絵里「最高の仲間達」 (105)
・設定はSIDとかアニメとかごっちゃになってるので、生暖かく見守っていただけると幸いです。
・地の文はエリチカ一人語り。SID風に捉えていただけると。
・読まなくてもある程度は大丈夫ですが一応続きもの。
・海未編→真姫編のエリチカサイドと+αという形で書いていきます。
・過去2作がこちらです。読んでいただけるとより分かりやすいかとは思います。
真姫「だいすきな先輩」
真姫「だいすきな先輩」 - SSまとめ速報
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海未「秋の夜長に」
海未「秋の夜長に」 - SSまとめ速報
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ある夜のこと。
しばらく参考書に向き合っていたら、ちょっと疲れちゃった。
ちょっと気分転換しようと思ってカーテンを開けて、空を見てみる。
絵里「綺麗な月ねえ……中秋の名月ってやつね。」
しばらく見とれてぼーっとしていると携帯からコール音。
表示は『園田海未』。
海未が電話かけてくるなんて珍しい。何かあったのかしら?
不思議に思いながらも電話を取る。
絵里「あら、海未?珍しいわね、どうかした?」
海未『いえ、とても月が綺麗なので話し相手が欲しいなと。』
やだ、海未ったら……「月が綺麗ですね」なんて♪
絵里「……ふふ、それって愛の告白かしら?」
ちょっとイジワルしちゃおう、ふふ。
海未『ち、違います!そんなつもりでは!』
絵里「ふーん、そんなに否定されると傷ついちゃうわぁ。」
海未『い、いえ、絵里が好きではないという意味では決して……!』
絵里「じゃあ私のこと……好き?」
海未『わ、私は……!』
もう海未ったら可愛いんだから……。
絵里「ふふ……ふふふ……」
こらえきれずに吹き出しちゃった。ざーんねん。
海未『……絵里?』
絵里「もう、海未ってばそんなに真に受けなくてもいいのに♪」
海未『……絵里ぃ……』
絵里「うふふ、私女優もいけるかしら?」
海未『勘弁してください……。』
絵里「ごめんごめん♪それで、何かあったかしら?」
海未『いえ、本当にちょっとお話したかっただけなんです。』
ちょっと声が沈んでる。
ホント、意地っ張りなんだから……。
まあ、私も人のこと言えないけどね。
絵里「そう?じゃあちょっとだけおしゃべりしましょうか。」
しばらく、他愛のない話をした。
海未と2人でこんなに話すのって珍しいわね、なんて思いながら。
海未『絵里は……受験ですよね?』
ちょっとだけそれまでより時間をかけて、海未が話しだす。
本題……かしら?
絵里「そうね、大学には行くつもり。」
明確な夢が定まっているわけではないけどね、と苦笑いしながら。
海未『そう、ですよね……頑張ってくださいね、なんて私が言う必要もないんでしょうが。』
絵里「任せなさい、かしこいかわいいエリーチカ、だからね♪」
いつもの私らしく、ちょっぴりおどけてみる。
海未『例えば……の話なんですけど……。』
海未の言葉がちょっぴり重くなる。
絵里「うん?」
海未『大切な人と、離れ離れになってしまうとします。そんなに遠くないうちに。』
海未『そんなとき、絵里なら別れの瞬間までどうやって過ごしますか?』
これはそういうこと、かしら。
私も、……私達も、わざと目を向けてこなかったこと。
受験勉強なんてやってるのに、ね。
目を向けたくないけれど、でも……大事な大事な可愛い後輩の相談だもの。
ちゃんと答えないとね。
絵里「そうねえ……。」
少し目を閉じて、ちょっと息を吐いて。
絵里「私なら、きっと……。」
μ’sのみんなとのお別れなんてちょっぴり想像しちゃって。
だけど、私なりの想いの丈をちゃんと伝える。
絵里「その「大切な人」との一瞬一瞬を心に刻むわ。」
絵里「大切であればあるほど、絆が深ければ深いほど、別れは辛い。」
絵里「だけどね、きちんと「大切な人」と向き合わないと、きっと……。」
絵里「きっと、別れの瞬間に後悔すると思うの。「もっと一緒にいたかった」って。」
絵里「そんなの悲しいでしょ?だから、目一杯……。」
絵里「出来る限りの全力で日々を楽しむと思う。」
絵里「それが私なりの答えかな。」
一気に言って、……なんだか、私も切なくなってきちゃったな。
気取られないよう、海未の言葉を待つ。
海未『ありがとう、ございます。』
震えないように、ちょっぴり強がった海未の声。
海未『参考になりました。本当に…。』
頼りになる先輩でいられた、よね?
