「今さら変えられても困るにゃ」

前川P「まぁ聞いて聞いて」

『年少組さん入りまーす』

みく「ん?」

前川P「でここを……って聞いてるか?」

みく「あっ、ごめんにゃ。振り付けの話だったかにゃ。やっぱりそこは……」

?『牛さんの気持ちになるですよ!』

?『いちごパスタはないですよね?』

?『いただきまー!』

みく「……んん!?」

前川P「それでこれがこうなる。よし、もういっていいぞ」

みく「ん、あっ、わかったにゃ」

前川P「……ふ」

みく『にゃあぁぁぁぁぁ!!』


前川P「んーどうしたみくぅ?」

みく「こ、これしか残ってないにゃあ!」

前川P「ちょっといいかなみく」

みく「なんにゃ!」

前川P「こっちこい」

みく「今それどころじゃ……!」

前川P「年少組の顔見てみろ」

みく「顔……? うっ」

?「食べねーでごぜーますか?」

?「苦手なものがあるのは普通ですよ。ですが"オトナ"はないと聞きます。調べたから間違えありません」

前川P「あの顔を見ても魚嫌いって言えるか?」

みく「うっ……ぐぅ」

前川P「言えるのか?」

みく「いえ…………」

前川P「なぁ、言えるのか?」

みく「ないにゃ……」

前川P「だろ? ならここは我慢して食うしかないな」

みく「わ、わかった……にゃ」

前川P「嫌々食べたら……わかってるな?」

みく「うっ、ぐぐっ……」

?『どーしたでごぜーますか?』

?『もしかして魚が苦手……そんなわけないですよね。こどもじゃあるまいし』

みく「ぬっぐぐ……!」

前川P「あれぇ、みくおねーさんは魚が苦手なのかなぁー? そんなわけないよなー。だって猫だもんな」

?『ネコの気持ちになるですよ!』

?『そんな雑誌ありましたね。タブレット版が出てたような。今調べます』

みく「お、お魚……おっ、おぃ……おぃしぃにゃぁ」

前川P「表情が固いな」

みく「おさ……おっ……おっお魚おいしいにゃ!」

前川P「うんうん、それでこそネコキャラだな。よくやったなみく──」

蘭子「魔方陣は描けた!」

輝子「私も準備オケ……フフ」

みちる「フゴフー!」

P「妙な返事」

杏「あー、杏はまだ……うん」

P「そっちは時間かかってもいいよ。高森さんは?」

美優「カフェの雑誌を読み漁ってます」

P「パソコンも貸すかな」

杏「先生の検索範囲は異常」

蘭子「知る者を使うか……我は苦手だ」

小梅「あ、えと……おっ、おー!」

まゆ「小梅ちゃんはまゆのお手伝いしてくれる?」

小梅「わ……わかった」

ほたる「わ、わたしもいていいんでしょうか……」

P「いてくれた方がスムーズに進むかもしれない。嫌だったら言って」

みちる「輝子ちゃん、あれがずるい言い方と言うものだよ」

輝子「覚えておこう……フフッヒ」

P「さて、問題は……オレだ」

杏「よし、杏と一緒にだらけよう」

P「そうするか」

杏「え、なにそれは」

まゆ「いてもいいと思います。ねっ、小梅ちゃん」

小梅「う、うん……チェ、チェシャネコ?」

みちる「プラス帽子屋」

美優「あ、私? えっと……穴に入れないうさぎさん?」

ほたる「ブフッ」

みちる「おーっとほたる選手盛大に吹いたぁー」

輝子「キノコの様子を見てこよう……フプ」

P「動こう──」

みく「おはにゃー……」

前川P「どうしたみく。元気がないぞ?」

みく「偏食はきついにゃ」

前川P「ン?」

みく「もういい。ロケ弁よこすにゃ」

前川P「そんなに魚が食べたいのか。うんうん、いいことだ」

みく「もう諦めたにゃ。今日もみくが一番最後になるのは目に見えてるにゃ」

前川P「でもな? 順番は守らなきゃいけない。先方にも悪いし」

みく「…………わかってるにゃ」

前川P「それにお弁当を二個食べるかもしれないだろ?」

みく「期待だけしておくにゃ」

??「それでは私はこれを」

みく「…………期待なんてしてなかったにゃ」

??「はい?」

みく「あ、なんでもないにゃ。みくはこっちにするにゃ」

??「それでは」

みく「お互いお仕事がんばるにゃ☆」

??「良き出会いになることを願っています」

みく「蘭子ちゃんみたいに難しい言葉使うにゃね。みくは独りで食べるにゃ」

??「はい。それでは私も独りで食べましょう」

みく「プロデューサーさんと一緒に食べないにゃ?」

??「あの方は多忙な身なので」

みく「みくのとこと同じ。まぁ、中身はまったく違うだろうけどにゃ」

??「それでは」

みく「またにゃ☆」

前川P「お、みくか。あれ、あの人は?」

みく「一人で食べるっていってたにゃ」

前川P「仲良くなるチャンスだったのに……」

みく「みくも向こうで食べるにゃ」

前川P「わかった。それじゃ向こうにアイサツしてくる」

みく「いってらっしゃいにゃー…………ハァ」

みく「モソモソ……ンク…………パサパサにゃー」

みく「あとで吐こう……お肉……」

みく「お肉食べたいにゃあ……血の滴るようなレアステーキ」

みく「赤身肉もいいけどやっぱ脂身にゃ。あー、ヨダレが出てくるにゃー」

みく「思えばみくの猫耳がなくなってから調子でないにゃ。どこかに忘れちゃったかな……でも……ん?」

みく「これ……地図? お弁当に入ってたのかな? でもお店の名前も書いてないし」

??「おや、こんなところにあったのですね」

みく「にゃ?」

??「それは私のです。返していただけませんか?」

みく「みゃーのだったのかにゃ。それじゃ返すのにゃ」

??「ありがとうございます」

みく「それなんにゃ?」

??「トップシークレットです」

みく「怪しい臭いがするにゃ」

??「気になるなら調べてみればよろしいかと。まぁ、そんなに簡単に見つかるわけないでしょうが」

みく「みくの記憶力を舐めちゃダメにゃ☆」

??「それでは私はこれで……」

みく「…………イヤイヤイヤイヤ、ダメにゃダメにゃダメにゃダメにゃダメにゃ」

みく「他人の秘密をほじくるなんてダメにゃ。それにピーチャンに迷惑がかかっちゃうにゃ」

みく「力のある事務所だから怒らせたら……みくは三味線にされるにゃ。ブルブルブル」

みく「……でもピーチャンに気を使う必要は…………いやいやこれはみくとピーチャンだけの問題で済まないにゃ。あー、でも…………」

みく「…………ピーチャンのことなんてどうでもいいにゃ。ネコは好奇心の塊にゃ。好奇心に殺されなきゃいいだけにゃ」

みく「このお仕事終わったらいってみるにゃ」

みく「──着いたにゃ」

みく「ここがあの女のハウスなのかにゃ?」

みく「どこに住んでるか謎だったけど意外と普通なとこにゃ。にゃっ! 玄関ホールにロックだとー!」

みく「…………そういえば聞いたことがあるにゃ。最近のマンションにはこういうのがあると。寮にもこれくらいの置いてほしいにゃ。さすがにあれだけだと不安にゃ」

みく「たしか部屋番号を押してピンポンすればいいにゃ」

みく「ポチッとにゃ」

?『だぁれ?』

みく「ちっちゃい子の声にゃ。あ、私は前川みくですけど……」

?『みくちゃん? お姉ちゃんのお友達?』

みく「っ! そうにゃ、そうにゃ。あなたは?」

?『ヒナだお!』

みく「ヒナちゃんかぁ。みくはお姉ちゃんと約束があるから開けてもらえるかにゃ?」

ヒナ『わかったお!』

みく「なんだか将来が心配な子にゃ。開いたから中に入るにゃ。部屋番号は…………うにゃー上の方にゃ……」

みく「エレベーターで……故障中……? にゃん……だと……」

みく「ハァハァ……ッハァフゥ……アフっ、ヒッハッ……んッ」

みく「ダン、スレッ、スンよりきっ……ついにゃ」

みく「フーヒースーヒー……よし。部屋番号は…………ここか。にゃっ、インターホンがまた付いてるにゃ。ポチッとにゃ☆」

みく「……? 返事がないカチャにゃ……あっ、カギ開いたにゃ」

みく「お邪魔しまーす」

みく「みくが来たよー…………誰もいない?」

みく「上がっていいのかにゃー?」

みく「…………返事がない。ただのもぬけの殻のようにゃ」

みく「おーい、誰もいないのー? 勝手に上がっちゃうよー?」

みく「……誰もいない家って不気味で怖いにゃ。ほんとに誰もいないかにゃー?」

?「…………」

みく「え──」

みく「ん……ンゥ……」

まゆ「ままゆまゆゆまーまゆ♪」

みく「だれにゃ……視界がボヤける……」

まゆ「ンフフフー♪」

みく「…………まゆにゃん? それに近くにいるのは……まだ視界が不明瞭にゃぁ」

まゆ「小梅ちゃん、そっちの準備はどう?」

みく「小梅? 小梅、こうめ、コウメ……白坂にゃん?」

小梅「ば……ばっちり」

みく「準備……?」

まゆ「みくちゃんが起きてないか確認してきてくれるかしら?」

小梅「ラジャー……」

みく「あ、まずいにゃ。こっちにきちまうにゃ……! えっとあと、ね、寝たふり!」

小梅「よいしょ……」

みく「…………」

小梅「…………」

みく「に……にゃふーカーピィ…………ニャフルルルー」

小梅「……髪の毛……ボサボサ。ふふっ」

みく「ピョルルルル……にゃぷるる」

小梅「あっ、戻らなきゃ」

みく「ミクルルルル…………戻ったにゃ。これでごまかせ……」


まゆ「どう?」

小梅「起きてた。髪の毛ボサボサだった」

みく「バレテーラ」


まゆ「それじゃあ、そろそろ焼き始めておきましょう」

小梅「じ……地獄の業火ぁー」

みく「ん? この匂いは……」

まゆ「うふ、うふふふふふ」

みく「なにか焼いてるにゃ。というかよくみてみるとテーブルに色々置いてあるにゃ」

小梅「プロデューサーのお肉……楽しみ……だね」

みく「えっ?」

まゆ「小梅ちゃん。あの人はプロデューサーじゃないの」

小梅「あ、そうだった」

みく「ま、まゆにゃんが担当プロデューサーにベッタリなのっててっきり好きだからだと思ってにゃ……」

みく「食べたいくらい好きだったってことだったのにゃ……にゃー…………みく終わったにゃ。ねこ鍋にされちゃうのにゃ」

輝子「フ、フヒ……それはない」

みく「ぬはッ!!」

輝子「オッ、オオッ!?」

みく「いつの間に!」

輝子「さっきからいましたけど……あっ、気がついてなかった……? あ、いえ大丈夫です慣れてますからはい。フフ」

みく「それよりねこ鍋はないってどういうことにゃ?」

輝子「フヒ、フヒヒヒヒ」

みく「こ、こたえるにゃ」

まゆ「みーくちゃん♪」

みく「ひっ!」

まゆ「あら、輝子ちゃんもいたのね。準備できたわよ」

輝子「先に、い、行ってる。楽しみ……」

みく「み、みくになにするにゃ……!」

まゆ「来ればわかるわ、うふ♪」

みく「にゃー……」

藍子「…………」

輝子「フヒ……」

みちる「蘭子ちゃんだと思った? 残念、あたしでした」

蘭子「魔女の集会。主が訪れるとき開かれん」

まゆ「Pさんならもう少しで来るわ」

小梅「楽しみ……」

美優「食器はこれで全部ね」

杏「ひとつ多いよ。だって杏は部屋に戻るからー」

ほたる「マナー教室、早めに切り上げてもらったけど大丈夫かな……も、もしかして早く終えちゃったから帰りに事故に……!」

みく「なんなのにゃこれ」

P「お待たせ」

みく「誰か来たにゃ」

まゆ「お帰りなさい♪」

P「遅れてすまない」

まゆ「まゆにします? まゆゆにします? それともぉ……ま・ま・ゆ?」

P「もう準備できてるでしょ?」

まゆ「まゆならいつでもばっちこぉい♪」

P「ご飯の支度」

まゆ「ジューシィなの用意してます」

P「着替えたらすぐいく」

P「お待たせ」

まゆ「それじゃいただきましょう」

みちる「いただきまーす!」

輝子「いただきます」

美優「あ、美味しい……」

小梅「付け合わせ作ったの……私」

みちる「うぅまいぞぉぉぉ!」

P「食事中に大声出さない」

ほたる「私なにもしてないのに食べていいのか……」

みく「…………」

杏「…………食べないの?」

みちる「食べないならあたしが」

P「パンだぞー」

みちる「ハグッ!」

蘭子「ふ、ふふ」

ほたる「暑いなら脱いだ方が……」

蘭子「我が衣は我が肌も同然。このくらい地獄の業火に比べれば涼しいものよ……ぐぅ」

輝子「私のキノコはどうだい?」

みちる「なにその言い方。ヒワイ」

藍子「…………」

ほたる「あ、藍子さん笑顔、笑顔です」

藍子「えっ、あ、そうだった」

P「…………」

小梅「食べないと……冷めちゃう」

みちる「フゴゴフフフゴフゴゴフ」

みく「お肉食べたらピーチャンに怒られるにゃ」

P「…………」

みく「だから折角だけどお肉は……」

まゆ「みくちゃん」

みく「みくは自分を曲げないよ」

杏「蝶番並みの真っ直ぐさ」

P「前川さん、輝子」

輝子「フヒ?」

みく「な、なんだにゃ」

P「こっち来て」

輝子「暗い……ジメジメしてる……サイコー」

みく「こんな暗い部屋にみくを連れ込んで何をする気にゃ!」

P「服押さえられると話しづらいな」

みく「何を話されてもみくは自分を」

P「曲げなくてもいいから聞いて」

みく「な、なにを聞かせる気にゃ。そもそもあなた誰にゃ」

P「オレのことはいい。聞かせたい話というのは……輝子」

輝子「私? なんだ?」

P「あの話を」

輝子「あの話……? あっ、なるほどわかった。いま親友から胞子が飛んできた、フフ」

みく「なんの話にゃ」

輝子「私が話すことなんてひとつしかない──」

みく「え、ひどくない?」

輝子「キノコを取られた私には何が残るだろう」

みく「ただのかわいい女の子にゃ」

輝子「えっあ……ありがとう」

P「いまの状況はそっくりだな」

みく「結局、輝子にゃんはどうしてるの? お家でひっそり栽培してるの?」

輝子「親友の部屋で育ててもらってる、フフ」

みく「親友ってプロデューサーのこと? あれ、だとおかしくないかにゃ」

輝子「あれは親友に偽がつく。こっちは親友といっても……こ、心の友。ソウルメイト」

みく「……え?」

P「その目で見られるのは覚悟してた」

輝子「大丈夫親友。私がいる」

みく「みくもそれで解決すればどんなにいいことか……にゃあぁ」

P「君の場合は……」

輝子「みくちゃんもキノコ育てる?」

みく「みくは遠慮するにゃ。ネコちゃんと戯れたいにゃ」

P「それじゃ戻ろうか。またあとで話あるけどいいかな?」

みく「寮に戻らなきゃダメだからちょっと……」

まゆ「寮のことなら心配ないですよぉ」

みく「にゃっ!!」

P「食べ終わった?」

まゆ「はい。みちるちゃんの時間が迫ってたので。片付けも終わりました。Pさんたちの分はラップして置いてます」

P「ありがとう」

まゆ「藍子ちゃんと美優さんは部屋に戻りました。他の子達はリビングで遊んでいます」

P「手間かけさせてすまない」

まゆ「いいえ、これくらい。それと杏ちゃんが話があるようです」

P「あとでいくって言っておいて」

まゆ「はぁーい。それではまゆは戻ってます」

みく「……にゃんだったのにゃ」

P「輝子も戻ってみんなと遊んできたらどうかな」

輝子「そうさせてもらう……フフ」

P「何か企んでるな」

みく「そうだにゃー」

P「…………」

みく「…………」

P「…………」

みく「…………」

P「…………」

みく「…………にゃ」

P「服押さえなくても……」

杏「乙女のピンーチ」

P「今行くところだったのに」

杏「たまには杏の方から行くのもいいかなーって」

P「部屋は?」

杏「人、いっぱい、怖い」

P「そうか」

杏「ついでに話もあったしね」

みく「みくは貞操の危機だったにゃ」

杏「そんな冗談言えるならまだ大丈夫。それで話なんだけどさ」

みく「あ、じゃあみくは向こうに行ってるにゃ」

杏「みくちゃんにも関係する話だから」

みく「にゃ?」

P「あの話通ったのか」

杏「向こうが用意してた。たぶん黙ってても杏に無理やりさせてたと思うよ」

みく「にゃ?」

杏「話ってのは──」

みく「うまくいくのかにゃあ……」

P「うまくやるしかない。びくびくしながら生活したくないでしょ?」

みく「それはそうにゃけど。休みの日は離れられるし」

杏「あのねみくちゃん、休みの日ってのはね、誰にも邪魔されず、自由で……なんていうか救われてなきゃダメなんだよ。静かで豊かで…………」

みく「よくわからないにゃ。というかなんでその人の後ろに隠れてるにゃ?」

P「そこに関しては気にしないで」

みく「そんなことやったらピーチャンが怒るにゃ。ピーチャンに見放されたらみくは……」

杏「その時はこのPさんがなんとかしてくれるって」

P「頼られても困る。もうほとんど事務所とは関係ないし。荷物や引き継ぎくらいにしか行けないし」

杏「そこはオレに任せろよ☆って言うところだよ」

P「オレがそんなことを」

杏「言うのは想像できないね」

P「まぁ、困ったら最悪……」

杏「なんというゲス顔」

P「とにかくやるしかないよ前川さん」

みく「にゃー……」

P「どうするにしても今日はもう寝よう」

杏「だね。あっ、この話は担当プロデューサーにはまだ言わないでね。怪しまれるから」

みく「言わないにゃ。みくもそこまでバカじゃないにゃ」

P「それじゃ前川さんは……どこで寝てもらうか」

杏「杏の部屋は無理だからね。一応いっておくけど」

P「じゃあソファだね。布団は今干してるからオレの分しかないし」

みく「そこはあなたが諦めるところじゃないかにゃ?」

杏「Pさんにそういうの期待するのはやめときなって。それじゃ杏は先に部屋に戻ってるね」

P「実はまだあと一つだけある……」

みく「にゃ?」

まゆ「ラララムジンクン♪」

小梅「ほら、来るよ……きちゃう……きちゃうよ……?」

みく「ま、まゆにゃん助けるにゃ……」

まゆ「ンフフフーン♪」

みく「イヤホンしてお裁縫してる場合じゃないにゃあっ! ビックリにゃあ!」

小梅「ふふっ……ただのネコだよ?」

みく「絶対出てくるにゃ……」

小梅「回収して……」

みく「ライト消すにゃ! 見付かっちゃうにゃ……!」

輝子「大丈夫。アレは菌糸類。つまりキノコ……だから友達……フフ」

みく「どんなキノコ!? こんな感染するキノコなんてみく知らないにゃ!」

小梅「胞子活動……?」

輝子「う、うまい、フフ」

小梅「あ、ありがとう……ふふ」

輝子「大丈夫だ、みくちゃん。ネコには感染しない」

みく「みくは人間にゃ」

小梅「くるーきっとくるー♪」

みく「来たにゃー!」

輝子「ヒャッハー地獄絵図ぅぅぅ!」

みく「早くにげるにゃ!」

小梅「倒さないと……先進めない……ふふ」

みく「銃社会万歳にゃー!」

輝子「あ、壊れた」

まゆ「夜だからあまりうるさくしないでね」

みちる「そんなこんなで当日!」

輝子「生きるためのルァァァァァイブゥゥゥゥゥ!」

みちる「その格好似合ってるぜい」

輝子「ありがとうマイシスター」

杏「杏たちは輝子ちゃんのあとだね」

みちる「がんばれ前座! お弁当はあたしに任せろー!」

みく「憂鬱にゃ……」

P「お弁当の事?」

みく「それもあるけどにゃ」

P「うまくいくよ。会場には行けないけど応援してる。それにロケ弁に関しては手配してる」

みく「手配?」

P「担当プロデューサーに対するカウンターにもなるし」

みく「絶対ピーチャンに怒鳴られるにゃ。なにされるかわからないし……」

P「彼にどうこうする気はないよ。下手なことしたら彼自身仕事失うし、活動できなくなるからね」

杏「抱き締めたら?」

P「準備できたか」

杏「ん。それじゃいってくる。それにしてもあんなものよく用意できたね」

P「こたつ型エアコンのことか?」

杏「そう」

P「変なもの作ってる人から仕入れた」

杏「ふーん。それじゃいってくるね」

まゆ「まゆも動きますね」

P「オレも動くか」

杏「──ということで輝子ちゃんお疲れー。ここからは杏たちに任せてね」

みく「それでこれはなんだにゃ?」

杏「こたつだけど?」

みく「みくはライブをしに来たにゃ。なのにこたつってどういうことにゃ。夏にこたつなんて気が狂ってるにゃ」

杏「ちっちっちっ、これはねこたつ型エアコンなんだよ」

みく「エアコン? なら普通の形にするべきにゃ。それにライブっていったらワー!って騒ぐべきにゃ」

杏「杏のライブはいつもこうだよ? ねぇみんな」

みく「そんなことあるはず……」

『そうだよねー!』

杏「ね?」

みく「そんなばかにゃ」

杏「それにわーってライブは輝子ちゃんでお腹いっぱいでしょ。それにそれに杏とネコキャラのコラボっていったらこうなるのは必然だよ?」

みく「みくは騙されたにゃ」

杏「あっ、けどきちんと曲はやるよ?」

みく「そうしてくれないと困るにゃ」

杏「それじゃ一曲めぇー。前川みくで……お願いシャーリー」

みく「違うにゃ。曲名くらいきちんと言うにゃ」

杏「おねだりシャーリー?」

みく「シャルウィーにゃ!」

杏「それじゃいってみよう──」

みく「にゃーん♪」

杏「はい、拍手ぅー。あとMCよろそく」

みく「え、ひどくない?」

杏「ネコは元気が売りだよね」

みく「それは犬にゃ」

杏「杏は犬って嫌い」

みく「キライ? なんでにゃ。かわいいでしょ」

杏「犬って引っ付いてくるじゃん。それに大きいのは怖いし」

みく「あぁー、たしかにそうだにゃ」

杏「その点、ネコはいいよね。最後まで杏に無関心」

みく「ネコキャラにも色々いるよ?」

杏「寄らば引く」

みく「ひどいにゃ! というかアイドルがキライなものの話していいのかにゃ?」

杏「アイドルだって人間だ! だから好きなものや嫌いなものくらいある! 休むとか休息とか休日とか大好き。結婚したい」

みく「それは誰だってそうにゃ」

杏「労働なんてクシャポイ」

みく「好き嫌いはよくないにゃ」

杏「よろしい、ならば休憩だ」

みく「どうしてそうなるにゃ」

杏「みくちゃんはなにか嫌いなものないの? 例えば犬とか人とか労働とか」

みく「みくは…………」

杏「…………」

みく「…………」

杏「喋ろうよ」

みく「ハッ!」

杏「…………そういえば猫にも好き嫌いあるの?」

みく「ネコちゃんに?」

杏「うん。玉ねぎ食べさせちゃダメってのは知ってるけど。個々での好き嫌いってどうなの。やっぱりあるの?」

みく「ネコちゃんにも一匹一匹個性があるにゃ」

杏「分かりやすいところで食べ物とかどうなの?」

みく「ネコちゃんは実は偏食家が多いにゃ。野生はもちろん、家ネコもそうにゃ。昔から食べてるものしか食べなくなるにゃ」

杏「なんで?」

みく「それが安心するからにゃ」

杏「へー。やっぱ魚が多いの?」

みく「お魚を与えてるところは多いから大体はそうにゃ。でも実はネコちゃんにお魚は毒なのにゃ」

杏「杏に勤労が毒なのと同じか」

みく「それはただの怠惰にゃ。ネコちゃんのは体質的な意味にゃ」

杏「私も体質だい」

みく「みんなも知っておくといいにゃ。イカやお魚ばかり食べさせてると耳が聞こえなくなったり歩けなくなったりするにゃ」

杏「えーウソーホントー?」

みく「うさちゃんに代わりにしゃべらせるなんて怠惰もいいとこにゃ」

杏「じゃあ猫にはなに食べさせればいいの? 教えてくれないと気になって夜しか眠れない!」

みく「夜寝れれば十分だと思う」

杏「昼寝って大切なんだよ? いま午後の授業前に15分間の睡眠を取り入れてる学校あるくらいだし。それでみくちゃんはなにか嫌いなものある?」

みく「みくは…………」

杏「杏が嫌いとかいったら泣くからね」

みく「思ってても言わないにゃ!」

杏「いま疑心暗鬼が生まれた」

みく「次の曲いくにゃ」

杏「杏は無視が嫌い。構われるのはもっと嫌い。で、何が嫌いなの?」

みく「みくは…………」

杏「みくは?」

みく「みくは……」

杏「…………」

みく「お魚がキライにゃ!!」

杏「な、なんだってー!」

前川P「なっ……! あのバカなにいってる!」

??「…………」

前川P「あんなこといったらどうなるかわかってるのか!? 売れなくなるんだぞ!」

??「…………」

前川P「よほど魚が食べたいとみた。こうなったら楽屋に先回りして」

??「…………」

前川P「あれ? なぜあなたがここに……」

??「恥を知りなさい!!」

前川P「なっ!!」

みく「──あのざりざりした感触がダメにゃ!」

杏「ざりざりしてる?」

みく「してるにゃ! あとあの口の中水分を奪うアレ! それに妙な生臭さ。すべてがキライにゃ」

杏「お刺身おいしいじゃん」

みく「無理。考えただけで虫酸が走るにゃ」

杏「漁師の人に謝ろうか」

みく「漁師の人に恨みはないにゃ。それに素直にすごい仕事だと思うにゃ。けど、みくがお魚がキライなのはそんな理由じゃないにゃ」

杏「アレルギー?」

みく「昔からなんとなくキライにゃ」

杏「え、ひどくない?」

みく「そんなこと言われてもなんとなくはなんとなくにゃ。みくのファンやめたければやめてもいいにゃ」

杏「そして杏のファンになって私の印税生活に貢献を!」

みく「それは阻止にゃ」

杏「次の曲はそんな杏の心境を歌った定番のあの曲。それでは歌います。うさちゃんが──」

??「いいですか。食事というものは栄養接種のみに留まらず、心の休息なのです。それをどのような形であれ強要するなど言語道断!」

前川P「ただ好き嫌いをなくそうと……!」

??「食べ物の好き嫌いがあってなぜ悪いのです。わたくしにも好き嫌いはあります。それはどうなのです」

前川P「それはそっちの話で……」

??「たしかに。ですがそれこそ、彼女の好き嫌いは彼女の問題。親でもないあなたが口を出すことではありません」

前川P「プロデューサーというのはアイドルの親代わりでもあって……」

??「思い上がりもそこまでになさい。人の好き嫌いを己の欲望のために使うなど鬼畜生にも劣る行為」

前川P「くっ……」

杏「それで一曲歌い終わったけど猫以外でみくちゃんの好きなものってなに?」

みく「お肉と甘いもの!」

杏「甘い汁?」

みく「腹黒みたいに言わないでほしいにゃ」

杏「杏はあんまりお肉食べないなー」

みく「お肉はいいにゃ」

杏「肉好きの猫かぁ。ライオンかな?」

みく「そういえばライオンもネコ科にゃ」

杏「肉食系?」

みく「もっとかわいい言い方はなかったの?」

杏「もしかして杏たちの知ってる猫知識は間違いだらけなの?」

みく「どんなこと知ってるのか知らないけども。勘違いしてる人が多いのは事実にゃ」

杏「教えてよ猫知識」

みく「そういってサボりたいだけじゃない?」

杏「うん。でもいつ知識が役に立つかわからないから知っておいて損はないはず」

みく「ネコちゃんに玉ねぎ食べさせちゃいけないのは有名だけど、実はチョコレートもダメにゃ」

杏「あれ、でもみくちゃん甘いもの好きだよね?」

みく「みくは人間にゃ」

杏「杏を解き放て! 杏は人間だぞ!」

みく「話が進まないにゃ──」

みく「スッキリしたにゃ!」

杏「…………お空きれい」

まゆ「こんにちはぁ」

みく「あ、まゆチャン」

まゆ「ライブ見ましたよぉ。すごい盛り上がりでしたね」

みく「みくにかかればこのくらい当然にゃ!」

みちる「反面、こっちは放心状態」

杏「杏はやればできる子……杏はやればできる子……」

輝子「帰ってこぉーい!」

蘭子「千年の疼き未だ治まらず、奇の子を苦しめる……呪いかはたまた祝福か」

みちる「前座だけど輝いてたよ輝子ちゃん!」

輝子「照れる、フヒ」

蘭子「猫娘の魔気の行方はいかに」

みく「にゃ?」

みちる「気分はどうかだって」

みく「晴れ晴れとしてるにゃ!」

みちる「満月の夜だって」

蘭子「訳さずともヒトの言葉など雑作もない」

みちる「訳さなくてよかったらしい」

まゆ「まゆはPさんのところに行ってくるわ」

みく「…………」

杏「どうしたの?」

みく「あっ、戻ってるにゃ」

杏「なにか悩み? だったら相談は杏以外にお願い」

みく「そこは悩みを打ち明けるように促すとこにゃ」

杏「アーアーきこえなーい」

みく「あのPさんって何者にゃ」

杏「なんだそんなこと」

みく「知ってるにゃ?」

杏「知らない」

みく「えぇー……」

杏「まゆは詳しいらしいけどね」

みく「まゆチャンが?」

杏「なんで詳しいのか聞かないでね。杏知らないから」

みく「謎の人物にゃ。まるで昼間のネコみたい」

杏「猫にしてはちょっとアレじゃない?」

みく「ああいうネコちゃんいるけど案外人気にゃ」

杏「ブサかわってやつ?」

みく「そうとも言うにゃ。まゆチャンといえば担当プロデューサーにベッタリにゃ。事務所でも話題になってるにゃ」

杏「へぇ……」

みく「距離感がなんというか飼い主を認めたネコちゃんって感じにゃ。あれはなんなのにゃ」

杏「さぁね、杏は知らない。どうだっていいよ」

みく「担当プロデューサーに対するのとは少し違うけど、あの距離感も妙にゃ。弱味でも握られてるとか?」

杏「Pさんはそんなことしないと思うと思いたい」

みく「発言に対する自信のなさがすごいにゃ」

杏「わからないのは事実」

みく「これからみくどうしたらいいんだろ。ピーチャン怒ってるだろうし、少し憂鬱にゃ」

杏「たぶんうまくいくよ」

みく「え?」

杏「寝てればいつの間にか終わってるよ。他力本願サイコー」

みく「どういうことにゃ?」

杏「今日の営業は終わりました。またお越しをお待ちしております」

みく「どういうことにゃ」

杏「世の中には知らない方が良いこともあるのよみくちゃん」

みく「チビッ子のくせに生意気にゃ」

杏「身長は関係ないでしょ」

まゆ「そういえばPさん、ラーメン屋いくとかいってたわ」

みちる「ズルい! あたしたちはライブに行かせといて自分だけラーメンなんて」

杏「おい、杏のライブをディスるんじゃない」

輝子「ディスられた……フヒ」

蘭子「ラーメン屋さん、ラーメン屋さん……何て言おう」

みちる「美味なる触手?」

蘭子「ッ!」

杏「それだ!みたいな顔してるけどその表現はどうかと」

P「お忙しいところすみませんた……」

??「わたくしのことは安根とでもお呼びください。餃子のおかわりを」

P「こんなことに巻き込んですみません」

安根「心の休息である食を邪魔するものは何者であっても容赦はしません」

P「彼はどうでしたか」

安根「わたくしの語彙力では表しきれません。邪悪というほどでもなく、かといって善人寄りかと問われれば」

P「矮小というのは?」

安根「食に関することでの悪事。これはわたくしにとって巨悪。ですが一般にとっては違うのでその表現は当てはまりません」

P「今日は好きなだけ食べてください」

安根「雑食系女子と名高いわたくしにその言葉は些か危険」

P「手加減してくださいね」

安根「食に対して手加減などありません。ですがご友人に迷惑がかからないようにはいたします」

P「友人と言うほどでは……」

安根「一度会ったら友達で、毎日会ったら兄弟姉妹という言葉もあるくらいです。というわけであなた様の財布はわたくしのもの」

P「横暴だ」

安根「男道ラーメン大盛り、白髪ネギ追加。そちらは?」

P「餃子一枚とおつまみメンマ」

安根「なんと」

みく「…………」

杏「どうしたの?」

みちる「食べないならそのパンあたしが……」

みく「ピーチャンが……」

みちる「担当プロデューサーが?」

みく「改心してたにゃ。何を言ってるかわからにゃいと思うけどみくもなにが……」

杏「ほら、杏のいった通り。飴んまー」

みちる「あたしにもくださいな」

杏「こっちならいいよー。勝手にとってって」

みちる「フゴフゴゴゴ」

杏「その擬音はおかしい」

ダメだったら、好きなアイドルの名前を窓の外に向かって叫ぶか「安価でアイドルに復讐する」でググってください

1スレ目
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みく「いったいピーチャンになにが……」

みちる「テングじゃ……テングの仕業じゃ!」

蘭子「魅惑の球体……」

みちる「たしかにテングって感じじゃないね」

蘭子「……バックベアード」

P「ただいま」

みちる「あっ、ズルいラーメン屋! お帰りなさい」

P「まゆは?」

蘭子「愛し人の元へ」

P「担当さんのところか」

みく「それも疑わしいけどにゃ」

蘭子「ぬ?」

P「まゆは事務所でどんな感じ?」

杏「んっもラブラブの押せ押せ。よくしらないけど」

P「そうか。それはよかった」

みく「…………」

P「……何?」

みく「フシャー」

杏「威嚇してるね」

P「夕飯の支度するよ」

みちる「ふふん!」

P「…………」

みちる「ふふふん!」

蘭子「自信に満ちた顔」

みちる「ドヤッ」

P「夕飯作ってくれたのかい?」

みちる「こんなこともあろうかとパンを」

杏「すり替えておいたのさ」

みちる「そうすり替えて、ません。作っておいたのさ」

P「つまりこの焦げた臭いは現在進行形?」

みちる「現在進行形? ハッ!」

蘭子「キャアァァァアアアア!」

みちる「…………」

P「やってきなさい」

みちる「あい……」

蘭子「ブラックブレッド……パンになろうとした糧」

杏「すっごい臭い」

みちる「……焦げぱんが生まれた」

P「あぁ、もう」

杏「メチャクチャだよぉ」

みちる「パオパオパオパオパ」

輝子「パッキャラマードパッキャラマード」

みちる「パオパオパ」

輝子「パパからもらった」

みちる「イースト菌。とっても大事にしてーたのに焦がしてダメにしたあたしがいる。どーしよう」

P「片付けよう」

みちる「はーい──」

みちる「よ……!」

蘭子「我の時間!」

みちる「このこのこのっ」

輝子「暴力はいけない」

まゆ「ところでみちるちゃん。なんでみんなを集めたの?」

みちる「あたしは気付いてしまいました」

美優「気付いたこと?」

みく「なんにゃ。みくは眠いにゃ」

杏「そんなこといったら杏もだよ」

小梅「…………」

輝子「寝るな。死ぬぞマイシスター」

P「そんなに寒くないでしょ」

ほたる「眠いです……」

藍子「…………」

みちる「まゆちゃん、みくちゃん、蘭子ちゃん、美優さんはこっちに」

まゆ「はぁい」

みく「なんなんにゃ」

みちる「それ以外はこっちに」

杏「動くのだるいから杏の周りに集まれー。あっ、お触り禁止ね」

輝子「フヒ?」

小梅「……眠……い」

P「苦しいから抱きつかないで」

みちる「これでよし」

藍子「それでこれが?」

みちる「やっぱりPさんはロリコン」

P「はぁ?」

みちる「見てくださいこの貧乳具合」

藍子「…………」

輝子「……フヒ」

小梅「貧乳……」

ほたる「これも私が不運だから……」

杏「その理屈はおかしい」

みちる「でもご安心。最近は……」

まゆ「?」

美優「あ、あはは……えっと」

蘭子「…………はぅ」

みく「貞操の危機にゃ」

まゆ「きゃーまゆ、Pさんに襲われちゃう」

P「…………」

みちる「あっ、なんですか! 無言で引っ張って……ぐえぇ」

P「…………」

みちる「あっ! もしかしてアレする気ですね!? あたしのお尻が大ピンチ!」

蘭子「お、お尻……」

P「ちょうどいいから前川さんも来て」

みく「えっ、みくも!?」

みちる「あたしだけじゃもの足りずみくちゃんにまで! 鬼! 鬼畜! オニチク!」

みちる「──あ……アフ、アッ、ふぁ、ぃっごオフぅ」

みく「本当にお尻叩くなんて容赦ないにゃ」

P「さて」

みく「…………」

P「服を固く押さえないで」

みく「何のようにゃ」

P「元気ないから心配になって」

みく「みくは元気! 元気いっぱい!」

P「はい、これ」

みく「にゃ?」

P「ボロボロだったから直した」

みく「これ……みくがなくしたネコミミ……」

P「とあるところから見つけてね。もっとボロボロになっちゃったかな」

みく「…………」

P「それじゃ」

みく「…………あ」

P「大原さん連れて先に戻ってる」

みく「ありがとう……」

P「気に入らないところがあったらまゆに言って。直してくれると思うから」

みちる「これでイケメンならなぁ、ぁぁあいたぁ! お尻ぃー!」

みく「──うーん」

まゆ「何を唸ってるの?」

みちる「お通じが良くない? あたしと一緒だ」

みく「違うにゃ。あれを見てなにか思い浮かばないかにゃ」

まゆ「アレ?」

ほたる『やっぱりここのところついてない気が……』

P『いつもと変わらない気がするよ』

美優『それは考えすぎだと思うのだけど……』

まゆ「アレがなにかしら?」

みく「すんっごい生々しい絵面だと思うにゃ」

まゆ「仲がいいだけだと思うわ」

みちる「……借金の形に売られた姉妹」

みく「そうそれにゃ」



まゆ「それは言い過ぎじゃないかしら」

みく「夜な夜なとても口にはできないようなことを命令されてるに違いないにゃ」

みちる「聞いたことがある」

まゆ「嘘はいけないわよ、みちるちゃん。Pさんは自分からはそんなことしません」

みく「まゆチャン」

まゆ「はい」

みく「まゆチャンは誰が好き?」

まゆ「ファンの皆さん♪」

みく「アイドル的な答えじゃなくて、まゆチャン自身の答えにゃ」

まゆ「男性?」

みく「性別じゃなくて個人名」

みちる「ガールズトークかな?」

まゆ「まゆのことなんて知ってもなにも面白いことないわよぉ」

みく「…………」

みちる「一触即発なふいんき」

まゆ「まゆのプロデューサーのことなんて知ってどうするのかしら? もしかして横恋慕?」

みちる「なんだか不穏な単語。ヨコ○ンボ」

まゆ「みちるちゃんったら」

みく「まぁいいにゃ。それより言いたいことがあるにゃ」

まゆ「言いたいこと?」

みちる「好奇心で死なないで」

みく「…………」






ほたる「私なんかがつけていいんでしょうか……」

美優「似合ってるわほたるちゃん」

輝子「爪がなんとなく……っぽいなこれ、フフ」

藍子「語尾になにかつけなきゃいけないかも。ニャン? なにか違う気が」

蘭子「マタタビに飲まれよ!」

小梅「Pさんに……見せてくる」

杏「杏は布団で丸くなるぞー……ぐぅ」

みく「早速みくのアイデンティティーがクライシスにゃ!!」

みちる「焦っちゃだめにゃ」

まゆ「気をしっかり持ってにゃ」

みく「ますますアイデンティティがクライシス!」

P「キャラ付けはアイドルの課題だからな。悩んだり苦労したりするのはある。特にネコキャラにゃ」

みく「男の人にまで! 本格的にクライシスにゃ!」

P「オレのは語尾じゃない」

みく「あっ、でもみくにはあとひとつチャームポイントがあったにゃ。それは八重……!」

みちる「にー」

みく「…………」

みちる「あたしの八重歯はダブル。どやぁ」

みく「こうなったらお触り出来るアイドルを目指すしかないにゃ。まずは脚から? 大胆にお尻からもありかも」

P「それ以上いけない」

まゆ「PさんPさん。どうですかネコミミままゆは。今晩はこれで……うふ♪」

P「それ以上いけない」

みく「よく見たらまゆチャンにも八重歯あるにゃ!」

P「付け八重歯だけどね」

みちる「付け焼き刃八重歯」

P「急ピッチの改造みたい」

みちる「哀れなネコにパンの耳をください」

P「そんなにパンが食べたいの?」

みちる「卵の付け焼きパン食べたい」

輝子「脇にキノコがあればサイコー……」

小梅「血みたいに赤い……ケチャップ」

杏「Pさんは杏を抱っこして布団に連れていくべき」

P「寝かせてくる──」

P「ふぅ……」

まゆ「お疲れ様です」

P「お疲れ様。前川さんは?」

まゆ「まゆのベッドで安眠です。よっぽど疲れたのでしょう」

P「それもそうだよ。担当プロデューサーが小指の爪くらい改心したとはいえ、つい昨日一昨日まで脅迫されてたんだからさ」

まゆ「小さい子を人質にとるなんて極悪非道です」

P「そこもなんとかなったから今後は改善されるだろうね。担当も変わるかもしれないし」

まゆ「担当といえばまゆのプロデューサーさん、イケメンさんなんです」

P「知ってる。それが?」

まゆ「イケメンで料理もできて気遣いも出来るんですよぉ」

P「それは良かった」

まゆ「少しは嫉妬してくださいよぉ。んもぅ」

P「そんなイケメンにオレが嫉妬するなんて、他人から見れば嫉妬を通り越してもはや逆恨みだな。だから嫉妬心なんて起きない」

まゆ「そんなこと言いつつ、まゆがくっついてもいつものように放さないのはどうして? うふ♪」

P「まだそれ付けてるのか」

まゆ「にゃーん♪ それにしても部屋に籠って何してるかと思えば、みくちゃんのネコミミ直してたんですね」

P「きらりんルームから見付かったのを取ってあったからな。物のついでだ」

まゆ「全員分のネコミミなんてよく用意できましたね。なにか伝が?」

P「まぁね」

まゆ「みんなでああいうことやってるとあの時のこと思い出します」

P「人数はもっと少なかったけどね」

まゆ「はい。思い出したら沸々となにか沸き上がって来ちゃいました♪」

P「復讐心に燃えてるな」

まゆ「まゆはやりますよぉ」

P「誰かに当たりを付けてるのか」

まゆ「はい♪ まゆのことよくわかってます。さすがPさん」

P「隅から隅までってわけじゃない」

まゆ「まゆの身体も隅から隅まで知られちゃってます。ぽっ」

P「それが仕事だったからな」

まゆ「なんだかやらしい言い方。Pさんのえっちぃ」

P「そうだな」

まゆ「ピクリとくらい反応してくださいよぉ。まゆのお尻にPさんの反応がありませんよ?」

P「それは後でするから話を進めるぞ」

まゆ「絶対してくださいよ? 指切りしましょう」

P「わかったから話を」

まゆ「指切りげんまん、嘘ついたらまゆの、飲ーます♪」

P「なにを?」

まゆ「……唾液? あっ、それともち」

P「遠慮する。そういえばげんまんって拳骨で一万回殴るっていう意味なんだよな。拳に単位の万」

まゆ「まゆのマンでPさんをチンしていいってことですか?」

P「それは意味が変わる」

まゆ「えいっ、猫パンチ☆」

P「おふっ」

みく「ッ!!」

みちる「どうしたの?」

みく「みくのアイデンティティがクライシスした気がするにゃ!」

みちる「なにか残ってる?」

みく「ひっ、ひどいにゃ! あ、ババ」

みちる「よっし!」

みく「またビリにゃあぁぁ!」

みちる「寝れない夜のトランプ最高」

まゆ「ふぅ……猫パンチっていいですね」

P「オレのお腹が大ピンチ」

まゆ「まゆは満足しました」

P「それで誰に当たりを付けてるんだ」

まゆ「年齢層はぁ……」

P「小出しにするのか」

まゆ「焦らされるの好きでしょ?」

P「それで年齢層は?」

まゆ「アンっ、答えてもらえないこのもどかしさ♪ あ、年齢層は>>268です」


>>268
ジュニア(12歳まで)かティーン(13歳から19歳まで)かアダルト(20歳以上)か選んでください

今回は復讐ですのでそこんとこよろしく

アダルト
アダルト分が足りない

まゆ「アダルトですよ、アダルト」

P「どこかで聞いたことがあるフレーズだな」

まゆ「そもそも大人が悪いんです」

P「それいうとオレがもろに当てはまる」

まゆ「Pさんには後でお仕置きします♪簡単には果てさせませんよぉ」

P「その意気込みを違う方向に向けて。さて、復讐は救済の後に。それで具体的には誰?」

まゆ「本のタイトルみたいですね。まゆの心は決まってます。>>271


>>271
モバマスのアダルト(20歳以上)アイドルをお願いします

今回は復讐ですので(ry

茄子さん

まゆ「ナスさんです」

P「ナスじゃなくてカコ。鷹富士茄子だ。失礼だぞ」

まゆ「ナスだけでわかるPさんも相当です」

P「アンチスレで、今を生きるのにカコの女と言われてるが、それを最初にいった人も相当だな。それより聞いてなかったが軽くか? それとも徹底的?」

まゆ「悩むところです」

P「あの人はあの人で問題があるんだけどな」

まゆ「問題?」

P「あとで教える。それより決まったか?」

まゆ「>>273。ついでにいうと>>275だからです」


>>273
軽くか徹底的かをお願いします

>>275
なにをされたかをお願いします

それ以外は安価下

きゃるく

その場に居合わせただけで人の功績がナスのものになる
本人はそれを気にするそぶりもない

まゆ「軽くで。それより聞いてくださいPさん!」

P「なに? 珍しく怒ってるな」

まゆ「この前の番組の収録でまゆがんばったんですけど、その成果を茄子さんに取られちゃいました!」

P「編み物競争のか。たしかマフラーにワンポイント足してだっけ?」

まゆ「そうです」

P「あの人は打算的なところあるからね。運がいいところもあるが、あれはこうやったらこうなるかもしれないという計算やコネもある。しかも本人の知らないところでのコネ」

まゆ「はい?」

P「出た番組のスポンサーがたまたま以前世話になった人だとか、助けた人だとか」

まゆ「まゆそういうの何て言うか知ってます。主人公補正っていうんですよね」

P「的確な表現かもしれない。あの人のオカルトじみたところは他にもある。というかこれが一番の問題」

まゆ「人の功績取る以外にですか?」

P「それが原因で出演NGに共演NGの人が多数いる」

まゆ「いったいなんですか?」

P「あの人は他人の幸運を吸い取るんだ」

まゆ「他人の幸運を?」

P「ともすれば『あの人といるとついてないことが多くなる』という評価になる。しかも彼女個人がでなく周りがだ」

まゆ「ひどい」

P「気分的な問題だから確たる証拠などもないから誰に訴えることも出来ない。ある意味、不幸を撒き散らしてるとも言える。それと……これを見てくれ」

まゆ「ほたるちゃんですね。彼女がなにか?」

P「一番の被害者といっても過言じゃない」

まゆ「ほたるちゃんが?」

P「MYパソコン、回収した八神マキノのパソコンにも収められていたくらいに危ない情報だ。といっても人の口に戸は立てられぬ、悪事千里を走ると言うように、世間には筒抜けだったりするけどな」

