P「音無さんと付き合いたい」 (111)
このssは中田秀夫監督、怪談をモチーフにしたssです
「は?」
律子が不意の俺の言葉に呆れた様子で聞いてくる。
「いや、だってさ、失礼かもしれないけど俺より年上であの可愛さだぞ?
普通狙うだろ?」
はぁー。と律子が溜息をつく。
「双方が良ければ、私は何も言いませんよ。アイドルの皆に恋するよりマシですから」
「でさ。今日食事に誘ってみようと思うんだけど…」
「私に聞かないで下さいよ。音無さんならもうすぐ買い出しから帰ってきますから、ご自分で言って下さい」
そうだな。その為に今日、小鳥さんが好きそうな店を探したんだから。
「あんまり、仕事に影響でないようにして下さいね」
「はは。分かってるよ」
だけど、今から考えたら、やめておけば良かったんだ。
あんな事になるなんて、この時は夢にも思わなかった。
「音無さん!あの、もし良かったらなんですけど…」
「お食事、ですか?」
音無さんは、?とした感じで俺を見ていた。
まあ無理もないかなと思っていると、音無さんの顔がみるみる赤くなっていった。
「えっ…それって、その…」
なんか、初々しいなあ。
もしかして、慣れてなかったりするのかな?
それに、押しには弱そうだ。
「はい!俺、音無さんと行きたくて…」
「…わ、私で、良ければ…」
うっわぁ。可愛い。
仕事帰り、行きつけと偽って調べに調べたイタリアンの店に入る。
すると、音無さんはキョロキョロと見渡す。
あれ?まさか、間違えたかな?
「い、いえ!だ、大丈夫です!私、スパゲティとか大好きですから!」
…スパゲティ…か。
流行りとかはあまり知らなそうだなあ。
でも、こういう人の方が分かりやすくていいな。
「じゃ、飲み物とか何にします?」
「そうですねぇ…じゃ、生ち…白ワインで!」
それから音無さんはどうやらこういうお洒落な店より、町の居酒屋の方が好きなのだな、という事が分かった。
いやあ、間違えたかなあ。
「あの、すいませんでした!折角良いお店に連れていってもらったのに!」
音無さんが頭を下げてくる。
悪いのは音無さんの好みを把握していなかった俺なのに。
「いえ、俺の方こそすいませんでした!」
…これから、たるき亭とかの方にしようかな。
それから俺は仕事帰りに音無さんとたるき亭で飲みに行く事が多くなった。
お互い約束はせず、どちらかが行きたいと言ったら行くのだ。
俺はそんな生活に徐々に仕事が楽しくなっていった。
一人暮らしで、帰っても特に何かある訳ではない。
しかし、こうして晩御飯をともにする事で、その寂しさを安らぎに変えられるのだ。
それに、こんな可愛い人と一緒に。
ある日、俺は、音無さんをデートに誘ってみる事にした。
「では、始めます」
普通こういうのは何日もかけてから始めるのだと言うのだが、そうしないということは、それ程俺がマズいということなのだろう。
霊媒師が俺に向かってお経を唱え続ける。
正しくは、俺の後ろの小鳥さんに向けて、だ。
そして次第に霊媒師の顔に焦りが見えてくる。
どんどんお経が早口になっていく。
ご自分では気づいていないみたいだが、霊媒師の足がどんどん後ろに下がっていた。
そして、その時はすぐに訪れた。
ここにも弟子の人達がいる。
その人達の目の前で。
霊媒師は吹き飛んだ。
壁に向かって、一直線に。
叩きつけられた霊媒師は、もがき苦しみながらも俺に近づく。
「…………!!!」
何かを言っているが、聞こえない。
「ぎ……の……なに……をつけ……」
そして、霊媒師はそれっきり何も言わない屍と化した。
俺達の目の前で、彼は生き絶えたのだった。
「は…に…」
俺の声を聞いて集まってきた人達がその凄惨な現場を見て、すぐに駆けつけてきてくれた。
救急車を呼んでくれている人もいた。
そして、美希はぐしゃぐしゃの手を俺の頬にそっと近づける。
「美希!しっかりしてくれ!!」
何か、言おうとしている。
「こ…は…にも…ないの」
だが、そんな事はどうでもいい。
頼むから、早く救急車、来てくれよ。
俺の命なんていくらでもくれてやる。
だから、この子は助けてやってくれ。
「…ね…げ…ない」
それっきり、美希は動かなくなった。
最初から見てたぜ!面白怖かった。1乙!
Pが聞き取れなかったとこを知りたい
>>65の「ぎ……の……なに……をつけ……」
>>83の「こ…は…にも…ないの」
「…ね…げ…ない」
多分>>83の上は「小鳥は何も悪くないの」で
下は「貴音」って言い始めたんだとと思うが・・・
>>108
「銀髪の女に気をつけろ」
「小鳥は何も悪くないの」
「貴音は人間じゃない」
です
>>110
おおおおお!ありがとう!
最後は律子が貴音に操られてPを殺しちゃったのかぁ・・・
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