亜美「兄ちゃんは誰が好き?」 (37)
亜美「ねー、兄ちゃん?」
P「ん~?」
亜美「このマンガ、4巻ないの?」
P「この、って言われても分からん」
亜美「あ、そっか。この『一休さんフレンズ』ってやつ」
P「あ~、それな」
亜美「まだ新しいの出てないとか?」
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P「今、俺が読んでる」
亜美「早く、貸してよ」ドンドン
P「待って、今『新右衛(ヱ)門』さんが将軍様に無茶ぶりされて金の龍の玉を……」
亜美「ネタバレはギルティっしょ!」ドンッ
P「こら、そんなに強くトイレのドアを叩くなよ。ご近所さんにも迷惑だろ」
亜美「は・や・く! は・や・く!」ガチャガチャガチャ
P「ちょ、そんな速さでドアノブ回したら、ドアノブさん『らめぇえええ』ってなるだろ!?」
亜美「ドアノブさんはコレがお仕事だから」ガチャガチャガチャガチャ
P「らめぇえええ、このマンションお賃貸なのぉ、お家チンあがりゅのぉおおおお」
亜美「なら、早く出てきてよ」ガチャガチャッ
P「だが断る」
亜美「‥‥‥‥‥‥」ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
P「やめて! その勢いで無言はヤンデレみたいで怖い!」
亜美「ヤンデレと接近遭遇したことあるの?」
P「ずっと第一種戦闘配備してんだけど、一向に来ないなぁ……」
亜美「兄ちゃん非モテだもんね」
P「ほっとけ」
亜美「それより、早く出てきてよ」
P「断る」
亜美「早く出てこないと、この机に置いてある書類を……」
P「それってもしかして……」
亜美「んん? なにこれ……? 右2上3右4……?」
P「それは俺が寝ないで作った『ドラクエ1のダンジョンの進み方』手引き書じゃないか!?」
亜美「松明使えばいいじゃん」
P「縛りプレイ中なんだよ」
亜美「攻略w○ki見なよ」
P「これだから、復活の呪文を知らない現代っ子は……」
亜美「こんなん作ってる暇あるんなら、もうちょっと亜美と遊んでよ」
P「馬鹿言うな。それは俺のライフワークだ。なんびとたりとも邪魔はさせ……」
亜美「これ捨てとくね?」
P「あっ、こら、やめろ! それ作るのに8時間もかかったんだぞっ!?」
亜美「どうせ覚えてるんでしょ?」
P「うん」
亜美「こんなの、醤油こぼしてグチャグチャになるんだからゴミ箱にシュウっと!」
P「超エキサイティンっ!」
亜美「ほら、早く出てきて亜美にマンガ貸してよ」
P「おま、捨てといてそれ言うとか、大鬼畜外道丸か」
亜美「独占してる兄ちゃんのほうが外道じゃん……だいたいさぁ?」
P「なんすか」
亜美「せっかく亜美が遊びに来てあげたのにさ?」
P「うん」
亜美「どうして4時間もトイレにこもってるの?」
P「…………いや、ちょっと世界が崩壊するほどの凶悪な便意が」
亜美「そんなに長く便座に座ってたらお尻痛くならない?」
P「今、かなり太ももにキてますね。痺れ方が尋常じゃない」
亜美「じゃあ、出てくればイーじゃん」
P「ここで私がトイレから出たらお腹の中(腸内)に残された、この子はどうなるの!?」
亜美「二、三日もしないうちに産まれてくるっしょ」
P「冷たいのね……亜美ったら、いつもそう……」
亜美「……と、ゆーか凶悪な便意とかウソなんでしょ?」
P「ウソジャナイヨ」
亜美「なにそのロボットみたいな言い方。やっぱり、ウソなんじゃん」
P「ウソジャナイヨ」
亜美「……亜美が来たら迷惑だった?」
P「……メイワクジャナイヨ」
亜美「亜美のこと嫌い?」
P「キライジャナイヨ」
亜美「じゃあなんで亜美のこと避けるの?」
P「そ、それは……」
亜美「今日だって、ずっとトイレに入ってるし」
P「…………」
亜美「昨日だって、亜美たちの誕生日だったのに外回りから帰ってこなかったし……」