まゆ「その情報ってなんです?」

P「これだ」

まゆ「えっと、白菊ほたるの前所属事務所…………鷹富士茄子の………………ひどい」

P「どこにでもあるかもしれないことだけどこれは酷いよな」

まゆ「これならアイドルを辞めた方がほたるちゃん自身のために……」

P「それでも彼女は健気に続けるだろうね。ちなみにこの事は彼女は知らない。13歳の女の子が知るには辛すぎるからね。いや、年齢は関係ないな」

まゆ「この胸のもやもや感、嫌ですね……」

P「起こりではあるが鷹富士茄子はただ言葉を発しただけ。どうこうしようって気はなかったろうね」

まゆ「…………」

P「まゆ」

まゆ「いえ……まゆも大人ですから一度いったことはひっくり返しません。当初の予定通り軽くにします」

P「そうしてくれると助かる。それで具体的にはどうやる」

まゆ「そうですね──」

??「…………」

??「へぇーこういうの好きなんだ。あっ、向こうのはスカート短いよ」

???「別に恥ずかしがることないだろ。こういうのは彫刻みたいなものだからな。エンジェルちゃんに変わりはない」

??「オレが言いたいのはそういうことじゃない…………なんでお前らまでいるんだよ!」

ヘレン「これがフィギュア。日本の世界レベルの文化」

???「最近は仏像のフィギュアもあるらしいですよ」

??「あっ、これ愛海ちゃん喜びそう。男道ラーメンの屋台の模型まである。楽しいね、ウマくん!」

ウマ「省力しすぎだろっ!!」

ヘレン「落ち着きなさいウマ」

ウマ「てめっ……! なんだよ屁!」

ヘレン「それでも世界レベルは揺るがないわ」

???「おいおい、女性に屁は失礼だぞ」

ウマ「文句なら……そうだっタライ。タラオにいってくれよ」

タラオ「それはひどいよ! なんとかいってよホトくん!」

ホト「たしかに女の人は好きだけどホトはひどくないか?」

ヘレン「ならミタとジュウイにしなさい」

ウマ「俺は?」

ヘレン「ウマはウマよ。揺るがないわ」

ウマ「このっ……夜覚悟しておけ! てかなんで今日限定フィギュア買いに来るなんてわかったんだよ。あっ、もしかして」

ジュウイ「おいおい、どのくらいの付き合いになると思ってるんだ? お前の趣味くらい把握してるよ」

ミタ「そうそう。それに数日前から部屋の片付けしてるのも知ってるし」

ウマ「だぁー、裏目にでたかぁ!」

ミタ「それにしても結構並んでるねぇ」

ウマ「そりゃ超合金だからな」

ミタ「超合金? なにそれ強そう」

ウマ「フィギュアシリーズの名前だよ」

ミタ「へぇー。てか、いろんな人が並んでるね。サラリーマンっぽい人に学生、女の人までいるよ。眉毛太っ。あっ、でもあの女の人はキレイだよ」

ウマ「人は見かけによらないってことだ。つか、お前ら列の邪魔になってるぜ? ほら散った散った」

ヘレン「あの人どこかで見たことがあるわ……」

ジュウイ「とにかく列の邪魔になってるからオレ達はどこかでお茶でもしてましょう」

ヘレン「ここいらに世界レベルのメイド喫茶があると聞いたわ。行ってみましょう」

ミタ「えー、僕はウマくんお気に入りの創世カフェいきたーい」

ジュウイ「まあまあ、たまには違うところも良いじゃない」

ミタ「そうだ。帰りにムナちゃんにマムシエキスでも買ってこうよ」

ウマ「…………フッ……フフ、フフフフ……やっと買えるフフッ、フフフ」

ウマ「今日のためにどれだけ苦労したか。限定ものだから予約もなっかなか取れねぇし、並べたのが奇跡だぜ。しかも前の方」

ウマ「でも油断はできねぇけどな。これだけっつってもいくつ仕入れてるかわかったもんじゃねえ」

ウマ「前の方でこれだ。後ろの方に並んでるやつは堪ったもんじゃねえ……ん? なんだありゃ」

暴男「おわっ、オレの財布!」

??「…………」

ウマ「うわっ。いんのかよ。混乱に乗じて前にくるここにも。最悪だぜ。ああいうの許せねえ。絶対前にいかせねぇ」

??「あのー……」

ウマ「…………」

??「…………」

ウマ「一万と二千年フフフン、フーフーフーフンフンー♪」

??「…………」

ウマ「前向いてりゃ簡単には……」

??「サイフ落ちましたよ?」

ウマ「えっ?」

??「キャッ」

ウマ「えっ、なっ……おいアンタ、なに服の胸元押さえて……ちょっ、ちょっちょちょちょ! なんだ、おっ、ちょ待て、ちげぇ! 俺は痴漢じゃねぇ! おいまっ……! 待て、話を聞いてくれぇぇぇ!」

??「……ふぅ」


P「…………おはよう」

まゆ「おはようございます。どうしたんですかPさん。げっそりしてますよ?」

P「朝から不穏な連絡があってね」

まゆ「不穏な連絡?」

P「まゆも知ってるかと思うけどもこの人」

まゆ「知ってます。それがなにか?」

P「痴漢の容疑で捕まったらしい」

まゆ「え?」

P「しかもどうやら相手は鷹富士茄子なんだとさ。さっき悪澤さんからも連絡あった」

まゆ「痴漢したんですか?」

P「本人の話ではとある列に並んでいて、財布を落としたのを知らせてもらい、確認しようと振り返ったら服に手が当たったと言っている」

まゆ「うわぁ」

P「もちろん痴漢してないと信じている。曲がったことが嫌いな性格だからね」

まゆ「それで彼はどうなったんですか?」

P「無事疑いが晴れて釈放。だけどしきりにフィギュアがどうのと呟いてるらしい」

まゆ「フィギュア?」

P「彼の趣味の一つだよ。それにしても彼女に関わろうとしたらこれだ」

まゆ「周りの運を吸いとってるというのもあながち間違いではないのかもしれませんね」

P「とりあえず気を付けておかないとな。そういえば昨日は夜遅かったからやってなかったな」

まゆ「えっ、まだ足りなかったですか? んもう、お盛んなんだからぁ」

P「お前は何を言ってるんだ? プロフィールのお復習のことだぞ」

まゆ「あっ、そっちですか」

P「朝から元気だね」

まゆ「だってPさんのマッサージ気持ち良かったんですもの♪」

P「結構こってたな」

まゆ「胸のこりも解してくれればなお良かったですけど」

P「それはオレのやることじゃない」

まゆ「今さらな気がしますよ?」

P「さて、今回はまゆのリクエストだからまゆがプロフィールのお復習をしてくれ」

まゆ「今回はPさんがまゆに突っ込んでくれるんですね、うふ♪」

P「…………」

まゆ「それじゃ始めます」

P「頼む」

まゆ「クールな20歳。身長は160cm、体重43kg。BMIは16.80。スリーサイズは上から88-57-88」

P「末広がりだな」

まゆ「ちょっとだけ羨ましいです。1月1日生まれの山羊座。血液型はAB型。利き腕は右」

P「そうだな」

まゆ「島根県出身。趣味は隠し芸。以上です」

P「出雲大社があるところだな。お疲れ様」

まゆ「さて、どうしてあげましょうか。うふ、うふふ」

P「運の要素が絡むものでいくか?」

まゆ「鼻っ柱を折るですね。わかります♪ でも通用するんですか?」

P「心当たりがある」

まゆ「まゆ、たまにPさんの人付き合いが気になります」

P「仕事上知り合った人も多いからね。こういう点では幸運かもね」

まゆ「まゆがPさんと出会えたことも?」

P「さぁね」

まゆ「そこは『いや、違うよ。それは運命さ』と言うところですよぉ?」

P「覚えとくよ。それでどうする?」

まゆ「そうですねぇ──」

鷹富士茄子「だからナスじゃなくてカコですって?」

鷹P「アハハ。もうおなじみのやり取りだな」

茄子「笑い事じゃないですよ。未だに間違えられるんですから?」

鷹P「スカPは未だにネタにしてるよな。ま、それだけ愛されてるってわけだ」

茄子「もう、ほんと笑い事じゃないんですからね?。この前なんて親戚の子にナスダックなんてアダ名つけられたんですから」

鷹P「うまいな」

茄子「うまくないです?」

鷹P「それより今朝はいつもより少し遅かったけどなにしてたんだ?」

茄子「あっ、実は朝気になる列があったので並んでみたんです。そこで買ったのがこれです」

鷹P「ロボットのオモチャ?」

茄子「なんでも、限定モノらしくてスゴい列でした。でもなんでか前に行けました」

鷹P「相変わらずの強運」

茄子「値段見たときびっくりしました。ゼロが一杯」

鷹P「よく買えたな」

茄子「偶然財布がありまして♪」

鷹P「財布といえばこの前事務所に定期入れ忘れてましたよ」

茄子「あっ、そこにあったんですかー」

鷹P「寮のカギも入れてるんでしょ? 他の人に拾われたら大変。というかよく部屋に入れましたね」

茄子「偶然鍵屋さんと会って……それで助かりました」

鷹P「そこまでいくと運以上の何かとしか思えない。さぁ今日も仕事ガンバりましょう」

茄子「はい♪ ついでにプロデューサーも幸せにしちゃいます」

鷹P「ついでなんだ……」

輝子「ナス……キノコ……ナスノコ…………ナスキノコ……フフ」

P「なにか落ち込んでるな」

みちる「今日の福引きが原因ですね」

P「ヌッと出てこないで」

みちる「こんにちは。いつもあなたにパンをねだる大原みちるです」

P「わかってる。それで福引きって?」

みちる「今日、輝子ちゃんはオフの日。だから意気よーよーと商店街に出掛けたのです」

P「それで?」

みちる「そこで福引券をもらいました。商店街の福引きってけっこう豪華景品なんです。色んなお店があるから。あたしのとこも出したなぁ。それでそこは一等温泉旅行、二等米俵、そして三等はなんとキノコの原木!」

輝子「原木……結構高い…………フヒ」

P「なるほど。それから?」

みちる「輝子ちゃんは考えました。原木が欲しいっ!と。福引きで重要なのはタイミング。今か今かと待ちわびました。そしてとうとう自分の番が回ってきました」

輝子「フッ……フフ……フヒフフ」

みちる「ガラガラを一回転させるだけなのに妙に長く感じました。がらがら……がらがらっ……!」

P「妙な間を置くね」

みちる「こぼれ落ちた玉はなんと……三等! これには輝子ちゃんも思わず小躍りしてました」

輝子「恥ずかしいとこ、み、見られた……」

みちる「巡る期待、回る頭、輝く未来。それはもう見たことのない笑顔でした」

輝子「ほんとにうれしかった……ウウ」

みちる「そこに現れる鷹富士茄子さんと担当プロデューサーっ……! その時、輝子に電流走るっ! しまった、ここで見られたら全てがパー!」

P「つまりそこで鷹富士茄子に譲ったってわけか」

みちる「あっ! 先読みするなんてずっこいですよ! まぁ、そのあと原木は茄子さんの手に渡りました」

P「担当って輝子の担当だよね?」

輝子「……うん。あのアスホー野郎め……! ファァァァック!」

みちる「なんで輝子ちゃんの担当さんといたのかは謎ですけどね」

P「なんで輝子の担当と一緒にいたのかは見当がつく。偶然あったんだろう。出掛け先で誰かに会うなんてあの人にとっては珍しくない」

輝子「悪魔の笑顔を見た……チクショウ……」

みちる「思う存分Pさんのお腹で泣いていいっ……!」

P「人のお腹をなんだと思ってる」

輝子「ううぅ……くやしい……」

P「はい、ハンカチ」

みちる「YESロリコン、NOタッチ」

P「は?」

みちる「なんでもありません」

P「ところで大原さんはなんで商店街に?」

みちる「お昼を買いに学校を抜け出してました」

P「問題発言は置いておく」

みちる「ゆ、許された」

P「輝子のことはどこから見てたんだい?」

みちる「向かい側にあるパン屋さんから」

P「なるほど。それはお昼を買いにいったんじゃないよね?」

みちる「…………い、イィーエェー」

輝子「上擦ってるぞマイシスター」

P「それは後ろに隠してるパンの袋と関係があるよね」

みちる「あたしは無実だ! 腹減り無罪!」

P「あーもう言ってることがメチャクチャだよ。まだなにも言ってないのに……でもその袋の中のパンは輝子を励ますために買ったと取っておくよ」

みちる「……もしかして15歳も守備範囲?」

P「あーもうそれでいいや。それで輝子はここに泣きに来たと」

輝子「親友のキノコをいじりにきた」

みちる「まっ、卑猥」

P「下にあるよ」

みちる「こっちもノリノリ?」

輝子「フヒ……フフヒヒ、フヒフ」

みちる「……元気ないですね」

P「だな。お皿出そうか?」

みちる「あ、いいです。実はここにはもう一つの事をしに来ました」

P「もう一つのこと?」

みちる「出したいので撫でてください」

P「マッサージの仕方教えたよ」

みちる「自分でも弄ってますが、Pさんじゃないと満足出来ないカラダに……」

P「……いま忙しいけどやるよ」

みちる「──スッキリ爽快! イヤァ出ました出ました」

P「よかったね」

みちる「指テクにやられました。Pさんの固くて大きいのがこう……」

P「お腹のマッサージでその表現はおかしい」

みちる「黒豆の反乱でした」

P「は?」

みちる「いや実はここに来る前に事務所に寄ったんですけどね。その時に偶然茄子さんに会ったんです。そしたらこう……黒光りする大きなモノを」

P「また黒豆作ってたのか」

みちる「今日は数の子もありました。これで子宝に恵まれるらしいです」

P「うーんなんとも微妙な表現」

みちる「人妻アイドルというのもあり?」

P「結婚しててもおかしくない年齢のアイドルはいるけどね」

みちる「セクハラですよ」

P「事実」

みちる「セークハラ、セークハラ」

P「どうでもいいけど制服のまま彷徨かない方がいいぞ」

みちる「……女子校生アイドル秘密の放課後?」

P「いいからその服脱いで」

みちる「やだっ、ケダモノ……!?」

P「服ならあるから着替えて。袋の汚れやらなんやらがつき放題」

みちる「はーい」

P「──他は洗濯中で手製のそれしかない」

みちる「ドイツスタイル!」

P「シマシマのボーダーだからってそれはどうかと思うよ」

みちる「でもドイツっていったらこんな囚人服のイメージありません? それかナチ」

P「少し印象を改めよう」

みちる「パン! シュニッツェル! ビールとソーセージ! カリフラモグ!」

P「それはいつものことだね」

みちる「あっ、パン返してくださ……パン○返して!」

P「…………」

みちる「あっ、あたしの食べた!」

P「これは?」

みちる「はい、みんなのために買ってきました」

P「ん」

みちる「それにしても器用ですね」

P「それはまゆが作ったやつだ」

みちる「ハッハーン、なるほどぉ」

P「何を勘ぐってる」

みちる「どうりで大きいと思いました。愛が感じられます」

P「他のサイズは洗濯中だからそれしかなくてすまない」

みちる「いえいえ。おかげでスカートいらずの下着要らずで快適」

P「よかったね」

みちる「臭い嗅ぎます?」

P「まだお昼だよ」

みちる「なんとっ。あっ、それより聞いてくださいよ」

P「なに」

みちる「あたしはいま激おこなんです」

P「何があったの」

みちる「その怒りはパン生地を焼き、窯を焦がす」

P「なにがあったの」

みちる「ここに来る前に事務所で茄子さんに会ったっていったじゃないですか。実はその時にあたしが目をつけてたパンを取られちゃいましてね。えぇ、フンガイしましたよ。でもそこはオトナなあたし。怒りませんでした。でも思い出したらムカッ腹がですね」

P「黒豆と数の子のお礼にあげることになったと」

みちる「プロデューサーが余計な一言さえ言わなければ。そもそもこれは友達にあげる分だと説明したのに……! それなのに『全部お前が食べるんだろう? なら1つくらいあげても問題ないだろ』だなんて疑るんですよ!」

P「担当プロデューサーはあの事知らないから仕方ない。でも担当アイドルの言ってることは信じなくちゃね」

みちる「人の言うことと書いて信じるだなんてよくいったものです」

P「それで少しやけ食いしたらお腹にキたと」

みちる「はい。だから癒されに来ました」

P「癒されに?」

みちる「あたし、輝子ちゃん、遊ぶ。ちっちゃい、カワイイ、癒される。あなた、お腹触る、癒される」

P「またか。お腹が壊れそう。今日暑いからくっつかれたくないんだけど」

みちる「一緒に汗まみれになりましょう。まだお昼ですが……あっ、そういえば聞いたことがあります。人はお昼の方が燃えると」

P「とりあえず輝子のとこにパン持っていって遅めのおやつにでもしよう」

みちる「アイサー! やけ食いプアァァァァティィィタァァァァインムッ」

P「モノマネか」

茄子「ンフフ♪」

鷹P「機嫌いいね」

茄子「今日はいいことがあって」

鷹P「今日もでしょ。なにがあったんですか?」

茄子「美味しいパンもらったり原木もらったりしました♪」

鷹P「原木?」

茄子「明日はどんないいことがあるんでしょうか」

鷹P「どうだろうね」

茄子「ところで明日のお仕事は?」

鷹P「明日は…………スカPが持ってきた仕事だ」

茄子「あの人ですか。それなら安心です」

鷹P「……それくらいかな。夕方には終わりますね」

茄子「それじゃ夕方からはフリーですね」

鷹P「ですね。それじゃお疲れ様です」

茄子「お疲れ様ですー」

鷹P「………………」

まゆ「うふ♪」

みちる「──夜!」

P「夜だな」

蘭子「時を告げるは乙女の声」

みちる「バリエーションは朝・昼・晩とあります。昼の時報はレアですね」

蘭子「朝は?」

みちる「珍しくないです」

蘭子「…………ハッ!」

P「顔赤くしない。そういうことじゃないからね」

みちる「この前なんて輝子ちゃんと一緒にグチュグチュしてました」

P「腐ったホットドッグすごい拾ってたな」

みちる「だって美味しそうなんですよ? 誰だって拾います。ところで今日は昼から家にいますが暇なんですか?」

蘭子「世捨て人なるか?」

P「ニートではない」

みちる「フリーターもニートも変わりませんて」

蘭子「……我の口から細やかな疑問」

P「なに?」

蘭子「糧は何処から?」

P「ちょっとね」

みちる「ッ!?」

P「何を閃いたかわかるから口閉じて」

みちる「乙女護りし衣の確認を!」

蘭子「ッ!!!」

P「下着なんて取ってないし売ってないよ」

みちる「っ!!」

P「なんでわかったみたいな顔してるね。わからないと思ったのが不思議」

みく「…………」

P「玄関開けて呆然としてないで入って」

みく「……っ」

P「服をがっちりガードしないで」

蘭子「桃色淑女……」

P「だからピンチでもなんでもない。手は出さないから安心して」

みちる「それもそれでなんか悔しいですっ」

P「話が進まない」

みく「なんでみくはここに来ちゃったにゃ……」

蘭子「闇に飲まれよ!」

みく「にゃ?」

みちる「お疲れ様って言ってます」

みく「にゃにゃにゃ! わかるの?」

みちる「はい」

みく「お疲れさまにゃ蘭子チャン」

蘭子「魔力は減ってないか」

みく「お腹は減ってないにゃ」

蘭子「っ! っ!!」

P「嬉しいのはわかったから叩かないで」

みちる「それが友達との最後のまともな会話だった……」

みく「にゃー……」

P「服を…………もういいや」

蘭子「陽光の猫娘は何をしにここへ?」

みく「藍子ちゃんに猫カフェに誘われたにゃ。それで藍子ちゃんがここに住んでるのを突き止めたにゃ」

蘭子「同族の情報網……!」

みちる「ネコと喋れるんですか?」

みく「さすがにムリにゃ」

P「高森さんなら下の階」

みく「メールアドレス聞いとけばよかったにゃ」

P「しばらくしたら帰ってくると思う」

みちる「それまでここにいるしかないですよ」

P「ところで鷹富士茄子って知ってる?」

みく「みくのライバルにゃ。この前、ネコになってたにゃ」

P「なにか被害は?」

みく「鷹富士さんは裏表のない素敵な人にゃ」

P「本当は?」

みく「ネコちゃんに好かれまくってるから嫉妬にゃ。この前なんて番組の企画でせっかくテレビに出られたのに、ネコちゃん全部取られてみくの立場がなかったにゃ。みくの立場がクライシス。あれには『ま、いっか』とはならないにゃ」

蘭子「敵の幸運、我の不運。黒魔術の発動……」

P「こっちにしたら呪いだな。神崎さんはなにかあった?」

蘭子「我にとっては異世界の事変。闇に紛れる」

P「そういえば事務所違ったね」

みく「狙ってたネコちゃんいたのに……」

みちる「今度かわいい子ネコちゃんがたくさんいるところいく?」

みく「いかがわしいにゃ」

蘭子「?」

P「お夕飯にするか。前川さんはこれからカフェ行くからいらないね」

みく「え、ひどくない?」

みく「──フシャーフシャー!」

みちる「フゴゴしてまフゴ」

蘭子「計らずも魔除けの効果か……」

みく「なんでそんなものを夕飯にするにゃ。みくの目の前に出すにゃ。当て付けか」

P「予定になかった。それに何を夕飯にしようといいよね?」

みく「みくに出す気にゃ! 別の日の夕飯の時に!」

P「夕飯を食べに来るみたいな口振り」

みく「ブリを出す気でしょう! お魚は苦手だっていってるでしょー!」

P「前川さんがいるときは出さないよ」

みく「フシャー! フシャー!」

みちる「ほーれ、魚だぞー」

みく「ニャター!」

みちる「あぁっ! あたしのぶり大根が!」

蘭子「死者の呪い」

P「食べ物で遊ぶからだ」

輝子「ブリ大根……キノコが……ない?」

まゆ『ただいま戻りましたぁ』

みちる「あの声は」

まゆ「んんーいい香り」

蘭子「闇に飲まれよ!」

まゆ「お疲れ様」

P「首尾は?」

まゆ「バッチリです♪」

蘭子「?」

輝子「ブリとキノコ……ブリキノコ…………ブリキの子?」

P「話はあとで」

まゆ「はぁーい」

P「──なぁ」

まゆ「はい?」

P「みんな下の階に行ってるよな?」

まゆ「はい。結局、帰ってきてませんね」

P「高森さんか。たしかに帰ってきてないな。でだ、部屋には二人きり」

まゆ「あら、新しいシャンプー」

P「なのになんでシャワーで話す必要がある」

まゆ「先に入り始めたのはPさんですよ?」

P「後から入ってきたのはまゆだ」

まゆ「だって最近一緒に入ってないんですもの。まゆ、寂しい」

P「もう入ってるからいいよ、もう」

まゆ「杏ちゃんとは入るくせにぃ」

P「一人で入れないから仕方ない」

まゆ「杏ちゃんの様子、どうですか?」

P「安定してる」

まゆ「あのままなにもないといいですけど」

P「そうだな」

まゆ「前みたく杏ちゃんも一緒に住めればいいのに」

P「状況が状況で難しい。オレがクビにならなければ……」

まゆ「でも、それなら杏ちゃんを救えませんでした」

P「違いない」

まゆ「…………」

P「そう考えるとクビになったのは幸運だったのかもな。あの子達のことは不運なんてものじゃないが……」

まゆ「…………」

P「まゆ……」

まゆ「…………」

P「退くよ」

まゆ「そのままで……」

P「…………」

P「ん…………それで首尾は上々らしいけど具体的にはどうかな」

まゆ「福引券と懇親会の手配は済みました。担当プロデューサーとの接触もしてきました」

P「彼の様子は?」

まゆ「複雑な様子でした」

P「鷹富士茄子の交遊関係は広いからな。シンデレラプロダクションは765プロを真似て、プロデューサーとアイドルが直接関わる形を取っている。本来はマネージャーの範囲の仕事もやっている。だからアイドルプロデューサー版囚人のジレンマや二律背反ともいう現象が起こる」

まゆ「信頼してる分苦しいということですね」

P「以前も言ったが鷹富士茄子は運だけの女じゃない。きちんと交遊関係というものもわかっている。だがそこに煩慮はない」

まゆ「まゆは時々Pさんが怖くなります」

P「自分でもそう思う」

まゆ「明日は帰りが遅くなります。もしかしたら帰らないかも♪」

P「明日は鷹Pとまゆの担当プロデューサーと夕飯だな。夕飯は用意しなくていいな」

まゆ「もしかしたらまゆはプロデューサーさんに美味しくいただかれちゃうかもしれませんよ? うふ♪」

P「そこは好きにして」

まゆ「そういうところは相変わらず」

P「変わらないっていいものでしょ?」

まゆ「複雑ぅ」

P「複雑なのはいつものことだ」

まゆ「たまにはまゆを慰めてくれても罰は当たりませんよ?」

P「どうしろと」

まゆ「んもう、そんなのわかってるくせに」

P「いつも通り?」

まゆ「はい♪ そこはお任せします」

P「それじゃ──」

みちる「深夜。それはイケナイ時間」

P「なんで起きてるの」

みちる「お昼寝のし過ぎで眠れないです」

みく「右に同じにゃ」

P「高森さんは帰ってきた?」

みく「帰ってきてないにゃ」

みちる「これは男の家ですね」

みく「にゃっ! それはスキャンダラス」

みちる「今ごろベッドの上で……ぐひひ」

みく「エッチにゃ!」

P「そうだといいね」

みく「ヘンタイ!」

P「状況は複雑なの。それより大きな声出すと起きちゃうよ」

蘭子「ンン……」

みく「天使の寝顔にゃ」

みちる「堕天使の寝顔ですね」

P「ところでなんでこの部屋にいるの。散らかり放題のこの部屋に」

みちる「下は輝子ちゃんがキノコ談義始めたので三船さんが対応してますです、はい」

みく「ちょっとかわいそうな気もするけど犠牲になったのにゃ」

P「明日なにか持ってくか」

P「なんで神崎さんまでいるんだかわからないけどこの際いい」

みく「…………」

P「なに?」

みく「Pチャンはどういう基準で人を呼んでるにゃ」

P「なんとなくだけど」

みく「苗字呼びと名前呼びの二種類あるのが気になるにゃ」

P「人前や公的な場所ではそれなりの呼び方してるよ」

みちる「今無職ですけどね」

みく「収入源も気になるにゃ。もしかしてみくたちの盗撮写真を売ったりしてるとか!?」

P「それはしない」

みく「即答されるのもムカつくにゃ」

P「それでここには何をしに」

みく「藍子チャンの事が気になって眠れないにゃ」

P「誰かに必ず連絡入れるように言ってあるけどないな。たしかに気にはなる」

みちる「やっぱり男の人と……!」

みく「…………」

P「それなら連絡がないのも頷けるね」

みちる「でしょ」

みく「そういう冗談はいいにゃ。みくは本気で心配してるの」

P「そんなに心配になる心当たりでもあるのか」

みく「……みくはオカルトや迷信は信じない方にゃ」

P「それで?」

みく「茄子さんは黒猫にゃ」

みちる「宅急便……?」

P「黒猫は場所によって意味が変わる。ある場所では幸運、とある場所では不運の兆しの表現に使われる」

みちる「……なるほど」

みく「同じ事務所の人を悪く言いたくないけども、これだけ続くとさすがに怖くなるにゃ」

P「話してないことが?」

みく「あるにゃ」

みちる「……なんだか緊張しますね」

みく「なんと……」

みちる「な、なんと……」

みく「……茄子さんが猫耳つけてたにゃ!」

P「…………」

みちる「…………」

みく「なんにゃその顔は! みくにとってはクライシスにゃ! だって茄子さんだよ!? このままみくは消えてくにゃ!」

みちる「それはないかと」

P「前川さんみたいなネコキャラは実はそういないからな。みんな奇をてらいたいから」

みちる「正統派で売るのは楽だけど埋もれがちになるから難しいってあたしのプロデューサーも言ってますし」

P「そうだな。そうだ、大原さん」

みちる「なんですか?」

P「シャワー浴びてきたらどうかな。今日浴びてないでしょ」

みちる「ギクッ……あ、でも昼間浴びて」

P「……入ってきたらアレしてあげるから」

みちる「快楽の誘惑には勝てなかったよ……出てきたらこの格好でもいいですか?」

P「下着を履くなら」

みく「えっ、履いてなかったの?」

みちる「強要されて……」

P「なにいっても無駄そうだから返答はしない」

みちる「それじゃいってきます」

P「……それで本当のところは?」

みく「今さっきの話だって本当の気持ちにゃ」

P「他にもあるでしょ」

みく「…………」

P「…………」

みく「…………」

P「…………」

みく「事務所……」

P「…………」

みく「事務所全体が暗いにゃ…………さっきも言った通り、みくはオカルトや迷信はあまり信じない。だけどあれは……異常」

P「一人を除いてみんながみんな、最近はついてないなぁと思ってたらそうなるよ」

みく「それなのにみくはなにも出来ない。それが歯痒いにゃ」

P「それなら尚の事、前川さんは前川さんでいなきゃいけない」

みく「…………」

P「すべてにおいて自分の気持ちを圧し殺せ何て言わないけど、せめて事務所では明るい猫でいなきゃいけない」

みく「…………」

P「辛くなったらここに来て吐けばいい。猫が毛玉吐くみたいに」

みく「それは汚いにゃ」

P「比喩表現」

みく「…………そんなことされたらみくはダメになっちゃうにゃ」

P「ダメになってもいいんじゃないかな」

みく「みくを堕落させて囲う気だろうけどそうはいかないにゃ。ネコは気紛れにゃ。誰にも従わないにゃ。イッツフリーダム」

P「それならそれでいいよ。でも猫にも毛玉吐くところは必要だし、必ずある」

みく「…………そういう言い方ズルい」

P「悩みがあるなら誰かに相談すればいい幸いここには同性がいっぱいするしさ。しかもアイドル」

みく「そこは『オレに相談するにゃ』というところにゃ」

P「まゆから聞いてると思うけど」

みく「そういうこと言わないって言ってたにゃ。たまに気まぐれで言うとも言ってた。あれ、もしかしてネコキャラ?」

P「それはない」

みく「……みくが来てもお魚出さないよね?」

P「事前に連絡があれば」

みく「お魚は勘弁にゃ。というわけでメルアド教えるにゃ」

P「はい」

みく「受け取った……にゃ? これって」

P「捨てアドだよ」

みく「なんか屈辱にゃ」

P「ここの事バレると厄介だから連絡は密かに」

みく「たしかにここは秘密の場所って感じだけどもそこまで?」

P「それじゃ連絡するときは気を付けてね」

みく「話をはぐらかされたにゃ」

P「大原さんのところ行ってくる」

みく「デバガメはいけないにゃ」

P「そうじゃなくてもう出てる頃だから冷蔵庫を見に行く」

みく「?」

みちる「ふっふっふっ……」

みちる「ぬっふっふっふっふっ」

みちる「あたしと言えど普通の女の子。好きなものは好きだからしょうがない」

みちる「あたしは知っている。Pさんがあれを買ったのを……こんなおっきいの目の前にしたらガマン出来ないよぉ」

みちる「あたしは知っている……ゴージャスセレブプリンが冷蔵庫にあるのを!」

P「知ってるから?」

みちる「そりゃ食べるに決まってます! ごめんなさい!」

P「なんでこんなことした」

みちる「そこにプリンがあるから……」

P「時間考えて」

みちる「深夜に食べてもいいじゃない。人間だもの」

P「健康ならそれも良し。"健康"なら」

みちる「ぐぬぬ。いい気になるなよぉ。あたしを倒しても第二・第三の大原みちるが……!」

P「そう思って手を打った」

みちる「んあ?」

みく「うんめいにゃー!」

みちる「なん……だと……!」

みく「こんなプリン食べたことないにゃ! これが有名店のプリン!?」

みちる「あたしのゴージャスセレブプリンがぁぁぁ」

P「君用に買ってきたわけじゃないんだが」

みちる「くそぅくそぅ!」

みく「こんなおいしいプリンが食べれるなんて…………みくは神様に違いないにゃ!」

P「そこまで幸福なの?」

みく「甘いもの食べると幸せになるにゃ」

みちる「うぅぅー」

蘭子「…………人々のぉ……喘声ぇ……」

みく「蘭子チャンが寝ぼけながら歩いてるにゃ」

P「騒ぐから起こしちゃったじゃないか」

みちる「──そんなわけで朝!」

みく「おはようにゃ」

蘭子「……ふあぁぁ」

みちる「昨日はごめんなさい」

蘭子「甘い蜜の香りに目が覚めただけ。気にかける必要などない。豪華貴族甘布のことなど些細なこと」

P「2つ買っておいたからまだあるはずだけど」

みちる「あたしが見たときは一つしかなかったです」

P「抹茶プリンだったから神崎さんにあげようと思ったんだけど……」

輝子「……フヒ」

蘭子「……胞子の少女よ」

輝子「ついカッとなって……今は反省してる」

蘭子「…………っ! ッ! ッ!」

輝子「す、すまなかった……!」

みちる「蘭子ちゃんのポコポコパンチが炸裂だぁー!」

みく「猫パンチに通ずるものがあるにゃ」

P「今日は頼む」

まゆ「はい」

P「こっちは任せておいて」

まゆ「それはもう。それにしてもPさんも悪い人。関係ない人を巻き込むなんて」

P「関係なくはない。それに同意したのはまゆだからな」

まゆ「うふ♪ あのままだとかわいそうかと思って。それじゃ行ってきます」

茄子「お疲れさまでしたぁー!」

鷹P「お疲れ様。今日は上機嫌ですね」

茄子「はい! 今日はこれから監督と打ち合わせですから」

鷹P「それが?」

茄子「あの有名な監督とお食事なんて滅多にできる事じゃありません。それにうまくいけば私もプロデューサーも有名になれます♪」

鷹P「……そうだな。それなら一緒にいった方がいいんじゃないか? 何があるかわかったもんじゃないし」

茄子「大丈夫です。場所はプロデューサーにつれていってもらったこともあるあの料理屋ですし」

鷹P「あそこか。例え仕事であってももう一度行きたい」

茄子「二人で行くのはまた今度ということで♪ それじゃお疲れさまでした!」

鷹P「お疲れ様」

鷹P「…………」

鷹P「…………ハァ」

まゆ「お疲れですねぇ」

鷹P「っと、まゆか」

佐久間P「おはようございます」

鷹P「おはようございます。あなたは佐久間P」

まゆ「ふふっ」

佐久間P「なにかおかしな事いったか、まゆ」

まゆ「お互い顔見知りなのに他人行儀だなって思って♪ それに業界のクセが染み付いてます」

佐久間P「いつでもおはようだからな。というかこうして仕事終わりに会うのは初めてだし」

鷹P「そういえばそうだな。どっちが先輩後輩ってのはないけど、こうしては会ったことない」

まゆ「プロデューサーさん」

佐久間P「わかってるって。えーあのー」

鷹P「?」

佐久間P「これから食事でもどう……ですか?」

鷹P「食事?」

佐久間P「こうして会ったことですし、親睦を深めるということで」

まゆ「プロデューサーさん固ぁい」

佐久間P「しょうがないだろ! こういうの慣れてないんだから」

鷹P「慣れてない……?」

佐久間P「あっ、こっちの話。それでどう?」

鷹P「うーん…………せっかくのお誘いだけど」

まゆ「あなたの好きなお酒もあります」

鷹P「うっ、それは魅力的だ…………お言葉に甘えちゃおうかな」

佐久間P「それじゃうちに来てください」

鷹P「佐久間Pの?」

佐久間P「はい。ささやかながら用意してます。といっても料理を作るのはまゆですけど」

まゆ「腕によりをかけちゃいます♪」

鷹P「それは楽しみ──」

みちる「15」

まゆ「みちるちゃん何をしてるの?」

みちる「……16」

みく「なにか数えてるにゃ」

みちる「15」

輝子「フヒ?」

みちる「15」

藍子「なにを数えてるんですか?」

みちる「16」

実優「みちるちゃん?」

みちる「26」

蘭子「謎の詠唱……もしや封じられし何かが……?」

みちる「ふぉーてぃーん」

小梅「な、なんだろう……ね」

みちる「サァァティィィンン」

ほたる「不吉な数字です……」

みちる「13……」

杏「ん?」

みちる「17…………ちっちゃい」

杏「ハァ?」

みちる「これはロリコンの陰謀だよ!」

P「こっち来て」


きちんと書き込めてるかな?

しかし誤字はあった

鷹P「うわっ、うまぁ!」

佐久間P「でしょ? まゆの料理はうまいんですよ」

まゆ「お口に合うようでなによりです♪」

鷹P「酒もうまいしもう最高っ」

まゆ「元気でてよかったです。まゆは向こうで片付けてきます」

佐久間P「すまないなまゆ」

鷹P「いやーまゆちゃん。いい子だ」

佐久間P「俺にはもったいないくらいですよ。正直なんで好きなのかわからない」

鷹P「熱烈なアプローチ受けてるんだって?」

佐久間P「過激なときあるけど基本的に人当たり良い」

鷹P「それに比べてこっちは……ハァ」

佐久間P「そっちは幸運の女神ですよね? うらやましい」

鷹P「幸運も考えもんだよ」

佐久間P「どういうことですか?」

鷹P「ちょっと……な。プロデューサーであるお前にはちょっと言えない」

佐久間P「……まぁ今日はとことん飲みましょうか」

鷹P「酔わせても何もないぞ」

佐久間P「それは残念」

鷹P「それにしてもこの酒うまいな。どこで買ったんだ?」

佐久間P「わからない。なにせ買ってきた……というより貰ってきたのまゆだから。本当はワイン用意してたけどまゆがそっちだっていうから」

鷹P「俺の好みわかるとかスゴいな」

佐久間P「驚くといえばこの前だ。いつの間にか車の中に入ってて驚いた──」

鷹P「ン……」

佐久間P「グァー……カー……」

鷹P「あれ……いつの間に寝たんだ……?」

まゆ「あっ、起こしちゃいました?」

鷹P「この布団……」

まゆ「まゆが掛けました。暑かったですか?」

鷹P「ううん……ウプ」

まゆ「お水です」

鷹P「ありがと……」

まゆ「いいえ」

鷹P「…………」

まゆ「どうかしたんですか?」

鷹P「なんでもない」

まゆ「ウソです。なにかある顔です」

鷹P「…………なんでもわかるんだな。ちょっとだけ佐久間Pの気持ちがわかる」

まゆ「はい?」

鷹P「こっちの話。悩みがあるっていえばある。担当アイドルのことでさ」

まゆ「あっ、じゃあ聞いちゃまずいですね」

鷹P「ここからは一人言」

まゆ「…………」

鷹P「今日、彼女はある人と夕食を食べてるんだ。彼女の夢のためにも必要だし、有名になるのはこっちもうれしい」

まゆ「そうですね」

鷹P「俺を幸せにしてくれるっていってくれてうれしかった。けどなんだか彼女が遠くにいくような気がして……」

まゆ「…………なるほど」

鷹P「独占したいってわけじゃない。彼女には彼女らしくいてほしい」

まゆ「まゆが読者モデルやってたときにもそういう人いました」

鷹P「どこでもそうなのか……俺の場合はもうひとつある」

まゆ「もうひとつ?」

鷹P「担当は俺じゃなくてもいいんじゃないかって思う時がある。茄子さんは運が良いから俺がなにかやっても意味がないんじゃないかって……」

まゆ「今日はとことん愚痴ってください」

鷹P「ありがとう。他にも──」

みちる「うーん……」

蘭子「乙女の呻き」

みちる「いやぁこうやってみると……」

蘭子「刹那」

みちる「茄子さん被害者の会が結成できそう。ここにいるだけで半数以上」

蘭子「我、小梅ちゃん、輝子ちゃん、みちるちゃん、美優さん、杏さん、まゆさん……えっと」

みちる「ほたるちゃんが被害受けてないのが不思議なくらいの人数」

蘭子「驚愕の事実……!」

P「それには理由がある」

蘭子「我が……我が……えと」

みちる「理由ってなんですか?」

P「ある人を配置してるからな」

みちる「?」

蘭子「エニグマの召喚」

P「謎の人物じゃなくてちゃんと人間だから安心して」

蘭子「幸運の女神、我の道を阻む」

みちる「今日もなにかあったらしいです」

P「何があったの」

蘭子「悠久の刻より願いし、偶像を包む衣……我の力届かず具現化成らず。これも幸運の女神の力か我が業か……」

みちる「前から考えてた衣装を作ってもらえそうだったのに作ってもらえなかった。茄子さんのせいだ! いや、私のせい?」

P「翻訳どうも」

蘭子「過ぎたる衣は魔力と体力を奪う」

みちる「夏にゴスロリ服は暑いもんね。アイスください」

P「アイスの部分は言ってないよね? ところで衣装ってどんなの?」

蘭子「…………」

みちる「返事がない。ただのゴスロリのようだ」

蘭子「こっちへ」

P「わかった」

みちる「ふむ……」

蘭子「麺包の娘に用はない。去れ」

みちる「えぇ、しどい!」

P「後でパンあげるからそこにいて」

みちる「太くておっきいのがいい!」

P「わかったよ」

P「──なるほど」

蘭子「堕天使であってアレとは異なもの」

P「…………」

蘭子「…………」

P「苦しかったら処理するよ。でも今はやることあるから」

蘭子「…………」

P「それじゃ戻ろう」

蘭子「…………」

P「引っ付かれたら歩きづらい」

蘭子「これは警護だ。気にするでない」

みちる「花柄も捨てがたい……けどこっちのシンプルな緑一色もいい」

まゆ「まゆはやっぱり赤。血のように真ぁっ赤な……」

みちる「朱色?」

まゆ「それじゃ明るすぎるわぁ」

P「お帰り。なにしてる」

みちる「あっ! 太くておっきいのください。今すぐ!」

まゆ「Pさん?」

P「ホットドッグのことだ」

まゆ「そういうことですか。どおりでおかしいと思いました。だってPさんのまゆがしてあげないと……」

P「それ以上いけない」

まゆ「まぁ、大きさどうこう関係なく魅力的なモノですけど♪ 女が堕ちていく魅惑的な……」

P「中学生の教育に悪い」

蘭子「?」

みちる「なんだかいい匂いする」

まゆ「今日はまゆがお夕飯作ったからその匂いかも」

みちる「アイツの何がイイんだ!」

まゆ「それでも私は彼が好きなの!」

みちる「このっ……! そんなやつはこうしてやる!」

まゆ「イヤッ、やめて……!」

蘭子「寸劇の偶像」

P「……向こう行ってようか」

みく「うるさいにゃ! 勉強が出来ないでしょお!」

P「すまない」

みく「あなたが無理やりにでも止めるべきにゃ。みくは明後日テストなんだから集中したいの」

P「寮だと静かに勉強できないからな」

みく「だからここに来てるにゃ。今日は茄子さんに巻き添え食ったからろくに勉強が出来てないにゃ。しょーじきピンチどころか単位がクライシス」

P「嬉しい悲鳴だけど反面、学校の出席日数がなぁ」

みく「しょーじき765プロに移籍したいにゃ。あそこなら融通がきくらしいし、夢のようにゃ」

P「基本的に学生、特に高校生くらいなら平日の昼に仕事は入れないって方針だからね」

みちる「平日の昼に仕事入れられたら給食が食べれないから死活問題」

みく「にゃっ、みちるチャンの学校は給食があるにゃ!?」

みちる「はい」

みく「うらやましいにゃあ。うちの学校はないにゃ。給食費くらい払えばいいのに。そんなに家計がクライシスなの?」

P「小学生組にも何校かない学校の子がいたなぁ」

みく「蘭子チャンの学校はどうにゃ?」

蘭子「堕天使は学舎など行かない」

みく「や、これは失礼したにゃ」

みちる「事務所が天使養成所ならここは…………堕天使養成所?」

みく「…………あー」

P「オレの方を見て頷かないで。ところで今日巻き込まれたっていったけどなにがあったの?」

みく「事務所で勉強してたら茄子さんが来たにゃ」

P「それで?」

みく「そしたら懐かしのボードゲームを見つけたらしくて遊び始めたにゃ」

みちる「あ」

みく「察したにゃね。そう、みくも遊び始めちゃったにゃ」

みちる「でもそれは茄子さんのせいじゃ……」

みく「あれは断れない雰囲気だったにゃ」

P「そういうのある。女だけのグループの事はわからないけど、男の方にもあるよ」

みく「断ったら暗い人だって思われるにゃ」

蘭子「…………」

P「そう思われるときついよな」

みく「にゃ…………ハッ」

P「なに」

みく「みくを取り込もうとしてもむだにゃ」

P「そんなことしないって」

みく「フシャー」

みちる「猫じゃらしのネコジェラシーを食らえ!」

みく「にゃにゃ!?」

まゆ「こっちにもあるわよぉー」

みちる「両手に茎ですな」

P「それにしても大変だね前川さん」

蘭子「集団の愚かさ」

P「言い得て妙だな」

まゆ「ほぉらみくちゃん、こっちよぉ」

みく「にゃっにゃっ!」

みちる「マタタビもあるぞぉ」

みく「あっ、それはいいです」

みちる「なぬぅ」

P「…………」

蘭子「…………」

まゆ「──ふぅ」

P「楽しかった?」

まゆ「とっても♪」

P「明日はいよいよ仕掛ける日だ。覚悟は?」

まゆ「出来てます。少しでも気を抜くと大変なことになっちゃいますので」

P「油断せずに行こう」

まゆ「茄子さんの運の良さは迷惑ですよね。ほたるちゃんはどうします?」

P「このままジン……あの人についていてもらう。あの人の近くにいれば問題ない。というかツキが廻ってくる。早速効力があったのか余程うれしかったのか、メールで『ひょく円拾いました!』って送られてきた」

まゆ「まゆにも送られてきました。誤字するほどうれしかったんでしょう。なんだかかわいい♪」

P「運のいい人の近くにいると良いことがあるっていうが本当だな」

まゆ「まゆもおこぼれもらおうかしら」

P「明日もほたるの近くにいるからほたるの近くにいけばもらえるかもな」

まゆ「拝んでこようっと♪ Pさんもどうですか?」

P「人が近くにいる今が幸運なようなものだし、これ以上幸運になってもしかたない。罰が当たりそうだ」

まゆ「……たまにそういう恥ずかしいことサラッと言いますよね」

P「君のポジティブ思考もね」

まゆ「茄子さんのプロデューサーについてなのですが……」

P「なにか?」

まゆ「どうやら他のアイドルに乗り換えようかと考えてるようで……」

P「鷹富士茄子のプロデューサーをやっていれば、彼のような性格なら必然的にそうなる」

まゆ「プロデューサーとしての実感がわかないと言ってました」

P「彼もなんだかんだで新人に毛が生えたと呼ばれる期間に入ってるからね。実感がないのは痛いし辛い。まぁ、一つの仕事としての見方で見ているけども」

まゆ「私もわかります」

P「読者モデルの仕事のこと?」

まゆ「それもそうです。ただ、仕事をやっていても空しかったあの頃は本当に辛かったです」

P「モデルという仕事云々よりあれの事か」

まゆ「蟠りがあると楽しい仕事も楽しくないですもの」

P「それもそうだ。彼の対処はオレの方でしておく」

まゆ「お願いします」

P「明日に備えて今日はもう寝よう」

まゆ「願掛けに顔掛けしません?」

P「下ネタは良くない」

まゆ「アー」

P「口を開けるな。折角の気合い入れが台無しだ」

まゆ「いつものことでしょ?」

P「さぁ、油断せずに行こう」

まゆ「ぁン……この放置プレイもいつも通りぃ。いいですよいいですもん。まゆはあの本読んで一人で慰めてます」

P「あれ持ってきたのか」

まゆ「うふ♪」

P「…………」

まゆ「あふふふふ♪ あら、真面目な顔してどうしたんですか?」

P「笑い方が変だぞ」

まゆ「ちょっとトリップしてました。それより真面目な顔してどうしたんですか」

P「残酷なことを考えていた」

まゆ「まあ怖い」

P「……やっぱり鷹富士茄子に彼は相応しくない」

まゆ「断言するのはいつものことですがどうしたんですか?」

P「YFファイルに入ってた情報見てな」

まゆ「どんな情報ですか?」

P「彼女が事務所に入ってきた経緯は知ってるか?」

まゆ「知りません」

P「当然か。オレが隠したことだからな」

まゆ「でもそれには入ってますよね?」

P「隠しても漏れるときは漏れる。これがその情報」

まゆ「………………茄子さんも女ですねぇ、うふ♪ まゆこれ知ってたら徹底的にやったのにぃ」

P「これだから彼は相応しくない。明日はほたるを──」

みちる「あ」

みく「朝だにゃ!」

みちる「……ふしゃー!」

みく「ニャター!」

みちる「ンナァァァァン!」

ほたる「朝からケンカが起きるなんて……私がいるから……」

P「朝からふざけてるな。近所迷惑だ」

ほたる「あっ、おはようございます」

P「おはよう。昨日は下に来てたんだね。連絡してから来てって言ったよね?」

ほたる「昨日の夜連絡しようとケータイ取り出したら……こうバキッて壊れちゃって……」

みちる「見事なさばおりくん」

ほたる「百円拾った代償でしょうか!?」

P「それはない。夜というと彼が離れてからか。それより今日大事な話がある」

みちる「聞きました奥さん。女の子の悩みをそんなことですって」

みく「ひどいなんてものじゃないにゃ。生まれついての邪悪にゃ」

P「…………」

みちる「黙ってご飯を下げるなんてひどい!」

ほたる「あの……大事な話って……?」

P「後で話す」

みく「みくのないにゃ!」

P「自業自得」

みちる「フゴフゴ」

ほたる「──お仕事が休み……?」

P「まゆから聞いた話で気になって調べたんだけど本当だった。機材メンテの影響らしい」

ほたる「あぁぅ……」

P「泣かないで。オフの日になったって思えば」

ほたる「あっ、そ、そうですね……あぁ」

P「…………」

ほたる「……学校行ってきます」

P「……行ってらっしゃい。気をつけて」

茄子「写真撮影ですか?」

鷹P「あぁ。妙な会社からの依頼だから微妙なんだけどさ。一応、伝えておこうかと思って」

茄子「妙な会社?」

鷹P「すまんそこは気にしないで。ただの噂話。それでどうする?」

茄子「受けます」

鷹P「あら即答。それじゃ返事しておく」

茄子「お願いします」

鷹P「ところでこの前の監督との食事どうだった?」

茄子「楽しかったですよ♪」

鷹P「ハハハ、よかった。それなら今回の仕事も心配ないな!」

茄子「はい♪」

カメラマン「──はい次いくよー!」

茄子「はい」

カメラマン「煙管が似合うなんてなかなかいないよ! もっと色っぽく!」

茄子「こうですか?」

カメラマン「そうそうそうそう! それそれそれそ! 才能あるね」

茄子「なんだか楽しくなってきちゃいました♪」

カメラマン「──はいお疲れー」

茄子「ありがとうございました」

カメラマン「このあとすぐインタビューだけど大丈夫?」

茄子「へっちゃらです♪」

カメラマン「よかった。それじゃ引き続きよろしく」

茄子「はい。それにしても変わった名前ですね」

カメラマン「なにが?」

茄子「ワルシャワ館って名前。あっ、悪い意味でじゃないですからね」

カメラマン「大丈夫大丈夫。私もそう思ってるから。それじゃそろそろ準備するから」

悪澤「──それじゃありがとうございました」

茄子「こちらこそ。ふふふ♪」

悪澤「どうかしましたか?」

茄子「いえ。有名なところからインタビューを受けるなんて私は幸運だなって」

悪澤「有名なんて……悪名が知れ渡ってるだけどすよ。私こそ幸運の女神と名高い鷹富士さんにインタビュー出来るなんて帰りが怖いくらいですよ」

茄子「私がついていきましょうか?」

悪澤「それは別の意味で怖いですな。ハハハ」

茄子「フフフ」

悪澤「そういえばこんなのやります?」

茄子「福引券?」

悪澤「もらったのはいいけどふらっと寄っただけでもう行かないところなんですよ。困っちゃって」

茄子「あっ、これ帰り道にある商店街です♪」

悪澤「それはよかった」

茄子「福引きできますー?」

店員「おっ、やってくかい?」

茄子「お願いします♪」

店員「この商店街の福引きの景品は豪華だよっ」

茄子「楽しみ♪」

店員「この枚数だと三回だね。それじゃ回しちゃってーな」



下3まで
コンマ判定。コンマ以下が88以上なら一等、未満なら三等、ゾロ目なら二等

茄子「それ♪」

店員「連続で回すなんて気勢がいいね」

茄子「コロ、コロ、コロン♪」

店員「おっ、三等あたりー!」

茄子「やった!」

店員「しかも3つとも等賞なんてスゴいねー」

茄子「でも同じものなんですよね?」

店員「チッチッチッ、甘い甘い。ここをどこだと思ってるんだい?」

茄子「はい?」

店員「ここは商店街。それぞれの等賞のボールを見てごらん。そこに違う色で点がかいてあるだろう」

茄子「ホントです」

店員「ちょっと見てみるから待ってて」

茄子「何が当たるのでしょう」

店員「当たったのは!」

茄子「当たったのは!?」

店員「ノリがいいね。当たったのは、絶対安全!近藤銃夢、十徳爪切り、天海春香初期収録CDセット!」

茄子「え?」

店員「いやーうらやましい! なんて幸運!」

茄子「幸運……なんですかね?」

店員「おっちゃんが欲しいくらいだよ! 一つは使う相手いないけどね! アハハハハハチクショウ!」

茄子「あはは、私もです」

店員「おいおい、ねえさんみたいな美人が相手いないなんてウソはよくない」

茄子「さぁどっちでしょう♪」

店員「いるんだろうなー。イケメンての? そんな兄ちゃんがよー。くぅーうらやましい!」

茄子「フフ、ありがとうございました」

店員「ありがとなー!」

茄子「なんだか微妙でした」

店員『特賞当たりー!』

茄子「あらら」

茄子「ただいまですー」

まゆ「お帰りなさぁい」

茄子「あなたは?」

まゆ「佐久間まゆです。初めまして」

茄子「ご丁寧にすみません。私は……」

まゆ「鷹富士……ナスさんですよね?」

茄子「ナスじゃなくてカコですよー。なんで知ってるんですか?」

まゆ「幸運の女神だって有名です」

茄子「たしかに運はいいです。でもそこまで?」

まゆ「はい♪ だからまゆも色んな運をもらおうかと思いまして」

茄子「他力本願?」

まゆ「願掛けです。茄子さんの近くにいると幸せになるってウワサです。仕事運に健康運。恋愛運も上がるそうですね♪ まゆも女の幸せや悦びを知りたいです♪」

茄子「拝んでもいいことないですよー♪」

まゆ「うふふ♪」

茄子「ところでここにプロデューサーさんいませんでした?」

まゆ「まゆが来たときは一人でしたよ? だぁれもいませんでした」

茄子「そうですかぁ」

まゆ「それにしてもここは人がいないんですねぇ」

茄子「みんな人気者ですから♪」

まゆ「うらやましい♪ ごめんなさい。てっきりアイドルがいない事務所かと思ってました」

茄子「アハハ」

まゆ「茄子さんがいる事務所が潰れるなんてあり得ないですもんね♪ もしそうなってもプロデューサーと茄子さんには幸ありそうですね」

茄子「プロデューサーの幸はいつも願ってます」

まゆ「まゆもプロデューサーの幸運はいつも願ってます♪」

茄子「思い出した! プロデューサーが熱烈に大好きなアイドルがいるって聞いたことあります。もしかしてあなた?」

まゆ「そうかもしれませんね♪ まゆもプロデューサーが好きです」

茄子「ふふ」

みく「──よ」

みちる「夜!」

みく「にゃっ!」

みちる「ドヤァ」

みく「ドヤ顔がムカつくにゃ」

みちる「あたしの悦びを取るのがいけないんです」

ほたる「…………」

みく「ほたるチャンが怖がってるにゃ」

みちる「あっ…………ケンカじゃないよ!」

ほたる「えっあっ、そうですか……そうですね」

みちる「にゃ?」

みく「さらっと語尾を取らないでほしいにゃ」

まゆ「平和ですねぇ」

P「平和だな」

まゆ「ここでお魚を投入」

P「やめろ。しかし一人だけ心中穏やかじゃないのがいるな」

まゆ「そうでしょうね」

P「夕飯が終わったら話を聞くか。その頃には話す決心がついてるかもしれない」

まゆ「話してくれるといいですね」

P「そう言われると心配になる。それじゃ今から作る」

まゆ「手伝います。みんなー」

みちる「はい?」

みく「にゃ?」

ほたる「…………」

みちる「けぷっ」

みく「汚ないにゃ」

みちる「お腹いっぱい」

みく「悔しいけどおいしいにゃ」

みちる「みくちゃんもPさんのじゃないと満足出来ないカラダに……!」

みく「デジャヴ」

まゆ「片付けるわよぉ?」

みちる「はーい」

みく「わかったにゃ」

ほたる「あの……少しいいですか?」

P「ん?」

ほたる「こっちに」

ほたる「い、いいニュースと悪いニュース、あっ、いえ悪いニュースと悪いニュース……?」

P「なにかニュースがあるんだね」

ほたる「あの……今日私の担当プロデューサーが異動になりました……」

P「それは悪い知らせだな」

ほたる「それで次なんですが…………担当プロデューサーがつきました」

P「担当プロデューサーが変わった形か。誰になった? 新人?」

ほたる「前からちょっといいなって思ってて……今日遊園地のチケットもらって行ったらばったり。そのまま事務所に行ったら、担当プロデューサーの異動を告げられて…………その茄子さんのプロデューサーがそのまま私の担当に……」