絵里「そう?それなら何よりよ。」
海未「絵里、あの……。」
絵里「なあに?」
海未『……頑張りましょう、ラブライブ。』
海未の精一杯考えたであろう言葉が可愛くてちょっとニヤけちゃう。
絵里「ええ、もちろんよ♪」
海未『あ、もうこんな時間なんですね。』
絵里「あら、ホントね。そろそろ休みましょうか?」
海未『はい、遅くまでありがとうございました。』
絵里「いいのよ、可愛い後輩のためなんだから♪」
先輩禁止だけど、これくらいはいいわよね?相談乗ってあげたんだから♪
海未『ふふ、おやすみなさい、絵里先輩。』
絵里「あ、こら、先輩禁止って……!もう。おやすみなさい、海未。」
と、思ったらやり返されちゃった。
もう、海未もやるわね。
電話が終わって、空を見上げたら。
なんだかちょっぴり寂しくなる。
さっきの話題のせいかな。
ああ、本当に月が綺麗。
月の光が眩しくて、ちょっとだけ目の前が滲んじゃうな。
……もう今日は寝なくちゃね。
おやすみ、誰にでもなく呟いて、そっと電気を消して。
ちょっぴり切なさを抱きながら、気づいたら眠りに落ちていた。
海未編、エリチカサイドはここまでです。
続いて、真姫編投下します。
その数日後、部室で私と希、にこの3年生トリオで勉強会することになったの。
……まあ、ほとんど……にこのためなんだけど。
にこ「に……にっこにっこにー♪」
希「にこっち~……真面目にやらんと分かっとるやんなー?」
にこ「ひいいい!ワシワシMAXはやめてえええええ!」
絵里「まったく……相変わらずねえ。」
この2人は見てると飽きないわ、まったくもう……。
そんな風にのんびり勉強していると。
真姫「にこちゃん、またなんかやらかしたの?」
外にまで会話が聞こえていたのか、真姫が入ってきた。
希「お、真姫ちゃん、お疲れさん。」ワシワシ
絵里「あら真姫、いらっしゃい。」
にこ「助けて真姫ちゃん!希が、希があああああ!」
真姫「いったい何したのよにこちゃん……。」
呆れたように真姫が呟く。
そうよね、呆れるわよね……うう情けない。
希「聞いてや真姫ちゃーん。にこっちったらさっぱり真面目に勉強してくれないんよー。」
絵里「もう、あまり時間もないんだからちゃんとやらなきゃダメよ、にこ?」
にこ「だってぇー、にこはぁー、アイドルだからぁー」
希「にこっち~……?」
真姫「……」
ちょっとだけ真姫の元気がないみたい。
どうしたのかしら?
絵里「真姫?」
真姫「!?な、何よエリー?」
絵里「どうかしたの?元気がないようだけれど……具合でも悪い?」
希「ふう……真姫ちゃん具合悪いん?」ツヤツヤ
にこ「あばばばば……」ピクピク
真姫「ナ、ナンデモナイノヨナンデモ」
絵里「ほんとかしら……?ちょっと失礼するわね。」
熱を測るため、真姫のおでこに手を当てる。
ふふ、しおらしくしてる真姫って新鮮ね♪
絵里「うーん、熱はないみたいね?」
真姫「そうよ、私はなんともないわ!」
まあ、体調に問題ないならいいんだけど……。
なんだかちょっと様子が変よね。
真姫「そうそう、今日は凛と花陽は用事。2年生は生徒会の仕事で来れないそうよ。」
希「あ、そうなん?じゃあ今日はこの4人だけかー。」
にこ「ひいひい……じゃあ今日は4人で遊びに行くにこ!」
絵里「ダメよにこ、全然進んでないじゃない。」
にこ「だってぇー……」
希「そのくだりはもうええて。でもまあ、にこっちも煮詰まってるみたいやしええんちゃう?」
希もなんだかんだ、にこには結構甘いのよね。
私にはいろいろ言うくせに!……って今は関係なかったわね。
絵里「もう……真姫はどうする?」
真姫「わ、私は別にどっちでもいいわよ。今日は塾もないし……。」
あら、真姫が遊びについてくるなんて珍しいわね。嬉しいけど♪
にこ「じゃあゲーセンでも行くにこ!」ガバッ
ゲーセン?