P「誕生日、おめでとう」
亜美「初めてかも。おめでとうってトイレの中から言われたの」
P「すまん」
亜美「……兄ちゃんは誰が好き?」
P「…………それって、どれくらいのレベル?」
亜美「じゃあ、結婚したいの好きです」
P「めんま・・・・」
亜美「真面目に」
P「……三択でお願いします」
亜美「んじゃあ、いおりんとあずさお姉ちゃんと律っちゃん」
P「伊織って、手厳しいことばっか言うけど結構優しいよな」
亜美「うん」
P「あずささんは気付いたらどっか行っちゃうから放っておけないし」
亜美「そうだね」
P「律…‥リッチャンハカワイイデスヨ」
亜美「真面目に、って言ったじゃん」
P「……この中には居ないかな」
亜美「じゃあ、はるるんとミキミキと千早お姉ちゃん」
P「春香は思いやりがあって、誰よりも『今』を大事にしてるんだと思う」
亜美「うん」
P「美希は『そこの人』って呼ばれてた頃よりは仲良くなったと思うけど、どうなんだろうな」
亜美「ミキミキは結構アピールしてると思うけど……?」
P「千早は……常にストイックで、その姿勢には俺も学ばされることが多いよ」
亜美「そうなんだ」
P「みんな魅力的だけど、この中にも居ないかな」
亜美「じゃあ、まこちんと雪ぴょんとやよいっち?」
P「真は女性のファンから王子様なんて言われて悩んでるとこを見るたび可愛いなって思う」
亜美「そうだね」
P「雪歩は、いつもオドオドしてるけど自分を変えようと努力してる姿が眩しいくらいだ」
亜美「うん」
P「やよいは……正直、妹って感じだけど、きっと将来は美人になるだろうな」
亜美「将来有望だね」
P「だけど、この中からも選べないかな」
亜美「じゃあ、ひびきんとお姫ちんと、ピヨちゃん」
P「響は、ああ見えてアイドルとしての資質も高いし完璧ってのも納得できる」
亜美「うん」
P「貴音は普段おしとやかだけど、あれで意外と感情が昂ぶったときは可愛げがあるし」
亜美「そうなんだ」
P「音無さんなんて、あんなにいい人が、なんで独身なのか分からないよ」
亜美「この中に居る?」
P「結局ほぼうちの事務所の全員じゃないか……いや、この中にも居ないけど」
亜美「じゃあ、真美は?」
P「真美は……うん。可愛いと思うよ」
亜美「それだけ?」
P「顔も整ってるし、スタイルもモデルみたいだけど、妹みたいなもんだな」
亜美「…………じゃあ――――」
亜美「――――亜美は?」
P「‥‥‥‥‥‥」
亜美「亜美は《兄ちゃん》以外の選択肢を選びたく無い」
P「ちょっと、ドアから離れてくれ」
亜美「……?」サッ
P「離れたか? ドア開けるぞ?」ガチャッ
亜美「4時間ぶりだね」
P「すまん」
亜美「それは、トイレにこもってたことに対して? それとも亜美もオコトワリってこと?」
P「……どっちも、かな」
亜美「そっか……まあ、そんな気はしてたんだ。うん」
P「今は誰とも、付き合うつもりは無い」
P「そもそも、選択肢がうちの事務所のみんなだけってのもおかしいと言うか……」
P「むしろ、俺みたいな非モテ野郎がアイドルと付き合えるわけ無いし」
亜美「‥‥‥‥‥‥」
P「でも、ありがとうな。亜美の気持ちは嬉しいよ」
亜美「うん。亜美もありがとう」
P「それは、トイレから出てきてくれてありがとうってことか?」
亜美「うん。トイレから出てきてくれたから」
亜美「ちゃんと亜美の気持ちを大事にしてくれ、ありがとう」
亜美「たまには、遊びに来ていい? 妹なんでしょ?」
P「ああ、うん」
亜美「次はトイレにこもっちゃダメだかんね?」
P「分かってるよ」
亜美「じゃあ、マンガ貸して?」
P「よく覚えてたな」
亜美「続きが気になってたからね♪」
P「そっか……。じゃあこれ、はい」スッ
亜美「これこれ♪ じゃあ兄ちゃん、トイレ戻っていいよ、どーぞ?」
P「いや、もう太ももの限界だし」