P「願いが叶ってよかったね」

ほたる「でも私がいいなって思ったから茄子さんの担当を降りるはめに……!」

P「……君の運勢で鷹富士茄子の運に影響はないよ」

ほたる「そ、そうでしょうか」

P「そう」

ほたる「で、でもなんだか怖くて……!」

P「人生はバランスって言ったでしょ? それだよ」

ほたる「でも怖い……」

P「気持ちの問題だからオレにはどうにも」

ほたる「だ、抱いてくださいっ!」

P「なに?」

ほたる「私を抱いてください!」

P「なんで?」

ほたる「人生はバランスです。こんな幸運なことがあったからなにもないと悪いことが起きそうで」

P「なるほどね」

ほたる「だからPさんみたいな人にギューって抱いてもらえば釣り合いがとれるかな……って」

P「…………」

ほたる「…………」

P「…………」

ほたる「……あ」

P「これでいい?」

ほたる「1回じゃ……私の不運には勝てない……かもしれません」

P「…………」

ほたる「だからこれから定期的に……ダメですか?」

P「…………」

ほたる「ぅう……」

P「複雑な気分だけどいいよ」

ほたる「っ!」

P「連絡はいつもの通りにして。でも約束してほしい。担当プロデューサーには絶対にバレちゃだめだよ」

ほたる「わ、わかりました──」

まゆ「ほたるちゃんどうでした」

P「定期的に抱くことになった」

まゆ「女にしちゃうんですか?」

P「違う。ただ、抱き締めるだけだ」

まゆ「我慢出来るんですか?」

P「出来ないと思う?」

まゆ「やり抜きそうです」

P「それで鷹富士茄子の方はどうだった」

まゆ「ばっちり効いてました♪」

P「両方?」

まゆ「少なくとも福引きの方は効果抜群。あまりいいもの当たってなかったです」

P「その発言は危ない。マニア垂涎ものがあるんだぞ」

まゆ「絶対安全!は欲しいです」

P「…………」

まゆ「もちろん使う相手は……」

P「担当さんが壊れるなぁ」

まゆ「まゆの好きな人に使います♪」

P「写真の方はどうだ」

まゆ「まだ現像できてないそうでそっちの方はもう少しかかります」

P「簡単なのでお願いしますと頼んだが……凝ったもの作ってるのか。あの人のクセだよ、まったく」

まゆ「凝り性なのはいいことだと思いますよ。それよりお風呂入りましょうよ」

P「この前入ったろ」

まゆ「Pさんはそういうプレイが好きなんですか?」

P「ああもうそれでいいや」

まゆ「それともあの本を読みながら手でしましょうか?」

P「話が進まない」

まゆ「……結婚?」

P「…………」

まゆ「頭抱えて座り込まないでください」

P「写真の方楽しみだな」

まゆ「あの写真とインタビューになんの意味が?」

P「それは公表されてからのお楽しみ。それよりほたるのことだけど……」

まゆ「どうでした?」

P「喜んでた。担当プロデューサーが変わったーって」

まゆ「よかった。Pさんの見立ては間違ってませんでしたね」

P「そうだな」

まゆ「その代わり定期的にPさんに抱かれることになっちゃいましたけどね」

P「不運だよな」

まゆ「不運ですねぇ」

P「それで明日からどうする?」

まゆ「あなたなーらどーするー?」

P「カバーしたらどうかな」

まゆ「三船さんにも合いそうです」

P「……たしかに」

まゆ「それで明日からどうするかって話ですが……Pさんが決めてください。今回はまゆに付き合って……あっ、突き合ってもらいましたし」

P「……そうだな。>>389層に>>341


>>389
ジュニア(12歳まで)かティーン(13歳から19歳まで)かアダルト(20歳以上)かお願いします

>>341
復讐か救済かお願いします


それ以外は安価下

ティーン

P「ティーン層を救うか」

まゆ「また家族が増えますね!」

P「家族増やすためにやってるわけじゃない」

まゆ「お目当ての子いるんですか?」

P「違う意味に取られる言い方だな」

まゆ「道具……おもちゃ使います?」

P「わかってて言ってるだろ」

まゆ「それで具体的には?」

P「個人名は……>>395



>>395
モバマスのティーン(13歳から19歳まで)アイドルをお願いします

それ以外は安価下

幸子

P「……幸子」

まゆ「小林?」

P「輿水」

まゆ「あ、幸子ちゃん」

P「そうだ」

まゆ「彼女にもなにか問題が?」

P「あるといえばあるが、ないといえばない」

まゆ「毎度のことながら煮え切らない返事」

P「それと今回は諸事情により本人と会わない」

まゆ「はい?」

P「ちょっとあってね。オレが考えるからまゆたちで動いてくれ」

まゆ「それはいいですけど何があったんですか?」

P「本当にちょっとしたことだ」

まゆ「?」

P「今からどうやるか考えてくる──」

みちる「…………」

みく「…………」

みちる「朝!」

みく「朝にゃ!」

みちる「ぬふふふふ」

みく「にゃふふふふ」

蘭子「同盟の産声」

小梅「仲良しは……い、良いこと」

ほたる「…………」

蘭子「睡魔の微睡み?」

ほたる「……えっあっなっんでもない…………です」

蘭子「好調とは言い表せぬ紅潮」

ほたる「私は……昨日何てことを……ぁぅぅ」

蘭子「アカシックレコードに記述されし事柄に興味などない。今は糧を得ることのみ」

みちる「朝ごはんはまだかー!」

まゆ「パン焼けたわよぉー」

みちる「遅い! そんなやつはこうしてやるっ」

まゆ「あぁっ、そんなたっぷり塗られたらテカテカになって……ン…………まゆは…………まゆは壊れてしまいます……!」

みちる「ここにたっぷり塗られるのがたまらなく好きなんだろ? ンー?」

まゆ「お、ぉち…………堕ちちゃうぅぅぅぅ!」

蘭子「寸劇の偶像再び」

小梅「仲良しはいいこと……」

蘭子「既視感。妖精の悪戯かはたまた──」

蘭子「戦士の休息。安息の日」

みちる「それじゃ学校行ってきますっ!」

蘭子「汝に武運あれ!」

まゆ「ここから登校する光景も見慣れたものになりましたね」

P「本当はやめてほしい。ここのことは秘密だからさ」

みく「それじゃ行ってきます」

P「…………」

みく「なに?」

P「前川さん雰囲気違うなって思って」

みく「ネコちゃんのように得体が知れないのがみくにゃ」

蘭子「隠世から現世への顕現、此れ常にして最大の行いなりや」

小梅「が、学校、い、行って……くる」

P「頑張ってこい」

小梅「チュっ、チューしてくれたら……が……がんばれる」

P「そういうことは担当プロデューサーに頼んで」

蘭子「死霊童子願い届かず。凶事と言わずなんと言う」

P「そんな大袈裟な」

蘭子「乙女の願いは世界を創造する」

まゆ「まゆも行ってきます」

P「行ってらっしゃい」

まゆ「……チュッ」

蘭子「ッ!!」

P「…………」

まゆ「小梅ちゃんもこれくらい強引にやらないとダメですよねぇ」

蘭子「お、男の人と、き、きちゅ…………接吻!」

P「頬だけどね」

まゆ「口へは帰ってきてから……うふ♪」

蘭子「はわわ……!」

P「いってらっしゃい──」

蘭子「何を?」

P「プロフィールを見てた」

蘭子「影の人物……」

P「輿水さんって人。知ってる?」

蘭子「不遇なる富貴」

P「知ってるのか」

蘭子「定刻の儀式は?」

P「まゆとやってるプロフィール読み上げのこと?」

蘭子「まゆちゃんが言ってた」

P「やりたい?」

蘭子「興味がある」

P「それじゃあしようか」

蘭子「儀式を始めん!」

P「読む?」

蘭子「我の声はヒトを魅了する。まるでケモノの様に」

P「恥ずかしいのか。じゃあオレが読み上げる」

蘭子「よしなに」

P「キュートでカワイイ14歳。身長142cm、体重37kg。体脂肪率18.35。スリーサイズは74の52の75」

蘭子「小さき妖精は愛らしい」

P「たしかに小さい。11月25日生まれの射手座。血液型はB型で左利き。出身地は山梨県」

蘭子「射る者……か。現世の暇潰しは?」

P「趣味は勉強ノートの清書」

蘭子「勤勉なる者」

基本的に1キャラ1回ですのでどちらかの対象に1回でもなったらそこまでです。ただし中断していたり、終わったキャラでも他のキャラの話に出てきたりします。何回か巻き添えを食らってるありす然り大人気の楓P然り中断している飛鳥然り
あとは私のINSPIRATION(世界レベルの発音)

P「神崎さんの趣味ってなんだっけ?」

蘭子「魔方陣を描くこと」

P「絵を描くだったね。今度衣装描いたの見せて」

蘭子「……や」

P「そっか。それは残念。ところで昼まで二人きりだけどどうする」

蘭子「……ア、アレしたい」

P「わかった。シャワー入ってからでいい? 今朝は暑くて汗かいちゃってさ」

蘭子「我が衣熱帯には向かぬ。生命の雫が零れる」

P「先にどうぞ」

蘭子「城主は我ではない。先行するわけには行かぬ」

P「それじゃ先に入るね」

輿水幸子「──さぁ今日もボクがカワイイのを証明しましょう!」

輿水P「ん? そうだな」

幸子「テンションが低いですよ! カワイイボクを前にして緊張するのはわかりますが、そんなんじゃプロデュースに影響が出ます!」

輿水P「この前からやなことばっかでさ」

幸子「そんなイイワケは見苦しいですよ。ほらほら、今日はあなたにとってボクの初大仕事なんです。だから元気出してください!」

輿水P「…………だな!」

幸子「なにがあったのかなんて知りませんがこれからよろしくお願いされてもいいですよ!」

輿水P「それはこっちのセリフだ」

幸子「未成年、特にボクくらいカワイイアイドルをプロデュースなんてしたことないでしょうから頑張らないとクビになっちゃいますよ!」

輿水P「子どもに興味はない」

幸子「ウソはよくないですよ、ウソは。それではよろしくお願いしますね! たか……いえ、輿水P!」

輿水P「覚悟しろよぉ?」

幸子「──ウウゥゥゥイィィィィヤァァァァァァァァァァァ!!」

輿水P「オラ飛べェ!」

幸子「蹴らなくてもォォォォォ!」

輿水P「さっすが天使」

幸子「ウワァァァァァン!」

輿水P「スゴかったぞ幸子!」

幸子「と、とっとと、当然ですよ……ボクくらいになるとこのくらい3回もやれびへっへっひゃらになっちゃうですよぉ! フッふふ!」

輿水P「本当にお疲れさま。ほれ、これ飲め」

幸子「スポーツドリンクなんてプロデューサーにしては気が利きますね! もらってあげてもいいですよ」

輿水P「ほれ、飲め飲め」

幸子「急かさなくても飲みますよ。せかせかする男の人はモテませんよ? ングングング……ッ!」

輿水P「フハッ」

幸子「ブフッ、ボヘッ! な、なんですかコレ!?」

輿水P「沖縄のにっがーいお茶」

幸子「キクイモ茶じゃないですかぁ! そんなの飲まさないでくださいよぉ!」

輿水P「オイオイそんなこと言っていいんか?」

幸子「何がですか!? 苦いのはじじ……!」

輿水P「そこにそのお茶持ってきたスポンサーがいるんだけどなぁー」

幸子「えっ?」

輿水P「そこにニコニコ顔の老人いっだろ? その人がそうなんだけど?」

幸子「そ、それがどうしたんですかぁ?」

輿水P「声震えてるぞ。スポンサーの機嫌損ねたら……なぁ?」

幸子「ぐっ……ぐぬぬ」

輿水P「幸子だけじゃなくて親戚のおじさんおばさんにも迷惑が……ねぇ」

幸子「美味しいお茶ですね! ボクくらい可愛くなるともう一杯欲しくなりますね!」

輿水P「そう思ってもう一杯用意した」

幸子「プロデューサーも飲んでくださいよ! 美味しいですよ!」

輿水P「断る」

幸子「カワイイボクがオススメしてるんですよ! 飲まないなんて失礼じゃないですか!」

輿水P「今さっきおもいっきし苦い言ってたろ。おっとそろそろ移動だ」

幸子「あっ、そういえば今日は早く帰りたいんですが」

輿水P「なんで?」

幸子「学校の授業でわからないところがあったのでそれを勉強するためです」

輿水P「あのな幸子? 世の中には勉強なんかより大切なものがあるんだ。アイドルのお仕事もその内の一つでな」

幸子「それはわかってますよ。でも夕方までには終わるじゃないですか。車で送ってくださいよ」

輿水P「うーん……よしわかった!」

幸子「──カワイイボクの仕事は終わりです!」

輿水P「ご苦労様」

幸子「さぁ早く送ってください!」

輿水P「あー……それなんだがな…………」

幸子「はい? 早く送ってください。ボクはこう見えて忙しいんですから」

輿水P「仕事入ってな。すまん」

幸子「…………仕事ならしかたないですね。それじゃ電車で帰ります」

輿水P「あぁ、また明日な!」

幸子「…………ふぅ。これくらいで良いでしょう」

幸子「やっぱりノートの清書をしてる時が一番気持ちが落ち着きますね」

幸子「カワイイボクのカッコイイ実績。完璧ですね!」

幸子「それにしてもあのプロデューサーさんなら大丈夫かな? 今まで散々な目にあってきましたけどあれくらいなら言えば聞いてくれそうですし」

幸子「……心配してもしかたないですね! カワイイボクが台無しになってしまいます」

幸子「それよりこの寮は静かになったとはいえまだまだうるさいですね。少し静かにしてほしいです。特に諸星さん。ドタバタ足音がうるさくて敵いません。あの身長だから多少は仕方ないんでしょうか?」

幸子「お腹空いた…………牛丼でも食べたいですね。カワイイボクのカワイイお腹にはだいぶ不釣り合いですけどね。誕生日に60人前の牛丼無料券をプレゼントされたので使わないのは失礼ですし」

幸子「それにしても……あーまたアレ食べたいなぁ。お店の名前覚えておくべきでした。ボクとしたことが失態です。まぁ、今さら後悔しても建設的じゃないですね」

幸子「さぁ、明日に向けて寝ましょう! カワイイボクに睡眠時間は大切ですからね」

杏「…………」

蘭子「…………」

杏「…………」

蘭子「…………」

杏「…………」

P「…………」

蘭子「…………」

杏「…………」

蘭子「…………」

杏「ひまだお!」

蘭子「…………っ……ンッんん!」

杏「チッ」

P「…………はい時間切れ」

蘭子「我は敗けぬ!」

P「もう二時間」

杏「さすがの杏も二時間にらめっこはキツイ」

蘭子「くっ……」

杏「それにしても杏が来たときはビックリしたよ。二人でアレしてるなんて」

P「見つかったのはまずかった」

杏「いやね、杏も好きだよ? 好きだけど時間と場所を考えた方がいいよ」

蘭子「我に時など意味をなさない」

杏「スゴイ声出てたよ。思わず通報しちゃいそうだった」

蘭子「魔指の舞踏会」

P「やっぱり肩凝るよね」

杏「人、それをセクハラという」

P「服のことが? 重いでしょ?」

蘭子「生命の雫は止めどなく流れ失われる」

P「服洗濯しておいた」

蘭子「忝ない」

杏「和風になった」

蘭子「今日は何故にここへ?」

杏「寮がうるさいのと自家発電」

蘭子「雷属性なりや?」

杏「電流は走るね」

P「寮で出来ないのも辛いな」

杏「ぶっちゃけ他の部屋がうるさいときあるから集中できないんだよね」

蘭子「堕天使と天使は異なるもの。解せぬことも珍しくない」

杏「もしかして、シたことないの?」

蘭子「?」

P「純粋に意味がわからないんだと思う」

杏「あのね、今杏たちが話してることはね──」

蘭子「っ! ーーーっ!!」

杏「布団に頭突っ込んじゃった」

P「…………」

杏「でもあの反応だと知ってるよね」

蘭子「うー……ハモー!」

杏「杏の寝るところがない……」

P「そっとしておこう」

杏「ところで今日は他のみんなは?」

P「高森さんはいつも通り。その他は学校か仕事」

杏「学校かぁ……懐かしいなぁ」

P「そこには触れない」

杏「ヘタレ」

P「晩御飯どうする?」

杏「杏はオムライスがいい」

蘭子「紅き弱者を金色の衣で守護せし魔法」

P「オムライスか。卵あったかな」

杏「補充してないなんてPさんらしくない」

蘭子「生け贄が足りないと申すか。怠慢にも程がある」

P「たしかあったと思うけどね」

蘭子「闇の饗宴」

P「いただきます」

杏「いたむむむふ」

蘭子「ッ!?」

杏「相変わらず妙においしいよね」

P「ありがとう」

杏「杏は満足だよ。苦しゅうない」

蘭子「噛み砕き、飲み干し、その存在を消去せんとす。そこに怨み辛みはなく、ただ純粋なる欲があるのみ」

P「よく噛んで食べるように言った成果かな」

杏「Pさんに口酸っぱ……身体に躾られたからね」

蘭子「幼き身を蹂躙せし者!」

P「語弊がある言い方しない」

杏「ぐったりしてるところを後ろから揺さぶられて、たっっっっぷり出されて」

P「食事中」

蘭子「樫の木の暴者! いや、暴君!」

杏「でもいいんだ……杏はPさんじゃないと満足できないカラダにされちゃったけどシアワセだから……フフ」

P「手と口を休めない」

蘭子「…………」

杏「上の空……?」

蘭子「…………しゅご」

杏「妄想系アイドル。イエスだね」

P「大丈夫?」

蘭子「ハッ! コホン……我に敗北など太陽が北から昇るようなもの」

杏「人、それをフラグという」

P「……そういう予兆ってあるよね」

杏「んあ?」

蘭子「不遇なる富貴の影話」

P「そう」

杏「誰の事?」

P「輿水幸子って知ってる?」

杏「この男を知ってるかみたいに聞かれた。杏が知ってるとでも?」

P「不遇と付いてるように扱いが酷いんだ」

杏「どんな感じに」

P「そうだな、例えば……ここにたこ焼きがあるとする。その中の一つに激辛ソースが塗ってあるものがあるとする。それを最初に選んだら確率は?」

杏「当たる確率はすっごい低いよね」

P「だな。それが必ず当たるくらいに不遇」

蘭子「天の邪鬼の罠。いや、天の邪鬼の奸計」

P「所謂ヤラセや仕込みだ」

杏「フゴちゃんが言ってた。ああいうの見て笑ってたけど実際を知ると笑えなくなるって。あれ、フラグ?」

P「大原さんのことは置いてといて、そのくらい不遇な扱いを受けてる」

杏「そういう扱いのアイドル多いけど正直不快」

蘭子「己が使命を見据えぬもの。他者の使命など到底見ること能わず」

P「そういう扱いが楽だからっていうのもある。その方が考えずに済むからね」

蘭子「葦でなくなったヒトの末路。暴走する淫魔の如し」

P「仕事が円滑に進んでるように思えるからね」

蘭子「地獄を見下ろさず、どこを見るか。天を仰ぐか己が頭を抱えるか……もはや考える人とは呼べぬ」

P「美術作品の名前なんてよく知ってるね」

蘭子「我にとって理の当然。呼吸するのに思考は不要」

P「そう。考えるのが不要だから楽でこういうことが多い」

杏「私もなぁーんにも考えず生きていきたい」

蘭子「…………」

P「さて、食べ終わって少し食休みも済んだことだし片付けるか」

杏「さて、杏は寝るよ」

蘭子「我が手を貸す。片付けなど赤子の手を捻るようなもの」

杏「通報しなきゃ」

蘭子「──ハ……ぁう……うぅぅ」

杏「あー極楽」

蘭子「フランス革命……キリストの生誕秘話……産業革命……宗教的対立……アンインストール」

P「理解できないのはわかるけど深呼吸して」

杏「なにもしなくても胸は膨らんでるけどね。へっ」

蘭子「我は裸体など、み、見飽きた。欠伸が出るわ」

杏「タオルの端を握りしめながら言われても説得力がない」

P「だから言ったのに……」

杏「杏に風呂に入るなと? 変態性癖の持ち主? さすがにこの暑いのに三日間入らないのは杏といえどむーりぃー」

蘭子「…………」

杏「それにしても犯罪臭がヤバい」

蘭子「…………我が體、煮るなり焼くなり好きにしていいわ」

P「決心がついたのはいいと思うけどその言い方は……」

蘭子「……恥ずかしいんだもん」

杏「ところで話の続きなんだけどその輿水幸子ちゃんがどうしたの?」

P「ひどい扱いを受けてるのはさっき話したよね」

杏「芸人みたいなことさせられてるのは話された。それ以外は?」

P「八方塞がり、四面楚歌。やっかみ、妬みに僻み」

杏「どういうこと?」

P「彼女は所謂良いとこの育ちなんだ。それは彼女もわかってる。加えて年齢のこと。心中複雑なんだ」

杏「いまいちよくわからないお」

P「話せば長くなる」

杏「逆上せるね」

蘭子「逆さま世界」

P「不遇の件に戻る。そんな扱いを受けてきたから今のプロデューサーで三人目。おそらく彼も彼女の扱いを変える気はない。いや、毛頭ない。だから、おそらく彼女は──」

幸子「勉強ノートを見たい?」

輿水P「あぁ!」

幸子「ボクのノートなんて見てどうするんですか? そもそもプロデューサーの可哀想な頭では理解できませんよ」

輿水P「完璧な幸子の完璧なノートとやらをみたくなってな。それに新たな魅力が発見されるかもしんないだろ? それともなにか隠し事が……」

幸子「完璧なボクに隠し事なんてあるわけないじゃないですか」

輿水P「それじゃあぁ見ても問題ないな」

幸子「全くしょうがないですね! 勉学に目覚めたプロデューサーに"特別"に見せてあげます! あっ、そうだ。偶然鞄の中に清書をする前のですがあるので見せてあげます! ちょっと待っててください」

輿水P「…………フッ」


小梅「──スニーキング……ミ、ミッション」

P「それでまた段ボールか」

小梅「ん……しょ」

蘭子「なぜ我が盛り人に姿を変えねばならない」

P「あのままの格好だと目立つからね。髪の毛上げさせたのだって暑そうだったから。下ろす?」

蘭子「たまには二又馬尾も悪くない」

小梅「あとでお団子に……してあげるね」

P「それにしてもなにか嫌な予感がする」

蘭子「第六感が囁くか。其はいかなるもの」

P「さっきまゆから上機嫌なメールがあってな」

蘭子「反逆者……!」

P「いや、担当プロデューサーの事が好きでもいいけどさ。そうじゃなくて……それ誰から聞いた?」

蘭子「……妖精さん」

P「杏め。まぁそれはいいとして、こういうメール着信したときってなにか悪巧みしてるときなんだ。主にオレに関する」

小梅「そ、そういえば今朝……なにかガチャガチャしてた。何か用意してた……道具かな……?」

P「部屋を用意しておいてくれとも言われた」

蘭子「儀式の準備……!」

P「とりあえず新しい部屋用意しておいた」

蘭子「異世界からの契りの代償、はかり知れぬ」

小梅「収入……謎だね」

蘭子「謎は書くも人を魅了する」

P「オレの収入のことはいい。ほら、輿水さんが来たよ」

蘭子「黒白は常に眼前にある……」

小梅「涼しそう……だね」

P「それなら向こうに行けばいいんじゃないか? オレは見つかると厄介だから行けないから行かないだけで、向こうにいっても問題ないよ」

蘭子「我にとって孤独は現。されどヒトには悪夢。相容れぬ存在……身をもって知っている」

P「…………」

小梅「蘭子ちゃん……」

蘭子「慰めは要らぬ……」

P「…………」

蘭子「些末なことより不遇なる富貴は眼前」

P「ノートと辞書を取り出して何か書いてる」

蘭子「文を認める……召喚の儀式なるか」

P「手紙じゃないね」

蘭子「ふむ……グゥゥ……昼を認めたい」

小梅「アンパン、どうぞ」

蘭子「暗黒物質は皆殺し以外認めぬ」

P「こし餡だよ。それにしてもまゆは何を認めてるのか……想像したくないね」

蘭子「ムグムグ……状況を認めよう」

P「見た方が早い」

幸子「えっと……ここはこっちの方が分かりやすいですね。それと……ありがとうございます。あ、そこに置いといてください」

幸子「あまり細かくするとゴチャゴチャとしちゃいますね。もう少し大まかに纏めても良いでしょう。それとここは……」

幸子「おっと、せっかくのアイスティーが温くなってしまいます。一先ず休憩してと」

幸子「……ンー♪ やっぱりここのアイスティーは最高ですね。ボクが眼をつけるだけあります。さすがボク」

幸子「それにしても平日の昼間だからか人が疎らですね。勤勉なのは良いことです。ウンウン」

幸子「プロデューサー達ももう少しまともであれば良いんですが…………あれはあれでまともなのかな?」

幸子「プロデューサーの仕事には明るくないですがボクのために頑張ってくれてるので良しとしましょう」

幸子「今回は長いといいなぁ……」

幸子「ハッ! 暗くなってはダメですね。気持ちを切り替えないと。三度目の正直と言いますし、大丈夫でしょう! なにせ天使なボクが言うんです」

幸子「サンドイッチも頼もうかな……」

幸子「いやいや、どこでなにがあるかわかりませんし用心に越したことはないです」

幸子「となるとこのアイスティーも……いやいやお店の人を疑うのは良くないです。さぁ、気持ちを切り替えないと!」

蘭子「冷気で結び付きし水、喉を潤す茶水に落とされ涼しげに踊る」

小梅「暑いときには……」

蘭子「塩飴……」

P「終わったら奢るから」

蘭子「奮起に至れり」

P「それで輿水さんは何してた?」

蘭子「冷気と戯れ書を認める。魔力の補給をしようとするも闇の中で戸惑う」

P「飲み物頼むので精一杯だろうね」

蘭子「輝きし代償もしくは国家紙片の不足か。いや、富める出身なれば其はないか」

P「お金は不足してないよ。それなりに人気だし」

蘭子「ラビリンス……」

P「今までの事があるから……かな」

蘭子「歴史を紐解かねば」

P「帰ったら話すよ」

蘭子「禁忌に触れんとす」

P「いろんな意味であまり言いたくはないけどね」

蘭子「…………さすれば我は耳を塞ぐ」

P「知っておいて損はないというか知っておくべきかもね」

小梅「ぁ……移動するよ」

P「……段ボールから出たら?」

蘭子「箱から覗く双眼と蠢く双腕。蠱惑なる神目」

??「こんなとこでなにしてるのよアンタ」

蘭子「ソドムの光……!?」

??「ア?」

小梅「あれ? この人……デ」

ng@「それ以上言ったらうさちゃんがお仕置きしちゃうわよ☆ それより約束は明日よね?」

蘭子「追跡任務」

小梅「スニーキング……ミッション」

ng@「要はストーカーよねそれ。とうとう犯罪に走ったのね……」

P「そうじゃなくて輿水幸子を調べてるんだ」

ng@「アンタが知りたいっていってたあの子ね。我慢できなくてとうとう行動に移したの?」

P「そうじゃないですよ」

ng@「まぁいいわ。手間が省けるから今済ませましょう。そこのカフェでいいわね」

小梅「Pさん見られちゃ……ま、まずい。それに高そう……」

ng@「私がわがままで今済ますんだから私が払うわよ」

蘭子「大いなる力」

ng@「私が稼いだお金をどう使おうと勝手でしょ。悪いことに使うんじゃなし」

蘭子「我の言葉が聴こえる……?」

ng@「少し違うけどうちの事務所にも難しい言葉使いのアイドルいるから。あれは古風っていうのかしら」

蘭子「種族の共鳴……!」

ng@「すんごい目輝いてるわね。今度時間あったら話してみるわ」

蘭子「是非」

ng@「それで輿水幸子の事だったわね。えぇ、勿論知ってるわ。といっても私達に面識はないわ。お父様が知り合いなの」

P「らしいね」

ng@「それで何が知りたいのかしら。私から聞かなくても全部知ってそうだけども」

P「確信が欲しいだけです」

ng@「そうすると知りたいのは性格その他の事ね」

P「はい」

小梅「た、高いね……!」

蘭子「ぬっ、ぬぅ」

ng@「何頼んだっていいわよ。そのくらい支払えるギャラはもらってるから」

蘭子「ギャランデュー!」

ng@「そうなのよー毛がフッサフサだったのに最近は交代してー……あのね!」

小梅「ノリ……いい」

P「話が進まない」

ng@「それで彼女の事だけど、まぁ知っての通りお金持ちのお嬢様」

蘭子「覇気は隠匿出来ぬ存在証明」

ng@「親戚に通産省とか政治家や運送業やってるところがたっくさん。家とは少し毛色が違うお金持ちね」

P「それで?」

ng@「性格は努力家。私みたいに家の力に頼りたくないっていうのじゃなくて、自分の生まれも大切にしてる。困ったときは相談してるらしいわ。お父様が羨ましそうに話してたのが少しだけ癪に障ったわ。私にも原因があるのだけどね」

蘭子「乙女心はクレーテー迷宮」

ng@「あと人より世間の目を気にするらしいわ。自分の行動が家に与える影響というのをわかってるのね」

P「なるほど」

ng@「それと思ったことを口にできないって聞いたわ。ツンデレってやつかしら? 損な性格よね」

小梅「でも気持ち……わかるかも」

蘭子「朧月夜」

ng@「私がわかるのはそれくらいね。大した事知らなくてごめんなさい」

P「それだけ知ることができれば大丈夫です。ありがとうございます」

ng@「ん。ん?」

小梅「……かわいい」

ng@「シャルルの事?」

蘭子「帝王?」

ng@「うさちゃんの名前よ」

小梅「ウサギの足いる?」

P「生物はダメ」

小梅「残念……」

ng@「それで注文は決まった?」

小梅「き、決まった」

蘭子「決心」

ng@「それじゃ注文しましょ」

幸子「──終わったぁー!」

幸子「これをプロデューサーに渡せばボクの完璧さが少しはわかるでしょう。ついでに可愛く解説もつけました」

幸子「…………元のノートも少し持っていった方がよりわかるでしょうか? うーん…………よし」

幸子「お風呂に入る前に少しだけ厳選していきましょう。教科は理科と社会と……現国にしましょう」

幸子「お風呂から上がったら化粧水を塗って……可愛さを維持するのも大変ですね」

幸子「あれ? おかしい」

幸子「このノートこんなんでしたっけ? でもボクの字ですし……気のせいでしょうか。心なしか減ってるような……うーん」

幸子「……長いこと目と脳を使ったので疲れてるんですね。カワイイボクを疲労させるなんてプロデューサーも罪な人ですね!」

幸子「それはそうと明日のスケジュールの確認をしないと。明日は…………よし。さて、お風呂に入って寝ましょう」

幸子「早く今のプロデューサーに認められないと。"本当"のボクを見てもらわないといけないですからね」

幸子「楓さんには悪いですがボクにはもう後がないので奪い取る気持ちでいかせてもらいます。うん、頑張ろ。うまく行けばそのままずっとボクの隣に……フッフフ」

幸子「な、なーんて恥ずかしい妄想はこれくらいにして休むことに集中しましょう」

P「──ただいま」

杏「おあえりー」

P「玄関で寝そべってどうした」

杏「杏は思うんだ。文明の利器ってスゴいよね。気候まで操るんだからさ」

P「エアコンか」

杏「あー床が冷たくでぎぼぢー」

小梅「Pさん……おかえり……」

P「長袖で暑くないか?」

小梅「でもこの下……ハダカ……」

蘭子「さんかれあ……」

P「酸化してそうなくらいグッタリしてるね。お風呂入ったら冷たい飲み物でも飲むか」

杏「冷たいものないけど?」

P「そう思って買ってきた。オレの分は冷やしておくから先飲んでて。シャワーから出たら飲む。」

杏「給湯器壊れてるっぽいよ?」

P「あまり健康と疲労に良くないけど水風呂にする」

蘭子「ハッ!!」

杏「っ!!」

小梅「あ……」

杏「──なんで二人もいるのさ」

小梅「き、今日、お風呂……入ってない」

蘭子「神の右席」

P「杏はいいとして他二人はちょっとね」

小梅「は、恥ずかしい……?」

P「ちょっと狭いからさ」
杏「杏がPさんに密着してる状態なんだよ。わかるかな?」

小梅「私も……詰める」

杏「一体化しそう」
P「狭くてごめん」

蘭子「それでも人は更なる場所を求めるか。それは業か」

P「三人なら余裕なんだけど四人となるとさすがに少しだけ狭さを感じる」
杏「それでも余裕じゃない? 問題は……」

蘭子「胸中を見透かす視線を感じる」

小梅「…………」

P「気になるものなんだね」
杏「杏はとっくに通りすぎた道だよ。私は私、人は人」

小梅「こういうの……た、楽しいね……」

杏「杏は迷惑」

小梅「そ、そんな……」

蘭子「…………」

P「オレは出るよ」

蘭子「ヒトに臆したりなどせぬ。戯れに過ぎぬ」

P「出た方が広くなる」

蘭子「時の戯れには程よい」

杏「Pさんが出たら杏はどうすればいいの? まだこのぬるま湯に浸かっていたいよ」
P「でもなぁ」

小梅「並ぶ順番変える……?」

杏「並ぶ順番変えたら杏がはじっこでパーン!しちゃう」

小梅「Pさんが真ん中、私がPさんの右、杏さんが左」

杏「せまっ、んァ」
P「ごめん指が当たった」

蘭子「我は何処に?」

小梅「ここ……だよ」

蘭子「双脚の挟撃!? 悪魔の所業!」

P「そこはさすがに神崎さん嫌だよ」

蘭子「我に掛かれば稚戯──」

蘭子「…………」
P「…………」
杏「…………」

小梅「た、楽しいね」

杏「楽しいか? なにかの罰ゲームに等しいと思う」

蘭子「ブクブクブクブブブ」
P「鼻に水入るよ」
蘭子「バベニビボノボボボボホボビブ」
P「さすがにそれはわからない」
小梅「ところで……ど、どのくらいお金持ちなのかな」

杏「幸子ちゃんのこと?」

小梅「うん……」

杏「杏の家も裕福らしいけど家は普通の家」
P「お金持ちといってもいろいろだからね。でも変なイメージ持たれるのはしかたないかもね」

蘭子「城に住むは幻想に過ぎぬというのか」

P「お金持ちに限らず、物に対するイメージってあるよ」
杏「杏は実はやれば出来る子だとかね」

蘭子「衆愚の妄信も世の常と申すか……」
P「辛いけどそれに答えるのもこの仕事」
蘭子「苦行なくして安息なし……か」
P「そこまで言わないけどね。期待に沿うようにするのは大変だよ」
蘭子「魂の解放は幻想か……はたまた……」

杏「杏はなぁんにも考えなくていいと思う。気楽にいけばいいよ」
P「それもありだね。要は自分を追い詰めなければいいの。それが難しいけどさ」
蘭子「…………」
P「……大丈夫」
蘭子「…………」

小梅「?」

杏「ねえ、そろそろほどよく冷えてる頃だと思うよ? 出ようよ」
P「そうだな」

幸子「おはようございます!」

輿水P「おう、おはよう!」

幸子「はいこれ!」

輿水P「あ?」

幸子「なに呆けた顔してるんですか。間抜けな顔がもっと間抜けに見えますよ! 約束した清書したボクの勉強ノートですよ! 覚えてないとは言わせないですよ!」

輿水P「すまんすまん。覚えてる覚えてる。少し寝惚けてただけだ。うん、ありがとう」

幸子「それを読んで少しは勉強してくださいね。そしてもっとボクに相応しいプロデューサーになってください! ボクの手書きなんですから流し読みは許しませんよ?」

輿水P「わざわざ悪いな」

幸子「それとこれ」

輿水P「これもノートだな」

幸子「ボクが昔、といっても小学校の頃のノートですが、それを読んで基礎を勉強してください。基礎や基本は大切ですから!」

輿水P「おう。それじゃ今日の仕事に行くか」

幸子「ボクにかかればどんな仕事も楽勝です!」

輿水P「いい結果期待してるぞ」

幸子「言われなくてもわかってます! それじゃ着替えてきます」

輿水P「…………ホント期待してるからなぁ。ハハハハハハ」

P「…………」

蘭子「何を見ている」

P「宝物って様々だなと思ってな」

蘭子「形など幻影だと思わされるときがある。宝も或いは……」

P「顔が赤いけど大丈夫?」

蘭子「高鳴る鼓動は抑えられず」

P「昨日はごめん」

蘭子「贖罪は片翼では成立せぬ。我が片翼は白く染まれり。故に罪は我にあり」

P「それでもオレみたいなのは嫌だろ?」

蘭子「過ぎたる自虐は諸刃の剣。用いぬ事を命令する」

P「そうだね。ごめん」

蘭子「些末なこと。食したパンの数を覚えるに等しい。それより先の言霊の行方が気になる」

P「これは──」

まゆ「準備できました」

P「おはよう。オレも参加するんだろ?」

まゆ「察しが良くて助かります♪」

P「行こう」

まゆ「あら、もっと嫌がるかと思ったのに……意外」

P「覚悟を決めるときはオレにもある。本当は参加したくないけどね」

まゆ「でもそのために髭を伸ばしてたのでしょう?」

P「念には念を」

まゆ「それじゃ迎えにいってきます」

P「そろそろ収録が始まるころだ。つく頃にはちょうどいい頃合いになる」

まゆ「Pさんがいない間のこちらは任せてください」

P「頼む」

まゆ「もっと誉めてくれてもいいんですよ?」

P「車は向こうに先に送っておく」

まゆ「はぁーい」

幸子「うーん……」

輿水P「どうした?」

幸子「少し疑問があって……ドッキリカメラって事前に言うものなんですか?」

輿水P「そういうのもある」

幸子「ボクはこんな形のは初めてです」

輿水P「気にすんな。それよりそろそろ出番だ」

幸子「それじゃよく見ててください。ボクのびっくりする演技を見たら度肝を抜きますから!」

輿水P「楽しみにしてる」

幸子「覚悟してください!」

司会「──はい輿水幸子ちゃんでした」

幸子「ハァ……ハァ……ヒィ……フゥ」

司会「撮影直後こうしてスタジオに来てもらってっけどやードロ被ったり水浸しなったり大変だったねー」

幸子「こ、このくらいボクにかかれば、ぜ、ぜっ全然……平気っですよっ」

司会「そーんな幸子ちゃんにプロデューサーさんから一言あるそーです」

幸子「ボクがこんなに頑張ったのですから当然ですよっ、あいたたっ」

司会「腰にキテるねーハハハ」

幸子「少し座っても?」

司会「ダメー。はいプロデューサーさんの登場です!」

輿水P「お疲れさま!」

幸子「そんなんじゃ足りません! もっと褒めてもバチは当たりませんから誉めてくださいっ!」

輿水P「プレゼントがあるんだが受け取ってくれるか?」

幸子「受け取ってあげなくもなくはないです!」

輿水P「プレゼントは…………これだ!」

幸子「本……?」

輿水P「よく見て」

幸子「あっ、ノートですか。もしかしてこれ以上ボクに賢くなれってことですか? これ以上賢くなったら大変ですよ! 天変地異が起こります!」

輿水P「お前には枷がついてる」

幸子「いきなりなんの話をしてるんですか? 枷なんてボクとプロデューサーにかかれば楽勝に……!」

輿水P「その枷とはなにか……ズバリこれだ!」

幸子「ボクの賢さに嫉妬ですか? 男の人の嫉妬はみっともないです。だからモテないんですよ! でも安心してください。ボクがい……!」

輿水P「これがなんだかわかるか?」

幸子「わかるもなにもそれはボクがあげたノートですからね。どうですか、役に立ちました? 立たないわけないですよね。なにせこのボクが小学校の頃からまとめてきた勉強ノートですからね。ボクの宝物ですよ」

輿水P「これを読んでよーくわかった」

幸子「ボクの解説は分かりやすいでしょ♪ プロデューサーにもわかるようにボクのカワイイ解説図つきです。というか何冊か減ってると思ったらあなたが持っていたんですか。言ってくれれば貸したのに、黙って持ってくなんて泥棒になっちゃいますよ?」

輿水P「これはお前の枷だと。枷は人の行動に制限を与える。もっとお前が活躍するには枷を外さなくてはいけない。その勤勉さ、真面目という枷を」

幸子「ハッ? 何をいってるんですか。笑えない冗談はやめてくださいよ。枷なわけな……」

輿水P「これを燃やす」

幸子「え」

輿水P「さっきもいったがお前の真面目な部分はこの先邪魔になる」

幸子「ボクにバカになれって言うんです!? 嫌ですよ!」

輿水P「そうだ。真面目なやつ、特にお前はバカを貶してる。バカを舐めるなよ?」

幸子「プロデューサーこそバカなこと言ってないで早くドッキリ大成功!の看板を出してくださいよ。わかってるんですよ? これもドッキリの一部だって」

輿水P「このノートがニセモノに見えるとでも?」

幸子「それは本物ですよ。ボクがボクのものを見間違えるわけないじゃないですか。それはリアリティーを出すための演出ですよね? あ、ここは編集でカットですね。ですからプロデューサーがボクの物を燃やすなんてことするわけ……」

輿水P「…………」

幸子「無言で指パッチンしないで……あの、あっ、あれ? 火が落ちてきましたよ。えっ、ちょ、ほっ、本当に燃えてませんか!?」

輿水P「周りに影響はない」

幸子「そういうことじゃなくて……! 止めてくださいよ!」

輿水P「お前のためだ」

幸子「やめてくださっ、やっ、やめっ! ボクの、ボクのノートっ!」

輿水P「…………」

幸子「イヤァ! やめてください! やっ、ボクのノート……! やめて! やめて! やめッ……いやぁぁぁぁぁぁ!」

輿水P「……プッ──」

まゆ「迎えにいってきました。それと準備できました」

P「わかった。どんな様子だ」

まゆ「よほどショックだったのでしょう。思考が停止してました。なんの疑いも持たずこちらの誘導にすんなり従ってくれたのがいい証拠です」

P「普段なら事前に話がない限り疑うからな」

まゆ「部屋の鍵はこれです」

P「手荒なことはしてないよな?」

まゆ「はい。ただ、暴れたり叫んだりするといけないので、用心のため目隠し程度はしました。頃合いを見て外してあげてください」

P「わかった」

まゆ「あとのことお願いします」

P「あぁ。それはいいが髭触るのやめてもらえるかな」

まゆ「このショリショリ感が癖になりそう♪ しょりしょりー♪」

P「…………」

まゆ「ぁんっ♪」

P「二日くらいかかるかもしれない」

まゆ「あとのことは任せてください」

P「まかせた」

まゆ「はい。あっ、それと…………ン」

P「…………」

まゆ「うふ♪」

P「──目隠し程度はしたと聞いたけど……」

幸子「んー! むぅー! ンー!」

P「目隠しにギャグボールに緊縛……やり過ぎだ。あの本持っていったのはこういうことか」

幸子「ヘェーハフゥーフゥー」

P「涎がすごいな。まずは拭いてあげないと」

幸子「んまっ……クチャ……ブッ」

P「音だか声だかわからない。外すよ」

幸子「えゥ……ぁ」

P「次は」

幸子「こ、ここどこなんですか! 真っ暗でなにも見えない!」

P「今目隠し取るから」

幸子「触らなっ……!」

P「いたっ……はい取れた」

幸子「まぶし……っ」

P「やぁ」

幸子「だ、だっ、誰ですかあなたは!」

P「誰でもいい」

幸子「あっ、ドッキリの続きですね!」

P「…………」

幸子「プロデューサーから口止めされてるのは知ってます!」

P「…………」

幸子「だ、黙ってないでなにかいってくださいよ……! とりあえず腕のほどいてくれません?」

P「…………」

幸子「ちょっ、あぁっ! 行っちゃった」

幸子「なんだったんでしょう…………」

幸子「ドッキリじゃないとしてなんなんでしょう……無精髭の怪しい人でした」

幸子「…………あれ? もしかしてボク…………とてもまずい状況?」

幸子「変態なファンに捕まって……いっいやそんなこと……」

P「…………」

幸子「あっ」

P「…………」

幸子「あのっ、この食事は……あッ、ちょっ……まぁっ……また行っちゃった」

幸子「手が自由になったのはいいですが腕がまだ縛られたまま……まぁ一応食べられますけど……」

幸子「おいしそう…………ゴクリ」

幸子「いやいやいやダメだダメだ駄目です駄目ですっ。あれには絶対エッチになる薬が入ってますそうに違いありません!」

幸子「もしくはたっっっっっっっぷりの唾液やカラシが入っててボクが苦しんでるのを見て楽しむに決まってます……! 」

幸子「ふっふーんその手には引っ掛かりませんよ! その道はもう通りました。同じ轍は踏みませんよーだ!」

幸子「あの一見おいしそうなホットミルクには精ぇとても口にできないようなものが入ってるに決まってます! ボクに飲まそうとしてもムダです」

幸子「それにあのサラダもそうです。ドレッシングがと一緒に赤いものも混じってます。唐辛子、いやハバネロです!」

幸子「それにパン! ボクがパンが苦手なのを知ってて出してるに違いありません!」

幸子「こんなの誰が食べるものですか! ボクは徹底抗戦しますよ!」

P「…………」

幸子「ふっふーん」

P「食べてないのか」

幸子「ボクを騙そうとしても無駄ですよ。こんなのに引っ掛かるボクではありません」

P「食べないならオレが食べる」

幸子「えっ? あ、いっおっ、自分の食べたり飲んだりしてどういう気です?」

P「…………また来る」

幸子「ど、どういうことなんでしょう……? もしかしてなんともなかった?」

幸子「いやいやいやいやいやいやいやあれはこちらを信頼させるための罠。きっとイカみたいな味がするから食べ慣れてるだけでしょう。いか臭いとか言いますし!」

幸子「ボクは絶対陥落しませんよ!」

幸子「隙を見て逃げ出してみせまグゥゥゥゥすぅぅぅ……」

幸子「お腹……すいた……」

幸子「…………」

幸子「…………今何時でしょう」

幸子「それにしてもこの部屋可愛く飾られてます。あの人が飾り付けたのでしょうか?」

幸子「だとしたら納得というかなんというか……ボクの趣味じゃないですがああいう人は女の子に夢見るものですからね」

幸子「ボクは紅や朱色より紫が好きです。まぁ赤系も嫌いじゃないですがどうもこう主張しすぎるところが……」

幸子「ハッ! 対抗心を失うところでした! 危ない危ない。ハングリー精神は大切ですから!」

P「…………」

幸子「ひっ……!」

P「…………」

幸子「う、腕を引っ張らないでください……!」

P「…………」

幸子「お、お風呂場に連れてきてどうする気で……」

P「脱げ」

幸子「っ!!!!!!!」

P「脱がないなら手伝おうか?」

幸子「そ、それくらい自分で出来ます! そうじゃなくて何で脱ぐんですか!?」

P「風呂に入るのに服を着たまま入りたいならそうして」

幸子「あっ、わかった! 熱湯攻めでしょ! あれは温くなってると思ってたけど地味に熱いんですからね! 今回もそれでしょう! そうに違いありません!」

P「…………」

幸子「ハッ、もしや! ボクの身体をまさぐって楽しむ気じゃ!」

P「一人だときちんと洗わないだろ」

幸子「失礼な! きちんと洗いますよ! そうじゃなくて」

P「入るのか入らないのか決めて」

幸子「は、入りますよ。そんなに迫らなくても……」

P「…………」

幸子「ゆ、油断なんてするもんか」

P「痒いところは?」

幸子「…………ありません」

P「そう」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「油断したところをガバッ!と……油断なんてするもんですか」