まさか……あの?
絵里「ゲーセン……ゲームセンター?……ハラショー!」
希「えりち、もしかして行ったことないん?」
絵里「生徒会長がゲームセンターなんてとんでもないって思ってた時期もあったのよ……。」
そう、真面目な生徒会長として頑張っていた私。
ゲームセンターって不良のイメージがあって行ったことなかったの。
で、でもお嬢様の真姫なら!
絵里「真姫も行ったことないわよね?ね?」
真姫「いや、私は凛たちと何度か……。」
な、なんてことなの……。
にこ「もーそんなのいいから早く行くにこー!時間は待ってくれないのよ!」
希「勉強しなくてよくなった途端に張りきっとるなあ……。」
1人忸怩たる思いを抱えている私を置き去りに、みんなはゲーセンに向かっていく。
悔しいけど、これを期に目一杯楽しんでやるんだから!
それにしても珍しい組み合わせよね。
3年生が3人、1年生が1人。
でもこれがμ‘sのいいところ。
みーんなとってもいい子達。
そうこうしてる間にゲームセンターに着いて。
にこ「真姫ちゃん、このダンスゲームで勝負よ!勝ったほうが次のセンターなんだから!」
またにこが突拍子もないことを言い出したわ……。
真姫「なんで私がそんなこと……。」
にこ「あれー?真姫ちゃん逃げるのー?」
ああ、真姫はこう言われちゃうと……。
真姫「だ、誰が!望むところよ!」
にこ・絵里・希「(ちょろい)」
さすがμ‘sで一番ちょろいと言われているだけはあるわね。
気難しいようで、実は誰より単純な子。
それが真姫。ホント、可愛い後輩よ。
真姫「ほえ面かかせてやるわ!かかってきなさいにこちゃん!」
にこ「いやーん真姫ちゃんこわーい♪」
にこ「(ふふふ……やり込み方が違うのよ、このスーパーアイドルにこにーが負けるわけないわ)」
なんだかんだノリノリの真姫。
そして何か含みのあるにこ。
こんなときって大体……。
にこ「」
やっぱりダメだったわ……。
真姫「かしこいかわいいこのマッキーが負けるわけないのよ」フンス
わ、私の決め台詞!
絵里「ちょ、それ私の」
希「にこっち……憐れやなあ。」ワシワシ
にこ「バ、バカな……」ビクンビクン
それから、私の知らないゲームでたくさん遊んだわ。
UFOキャッチャーに銃でゾンビを倒すビデオゲーム。
あー楽しい♪
だけど、そんな時間はあっという間に過ぎて。
絵里「あら、もうこんな時間なのね。」
希「ほんまやね、そろそろ帰らんと。」
にこ「あ、じゃあ最後にプリクラ撮るにこ!」
絵里「プリクラ・・・プリント倶楽部ね!ハラショーハラショー」
プリクラってアレね、写真撮るのよね!
エリチカ、それくらい知ってるんだから!
希「ええねー、真姫ちゃんもええやろ?……真姫ちゃん?」
……あら?また、真姫がぼーっとしてたみたい。
真姫「え?ええ、もちろん!一番可愛く写ってやるわ!」
無理……してないわよね?
そんな心配をよそに、プリクラの撮影が始まったわ。
『まずはみんな笑顔で!はい、チーズ!』
『次は変顔でー……はい、チーズ!』
ふむふむ、こうやって矢継ぎ早に指示が出るのね。
なかなか楽しいじゃない♪
『最後は抱き合ってー……』
その指示に真姫が顔を真っ赤にして口をパクパクさせてる。
もう、ウブなんだから……女の子同士なんだから恥ずかしがることないのに、ね?