亜美「あはは、早く出てきたら良かったのに~」
P「そうだな」
亜美「んじゃあ亜美、マンガ読むから邪魔しないでね?」
P「ははっ、ひでぇ」
亜美「そりゃ、少しくらい意地悪もしたくなるってもんだよ」スタスタ
P「すまぬ」
亜美「んもうっ、そんなに謝られると凹んじゃうじゃん。どっこいしょ、っと」ボフッ
P「あっ、俺の座椅子……」
亜美「んっふっふ~♪ 早い者勝ちってやつだね」ペラッ
P「いいよ。ベッドに座るから」ボフッ
亜美「……うわぉ。新右衛(ヱ)門さん、最初からクライマックスじゃん」ペラッ
P「ああ、そうそう」
亜美「ネタバレはギルティだかんね?」
P「……さっきのことだけど」
亜美「ギルティ!!」
P「俺は、亜美が挙げなかったけど『もうひとつの選択肢』を選ぶよ」
亜美「‥‥‥‥‥‥?」
P「未来の亜美を選ぶ」
亜美「…………未来の? 亜美?」
P「あ、いや、もし亜美がこの先もずっと俺のことを好きでいてくれたらって話な?」
亜美「うん?」
P「今の亜美じゃ、年齢的に結婚なんて出来ないし」
亜美「うん」
P「だから、未来の亜美が俺を選んでくれるなら、俺も亜美を選ぶよ」
亜美「兄ちゃん……それって……」
P「いつか結婚したいってことだよ、言わせんな恥ずかしい」
亜美「……馬鹿みたい」
P「どうあがいてもロリコンですどうもありがとうございました」
亜美「ホント……バカみたい」ジワッ
P「あ、亜美……?」
亜美「亜美ホントは……ぐすっ……、めちゃ落ち込んでたんだからね!?」ポロポロ
P「いや、だってそれは亜美の聞き方が……」
亜美「亜美のせいにすんなっ! この非モテどーてい!」ギロッ
P「ど、ど、ど、同棲しよっか?」
亜美「キモイYo! このロリコン! 性犯罪者! あと提案するタイミングおかしいかんね!?」
P「ありがとうございます! ありがとうございます!!」
亜美「だいたい結婚したいくらい好きなら、なんでトイレにこもってたの?」
P「いや……亜美が突然遊びにきたから、どうして良いか分からなくて?」
亜美「‥‥‥これだから非モテは」ヤレヤレ
P「俺の近くにヤンデレさえ居ればこんな結果にはならなかったかもしれない」
亜美「じゃあ、しょーがないから亜美がヤンデレになってあげよっかな?」
P「ぜひ頼む」キリッ
亜美「なんで、そこでキリッとしてんの」
P「ん? キリッとなんかしてないし」キリッ
亜美「どうせなら、その顔でさっきのセリフを言って欲しかったんだけど?」
P「らめぇえええ、このマンションお賃貸なのぉ、お家チンあがりゅのぉおおおお!」キリッ
亜美「そんなに前のセリフのことじゃないし、誰がそのセリフを欲しがるのさ……?」
P「いや、亜美が欲しがってる気がした」
亜美「欲しがってない!」
P「ほらほら、ヤンデレヤンデレ」
亜美「兄ちゃんどいて」
P「ヤンデレ中のヤンデレ台詞キタコレ」
亜美「兄ちゃんの横に座れない」
P「お、おう」ズリズリ
亜美「……んしょ」ボスッ
P「‥‥‥‥‥‥」
亜美「‥‥‥‥‥‥」
P「ちょ、ちょっとトイレに……」
亜美「逃げちゃだめっ。ちゃんと亜美のこと、見て……?」ウルウル
P「うっ……」タジッ
亜美「兄ちゃん……」ウルウル
P「……ううっ、やっぱ二人っきりとか無理!!」ダッ
亜美「あ、ちょっと兄ちゃんっ!?」
P「亜美、ごめん!」ガチャ
亜美「やれやれ……これは、ゆっくり慣らして行くしかないか」スタスタ
亜美「まあ、いいや。どうせ亜美も、まだまだ大人になれないし!」
亜美「兄ちゃん、亜美もトイレ入る! だから、ここ開~け~てっ♪」ガチャガチャ
おわり
以上で終了です。
遅刻してすまん、亜美。
亜美も真美も誕生日おめでとう。
ここまで読んでくれた人が居たら、ありがとうございました。
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