P「湯船には?」

幸子「熱湯が入ってるところに誰が入ると思います?」

P「…………」

幸子「ちょっちょっと! なに脱いでるんですか!? とうとう我慢できなく……!」

P「……ふぅ」

幸子「えっ、ちょ……なにしてるんですか?」

P「湯船に浸かってる」

幸子「え? もしかして熱湯攻めじゃ…………いやいやいやいやいや実はあなたは全国熱湯選手権の王者なんでしょ! 知ってますよテレビ局がそういう変な人を連れてくることくらい。とうとう尻尾を出しましたね!」

P「疲れが違うよ。恋の病以外に効く草津の湯の温泉の元入り」

幸子「くっ、ほんの少しだけ魅力的……! しかも湯船は広々」

P「…………」

幸子「ま、負けたわけじゃないですからね……勘違いしないでくださいよ!」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「端っこで膝抱えて睨んでるけど疲れない?」

幸子「…………いいえ」

P「そう……」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「──おやすみ」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………ふん」

P「…………」

幸子「…………」

幸子「…………負けるもんか……ボクはカワイイんです」

幸子「あの人も一人目のプロデューサーみたいにボクを痛め付けたいんだ……」

幸子「それとも二人目みたいにボクの親戚が目当てなのかな……」

幸子「今のプロデューサーはボクに何を求めてるんでしょう……期待はしてないけど気になります……」

幸子「無事にここから出られる可能性があればですけど……これは期待するだけムダかもしれません」

幸子「…………寝たら襲われる……寝るもんか……絶対に眠ってなんてあげません──」

P「…………」

P「…………」

P「…………」

P「……………………」

P「時間かかるかもしれないな」

P「……………………」

P「…………」

幸子「…………ハッ」

幸子「眠っちゃった! あっ!?」

幸子「よ、よかった……なんともない」

幸子「…………いえこれもボクを安心させて襲う策。引っ掛かりません……あのブタの目は野獣の目です。ボクのファンみたいで気持ち悪い……」

幸子「そう気持ち悪いんです。だから信用してはダメなんです…………気持ち悪い……気持ち悪い……気持ち悪い」

幸子「信頼してはダメなんです……信頼しても裏切られるんです……期待するボクが甘かった……信頼しても裏があるんです……! どうせ裏切られるなら……最初から」

P「おはよう」

幸子「来ましたね」

P「朝食持ってきたよ」

幸子「なんですかその量は。ボクを太らせる気ですか?」

P「オレの分もある」

幸子「ボクは食べません」

P「そうか」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「食べないんですか?」

P「食べない」

幸子「勿体ないことしますね。あなたたちはいつもそうです。食べ物で遊んで楽しいですか?」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「……食べないと張り合いがなくなりますからね…………食べますよ。ただしっ!」

P「…………」

幸子「あなたが食べてから食べます。一緒のお皿は嫌ですがこの際四の五の言ってられません。早く食べてください」

P「わかった」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「なんともなさそうなのでそのサラダだけは食べます」

P「どうぞ」

幸子「…………」

P「なにか欲しいものある?」

幸子「…………何もないです」

P「わかった。何かあったら呼んで」

幸子「なにもないですよ」

P「…………」

幸子「…………」

幸子「なんなんですかあの人……」

幸子「なにもしてないのも時間のムダですね…………ドッキリだとしてらカメラはこの辺に……ないですね」

幸子「あっ、棚みたいな比較的低いところにある場合も……ないですね」

幸子「それならドッキリじゃない? だとすると変なファンに捕まったと考えるのが妥当でしょう」

幸子「それにしてもなにが目的なのか、未だにわかりません。ボクを凌辱するならもうとっくにやってますよね。ボクが気絶してる間とかお風呂の時とかクスリを打つとか」

幸子「……ヘンゼルとグレーテルみたいに太らせてから抱く? でもそれなら高カロリーな料理を用意するはず。あれは逆にヘルシーです」

幸子「健康にして最高の状態にしてから抱く……これが妥当かもしれませんね」

幸子「とにかく、簡単に心は許しません」

蘭子「──我が友の魂は霧の中……」

杏「心配してもしかたないよ。胃に悪いだけだよ?」

まゆ「終わるまで出てきません」

蘭子「…………」

まゆ「それなりの覚悟をしてました。持ち込んだ荷物の量が物語ってます」

蘭子「イージスの楯」

まゆ「待つしかないわ……」

幸子「…………」

P「なにか?」

幸子「用事があるなら来いっていったのはそっちでしょう」

P「それでなにかあった?」

幸子「暇なので本を用意してください。エッチな本以外」

P「はい」

幸子「すぐ出てくるなんてボクのことを知り尽くしてるんですね。ますます怪しい」

P「読み終わったら次の貸す」

幸子「…………」

P「それとお昼だけどなにがいい」

幸子「ボクの好きなものを」

P「わかった──」

幸子「……悔しいけど面白かった。ますますストーカー染みてますね」

幸子「それにしてもこの本ずいぶん読み込まれてますね。あの人の持ち物なんでしょうか?」

幸子「こんな本を読むのにこんなことをするなて嘆かわしいですね」

幸子「……………………」

P「お待たせ」

幸子「ひっ!」

P「お昼持ってきた」

幸子「驚かさないでください! 楽しいですか!?」

P「全然」

幸子「それは…………オムライスですか。センスがないですね。その大きさもずいぶんとまぁ」

P「オレの分もある」

幸子「またですか。こういうときでもないとボクみたいなカワイイ女の子と食事なんて出来ないから舞い上がるのはわかりますが……」

P「…………」

幸子「…………食べないんですか?」

P「君からどうぞ」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「……はいこれ」

P「取り分けてくれてどうも」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「やっぱりセンスがないですね。卵だってこんなに固い」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「本……新しいの用意してください」

P「早いね」

幸子「カワイイボクに速読なんて朝飯前です」

P「まとめて貸す」

幸子「…………でも信用なんてしません」

P「それでいいよ──」

みちる「こんばんは。闇満ちる時、大原みちるです」

蘭子「今宵も友の魂はさ迷う」

みちる「でもPさんなら簡単に終えられそうフゴ」

まゆ「パンを放しましょうねぇー」

みちる「フゴォォォ……」

蘭子「我が友は業火に焼かれる」

みちる「Pさんならほんと簡単に終えそうだけど? 気になったので二度言いました」

まゆ「Pさんにも色々あるの。それより晩御飯はなにがいい?」

みちる「パン!」

蘭子「闇の刃で殺ぎ落とし白塊。地獄の釜で茹で殺す」

まゆ「刀削麺はさすがにまゆも無理♪」

杏「…………」

みちる「狂宴は刻を告げる!」

蘭子「っ!!」

杏「……ごちそうさま」

まゆ「片付けも終わったしもう寝ましょう♪」

みちる「寝る前に少し話しましょう」

蘭子「下々の紡ぐ言霊もまた一興」

みちる「コイバナ?」

蘭子「ッッッ!!」

杏「…………」

まゆ「……杏ちゃん?」

杏「…………こっちに来て」

まゆ「……?」

杏「Pさんにしては遅くない? 理由知ってるんでしょ?」

まゆ「えぇ」

杏「……教えてよ」

まゆ「言っても信じられないと思うわ」

杏「それをどう感じるかは杏が決めるよ」

まゆ「それもそうね。Pさんが時間かかってるのは……気持ちの問題──」

幸子「…………」

P「……寝る前になにかある?」

幸子「特にないです」

P「そう……」

幸子「……な、なにが目的なんですか?」

P「目的?」

幸子「ボ、ボクになにがしたいんですかって聞いてるんです」

P「…………」

幸子「今日のお昼後だって不必要なくらいお茶出しましたよね!?」

P「君が要求したから持っていった」

幸子「ボクが頼んでないこともしましたよね」

P「読んでる本の続き持っていっただけだ」

幸子「シャンプーだってなんであんなに品揃えがいいんですか」

P「どういうの使うかわからないから」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「ボ……」

P「…………」

幸子「ボクに……!」

P「…………」

幸子「ボクに!」

P「…………」

幸子「ボクに優しくしないでください!」

P「…………」

幸子「本当になにが目的なんです!? ボクの親戚ですか! 痛め付けたいんですか! それとも身体ですか!?」

P「…………」

幸子「モテない人って哀れですね! ほら抱いたらどうですか!? お金持ちのお嬢様の処女ですよ!」

P「…………」

幸子「ほらほらほら」

P「…………」

幸子「よ、ようやく本心を現しましたね!」

P「…………」

幸子「だっ、抱き締めてるだけで満足なんですか? 乱暴にしてもいいんですよ! ほらほらほら!」

P「…………」

幸子「だからボクに優しくしないでくださいよー!」

P「…………」

幸子「いつボクを裏切るんですか!? 信用させるだけさせたらどうせ裏切るんでしょう!」

P「…………」

幸子「これ以上ボクからなにを奪いたいんです! なにをさせたら満足なんですか!? 飛行機から蹴落としてダイビングさせるんですか!? 水でもかけて濡れたところを笑うんですか!」

P「…………」

幸子「幸子は弄られてるときが輝くなーってなんですか!」

P「…………」

幸子「ボクだって空気くらい読みますよ! ですがボクの気持ちはどうなるんです!」

P「…………」

幸子「一度でも色物に見られたら終わりだって言われたボクは! どうなるんですか!! 他人言葉を引用してボクを苦しめないで!」

P「…………」

幸子「ウワァァァン! もう放っておいてぐだざいよぉー!」

P「…………」

幸子「世間知らずのお嬢様って評価でいいからー!」

P「…………」

蘭子「…………」

まゆ「あら、蘭子ちゃん起きてたの」

蘭子「闇夜に響く乙女の嘆き、骨身に沁みる」

まゆ「床までは完全防音じゃないもの。しかたないわ」

蘭子「囁きのみ聴こえ、されど悲しみにこの身は呪われる」

まゆ「たしかに幸子ちゃんがなに言ってかはわからないけど」

蘭子「かの呪文、伝説の暴鬼の口から発せられし言霊。そう我の守護霊は語れり」

まゆ「伝説のアイドルを持ち出されたら芸能界では否定しづらいからしかたないわ」

蘭子「狡猾なる慚愧の策略!」

まゆ「今まゆたちに出来ることはきちんと生活することだけよ。だからもう寝ましょう」

蘭子「時の一歩を共に歩まん」

まゆ「それじゃあこのまま……」

幸子「──ヒック、ヒック、グス……ウゥッ」

P「…………」

幸子「は、鼻水……服に、つ、つけて……ヒッグ」

P「…………」

幸子「楽しいなんて……へ、変、態……です……」

P「…………」

幸子「いい加減、は、放して……ください」

P「…………」

幸子「…………早く顔を洗わないと……カワイイ、顔が、だっ、台無しになっちゃいます……」

P「…………」

幸子「うぅ──」

P「……背中洗うよ」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「痛いです……」

P「ごめん……」

幸子「もっと優しく擦ってください」

P「わかった」

幸子「…………うまいじゃないですか。最初からそうやれば良いんです」

P「流す」

幸子「ゆっくりやってください」

P「わかった」

幸子「っ……! ふっ、ふぅ…………」

P「…………」

幸子「ボクくらいカワイイと、た、滝業なんて……へ、へへ、へっちゃらですもん」

P「…………」

幸子「つ、次は熱湯風呂で、ですね」

P「先に入る」

幸子「出汁が出たところに、カワイイボクを浸そうだ、なんて……変態ですね……」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「……や、やっぱり小さい胸にこ、こっ、興奮したりするんですよね……わかってますよえぇ」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「何見てるの?」

幸子「……っ! な、なにも見てないですよっ」

P「そう……」

幸子「その目は信じてませんねっ!」

P「…………」

幸子「いいですよ。言ってあげますよ。そんなカワイイサィズ……」

P「…………」

幸子「…………ボクになにを言わせたいんですかっ。誘導尋問ですかってんだ!?」

P「気になってたんだけど肩の痣は?」

幸子「あぁこれですか。長時間吊るされた事があったのでそのアザです」

P「…………」

幸子「気にしてませんよ。このくらいっ……このくらいでボクのかわ、カワイイボクは揺るぎませんっ」

P「──なにか飲む?」

幸子「……お水」

P「わかった」

幸子「…………」

P「なに?」

幸子「あなたがなにもしないか監視してるんです」

P「そうか……」

幸子「…………」

P「……それでどう?」

幸子「ンクッンクッ……ふぅ」

P「…………」

幸子「普通の水ですね」

P「片方脱いで」

幸子「え?」

P「湿布貼るから」

幸子「これくらいなんともないです、いっ」

P「可愛いのが台無しになるかもよ」

幸子「……首の後ろもお願いします」

P「わかった」

幸子「……ひゃぁっ」

P「ごめん。冷たかったか」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「信頼しないっていってるのに……なんでするんですか」

P「信頼されないのは慣れてるから」

幸子「寂しい人生ですね」

P「吹っ切れれば意外と楽しいものだよ」

幸子「どこがですか。そんなの空しいばかりじゃないですか」

P「だから"吹っ切れれば"ね。要は何に気がつくか」

幸子「どういうことですか。なにを言いたいのがわかりません」

P「無理に心から信頼したり信用したりする必要はない。白黒つける必要もない。要は"信頼"があればいい」

幸子「信頼しなきゃ人は動いてくれません。ボクに嘘をつけと言うんですか?」

P「嘘をつくかを選ぶのはオレじゃない。ビジネスライクにいけと言うわけでもないがそれに近い」

幸子「…………そんなのボクのキャラじゃないですよ」

P「君のキャラって?」

幸子「ボクはカワイイんです」

P「それでいて少し毒舌」

幸子「……それが悪かったのはわかってます。だからってあんな扱いはないじゃないですか。第一、人を虐げて笑ってる人の気が知れません……」

P「……それならこうすればいい。信頼"してあげる"んだ」

幸子「つまりは嘘じゃないですか。ボクを洗脳しようとしたって」

P「本当ばかりがアイドルの世界じゃない。それは君もわかってるはず。それに信念を揺るがしたくないのもわかる」

幸子「あなたにボクのなにがわかるんですか。赤の他人のくせに」

P「人の心に土足で踏み込みたくはない……」

幸子「思ってることを言ってください。どうせ的外れですけどね」

P「……君は自分が好きだし、それ以上に両親と自分の家が好きだ」

幸子「家族を好きなのは当然じゃないですか……」

P「世間がお金持ちのお嬢様というだけで、温室で育った世間知らずの甘い女の子と見られるのが好きではない。だからそのイメージを覆すためにアイドルになった」

幸子「……なんでその事知ってるんですか。そもそもそんなこと誰かに話したなんて思うんですか」

P「…………」

幸子「そりゃボクだって最初は信頼してましたよ。でも笑わせることをしてないのに人から笑われ、気持ちは聞いてもらえず」

P「…………」

幸子「挙げ句に自分のプロデューサーにはお前はお飾りだって突き付けられたんですよ? そらに新しいプロデューサーは噂ほど凄くなさそうですし。こう思ってるボク自身も限界なんですよ。自分が嫌いになりそうです」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「あなたみたいな気持ち悪い人に抱きっ、だ……しめられ……たって……」

P「…………」

幸子「うぅ、もう……ボクは自分がわからっ……ないですよ……」

P「……余計に混乱させたね…………ごめん」

幸子「そうやっ……洗脳しようと……っ……ウァァ──」

P「落ち着いた?」

幸子「……悔しいですが泣いたらすっきりしました…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………これからどう信頼すればいいんでしょう」

P「無理に信頼"する"必要はない。信頼"してあげれ"ばいいんだ」

幸子「それだとボクのキャラとは隔離が……」

P「多少の上から目線でも君はカワイイから許されるよ」

幸子「あ……」

P「気付かなかったのも無理はない。信念があるからね。今でも持ってるだろうけど」

幸子「…………」

P「それに全員にこれをやれっていってない。信頼できる人はきちんと作らないと」

幸子「…………」

P「それと嫌なことがあれば聞くよ。多少のわがままも」

幸子「……ボクの多少は容赦ないかもしれませんよ?」

P「そこは考えてちょうだい」

幸子「……信頼してもいいですが条件があります」

P「条件?」

幸子「ボクの宝物をここに持ってきてください」

P「宝物か」

幸子「それが出来たら信頼"してあげ"ます。もちろんレプリカではなく本物をです。まぁ無理でしょうけどね」

P「…………わかった」

幸子「……なにも聞かずに出ていっちゃいました。まっ、どうせわかりっこないですよ。わかったところで本物はもうないんですし──」

ブラウザの調子が悪いのでまた後できます。
設定やらなんやらいじらないと

疑問・質問、雑談または幸子ちゃんへの愛を叫ぶか囁いててください

幸子「…………遅いですね」

幸子「どれだけ探しても見付かりっこないのに……滑稽を通り越し哀れですね。いや、逆でしょうか?」

幸子「……あれが夢だったら良いのに」

幸子「小学校の頃から書いてたのになぁ…………ハァ……なくなったらこんなもんなんでしょうか。案外ボクって薄情なんですね。自分にも他人にも……」

幸子「ボクが起きたら少しだけ暑い朝。ボクは食堂に行ってコップを手に取り氷をいれ、お茶もいれて飲み干すんです。そして午後からは涼しい部屋で勉強するんです……」

幸子「少しサボってるところを怒られて……」

P「ただいま」

幸子「……夢じゃないんですよねぇー」

P「はいこれ」

幸子「これは…………ボクのノート!?」

P「結構な冊数あったから運ぶのに手間取ってね」

幸子「だから居間でゴソゴソしてたんですか。でもこれ偽物ですよね?」

P「どうしてそう思う」

幸子「だって……ボクの目の前で燃えましたし…………この目で本物だって確認もしました」

P「それで偽物だって思ったのか」

幸子「なんでわかったのかは知りませんが一応は誉めてあげますよ」

P「……これ」

幸子「なんですかその汚ないペー……ジ……っ!」

P「…………」

幸子「えっ!? これ……! でもっ!」

P「……なんの跡かな?」

幸子「だってこれ、ボクの涎……!」

P「涎?」

幸子「疲れて眠っちゃったんですよ。懐かしいなぁ」

P「なるほど」

幸子「あっ! こっちは食事しながら清書したからお醤油溢した跡。すごい怒られたなぁ」

P「これは?」

幸子「これは床で書いてた時です。あまりに夢中になりすぎてトイレにも行かず……あ、なんでもいいじゃないですか」

P「他はきれいなもんだね」

幸子「なにせボクは完璧ですからね。長い人生ミスなんて数えるほどしかありません」

P「宝物はそれでよかった?」

幸子「えっ? あっ、えっ、どっ、えっえぇ」

P「手伝ってもらった甲斐がある」

幸子「誰にですか? そもそもなんでこれがここに……燃やされたはずじゃ」

P「それはきちんと本物。君が見たっていうのは精巧な本物」

幸子「それって偽物じゃないですか」

P「科学捜査しないとわからないくらい精巧な偽物。もはや本物だよ」

幸子「どこが違ったんですか?」

P「紙の年代くらいかな」

幸子「ハ?」

P「詳しくは本人に聞かないとわからないけど。それはいいとしてそれの感想は?」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………ぅっうっ」

P「ハンカチはそこ」

幸子「……グジュ……あ"ぅぅ」

P「ティッシュも用意しとくか──」

幸子「ブヒィィィン! ズビッ」

P「鼻の中切れるよ」

幸子「ガワビビボクのハナヂが見でるなんてじゃーわぜでずねっ」

P「…………」

幸子「ブー! なんなんですかあなたは……」

P「変なファン」

幸子「…………」

P「今日は遅いからここで寝た方がいいと思うよ」

幸子「カワイイボクが夜遅くに歩いていたらたしかに危ないですからね……」

蘭子「──月夜の怪物は総てを飲み込む」

まゆ「Pさんから連絡があったわ」

蘭子「さ迷える友」

まゆ「終わったようだわ。でも今夜は向こうに泊まるんですって」

蘭子「…………」

小梅「…………」

まゆ「二人とも……大丈夫よ、大丈夫」

幸子「…………」

P「なに?」

幸子「…………」

P「睨まれてると困るんだけどさ」

幸子「……あなたはなんなんですか?」

P「お風呂に入ってる変なファン。君は?」

幸子「そりゃもちろんカワイイボクはアイドルですよ! しかもカワイイしカワイイしカワイイんです!」

P「転けるよ」

幸子「ぬぁっ」

P「隠さないとね」

幸子「…………」

P「何考えてるの 」

幸子「カワイイボクがわからないことです。あなたにいっても……」

P「話すだけでも」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「……ボクには…………」

P「…………」

幸子「守るものって家庭以外はダメなんでしょうか?」

P「ん?」

幸子「ボクには組んでるユニットがいるんです。三人組……守るべきものはって議題でとある番組に出たんです。その時にその事をいったら笑われて……」

P「…………」

幸子「家庭をつくって一人前! 守るべきものがなければ駄目だ!って」

P「守るべきものはなんでもいい」

幸子「そうですよね…………うん」

P「…………」

幸子「あとでメールしよう……」

P「ところでプロデューサーのことだけど」

幸子「はい?」

P「君の担当プロデューサー」

幸子「あぁ、はい」

P「信頼できる?」

幸子「…………」

P「そこで提案なんだけど……」

幸子「……はい」

P「信頼"してあげる"のはどうかな?」

幸子「…………」

P「君が担当プロデューサーを信頼しないと全ての人に迷惑がかかる」

幸子「それはわかってます。でもボクの気持ちはどうなるんですか」

P「気持ちなら吐けばいい」

幸子「どこでですか……」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「そこは『ここに来い』って言うべきところですよ……」

P「オレに吐け──」

まゆ「お疲れ様です」

P「まゆもお疲れ」

まゆ「あれから二日経ちますけどなにもないようです」

P「そうか……」

まゆ「今お昼作ります」

P「頼むピンポーンん?」

まゆ「お客さんですか?」

P「その予定はない。杏がなにか頼んだのかな」

まゆ「その場合、杏ちゃんきちんといいますよね?」

P「あぁ。出てくる」

まゆ「気をつけて」

幸子「あっ! やっと出てきましたね! ドア前でいつまで待たせるんですか」

P「…………」

幸子「カワイイボクが汗かいちゃってますよ。ほら、早く中にいれてください」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

まゆ「ドア開けっ放しでなに……あら幸子ちゃん?」

幸子「えっ?」

まゆ「はい?」

幸子「なんでいるんですか?」

P「……入って──」

P「こっちの理由は説明したけどそっちは?」

幸子「このマンションの部屋を借りました!」

P「なるほど」

幸子「これくらいカワイイボクが申請すればちょちょっと出来ます」

P「担当プロデューサーの事は?」

幸子「きちんケリつけてきましたよ。当たり前じゃないですか」

P「……ならいい」

幸子「…………え?」

まゆ「幸子ちゃんもお昼ご飯食べる?」

幸子「大丈夫です。ボクはカワイイですからお弁当を作ってきました」

まゆ「そう。ならまゆたちはまゆたちで食べるわ」

幸子「あっ、でもテーブルは一緒に」

幸子「うーん」

まゆ「どうしたの?」

幸子「あのPさんって何者なんですか?」

まゆ「まゆの旦那さんです♪」

幸子「そうなんですか?」

小梅「わ、私の……」

幸子「そうなんで……え?」

小梅「…………」

幸子「…………」

まゆ「?」

幸子「……なんでいるんですか?」

小梅「し、輝子ちゃんもいる……」

幸子「えぇー……」

輝子「──てなわけ……わ、わかったかい……マイシスター」

幸子「お二人がここにいる経緯はわかりました。それはいいです。しかし……」

みく「それはみくのハンバーグ! 返すにゃっ!」

みちる「箸を持ったまま暴れると危ないですよ! それにこの前パンあげたし!」

蘭子「生命の天秤は均衡を探し揺れ動く」

藍子「そのお茶どうですか」

美優「優しい味……おいしい」

幸子「なんなんですかこれ……」

蘭子「前世からの転生」

幸子「あ、初めまして。Pさんはどこに?」

蘭子「繭に籠りて魔力を補給しているやも」

輝子「マイブラザーなら部屋……フヒ」

幸子「ますますわけがわからない……」

小梅「Pさんの部屋は──」

杏「うあー」

ほたる「あぁ不運です……不運です……」

P「これくらい?」

ほたる「はい……」

杏「なんで杏の部屋でやるの?」

ほたる「人に見られてしまうなんて不運。あぁ不運です」

杏「それでいいなら杏は止めない。それにしてもPさん髭剃らないの?」

P「剃ろうとすると小梅が怒る。もう少し伸ばして触りたいだとか」

杏「変な人もいるもんだね」

幸子「…………」

杏「ん?」

P「なに?」

幸子「えっとなんでほたるさんを抱いてるんですか?」

P「なんでと言われても」

幸子「やっぱりロリコンなんじゃ」

P「それはない」

幸子「いったい何者なんですか?」

杏「たしかに今のPさんだと正体不明の怪しいオタクだね」

P「といっても……」

杏「剃ってくれば?」

P「そうだなそろそろいいかな。いってくる」

幸子「誰だかわかるんですか?」

杏「どんな関係かはわからないけど少なくともいつものPさんとは違う容姿だって事くらいは一目瞭然」

ほたる「おヒゲが当たってちょっと痛くて気持ちよかった……あぁ不運」

幸子「あの、布団に潜り込みながら言わないでくださいませんか? 聞こえづらい……」

杏「髭剃ればとりあえずはさっきよりマシな容姿に映るよ。うえーっと20%増し?」

幸子「それって今とほぼ変わらないじゃないですか」

P「お待たせ」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

杏「あ、剃ってきた? おー、さっぱり」

ほたる「ツルツルですね」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「っあーーーーーーーーーーー!!!」

杏「うえっ! な、なに!?」

ほたる「ど、どうしたんですか?」

幸子「あなたはボクのブラジャー見た人!」

杏「はぁ?」

P「それはそっちが見せたんだろう」

杏「どういうこと?」

P「初対面でいきなり白いワンピース捲ってブラジャー見せてきた」

ほたる「えっ?」

幸子「あれは男性を悩殺するポーズを考えてたからです!」

P「街中で『男性はこういうのが好きなんでしょう? どうですか!?』とやられたこっちの身にもなってほしい」

幸子「そんなこといって嬉しかったくせに!」

P「困った」

杏「んあー?」

幸子「てっきりボクの担当プロデューサーかと思って、よし困らせてあげましょうと考えてやったことです。第一印象でナメられると後に影響しますからね!」

杏「えっと、つまりは担当プロデューサーに舐められまいと思い服を捲ったと?」

幸子「正確には襟元のところを捲り、チラッとですけど」

P「あの今日はあの時のワンピースだな」

幸子「上から下まであの時の格好です」

杏「ほたるちゃん、近付くと感染するからもっと離れて」

幸子「んなっ! 失礼な人ですね。ボクだってやりたくてやったわけじゃないんです」

杏「どういうことなの……」

幸子「いいですか? 第一印象というのは大事なんですよ? これでその先が決まるといっても過言ではないです。主導権もそこで決まります。ボクは考えました。そうだ、困らせよう……と。男性がどういったポーズが好きなのかわからなかったので適当なポーズをしたんです。カワイイボクが」

杏「それで?」

幸子「普通は狼狽するか焦りながら『おっ、女の子がそんなことしちゃダメ!』とか言うでしょう!」

杏「なにをやってるかわからない顔するとか?」

幸子「漫画とかでよくありますねそれ。あろうことか、またか……といった表情をしたんですよ!?」

P「…………」

幸子「失礼だと思いません?」

杏「う、うーん……」

ほたる「よ、よく通報しなかったですね。私だったらいきなり現れたら通報してるかも……」

P「まぁ、この容姿だしな」

幸子「なにをいってるんですか。このボクが容姿で差別するわけないじゃないですか」

杏「Pさんとしては言い分ないの? なんだかよくわからない状況なんだけど」

P「本当は担当プロデューサーが迎えにいくはずだったんだけど、緊急で他に仕事が入って動けるのがオレしかいなかったから迎えにいったんだ。その時の出来事」

幸子「カワイイボクを迎えに来ないなんて担当プロデューサーの自覚がないと思いませんか?」

P「急なことだったからね」

幸子「うっ……」

まゆ「つまりお二人は"デート"したってことですかぁ?」

幸子「まぁそうなり……え?」

まゆ「はい?」

幸子「いつの間に……!」

まゆ「叫んだから何事かと思って来ちゃった♪」

幸子「あっ、ご迷惑お掛けしてすみません」

まゆ「叫ぶくらい平気。ここ防音だもの」

杏「杏の部屋に人がいっぱい……」

P「居間に移動しよう。みんなにも紹介しないといけないし」

幸子「それもそうですね。ボクのカワイイところを見せますよぉ!」

まゆ「元気でカワイイ♪」

みちる「──夜、それはナイト」

みく「猫は喜び外に飛び出すにゃ」

蘭子「闇の騎士が夜会に向かう乙女を守護する時間。今宵はどんな物語が垣間見られるか、我が魔眼は嬉々として輝く」

幸子「あれなんですか?」

P「夜の儀式みたいなもん」

幸子「へぇー。それでそれは?」

ほたる「…………」

美優「えっと、ハハ」

P「今度の衣装らしくてね。着心地と見栄えが気になるって」

美優「最近太った気がして……」

ほたる「お、おいしいお料理で太らされてるんです」

幸子「なんだかイケない雰囲気たっぷりですね。なんていうかこう……借金の形に連れてきたみたいな」

輝子「ヒィィヤッハー! お前ら売られる覚悟はいいかぁー! オレ様を楽しませる覚悟はイイかぁー! アァーン!?」

杏「……うるさ」

輝子「あ、すっ、すいません……フヘ」

小梅「それでねPさん……あの子がプロデューサーに言うんだ。もう少しで……って……フフ」

P「なるほど」

まゆ「お茶が入りましたよぉ」

藍子「みなさんのお口に合うといいですけど」

みちる「ラスク!?」

P「枚数はわかってるね?」

みちる「そんな殺生な……! もっと欲しい! もっと私にください! ガマン出来ないぃ!」

P「そんな体になったのは自分のせいでもあるんだよ?」

みちる「ぬぐっ……!」

みく「みちるチャンの負けにゃ」

みちる「ぐぬぬ……気持ちイイことしてくれるなら許してあげます」

幸子「気持ちいいこと? マッサージですか?」

みく「幸子チャンは聞いちゃダメにゃ」

幸子「?」

P「…………」
杏「ほら、手が止まってる。もっと杏のお腹撫でて」

幸子「……なんですかあれ」

まゆ「気にしたら負けよぉ?」

幸子「気になるものは気になるんだからしょうがないじゃないですか」

みく「ネコミミをつけるにゃ」

みちる「ニャター!」

みく「甘いにゃっ」

みちる「防がれた!」

蘭子「無邪気なる魔獣の一部を身に付け我は変身す」

小梅「似合ってる……よ?」

蘭子「写し鏡」

みちる「小梅ちゃんも似合ってる」

小梅「あり……がとう」

幸子「それにしてもお二人もいるなんて驚きました」

輝子「か、改造済み……いや開発?」

小梅「私も……ふふ」

まゆ「そういえば小梅ちゃんからユニットを組んでるって聞いたけどもしかしてあなたたち三人のこと?」

小梅「うん」

幸子「ボクからの提案です。その名も! カワイイボクと」

輝子「142」

小梅「センチ……ズ」

幸子「カワイイボクとカワイイキノコとカワイイユーレイと迷ったんですけどカワイイが被ってしまいますからこっちにしました。カワイイのはボクだけでいいです。あっ、でもお二人も勿論カワイイですから!」

輝子「照れるぜマイシスター……フヒ」

小梅「か、かわいい……かわいいって!」

P「わかった。わかったから袖が痛い」
杏「巻き込まれた……鬱だ寝よう……ぐぅ」

輝子「そんなわけでバイオなハザードをやろうマイシスター」

蘭子「血の狂乱! 鮮血の舞踏会! 紅き果実の祭事っ!」

小梅「でも……一緒にやってくれる……ふふふ」

幸子「──なんですか。ボクをお風呂場に連れ出して」

P「…………」

幸子「も、もしかして乱暴する気ですか!? 一緒に入ったときにじっくり堪能したのにまだ足りないんですか!?」

P「違う。これからのことだ」

幸子「これから?」

P「そう、これから。さっき部屋を借りたといってたけど何号室?」

幸子「この前のところです。一時的にしろあんなところに閉じ込められたのが気に食わないですね。ボクが飾り付ければもっとものすごく可愛くなります!」

P「そこら辺は節度を守ってやって。それ以外のこと」

幸子「それ以外? あっ、この前も言ってましたね。大丈夫、ここのことは言いません。正直、こういったところがあるのには驚きました。みんながいたことにも。ですが誰かに言ったりはしません。みなさんも秘密にしてますし」

P「助かる」

幸子「しかし! あなたもこの前いった通り、愚痴は聞いてもらいます! 勝手に引っ越してきたお礼に聞かせてあげます! そしてこれだけは聞いておきたいです」

P「なに?」

幸子「ボ、ボク……ボクの体…………み、みっ、魅力ないですか?」

P「なんで?」

幸子「この前お風呂入ったとき、その…………ピクリとも反……のぅ……してませんでしたし……ちょっとだけ屈辱です」

P「カワイイサイズだからわからなかったんじゃないかな?」

幸子「もう、その事はいいじゃないですか! あの時のボクはどうかしてたんですよ」

P「聞きたいことはそれだけ?」

幸子「あ、はい。あっ、いえ! もうひとつっ」

P「なにかな?」

幸子「以前会ったときとしゃべり方変わってませんか?」

P「会ったといっても一回だから気のせいだと思う」

幸子「そう……ですか? えー、うーん……でもなぁ。どこがと言われれば具体的には指摘できませんが……こう細かいところが……」

P「それじゃ戻ろうか」

幸子「あっ! それからそれから!」

P「まだあるの? 呼んだのはオレだけど」

幸子「早速で悪いですが愚痴を聞いてください」

P「……いいよ」

幸子「この前ショックなことがあったんです。プロデューサーCDショップに、あっ、プロデューサーといっても今のプロデューサーでなくて前のですが」

P「前のというと一人目か二人目?」

幸子「はい。それでカワイイボクは洋楽のところにいったんです」

P「洋楽苦手だったよね? 特に歌うの」

幸子「うっ、それは今いいじゃないですか。それでですね、ボクが優雅に音楽を鑑賞していると誰かが肩を叩くんです。ボクは少しだけほんーのっ少しだけ驚きました。ボクは振り向き、なんですか?と声をかけました。するとプロデューサーが言うんです。ちょっとこい幸子って」

P「それで」

幸子「なにかなって思ってついていきました。独特のセンスはしてますけどなんだかんだでいいと思ってましたし。それでついたところが邦楽CD売り場……のワゴンです」

P「…………」

幸子「掘り出し物でもあったのかな?と思い聞きました。するとにやけた表情で言うんです。そこだそこ。目線の先には…………」

P「…………」

幸子「目線の先にはっボク……っ……ボクのシっ……ズッ、CDがっ……あり、ありました。しかもっ…………ざっ、在庫処分と大きく書かれ……ポップがぁ……」

P「……っ」

幸子「そ、そりゃボクだってわかってますよ。ウグッ……お店にも都合があるって……プロデューサーもボクのためを思ってやってくっ、くれたこと、だって……でも……でも……辛いものは辛いんですよォォォ……!」

P「……こっちへ来なさい」

幸子「ウワァァァァン……ンンンー!」

P「泣くしかない……」

みちる「暑い日はおツュルチュルうぇんに限りますね」

みく「冷凍したパンもあるにゃ」

みちる「……あり!」

みく「えー……」

幸子「ご飯がおいしいですね!」

美優「目が赤いけど……どうしたの?」

蘭子「紅き満月に充ちる眼。その瞳に何を映す」

幸子「少し勉強のしすぎで……ボクとしたことが失敗ですね!」

まゆ「目薬は薬箱の中にあるわ。よかったら使って」

藍子「ブルーベリーティー飲む?」

幸子「そんなのもあるんですか!? 凄いですね。ですが遠慮しておきます! 自分で買ったのしか飲まないので。でも銘柄をお教え願えないでしょうか?」

ほたる「…………ブルーベリーって目にいいってわけじゃないってこの前聞いたけど話した方が良いのかな? でもプラシーボ効果も……あぁどうしよう」

P「大原さん以外でお素麺いる人」

みちる「ムー! ムーッ!」

みく「みくの手を操るの禁止にゃ!」

輝子「操り人形とは哀れだなぁ! ヌハ……いや、これはないな」

小梅「色つき……赤い…………動脈」

美優「──ご馳走さま」

みちる「うんうん」

みく「にゃ? セリフ取られちゃってるけどいいのかにゃ?」

みちる「寛容な心も必要なんです。あ、ヨーカン食べたくなった」

幸子「甘いものは脳への栄養ですからね。あ、ボクは部屋で休ませてもらいます。片付けも済んでないですし」

P「その事で話がある」

幸子「はい?」

P「部屋を借りたって言ってたけど支払いはどうするの?」

幸子「もちろんお仕事のギャラから払いますよ。ま、給料ですね」

P「口座からか……」

幸子「なにか問題でも?」

P「ここの場所バレるといけないってことは話したよね?」

幸子「はい。あぁ、そういうことですか。じゃあどうすれば?」

杏「体で払うしかないね」

幸子「えっ、か、体でって……!」

P「部屋代はこっちで一時払っとくから毎月部屋代を直に手渡して」

幸子「ら、乱暴されちゃうんだ……」

P「しないよ」

みちる「合意のもとですよね。意味深な」

P「一気に引き出さないで小出しに引き出してね。怪しまれるといけないから」

幸子「はい」

みく「これだけ聞いてるとヒモか詐欺師にゃ」

みちる「毎月の加入でさらにお得」

みちる「──そんなこんなで夜!」

蘭子「鋭い爪と猛る嘴をもつ智者は静かに啼く」

みく「結局止まることになったにゃ」

みちる「今夜は誰が餌食に……!」

みく「Pチャンに美味しくいただかれちゃうにゃ」

みちる「女子喰いねぇっ」

みく「誰だかそんな感じの曲知ってたにゃ」

幸子「それではボクは少し早いですが部屋に戻ります」

みちる「はい! あたし幸子ちゃんの部屋いきたい!」

みく「みくも!」

幸子「今の状態でもじゅーぶんカワイイですがまだダメです! 片付けが済んだら度肝を抜かすものをお見せしますよ!」

みく「自らハードルあげたにゃ」

みちる「ところでPさんたちは?」

蘭子「闇で踊る。時の繭に籠る」

みちる「なにしてるかわからないけど部屋にいる? 怪しい」

みく「デバガメするにゃ?」

蘭子「出刃亀? キメラの一種か?」

P「──お疲れ様」

まゆ「まゆは準備しただけで実際にやったのはPさんですよぉ。でも、ありがとうございます♪」

P「不信感を取り払うにはまだかかる」

まゆ「積もり積もったものはすぐには取り払えませんもの。しかたありません。待つしかないです」

P「そうだな。さて、明日からはどうするか」

まゆ「拷問をするようなら道具を用意しますよ♪」

P「そこまではしないかもしれない」

まゆ「するんでしたら用意します、うふ」

P「さてさて、どうするか」

まゆ「復讐は救済の後に♪ どの層に軽くか徹底的か。あぁ、いまから楽しみ」

P「楽しむためではない。そうだな…………>>553層に>>555


>>553
ジュニア(12歳まで)かティーン(13歳から19歳まで)かアダルト(20歳以上)か選んでください

>>555
軽くか徹底的かお願いします

それ以外は安価下

アダルト

ここは徹底的で

P「アダルト組に徹底的」

まゆ「うふふ♪」

P「気が早い」

まゆ「誰にします?」

P「>>558


>>558
モバマスのアダルト(20歳以上)アイドルをお願いします

それ以外は安価下

礼子

P「高橋礼子」

まゆ「高橋さんじゅういっさい」

P「高齢組とか年増園とか呼ばれてる」

まゆ「もしかしてあそこで?」

P「そう、あそこ」

まゆ「31歳でアイドルというのもスゴいですよね」

P「職業難だからな。選んでられないということもある。さて」

まゆ「プロフィールのお復習♪」

P「そう」

P「早速始めよう。高橋礼子、クールな雰囲気漂う31歳。身長167cm、体重51kg。体脂肪率18.29。スリーサイズは91・62・90」

まゆ「グラマーな有閑マダムですよねぇ」

P「5月8日生まれの牡牛座。O型の右利き」

まゆ「牡牛なのにあの乳」

P「ゼウスに好かれてるんじゃないかな。出身地は神奈川県。趣味はパーティに行くこと」

まゆ「どういった、あ」

P「なにを察した」

まゆ「なぁんでもないです」

P「ちなみにわかってるとは思うが独身」

まゆ「知ってますよぉ。ところで礼子さんにはなにをされたんですか?」

P「色々あるが…………>>562



>>562
高橋礼子に何をされたかをお願いします


それ以外は安価下

セクハラ

P「セクハラ」

まゆ「セクハラ?」

P「そう、セクハラ」

まゆ「お尻を触られたとか?」

P「逆。触るように強要された。それも立派なセクハラ」

まゆ「女を盾にしたんですか」

P「セクハラの被害者というと一般的に女性の方だからな。それに……」

まゆ「それに?」

P「あの子のことでちょっとな」

まゆ「…………」

P「疑われてもいいのかって、な。それにその後、いろいろ都合つけろと要求された」

まゆ「徹底的に行きましょう」

P「もとからそのつもりだ」

まゆ「…………」

P「…………」

まゆ「…………」

P「…………」

まゆ「…………」

P「…………」

みく「なんだか怪しい雰囲気にゃ」

みちる「くっついてる……!」

蘭子「妖しい夜の波紋の為す業か……」

みく「甘えたがりなネコちゃんみたいにペッタリにゃ」

みちる「よく見えない」

蘭子「独断専行は破滅の矢なり……!」

みく「押さない、押さないで……! あたぁっ!」

まゆ「っ!」

みく「いったいにゃぁぁ」

P「……なにやってる」

みく「の、覗いてなんてないにゃ! ねっ、ねぇみちるチャン」

まゆ「…………」

みく「あれ!? いないにゃ!」

みちる「すごい音したけど大丈夫ですか?」

みく「え、ひどくない?」

まゆ「……こういうのもいいですね」

P「そうだな──」

蘭子「…………煩わしい太陽……」

みちる「夜が…………怖い」

P「人の部屋を勝手に覗くからだ」

みく「そうにゃ。反省するにゃ!」

P「前川さんもね」

みく「にゃっ!」

まゆ「反省しないと……ね?」

みく「おっ、お魚だけは……! お魚だけはぁ!」

P「やらないよ」

小梅「き、昨日は……楽しかったね」

蘭子「闇夜の死者の宴……久々の死臭に高揚を覚えん」

みちる「あんな怖い映画見たことない」

幸子「なにを見てるんですか?」

P「プロフィール」

幸子「それは礼子さん。知ってます」

P「知ってたか」

幸子「えぇ、まぁ年上の人ですからね。知っておかないと後が怖いですから」

P「年上の怖さか。女の子にとって重要だよな」

幸子「年上の言うことは絶対ですからね。まぁ幸い、ボクはそういうのに慣れてますけど」

P「お金持ちの苦労の一つだね」

幸子「はい」

P「いざというときの身の振り方にも大いに影響するもんな」

杏「くっ、フゥッフアァァァ……おはよ」

P「おはよう」

幸子「おはようございます! 今日もボクはカワイイですよ!」

杏「いちいち宣伝しなくてもいいよ……朝から元気だね」

幸子「ところで昨日の夜に叫び声聞こえませんでしたか? キャーとかギャーとかにいぃぃゃー!とか」

杏「そういえば聞こえた。なんだったんだろう」

P「なんだったんだろうなぁ」

幸子「それにしても31ともなると大人の魅力が出てきますね」

杏「何の話?」

P「年齢」

杏「あー、年齢ねー。たしかにねー。でも歳だけ食ってる人もたっくさんいるけどねー」

幸子「ボクがいうのもなんですが毒舌ですね」

P「……両方置いてあるから後で使って」

杏「さすがPさん」

P「まぁ31歳ともなると使い分けをしてくる」

みちる「何の話ですか!? パンですか?」

まゆ「あっちでパンの話しない?」

みちる「しましょう」

P「公私の切り替え、スイッチのオンオフ、建前と本音、ごますりと本心」

幸子「怖いですよね」

P「高橋礼子の場合、自分の立ち位置もわかってるから厄介だ」

杏「お笑い担当とかの立ち位置?」

P「それじゃなくて地位のこと。グループでもあるじゃないか」

幸子「特に女子のグループには重要です」

P「男子の方にもそういうのはあるが女子ほどじゃない」

美優「おはようございます」

P「おはようございます」

美優「三人でなにを盛り上がってたんですか?」

杏「年齢における人間関係の動向……?」

P「年齢の話です」

美優「年齢……そういえば私、最近ますます未亡人に見えるってよく言われます。見えますか?」

P「はい」

美優「はぅ……」

幸子「Pさんは言葉足らずですね! 気にすることはありません。優しそうだけど報われなさそうという印象なだけで、イコールに直結はしません! むしろ男性を引き付ける要素ですよ!」