希「ほらほら真姫ちゃん、みんなで抱き合うんよ?」
絵里「早くなさい真姫!指示通りにやらなきゃ!」
楽しくて熱くなってた私はノリノリでそう言ってしまう。
にこ「恥ずかしがることないにこー、ほらほらー!」
真姫「うう……」
『はい、チーズ!』
『落書きコーナーに移動してね☆』
絵里「落書き?何書けばいいのかしら?」
希「なんでもええんよー、文字通りの落書きやからね。」
そういうのもあるのね……普通の写真と違うのはそういうところってことね。
にこ「えーい真姫ちゃんの顔ピエロにしちゃえー♪」
顔に特殊なメイクとかもできるみたい。ハラショー。
真姫「ちょ!やめなさいよ!」
じゃれてる2人を横目に。
私は最後に撮ったみんなで抱き合った撮ったプリクラに何か文字を書こうと思う。
絵里「うーん、何書こうかしら……」
だって、みんなとってもいい顔。
弾けるような笑顔で、等身大の高校生って感じ。
そうね、ちょっといいこと書いちゃおうかしら。
『親愛なる同級生、そして可愛い後輩。』
『私の大切な仲間達!』
『きっとずっと一緒よ♪』
真姫「……!」
こんな感じでどうかしら?いかにも青春って感じじゃない?
と、後ろを振り返ると。
絵里「ま、真姫?どうして泣いてるの!?」
希「真姫ちゃん……?」
にこ「え、ちょ、ご、ごめんね?落書きそんなに嫌だった?すぐ消すから!」
真姫がポロポロと涙を流してた。
ど、どうしちゃったの?
私達何かしちゃった?
真姫「ち、ちが……違うの……」
何を聞いても頭を振って違う、と繰り返す真姫。
しばらく落ち着けなさそうだし……。
絵里「……とりあえず場所変えましょうか?目立っちゃうわね」
希「せやね、近くの公園行こうか。にこっち、エスコートしてあげて?」
にこ「真姫ちゃん、歩ける……?」
どうしちゃったのかしら。
思えば、今日は部室に来た時からなんだか様子が変だった。
何か悩んでたのかな。
だったら力になりたい。
大事な大事な友達だもの。
絵里「落ち着いたかしら……?」
ベンチに座った真姫に目を合わせて話しかけてみる。
亜里沙が小さいときに泣いちゃったときはいつもこうしてたわね。
希「どうしたん?なんか辛いことでもあったん?」
希も優しく語りかける。
にこ「真姫ちゃんに泣き顔は似合わないよー?にっこにっこ……」
にこは敢えていつも通りに。
でも、なかなか真姫は泣き止まない。
そんなに辛いことがあったの……?
だったらなおさら、話してほしい。
希「なんでもええから話してみ?うちら友達やん?」
絵里「そうよ、これでも多少は頼りになるつもりだわ。」
にこ「真姫ちゃーん……」
私達は一生懸命、心配だよ、大丈夫?って声をかける。
しばらくすると真姫が口を開いた。
最初は小さな声で。
真姫「……なの……」
希「え?」
真姫「イヤなの……みんなが卒業するなんてイヤ!」
真姫の叫んだ言葉が、誰もいない夕暮れの公園に響く。
それは、私達3年生もなかなか直視できないでいたこと。
真姫は……それで必死に悩んでたのね。
絵里「卒業って……まだ半年もあるのよ?」
心にもないことを言ってしまう。本当は分かってるの。
『たった』半年しかないこと。
真姫「半年しかないの……やっと、やっと見つけた大切な仲間……友達なのに……」
堰を切ったように、真姫は涙声で話しだす。
真姫「全然素直になれなくて、こんなひねくれた私に優しくしてくれて」
真姫「こんなの初めてだったの……こんなに素敵な友達、私にはもったいないくらい」
真姫「ずっとずっと一緒にいたいって思った」
真姫「だけど今日受験勉強してるの見たり、いろいろあってみんなが卒業しちゃうって」
真姫「そんな風に思ったら寂しくて……!辛くて……!」
真姫「ごめんね、こんなこと言っても困らせるだけなのは知ってるの……ごめんね……」
ああ、こんなにも……。
こんなにも、この子は……。
私達のことをそれだけ強く想っていてくれることが嬉しくて。
そんな後輩とも、もう少し……あと半年ちょっとで離れ離れにならなきゃいけない。