美優「そういってもらえると少し気が楽……かも。キャンディーいる?」

幸子「遠慮しておきます!」

P「三船さんは高橋さん知ってます?」

美優「礼子さんのことですか? それなら知ってます。よく仕事で一緒になるので」

杏「仕事で? 見掛けた記憶ないような…………あっ、これは杏が外に出てないからだった」

美優「よく年少組の子達の面倒を見てます。というか主にそれのためについてきます」

杏「さすが年の功」

美優「えぇ、まぁ……そうね」

幸子「煮え切らない態度ですね」

美優「ちょっと…………えぇ」

幸子「なにかあるんですね?」

美優「私の勘違いかもしれないし……」

P「……話してください」

美優「…………実はこの前いつものように、仕事が終わったので帰ろうと楽屋に行ったんです。そしたら……そしたら……」

幸子「そしたら? そしたらなんです」

美優「小さい子になにかを吹き込んでたの。あっ、いえもちろん私の勘違いかも。あの時は疲れていたし、その子と礼子さん仲良いもの」

幸子「なにを聞いたんですか?」

美優「そこまでは……でもやっぱり良いことではなかったと思うわ」

杏「そーいう面倒なことに首は突っ込まない。それが杏流」

幸子「しかし気になりますね」

杏「だからそういうのはほじくり返さないの。人の嫌な面見ることになるよ?」

幸子「……そんなの誰にだってありますよ」

杏「いや、まぁ……そうなんだけどもさ」

幸子「信じるって……労力必要ですよね」

杏「……だね」

幸子「ハァ……」

美優「え、あの……」

P「三船さんのせいじゃないですよ」

美優「は、はぁ……?」

P「話を戻そう」

幸子「どこまで戻すんですか?」

P「大人の魅力」

幸子「戻りますね。大人の魅力といえば」

杏「だらだら出来ること」

幸子「そう、だらだら……違わなくないですか?」

杏「心の安息って大切……」

幸子「同意ですけど遠い目してますね」

P「…………」

杏「はぁ……」

美優「杏ちゃん……」

幸子「?」

P「あとで説明する」

ほたる「ハァ……」

美優「おはようほたるちゃん。朝からどうしたの?」

P「おはよう」

幸子「おはようございます!」

杏「うあー」

ほたる「あ、いえちょっと……」

P「薬棚のところにある」

ほたる「あっ……ありがとうございます」

P「ん」

幸子「…………」

まゆ「こっちよ、ほたるちゃん」

蘭子「──太陽は上天に昇り、皆を照らす」

P「結局お昼になってしまった」

蘭子「静寂が侵食する小世界。興は冷め、平穏が訪れる」

P「いつも通りみんな仕事か学校だもんな」

蘭子「聖域を守護する者よ」

P「引きニートって言いたいのかな?」

蘭子「……あっ。魔王城の門番よっ!」

P「せめて中に入れて」

蘭子「自由の探求者よ」

P「ヒッピーみたいだな。それでなに?」

蘭子「牲を要求する。贄を捧げよ!」

P「……今日は一緒に作ろうか」

蘭子「我は自ら殺生はせぬ」

P「待ってるだけっていうのも暇なものでしょ」

蘭子「我自ら刃を振るう……!」

P「料理に慣れるまでは包丁は使わせない」

蘭子「我を雑兵扱いとは笑わせる…………ほっ」

蘭子「火神の火の粉!」

P「唐辛子」

蘭子「火神の闘気」

P「タバスコ。チリソース」

蘭子「大鷹の爪っ!」

P「鷹の爪。唐辛子と被ってるけど」

蘭子「ククク、泣き叫ぶ顔が目に浮かぶ」

P「この中だと鷹の爪以外使わないけどね」

蘭子「我を謀ったか!?」

蘭子「女神の汗の一滴」

P「オリーブオイル」

蘭子「ホークネイル!」

P「鷹の爪。ん?」

蘭子「孔明の罠だとでもいうのか!?」

P「いや、オレの勘違い」

蘭子「奮い起こす果実」

P「ニンニク」

蘭子「覚悟するがよい、白き賢者の髭! 地獄の釜の底で苦しむが良い。ククク」

P「スパゲッティ茹でよう」

蘭子「素晴らしきピィッツァカラルド!」

P「ペペロンチーノと冷蔵庫のピザ。結構食べるね」

蘭子「其の命は我が体に、糧になるのだ!」

P「食べたら少し休もう」

蘭子「身体の猛りを鎮めん」

P「休んだらお風呂掃除しよう」

蘭子「住居の浄化」

P「──水着でお風呂掃除って斬新」

蘭子「うぅぅ」

P「恥ずかしいなら着なきゃいいのに」

蘭子「白兎になれと!?」

P「裸になれっていってない。普通の服でいいのに」

蘭子「行動力のある装いを好む」

P「動きやすそうではあるね」

蘭子「白き棺よ! 闇に染めてくれようぞ!」

P「汚すんじゃなくて掃除するの」

蘭子「よいしょ、よいしょ」

P「あまり力でやらないでね」

蘭子「我が技巧を見よ!」

P「お尻向けられてるから見えない」

蘭子「ふはははは」

P「食い込んでるよ」

蘭子「え、ひゃっ!?」

P「危ない」

蘭子「か、忝ない」

P「余計なこといったのこっち。ごめん。あ、洗剤切れた。向こうにあったかな……ちょっといってくる」

蘭子「武運あれ」

蘭子「…………」

蘭子「んッ……しょ」

蘭子「……やっぱりちょっと黒い」

蘭子「みんなどんなのだろう。中は…………わっ」

蘭子「……く、黒き淵…………ハッ」

P「…………」

蘭子「…………」

P「…………」

蘭子「閉ざされる扉……!」

P「──それは色素沈着といってね」

蘭子「り、理解した……」

P「年頃だから気になるのもわかるけど時と場合を考えて」

蘭子「は……はい」

P「もう」

蘭子「し、して……我の我はどう……だった?」

P「誤解招きそうな言い方。どうって言われてもなぁ」

蘭子「…………」

P「誰かに何か言われたね」

蘭子「実は礼子さんに……」

P「高橋礼子に?」

蘭子「歴戦の兵、己の分身は黒き洞窟の様と」

P「…………」

蘭子「お、覚えなき事故にさすがの我も戸惑う」

P「色素沈着だから気にしない。それと経験の有無はあまり関係ないよ」

蘭子「偽りの戦士……」

P「……まぁ気になるものは気になるよね」

蘭子「観察者としての意見を問う」

P「……たしかにみんなとはお風呂入ってるけどそんなマジマジ見ない」

蘭子「うぅ……」

P「…………」

まゆ「──そんなことが……」

P「少し困った」

杏「そんな悩むことでもないのにねー。クッアッアァ……」

P「今日も来たのか」

杏「ただいま。だって今寮はピリピリしてるんだもん」

P「どうかしたのか?」

杏「詳しくは知らない。知りたくない」

P「他の人が来たら聞いてみるか」

美優「お邪魔します」

蘭子「召喚士の力も備えてるというのか!?」

P「お帰りなさい。ロビーからインターホン鳴らさないということは高森さんも帰ってきたのか」

美優「はい。そこでばったり」

P「ちょうどいいので聞きたいことがあるのですが……」

美優「──事務所ですか?」

P「はい」

美優「たしかに雰囲気は変わりました……なんというかその……落ち着かなくなったというか」

P「落ち着かなくなった」

美優「ふと空気が変わることがあるんです。そのぉ……」

P「高橋礼子が事務所にいると、ですね」

美優「…………はい」

P「思った通り」

幸子「どういうことですか?」

P「お帰り」

幸子「カワイイボクが帰ってきたのに部屋が暗かったですよ!」

P「片付け手伝いに行こうか?」

幸子「遠慮しておきます。それよりさっきの話なんですか?」

P「高橋礼子が事務所に入ってくると空気が変わるって話」

幸子「あの人ですか。オーラが違いますよね」

蘭子「西の魔女から赤の女王への転身……」

P「そうだな」

蘭子「ぁ……ぅ……」

杏「なんかよそよそしくない?」

蘭子「妖精の悪戯」

杏「ふーん」

美優「空気が張りつめるというかピンッとするというか……」

P「年長者ですからね。嫌でも目立ちますよ」

美優「少し疲れちゃいます」

P「今日は休んでください」

美優「そうします」

杏「Pさんのマッサージ受けたら? 効くよ」

美優「えっと……」

P「…………」

美優「…………」

幸子「この二人の関係ってなんなんですか?」

杏「杏にはわからない」

まゆ「謎よねぇ」

幸子「ですよね」

P「ところで夕飯はどうします?」

美優「藍子ちゃんもいるのでお願いします。なんだか今日は少し窶れてて」

P「なにかあったのかな」

美優「後で聞いておきます」

P「お願いします」

幸子「ボクは自分で作って部屋で食べます」

P「わかった」

美優「うちの事務所、前まではあんなことなかったのに……どうしちゃったのかしら」

蘭子「天は裂け、地は割れ、海はうねる」

杏「天狗じゃ。天狗の仕業じゃ!」

P「あ、今日はオレの部屋で寝てね神崎さん」

蘭子「っ!!」

杏「出た。なに考えてるかわからないPさん。杏のベッドは貸さないよ!」

P「干した布団あるよ」

杏「好き好き大好き愛してる」

蘭子「死者の臭いに包まれ眠るがいい!」

P「夕飯作るから手伝って」

蘭子「紅き豊穣、弾けて混ざる! 血肉を煮た釜に戦け。ククク」

杏「トマトパスタうまー」

P「今日はパスタ三昧でごめん」

蘭子「隠者に気をかけるなど奇特な者よ」

美優「ごちそうさまでした」

P「食べ終わりましたか。どうでした?」

美優「美味しかったです。藍子ちゃんも喜んでました」

P「良かった」

美優「さっき幸子ちゃんを誘ったのですが断られちゃって……」

P「誰が誘っても駄目でしょうね」

美優「?」

P「今度なにかのときにでも」

美優「はい。それではおやすみなさい」

P「おやすみなさい」

杏「片したら杏たちも寝よう」

蘭子「夜はまだ始まったばかり。」

P「少し話して寝るか」

杏「それじゃ私は布団暖めとく」

P「すぐ横になると苦しむよ」

蘭子「牛の呪い」

杏「そういえばお風呂きれいになってたね」

蘭子「命の洗濯」

P「今日は暑かったから汗かいた」

杏「外は比べ物にならないくらい暑かったよ」

蘭子「生命の雫」

杏「そんなわけでお風呂入った後にアイス食べたい」

蘭子「氷点下の甘き誘惑。氷点下の甘き宝石」

杏「かき氷ってのもありか……」

P「アイスキャンディーの類いはない」

杏「そんなぁぁぁ……!」

蘭子「夜に太陽、朝に月!」

P「あり得ないと言われてもないものはない」

杏「杏のためにも明日買っといて。ね?」

蘭子「首を傾げたる仔犬っ!」

P「買っておくよ。今日は冷えた麦茶で我慢して」

杏「それもありかも、くふふふふふ。それじゃ杏は先にお風呂の支度しとくよ」

P「あひるの玩具は二個までね──」

蘭子「ノアの方舟は無惨に沈む! 白き水鳥のように!」

杏「黄色いアヒルのオモチャだけどね。てか、なんで入ってきてるの……」

P「頭触るよ」

杏「…………っ」

P「流すよ」

杏「……うぅぅ。前が見えない」

P「今髪の毛上げるから」

杏「杏のお風呂タイムが……」

蘭子「静寂に興醒めする時もある。我にはどうすることも出来ぬ」

杏「杏は好きだよ? 誰に気を使うわけじゃないし、最低限の配慮で済むもん」

蘭子「静寂と孤独を我は纏う。故にこの身を侵される事も身に沁みて理解している」

杏「一人は寂しいもんな」

P「賑やかなのはうるさくなってどうもね」

杏「わかる。そういうところで寝てると、テンション低いよー!って話し掛けてくる人ウザい。触られるのはもっとうざい」

蘭子「人の気に当てられたか……」

杏「私の中に入ってくるなって感じだよ」

蘭子「中……」

杏「どしたの?」

蘭子「気にするでない」

杏「うん。それにしても今の寮は杏にとって巣窟だよ」

蘭子「して、理由は如何なる存在の仕業なるか?」

杏「よくわかんないけど序列じゃない?」

蘭子「序列……」

P「男にも序列はある。どこにでもあるが特に閉鎖空間は発生しやすい。統率が必要な場では必要だけど場所が場所だしね」

杏「シンデレラプロダクションって年齢層広いから混乱状態」

蘭子「舵取りばかりのノアの方舟。パンドラの箱で造られたか……」

P「カオスだね」

杏「重要視するのはわかるよ。グループに属さないとハブられるしね。でも、杏はそれでいいから放っておいてる」

蘭子「孤高は理解されず誤解される。業故かはたまた……」

P「二律背反」

杏「好きだねその言葉」

P「誰から聞い……まゆか」

杏「うん」

蘭子「…………」

杏「なに見てるの?」

蘭子「ハッ……!」

杏「さっきから杏のこと見てるよね?」

蘭子「よ、妖精のイタズラ」

杏「気のせいかなぁ?」

蘭子「左様……」

杏「そっかぁ……そろそろ湯船に入ろうPさんや」

P「わかった」

蘭子「やっぱりきれい…………」

P「…………」

杏「早くっ早くっ」

蘭子「魂の浄化……ふぅ」

杏「三人入ってもこの余裕。足が伸ばせるっていいね」

P「オレは胡座かいてるけど」

杏「…………」

蘭子「?」

杏「浮いてる……」

蘭子「浮いて……っ!?」

P「あぁ、なるほど」

蘭子「──白き血を我は飲み干す」

杏「杏はフルーツ牛乳派」

P「飲むのはいいけどお腹壊さないでね」

杏「それはもちろん」

P「夜中トイレ気をつけ、ん?」

蘭子「かくも扉を叩くのは誰ぞ」

P「見てくる」

幸子「ボクです!」

P「どうしたの?」

幸子「とりあえず中に入れてください。気が利かないですよ」

P「どうぞ」

幸子「お邪魔します」

P「それで用事は?」

幸子「お風呂に入れてください」

P「今出たところだからまだ給湯器切ってないからすぐお湯出るよ。部屋のお風呂壊れてる?」

幸子「違います。そういう意味ではなくて……」

杏「誰だったの?」

幸子「あ、こんばん……は……っ!」

杏「ん?」

幸子「な、なんで裸同然なんですか!?」

杏「お風呂入ったばかりだもん」

幸子「ん? Pさんもお風呂出たばかり、あなたも入ったばかりということは……っ!」

杏「あー、杏一人で入れないんだよね。恐怖症っての? それでね」

幸子「あっ、そうでしたか、すみません。よろしかったらなんの恐怖症か教えてもらえますか? あ、嫌でしたら……」

杏「んー…………ケポ?」

幸子「ケポ? ケポ……ケポ……あ。す、すみません! ボクはなんてことを……」

杏「私が言ったことだから気にしないでいいよ」

P「それでなにか用事?」

幸子「…………とにかくボクの部屋に来てください」

P「わかった。飲み物飲んで小一時間経ったら先に寝てて」

杏「ん、わかった」

P「お邪魔します」

幸子「お邪魔されます」

P「それでなに?」

幸子「まずは飲み物をどうぞ。ボクが厳選したアイスティーです!」

P「ありがとう」

幸子「…………」

P「ごちそうさま」

幸子「飲みましたね? 飲んじゃいましたね!」

P「飲んだ。おいしかった」

幸子「当然ですよ。飲んだからには言うこと聞いてもらいますからね!」

P「なに?」

幸子「もしかしてタダ飲みするんですか?」

P「そのつもりはない。それで言うことって?」

幸子「話を聞いたはなしですからね。良いですか、一回しか言いませんからよーく聞いてください!」

P「わかった」

幸子「ボクをお風呂に入れてください!」

P「さっきもいってたね」

幸子「勘違いしないでください。ボクと一緒に裸になって入るということではないですからね。扉のところで待っててもらうだけです」

P「理由は?」

幸子「…………なんでもいいじゃないですか」

幸子「──そこにいますよね!?」

P「いるよ」

幸子「本当にいるんですよね?」

P「いるよ」

幸子「本当の本当の本当ですよね!? 音声ループじゃなくて本当にいますよねっ!」

P「ループじゃなくて本当にいるよ」

幸子「……少し扉を開けるので手を出してください」

P「ん」

幸子「…………よかった本物」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「だ、黙ってないでなにかいってくださいよ……」

P「そう言われてもな」

幸子「今日あった出来事とか」

P「一日家にいた」

幸子「今日は外暑かったですよ」

P「らしいね」

幸子「まぁボクくらいカワイイとカフェの方から声がかかりますけどね!」

P「どこかに入ったの?」

幸子「全部断りました」

P「良さそうなところあった?」

幸子「あることはあったのですがボクの御眼鏡に適うのはなかったですね。どれもこれも似たようなのばかりで。それにどこに誰が隠れてるかわからないですからね」

P「なにか怪しいところがあった?」

幸子「いくらボクがカワイイからといってあんなに連続で誘われるなんておかしいです。自意識過剰かもしれませんが一応変装はしてましたし」

P「…………」

幸子「あっ、いま『お前なんて誰も知らねぇよ』って思いましたね?」

P「いや」

幸子「嘘ついてもボクにはわかります。それにしてもあれは怪しすぎました。どこかに入ったら絶対なにかありました。注文したものと違うものを出してボクの我慢の限界を試すとか、ものすごく変な味の飲み物を出されるとかいきなり空の上に連れていかれるとか。とにかくあれは絶対にプロデューサーの陰謀です」

P「幸子、あなた少し疲れてるのよ」

幸子「……ボクはXファイルのモルダーですか」

P「知ってるの?」

幸子「えぇまぁ。以前見せてもらったことがあるんです。そういうのが好きな人に」

P「どうだった?」

幸子「まぁ、面白かったですよ。ですがすすんで観ようとは思いません…………ハァ」

P「ため息出たけどなにかあったの?」

幸子「…………ただの自己嫌悪です」

P「自己嫌悪? なにかしてしまった?」

幸子「そういうのが好きな人に見せてもらったのはさっきいった通りです。それにすすんで観ようと思わないのも本心です。ですが、その時の自分に嫌悪感を抱いたんです」

P「どんな風に思ったの?」

幸子「その時のボクは疲れてたんでしょう。そうに違いありません。キラキラした顔でボクに見せてくれていた彼女を見て、『あぁこの子もボクの嫌がる顔を見て楽しんでいるんだ』なんて思ってしまうなんて疲れてなきゃありえないですよ……」

P「…………」

幸子「…………ありえないですよ」

P「…………」

幸子「……あんなの……ボクじゃない誰かです…………ボクじゃない……誰か……うぅ」

P「…………」

幸子「ウッ、フグッ……」

P「シャンプーが目に染みたのか」

幸子「そうですよ。だから早く手を引っ込めてくださいよ…………ヒック……グス」

P「…………」

蘭子「──我が友は天使の光の中に消えていった」

杏「たしかに長いね。長いといえばトイレ長かったね」

蘭子「…………」

杏「ま、なんでもいいけどね」

蘭子「…………」

杏「あと10分。意外と小一時間って長いね、これは」

蘭子「日和を待つ海路の様。荒波に揉まれ、船員はただ逃げ惑うばかり。なにをしても自然の前には無力」

杏「それでも杏はだらだらするために頑張るんだっ……!」

蘭子「話は変わるが事務所での怪異に心当たりは?」

杏「……まぁ女しかいないところなんてあんなものだよ」

蘭子「どこの歯車が狂ったのか。我にもわからぬ……」

杏「あそこは時計みたいな精巧なものじゃなくて、もっと雑ななにかだよ。雑多っていうのかな」

蘭子「…………焦りというのは時として邪を生む…………いや忘れてくれ」

杏「ん?」

蘭子「…………」

杏「そろそろ10分。寝る支度始めよ。といってもあとは杏は布団に入るだけなんだけどね。これで帰ってきたPさんが私と蘭子ちゃんの間に入ってくれればいうことなし。落ちてきても杏は安全」

蘭子「布切れ一枚で寝るのは些か心許ない。風邪を召喚する気かっ!?」

杏「大丈夫だ、問題ない」

蘭子「赤の女王の独裁」

杏「その事は話題に出すのやめようよ。せっかく寮にいないんだからさ。触らぬ神に祟りなし、噂をすれば影っていうでしょ?」

蘭子「新たな神の誕生を祝福するべきか、抗うべきか……それが問題だ」

杏「はい、お口にチャック」

蘭子「我としたことが悪癖が出てしまったようだ。ここは素直に詫びよう」

杏「謝るなら飴をくれ」

蘭子「甘き女神の雫はない」

杏「なんだって……? 鬱だ……寝よう…………ぐぅ」

蘭子「…………」

杏「そんな心配しなくてもいいと思うよ? すぐ上だし」

蘭子「…………」

杏「あの人も何かしてやろうグヘヘってタイプじゃないしさ」

蘭子「心配などしておらぬ」

杏「そう……」

蘭子「不浄を流さん」

杏「またトイレ? お通じが良いのは羨ましいけど多くない?」

蘭子「……不浄なる話題は禁忌」

杏「ん、わかった。それじゃいってらっしゃい」

幸子「きちんと向こう向いててくださいよ!」

P「向いてるよ」

幸子「横目で見ないでください! あっ、鏡……!」

P「…………」

幸子「頭の中でボクを裸にしてるんでしょ。モテないのはわかりますがボクにリビドーを向けないでください」

P「…………」

幸子「いくら一緒にお風呂入ったとはいえ、ボクはそんな安い女じゃないです! 見くびらないでください。それにあれは無理やり入らされただけです」

P「一人だと入らないでしょ?」

幸子「臭くてもボクがカワイイのは変わりません!」

P「…………」

幸子「あれ、でもあなたみたいな人は臭いのに反応する可能性が微粒子レベルで存在している可能性も……?」

P「さすがにそこまでは」

幸子「とにかくボクはブタみたいな目の哀れな人は信用しません。いかにもなオーラ満載ですから!」

P「それでいいよ」

幸子「今から髪の毛を乾かしますが後ろでゴソゴソしないでくださいねっ! 動いたら気配でも鏡でもわかります!」

P「うん。当たり前だけど髪の毛跳ねてないね」

幸子「お風呂上がりですからね。そうに決まってるじゃないですか。モテない人の会話はよくわかりませんね。よいしょっ」

P「…………」

幸子「…………なんですかジロジロ見ないでください。ボクが可愛くて襲いたいのを我慢してるのは誉めてあげます。しかしその目はやめてください」

P「項」

幸子「なめ回したいですか? でもダメ。あなたみたいな人には触らせてあげません」

P「傷がある」

幸子「あぁそれですか。以前プロデューサーに猫をけしかけられた時のです。腕白な猫でした。あ、いえボクも振り払えばよかったのですがその猫、礼子さんのお気に入りで……プロデューサーもそれがわかってるからニヤニヤしてました」

P「睨まれると厄介だな」

幸子「触らぬ神に祟りなしですよ。ボクが我慢すれば済む話ですし」

P「犠牲か」

幸子「優しくて天使なボクが犠牲になれば万事解決。きれいさっぱり」

P「そこには何も残らないな。でも意外と気分いいよね」

幸子「……初めて会ったときから変な人だと思ってましたけど本当に変ですね」

P「……汗拭きながら服捲った君に言われたくない」

幸子「だからアレはどうやったら男の人が喜ぶもとい戸惑うかを考えた結果です! 何度も言ったじゃないですか。ボクの羞恥心をほじくって楽しいですか?」

P「全然楽しくない」

幸子「とにかくボクは触らぬ神に祟りなしで行きます。例え、空気を読む大人みたいだと言われても、それで平和になるならいいじゃないですか。それに何を言っても誰も耳を傾けて聞いてくれませんし」