そんな事実が悲しくて。
真姫はとっても頭のいい子だから。
この事実とずっと正面から向き合っていたのね。
何よ、もう……。
泣けてきちゃうじゃない。
私だって寂しいわ。
意固地だった私を、必死に見栄張ってた私を。
こんなにも素敵なステージに連れてきてくれたμ‘sのみんなと別れるのなんて……。
ずっと一緒だったんだもの。
離れるなんて考えられないくらいに寂しい……悲しいに決まってる。
私達は、気づいたら真姫を抱きしめてた。
愛おしい後輩を。
こんなにも、私達のことを信頼しきってくれている後輩を。
希「もうええんよ、大丈夫……大丈夫やから……」
絵里「真姫……ありがとうね……」
もう、私も涙が止まらないじゃない……。
ずるいわよ、真姫……。
こんなの、嬉しいに決まってる。
にこがゆっくりと話しだす。
にこ「別に卒業したってにこ達が消えてなくなるわけじゃないの」
にこ「確かにちょっと距離は離れるかもしれない」
にこ「でもね、その程度でμ'sはバラバラになったりしないわ。」
そう、にこはこういうことをちゃんと言える子。
見た目よりずっとしっかりしてる。
絵里「それぞれの道を歩んでいくかもしれないけれど、みんなとはずっと……ずっと友達よ」
私には、月並みなことしか言えないけれど……でも、紛れも無い本心。
どこに行ったって、何年経ったって、ずっと……。
希「どこに行ってもμ'sは大丈夫。カードがうちにそう告げるんよ。ふふっ」
希のカードもそう言ってるみたいだし、ね♪
希「なんか様子おかしいと思ってたんよ、たまにぼーっとしてるし。」
絵里「たまには目一杯甘えなさい。溜め込んだっていいことないわよ。」
にこ「そうそう、素直になってこのにこにーの胸に飛び込んできなさい!」
ここぞとばかりに私達は真姫に声をかける。
いつまでも沈んでたって仕方ないから。
希「えりちとにこっちがそれ言うん?」
空気を読みなさい、希!
確かに、確かに……ちょっと……ダメな時期もあったけど!
絵里・にこ「うるさいわね!」
これがμ’s。
賑やかで、うるさいくらいがちょうどいいの。
笑って、泣いて、なんだって一緒に乗り越えていける。
すると、真姫が立ち上がる。
真姫「ごめんね、もう大丈夫……ありがとう」
こんなに素直に真姫がお礼を言うなんて……。
なんだか、嬉しい♪
にこ「真姫ちゃんから素直にお礼されるなんて気持ちわるーい♪」
真姫「ちょ、なんでよ!イミワカンナイ!」
絵里「ふふ、それにしても真姫が私達のことこんなに想ってくれてるなんてね・・・ふふふ」
希「真姫ちゃーん、うちも大好きやでー」
いつもみたいに真姫をみんながからかう。
きっと「べ、別に……」って返ってくるに違いないわ。
でも……違った。
真姫「う……ぐ……わ、私も……き……よ……」
にこ「聞こえなーい?なーにー?」
真姫「わ、私も!」
真姫「みんなのこと、だいすきだって言ってるの!」
真姫が大声で叫んだ「だいすき」って言葉。
ずるいわ、こんなの不意打ちよ。
嬉しすぎて、ニコニコしちゃうじゃない。
私も、私達もそんなあなたが「だいすき」よ。
あと半年……短い間かもしれない。
だけど……大切にしたい。 この時を。
さて、ダッシュで投下してきましたが所用で23時過ぎくらいまで少々外します。
まだもう少し続くので、よろしければお付き合いくださいませ。
さて、再開いたします。
そのあと。
真姫を送り届けて、なんとなく帰るのがもったいなくて。
3人で神田明神にやってきた。
希「真姫ちゃんが……あんな風に想ってくれてたなんてなあ。」
ぽつりと希が話しだす。
にこ「参っちゃうわ……ホント。急に素直になられると調子狂っちゃうじゃない。」
絵里「にこだって嬉しいくせに。」
みんな分かってる、嬉しくないわけがない。
だけど、同時に……。
希「……なーんか、突きつけられちゃったやんなあ。」
たはは、と希は苦笑する。
あと半年で卒業しなければならないこと。
μ'sのみんなと一緒にいられる時間もそんなに長くはないこと。