P「それでオレに聞かせるってわけか」

幸子「カワイイボクの愚痴が聞けるのですからとても喜ばしいことですよ! 女の人とろくに喋ったことがないあなたには垂唾ものですね!」

P「お茶さえ出してくれれば」

幸子「見返りを求めるんですか? まぁそれくらいなら優しいボクは出してあげますよ」

P「ありがとう──」

高橋礼子「おはようプロデューサーくん」

高橋P「おはようございます」

礼子「なんか堅くない?」

高橋P「いえ、そんなことは」

礼子「普段ももう少し柔らかい態度でいてくれるといいのに。成人して少し経ってるくらいだったっけ?」

高橋P「はい。新人もいいとこです」

礼子「やっぱりプロデューサーって大変?」

高橋P「大変ですがやり甲斐があります!」

礼子「最初は頼りなさげだったのにもうこんなに立派になって。なんだかうれしい」

高橋P「礼子さんこそこんな俺に着いてきてくれてありがとうございます」

礼子「まさか30歳になってアイドルやるなんて思わなかったわ。ま、これも人生かもしれないわね」

高橋P「そうですね」

礼子「あっちの方も立派になってほしいけど」

高橋P「……セクハラですよそれ」

礼子「ふふっ、悔しいならもう少しうまくなって……ね? それより今日飲みにいかない?」

高橋P「はい!」

P「──まぁいつも通りだな」

蘭子「赤の女王の日常。元は人の子なるか」

P「しかしそこには悪がある。見てればわかるよ。それにしてもこんなところにいてもいいの?」

蘭子「人界の秩序など我には無関係。刻の流れに逆らう我にはな……」

P「家にいた方がよかったと思う」

蘭子「煩わしい太陽もたまには良きもの」

P「この時間に女の子とカフェにいるのはちょっと……」

蘭子「不服だと申すか」

P「そういう訳じゃないよ」

??「それならわたくしも不審者になりますね」

P「こんにちは。こんな時間にここで会うなんて思いもしませんでした」

??「なにもない日はこうした街を歩いているのです。暗いところに籠っていてはあまり健全とは言えませんので」

P「休日でしたか」

蘭子「ぅ……ゃ……あっ」

??「何か?」

蘭子「銀色の王……ンッ!」

??「しっ。ここではとっぷしーくれっとです」

蘭子「ん、ンムンム」

??「わたくしは石ころ。ですのでわたくしのことは二条歩夜とお呼びください」

蘭子「ジジョウアルヨ? 面妖な……」

歩夜「むっ……! それよりここでなにを? まさかお昼のモリモリサンドイッチを狙っているのでは!?」

P「人を見張ってるだけ」

蘭子「気安く他人に話しては……!」

P「大丈夫。誰にもばらさないから」

歩夜「えぇ。人の秘密や行動をとやかく言う資格などわたくしにはありませんので。して、一体誰を?」

P「高橋礼子」

歩夜「以前性的嫌がらせをされたというあの?」

P「そう」

蘭子「双方戦友か?」

歩夜「ある意味ではそうとも取ることが出来ます。そうはいっても共に歩むといった類いのものではございませんが」

蘭子「理解した」

P「高橋礼子、知ってますか?」

歩夜「多少のことなら存じ上げております。り……とある知人の机の上に置いてあった資料がふと目に入ったことがあったので。決してわざとではないので悪しからず」

蘭子「闇が此方を覗いていたのか、此方が闇を覗いていたのか。そんなことは些細なこと」

歩夜「今は自分の地位が不動なことをいいことに暴虐無道の限りを尽くしていると聞き及んでおります」

P「そこまでじゃないけどそれでも五十歩百歩。あまり変わらないか」

蘭子「暴虐無道というにはあまりにも緩きもの。欠伸が出る」

歩夜「それでも暴虐無道にはかわりありません」

P「加えて大悪というほどではないからな。言ってしまえば小悪党ともいえる」

歩夜「見えず触れずほど厄介なものはありません」

蘭子「……もしや亡霊や生ける死者に怯えるというのか?」

歩夜「おばけっ……!?」

蘭子「ひっ」

歩夜「…………こほん。少々取り乱してしまいました。お見苦しいところを……すみません」

P「いえ」

歩夜「しかし、世の中には他人を心配するふりをして他人を貶める者がいるのです」

蘭子「ゴブリンの所業……! いや、人の業か?」

P「性格だろうね」

歩夜「ムゴムゴ……ムゴゴ」

蘭子「ン?」

歩夜「ンク……失礼」

P「いえ」

蘭子「今の呪文は?」

歩夜「彼女といえば、こちらの事務所にも同じような雰囲気をもつ者がおります。齢は少々若いですが……」

蘭子「青と白の聖母……!」

P「年齢的な焦りもあるんだろう。ある意味では可哀想だね」

歩夜「話は変わりますがその瞳はこんたくとれんずですか?」

蘭子「ヒトが作りし力なき網膜」

歩夜「からこんというものですか。なるほど。違和感は?」

蘭子「我に憑依しようとすればその身を滅ぼす。好奇心は己の身を滅ぼすぞ?」

歩夜「違和感は最初だけですか。実はわたくし、少々目が悪くて……眼鏡を掛けるか否か迷っていて」

蘭子「瞳正す鏡を推奨す」

歩夜「しかしそれでは眼鏡キャラというものが知人と被ってしまうらしく……うむむ」

蘭子「……っ! 我が下僕っ! 我が下僕!」

P「いたっ、痛い。パシパシ叩かないで」

歩夜「?」

P「話が通じたのが嬉しいらしいです」

歩夜「なんとっ──」

蘭子「面妖な王女だった……彼女も魔の者とでもいうのか。魅了せし者よ」

P「ところでその服暑くない? 特に下」

蘭子「この程度の暑さ、地獄の業火に比べればどうということはない」

P「蒸れそう」

蘭子「生命の香とでもいうのか」

P「そろそろ移動しよう」

蘭子「何処へ?」

P「洋服屋」

蘭子「衣を揃えに?」

P「オレのじゃないよ」

蘭子「?」

蘭子「おっ……おっ、オオー……!」

P「驚いてるね」

蘭子「なんというきらびやかな舞踏着! 金殿玉楼に赴くに相応しいっ」

P「ドレスだからね」

蘭子「如何にして導かれた。答えよ」

P「ある人に紹介された。マナー教室やってる人でね」

蘭子「……よ、よっ、夜……?」

P「そっちの意味じゃないからね。普通のマナー教室」

蘭子「な、なるほど……今のは忘却の彼方へ消し去れ」

P「どれか決まった?」

蘭子「我に合うのを探すは至難の業。我自身ももて余している」

P「店員さんに選んでもらえばいいよ。ここの人達はしっかりした人ばかりだし」

蘭子「魔の道は悪魔ということか」

P「餅は餅屋だね」

蘭子「では聞いてくる。暫し時の精霊と戯れよ──」

高橋P「パーティーですか?」

礼子「そう。そんなに大きくはないけど来る?」

高橋P「今夜ですよね?」

礼子「えぇ。なにか予定でも?」

高橋P「はい。実は懇意にしてくれてる営業先があるので、そこの人と食事をすることになってるので……せっかくのお誘いですが」

礼子「あら残念。ならあなたの恩師に会ってもそう言っておくわ」

高橋P「はい?」

礼子「だからあなたの恩師よ。ほら、研修のときになんとなく世話になったって言ってたじゃない。忘れたの?」

高橋P「いや、忘れてはいませんが……あの」

礼子「来れなかったら悲しむわよ? それでもいいの?」

高橋P「……先約があるので」

礼子「その懇意にしてもらってる営業先の人、女性よね? いいの? 恩師より女性と会う方を優先したって言って」

高橋P「それは……」

礼子「向こうはあなたの担当してるアイドルのこと知ってるわよ?」

高橋P「つまり礼子さんの事ですよね……」

礼子「そう。それでも得意先の女性を取るのかしら」

高橋P「………………」

礼子「お酒飲むとおしゃべりになるのよ私。だから口が滑ってあらぬこと言っちゃうかもしれないわ」

高橋P「あらぬこと?」

礼子「プロデューサーくんに手を出されたこととか♪」

高橋P「…………わかりました。得意先には行けなくなったと伝えておきます」

礼子「それでよし♪ さぁ今夜は楽しむわよ♪──」

蘭子「こ、金色の闇……! その煌めきを直視出来ず、ただ戸惑うばかり」

P「まとめて支払うから値段の事は気にしないで。良いじゃないそれ」

蘭子「地獄の業火に焼かれんとするその覚悟、まっこと見上げたもの」

P「これくらい支払えるよ。良いものを人々に提供。それがここの謳い文句」

蘭子「しかし我にこの衣は役不足。到底着られぬ」

P「似合ってると思うよ。店員さんも誉めてたじゃない」

蘭子「世辞はいい」

P「だから全然役者不足じゃないよ。なんなら他の人にも聞いてみたら? 前川さんとか三船さんとか」

蘭子「…………」

P「鏡で見比べてるなら決めちゃえばいいじゃないか」

蘭子「魔の囁きに耳は貸さん……!」

P「ならもう少し迷う?」

蘭子「……こっちもいい」

P「背中がばっくり開くタイプだね」

蘭子「蛹からの羽化のよう」

P「そんな感じだね」

蘭子「下僕よ、選べ」

P「最初の」

蘭子「ふむ……」

蘭子「──忌々しい太陽は鳴りを潜め、闇は息を吹き返す。今宵も我は活性化す」

P「狼男みたいに?」

蘭子「我が同胞は戦場へ。我は黄昏の湯に浸からん」

P「イベント行きたかった?」

蘭子「煩わしい……羨望などするものか」

P「少し羨ましくあるんだね」

蘭子「多少なりとも偶像と崇拝されてる身、一寸の虫くらいにはないこともない」

P「それもそうだね。お湯張れたよ」

蘭子「…………」

P「痛いっ。裾を引っ張らないで」

蘭子「…………」

P「何?」

蘭子「…………」

P「…………」

蘭子「き……今日はお洋服……ありがとう、ございます」

P「ついでだけどね。他の人のはよくわからなかったから適当に買ったから怒られそう」

蘭子「そ、それだけ……です」

P「それじゃお風呂入ってきて」

蘭子「あ、それと……みちるちゃんから聞いた……んですけど…………」

P「何を聞いたの?」

蘭子「よく効くお腹のマッサージ……」

P「あれね。便秘?」

蘭子「……ちょっぴり」

P「出てきたらするよ。入っておいで──」

蘭子「汚れなき穢れた身体の我の前に敵はない!」

P「マッサージが効いたようで良かった」

蘭子「オクサレも驚愕する物量。我こそは河の神なり」

P「汚ない。食事中」

蘭子「食べ飽きているはずの獣の死肉も美味く感じる」

P「野菜も食べて」

蘭子「ある者曰く、豊穣なる大地の紅き楔を食べずとも強者になれる、と」

P「人参をいれないと味が違うんだけどね」

蘭子「うぅ……」

P「食べ終わったらゲームでもやるか……」

蘭子「妖精の戯れとな?」

P「ホラーゲームだからいない方がいいかも。本読む?」

蘭子「……恐怖など我には無いっ」

P「後悔しても知らないよ」

蘭子「──し、死の口付け」

P「足で踏んづけてキスするなんて激しいってレベルじゃない。フランス人もびっくり」

蘭子「戯れに聞いたことがある。接吻をすると子を為すと……よもや真実だったとは」

P「こんな子供はこっちからパスしたい」

蘭子「あんな風にチューされたらどうなっちゃうんだろう……」

P「死ぬ。そこ曲がったところにもいるから気をつけて」

蘭子「赤子の鳴き声が……!」

P「小梅曰く、ダンシングフラワーみたいで可愛いらしい」

蘭子「独特の感性よ……我には人の皮を被りし醜貌なる悪魔にしか見えん」

P「怪物には違いないけどね──」

みちる「ワーズ・ラワシィ」

蘭子「太陽にゃ!」

みく「みくのアイデンティティがクライシス!」

みちる「おはよう朝ごはんくださいございます」

P「おはよう。食べてこなかったの?」

みちる「ご飯のために急いできたの!」

P「いくらオフの日だからってどうかと」

みく「みくは食べたからいらないにゃ。それよりなんか生臭いにゃ。もしかしてお魚焼いた?」

P「焼いてない」

みちる「なんだか嗅ぎ慣れた匂い……あ」

蘭子「?」

P「朝ごはんいらないのか……」

みちる「そんなぁ……!」

みく「ところで他のみんなはどうしたにゃ?」

P「三船さんと高森さんは仕事、まゆは泊まりで杏は寮にいるけどたぶんそろそろ限界だから来ると思う」

みく「まゆチャン、プロデューサーの事大好きだもんね。でもアイドルとして大丈夫なのか心配にゃ」

P「そういうキャラで知られてるから問題ない」

蘭子「己が進む道というものか……」

P「路線だね」

みちる「大食い路線に戻れるチャンス?」

P「戻りたいなら。苦しむだろうと思うけど」

みく「ほたるチャンと輝子チャンは? それに幸子チャンと小梅チャン」

P「三人は揃ってライブ。昨日辺りまでだから今夜辺り来るかもしれない。ほたるは連絡取れない。また携帯電話壊したのかもしれない」

みく「不運だにゃあ……幸子チャンは?」

P「部屋から出てこない」

みちる「またなにかあったの?」

P「さぁ」

みく「そこは聞きに行くところにゃ」

P「何か言いたいなら本人から言うよ」

みく「それもそうだけど……」

みちる「Pさんに期待するのはムダだよ?」

蘭子「愚者か賢者か……」

P「無闇矢鱈に口を出しても向こうは鬱陶しいだけだよ。放っておく事も必要」

みちる「ところで何であたしたち呼んだんです? もしかして溜まったリビドーをあたしたちに注ぎ込もうと!?」

みく「二人ともみくの後ろに隠れるにゃ!」

P「そんなんじゃない」

P「他の人にも帰ってきたら聞くけど、パーティーに興味ない?」

みちる「パーティー……? あ」

みく「マタタビでも吸わせる気にゃ」

みちる「あたしたち売られちゃうんだ……」

蘭子「禁断なる淫魔のクスリッ!?」

みちる「金髪で髪の毛とヒゲがツンツンしてる人たちにですね」

みく「いやいやデブネコみたいなお仲間ににゃ」

P「そういうパーティーじゃない。パーティーっていうのは──」



蘭子「小城の宴?」

P「そう。小さな立食パーティー」

みちる「立ち食い……?」

みく「急におそば屋みたいになったにゃ」

みちる「駅そばをこうズルズルと」

みく「お肉のトッピングはあるかにゃ?」

みちる「そりゃもちろん。あたしとしてはパンが食べたい。カリフワサクッ!!の」

みく「サクッ!じゃダメなの?」

みちる「サクッ!!がいい」

蘭子「小城に我は不釣り合い」

P「まぁ、考えといて」

みちる「立食というと料理は食べ放題?」

P「監視はつけさせてもらう」

みちる「そんなっ……! 人権侵害!」

P「安全のためだよ」

みく「やっぱりアブナイところなのにゃ」

みちる「見事に引っ掛かりましたね」

P「危なくないって。それじゃ考えておいて」

みちる「どうする?」

みく「他の人も誘うとか言ってたけど人数制限とかあるのかにゃ?」

みちる「あー、聞き忘れちゃった」

みく「限定と聞くとちょっと好奇心が疼くにゃ」

みちる「さすがネコ」

みく「ネコ関係なくない?」

みちる「蘭子ちゃんどうする?」

蘭子「えっ? あっあのその……」

みく「にゃ?」

蘭子「せ、せっかくド、ドレ……我が下僕が用意した舞踏着を着るのも一興。召し使いに気遣うのも主の義務。まっこと辛いものよ」

みちる「ドレス?」

みく「ドレスってなんにゃ?」

みちる「一口にいってもいろいろあるけどドレスっていうのはワンピースの……」

みく「そうじゃないにゃ。買ってもらったってどういうこと?」

みちる「人にお金を出してもらうこ……」

みく「少し黙るにゃ」

みちる「フギフモガ」

蘭子「実は太陽が煩わしくない午後に買い物にいったときのことだ。ただの戯れな行為。驚くこともない。そらに心配せずとも皆の分もある」

みちる「それはどこに?」

蘭子「憩いの聖域にある」

みちる「リビングか。ちょっと見てこよう」

みく「みくも行くにゃ。ドレスにはちょっと興味があるにゃ」

みちる「それじゃそらを見に行こう」

蘭「……っ! っ!」

みちる「いたっ、痛いっ!」

蘭子「──魔力の猛りを感じる!」

P「そんなに気に入ったのか。よかった」

みく「みくはオレンジにゃ。みくにはちょっと明るすぎにゃ」

みちる「あたしは薄緑。これはなかなか。それにしてもこんなのがあるなら先にいってくれればよかったのに。そうすれば快く協力したのに」

P「物で釣るみたいでなんだか嫌だったんだ」

みく「…………」

P「気に入らなかった?」

みく「そうじゃないにゃ……ちょっとした疑問にゃ。身の毛も弥立つ疑問にゃ」

みちる「疑問?」

みく「ぴったしなのが怖いにゃ。なんでみくたちのスリーサイズ知ってるにゃ?」

P「プロフィールに書いてある」

みく「それにしてはぴったしすぎにゃ。どこかでみくたちのハダカでも見た感じにゃ」

まゆ「それは怖いわねぇ」

みく「そう、怖いにゃ……」

まゆ「覗きは駄目ですよPさん」

P「覗いてはない」

みく「デバガメはダメにゃ」

まゆ「そうです」

みく「そ……え?」

まゆ「……?」

みく「まゆチャンにゃあぁぁぁぁぁ!」

まゆ「そんなに飛び上がってどうしたの?」

みく「いつここに来たの!? お泊まりじゃなかったの!?」

まゆ「今さっき。お泊まりは楽しかったわよ?」

P「ならなんで帰ってきた。向こうはどうした」

まゆ「Pさんが恋しくなっちゃって……向こうは向こうで楽しみました」

みく「まるで猫ちゃんみたいにゃ……」

P「ちょうどいい。パーティーに行くか?」

まゆ「イケないパーティー?」

P「そういう類いのじゃない。普通の立食パーティーだ」

まゆ「それなら行きます♪ もちろんPさんも一緒ですよね?」

P「オレは別行動」

まゆ「つまんなぁい」

P「楽しんでくれ」

みちる「タッパーはいくつまで?」

P「なし」

みちる「そんなっ!」

まゆ「服装は?」

P「そこに買ってある。そろそろ新調しないといけない時期だ」

まゆ「まゆも色々育ってます。イロイロと♪ あら、まゆの好きな色だわ」

P「その色はそれしかなかった」

まゆ「あなたが選んでくれるならなんでも着ます。例え葉っぱ一枚でも貝殻だけでも♪」

P「そうか」

みちる「うわっ、これ胸元バックリ開いてる! セクシー! エロいっ」

みく「それ誰用にゃ? 色的に美優さん?」

P「そう。三船さんの」

まゆ「まゆもリボン巻き付けようかしら」

P「そのままでいい」

まゆ「ならそうしまぁす♪」

みちる「この白いのはほたるちゃん?」

P「そう」

みく「もしかして小梅チャンのもPさんが選んだの?」

P「そうなる」

みく「…………」

P「眉間に皺寄せなくても……」

みく「なんだか変態チックにゃ」

P「今日はもう遅くなったから泊まっていって」

みちる「寝てる間にバクッ!何てことも……」

P「ない」

みちる「そうなりそうだったらみくちゃんを囮に使おう。大丈夫、尊い犠牲は忘れない」

みく「え、ひどくない?」

まゆ「──みんな寝ちゃいましたね」

P「寝たな。寝なくていいのか?」

まゆ「明日は何もありませんから。今日は遅くまで起きていられます」

P「そうか」

まゆ「そういうPさんこそ明日から忙しいでしょう?」

P「君達ほどの忙しさはないよ。それに一人じゃないしさ」

まゆ「礼子さん。ますます女王ぶりが酷くなってます」

P「そうか……」

まゆ「前はそんなでもなかったのにここのところは特に酷くなってます」

P「バランスって大切だな」

まゆ「誰かが誰かの歯止めになってたりしますものね」

P「そうだな」

まゆ「…………」

P「…………」

まゆ「…………まゆは」

P「…………」

まゆ「私はPさんのなんなのでしょう」

P「大切な人」

まゆ「…………」

P「……昔を思い出したの?」

まゆ「私にとっては"今"です。Pさんも言ってたじゃないですか。過去の自分は今の自分と密接に関係あるって」

P「確かに言ったな。ずいぶんと前に」

まゆ「それにまゆを嘘つきにしたのはPさんですよ?」

P「…………」

まゆ「言うじゃないですか。人は恋に落ちた瞬間に嘘つきになるって。これもPさんが教えてくれたんですよ?」

P「よく覚えてるな」

まゆ「そっちも覚えてるくせに。だからまゆは嘘つきなんです。ずっと、ずぅーっと♪」

P「…………」

まゆ「…………」

P「…………」
まゆ「うふ♪ まゆはこういうところ好きですよぉ。まゆが寄り掛かっても怒らないところ♪ 普段なら怒るのに」

P「…………」

まゆ「照れ隠しですか?」

P「…………」
まゆ「うふ♪」

P「ところで」
まゆ「はい?」

P「事務所での小梅の様子は?」
まゆ「至って普通です。きちんと"白坂小梅"です」

P「そうか」
まゆ「まゆは慣れてるから平気ですが、小梅ちゃんにああいうことして大丈夫ですか?」

P「問題ない」
まゆ「時々複雑な顔してますよ?」

P「それも今だけだよ。それより高橋礼子についてだが……」
まゆ「はい」

P「プロデューサーの高橋Pの様子はどう?」
まゆ「少々疲れてるみたいですがそれ以外は普通です。大きな怪我や病気はないです。ただ、疲労は蓄積してます」

P「アイドルにこき使われてるのもあるからね。そりゃ疲れもするよ」
まゆ「この前は礼子さんに二者択一を迫られてました。パーティーに行くか得意先を取るのか」

P「狡猾な人だな。年の功とも言うべきか」
まゆ「人に逃げ場をなくす人って大嫌いです」

P「独り身が寂しいだけかもしれないぞ?」
まゆ「そうだったら評価も違うのですがそれはないですよ」

P「まぁたしかにそれはないな」
まゆ「でしょ?」

P「さて、明日から忙しくなる。もう寝よう」
まゆ「実はまゆ、今日お風呂に入ってないんです」

P「なら入ってから寝ればいい。みんな寝てるから静かに」
まゆ「一緒に入りません?」

P「もう入った」
まゆ「それじゃあまゆの背中流してください」

P「それは背中だけじゃ終わらせない顔だな」
まゆ「それはもちろん♪ それに久しぶりに触ってください」

P「大声出さないなら」
まゆ「静かに入ります♪」

まゆ「──ふんふんふん、ふふふふふふふー♪」

P「静かに」

まゆ「あら、すみません」

P「機嫌がいいのは良いことだけど今は夜」

まゆ「はぁーい」

P「痒いところは?」

まゆ「ここ♪」

P「"背中で"痒いところは?」

まゆ「特には。それよりここが……」

P「…………」

まゆ「冗談ですよぉ♪」

P「事務所での高橋礼子の様子は?」

まゆ「好きに振る舞ってます。なんというか……傍若無人?」

P「裏方に『気さくな魔女』と呼ばれてた事もあったからな」

まゆ「今では『気さくな赤の女王』ですけどね」

P「まゆ」

まゆ「はい?」

P「……いや、なんでもない」

まゆ「変なPさん。一緒に湯船入りません? 広すぎてまゆ溺れちゃいそう」

P「これ以上入るとふやける」

まゆ「あっちの方は?」

P「どこを見てる」

まゆ「ぁん、まゆの口からはとても言えません♪」

P「…………」

まゆ「そんな顔しないでくださいよぉ。そういえば、高橋Pで思い出したのですが……」

P「なにかあったのか?」

まゆ「仕事疲れの他に"そういう"疲れも出てました」

P「あー」

まゆ「こき使われてるだけでなく、コキ使われてますね」

P「高橋礼子の性格とプロデューサーとの関係で推して知るべし」

まゆ「礼子さんの方からかしら」

P「普段散々焦らして、仕事終わりに飲みに誘う。そこでお酒飲まして理性の箍が外れるのを愚痴聞くふりして待つ。十中八九こうだろうね」

まゆ「つまり自分から求めるまで待つと。なんだかエッチですね。そういえばあの本にもそんなシーンが……」

P「本当にあの本お気に入りなんだね」

まゆ「愛読書にしたいくらい♪ 思い出したらアソコがきゅんきゅんしてきちゃいましたぁ」

P「それは湯船に浸かりすぎたからだよ」

まゆ「うふふ♪ それにしても礼子さんは狡猾です。まゆもその手使おうかしら」

P「担当プロデューサーに?」

まゆ「担当プロデューサーさんにも♪ あ、でもPさんあまりお酒飲みません……」

P「そうだな」

まゆ「Pさんのちょっとイイトコ見てみたい♪ あ、それまーゆまゆまゆまーゆまゆまゆ」

P「それだとオレが飲まなくないか?」

まゆ「……あら? あ、まゆの飲みます?」

P「うん」

まゆ「えっ…………え?」

P「そこで狼狽するんだ……」

まゆ「ま、まさか承諾するだなんて……」

P「それにしても高橋Pも大変だな」

まゆ「でも男の人にとってはご褒美ですよね? よくそういった意見聞きます」

P「それは一部の人にとってだ。高橋Pにしたら強姦と何ら変わりがない」

まゆ「たしかにカサカサとやつれ顔でした」

P「一回目の後ズブズブと……だな」

まゆ「礼子さんに脅されてる?」

P「高橋礼子からはなにもいってないだろう。無言の恐喝といったところだ。桜の木を切ったジョージ・ワシントンみたいな」

まゆ「どういうことですか?」

P「彼が誉められた、いや怒られなかったのは手にまだ斧を持っていたからだ。そういうジョークがあるんだよ」

まゆ「あー、なるほど。礼子さんの場合は自分とプロデューサーの関係を振りかざしてる、といったところですね」

P「そうだ。しかも高橋礼子からは何も一言も言ってない。だから誰にも相談できない。言ったところで高橋Pの妄想や自虐風自慢が関の山。下手したら自分の身の破滅」

まゆ「なんら強姦と代わらないですね。より質が悪くなってます」

P「年の功といえばそれまでだが、あれは性格だな。まさに魔女。西の魔女と呼ばれてたが同時に東の魔女とも呼ばれてただけのことはある」

まゆ「どちらも悪い魔女ですね」

P「あぁ。それが昇格して赤の女王」

まゆ「怖ぁい。まゆ、震えちゃいます」

P「オレもだ」

まゆ「そこは『まゆはオレが守る』とあうところです」

P「まゆはオレを守る」

まゆ「……それもいいかも」

P「いいの?」

まゆ「守られるではなく守るヒロインというのもありかも♪」

P「ヒロインが脇役守ってどうする。守るなら王子とか弟とかだろ。物語として脇役守るのは微妙だぞ」

まゆ「まゆにとってPさんは大切な人ですもの。守るに値します♪」

P「…………言ってて恥ずかしくないのか」

まゆ「ちょっぴり。でも本当のことですよ?」

P「…………」

まゆ「Pさん……ンー」

P「目を瞑るな」

まゆ「開けてる方がいいですか?」

P「今日はやけにテンションが高いな」

まゆ「数日会えなかった気分ですもの♪」

P「…………」

まゆ「あ…………服濡れちゃいます」

P「どうせ少し濡れてる」

まゆ「んもぅ……相変わらず素直なんだかそうじゃないんだかわからない人……」

P「…………」

まゆ「まぁでもそこが……うふ♪」

P「少し体重増えたな」

まゆ「ちょっとだけおっぱいが大きくなりましたから。触ります?」

P「…………」

まゆ「体重が増えたなんて言ったからまゆもからかってみました。これでおあいこです」

P「…………」

まゆ「ぁ……ン」

みく「あーたらしい朝が来たー♪」

みちる「ねーぼーうのあーさー♪」

みく「遅刻にゃー! なんでPチャン起こしてくれなかったにゃ!」

P「…………これ」

みく「……ごめんなさい」

P「起こしたら引っ掛かれるとは思わなかったよ。二度寝するし」

蘭子「ウンディーネの癒しっ!」

P「いたた、消毒液が染みる」

まゆ「絆創膏にします? カットバンにします? それともぉ……だ・え・き?」

P「絆創膏」

まゆ「はぁい」

みちる「もう……休んじゃってもいいよね」

P「駄目だと思う」

みちる「そこは『おう休め休め。勉強より大切なこと教えてやる』っていって休ませんところです」

P「それはない」

みちる「パンくわえてタックルを実現するチャンス?」

P「角から飛び出してくるのがトラックじゃないといいね」

みく「みちるチャーン!」

みちる「へへっ……ッ……ト……バゲットは…………無事か?」

P「そんな時までパンの心配か」

みちる「フゴアモモ」

P「頬張りすぎ」

みちる「んちゅ」

みく「ツバまみれにゃ」

みちる「みくちゃんはなにを守って飛び出すの。ネコ?」

みく「答えにくい質問来たにゃー」

みちる「その後一人称がオレっちになったりして」

P「朝からそういうのがよく出るな」

みちる「脳ミソフル回転」

みく「とにかく学校にはいかなきゃダメにゃ。勉強は大事にゃ」

みちる「家庭科ならパン限定で得意なんだけどなー」

みく「限定的すぎにゃ」

まゆ「二人とも遅れちゃうわよー」

みちる「あっ、もうこんな時間」

みく「本格的に遅刻にゃ!」

みちる「すぐ着きません?」

みく「みちるチャンのところは近いから良いけどみくのところは遠いの!」

みちる「なんとぉ!」

P「急ぐのはいいけど焦るのは駄目だよ」

みく「そんなこと言ってる場合じゃないにゃ」

P「…………みく」

みく「な、なに気持ち悪い」

まゆ「…………」

P「皆勤賞狙ってるのはわかるけど焦ってもいいことないからな。事故に巻き込まれたら学校どころじゃない」

みく「う……わ、わかったにゃ」

P「それとこれ。電車の時刻表。この時間でもそれに乗れば充分間に合うよ」

みく「え、あっ、ありがとう」

P「どういたしました」

みちる「これで顔がよければなー」

蘭子「ノートルダムの傴男」

まゆ「それは言い過ぎよぉ? せめて美女と野獣のガストンよ」

みちる「ハンサム……?」

まゆ「あれでも子どもには人気なのよぉ?」

みちる「子どもに人気……あ」

P「なにを察した。朝御飯食べて行かないと」

みちる「フゴー」

蘭子「その命もらい受ける!」

P「みんな出掛けたか」

まゆ「今日は一日まゆたちだけです」

P「だな」

蘭子「うむ。我が独壇場!」

P「昼過ぎから三船さんと高森さんが来る」

まゆ「それまでなにしてます?」

P「そうだな……」

蘭子「我は不浄を流しにいってくる」

まゆ「いってらっしゃい」

蘭子「暫しの別れっ!」

まゆ「…………Pさんあれってもしかして」

P「随分経ってるけどそうだよ」

まゆ「早くなんとかしないといけませんね」

P「夜な夜な夢を見るらしいしね」

まゆ「まゆとPさんで落とすのは?」

P「それはどうかと……神崎さんもどうにかしないとね。後手に回ってるが、とにかく今は高橋礼子のことだ」

まゆ「そうですね」

P「どうするか」

まゆ「拷問なら任せてください♪ 小梅ちゃんも連れていきます?」

P「拷問か……物理的な拷問はちょっとな」

まゆ「それじゃ調教?」

P「やることは大体ヤってるだろ」

まゆ「まぁ、30歳過ぎてますものね」

P「……久しぶりにアソコ見てみるか」

まゆ「…………」

P「パンツをずらすな」

まゆ「あら?」

P「アンチスレだ、アンチスレ」

まゆ「わかってますよぉ」

P「パソコン立ち上げてと」

まゆ「そういえばPさんってエッチな動画とかあるんですか?」

P「ない」

まゆ「本当ですかぁ?」

P「ないものはない」

まゆ「ふぅん」

P「そっちこそスキャンダルには気を付けて」

まゆ「わかってますよぉ。あなたのためにも♪」

P「繋がった。相変わらず結構あるな」

まゆ「>>678>>679なんてものがありますね」



久々登場アンチスレ
>>678
>>679
高橋礼子に対する悪口・アンチレスをお願いします

それ以外は安価下

年齢が半分だったらよかったのに

こないだ3人の男とホテルから出て来るの見た
クソビッチ過ぎるだろ

まゆ「年齢が半分だったらいいのにですって」

P「あんな15歳はちょっと……」

まゆ「色気ありすぎよねぇ」

P「三十路でアイドルもきついよな」

まゆ「それは言っちゃダメですよぉ」

P「ははは」

まゆ「ところでホテルから三人の男の人と出てきたって何してたんですかぁ?」

P「知ってるくせに」

まゆ「まゆアイドルだからわかりませぇん。ホテルってどんなホテルですかぁ♪」

P「プロヴァンスの風」

まゆ「うふふ♪」

P「女は三十から性欲が旺盛になるというがその典型。本能が叫んでるんだろうな」

まゆ「子どもを産まないともう限界だぁって?」

P「そんな感じだな。それとこの三人の男ってのはおそらく…………いやなんでもない」

まゆ「?」

P「ただの憶測だ」

まゆ「まゆに隠し事はダメですよ? 隠し事をするPさんにはこうです♪」

P「首筋に吸い付くな」

まゆ「ンム、あむ」

蘭子「…………ぁぅ」

P「お帰り」

蘭子「不浄を流したら下僕が契りを交わしていた。なにを言っているかわからぬ……」

まゆ「お帰りなさい。チュプ」

蘭子「っ! っ!」

P「いい加減やめてくれ」

まゆ「ところで高橋Pさんはこの事知ってるんですか?」

P「知らないだろうな。自分の担当アイドルのスキャンダルみたいなものだし。世間知らずではないが純心な青年だから」

蘭子「純真なる魂は汚れを知らず。してその魂を縛るのは何ぞか」

P「何が起きてるか知りたいのか」

まゆ「蘭子ちゃんには少しだけ刺激が強いわよぉ?」

蘭子「──っ! ぅわーっ! うわっ! っ!!」

まゆ「クッションに顔突っ込んじゃいました」

P「全部いったのか?」

まゆ「創造力を駆使して詳細に♪」

P「相手が誰かもわからないのによくやるよ」

まゆ「あの人たちじゃないんですか?」

P「違う。年齢的に彼らの趣味じゃない。それに高橋礼子にリスクが高過ぎる」

まゆ「それじゃあ悪いことしたかしら」

P「いったいどんな事を言ったんだ……」

蘭子「モフー!」

まゆ「しばらくはあのままですね」

P「あのままだろうね」

まゆ「ところで幸子ちゃんは?」

P「音沙汰なしだけど部屋には戻ってきてる。来るときには用心のためにメールしてくれと言ってあったからメールあった」

まゆ「きちんとしてますね」

P「育ちがいいのも魅力のひとつだと思う」

まゆ「ところでさっきの考察はどうして?」

P「高橋礼子にとってジュピターがリスクが高い理由?」

まゆ「はい」

P「だいたい予想つくだろうけど原因は知名度とそのファン」

まゆ「ファン?」

P「ジュピターが最近961プロから脱退したのは知ってるね?」

まゆ「ちょっとしたニュースになりましたから」

P「そしてその頃から小さいながらも事務所で頑張って宣伝している。彼らに事務所の大きさなんて関係ないのかもしれないな」

まゆ「シンデレラストーリーみたいですね」

P「様々な方面に売った。そして961プロの頃にはつかなかったファンがついた。それが所謂おばちゃん層」

まゆ「あぁ、なるほど」

P「三人ともおばちゃん受けがすごくいいからな。あの顔に加えてそれぞれの性格にそれに則した受け方」

まゆ「おばさまたちがついていたらものすごい強味ですね」

P「そんなグループとスキャンダルになってみろ。恐ろしくて想像もしたくない」

まゆ「礼子さんはそこら辺がわかってると。さすが年の功」

P「女王どころじゃなくなるからな」

まゆ「そういえば後で聞いたことなのですが、まゆが温泉から出たときもなにか察したような視線を送っていたらしいです」

P「温泉? あぁ、まゆの担当プロデューサーが部屋風呂使ったときのか」

まゆ「はい。あの時失敗したのはPさんのせいですよ。まゆをポンコツにするからぁ」

P「オレのせいか?」

まゆ「射せ……」

P「謝罪と賠償はするニダ」

まゆ「全裸土下座?」

P「そんなネタどこで」

まゆ「比奈さんの持ってる漫画にありました」

P「あの人か……」

蘭子「ふっ……フゥ。我復活せり。我が友の元に向かわん」

蘭子「…………憩いの小聖域か。いざ行かん」

蘭子「しかし我ともあろう者があんな稚戯に顔を赤らめるとは……恐ろしきは情愛の乙女の力かはたまた依り代にしている小娘の身体か」

蘭子「何れにしろ早急なる解決を望まん…………恥ずかしかった」

蘭子「……心は入れ換えた。いざ門を潜らん」

蘭子「皆のもの待たせたな! 我復活せり!」

まゆ「どーげーざ、ぜーんら♪ どーげーざ、あそれ、全裸♪」

蘭子「ふやーっ!」

P「だからしないって」

まゆ「えー……あら、蘭子ちゃん」

蘭子「ふ、ふ、ふっ、不埒なっ!」

まゆ「不埒?」

蘭子「人の皮を剥ぐ気とは!」

P「それだと本当の意味で丸裸にされそう」

まゆ「剥ぐといえば、Pさんのピンク色で可愛いです♪」

P「そう」

蘭子「ピンク……うふぐっ……わ、我は敗けぬっ」

まゆ「?」

P「もう大丈夫?」

蘭子「ま、魔王に同じ技は二度は効かぬっ……」

まゆ「うふ♪」

P「ああいうの恥ずかしいよね」

蘭子「わ、我には稚戯にも等しい」

P「これだけは言っておくけど、興味のある年齢で色々と誘惑が多くなるけど道を踏み外さないようにね」

蘭子「外道に堕ちている我にこれ以上堕ちる心配などない」

P「もしもかっこいい人に誘われたら断れる?」

蘭子「顔面など頭蓋に張り付いた肉の造形に過ぎん……」

P「…………でも心配ないかな。なにせオレに」

蘭子「その事は契約の禁忌に触れる! 口にすること赦されず!」

P「わかってるよ。恥ずかしく思ってるなら大丈夫かもね」

まゆ「まゆの見ます?」

P「見ない」

蘭子「歩みを止めぬ者はただ過ぎ行くのみ」

P「なんだかんだで時間経ったね」

蘭子「我は糧を求める!」

まゆ「Pさん、蘭子ちゃんをいじめてはめっです」

P「ごめん」

蘭子「あの様な事はそよ風が吹いた程度。是非もなし。それよりも謝辞はその双腕が生み出す供物で謝罪とする。悪い話ではなかろう?」

P「なに食べる?」

蘭子「醜き肉塊を業火で焦がせ!」

P「ハンバーグか」

まゆ「少し重いわ」

蘭子「我に口答えするとは胆が座っておる。ならば黄金の外套纏いし戦士を捧げよ。勿論、血文字を描いてな、ククク」

P「卵は……」

まゆ「たしかありましたよ」

蘭子「…………っ」

高橋P「──おはようぅ……ございまーす……」

礼子「おはよプロデューサーくん。顔色悪いわね、どうしたの?」

高橋P「連日パーティーにいってればこうなりますよ……しかも悉く営業先がいるパーティー」

礼子「パーティーは嫌い?」

高橋P「キライじゃないですがこうも連日続くと……」

礼子「じゃあ今日は休んだら?」

高橋P「そんなわけにいきませんよ。今日は礼子さんの収録なんですから」

礼子「収録くらい一人でも平気よ」

高橋P「そうはいっても……」

礼子「フフッ」

高橋P「何がおかしいんですか?」

礼子「プロデューサーくんの心配の仕方が私の親そっくりでつい、フフ」

高橋P「そりゃ担当アイドルで年上とはいえ心配しますよ」

礼子「ありがとう。でもしつこいと女の子に嫌われちゃうわよ?」

高橋P「それとこれとは……」

礼子「それにその状態じゃ車の運転危ないわ。だから休んでてちょうだい。ね?」

高橋P「そこまで言うなら……今日は書類の整理してます」

礼子「それでよし。たまにはお姉さんの言うことも聞いて損はないでしょ?」

高橋P「そうですね。それじゃすみませんが収録先にはお一人で」

礼子「行ってきます」

高橋P「あっ、今日の収録は未成年もいるので大丈夫だと思いますけど、なにか言われたらオレに言ってくださいね。抗議しますので!」

礼子「フフ、頼もしい♪──」

幸子「カワイイボクのぉ!」

幸子「ヒトリラジオ!」

幸子「みなさんこんにちは、ボクです! 今週も始めてあげましたので感謝してください」

幸子「先週はゲストに菊池……ちょっとこの台本間違ってますよ。池になってます」

幸子「えっ、ちょっとした意地悪? そんなのしなくていいですよ。紛らわしい。はい、失礼しました」

幸子「脚本家さんもこんな間違いをするなんてだらしないですね。まぁカワイイボクのアドリブで進行してるんですけどね!」

幸子「先週に引き続きまたゲストの方が来ています! カワイイボク一人でいいのに……」

幸子「そもそも"ヒトリ"ラジオなのにゲスト呼びすぎなんですよねこれ。カワイイボク一人で充分なのに」

幸子「とはいっても呼んでしまったものは仕方ないですね。それに今日のゲストは同じシンデレラプロダクションの人です」

幸子「今日のゲストは高橋礼子さんです!」

礼子「こんばんは」

幸子「こんばんは。でもこのラジオ夜じゃないですからおはようございますですね」

礼子「おはよう」

幸子「高橋礼子さんはボクと同じ触れるシンデレラプロダクションのアイドルです」

礼子「30歳でアイドルなんておかしいわよねぇ」

幸子「そうですか? ボクはおかしいとは思いません」

礼子「そう? ありがとう」

幸子「素敵な年輪ですよ」

礼子「…………」

幸子「もう少し紹介しますね。礼子さんは──」

幸子「それではこちらのコーナー。ヒトリの怒りはミンナの怒り」

礼子「なぁにそれ」

幸子「このコーナーはリスナーさんから周りで起こった怒りエピソードを募集し、ボクが話していくコーナー。今回はゲストがいるのでゲストの礼子さんも参加してもらいます。それでは一枚目」

礼子「どんなのかしら?」

幸子「ペンネーム・2Xさんからいただきましたっ! 採用してあげましたよ! 嬉しいでしょう」

礼子「なにそれ?」

幸子「ありがとうございますの代わりです。まぁ、ボクが選んだことにかわりないですけどね」

礼子「へぇ」

幸子「私はよく居酒屋に行くのですがそこであったことを報告いたします。居酒屋ですか。ボクはいったことがないので想像できないですがどんなところなのでしょうか」

礼子「今度いってみる?」

幸子「礼子さん!?」

礼子「冗談よ。それで居酒屋でなにがあったの?」

幸子「心臓に悪い冗談は止してください。続き読みます。そこで人の悪口で盛り上がっているうるさい一団がいたので注意したら『ここ居酒屋ですから……!』と言われました。おかしくないですか!?」

礼子「あー」

幸子「とのことです。この下にはつらつらと放送できないことが書かれていたので削除しました」

礼子「そういうことは言わなくてもいいんじゃない?」

幸子「あ…………カットで。それにしてもうるさい人って嫌ですよね。しかも他人の悪口で盛り上がるなんて」

礼子「でも居酒屋だから仕方ないわよ」

幸子「うるさくなるのはお酒のせいで気分が高揚するのかもしれません。しかし他人の悪口で盛り上がれるのがわかりません」

礼子「もう少し世間を知れば幸子ちゃんもわかるわ」

幸子「ないですよ。いくつになってもそれはないです」

礼子「…………あっ、そういえばこれどうぞ」

幸子「お饅頭ですか?」

礼子「どうぞ。ん?」

幸子「…………けっ」

礼子「幸子ちゃんのために並んだの、一昨日。暑かったわぁ」

幸子「うっ、えっ、ふぬぅ……」

礼子「美味しいわよ?」

幸子「でもそれ思いっきり唐辛子って……」

礼子「美味しいわよ?」

幸子「い、いただきます……!」

礼子「2個くらいパクパクっと♪」

幸子「そ、それくらい余裕ですよ……よ、余裕……ハクッ」

礼子「どう?」

幸子「お、おひ、うぇ……み、水のでき……ま」

礼子「ふふ♪」

蘭子「黄昏時に出でるは鬼か蛇か」

P「ドレスどうですか?」

美優「素敵なのありがとうございます」

P「サイズは?」

美優「少しだけきついです……」

P「少し太りました?」

藍子「……最低」

美優「胸が少しだけ……」

ほたる「…………」

藍子「…………」

まゆ「二人とも大丈夫?」

蘭子「…………」

P「ん?」

蘭子「♪」

P「本当にお気に入りなんだね」

蘭子「ッ!」

藍子「…………」

まゆ「なんだか元気ないわね」

藍子「いや、なんというか……」

まゆ「ドレスが気に入らなかった?」

藍子「気に入る気に入らないでいえば、微妙なところで…………色は気にいってるけどデザインが……」

まゆ「Pさんらしい」

藍子「色は良いんですよね。悔しいくらい好き」

まゆ「そういうところも含めてPさんなの」

ほたる「…………」

P「似たようなのでごめん」

ほたる「あっ、いえそれは構わないんです。それにどちらかといえば好きです」

P「ホタルブクロいいよね」

ほたる「はい。まゆさんがいってましたけどPさんに似てるとか。なんのことですか?」

P「……あとできつくいっておく。それでなにを困ってたの?」

ほたる「その……こんないい服を買ってもらって何が起こるのかなって……破けたりサイズが違ったり実は値切り品だったりしたら」

P「それはない」

ほたる「それでこれいくらでした? やっぱりタダでもらうのは気が引けます」

P「三万くらいだったかな」

ほたる「さ、三万……」

P「それにこっちから頼むから払わなくていいよ」



ほたる「で、でもそうしないと不運な事が……! あっ、も……もしかして私このあとメチャクチャにされちゃうんだ……ふ、不運だなぁ」

P「……好きだねそれ」

ほたる「後ろからきつく抱かれちゃって、逃げられないように力を入れられ、抵抗しようともがく私。でも逃げられない……あぁ不運」

P「いい加減泣きそう」

ほたる「あ、泣かないでください」

P「あとは小梅と輝子と幸子と杏か」

まゆ「杏ちゃんならさっき部屋に入って行きました」

P「行ってくる」

杏「ところがぎっちょんもう来てる」

P「久しぶり」

杏「ん。で、何してるの?」

P「はいこれ」

杏「…………こっち来て」

P「──それでなに」

杏「あのね、私にこういうの買ってくれるのは嬉しい。だけどね、だけどね……」

P「だけど?」

杏「杏は働かないよ」

P「それでいいよ。そのドレスはプレゼント」

杏「えっ、いいの?」

P「元からそのつもり」

杏「……杏のサイズ探すの大変だったでしょ」

P「着てくれればそれでいい」

杏「…………パーティーってどんなの? Pさんはいくの?」

P「オレは別行動」

杏「具体的に」

P「それはまだ言えないけど近くにはいる」

杏「それなら行ってもいいかな」

P「オレの近くにはいるなよ。バレたら面倒だ。向こうはこっちのこと覚えてないだろうけど」

杏「…………」

P「なにかあったの?」

杏「ちょっとね……」

P「…………」

杏「…………」

P「…………」

杏「……薄暗い部屋でこうやってると危ない人に襲われてるようにしか見えないよね」

P「そうだと思うなら離して」

杏「コ・トワール」

P「…………」

杏「外が騒がしいね」

P「前川さんが来たのかな。でもメールないし……」

杏「ちなみに杏はきちんと送ったからね」

P「それはさっき確認した」

杏「……ほんと騒がしい」

P「ちょっと見てくる」

小梅「あ、Pさん、たっ……大変……!」

P「どうした」

輝子「お手上げだぜ……フヒィ」

P「何がお手上げなの?」

小梅「じ、実は……」

輝子「部屋から出てこない……」

P「誰が?」

まゆ「幸子ちゃんです」

輝子「あっ、どうだった……?」

まゆ「…………ごめんなさい」

P「何かあったのか」

小梅「お仕事から帰ってきて……そう思ったら黙って帰っちゃって……そ、それで」

P「何の仕事?」

輝子「たしか、ラジオ……だったような気がする……」

小梅「れ、礼子さん……との」

P「…………」

まゆ「幸子ちゃんは部屋にいます。出てはくれませんでしたが中から気配がしました」

P「……一応部屋の扉の前で待っててくれ、まゆ」

まゆ「はい」

小梅「わ、私たちは……ど、どうすれば」

P「ここで待ってて」

輝子「大丈夫……し、親友がピャッとやってくれる」

P「ここのことは三船さんに頼んでいく」

まゆ「まゆが話しておきます。先にいっててください」

P「わかった」

P「さて……」

まゆ「何かあったら飛び込みます」

P「なにがあるかわからない。用意しておいて」

まゆ「はぁい。それにしても何をされたのでしょう」

P「高橋礼子に余計なことで掻き乱されたんだろう。また危ない発言でもしてスタッフも困らせたんだろうな。その余波を……といったところだ」

まゆ「危ない発言? 放送禁止用語ですか?」

P「そんなものじゃない。内輪ネタだ。裏話ともいう。あの人とあの人は仲が悪いとかな。言うなれば歩く縮小版八神マキノファイル」

まゆ「あぁ、近所のおば様たちがよくやってる井戸端会議や噂話の類いですね」

P「そんな感じだ。しかしそんな話を自分の番組でやられた身としてはたまったもんじゃない」

まゆ「そうですね……」

P「フォローに走る身としては胃が痛くなる。それを彼女はやった。14歳には重すぎる。しかも高橋礼子になにかを言える人物はスタッフの中にもいない。いれば少しは違ったのかもしれないが……」

まゆ「……早くいってあげてください」

P「……すまない。行ってくる」

幸子「…………」

幸子「…………」

幸子「…………」

幸子「…………」

幸子「…………」

幸子「…………」

幸子「…………」

幸子「……なんですか」

P「様子を見に来た」

幸子「鍵はどうしたんですか。かけたはずですが」

P「開いてた」

幸子「あぁそうですか。どうでもいいですけどね……帰ってください」

P「なにがあったのかと思って」

幸子「あなたには関係ないじゃないですか。話しても解決しません」

P「解決しないまでも話すだけでも」

幸子「…………ボクの愚痴を聞くのはあなたの義務です──」

幸子「何で関係ないボクまで関係ないことで罵倒されなきゃいけないんですか。それにお金持ちか否かは関係ないでしょうに、遠回しにネチネチネチネチネチネチネチネチ欠点を言ってとっても早い更年期ですかってんだそれにそにボクが処女かどうかなんて人間性の形成に全く関係ないじゃないですかそもそもそもそもですよお店でうるさくしてる人を注意するのに性的体験の有無は何の関係もないですよねそれをあなたはまだ経験がないから云々とあの人は経験しないとわからない人なんですか経験則とは言いますが全部経験で語るなんて馬鹿にもほどがありますよボクがどんな気持ちで場を取り持ってたと思ってるんですかスタッフさんは我関せずといった顔をしてますし誰も何も止めもしないボクがトイレでなん十分戻したと思ってるんですか好き勝手やってスッキリした顔で帰っていって向こうはいいですよ向こうはでもボクはどうなるんですボクは番組MCの立場があるから気軽にやめますなんて言えないんですよ来週からどんな顔で放送すればいいんですかそれにあのお饅頭だって断り辛い雰囲気作りしてなんなんですかそんなに食べさせたかったなら自分が食べてからにしてくださいおかげでお尻が熱くてまだ治まらないんですからねそれにまだ言いたいことはありますよ若いときにヤンチャしてないと駄目だってなんです悪いことしないで生きてきたことを悪い扱いだなんて理解できませんあぁこの記憶をアンインストールしたい消し去りたいあんな人だとは思いませんでしたあの収録分どこ使えってんですかほぼカットですよカットどうせまたボクが悪いみたいな放送になるんですよきっとそうです」

P「はい水」

幸子「結構です。勝手にいじらないでください」

P「ごめん。気分晴れた?」

幸子「まだまだ晴れませんよ」

P「だよね」

幸子「帰りに頭からペンキかけられるし溝に足突っ込むし、熊みたいな犬に襲われるし、それ全部プロデューサーに笑われる。どんだけ不運なんですかボクは」

P「だから頭白いのか。それに犬の毛もついてる」

幸子「ボクが汚なくてもあなたには関係ないじゃないですか」

P「そうだね」

幸子「それにボクが一人で入れないの知ってるじゃないですか。意地が悪いですよ」

P「外にまゆがいるからいれてもらうか?」

幸子「…………あの人なんだか怖くて苦手なんですよ。担当プロデューサーが好きなのは良いことだと思いますががなんだか怖いんですよ」

P「じゃあ風呂抜くか」

まゆ「そこは『オレと入ろう』って言うところですよ」

幸子「ひっ!」

P「どうした」

まゆ「あまりにも遅いので気になって様子を見に来ました。それと蚊がすごくて」

P「なるほど」

幸子「いっ、いきなりなんですか!」

まゆ「驚かせてごめんなさい幸子ちゃん」

幸子「で、出てってくだしい! 出てってください!」

まゆ「…………うん」

P「こっちは心配ないから三船さんのところに行ってくれ。向こうも心配してるから」

まゆ「わかりました」

幸子「ひぃー……」

まゆ「…………」

P「……行ったぞ」

幸子「こ、怖かった」

P「大丈夫?」

幸子「へ、平気ですよぉ」

P「そう。それでお風呂はどうする?」

幸子「は、入りますよ」

P「そう。また外にいようか?」

幸子「あなたみたいな人に頼むのは癪ですがあなた以外いないのでしかたないですね……ボクみたいな天使のお風呂を守れるんですがら喜んでくださいよ!」

P「それじゃ入るか」

まゆ「ただいま戻りましたぁ」

小梅「ど、どうだった……?」

輝子「し、親友は! 親友はどうなった……!」

まゆ「まだ幸子ちゃんの部屋にいるわ。でも心配しないで。大丈夫よ」

小梅「よ……よかった」

輝子「ふぅ……」

まゆ「だから安心して二人とも」

小梅「う、うん」

輝子「部屋に行っても……い、いいかい?」

まゆ「Pさんが戻ってくるまで待ってて。戻ってきたら、ね?」

輝子「りょ、了解」

まゆ「留守中ありがとうございました」

美優「いいえ。私にはこれくらいしか出来ないからなんだか歯痒くて……一番の歳上なのにごめんなさい」

まゆ「いえ、Pさんも言ってました。美優さんは支えてくれるから頼もしいって」

美優「え?」

まゆ「ちょっと妬いちゃいます」

美優「そ、そんな」

藍子「…………」

まゆ「二人もありがとう」

杏「自宅警備も楽じゃないよ」

藍子「お茶を出すのならいくらでも」

まゆ「また増えたの?」

藍子「猫も飲める紅茶というのを買って、どう?」

まゆ「それじゃ貰っちゃおうかしら♪」

礼子「ハー今日は楽しかった」

高橋P「あ! 礼子さん」

礼子「ただいまプロデューサーくん」

高橋P「お疲れ様です。聞きましたよ礼子さん。今日も礼子節炸裂だったらしいですね」

礼子「礼子節って、もう言い過ぎよ」

高橋P「前から気になってたんですけど礼子節ってなんなんです?」

礼子「私に聞かれても……周りが勝手に言ってるだけだし」

高橋P「そうですか。失礼しました」

礼子「それより今夜どうかしら?」

高橋P「今夜ですか? 今夜は空いてます」

礼子「よかった。飲みにいきましょう」

高橋P「またバーですか?」

礼子「普通の居酒屋でもいいのよ?」

高橋P「礼子さん飲みまくるじゃないですか……」

礼子「男ならそのくらいの甲斐性持たなきゃダメよ?」

高橋P「……礼子さんには負けますよ。それ言われちゃこっちも引くわけにはいきません」

礼子「そういう素直なところ好き♪」

高橋P「場所は?」

礼子「どこでもいいわよ」

高橋P「それじゃ駅前の」

礼子「あそこ少しホコリ臭くて喉に来るの」

高橋P「それじゃあのバーにしませんか? ピアノがいい雰囲気なんです。それにたまに歌いに来るらしい人がなかなか良いらしいですよ。一度会ってみたいです」

礼子「あら、私がいるのに他の女の話題? いい度胸してるわねぇ♪」

高橋P「あ、いえそんなわけでは」

礼子「ふふ、冗談よ。でも気を付けないとダメよ? 一応私もアイドルなんだから他の人の歌褒めちゃ」

高橋P「すみません。そこまで気が回りませんでした」

礼子「それにバーって気分じゃないの。ごめんなさい」

高橋P「いえ、こっちこそすみません。それだと……あ、たるき亭は?」

礼子「たるき亭?」

高橋P「はい、あそこなら個室もありますしなかなかの料理出しますから」

礼子「なら行ってみようかしら」

高橋P「決まりですね。それじゃ早速」

高橋P「──やっぱりそこはシメサバで決めた方がいいっていったんですけどねぇ。やっぱ少数派なんすかね?」

礼子「お寿司の食べる順番って人柄や性格ですわよね。この前なんて回転寿司だけどハンバーグなんてとってた人いて笑っちゃった」

高橋P「なんすかそれぇ! 笑える」

礼子「ね。今さらだけどあなたお酒飲むと人変わるわよね」

高橋P「なんすかいきなり……?」

礼子「ンーン、なんでもないわ次なに飲む?」

高橋P「そうですね、たまにはビールでも……っと」

礼子「どうしたの?」

高橋P「なんか聞こえません?」

礼子「なにも聞こえないわ」

高橋P「ほら、聞こえる。向こうの席ですね」

礼子「あら本当ね。どうしたのかしら」

高橋P「耳澄ませてみましょう」

礼子「盗み聞きは感心しないわよぉ? でも聞き耳立てちゃおうかしら♪」

女「ここ居酒屋ですけど?」

─「人の悪口を大きな声で話すのはやめてくれっていってるんだ。聞いてるこっちの身にもなってほしいぞ」

女「え? 私たちの会話きいてるんですか?」

─「あんな大きな声でしゃべってたら嫌でも耳にはいるぞ。それにどこで誰が聞いてるかわからないから気を付けた方がいいぞ」

女「え?エ? 私たちが悪いんですか? 私たちがわるいんですよね? ごめんなさい」

─「それだとこっちが悪いみたいだぞ……そうじゃなくて」

☆「なに言ってもムダって思うな。目をひんむいて怒ってるおばさんになに言っても馬の耳に念仏なの」

女「おばさっ……!!」

.fd「すみません、この子が言い過ぎました。でもあまり大きな声で悪口はいけないと思います。私もお酒を飲んでたまにそういうことになる場合もあります。特に友達で集まればそういう話になります。家庭の愚痴とかノロケ話とか。でもここはあなた方のお家じゃないんだし、少し声を押さえた方が……」

女「あ、じゃあ向こうに移ります。あでも向こうでも」

☆「こっち見ないで欲しいな。私たち悪くないが全面に出てるのまるわかりって感じ」

女「つっ!!」

☆「そんなガンバって目を見開いてもオカシイだけなの。そもそもチューガク生の男の子に恋愛関係のことしつこく聞いても素直に答えないの。そんなこともわからないなんてカワイソーなの。その男の子、ゴシュウショー様って感じ」

.fd「こらっ。すみません言い過ぎて」

─「とにかく声のボリュームを下げてほしいぞ──」

高橋P「なんか声がうるさいって話ですね」

礼子「でもここ居酒屋よ?」

高橋P「でも悪口はダメでしょ。しかも息子とはいえ年頃の男子にそんなしつこく聞くなんて」

礼子「でも女は隠し事されるの嫌うの。特に自分の子供となると」

高橋P「でも限度がありますよ。たしかに少し聞こえてましたよ。好きな子を言わないと家にいれないとかなんとか。それって横暴というか虐待じゃありません?」

礼子「それが母親、ひいては女ってものなの。それに私も聞こえたけど、その男の子の聞くなってのは聞いてくれって意味よ?」

高橋P「いやいやそれはないですよ。バラエティーじゃあるまいし。そりゃ息子に殴られそうにもなりますよ」

礼子「すぐ暴力に走るのはいけないわぁ」

高橋P「聞こえてた話では何度もしつこく質問してたようですよ?」

礼子「というかあなた結局聞いてるんじゃない」

高橋P「そういう礼子さんこそ」

礼子「…………」

高橋P「プッ、アハハ」

礼子「ああいうのには近づかないことね」

高橋P「でもあの狭い個室型ブースで悪口は不快になりますよ。ドアはこっち側にしかないし、中はすぐ隣に客がいる状態。今は一席分あいてますけど仕切りがない」

礼子「でもやっぱりここは居酒屋なのよ。だからうるさくても文句いっちゃダメなの」

高橋P「なんだか学校思い出します。ああやって人の近くで悪口いってた女子いましたよ」

礼子「あ、それセクハラ」

高橋P「えっ、そうなんですか?」

礼子「女だって悪口くらい言うわ」

高橋P「それにしてもあの子たちって──」

幸子「…………お礼なんて言いません」

P「そうか」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「黙ってないでなにか言ってください。気が利きませんね。ここはなにか励ましの言葉をかけるべきところです。そんなんだからあなたは気持ちが悪いんです」

P「だね」

幸子「ほら、罵倒してあげてるんだからなにか反応してください。こんなのにも反応出来ないんですか? 哀れな人ですね」

P「罵倒されるのは慣れてるから」

幸子「さすが変態。気が利かない上に反応もない。救いようがありませんね」

P「…………」

幸子「…………」

P「食事は?」

幸子「食べてるはずないじゃないですか。そんなこともわからないなんて可哀想な感性ですね」

P「なにか作らないの?」

幸子「作る気がしないだけです。作れないんじゃなくて作らないんです」

P「それはわかってる。簡単なものでもいいから作らないのかなと思ったんだ」

幸子「そんな精神状態じゃないです。言っておきますがあなたが作っても無駄です。なにが入ってるかわかったものじゃないですから」

P「食材で遊ばないよ」

幸子「どうだか。とにかくボクは……ん?」

P「着信だね」

幸子「メール……誰だろう。ちょっと失礼します……」

P「…………誰から?」

幸子「静かにしてください…………どうしよう」

P「ごめん」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「……………………」

P「……………………」

幸子「…………お待たせしました」

P「そう。今のは?」

幸子「……お二人が食事を作ってくれたので持ってきてくれるという話です」

P「返事はどう書いた」

幸子「そんなのいう必要ないじゃないですか」

P「そうだね……」

幸子「ちょっと玄関まで行ってきます。下着取ってもすぐわかりますからね」

P「取らないよ」

幸子「……戻りました」

P「それは?」

幸子「あなたの目は腐ってるんですか? 見ての通り料理です」

P「だね」

幸子「食べます?」

P「結構」

幸子「……そうですか」

P「疑ってるのか」

幸子「…………」

P「あの二人は食べ物で遊ぶことはしない。特にキノコが使われてるなら」

幸子「……なんでそう言いきれるんですか」

P「キノコが好きだからだ。彼女のアイデンティティといってもいい」

幸子「……彼女にキノコ栽培再開させたのあなたですか」

P「よくわかったね」

幸子「ボクは賢いですからね」

P「食べないのか?」

幸子「…………ここまで言われて食べないのはただのワガママです。食べますよ、えぇ」

P「どう?」

幸子「…………まあまあ」

P「それはよかった」

幸子「変な味もしないし、変なものも入ってない至って普通の味です。だからまあまあ」

P「……全員を信じろとは言わない。信じたくないなら信じなくていいから。信じられる人だけ信じればいい」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「はい、ハンカチ」

幸子「勝手に…………さわっ……わ、触らないでくださっ」

P「…………」

幸子「…………」

P「…………」

幸子「…………」

P「メール?」

幸子「あなたはする相手がいないからわからないとだろうけど人気者は辛いんです。どんなに忙しくても返信しないといけないんです」

P「大変だね」

幸子「こんなのボクにとって全然苦でもなんでもないです」

P「頑張って」

幸子「あり……い……すと」

P「…………」

幸子「ふふん、完璧」

P「…………」

幸子「な、なんですか……今にも襲い掛かってきそうなその構えは……!」

P「……なんでもない」

幸子「もしかしてボクを貶める算段を……!」

P「…………」

幸子「最近事務所も異様な雰囲気で心休まるときがありません。ほんとどうなってるんですか……」

P「事務所がどうかしたの? また高橋礼子がなにか」

幸子「違います。ですが…………いえやめておきます」

P「もしかして……」

幸子「あなたとは正反対の人の話ですのでなにを言っても……」

P「スカPか」

幸子「…………」

P「まぁ、その話は置いといてひとつ提案がある」

幸子「提案?」

幸子「──パーティー?」

P「小さいところで立食。どうかな?」

幸子「そういえばそんな話を聞いたような聞いてないような……しかしボクが参加するまでも……」

P「二人も参加する。それにパーティーに出席しなれてる人がいると非常に助かる」

幸子「たしかにパーティーには慣れてますが……」

P「もちろん、君だけに負担はかけない」

幸子「……ボクの親戚が目当てなら当てにしても無駄ですからね」

P「あの人じゃあるまいしそれはない」

幸子「あの人……?」

P「今のは失言だった。でも、君の予想は外れてないと思うよ」

幸子「…………」

P「話がずれてしまったがどうかな?」

幸子「……参加しても構いませんが条件があります」

P「なにかな」

幸子「第一にボクが言うことに口出ししないこと。次に──」

幸子「ふふん、やっぱりしょうもないドレスでしたね。残念で独特なセンス全開。やはりボクのドレスはボクが選びます」

P「どうぞ」

幸子「ですまぁもらってあげないこともないこともないです。気が向いたらですけどね」

P「助かる」

幸子「それで誰が指導でしたっけ?」

P「ほたるに頼んである」

幸子「あのマナー教室に通ってるという。どんなもんなんでしょうね。ま、期待はしてないですけど」

P「…………」

幸子「実物を見ないとどうとはいえませんが常識レベルのことでしょうから比べるもなにもないでしょうがね。美容院の予約は?」

P「そういえばしてないな」

幸子「さすが抜け作。そんなことにも気が回らないんですね。よく今まで生きてこられましたね。あ、女性と無関係な人生だから当たり前といえば当たり前ですか。その分だとネイルも予約をいれてませんね。これは個人差がありますが常識といえば常識」

P「すまない」

幸子「今からだとボクが知ってるところくらいしか受け付けてもらえません。ほんとボクがいて良かったですね」

P「助かるよ」

幸子「あ、ちなみにボクは料理には一切手をつけないですからそこのところよろしくお願いします。周りに周知させておくのはあなたの役目です。出来なかったらただじゃおきません!」

P「周知させとく」

幸子「あ、ですが皆さんには言わないでくださいね。事務所内からの意見と外からの意見では雲泥の差があります」

P「皆には言わない」

幸子「いまいち信用できない発言ですがまあいいです」

P「それじゃ今から支度する」

幸子「こんな夜からですか?」

P「出来ることから」

幸子「近所迷惑ですよ。何時だと思ってるんですか」

P「それもそうだね」

幸子「それより二人に声をかけてきます。ボクのこと心配してくれてましたし」

P「そうしてくれると助かる」

幸子「そこで大人しく待っててくださいね!」

P「わかった」

P「…………」

P「…………」

P「家具が傷付いてるな」

P「…………」

P「壁が少し凹んでる」

P「…………」

P「…………」

幸子「……なにしてるんですか。人の部屋ジロジロ見て」

P「お帰り」

幸子「…………」

P「下着はとってないよ」

幸子「……形も崩れてない…………どうやら本当のようですね。臭いを嗅いだのまではわかりませんが……」

P「しないって」

幸子「そんな顔してるあなたがいっても説得力ないですよ」

P「それもそうだね」

幸子「…………」

P「ノートの整理?」

幸子「……なんでも良いじゃないですか」

P「そのノート大切なんだね」

幸子「ボクの宝物です」

P「取り戻せてよかった」

幸子「…………その事で一つ疑問があります」

P「誰が精巧なコピーを取ったかは教えないよ」

幸子「…………少なくともあの中にそんな器用なこと出来る人はいません。いたとしても佐久間さんくらいでしょう」

P「それはどうかな?」

幸子「…………いずれにしろ、ありがとう……ございます」

P「向こうにも伝えとくよ」

幸子「それと……少しだけならあなたのことを信用してあげます。なぜかは知りませんがお二人が信用してるので…………全く気が知れませんよ」

P「そうだな。オレにもわからない」

幸子「カワイイボクが信用してあげるといってるんですから根拠くらい示してください。わからないものに投資してるようなものなんですから」

P「出会った頃に戻ればわかるんじゃないかな」

幸子「戻れたらどんなに楽なことか……」

P「意地悪言った……」

幸子「…………時々そういう意地の悪いこといいますね。わざとですか」

P「性格」

幸子「容姿が醜いと心も醜くなるんですね」

P「どうも」

幸子「……ノートの整理をするので出ていってください」

P「わかった。おやすみ」

幸子「…………さっさと出ていってください」

P「ふぅ……ん?」

蘭子「ッ! あの……」

P「どうしたの?」

蘭子「幸子ちゃんはどうしてるのかな……って」

P「落ち着いてる。今はノートの整理してる」

蘭子「よかった……」

P「外にいて暑くない?」

蘭子「……我は闇に生きる堕天使。天使の傍は眩しすぎる故に近寄れぬ。これも堕天使の業」

P「いつか話せるといいね」

蘭子「…………」

P「部屋に戻ろう」

ほたる「あ、お帰りなさい」

P「ただいま。なにしてるの?」

ほたる「お二人が教えてほしいというのでテーブルマナーを少し」

P「なるほどね」

輝子「右がフォーク? いや、左?」

小梅「逆……だと思う」

ほたる「なるべく音をたてないように……あ、違います。それは……」

P「明日辺り大原さんにも教えてあげて」

美優「テーブルマナー、懐かしい」

藍子「やったことあるんですか?」

美優「高校生の時に学校の行事でね」

P「ホテルで?」

美優「そう、ホテルで。Pさんのところもあったんですか?」

P「はい。周りが阿鼻叫喚でした」

美優「私も初めは慣れなくて……スープを飲むのがちょっと」

P「みんなそう言います。オレは家がそういうのに厳しいところだったので慣れてたから苦労しませんでした」

美優「私のところもそうだったのですが気を付けないとたまに音をたてちゃって……」

P「へー」

美優「そういえばフォークの背にご飯乗せるのってやらなくていいんですよね。私知らなくて……」

P「ありますね、それ」

藍子「…………」

P「あっと、向こう行ってきます」

蘭子「…………」

P「心配しなくても大丈夫」

蘭子「残像だ」

P「それじゃあ憂い顔の理由は?」

蘭子「…………し……ナー…………」

P「テーブルマナーがわからない?」

蘭子「後顧の憂いを憂うばかりに礼節を学ぶ機会を逸した。故に我は憂う」

P「教えようか?」

蘭子「よしなに」

P「基本は変わらないけど立食パーティーの事についても教えとく」

高橋P「──勝ち組と負け組?」

礼子「そう。ほら、世の中にいるじゃない、そういう人」

高橋P「まぁいないこともないですけど……それが?」

礼子「実は今度番組でそういう特集があるって聞いたの」

高橋P「そんな話聞いたことないな。その情報どこの誰からですか?」

礼子「それは言えないわ。でも怪しいところからじゃないから安心して」

高橋P「あぁまあ、えっとそれで?」

礼子「そういう仕事に出てみたいの」

高橋P「……どこのなんて番組ですか?」

礼子「UGテレビの普通じゃない授業……だったわ」

高橋P「あの超がつくほどの問題番組ですか。ダメです」

礼子「そこをなんとか! ね?」

高橋P「礼子さんのイメージダウンに繋がるどころか、下手したら全体のイメージダウンに繋がるんですよ?」

礼子「でも私が受けないと他の子にいくわよ?」

高橋P「は? えっ?」

礼子「アイドル枠が用意されてるらしくてそこに誰を入れるかって話なの」

高橋P「うちのプロダクションから?」

礼子「確定じゃない。もしうちのプロダクションから選ばれるなら私の他に誰になるかしら。やっぱりエネルギッシュな十代の子かしらね」

高橋P「確定じゃないならわざわざ突っ込んでいかなくても……」

礼子「そこで他の子が問題発言したら?」

高橋P「…………」

礼子「最終的に選ぶのはあなただからあなたの判断に任せるわ。どうする? 男らしく判断するかそれとも傍観するか」

高橋P「…………」

礼子「私なら危ない質問もうまく躱すことが出来るかもしれないわよ?」

高橋P「……ならお願いします」

礼子「ん、なぁに? 聞こえないわ」

高橋P「礼子さんお願いします!」

礼子「ふふっ、任されたわ」

高橋P「…………外回り行ってきます」

礼子「いってらっしゃぁい♪」

P「──それは本当ですか?」

美優「はい……礼子さんのプロデューサーが困った顔をしていたので声をかけてみたら」

P「そう言われたと。なるほど……」

美優「あの……そんなにまずい番組なんですか?」

P「はっきりいってかなり過激で偏った取材を元に番組を作ってるので有名なんですよ。しかもそれが事実で、実際に偏った取材と思想を持った人達で構成されてます」

美優「それって……」

P「よくある"そういう"番組です」

美優「どうすれば……」

P「出る気満々なのでおそらくどうやっても出ようとするでしょうね。手を打てなくもないですが、ちょっとだけややこしくなります」

美優「私にできることがあれば……」

P「三船さんはいつも通りにしててください」

美優「私に力があれば……頼りなくてごめんなさい……」

P「あなたが謝ることじゃないですよ。それに高橋礼子が出なくてもある人が出るのは決まってますし」

美優「ある人?」

P「ある種の特権階級の人です」

美優「特権階級……?」

P「正確に言うなら関係者にいるですけどね」

美優「…………」

P「混乱させるだけでしたね。とりあえずお昼御飯食べましょう」

幸子「──ドッキリの手法?」

P「あぁ」

幸子「なんですかいきなり。ボクのトラウマをほじくる気ですか。精神的レイプですよ、それ」

P「実は高橋礼子に仕掛けたいんだ」

幸子「礼子さんに? それは何故」

P「ちょっとした仕返し」

幸子「……これまた非建設的な話ですね」

P「この前の話聞いてたら腹立ってきてね。ここは一つガツンとやりたいなと」

幸子「…………」

P「協力してしてくれないか?」

幸子「…………どの程度の規模ですか」

P「大きくはない」

幸子「気が利きませんね。もっと具体的にお願いします」

P「具体的には……」

幸子「それなら通用する手が二つ三つあります。ですがあの中に礼子さんにはっきりと物事を言える人がいるとは思えません」

P「そこは適任がいる」

幸子「誰ですか?」

P「手配できるまで言わない」

幸子「隠し事はためになりませんよ」

P「事務所が違うから下手に言えないんだ。だから確証が取れるまでは言えない」

幸子「……そうですか」

P「すまない」

幸子「元からそんな気はしてました。それよりカメラは持ち込めるんですか?」

P「問題ない」

幸子「これも外部の方に協力してもらうと?」

P「そういうことになる」

幸子「なんだかボクたちは蚊帳の外といった感じですね」

P「そんなことはない。みんなにはきっちり活躍してもらう」

幸子「ボクは使われませんからね」

P「さて、パーティーまであと数日だ。気を引き締めていこう」

幸子「ところでお二人がテーブルマナーを習ったと聞いたのですが本当ですか?」

P「小梅と輝子の事? それならそうだよ。ほたるが教えてる」

幸子「ふぅーん……そうですか」

P「ただ立食パーティーのマナーではなかったなぁ」

幸子「えっ、そうなんですか?」

P「あぁ。ほたるは今まさに習ってるところだから教えられる域に達してないっていってた」

幸子「そうなんですか……へー」

P「だから教えてあげて」

幸子「……ま……まぁ教えてあげなくもないですが……えぇ」

P「みんな喜ぶよ」

幸子「ま、まぁボクは優しいですからねっ。皆さんが恥ずかしい思いをしないように教えてあげることも吝かではないですよ」

P「それじゃ頼む。ありがとう」

幸子「ですがボクがやるからにはスパルタにいきますからね!」

幸子「違いますよ。そこはそうじゃありません。こうです!」

みちる「こう?」

幸子「なんでそうやって毎回絶妙に間違えるんですか。それと大きな口を開けて食べるとはしたないですよ!」

みちる「…………フゴフゴゴゴゴ」

幸子「あっ! 早速諦めはじめましたよこの人っ!」

みく「魚を進められたらどうすればいいにゃ?」

幸子「断ればいいでしょう。そもそもなにかを進められるなんて事は滅多にありません。特に料理に関しては。それに嫌なら嫌と言う、もしくはこちらから話題を出して、向こうに喋らせないというのもありです。ですがうまくやらないとただのお喋りな人という印象がつくので注意してください。ま、やるのが一番でしょう。さんはい」