にこ「分かってたことじゃない。……分かってたことよ。」
そう言うにこの目は少し潤んでて。
絵里「そうね、どうしようもないことだけれど……。」
寂しい、わね。
にこ「……あーもう!にこ達まで辛気臭くなってどうするのよ!」
にこ「いい?まだラブライブの本選も、クリスマスとかイベントだってたくさん控えてるの!」
にこ「アイドルはみんなに笑顔になってもらうのが使命よ!にこ達は沈んでちゃいけないの!」
はっとする。
にこは本当にアイドルに対しては真摯よね。
ちょっとくらいその情熱を勉強に……とは今は言わないでおくけど♪
希「……せやね。にこっちもたまにはええこと言うやん♪」
にこ「たまには余計よ!」
絵里「じゃあ、優勝祈願でもしていきましょうか!」
ふと思いついてそんなことを提案してみる。
せっかくここまで来たんだし、ね。
3人並んで、手を合わせて。
μ'sのみんなの顔を思い浮かべながら。
2人は何を考えてるかしら。
……きっと、同じようなこと考えてると思う。
お祈りを終えて、目を開ける。
3人で顔を見合わせてふっと笑う。
言葉がなくたって、なんとなく分かる。
『頑張ろう』って。
絵里「さて、それじゃそろそろ帰りましょう。」
希「すっかり遅くなっちゃったからねえ。」
絵里「ねえ、希、にこ。」
希「ん?」
にこ「何よ?」
なんとなく、言っておきたかった。
絵里「これからも、よろしくね?」
2人は顔を見合わせて。
当たり前でしょって言ってくれた。
夕暮れに浮かぶ2人の笑顔。
絵里「よし、じゃあ帰りましょ!」
3人肩を並べて歩き出す。
うん、頑張ろう。頑張ろう---
―エピローグ―
あれから半年。
私達の、μ’sのラブライブが終わった直後のこと。
卒業式を数日後に控えた日。
3年生の私達は急に穂乃果達に講堂に呼び出された。
絵里「ちょっと穂乃果、これはどういう……?」
穂乃果「いいからいいから、絵里ちゃん達は真ん中に座って座って!」
希「いったいなんやろ?」
にこ「もう、何考えてんのかしら」
希もにこも、何も知らないみたい。
ステージには私達を除いたμ’sの6人。
穂乃果達は語りだす。
穂乃果「えっとね……実はね。」
海未「3人に内緒で新曲を作ってたんですよ。」
ことり「うん、特別な曲をね♪」
凛「へへ、悟られないようにするの大変だったにゃ!」
花陽「ご、ごめんなさい!でも、これは……。」
真姫「そう……あなたたちへ贈る歌よ。」
絵里「贈るって……。」
穂乃果「うん、私達みんなで作ったんだ。」
穂乃果「絵里ちゃん、希ちゃん、にこちゃん。」
穂乃果のくりっとした大きな目が私達を見据える。
うん、この子は本当に立派なリーダーになった。
穂乃果「まずは聞いてくれると嬉しいな。」
穂乃果「私達、3人にはとっても感謝してる。」
穂乃果「だから、精一杯の感謝とエールを贈るよ!」
希もにこも、私も何も言えない。
こんなの聞いてない。聞いてないわ……。
真姫「行くわよ、みんな。」
『はい!』
穂乃果「聞いてください!SENTIMENTAL StepS……!」
穂乃果の声を合図に。
真姫が静かに伴奏を始める。
ちょっぴり物悲しいような、けど確かな決意の籠もった音。
歌詞のワンフレーズ、メロディの全てが。
心に沁みる。想いが伝わる。
みんなで過ごしたたくさんの思い出が蘇る。
μ‘sができたこと。
最初は、ぶつかり合っていたこと。
穂乃果達が私の手を引いて、μ‘sに入れてくれたこと。
合宿にライブ。
たくさん遊んだりもした。
たくさんの、本当にたくさんの数えきれない思い出が寄せては返して。
思い出の中の私達はいつだってキラキラした笑顔で。
気づいたら演奏が終わっていた。
私も希もにこも、ボロボロ泣いてた。
だってこんな、こんなのずるい。
せっかく覚悟してたのに。
あなたたちとちゃんと笑ってお別れできるって。そう思ってたのに。
絵里「もう、やってくれたわね……。」
希「一本とられたわ……。」
にこ「何よ……何よもう……。」