みく「こ、こんにちは。き、緊張しますね」

みちる「こんなときはお魚いかが?」

みく「にゃあーーーー!」

幸子「魚嫌いを知ってる人の前でやるのはどうかと。あと意地悪な人の前でも危ないですね」

みちる「アホの子?」

みく「みちるちゃんに言われたくないにゃ!」

ほたる「もしも溢しちゃったらどうしよう……テーブル倒したり誰かを蹴飛ばしてしまったり……あぁう」

幸子「当たってしまったなら謝ればいいだけでは? 溢してしまったら自分で取らずに近くの給仕の人に頼む。まぁ、自分で拾っても問題はありませんけどね」

ほたる「そ、そうなんですか……! なら今から謝る練習しておかなきゃっ」

幸子「ぶつかるのは大前提なんですね……」

ほたる「ごっ、ごめんなさいすみません! なんでもするので許してください! ほんとに本当にすみませんっ!」

幸子「……好きにしてください」

杏「…………うぁー」
小梅「ぶぁー……」

幸子「そこっ、ゾンビみたいに重なってないでください。起き上がってください。立食の意味知ってます?」

杏「杏が望んでるわけじゃないんだけど……」
小梅「ち、治療……?」

幸子「どんな治療ですか、どんな。お二人はまずその態度から治さないといけません。特にあなた!」

杏「杏に矛先向けるのは間違ってと思う。小梅の袖の件から先に解決すればいい?」

幸子「袖の件は後回し。もし、向こうにソファーがなかったらどうするんですか? 床で寝るわけにいきませんよ」

杏「トイレ」

幸子「…………」

P「はい、それではお願いします。失礼します」

幸子「…………いた」

P「ん?」

幸子「こんなところでサボってないでこっち来てください!」

P「電話かけてた」

幸子「電話とボクどっちが大切なんですか」

P「電話。協力頼んでたから」

幸子「そういえばいってましたね。誰に協力頼んだんですか?」

P「まだ言えない」

幸子「そればっかり。いいです。それよりこっち来てください。あなたにも教えてあげます」

P「わかった」

藍子「女の子が喜びそうなカフェ?」

美優「えぇ、あまりチャラチャラしてないところがいい……らしいわ」

藍子「らしい? あぁなるほど」

美優「どこか知らない?」

藍子「私に直接聞けばいいのに……どんな人なんですか?」

美優「この子」

藍子「これって……どんな繋がりなんですか」

美優「さぁ……それでなにかある?」

藍子「ないこともないですが……誰が一緒なんですか?」

美優「あ、ごめんなさい。たしか幸子ちゃんが一緒って言ってたわ」

藍子「幸子ちゃんと……それなら──」

幸子「おはようございます……」

P「寝不足?」

幸子「ノートの清書してたら遅くまでかかってしまって……」

P「バスの中で寝てて」

幸子「寝ませんよ。いつどこで置いていかれるかわからないですから」

P「置いてかないよ」

幸子「どうだか。言っておきますけど完全に信用した訳じゃないんですからね」

P「完全に信用しないで」

幸子「……それでなんで蘭子さんもいらっしゃるんですか?」

蘭子「孤独の内の気紛れ。精霊の吐息よ」

幸子「…………えっと」

P「一人でいるのが寂しいたっ」

蘭子「次はソドムの光を放つ」

P「ごめん」

幸子「とにかくさっさと移動しましょう」

P「…………」

幸子「…………」

蘭子「…………」

??「…………」

幸子「……お店に着いて自己紹介が終わったのはいいのですが、なんですかこの状況は」

蘭子「沈黙の環」

??「…………何か?」

幸子「いえっ、な、なんでもありませんよぉー」

??「…………そう」

幸子「誰かなんとかしてくださいよっ……!」

蘭子「あ、蒼の歌ひっ……!」

??「……ハイ?」

蘭子「……へぅ」

??「…………ふぅ」

P「……美味しい?」

??「はい。ただ、私には少しだけ甘いですが……」

P「そう」

幸子「この重苦しい空気、よく平気でいられますね……!」

P「こういう人だから」

幸子「そりゃ仕事に望む姿勢は尊敬してます。けど今のボクには堪えられませんっ」

蘭子「あっ、蒼の歌ひ……」

??「……なにかしら?」

蘭子「くっ、我が気圧されるなど……!」

幸子「あのっ、き……!」

??「……助手でいいわ」

幸子「……はい?」

??「私の事は助手とてまも呼んでちょうだい。最近そう呼ぶ人が多いの。何が由来かはわからないけれども、相性っていうのかしらね」

蘭子「…………妖精の悪戯とでもいうのか。それとも幻術か」

助手「…………久々に口を開いたから噛んでしまったわ。ごめんなさい」

幸子「い、いえ……! それにしても助手だなんて変わった愛称ですねっ……」

助手「まったくよね。でもしっくりくるのよね、この愛称。相性がいいのかしら?」

P「相性のいい愛称」

幸子「うわぁ……」

助手「…………ぷっ、くくっ」

蘭子「女神の微笑……!」

助手「ん、ンン! なんでもないわ」

幸子「そ、それにしてもPさんも嫌な人ですね」

P「どういう意味?」

幸子「どういう意味も何も、人の気にしてることをしれっと目の前に置くなんて」

P「は?」

幸子「蘭子さんですよ、蘭子さん」

蘭子「……?」

幸子「知らないんですか、助手さんは体の事で……! あっ、あれ、ボク何言って……あのこれはそういう……う、ぁ」

助手「あぁ……そのこと」

幸子「あ、あのごっ、ごめっなさっ」

助手「気にしてないからいいわ」

幸子「え? あっ、でも」

助手「胸の事でしょ?」

蘭子「…………っ」

P「隠さなくても……」

助手「気にしてないからそんなに謝らないで」

幸子「で……でも」

助手「そりゃアイドル活動を始めた頃は少し気にしてたわ。ファンの間でもそこについては言われてる。でもそんなの個性だって気が付いたからどうとも思わないわ」

幸子「…………すみません」

助手「いいの。でも私に謝るより隣の子に謝った方がいいわ」

幸子「…………ごめんなさい、蘭子さん」

蘭子「…………気にするでない。我は何も聞こえなかった」

幸子「…………」

P「…………」

助手「全く気にしてないと言えば嘘になるけども。今でもしつこく言ってくる人はいるわ。でも、そんなの相手にしていたら自分がダメになるだけだから適当に流してる」

幸子「あ…………」

助手「……私の友達……親友に歌が下手だって言われてた子がいるの」

蘭子「唄が……?」

助手「それでも彼女はめげずに頑張ったわ。そうしたら、それも個性だって言われ始めたの。今では不思議な魅力に取り付かれたファンが後を絶たないだとか」

P「彼女のことか」

幸子「知ってるんですか?」

P「うちともコラボしたことがある」

蘭子「二人の環はどこで交わり始めた」

P「何が最初だったかな」

助手「たしか猫に手を引っ掛かれてそれについて謝りに来たときが初めてだったと記憶してる」

P「そうだ。あの時だ」

蘭子「未知との遭遇。反応は?」

P「オレが怒られた」

助手「あれは本人ではなくあなたが代わりに謝りに来たから怒っただけです。それに今ではあなたの気持ちもわかってるつもりです」

P「あの時言われた言葉には考えさせられた。おかげで助かったよ」

助手「そんな……」

蘭子「強力な絆の力を感じるっ!」

幸子「ボクたち蚊帳の外ですね。あっ、これおいしい──」

P「ただいま」

まゆ「お帰りなさい……あら?」

幸子「スゥ……グゥ……」

まゆ「幸子ちゃんお持ち帰りですか?」

P「緊張の糸が切れてここに着いたら寝てた。部屋の鍵がわからないから連れてきた」

まゆ「どこに運びます? まゆは怖がられてるのでやめておくとして、Pさんの部屋は……」

P「杏がいるからなぁ。無理はさせられない」

まゆ「ならソファーですね」

P「運ぶ」

P「──ふぅ」

まゆ「お疲れ様です。お背中流しますね♪」

P「自分で流せる」

まゆ「もうみんな寝てるし、たまには……ね?」

P「ここのところ毎日のような気がする」

まゆ「そうですか? まゆは二時間会えないだけで息苦しくなります」

P「そんなに担当プロデューサーのことが好きなのか。男冥利に尽きるな」

まゆ「羨ましいですか?」

P「ん、あぁそうだな」

まゆ「ならまゆにご褒美ください♪」

P「ご褒美?」

まゆ「わかってるくせに♪ まゆのココに……」

P「…………湯船の中でな」

まゆ「まゆ、Pさんのそういうところ好きですよぉ」

P「数日後には実行だ」

まゆ「今回は拷問はなしなんですよね? ちょっと残念」

P「毎回はな。芸がない」

まゆ「小梅ちゃんガッカリしてました」

P「その代わりがパーティー」

まゆ「たまには華やかな場所にと? お墓の方が喜ぶんじゃないですか?」

P「かもな。よっと」

まゆ「あ、パンパン。やっぱりまゆが恋しいんじゃないですかぁ♪」

P「…………」

まゆ「それではまゆも……失礼しまぁす」

P「もう少し向こう行けるでしょ」

まゆ「密着しないとPさんを背中に感じられません。それとも足でまゆのをほじってくれるんですか? それもいいかも」

P「爪が伸びてる」

まゆ「まゆは気にしませんよぉ?」

P「それに動かしづらい。普通でいいかな?」

まゆ「だから最初から言ってるのにぃ……んもぅ」

P「それにしても」

まゆ「ぁン……なんですか?」

P「……なんでもない」

まゆ「変なPさ……んっフぁ」

P「…………」

まゆ「あ、ぁ、アアア、あああああ……! ァんぐぅっ!」

P「声大きい」

まゆ「ごっ、ふっハッ……なんだか久しぶりなもので…………」

P「そうか…………」

まゆ「……いつもまゆのそれ弄りますよね。やっぱり気になります?」

P「いつもは隠れてる部分だからね」

まゆ「誰にも見せないまゆの秘密……なんですよ?」

P「そうだな。続けるよ。声気を付けてね」

まゆ「キスしながらなら大丈夫です♪」

P「…………」

みちる「──くっ」

みく「にゃ……」

蘭子「ククク」

みちる「気合いの朝っ!」

みく「ネコちゃんの日向ぼっこにゃ!」

蘭子「燦々と輝く赤き陽光!」

みちる「シンプルイズベスト!」

みく「みくのアイデンティティがうなぎ登り!」

蘭子「その程度で我と競うなど片腹痛い!」

P「……何してるの?」

まゆ「おはようございます。朝の挨拶を決めてるらしいです。今日はパーティー当日なので」

P「まだ朝なんだから今から気合い入れなくても」

蘭子「何事も万全の体調で挑む。手加減など一切ない。それが堕天使として、魔王としてのポリシー。誇りよ」

輝子「いくぜお嬢ちゃぁぁぁぁぁんたちぃぃぃぃぃ! だらしねぇケツに気合いをぶちこめファザコンどもぅぉぉぉぉぉ! 彼氏のナニで喘ぐのは後回しだファァァァァッ! いや、最後のは言い過ぎだな、うん」

小梅「おやつ……どのくらいまで……た、食べて大丈夫、かな」

ほたる「食べ過ぎたら……お腹いっぱいになっちゃいますからほどほどに……あ、ごめんなさい」

P「三船さんと高森さんは現地集合だから連絡があるまで待つか」

蘭子「助力する者は神出鬼没。なれば待つのみ」

P「向こうも現地集合」

みちる「朝食のパンは控えてっと」

P「凄い気合いの入りようだね」

みちる「どんなパンと会えるかと思うともう……じゅるり」

P「昼寝もしておきなね」

みく「それはもうバッチリしておくにゃ」

ほたる「昼寝して寝坊して……あぁ不安!」

輝子「ネガティブ全開だな……フヒ」

まゆ「目覚ましかけておくから安心して」

P「美容院もあるから忘れずにね」

みちる「適当に巻いてけば」

みく「その髪型パンみたいにゃ」

みちる「お気に入りですっ。どやっ」

蘭子「一角獣の尾……オルトロスの尾…………むむっ」

P「上行ってくる」

杏「ふあっ、くあぁー……ふぁ、おはよ」

まゆ「おはよう杏ちゃん。今日は早起きね」

杏「お昼くらいかと思って起きたのにまだ朝とか…………鬱だ……寝よう」

みく「朝食は食べないのかにゃ?」

杏「杏は取らない派なの。ところでPさんは?」

まゆ「上にいったわ。幸子ちゃんの様子を見に行ったのだと思うわ。ソファーで寝たから体痛そうにしてたわ」

杏「そういえば夜にリビングでゴソゴソ音がしてたよ。あれ、幸子ちゃんだったんだね」

まゆ「なにか頼み事かしら?」

杏「んー、まぁね。せっかく早起きしたからやってもらおうと思ったことあってね」

まゆ「私で良ければお手伝いするわ」

杏「……杏にそっちの気はないからね」

蘭子「?」

みく「蘭子チャンは聞いちゃダメにゃ。はい、耳パターンにゃ」

みちる「モグルモグモググモゴモグモ」

蘭子「不協和音を奏でし者に告ぐ。即刻沈黙せよ」

みく「何いってるかわからないにゃ──」

蘭子「きらびやかな光に紛れる混沌とした闇。されど、その深き煌めきは光をも押し返す」

みく「蘭子チャンキレイにゃー」

蘭子「あ、ありがとう……ございます」

みちる「フワッカリッ」

みく「その擬音は髪の毛の表現としておかしいにゃ」

みちる「カリッフワッサクッ」

みく「カッチカチにゃ。なんか刺さってるし」

美優「それ外さないの?」

みく「にゃっ! 美優さんはおっとろしいこと言うにゃ! これ取ったらみくは色々危なくなっちゃうにゃ」

藍子「その割にはすぐ取り外し出来るようにしてますね」

みく「うっ」

ほたる「二人ともすごいキレイ」

輝子「こ、こういうのは……恥ずかしぃ……フ、フヒ」

小梅「ほたるちゃんの……ドレスもか、かわいくて素敵……だよ」

ほたる「あ、ありがとう……」

杏「…………落ち着かない。ねむっ」

幸子「ここで寝ないでください」

助手「…………みんな可愛い」

輝子「ん?」

助手「な、なんでもないわ……それより中に入りましょう」

まゆ「入り口はあっち。段差に気を付けて」

美優「大丈夫?」

ほたる「へ、平気……です。わっ」

美優「ほら、危ないわよ。大丈夫?」

ほたる「す、すみません。うぅぅ、無理してヒールなんて履かなきゃよかったのかな……」

輝子「……ヒール? 悪役?」

幸子「それならボクは天使ですね」

輝子「ベビーフェイス」

幸子「なんですかそれ?」

小梅「噴水……ふわっ、おぉーきれい……」

杏「よっ、ほっ、よっととと、ほいさっ」

助手「よちよち歩き……可愛い……」

輝子「ん?」

藍子「…………」

助手「…………」

藍子「…………」

助手「…………」

藍子「…………」

助手「…………」

藍子「…………」

小梅「どうしたんだろう……二人とも固まってる?」

蘭子「メデューサの魔眼を直視したのであろう……些か不可解だが」

ほたる「どうしたんでしょう。具合でも悪いのかな……?」

美優「はは……」

まゆ「うふふ」

杏「飴舐めたい」

幸子「少しはまともに歩いてください」

みく「中は結構広いにゃ」

みちる「入り口が狭くて中は広い……」

杏「下ネタはいけないって思うな杏」

藍子「もう少し堅い雰囲気がありましたけど思ったより肩の力が抜けそうです」

助手「そうね。私もこういう形では初めてだから少し緊張してたけどこれなら気を張らなくて済みそうね」

ほたる「ふわぁー」

小梅「うわーっ」

輝子「……フヒ」

助手「どうしたの?」

ほたる「い、いえっ、スラッとしてて……キレイだなぁって……ご、ごめんなさい」

小梅「う、うんっ」

助手「ありがとう。あなたたちも綺麗よ」

ほたる「わ、私なんかまだまだです。せっかくのドレスもちょっとシワ出来ちゃいましたし……」

助手「あなたそっくりね」

ほたる「え?」

助手「私の友達と」

ほたる「そんな……私みたいな不運なのと似てるだなんて……その人に失礼です」

美優「どうかしたの?」

ほたる「あ、美優さん、実は……」

助手「お二人は姉妹ですか?」

美優「はい?」

ほたる「私と美優さんが? そんな、全然違います……!」

助手「そうなの。ごめんなさい。雰囲気が似ているものだからてっきり……」

まゆ「みんな、Pさんから連絡が来たわ。あと小一時間で礼子さんが着くそうよ」

幸子「もうですか。早いですね。それではボクは退避しておきます。一応近くにはいてあげますけどね。ボクがいないと不安でしょうし、パーティーで何か困ることがあるときのアドバイザーは必要ですからね」

まゆ「それじゃあまた連絡がきたら知らせるわ。それまで各々パーティーを楽しんで♪」

助手「私は中学生組を面倒見るわ。目の届く範囲に誰かいた方が安心でしょう。あ、でも自由に動いていいわ」

杏「なんでそこで杏を見るの。花も恥じらう17歳だよ?」

ほたる「あ、あの……一緒に動きませんか?」

助手「えぇ是非」

まゆ「あら、なぁに小梅ちゃん?」

小梅「一緒に……行く?」

輝子「私も一緒……フフ」

まゆ「せっかくのお誘いだけどごめんなさい。連絡を待ってなきゃいけないの。だから二人で回ってきて。ね?」

輝子「残念……」

まゆ「お土産話待ってるわ」

みちる「みょフなグルーウっかモゴモゴっちゃすね」

みく「大体何をいってるのかわかるけどわからないにゃ」

藍子「メールアドレス……交換しちゃった」

みく「こっちはこっちでなんか妙な友達が出来てるにゃ」

みちる「さしずめあたしたちは余り物同盟? ダンボール路地裏同盟?」

みく「不名誉にもほどがある!」

蘭子「名も知らぬ未知の糧を前に我は何も出来ず。ただただ案山子になるしかない。助けの声は深淵に消え行く」

みちる「これなんてどう? おいしそう」

みく「あ、外キレイにゃ」

幸子「…………」

まゆ「隣いい?」

幸子「えぇ……」


まゆ「…………」


幸子「…………」


まゆ「不安?」


幸子「パーティーは慣れてるので大丈夫です。あなたたちとは違うんです」


まゆ「そうじゃないわ。パーティーについてはいいの。いまさっき誰かと話してるのを聞いてたからそれはわかるわ。そうじゃなくて、礼子さんのこと」


幸子「盗み聞きなんていい趣味してますね」


まゆ「だってまゆだもの♪」


幸子「一番の不安は礼子さんです。あの人灰汁が強すぎます。正直Pさんが何を考えてるかわかりません。どうやったらこんなことが思い付くのか」


まゆ「勘違いしてるようだけどまゆにも思い付くだけなら出来るわ。問題はそれを実行できるか否かなの。普通は心が邪魔してリミッターをかけるわ」


幸子「そもそもボクはあなたとPさんとの関係が謎です」

まゆ「そんなこと言われても返事に困るわ。どんな関係に見える? 飼い主とペット?」


幸子「そこまではいいませんが近いものというか……」


まゆ「どう見えてもまゆとPさんはまゆとPさん。」


幸子「よくわからない理屈ですね」


まゆ「私もよくわかってないの♪ それよりもう少し違うお話しない? 気分が明るくなる話」


幸子「…………少し休んでます」


まゆ「そう、なら私は違うところ歩いてるわね。何かあったら声をかけて」


幸子「……はい」

まゆ「うーん……やっぱりまゆとPさんの関係ってわかり辛いものがあるのかしら。誰かにわかってもらいたいという気持ちはないけれど、動き辛くなるのも本末転倒よね」

まゆ「…………」

助手「どうしたの?」

まゆ「あら、あなたは……お料理たくさん持ってどうしたんですか?」

助手「白坂さんに持っていこうかと思って。食べ……姿が……愛い……から」

まゆ「はい?」

助手「なんでもないわ。あなたこそどうしたのかしら。手袋を見つめて」

まゆ「これPさんが選んでくれたものなので嬉しくて」

助手「あら、そうなの」

まゆ「はい」

助手「いつも手袋をしてるらしいけどどうして?」

まゆ「そこ聞きますかぁ」

助手「あっ、ごめんなさい。思ったことを考えもせず口に出してしまうのが私の悪いところね。よく言われるわ」

まゆ「良いところだと思います。いつも手袋をしてるのは七難隠すというか、そんな感じです」

助手「よくわからないわ」

まゆ「ふふ」

助手「誤魔化された気がするわね。まぁいいわ。白坂さんに持っていかなきゃ」

まゆ「楽しんでくださいねぇ♪」

助手「あなたも。それじゃ」

まゆ「……まゆにはなにがあるのかしら」

まゆ「…………ぁっ」

まゆ「Pさんから連絡だわ。礼子さんが着く、準備されたし……なんだか堅い文章。みんなに声かけなくちゃ」

まゆ「今回は大人数で動くから大変だってPさんが言ってたわ。私もしっかりしなきゃ」

まゆ「礼子さんの誘導をしっかりと……うふ♪ なんだか楽しくなってきちゃったかも」

まゆ「あの子を惑わした分、きっちり払ってもらわなきゃ。ふふ、うふふふ」

まゆ「ぁ、んっ、電話だわぁ。もう少しいれる場所考えた方がいいかしら?」

まゆ「ハァァイ、まゆですよぉ」

P『どこに入れてた』

まゆ「クセでいつものところに」

P『そうか。今、高橋礼子が到着した。ちょうどまゆの左手にある扉から来る。自然な振る舞いをしてくれ』

まゆ「わかりました」

P『それと渡した物を耳に挿入してくれ』

まゆ「はぁっ、ぁっイっ……ぃ」

P『楽しい?』

まゆ「プレイみたいで割りと楽しいです。いつも放置プレイみたいですけど♪」

P『以後はそれで連絡を取る』

まゆ「はぁーい。礼子さんのところには向かわなくていいんですか?」

P『今はいい。高橋礼子がパーティー会場に馴染むまで会わないでくれ』

まゆ「みんなにもそう伝えておきます。ふふっ」

P『どうした』

まゆ「こうしてると独り言を言ってる危ない女みたいでおかしくて。うふ♪」

P『たしかにな』

まゆ「PさんPさんPさんPさんPさんっ! ぁ、あ、Pさんだぁ」

P『飲酒か精神病を疑われるからやめといた方がいい』

まゆ「手淫ならいつでも」

P『扉から離れて』

礼子「……ふぅ」

高橋P「お疲れ様です」

礼子「知り合いへの挨拶回りだけでも結構疲れるものね。プロデューサーくんはいつもこういうことしてるの? だとしたらお姉さん感心するわ」

高橋P「仕事関係と友人関係は違いますよ。こっちは仕事関係だから楽なものですよ。それにしてもこういうパーティーに知り合いが多いって少し羨ましいです」

礼子「お姉さんがいろいろ教えてあげようかしら」

高橋P「はは。あ、一人で回ってきても?」

礼子「いってらっしゃい」

P『高橋礼子の挨拶回りが終わり、プロデューサーが一人で行動し始めた』

まゆ「それじゃあ押さえておきます」

P『三船さんとの連携頼む』

まゆ「はい」

P『三船さんが終わったら合流してくれ』

小梅「おいしい……」

輝子「うまいっ」

助手「……ハァ可愛いオトメヨータイシヲイダあら?」

輝子「ん?」

助手「ごめんなさい。電話だわ。はい」

P『食事中失礼』

助手「あなたは」

P『渡したのつけて』

助手「はい…………着けました」

P『聞こえる?』

助手「感度良好です」

P『見えないように気を付けてね』

助手「はい。それで私にかけてきたということは動いても?」

P『あぁ。でも初めは様子見でね』

助手「わかりました。ところで二人は」

P『二人? えっと……あぁ小梅と輝子は誰かに頼んでおいてくれ。そうだな……』

助手「なら輿水さんに頼んでおきます」

P『そうして』

P『──二人は預けたね』

助手「はい。それでは私は……」

P『高橋礼子のところに向かってくれ。彼女は今、そこの近くのテーブルで人と話している。しばらく様子を見て何気なくテーブルに行ってくれ』

助手「ふふっ♪」

P『どうかした?』

助手「いえ、昔弟としたスパイごっこを思い出して。懐かしかっただけです」

P『なるほど』

助手「あ、一人になりました。行ってきます」

P『飲み物でも取りに行くみたいに自然とね。こっちから声はかけないでね』

助手「はい、わかりました」

礼子「今回もなかなかのお金持ちが集まってるわ。やっぱり貧乏なのはダメ。パーティーってこういうのだから好き♪」

助手「……ふぅ」

礼子「あら?」

助手「あっ、これなら私も…飲めそう」

礼子「それお酒よ?」

助手「え?」

礼子「匂い嗅いでみて」

助手「…………本当」

礼子「ね? それはまだアルコールがキツいからいいけど他のだったら気付かず飲んでたわよ?」

助手「危なかった……ありがとうございます」

礼子「興味があるなら飲んでみたら?」

助手「いえ、未成年なので遠慮しておきます」

礼子「噂通りねぇ」

助手「噂?」

礼子「なんでもない。それよりあなたって」

助手「あ、それはちょっと……」

礼子「あら? あっ、そういうこと。こういうところでは仕事忘れたいわよね。わかるわかる」

助手「すみません。ところであなたは……?」

礼子「私は高橋礼子。これでもアイドルよ」

助手「えっ!?」

礼子「それどういう意味?」

助手「あっ、すみません」

礼子「フフッ、いいのよ。私も30歳過ぎてアイドルやることになるなんて思わなかったもの」

助手「たしかにそうですね」

礼子「……ふふ、面白い子」

助手「……あ、すみません」

礼子「いいのいいの。それでここにはなにできたの?」

助手「タクシーです」

礼子「あ、ごめんなさい。なにでじゃなくて何でね。誰かに招待されたのかしら? それにここにほ誰と?」

助手「それは……その……」

礼子「……そういうこと。いいのよ、いいの♪ 答えづらい質問もあるわよね」

助手「すみません。こういうのには慣れてなくて焦ってばかりで……」

礼子「それなら私の連れという形で動く?」

助手「はい?」

礼子「一人で回るより誰かと一緒にいた方がいいんじゃない?」

助手「それでは……お願いします」

礼子「いいえ、このくらいお安いご用よ」

まゆ「高橋Pの近くまで来ました」

P『適当な理由をつけて声をかけてくれ』

まゆ「はぁい」

P『一々色っぽい声出さない』

まゆ「色っぽいですか? ちょっと嬉しい」

P『助手さんは今さっき高橋礼子と接触した。しばらく適当にパーティーを回る。出会わないように気を付けてくれ』

まゆ「出会ってしまったら対処は任せてください」

P『頼む』

P『助手さん、聞こえたら咳払いをお願いします』

助手「コホッ」

礼子「あら、どうしたの?」

助手「煙で喉が痛くて」

礼子「煙で?」

助手「ここに来る前に喫煙所の近くを通ってしまったのでそのときに……」

礼子「ふーん」

P『近くに三船さんがいるから接触して。それとなく高橋礼子に気付かせて』

助手「それにしても綺麗な方ばかりですね」

礼子「そうね。みんな着飾ってるもの。でもあなたも綺麗よ」

助手「あそこのドレスの人なんて特に」

礼子「そうね、あら?」

助手「どうしました?」

礼子「あれって美優さんかしら」

助手「美優さん?」

礼子「アイドルの三船美優」

助手「誰ですか?」

礼子「声をかけてみましょう。すみません」

美優「……はい? あ」

礼子「こんばんは」

美優「あ、礼子さん。こんばんは」

礼子「こんなところでどうしたの?」

美優「パーティーに呼ばれたもので」

礼子「へぇ、誰にかしら?」

美優「えっと……番組プロデューサーからです。面白いパーティーがあるから来ないかって」

礼子「ふぅん。一人? 寂しいわねぇ」

美優「あ、あはは……」

礼子「もしかしてこういうの慣れてないの? さっきから挙動不審よ」

美優「実は……」

礼子「やっぱり。あなたこういうところとは無縁そうだしね」

助手「…………」

P『我慢』

助手「そちらが三船さん……ですか?」

美優「その子は?」

助手「初めまして」

美優「はじめまして」

礼子「知ってると思うけどこの子はアイドルよ」

美優「……ごめんなさい。そういうのに疎くて……」

助手「いえ、気にしてません。それに私はアイドルというより歌手を目指してますので」

美優「立派な目標。私なんてただ漠然としたものしかなくて……」

礼子「本当ね」

助手「…………」

P『我慢して。ちょっと待ってて……三時の方向にいる人に声をかけて』

助手「すみません……っ!」

??「んー?」

???「なんだい天使ちゃ……おや?」

助手「あら、あなた達は」

???「おっと、今それは言わないでね。俺たちパーティー楽しみたいから。俺たちのことは森に生える茸とでも思って、ね☆」

助手「それじゃあ、マンザイダケとサルマタケと呼ぶわ」

マンザイ「はは……」

サルマタケ「ネーミングセンスひどいなー。それよりさ、それよりさ隣のお姉さんたちダレ? キレーだね」

礼子「高橋礼子よ」

美優「三船美優です」

マンザイダケ「もしかして女優の三船美優さん?」

サルマタケ「知ってるの?」

マンザイダケ「ほら、アイツが好きな女優さんだよ」

サルマタケ「あー、そういえばなんかそう言ってたね。脇が光る!だっけ?」

マンザイダケ「脇役で光るな」

助手「ところでテイマーでしたか、彼は?」

マンザイダケ「テイマー? あぁ、アイツなら世界レベルの遊びをしてから来るよ。まだ家じゃないかな」

助手「世界レベルの……なんですか?」

サルマタケ「ううんなんでもなーい。こっちの話。それよりもっとお話しよーよ」

助手「それじゃあ効率的なトレーニング方法について話し合いましょう」

サルマタケ「そーいう汗臭いのはパスだなー」

マンザイダケ「たしかにこういう場所には似つかわしくないかもね。ドンマイ☆」

助手「むっ」

サルマタケ「美優さんなんかある?」

美優「えっ、私? そうね……アロマの話は?」

サルマタケ「アロマってあの白い粉?」

マンザイダケ「おいおい、それだとアブナイものにしか聞こえないぞ。匂いのするやつだよ」

サルマタケ「あ、いつも作ってるあれに使うやつか」

マンザイダケ「それはスパイス。アロマってのは──」

マンザイダケ「まぁ、こういうものだ」

サルマタケ「へぇー、なんだか奥深い。僕にはよくわかんないや」

美優「アロマ、お好きなんですか?」

マンザイダケ「嫌いではないですね。ま、いろいろあるんですよ」

美優「よかったらこれ使います?」

マンザイダケ「これは……ありがとうございます」

サルマタケ「いつも持ち歩いてるの?」

美優「いつもってわけじゃないわ。たまにバッグにいれてるの」

マンザイダケ「物によっては消臭剤代わりにもなる。ありがとうございます、貰っておきます」

礼子「ところであなたたち」

マンザイダケ「はい」

礼子「この中では誰が好み?」

マンザイダケ「全員ですね☆」

サルマタケ「僕はー……」

礼子「あら、ありがとう。でも一人選ばないといけないとしたら誰?」

マンザイダケ「一人? そうですね……」


下1
コンマ判定。コンマ以下が72以上なら美優さん、未満なら助手
ゾロ目でストレス+1(現在0)

マンザイダケ「やっぱり……」

助手「なんですか?」

マンザイダケ「やっぱり控え目なのがいいかな」

助手「セクハラで訴えます」

マンザイダケ「そういう意味じゃないよ」

サルマタケ「僕は美優さんだなぁ。優しいお姉さん好きだもん」

美優「そ、そんな……私なんて全然」

礼子「…………」

助手「どうかしたんですか? もしかしてどちらにも選ばれなかったことに傷付いたんですか? こういうのは遊びですから気にしない方がいいです」

礼子「そ、そうね」

助手「それに年上の魅力というのは若い人にはわかりません。ある人の受け売りですけれども……」

礼子「ありがとう。私がこの年でアイドルやってるのはある意味勝ち組なのかもしれないわね」

美優「…………」

マンザイダケ「どこか回りません? エスコートしますよ」

サルマタケ「美優さん、どこかいこうよ!」

美優「あ、その……えっと……」

礼子「困ってるわよ。無理矢理はよくないわ」


コンマ判定。コンマ以下が35未満なら話を聞いてもらえる、未満なら無視されストレス+1

ゾロ目でストレス+1(現在0)

あ、ちなみに安価はこのレスの下1です
書き忘れてました

サルマタケ「向こうにおいしそうなのあるから、ね! ね!?」

礼子「ちょっと私の話を」

助手「無理やりは嫌われますよ?」

マンザイダケ「そうだよ。無理やりはダメだぞ」

サルマタケ「ちぇー、二人して責めなくてもいいじゃん」

美優「すみません私いくところがあって……」

サルマタケ「ついてくよ♪」

マンザイダケ「おい。すみません」

更新が滞りまことに申し訳ありません
ブラウザの調子が悪いので様子を見てまた来ます
ぼかしてる部分のネタバレも少しずつしていきたいと思います。覚えてる範囲ですが……フヒー

それまで雑談かアイドルへの愛を叫んでいてください

美優「いいえ、私は気にしてませんので……」

マンザイダケ「控え目なのまたいいですね。天使ちゃんもいいけどたまには女神も……あっ、もちろん君のことも忘れてないよ☆」

助手「そうですか」

サルマタケ「知ってる。そういうの草食系って言うんだよね。僕は野菜大好き!」

助手「よく知らないけれどそういう意味じゃないと思うわ」

礼子「あなたたちは肉食系の女子は嫌い?」


下1
コンマ判定。コンマ以下が47以上でマンザイダケが反応、未満でサルマタケが反応
ゾロ目またはサルマタケ反応でストレス+1(現在+1)

マンザイダケ「肉食系女子ですか? 好きな方ですね。個人的にはお淑やかな方も好きですよ」

サルマタケ「ガツガツしてるのとは違うの?」

礼子「それとは違うのよ、ボウヤ」

サルマタケ「ボウヤって……」

助手「私はガツガツしてる男性は苦手です」

美優「私もどちらかというと苦手で……」

サルマタケ「それじゃ僕キライ?」

美優「えっそれは……その……」

サルマタケ「あはは、ジョーダンだって。僕は美優さんのこと大好きだよっ」

礼子「私はどっちでもいいけど個人的には押しが強い人に弱いわね」

サルマタケ「ふーん」

礼子「ウジウジしてるのは嫌いね。誰かとは言わないけど日本の男性はウジウジしてるのが多いと……」

マンザイダケ「あ、俺たちはもういきますね。そろそろ友達が来るので」

サルマタケ「またね美優さん♪」

美優「あ、はい」

マンザイダケ「それじゃ☆」

美優「私もちょっと」

助手「それでは。私たちもどこか移動しませんか?」

礼子「そうしましょう」

P『三船さんが終わった。部屋に向かってくれ。わかったら耳のアクセサリーを弄って』

まゆ「あのぉ……」

高橋P「どうしたんですか?」

まゆ「違う部屋行きません? ここ少しうるさくて」

高橋P「そうですか?」

まゆ「はい。一人は怖いので一緒に来てくれると嬉しいです」

高橋P「でも……」

まゆ「……ね?」

高橋P「えっ、あ……わかった」

まゆ「うれしい♪」

P『部屋についたら出さないようにして。ちなみに節度は守ってね。わかったら左目擦って』

まゆ「ン……」

高橋P「ごみでも入った?」

まゆ「こういう空気になれなくて……」

高橋P「たしかにここ埃っぽいというか空気悪い」

まゆ「あっ、この部屋にしません?」

高橋P「そうだな──」

美優「えっと、この部屋でいいのかしら?」

P『そこですね』

美優「この中にまゆちゃんと礼子さんのプロデューサーが……」

P『落ち着いて、深呼吸してください。それと普通に入ってくださいね。気取られたらいけません』

美優「はい。私の演技見ていてください」

P『まゆが説明してますが彼にはドッキリの撮影だということにしています。なのでその流れで話をしてください』

美優「わかりました」

P『名脇役の演技力期待してます。服を調えたら入ってください。後ろの裾跳ねてます』

美優「えっ?」

P『それじゃ』

美優「お邪魔しま……」

まゆ「それで私ったら驚いちゃって……」

高橋P「あるある。俺も未だに驚くもん。いまではそういうのもあるってわかってるんだけどね」

まゆ「騙し討ちみたいで嫌ですよね。あ、美優さん」

高橋P「美優さん? あ、三船さん」

美優「こ、こんばんは」

高橋P「あなたは仕掛人側ですか?」

美優「えっ、あっ、は、はい」

まゆ「美優さんは私と同じです」

高橋P「あー、知らない側だ」

美優「知らない側?」

まゆ「美優さんもさっき言われたばかりなの。そうですよね、美優さん? さっき中でドッキリをやってるって聞いたんですよね」

美優「実は……あなたを見掛けたときに言おうか迷ったのですが……なかなか機会がなくて。この部屋に入るのを見たって聞いたので追いかけてきたんです」

高橋P「あー、なるほど。最近は誰にも知らせずにやる抜き打ちドッキリみたいなの流行ってますしね」

まゆ「困りますよねぇ。心の準備ができてないのに」

高橋P「プロデューサー側も準備ができてないと来たもんだからね」

まゆ「この番組は人の本性をさらけ出すと評判らしいですよ?」

高橋P「それは怖いな」

まゆ「誰にも知らせてないから素の反応が出やすいのだとか」

美優「礼子さんは普段どんな感じなんですか?」

高橋P「仕事の礼子さんしか知らないからなぁ。素の礼子さん……想像もつかない」

美優「これでわかるといいですね」

まゆ「好きな人のそういうの気になる気持ちわかります。まゆもプロデューサーのそういうの気になりますもの♪」

高橋P「ハハッ、あっ、収録始まるよ」

P『少しトイレに入って』

助手「コホッ」

P『高橋礼子はそこにいさせて』

助手「コホッ。あの」

礼子「なにかしら?」

助手「その……朝から"体調"が優れないので少しトイレに行きたいのですが……」

礼子「行ってらっしゃい」

助手「すぐ戻ります……失礼します」

P『うまいね。声の抑圧で生理だって伝えるの』

助手「声の抑圧をつけるのは昔から得意ですから。それよりその発言はセクハラに当たります」

P『ごめん』

助手「それに今月はもう終わりました」

P『その発言もセクハラだよ』

助手「お返しです。ところで話はなんですか? すぐに戻るといった手前すぐに戻らないといけません」

P『しばらく待たせてみよう』

助手「それだと約束を破ることに……」

P『高橋礼子には癖があるんだ』

助手「なんですかそれ?」

P『独り言の癖がね。実は彼女が仕事で大変だった日に事務所で一人になってた時にそれを偶然聞いた人がいてね』

助手「その人はどこにいたんですか?」

P『机の下にいた。それでブツブツなにかいってる耳を澄ませたら出るわ出るわの悪口の数々、罵詈雑言の嵐。だからしばらく放っておけばまたいい始めるよ。さっき無視されてたしね』

助手「無視されてましたか?」

P『うん。あっ、始まったみたいだ』

礼子「ハァ……疲れる。なんで私が無視されるのかしら。ドレスだって一番綺麗だし、化粧ノリも今日は万全」

礼子「なのに無視される。これは向こうに問題があるわよね。大体、大体よ……?」

礼子「三船さんを選ぶのはわかるわよ。彼女"母性"があるもの。それに幸薄いもの。男がああいうのに魅力を感じるのはわかるわ」

礼子「それに選んだのも十代のガキんちょだもの。所詮オトナの魅力はわからないわ。でも、でもよ?」

礼子「なんで彼女が選ばれるの? 彼女のどこに魅力を感じたのかしら。知性かしら? ただお堅そうな女の子って感じよね。静かなところ? ただ暗いだけよね」

礼子「もしかして身体……あー……絶対ないわね。貧乳どころかまさに"壁"だもの。マイナスにしかならないわ。だから目をつけて、連れにしてあげたのにこれじゃ意味ないわ。せっかく"壁"見付けたのに……ハァーア」

助手「あの、途中から音声が乱れてたのは?」

P『どうやら悪口のようだね』

助手「悪口?」

P『男性陣の悪口や身体についてだね』

助手「男性陣の? あ、さっきの二人の。身体とは?」

P『聞くに堪えないなこれは。これからまだあるけど頑張って』

助手「そのために呼ばれたのでしょう?」

P『そうだよ。君は何事もストレートに言うところが魅力だって評判だよ』

助手「今思えばただ無遠慮なだけです。ですが間違ってることやおかしいことはどんどん言うべきです。それが絆になりますから……」

P『そうだね』

助手「そろそろ出ます。さすがに怪しまれますから」

P『出たら行って欲しいところがある』

みちる「──フォッフォッフォッ」

みく「あわあわにゃ。まるでサンタさん」

助手「……なんですかあれ」

P『セールスだよ』

礼子「こういうパーティーにもよくいるのよ、セールスマン。人が集まるところが好きなのね。ああやって新商品を売り込むの」

助手「なるほど……」

みちる「ややっ、あそこにいるのは……!」

みく「あれって……礼子さんにゃ」

みちる「こんばんは! 礼子さんもどうです!? 楽しいですよ!」

礼子「あら、そうなの?」

みちる「はい。詳しくはあそこにいるお姉さんに声をかけてください」

みく「みちるチャンは遊びすぎにゃ。というか営業トーク乙にゃ」

礼子「私は遠慮……」

助手「面白そうですね。行きましょう」

みちる「楽しいですよ!」

みく「たしかに同意にゃ。楽しいのは事実」

礼子「……それじゃ行ってみようかしら」

助手「──すみません、それなんですか?」

営業「新製品の洗顔石鹸です。どれをお試しになります?」

助手「こういうのはどうすればいいのかしら……」

営業「全部試せますよ?」

助手「じゃあ試します。これにしようかしら。はい、高橋さんの分です」

礼子「礼子でいいわよ。これ凄い泡がたつわね」

営業「それが売りですから。それで効果のほどはどうですか?」



下2
コンマ判定。コンマ以下が83以上なら効果あり、未満なら効果なし

ゾロ目または効果なしでストレス+1(現在+1)

礼子「効果は……あるようには感じられないわ」

助手「そうですか?」

営業「それはそうですよ。だってお二人とも若いですから」

助手「どういうことですか?」

営業「それは肌年齢測定用の洗顔フォームですから」

礼子「だからね。なんだか……」

助手「肌に乗る感じがしたのね」

礼子「染み込む感じがしたのね」

営業「次はこれを」

礼子「これは?」

営業「試せばわかります」

助手「それは営業としてどうなんですか?」

礼子「まあまあ、試せばわかるって言ってるんだから試しましょう」

営業「どうですか?」



下1
コンマ判定。コンマ以下が43以上なら効果あり、未満なら効果はいまいち

ゾロ目または効果ありならストレス+1。両方なら+2(現在+2)

礼子「いまいちね」

助手「私もそうですね。なんだかこう……」

礼子「痛いくらいなんだけど」

助手「効いてる気がしません」

営業「それは肌補修用の洗顔クリームですからね。肌が綺麗な人には効果ないかいまいちなんですよ」

助手「これ売れるんですか?」

営業「売れますよ。バカ売れです。次はこれを」

助手「これは?」

営業「試した人だけがわかります」

助手「その洗面器の水は?」

営業「洗顔用の水です。これ試します?」

助手「そうしようかしら」

営業「どうぞ」

助手「礼子さんはどうします?」

礼子「顔洗ったら化粧落ちちゃうわよ」

営業「大丈夫! 私、メイクの技術には自信ありますから」

礼子「そう? なら……」

P「あれ試すのか。どうなることやら」

P「ん? あぁ毛穴とかな。ツルツルな人にはわからないだろうけど……」

まゆ『Pさん♪』

P「どうした。なにか問題か」

まゆ『さっきからまゆが話し掛けてるのに、誰とお喋りしてたんですか?』

P「すまない。それでどうした」

まゆ『今からやろうとしてることに笑いを堪えるのが無理そうなので避難してきました』

P「そうか。同じ女として非難するかと思ったが好評なようだな」

まゆ『はい♪』

P「……結果が出たようだ」



下1
コンマ判定。コンマ以下13以上なら効果あり、未満なら効果なし

ゾロ目または効果ありならストレス+1。両方なら+2(現在+2)

助手「そのカメラは?」

営業「気にしない、気にしない」

助手「はぁ……?」

営業「それじゃこれを」

助手「これって……」

礼子「ファンデーションね」

営業「塗りますね」

助手「あっ、んふ、ちょ」

営業「こっちにもちょちょいっと」

礼子「それで?」

営業「先ほど撮った映像がこちら。すっぴんですね」

礼子「…………」

助手「そうですね」

営業「実はこれカメラ映りを考えられてつくられたファンデでですね。そしてアフターがこれ! じゃんっ!」

助手「…………私のアフターは?」

営業「これですよ?」

助手「嘘つかないでください。いくら私でも変わってないのがわかります。礼子さんのは劇的に変わってます」

営業「だからこれが……」

礼子「…………チッ」

営業「薄く塗っても効果が出るんですがたまに出ない人もいるらしくて…………すみません」

助手「アンケート用紙はこれですね」

営業「はい、すみません……」

助手「いい加減にも程があるわ。仕事ならもう少し真面目にやってください」

営業「はい……」

礼子「はいこれ」

助手「書けました」

営業「はい、ありがとうございます。これを参考に……えっ、17歳と31歳? あー…………あー……」

助手「なんですか?」

営業「いえなんでも…………あー」

礼子「人のことジロジロ見てるんじゃないわよ」

助手「礼子さん?」

礼子「あら、ごめんなさい。他のところ行きましょう」

助手「はい」

まゆ『ケホッ、ケホッ、うふッ、ふふ』

P「咳き込むほど楽しかったのか」

まゆ『す、すみません。わざわざ携帯電話に回して、もらっクフたのに……っ』

P「三船さんとプロデューサーの様子は?」

まゆ『いま、見てきます……スゥ、ハー』

P「……あー…………あー…………」

まゆ『ブブテュテュ……んもう!』

P「はは」

まゆ『もう知りません!』

P「ごめん。プロデューサーのフォローお願い。さて……」

??「は? メロンソーダがないぃ? マジかよ……」

?「メロンソーダがないと心がダンサブルにならないのね。ドントマインボーイ」

??「てめぇ……んでその首輪のつけ心地どうだ、あ?」

?「クリムゾンシンデレラな気分よ」

??「あ? なんだよそれ」

?「世界レベルのどうしようもない悔しさって意味よ。悔しい……でも…………どうしようもないのよ!」

??「よくわかんねえな、ヘ」

ヘ「ヘじゃないわ。ヘレ」

??「さっき屁こいてばっかだったからヘでいいんだよ。あ、待てよ…………ヘレでいいや」

ヘレ「後一文字ちょうだい」

??「豚みたいにブーブー言ってた女と同じとは思えねえな」

ヘレ「ヘレでいいわ。それでここには何をしに来たの。言いなさい」

??「言ってください、だろ?」

ヘレ「……言ってください」

??「今の状況の虚しさを教えてやろうと思ってな」

ヘレ「…………」

??「どっちが早くダメになるか楽しみだぜ。もっともあっちはもう廃人寸前だけどな。休みなしだからよくもってる方だと思うぜ」

ヘレ「…………」

??「ま、あれ以上の姿見たくないならお前が折れるこった。無理だろうけどな。んなことよりなんか食わねえか?」

ヘレ「…………」

??「あ? ヘッドホンの後が気になんのか?」

ヘレ「…………」

??「人が狂いそうな声を何時間聞いてたんだっけ? 忘れちまったぜ。さて、どっかに……ア?」

助手「あなたは……」

??「ゲッ、お前はナム……!」

助手「ここでその名前で呼ばないでください」

礼子「あら、チョーカー。オシャレね」

ヘレ「……ちょっとダンサブル」

礼子「?」

??「こんなとこでなにしてんだよ」

助手「パーティー」

??「んなことはわかってるっての」

助手「あなたこそなぜここにいるのかしら。そんな美人を連れて。モテないって言われてるわよ、オトノギサウナ」

??「文字数しか合ってねえ!」

礼子「そちらのボウヤってもしかして……」

??「あー、ここで騒ぎになるのも嫌だから……」

助手「ハラグロダケと呼んであげてください」

ハラグロダケ「わけわかんねえよ!」

助手「それじゃシロエタケで」

シロエタケ「それもわけわかんねえ……つかお前こそなんでそんな人連れてるんだ? あれか、お前の……」



下1
コンマ判定。コンマ以下が26以上でお母さん、未満で姉。お母さんでストレス+1

ゾロ目でストレス+1(現在+3)

シロエタケ「母親か?」

礼子「母おっ……!」

助手「そんなわけないじゃない。こういうときは普通、姉とか言うんじゃないかしら? よくわからないけれども」

シロエタケ「姉にしちゃ年離れ過ぎだろ。いや、いくつか知らねえけどよ」

助手「たしか三十路でしたよね?」

シロエタケ「みそ……そこは普通三十代とか言わねえか?」

助手「そうかしら?」

シロエタケ「オレはお前がわかんねえ……」

助手「それはお互いさま」

シロエタケ「そうかよ。なんか喉乾いちまったな。なんか取ってくるか」

礼子「いってらっしゃい」

シロエタケ「おい」

ヘレ「…………」

シロエタケ「ここ離れても聞いてるからな。返答次第じゃアイツがどうなるか……わかってるよな? 名前の通り溺れちまうぞ」

ヘレ「……わかってるわ」

シロエタケ「これはオレの案じゃなくてしょ……アイツの案だからオレは責任持たねぇ。じゃ、ガンバれよ。それじゃな」

ヘレ「…………」

助手「ヒソヒソとなんだったのかしら?」

礼子「さぁ?」

助手「先ほどはすみませんでした。配慮が足りませんでした」

礼子「いいのよぉ。あんな子の言うことなんて気にしてないもの」

P「三船さん、聞こえたら咳払いを」

美優『コホッ』

P「部屋から出て小梅達の様子を見てきてください」

美優『ちょっとすみません……』

P「高橋礼子に会わないルートで行ってください」

美優『わ、わかりました』

P「……聞くに堪えない」

美優『どうかしたのですか?』

P「高橋礼子の会話ですよ。彼がいなくなったら早速始めましたよ」

美優『まぁ……さっき散々抉られましたから。それでどんな会話ですか?』

P「若い人に対する悪口と年齢を持ち出してきました。ついでに端々に日本人男性に対する下げ発言がちらほら」

美優『礼子さん、よくそういうこといってます。あっ、なんだか告げ口みたいですね』

P「告げ口じゃありませんよ。知ってますし」

美優『小梅ちゃん達いました。楽しそうに遊んでます。パーティーが楽しいんですね。ふふっ』

P「貴重な体験ですからね」

美優『私も昔はああやって笑ってたのかもしれません。なんだか懐かしい気持ちになっちゃいました……』

P「笑顔と言えば…………いえ、今は止めておきましょう。もうひとつ確認してもらいたいことがあります」

美優『はい』

P「今手が放せないので杏がどうしてるか確認してください。人の少ない部屋にいると思います」

礼子「──だから苦労は若い内にしろっていうのよね。苦労しない人って信頼できないじゃない?」

助手「それはまぁ……そうですけど」

ヘレ「…………」

礼子「苦労が強烈な個性になるっていうのかしら。学校で優等生いるじゃない? そういう人ってどこか魅力が足りないのよね」

助手「そうですか?」

礼子「そうなの。優等生には平和ボケって言葉が似合うわよね。男はやっぱり少しくらいヤンチャしてなきゃ」

助手「やんちゃ? 悪事のことですか?」

礼子「犯罪ギリギリのことまでね。ヤンチャしてないと男としての魅力なんて皆無」

助手「そうですか?」

礼子「そうなの。あといい年して実家にいるような男もダメね。マザコンよ、マザコン」

助手「それぞれ理由があると思います」

礼子「理由なんてどうだっていいのよ。マザコンには代わりないわ」

助手「……親と一緒にいたいと思うことのどこがいけないんですか?」

礼子「んー、そうじゃないのよね。そういえばあと……」


下1
コンマ判定。コンマ以下が42以上なら友人についての、未満なら家族についての話題

ゾロ目でストレス+1(現在+4)

礼子「家族も大切よね」

ヘレ「家族?」

礼子「そう、家族。付き合うならまだしも、結婚したり真剣にお付き合いするとなると別」

助手「…………」

礼子「母親がヒステリック気味だったり、両親のどちらかがいなかったり、兄弟姉妹が問題あったりすると面倒なのよ」

ヘレ「まぁたしかに」

礼子「それと身内が亡くなってたりすると本当に面倒。なおかつ、それが地元での交際だとますます。面倒通り越して、近付きたくないレベル」

助手「っ…………」

礼子「ま、そういう人ってどこかおかしいから見分けつくのよね。暗かったりひねくれてたり様々だけど」

助手「それはそんなに……酷いことなんですか……」

礼子「だって普通なら死なないわよね? 病気でもない限り」

助手「………………」

礼子「そういう人って扱いに困るのよ。打たれ弱いのかしらね。災難だったわねって言ったらあなたに何がわかるのとかいうし、優しくしたらしたで変に依存したり、素っ気なかったり。私は不幸を背負ってるなんてオーラかました日には呆れるわ」

助手「……くっ」

礼子「話題やプレゼントにも困るわ。ここはあの人との思い出のーとかこれが好きだったーとか。いつ地雷を踏むかドキドキする」

助手「…………ふぅー」

礼子「人の死を背負ってもいいけど表に出さないでほしい。不運や不幸を売りにされて、悲劇のヒロインになられるのも困るけどその方がハングリー精神があっていいわ」

助手「………………」

礼子「そういえば不運といえば面白い話があるのよ。聞いた話なんだけどね、うちのプロダクションに不運なアイドルいるじゃない? 実は彼女……」

助手「もう少し楽しい話にしませんか? 周りに聞こえると眉をしかめられかねない話ずっとしてます」

礼子「あら、退屈かしら? ごめんなさいね」

ヘレ「心がダンサブルになる話題がいいわ。歌や音楽なんてどうかしら」

助手「音楽ですか。お二人はクラシックは聴きますか?」

ヘレ「たしなむ程度には」

礼子「全然。なんだか眠くなっちゃってダメなのよねぇ」

助手「私も初めはそうでした。今でも疲れているとたまになってしまいますけど」

ヘレ「まだまだね。私レベルになると40時間は続けて聴けるわ」

助手「そんな時間あるんですか?」

ヘレ「作るのよ」

礼子「どうもクラシックも日本の音楽も好きになれないのよね。訴えかけるものがないの」

助手「それならブラックミュージックはどうですか?」

礼子「それ好き。訴えかけるものがあってなおかつパワーがあるもの」

助手「私はあまり好きじゃないです。それこそ、陰鬱さを感じます」

礼子「若いわねぇ」

助手「若さは関係ありません。私個人の感想ですので──」

P「よく堪えたな。あとのことを教えておいたから……ではないな。あれは彼女の資質だろうな」

P「それにしても高橋礼子は平然と地雷源を歩いて助かるなんて運が悪いんだかいいんだか。謀らずともこのあとに戸惑いなく出来るための下準備になったな。怒らせると怖いらしいからな。溜め込むタイプと聞いた」

P「怒らなかったのは『我慢』だな。損得勘定もあったのかもしれない。いや、怒る気力もないのかもしれない。通り越して呆れたのかもしれない。いずれにしろ、人の感情は複雑怪奇」

P「さて、バレないように行動しよう。最後の見せ場だからな。油断せずにいこう」

P『まゆ、三船さん。これから最終段階に入ります。聞こえたら互いの名前を呼んでください』

まゆ「三船さん」

美優「…………」

まゆ「三船さん?」

美優「…………」

まゆ「美優さん」

美優「ぇ……ぁ、あっ、はいっ……!」

P『これから最終段階に入ります。聞こえたらまゆの名前を呼んでください』

美優「まゆちゃん。ボーッとしててごめんなさい」

まゆ「なにか考え事ですか?」

美優「えぇちょっと……強いなぁって」

まゆ「誰がですか?」

美優「その子」

高橋P「なんでですか?」

美優「家族のこと言われて自分を抑えられるって凄い。私にはとてもじゃないけど真似できない」

高橋P「……どういうことです?」

美優「実は私、昔犬を飼っていて……あの子の事を悪く言われたらと考えたら……」

高橋P「なるほど。彼女も犬でも亡くしたんですか?」

まゆ「犬じゃなくて弟さんですけどね」

高橋P「え?」

まゆ「前に雑誌に載ってちょっとしたスキャンダルになったの。違う事務所の事といえど凄かったわ。連日連夜、雑誌はそれで持ちきり。今思えば有名になりかけてたからあれだけ騒がれたのかもしれない」

高橋P「そんなことが……全然知らなかった……」

美優「私も雑誌を見てなければ知らないところでした」

高橋P「それを知らないとはいえ、他人に言われて我慢できるなんて──」

P『今一人だな?』

助手「はい。またトイレですけど」

P『手短に済まそう。これから高橋礼子をステージに誘ってほしい』

助手「ステージ……」

P『そう。これにはあと二人ほど参加させる。その二人と連携して』

助手「はい。それにしても本当に私も参加しなきゃダメですか? こういうのは苦手で……」

P『無理強いはしないよ。でも今は頭に来てるんじゃないかな』

助手「たしかに頭には来てますが、怒りを通り越して呆れてます」

P『それじゃ任せるよ』

助手「それにしても悪趣味な催しですね」

P『悪趣味なのはわかるけど一種のごっこ遊びみたいなものだから気楽に』

助手「わかりました」

助手「お待たせしました」

礼子「大丈夫? 便秘?」

助手「いえ。ところで戻ってくる途中に聞いたのですがステージでなにかやるらしいです」

礼子「さっきからステージが騒がしいのはそれなのかしら」

助手「とりあえず行ってみませんか?」

礼子「それもそうね」

ヘレ「……参加することになったわね」

助手「…………」

ヘレ「こうなったら世界レベルの美貌を見せつけてあげる」

礼子「なんだかギラギラしたおじさんばかりねぇ」

藍子「なんで私が……」

みちる「フゴフゴフゴゴゴ……あも」

みく「みくの分もがんばるにゃみちるチャーン!」

ほたる「え、あっ……ひぃ」

美優「大丈夫よほたるちゃん……大丈夫……大丈夫……」

助手「これはもうわからないわね」

P『協力者の事? 連携してほしいのは三船さんと藍子。それ以外はノリと巻き込まれたのだね』

司会「お待たせしました。今回もやって来ました。婿・嫁にしたいのは誰選手権女子の部!」

ヘレ「男性の部優勝はマス……シロエタケだったわ」

助手「マンザイダケが優勝かと思ったわ」

P『受賞理由が"孫のよう"だからな。本人微妙そうな顔してたな』

司会「さぁ、早速軽く自己紹介をしてもらいましょう!」

助手「自己紹介は苦手だわ」

ヘレ「自己PRの真髄、見せてあげるわ」

司会「なお、時間がないので本当に簡単な自己紹介でお願いします」

ヘレ「こんなのじゃ私、真髄が魅せられないわ」

司会「順番はクジで決めたいと思います。最初の子はこの人!」



下1
安価。以下の中から選んでください。
ただしコンマ以下がゾロ目で一(高橋礼子)になります

高.ほたる
橋.みちる
礼.美優
子.ヘレ
三.助手
十.藍子
一.礼子

司会「ヘレさん。ヘレ?」

ヘレ「ヘレよ。見ての通り外国人だけど心はボンダンサブルよ」

助手「ボンダンサブル?」

P『ボンは盆踊りの事。心は日本人って言いたいんだと思う』

司会「何か一言」

ヘレ「夜はベリーダンスを踊るわ。子供はボブスレーチームを期待していい。世界レベルのね。以上よ」

司会「はい、ありがとうございました」

ヘレ「ちなみに年はプレティーンを二回分よ」

ほたる「プレティーンってなんですか?」

P『12歳のこと』

美優「12歳のことよ」

司会「さて、ヘレさんには何人が入れるのか! 投票どうぞ!」



下1
コンマ判定。コンマ以下が投票数になります
00は100

ゾロ目は特になし(ストレス現在+4)

司会「投票数は96!」

ヘレ「……っ」

ほたる「小さくガッツポーズしてる。嬉しいんだ……」

シロエタケ「面白くねえな……」

ヘレ「ッ!」

P『可哀想なヘレさん』

司会「いきなりの高投票数。これからどうなるかが楽しみです! やはり外人というのが大きいのでしょうか。エロオバジンどもめ」

助手「エロオバジン?」

P『たぶんエロおばさんおじさんの略だと思う』

司会「さて、ドキドキの次! これはプレッシャーが大きいぞ」

助手「これ競争なの?」

P『ごっこ遊びみたいなものだよ』

助手「悪趣味……」

P『これで満足する人もいるんだから我慢』

助手「…………わかってます」

司会「それでは次!」


下1
安価。以下の/以外の中から選んでください
コンマ以下がゾロ目で高橋礼子になります

高.ほたる
橋.みちる
礼.美優
/.──
三.助手
十.藍子
一.礼子

司会「えー……優しいに美しいで……でー……」

美優「みゆです」

司会「ミューさんですか。それでは自己紹介をどうぞ!」

美優「三船美優、26歳のAB型です……趣味はアロマテラピーです……」

司会「……怒ってます? 無理やり参加させられたのならいってください」

美優「いえ、怒ってません……自己紹介って苦手で……」

司会「人付き合いが苦手な美人。これはいい武器です。さて、何か一言どうぞ!」

美優「あ……その……よ、夜の方もがんばり……ます……」

司会「夜の生活のことで一言いうコーナーじゃないんだけどな……でもこれは得点高いですよ。夜の雰囲気作りにアロマはピッタリ。お香を焚いて、旦那の性欲も焚き付ける!」

藍子「…………最低」

司会「何か聞こえた気がしましたが気にしません! さぁ、三船美優さんにはいくつ票がはいるのか! 投票どうぞ!」


下1
コンマ判定。コンマ以下が投票数になります。
00は100になります。

ゾロ目は特になし

司会「39票! これは意外と少ない! 寡黙なのが仇になったかぁ!?」

ヘレ「…………」

ほたる「なんだか冷や汗かいてませんか?」

ヘレ「……き、気のせいよ」

司会「やはり最初のインパクトが強かったのか! このままいってみよう! 流れを変えることができるか!? 次はこの人だ」


下1
安価。以下の/以外から選んでください
高橋礼子はゾロ目でのみ出てきます

高.ほたる
橋.みちる
/.──
/.──
三.助手
十.藍子
一.礼子

司会「みちる! ひらがなの名前が可愛らしい」

みちる「なんだかわからないけどありがとうございます!」

司会「それじゃ自己紹介お願い」

みちる「大原みちる、15歳O型! 趣味は食べることです! あっ、食べる専門なのでパン以外作ること出来ません!」

司会「元気がいいねー。こっちも負けてられないな! それでは何か一言どうぞ!」

みちる「チャームポイントは八重歯! 好きなパンはシュニッツェルとホットドッグのソーセージ抜きそれとナンですね!」

司会「シュニッツェルとコッペパンと何が好きなの?」

みちる「ナンですね。あっ、夜の方は満足してます!」

司会「夜食か何かかな? それでは少し抜けてる大原みちるちゃんに投票どうぞ!」



下1
コンマ判定。コンマ以下が投票数になります。

ゾロ目でパン進呈

司会「16票! アホの子っぽいのが響いたかぁー!?」

ほたる「…………」

美優「どうしたのほたるちゃん?」

ほたる「フゴフゴ言わないで普通に喋ってる……」

美優「そこなのね……」

みく「今のとこみちるチャンが断トツビリにゃ」

司会「投票数に差が出るのも面白いところ! さぁさぁ次はこの人だ!」


下1
安価。以下の/以外から選んでください
高橋礼子はゾロ目でのみ出てきます

高.ほたる
/.──
/.──
/.──
三.助手
十.藍子
一.礼子

司会「次は助手さん! 助手?」

助手「私です」

司会「変わったお名前ですね」

助手「本名じゃないわ」

司会「それでは自己紹介をどうぞ」

助手「16歳、高校二年生です」

司会「…………それだけ?」

助手「それだけですがなにか?」

礼子「スリーサイズ言った方がいいんじゃないかしら?」

助手「…………上から7……3・55・78です。趣味は音楽鑑賞特にクラシック、それとトレーニングです」

司会「腹筋割れてる?」

助手「さすがにそこまではしてません」

司会「それでは一言どうぞ!」

助手「声や声量には自信があります。なので子守唄を聞きたいときは是非」

司会「子守唄を上手に歌えるって高得点の好印象。ポイント高い」

助手「そうですか。ところでさっきからどこを見てるんですか?」

司会「何だろうね」

助手「まぁ、なんでもいいですけれど」

司会「それでは投票行ってみよう!」


下1
コンマ判定。コンマ以下が投票数になります。
00は100扱い

ゾロ目または72で胸踊る助手得展開が……!

司会「20! 刺々しい表情が仇になったのか!?」

助手「…………」

P『…………落ち着いて』

助手「まぁ……なんでもいいですけれど……」

P『あとで小梅と話す?』

助手「っ!」

司会「どうかしたの?」

助手「いえ、なんでもありません」

司会「それでは、人数も少ないですが次の人。次は……この人だ!」


下1
安価。以下の中から選んでください
高橋礼子はゾロ目の時のみ出ます。実質二人ですね

高.ほたる
十.藍子
一.礼子

司会「ほたる!」

ほたる「白菊ほたる、13歳です……私は不幸体質ですので近寄らない方が……あ、さっき百円玉拾ったのですがどなたのでしょうか?」

司会「それもうわかんないんじゃない?」

ほたる「あぁまた私のせいで不幸が……」

司会「えっと、趣味は?」

ほたる「趣味と呼べるものでもないのですが……笑顔の練習とアイドルレッスンを……」

司会「笑顔の練習?」

ほたる「はい。こう、鏡に向かってニコッて……」

助手「…………」

みちる「どうしたんですか?」

助手「……なんでもないわ」

司会「一言どうぞ」

ほたる「マナーは一通り習っているのでご迷惑はお掛けしない……と思います。結婚はまだ出来ませんが、私のこと大切にしてくださいね」

助手「インドにいけば結婚できるかしら……」

ほたる「大切なものには近付かないので、なにかあるのでしたら言ってください」

司会「それにしても君さ、二人と姉妹だと思われない? 雰囲気そっくり」

ほたる「そんな……私なんかお二人に比べたら……」

司会「さぁ、まだまだ八の字眉を見たい気はしますがここで投票です! どうぞぉ!」



下1
コンマ判定。コンマ以下が投票数になります。
00は100扱い

ゾロ目か77でほたるに不幸が……!

司会「17票! 背徳感が邪魔したのかぁー!?」

ほたる「やっぱり私なんかにいれる人いないですよね……わかってました」

みちる「うんうん。わかる……わかるよその気持ち」

ほたる「みちるさん……」

みちる「あたし達……仲間!」

ほたる「仲間……?」

助手「あなたは一人じゃない……ってことよ、白菊さん」

ほたる「あ……私は……一人じゃない……」

みく「みちるチャン何気に巻き込んだにゃ。もう一人は抱きついてる。なんなんこれ」

司会「いい話の途中ですがこちらも途中ですので進めます」

みく「司会者空気読めにゃ」

司会「残るは二人。高得点なるか! それともこのまま逃げ切りか!」

ヘレ「…………」

司会「堂々としたものです! これぞ王者の風格!」

みく「それにしてはクライシスな冷や汗かいてないかにゃ? みくの気のせい?」

司会「次はー……次は…………この人っだー!」


下1
コンマ判定。コンマ以下がゾロ目なら一、それ以外なら十

十.藍子
一.礼子

司会「次は藍子さん!」

P『さて、ここがある意味問題だ』

助手「なにがですか?」

P『彼女オレのこと嫌いなんだよね。だからうまく動いてくれるかどうか』

助手「なるほど」

P『ところで一人言みたくなってるけど大丈夫?』

助手「誰も私のことなんて見てませんから」

P『見てもらえる人にだけ見てもらえばね。そういうわけでお願い』

助手「はい」

藍子「…………」

美優「あの、藍子ちゃん……? 出番……」

藍子「…………わかってます」

司会「緊張かな?」

助手「高森さん」

藍子「はい」

助手「こんなときどんなことを言えばわからないけども、ゆっくり……行きましょう」

藍子「……はい」

司会「お?」

藍子「すみません。お待たせしました」

司会「いやいや、構わないよ。緊張は誰にでもあるからさ。それでは行ってみよう」

藍子「高森藍子、年は16歳。趣味は近所の公園を散歩することです」

司会「散歩? 森の中とか?」

藍子「森の中もいいですよ。夏は涼しくて、秋は穏やか。冬は少し寂しいですね」

司会「春は?」

藍子「毛虫が多いので……」

司会「アハハ、そりゃそうか。やっぱ普段から森ガール意識してる?」

藍子「普段から?」

助手「その服装が似合っていて自然に見えるからじゃないかしら」

司会「そうそうそんな感じ」

藍子「普段からそうかもしれませんね。私、あまりスタイル良くないので」

P『共感出来るのはいいけど小刻みに頷かない』

助手「……頷いてません」

司会「それでは一言お願いします」

藍子「スタイルも器量も良くないですが、笑顔にしたいという気持ちは誰にも負けません。なのでみなさんを笑顔にしていきたいと思います。みなさん、たくさん笑顔になってください♪」

P『自棄だな』

美優「藍子ちゃん……」

P『でもこれでいいんです』

美優「…………」

司会「笑顔が眩しい藍子ちゃんでした! さぁ、投票だぁー! 投票どうぞぉ!」



下1
コンマ判定。コンマ以下が投票数になります。
00は100扱いです

ゾロ目でゆるふわっさくっ

司会「58票! なかなか高い!」

藍子「ありがとうございます」

みちる「うーらーぎーりーものー」

藍子「いつ同盟組んだんですか」

みちる「やっぱりそのゆるふわっな雰囲気か、ゆるふわ愛されガールなの!?」

みく「ふわっとした雰囲気は同意にゃ。これにはネコであるみくも思わずあくびが出ちゃうにゃ」

藍子「どうせどこかで聞いてるんですよねPさん」

美優「Pさん……」

P『あとで叩いてもいいから今は集中して。そう伝えてください』

美優「……藍子ちゃん。Pさんが『あとで叩いてもいいから今は集中して』って……」

藍子「…………わかりました」

司会「さぁ次で最後! それでは登場していただきましょう。どうぞ!」

礼子「やっと私の出番? 眠っちゃいそうだったわよぉ」

司会「色っぽい人が出てきました。それでは自己紹介どうぞ!」

礼子「高橋礼子31歳、趣味はパーティーにいくこと。家事全般はそれなりに出来るつもりよ」

司会「これは期待できそうだ。一言どうぞ!」

礼子「夜の方は退屈させないわ。夜通し……ね?」

司会「…………ふぅ、それでは投票数どうぞ」




下1
コンマ判定。コンマ以下が投票数になります
00は100になります

ゾロ目でストレス+1(現在+4)

司会「14票! 露骨なセックスアピールが裏目に出たかぁー!」

礼子「…………」

みちる「!!」

助手「……っくっ、くく……ぷふふ」

ほたる「礼子さん……」

ヘレ「…………地域レベル」

P『助手さん、笑いすぎ』

助手「こ、これでもこらえてる方です……! ブフ」

P『ここからが見せ場だ』

助手「見せ場?」

P『見てればわかる』

司会「えー、さてさて……男子の方でもありましたが……ビリの方は罰ゲームです」

礼子「は、罰ゲーム? 脱ぐの?」

司会「いえ、そうではなく…………これです」

助手「洗面器?」

司会「ここで顔を洗ってもらいます」

礼子「そう。なら早速」

司会「まだです。この洗顔料を使っていただきます」

営業「どうぞ。あ、先ほどはどうも」

司会「こちらは新製品、しつこいメイクもしっかり落とす『ノーメイクメーカー』です。提供はセナミ製薬」

営業「こちらをよーく泡立てて……はいどうぞ」

礼子「…………ン……ン、ン、ン…………プハッ」

司会「おっ、勢いいいね」

礼子「どう、これで満ぞ……く……」

司会「えぇ」

礼子「どうして距離を取ってるの?」

司会「気のせいです」

P『ちなみにこれは録画されて放送される。放送といっても投稿するだけなんだがな』

まゆ「PさんのドSぅ」

P『プロデューサーはどうした』

まゆ「担当さんなら礼子さんのすっぴんを見たときから開いた口が塞がってません。茫然自失といった感じですね」

P『さすがにすっぴんはキツいからね』

まゆ「親しき仲にも礼儀あり。化粧も礼儀のひとつですもの」

P『仲がいいといってもさすがにすっぴんまでは見せない』

まゆ「まゆはあなたにすっぴん見せてますよ?」

P『まゆの場合、化粧らしい化粧といえば口紅くらいだろ。今は他に必要がないからしてないでしょ』

まゆ「まぁそれもそうなのですが……」

P『とりあえず撤収の準備が整ったら先に戻ってて。オレはやることがある』

まゆ「はぁーい」

美優「あ、まゆちゃん」

まゆ「お待たせしましたぁ。小梅ちゃん、どうだった?」

小梅「楽しかった……こんなおっきなお料理があってね……」

輝子「テーブルの下は……うん、落ち着く」

幸子「お二人に引っ張り回されたボクの身にもなってくださいよ、まったく。初めてのパーティーではしゃぐのはわかりますが節度というものがあります」

小梅「ごめん……」

輝子「自分を解放しすぎた……」

まゆ「幸子ちゃんはどうだった?」

幸子「え……あ……えぇまあ、まあまあでしたよ」

まゆ「……そう」

輝子「わ、私の後ろに隠れても、キノコはないぞ?」

美優「タクシーを呼んで帰りましょうか。探してくるわ」

藍子「あの人は?」

まゆ「用事があるんですって」

藍子「用事?」

まゆ「用事。中身までは知らないわ。ごめんなさい」

藍子「いったいどこにいたのかもわかりません」

まゆ「でもまゆたちを見守ってくれてるのだもの。感謝しなきゃ」

藍子「気味悪いだけです」

まゆ「そう? もしかしたらそこの草むらから見てるかもしれないわよ?」

小梅「草葉の……陰?」

杏「杏も安らかに寝たい……ふあぁ」

みちる「フゴーフゴゴ……フガッ!」

みく「こっちはお腹一杯で眠っちゃってるにゃ」

まゆ「いま眠ったら消化に悪いわよぉ?」

礼子「……最悪」

礼子「なんで私があんな辱しめ受けなきゃならないのよ……ったく」

礼子「なかなかのお金持ち集まってたのに取り逃がしちゃったじゃない……!」

礼子「せっかく顔見なきゃどっち向いてるのかわからない壁女と不運娘にパン娘にネコ娘って色物が揃ってたってのに」

礼子「チャンスをものにできないどころか大打撃じゃないのよ! だいたいあの事務所おかしいのよ。色物多すぎ」

礼子「中二病っていうのかしら? それがいるし、物事斜に構えてひねくれた見方するのはいるは、周りを不幸にするサゲマン娘はいる。それにニートみたいなダラダラした小娘はいるし、魚嫌いなネコキャラにいつもパンばかり食べてるのはいる。しまいにはプロデューサーにお熱なのもいる。なんなのよいったい」

礼子「そもそもあのイベントもおかしいのよ。あんなことして何が楽しいんだか。人に順位つけるなんてアジア人の好きそうなことね」

礼子「あーやっぱり負け組よね。日本人なんかと付き合うなんて負け組、負け組」

礼子「あぁ、またホテルでヤりたいわ。彼ら細かいこと気にしないし。日本人男とは違うわぁ」

礼子「勝ち組になりたければやっぱり、ね。担当アイドルは事務所にいないし、また誘おう。あとの二人にも来てもらおうっと」

礼子「それにしても私に何の用事があるのかしら。正直、世界レベル世界レベルうるさくて嫌いなのよね。千葉出身のクセに…………っと、ここね」

礼子「暗いわね……」

礼子「いるのー? いたら返事くらいしてー!」

礼子「……………………いないのかしら?」

ヘレ「…………」

礼子「あら、そんなところに……いたなら返事くらいしなさいよ」

ヘレ「…………」

礼子「黙ってないで何か言ったら? 用事があるから呼んだのでしょう」

ヘレ「…………ごめんなさい」

礼子「は? なにいって……アガッ」

ヘレ「…………」

サルマタケ「うわぁー、スタンガンってスゴいんだね! さすがロシア製」

ヘレ「これでいいのかしら?」

サルマタケ「うんうん。あとは家まで運んでね♪」

ヘレ「…………」

サルマタケ「おばさんは僕の趣味じゃないけどたまにはゲテモノ食いも良いかもね。それにしても仲間のはずのアイドルを売るなんて女の人は怖いなぁ。ねっ、そう思うよね?」

ヘレ「…………」

サルマタケ「だんまりぃ? ま、いいけどね。普段から世界レベル世界レベルうるさいからこのおばさんと同類なのは変わらないよ。外ばっか見て、内は見ない。ほんとバカだよねー。ささ、早く運んで運んで♪」

P「お疲れ様」

助手「お疲れ様です」

P「…………」

助手「…………」

P「…………」

助手「なぜ私のマンションに?」

P「お疲れ様を言うため」

助手「そもそもどうやってこの場所が……」

P「ブログって怖いものだからね」

助手「……機械には疎いのでわかりません」

P「それにしてもよく堪えたね。怒るかと思った」

助手「我慢しろと仰ったのはあなたですよね? それに元々あの事で怒りません。弟のことを言われたときは腸が煮えくり返りそうでしたが……」

P「手を握り締めてたからヒヤヒヤした」

助手「あそこで手を出したら誰のためにもなりません。思い出が汚れるだけです」

P「そっか。それじゃこれで。お駄賃は細やかだけど振り込んでおく」

助手「…………」

P「どうしたの?」

助手「疑問がいくつか」

P「答えられる範囲なら答える」

助手「依然あったときと雰囲気が変わったということはいった通りですが……今日は以前と今の雰囲気が混在してるようでよくわかりません」

P「…………」

助手「あなたを変えたのが何なのかはわかりません。ですが、普通のことでないのは確かです。一時期の私みたいな……あ、差し出がましいようですみません」

P「いいよ。的外れじゃないし」

助手「それと…………」

P「それと?」

助手「…………」

P「…………」

助手「これは知り合いに聞いたのですが…………」

P「うん」

助手「…………襲わないんですか?」

P「襲う?」

助手「はい。夜男が家の前にいたら十中八九狼だと聞いたので……なんでも食べられてしまうのだとか。何を食べるのでしょう」

P「夜食じゃないかな?」

助手「そうなんですか? てっきり私自身かと思ってました。ホラー映画のゾンビみたく食べられてしまうのかと。そう言ってましたし」

P「誰から教わったからはだいたい察しがついた」

助手「いったいなんなんでしょう。よくわかりません」

P「そうだね」

助手「聞きたいことはそれだけです。おやすみなさい」

P「おやすみ──」

シロエタケ「いってててて……」

マンザイタケ「おいおいまだ痛むのか。大丈夫か?」

シロエタケ「大丈夫なように見えるか? ったく、なんなんだよあの女は。人間とは思えないほど硬かったぞおい」

マンザイタケ「余所見してるお前も悪いぞ」

シロエタケ「余所見ってなんだよ。曲がり角でぶつかったんだからしかたねえだろ」

マンザイタケ「そんなことより連絡あったぞ」

シロエタケ「連絡だぁ? なんでオレにいうんだよ。お前のリクエストだろ」

マンザイタケ「それもそうだな。お前は参加しないのか?」

シロエタケ「ババアは趣味じゃねえ」

マンザイタケ「おいおいそんなこと言うなよ。天使ちゃんは年を取ると女神になるんだからな?」

シロエタケ「お前ぶれねえな」

マンザイタケ「それに外見だけならお前の好きな人もそうだぞ?」

シロエタケ「ありゃ間違いなく女神だ」

マンザイタケ「やれやれ、また始まった。夢を見るのはいいが気を付けろよ。さて、そろそろ支度するか☆」

シロエタケ「ガンバれよー」

P「ただいま」

まゆ「お帰りなさい」

P「みんなは?」

まゆ「杏ちゃんはもちろん、みちるちゃんもみくちゃんも幸子ちゃんも藍子ちゃんもみんな寝ちゃいました」

P「疲れたんだな。緊張させてしまったからな」

まゆ「でもみんな楽しんでましたよ? みちるちゃんなんて明日からのお通じ気にしてました」

P「念入りにマッサージするか」

まゆ「それがいいです」

P「さて、お風呂から出たらパソコンでも見るか」

まゆ「夜更かしですかぁ? あまり感心しません」

P「確かめることがある。それが終わったら寝るよ」

まゆ「確かめること?」

P「投稿した動画を確認するだけ。ものの数分で終わる」

まゆ「どんな動画ですか? もしかしてエッチなのとか」

P「違う。ある意味十八禁ではあるが」

まゆ「?」

P「あとで見せる。とにかくお風呂だ──」

まゆ「パソコン立ち上げておきました」

P「ありがとう」

まゆ「それで動画ってどれですか?」

P「これだ」

まゆ「これって……礼子さんの罰ゲーム」

P「そう。これを見た人は以後、高橋礼子がなにをしてもこの顔が思い浮かぶ。特にパーティーにいく人種はね。ああいう人たちは"願掛け"を気にするからね。それこそ噂レベルのことでも気にする人は多い」

まゆ「鬼畜♪」

P「元より優しくない」

まゆ「それにしてもこんなのいつの間に録画したんですか?」

P「秘密だ」

まゆ「まゆに隠し事すると後が怖いですよぉ?」

P「調べるのは勝手だが絶対に言わない」

まゆ「あなたはだんだん言いたくなぁーる、あなたはだんだん言いたくなぁーる」

P「…………」

まゆ「言いたくなぁーる。言いたくなりましたかぁ?」

P「催眠術苦手だったよね?」

まゆ「はい。いまでも」

P「諦めて」

まゆ「はぁい」

P「さて……」

まゆ「もう寝ます?」

P「その前に明日からどうするか決めておこう」

まゆ「まゆとラヴラヴ新婚生活を」

P「まゆは担当プロデューサーと……結婚…………っと。うん、それで?」

まゆ「ぶーっ」

P「どうするか」

まゆ「ブーブー」

P「お腹つつかないで。よし>>950層に>>952


>>950
ジュニア(12歳まで)かティーン(13歳から19歳まで)かアダルト(20歳以上)か選んでください

>>952
復讐か救済かをお願いします。復讐の場合、軽くか徹底的かをお願いします

ティーンときた

徹底的に

P「ティーンに徹底的に復讐だ」

まゆ「誰にします?」

P「ティーン層はまだまだ一杯いるからな。選り取りみどり。二度と外を歩けないくらいにしてやる」

まゆ「まぁ怖い」

P「誰にするか」

まゆ「お腹つつけば出てくるんじゃないですか? エイッ」

P「……>>955


>>955
モバマスのティーン(13歳から19歳まで)アイドルをお願いします

それ以外は安価下

加蓮

P「北条加蓮」

まゆ「加蓮ちゃんですか。でも救うとか言ってましたよね?」

P「誰にも両方の理由がある。それに人を救うというのは必ずしも対象の望み通りになるとは限らない。それにその前に精神状態を調整する必要がある」

まゆ「Pさんがまゆにしたようなことですか?」

P「あれとは少し違うがそのようなものだ。ただどうするかだ」

まゆ「どうするか?」

P「…………」

まゆ「Pさん……」

P「両方やるか」

まゆ「両方?」

P「実はもうひとつ復讐候補がいる。そいつをやりつつ、北条加蓮の調整もやる」

まゆ「いいと思います。それでもう一人の候補とは?」

P「及川雫」

まゆ「及川雫ってぷるるん雫ちゃんと呼ばれてる、あの雫ちゃんですか?」

P「そんな風に呼ばれてるのか」

まゆ「えぇ。嫉妬込みでの呼び方です」

P「胸か」

まゆ「胸です」

P「胸かぁ……」

まゆ「心当たりでも?」

P「ちょっとな」

まゆ「ところで雫ちゃんには何されたんですか?」

P「>>964


>>964
及川雫に何をされたかをお願いします

それ以外は安価下
ちなみに両方やるとは言いましたが北条加蓮は復讐ではありません

迫ってくるのを拒否ったらしばらく後に差し入れの牛乳に睡眠薬盛られた上
本人どころか牛にまで襲われそうになった

P「迫ってくるのを拒否したら」

まゆ「迫ってきたんですか? まゆ以外にPさんの事が好きな人がいたなんて……!」

P「迫ってきたのは罰ゲームでだよ」

まゆ「あぁ、罰ゲーム……そうですかぁ」

P「カッターナイフは仕舞おう」

まゆ「うふふ」

P「それが本人のプライドを傷付けたのだろう。そのあと牛乳に睡眠薬盛られた。気が付いたら牛小屋の中。危うく襲われそうだったよ。出産前の牛って気性荒いから」

まゆ「んふふーふーん♪」

P「錠剤を仕舞おう」

まゆ「だって罰ゲームですよ? 逆恨みじゃないですかぁ」

P「だからやるんだよ。とりあえずプロフィールのお復習でもしよう」

まゆ「はぁい。今回はまゆがやっていいですか?」

P「どうぞ」

まゆ「胸がパッション溢れる16歳。身長170cm、体重56kg。BMIは19.38。脂肪のほとんどが胸です。バスト・ウエスト・ヒップは105の64の92。推定カップサイズはJカップ」

P「彼女の売りの一つだな」

まゆ「売り"は"の間違いじゃないですかぁ? 誕生日は6月3日。星座は双子座、血液型はO型。利き手は両方」

P「胸がなくなったら無残だと言われてるよ」

まゆ「他に特徴ないですものね。岩手県出身。趣味は乳搾りにトラクターの運転。運転できるんですか?」

P「小型特殊だからね。道には出られないけど私有地の中ならオッケー。実家は酪農やってるし」

まゆ「最近売れっ子の一人ですよね」

P「体が武器だからな。それに加えてあの若さ。売れないわけがない」

まゆ「でも胸が大きな女の人って頭悪いって言いますよね」

P「頭に栄養がいってないという研究結果もあるからな。強ち間違いじゃない」

まゆ「どうしてそんな人をスカウトしたんですか?」

P「オレがしたわけじゃない。スカPの趣味」

まゆ「あの人ですか。ということはどこかの事務所にいたんですか?」

P「うん。そこに目をつけたのがスカP」

まゆ「なるほど。どういってスカウトしたんでしょう」

P「君には他にも魅力がある、とでも言ったんだろう」

まゆ「まるで白馬の王子さまですね♪」

P「キザなところが彼の特徴。さて、そろそろ寝よう」

まゆ「加蓮ちゃんのは読まないんですか?」

P「それは後日別の人に頼む」

まゆ「むっ、他の女に読ませるんですか?」

P「そういうことになる」

まゆ「ぷー」

P「そう膨れるな──」

みちる「朝」

みく「ごはんは」

蘭子「刹那の糧。されど命運を分けるに充分過ぎる」

みちる「やっぱり朝はパン!」

みく「牛乳にゃ」

蘭子「神の子の肉」

みちる「バターください!」

美優「はい、どうぞ」

みく「ジャム取ってほしいにゃ」

ほたる「どうぞ。蘭子さんは?」

蘭子「芳醇なる赤き果実の甘露を」

ほたる「えっと……」

蘭子「……いちごジャム」

輝子「おはよう……」

小梅「お、おは……よう」

みく「まだ眠そうにゃ」

小梅「興奮して……遅くまで話し込んじゃって」

輝子「熱い、夜……だったぜぇ」

小梅「う、うん」

P「おはよう。高森さんは?」

美優「まだ寝てます」

P「そうですか。まぁ今日は休日ですから寝かせておくのもいいでしょう」

小梅「今日は……部屋におこもさん」

輝子「一日中キノコに専念する……フフ。親友もどう?」

P「やることある」

輝子「そうか……なら親友の分も育てる」

小梅「それじゃ……スプラッタも見ないの?」

P「帰ってきて時間があったら」

みちる「そうやって大人は嘘をつく。この前もあたしにパンくれなかった」

P「あれは食べ過ぎたのがいけない」

みちる「ぐぬぬ……」

みく「食べ終わったら街に繰り出すにゃ。蘭子チャンもどう?」

蘭子「下界に降りるのも、悠久の時を生きる上での戯れになるか」

みちる「フゴヒモフンハフゴー」

みく「人の言葉を話すにゃ」

みちる「ニャニャッニャ、ニャーニャニャ」

みく「フシャー!」

P「静かに食べて──」

みく「それじゃいってくるにゃ!」

蘭子「瞬く間に舞い戻る。番は任せた」

みちる「食べるぞー!」

P「大原さんがどのくらい食べたか報告お願い」

みく「そういう監理するようなことはやめるにゃ。みくは仲間を売らないよ!」

P「明後日の晩御飯は牛ステーキの予定なんだけど、その時のお肉を増やしてもいいかな」

みく「お肉の誘惑には勝てなかったにゃ……」

みちる「裏切りものー!」

蘭子「我にもその機会は訪れるか?」

P「もちろん」

蘭子「全身全霊をかけよう」

みちる「八宝菜……」

みく「八方塞がりって言いたいのかにゃ?」

蘭子「四面楚歌」

美優「それでは私も行ってきます」

P「行ってらっしゃい」

美優「今日は帰らないので」

P「寮に帰るんですね」

輝子「寂しくなるぜぃ」

P「また来るときには連絡を」

美優「はい──」

藍子「それで私になんの用事ですか」

P「朝ごはんは?」

藍子「食べました」

P「そう。ならよかった。エネルギーがないと出来ないことだからね」

藍子「用事があるなら直接言えばいいじゃないですか。美優さんを使うなんて卑怯です」

P「そうは言っても直接連絡出来ないし、しても来ないでしょ?」

藍子「……それで何ですか」

P「笑顔の練習は進んでる?」

藍子「ほたるちゃんのおかげで進んでます。それがなにか?」

P「なら今日は実践するってのはどうかな?」

藍子「何をさせる気ですかですか」

P「笑わせてもらいたい人がいる」

藍子「お笑い芸人じゃないんですが」

P「そういう笑いじゃない。ただ普通に話してくれればいい」

藍子「…………」

P「出来ればその様子を録音してもらえると助かる」

藍子「盗聴しろと?」

P「きちんと出来たかの証拠だよ。高森さんがうまく出来れば、教えたほたるも喜ぶよ」

藍子「…………」

P「駄目かな?」

藍子「ほたるちゃんの名前を出すなんて卑怯ですよ」

P「…………」

藍子「とりあえず受けます」

P「ありがとう」

藍子「それで誰を笑わせればいいんですか?」

P「北条加蓮」

藍子「加蓮ちゃん?」

P「知ってる?」

藍子「養成所、というかレッスンでも一緒でした」

P「そういえばそうだったね」

藍子「でも加蓮ちゃんとは最近連絡とれません。どこにいるか」

P「居場所はわかる」

藍子「え?」

P「ただこれは秘密にしてくれると助かる」

藍子「なんでですか」

P「いる場所がいる場所だから」

藍子「どこにいるんですか?」

P「誰にも言わない、約束は破らないと約束してくれるなら場所を教える」

藍子「……言いません」

P「ここだ」

藍子「ここって……病院ですよね」

P「書いてある通りに病院だ」

藍子「また病気がぶり返したのかな……」

P「病気?」

藍子「もう治ったらしいですが病気だったらしいです」

P「……なんの病気かは言ってた?」

藍子「そこまでは…………仮にいってたとしても教えません」

P「そうか……」

藍子「これは?」

P「プロフィール。やる前に改めて知っておくのも良いものだからね」

藍子「お復習というわけですか」

P「そう。出来れば読み上げてくれると助かる。音読って大切」

藍子「北条加蓮。東京都出身のクールな外見が人目をひく16歳」

P「そうそう、そんな感じ」

藍子「そうですか……身長155cm、体重42kg。
BM……これ読まなきゃダメなんですか?」

P「きちんと読んでもらえると助かるね」

藍子「BMIは17.48。スリーサイズは83・55・81」

P「その調子」

藍子「誕生日は9月5日。星座は乙女座。血液型 B型。利き腕は右」

P「うんうん」

藍子「趣味はネイル……」

P「終わりかな?」

藍子「これに書いてあることは以上です」

P「他にはなにかないかな。高森さんから見てどうとか」

藍子「たくさんありますけどあなたには言いません」

P「そうか」

藍子「今からいっても?」

P「大丈夫。ただそのプロフィールは置いていってね。友達が自分のプロフィール持ってるのおかしいでしょ?」

藍子「言われなくても置いていきます」

P「それじゃ頑張って。録音はその端のボタン押せばいいから」

藍子「…………」

P「…………」

P「──さて」

まゆ「お帰りなさい。藍子ちゃんどうでした?」

P「なんとか協力を取り付けた。あとは結果を待つだけ」

まゆ「良かった。ところで加蓮ちゃんってどこか体が悪いんですか?」

P「昔はな。今は治ってる」

まゆ「風邪をひいて担当プロデューサーが大慌てしてましたがそんなに重病だったのですか?」

P「ヒントは趣味」

まゆ「趣味?」

P「追い追い話す。それより及川雫に集中しよう」

まゆ「牛乳なら今日も元気に胸を揺らしてるんじゃないですか?」

P「そんなに嫌いなのか?」

まゆ「だってあなたに睡眠薬盛ったんですよ? そんな女をまゆが好きなわけないじゃないですか。なにも考えてない牛乳なんて」

P「頭が悪いのは同意だがな」

まゆ「早速観察しにいきます?」

P「する」

まゆ「今は駅前のカフェにいます。行きましょう」

P「行くのは賛成だけど服装に気合い入りすぎじゃないか?」

まゆ「駅前はカップルが多いんですよ? しかも今日は休日。溶け込むためにはこれが一番自然です」

P「その理屈はおかしい。仮にその理屈でいくならもっと相応しいものがある」

まゆ「相応しいもの? あっ、新婚さん!」

P「ピンポイントな範囲だね。そうじゃなくて──」

輝子「親友、親友……次はあっちだ」

P「わかったよ……ふぅ」

まゆ「あまりはしゃぐと熱中症になるわ輝子ちゃん」

輝子「キノコ栽培には湿った環境が必要。だから……土を買う」

まゆ「キノコのことになるとスゴい熱心」

P「君も人の事言えないよ」

まゆ「うふ♪ それにしても荷物持ちなんて考えましたね」

P「デートだと目立つからね。特にまゆは」

まゆ「まゆは別に気にしませんよぉ?」

P「万が一の事があったら彼が気にする」

まゆ「んもう」

輝子「エリンーギ、シイタケ、ブナシメジ♪ フヒ」

P「楽しそうだな」

まゆ「それにしても輝子ちゃんは良いですね」

P「服装の事?」

まゆ「はい。まゆはあれこれ縛られてるのに輝子ちゃんは自由だなんて不公平です」

P「君はなんだかんだで目立つからね」

まゆ「だからリップを塗って少し目立たせてみました」

P「やっぱり君の仕業か」

まゆ「ちょっとした意地悪ですぅ。ぶーぶー」

輝子「ナメコのように光る唇……私もこれでキノコの仲間」

まゆ「あ、また舐めた。ダメよ輝子ちゃん。リップは舐めるものじゃありません」

輝子「すまない…………なんだか落ち着かなくて」

P「そろそろどこかで休もう」

まゆ「それなら少し歩いたところにカフェがあるのでそこで。彼女もまだいますし」

P「そうしよう」

輝子「?」

まゆ「あら?」

P「どうした」

まゆ「あそこにいる方、どこかで見たような……」

P「どの人だ」

まゆ「あそこのお店の前にいるショートヘアーで長いスカートの……」

P「あれは……」

輝子「さっきから仲間外れにされてるような気がする。けど気にしない……だって私空気だから、フヒ」

??「あらぁー?」

P「こんにちは」

??「こんにちは。ここで会うなんて珍しいですねぇ」

P「そうですね。今日は何しにここへ?」

??「家の近所をお散歩しに」

P「家ってここら辺でしたっけ」

??「さぁ?」

P「また"散歩"ですか」

??「えぇ、そうですよ?」

輝子「親友親友、この人は誰?」

??「私は……」

P「ここで名乗っていいんですか?」

??「あ、そういえばそうでしたぁー。えっと、私の事は…………高橋って呼んで」

P「それだとややこしくなります。こっちにも高橋がいるので」

??「それじゃあー…………六浦なんてどうかしら?」

P「その心は?」

六浦「今日は気分がいいので。今日の占い、二位なんです」

P「それは気分がいいですね」

まゆ「とりあえず中に入りましょう」

輝子「同意。外は暑い」

P「それもそうだな」

六浦「私最近豆乳にハマっててぇー。どうです豆乳」

P「おすすめは?」

六浦「豆乳抹茶フラペチーノです」

P「…………」

六浦「美味しいですよ?」

P「…………」

輝子「どうするー親友ー♪」

まゆ「Pさんー♪ うふ──」

P「…………」

六浦「どうです?」

P「なかなか斬新な味…………ですね」

六浦「良かった。お口に合ったみたいで♪」

まゆ「まゆ、Pさんのそういうところ好きです♪」

六浦「あなたはPさんの事が好きなの?」

まゆ「はい。大好きです」

P「そうなんですよ。担当さんのことが好きで」

まゆ「そういうところは嫌い、うふ♪」

輝子「マッシュ投入フラペチーノ……フフ」

P「粉末?」

輝子「まるごとそのまま」

六浦「キノコ好きなの?」

輝子「キ、キノコは私の……と、友達……フヒ」

六浦「私も好きよぉー。炙ったシイタケにお醤油をちょこんと垂らしてね」

輝子「エリンギのバター炒めも……オ、オススメ」

六浦「お鍋にいれても良いわよねぇ」

輝子「わ、私はムリだけど……お酒にも合う、らしい……」

P「…………」

まゆ「会話に集中してるんですか?」

P「あぁ、向こうのな」

まゆ「雫ちゃんと担当さんですね」

P「変装しても丸わかり」

まゆ「なにせあの大きさですからね。目立ちますよ」

P「だな」

まゆ「うふ♪」

P「前のめりになるな。それよりそこの葉の間から担当プロデューサーの表情は見られるか?」

まゆ「今はあなたしか目に入りません♪」

P「ふざけない。見える?」

まゆ「んもぅ……見えますよぉーだ」

P「よく観察して」

まゆ「はぁーい」

及川雫「グラビア撮影……ですかー?」

及川P「季節柄しかたないよ。今が旬だし」

雫「またですかぁー?」

及川P「うん。すまない、またなんだ」

雫「文句はないですけどー、たまには違う仕事もしてみたいなぁーって思います」

及川P「そっちは鋭意交渉中」

雫「はぁ……? わかりましたー」

及川P「……ホッ」

雫「それにしても私意外でしたー」

及川P「意外?」

雫「私てっきりスカウトした人がプロデューサーだと思ったんですけど違うんですねー」

及川P「ん、あぁそれか。たしかにそういう人もいるけどね。ごめん」

雫「謝る必要ないですよー。こうやって仕事とってきてくれるんですから感謝感謝ですー」

及川P「ハハッ……そうか」

雫「はいー。あっ、これ美味しそう」

及川P「どれどれ、買ってくるよ」

雫「えぇーいいですー悪いですよー」

及川P「いつも頑張ってくれてるお礼だよ」

雫「そうですかー? ありがとうございますー」

及川P「ははっ、ハハハ」

まゆ「…………」

P「どうした」

まゆ「時おり見せる困った顔が辛くて……」

P「彼も苦労してるからね」

六浦「苦労? どうかしたんですか?」

まゆ「夏場は視線が気になりません?」

六浦「視線?」

まゆ「ほら、胸元への……ね?」

六浦「胸元? あ、あー」

まゆ「男性はそういうのなくて良いですよねぇ」

P「男にもあるよ。胸こそあまり見られないがこの季節は二の腕やそれこそ胸、特に筋肉を見られる」

輝子「私は親友のキノコを……見る」

六浦「キノコ?」

輝子「親友のキノコは……立派、フフ」

六浦「……? あっ……あらあらあらあらぁ」

まゆ「例えるなら毒キノコ。少量でも逝くには充分♪」

六浦「あらあらーあらあらぁ」

P「ひどい会話だ」

輝子「二人はどこを見てる? 親友のキノコ……私の部屋にあるぞ」

六浦「取り外し出来るんですか?」

P「木から取り外せますよ」

輝子「こう、モイッと取れる。しゅ、収穫の瞬間は……快感……フフ」

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あとは適当に好きなアイドルの愛を叫んで埋めておいてください

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月08日 (日) 14:12:04   ID: 4_rVXd_a

後でぼかしてあるとこのネタバラシしてほしいよー

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