みんな言葉にならなくて。
穂乃果「へへ、どうだったかな。」
穂乃果「もう大丈夫だよ!ちゃんと私達は頑張れる!」
穂乃果「だから安心して卒業してよ!」
穂乃果「もう私達だけでちゃんと…ちゃんと頑張れる……からさ……。」
穂乃果「心配なんて……いらない……よ。」
穂乃果は大きな目をぎゅっと閉じて。
大丈夫、大丈夫って繰り返す。
絵里「ばか……。」
必死に涙をこらえてる穂乃果が、愛おしくて。
ぎゅっと抱きしめてた。
我慢の糸が切れたように穂乃果は泣きじゃくる。
穂乃果「やだよ……どこにも行かないでよ……。」
海未「穂乃果……。」
穂乃果「ずっとずっと一緒にいたいよ……。」
穂乃果「穂乃果は……1人じゃなんにもできなくて。」
穂乃果「何度も何度も転んで、その度みんなに助けられてここまで頑張れたんだよ……。」
穂乃果「お別れなんてやだ……!やだよぉ……!」
どんどん吐き出される穂乃果の言葉に。
もう我慢できなかった。
絵里「私だって……私達だってイヤよ……!」
もうボロボロ。カッコいい先輩でなんていられない。
絵里「こんなに頑張ってくれて、私達のこと、こんなに想ってくれて。」
絵里「そんなあなたたちとお別れなんて……。」
絵里「悲しくないわけないじゃない。寂しくないわけ、ないじゃない。」
絵里「大好きよ……!μ’sのみんなが大好き!」
想いを全て吐き出して。
みんなでわんわん泣いてた。
広い講堂に響き渡るのは私達の泣き声。
ことり「希ちゃん……寂しいよ……。」
希「ありがとな……。みんな、ホントに……。」
海未「お礼なんて……私達の方こそ……!」
みんなのお母さんみたいだった希には2年生が抱きついて。
花陽「にこちゃん……にこちゃぁん……!」
凛「にこちゃん……留年してにゃ……。」
真姫「こら凛、無茶苦茶言うんじゃないの……。」
にこ「バカね、まったく……スーパーアイドルにこにーはみんなの心にいつまでも……。」
1年生にやけに慕われてたにこはもみくちゃに。
今この光景がμ’sの作り上げてきた絆の全てなんだろうと思う。
互いが互いを大好きで。
ちゃんと全部分かり合って。
いろいろなことをみんなで乗り越えてきたから。
顔は涙でボロボロだけど最高に綺麗に見えるわ。
こんな素敵な仲間ができるだなんて。
私は幸せよ。みんな。
ひとしきり泣いて泣いて。
ちょっぴり落ち着いた後。
穂乃果「ね、歌おう!」
やっぱり言い出すのはこの子。
絵里「そうね、せっかくの貸し切りだし……。」
思う存分、楽しもう。
この一瞬を。
穂乃果「いっくよー!μ’s!」
きっと生涯忘れない。
講堂に響き渡る歌声を。
精一杯駆け抜けた、この時を。
思い出を胸に、私達は旅立つ。
『ミュージック……スタート!』
これにて完結です。
初投稿から3作、拙い部分もたくさんあったかとは思いますが最後まで読んでくださった方々、ありがとうございました。
この3作目はやたらと長くなってしまいましたが書きたいことは書けたので満足です。
ではでは、また何か書いたときはよろしくお願いします!
感想ありがとうございます!「また書いてほしい」って言葉は何よりの賛辞です、ものすごく嬉しいです。
ラブライブのSSはギャグ寄りが多くて(私も好きで読みますが)、こういうテイストが受け入れられるのか不安だった中こうして感想までいただけるとは思ってもみませんでした。
作者がアレコレ語りすぎても蛇足だろうとは思うのですが、読んでくださった方にどうしてもお礼が言いたくてこうしてまた書き込んでしまいました。すいません。
それでは、また何かの作品で。
重ね重ね、ありがとうございました。
このSSまとめへのコメント
自然と涙が流れてしまいました。いいものをありがとう。
うわぁぁぁぁぁぁぁ(泣)(泣)(泣)
こんなに泣いたの何時ぶりだろ(涙)
神作でした!次回作も期待してます!!!
私が初めてssを読み始めて始めて感動したssです…。
『感動』の一言につきる!
ありがとうございました。
ハラショー!